[37−04] ハワイから羽田へむかい公海上を航行中の日本航空機内で甲(アメリ力人)が乙(フランス人)のさいふをすった。ところで刑法の適用に関しては属地主義,属人主義,保護主義,世界主義の立場が考えられる。わが刑法がこれらのいずれかの主義をとるとすれば,次のうち理論的に誤っているのはどれか。

(1) 世界主義をとるとすれば甲の窃盗行為についてわが刑法が適用される。

(2) 属人主義をとるとすれば甲はアメリカ人だから甲の窃盗行為についてわが刑法を適用できない。

(3) 保護主義をとれば乙はフランス人だから甲の窃盗行為についてわが刑法を適用できない。

(4) 属地主義をとれば日本の航空機はわが国の領土の延長だから甲の窃盗甲為につきわが刑法を適用できる。

(5) アメリカが属人主義をとる場合,処刑の意思を放棄しない限り,わが国が属地主義をとっても甲の窃盗行為にわが刑法を適用できない。

[37−08] 甲は,乙に対し丙家で強盗するよう教唆した。そこで,乙は丙家の家人を脅迫して財物を強取するつもりで丙家に侵入したが,家人が熟睡していたので枕もとの金庫を奪って逃げた。共犯従属性説の立場から,甲はいかなる罪責を負うか。

(1) 窃盗の教唆

(2) 強盗未遂の教唆と窃盗教唆

(3) 強盗未遂の教唆

(4) 強盗教唆

(5) 犯罪不成立

[37−10] 金銭に窮していた乙はかねて甲から預かっていた高価な壺を甲に無断で売却しようとして古物商丙を訪ね,壺の売却方を申し入れた。ところが,たまたまそこへ居合わせた警察官に発見されたと思い,証憑を湮滅する目的で,壺をコンクリートの床に,たたきつけて,それを粉々にこわしてしまった。

 乙の刑事責任は次のうちどれか。

(1) 横領罪の既遂と証憑湮滅罪

(2) 横領既遂罪

(3) 横領未遂罪と器物損壊罪

(4) 器物損壊罪

(5) 器物損壊罪と証憑湮滅罪

[37−12] 次は麻雀賭博について,その行為を次の5段階に分けたが,いずれの段階に達した時に賭博罪は既遂になるか。

(1) 甲乙丙丁4人が賭け麻雀をやろうと相談して,麻雀屋へ行き卓を囲み席に着いた。

(2) 4人は相談して1,000点を100円として勝負毎に金銭を支払うことに決めた。

(3) 麻雀のパイを配布し勝負を始めた。

(4) それから1時間程後に麻雀が終り勝敗が決まった。

(5) 各人の勝敗に応じ賭金を分配した。

[37−15] 次の記述のうち,正しいのはどれか。

(1) 電気は窃盗罪の客体になるが,詐欺罪の客体にはならない。

(2) 不動産侵奪罪が設けられたが,不動産に対する侵奪は処罰されるが,不動産に対する詐欺は罰せられない。

(3) 知慮浅薄な未成年者に対し,返済の意思がないのに,「すぐ返すから」といって金品の交付を受けた場合は準詐欺罪(誘惑罪)が成立する。

(4) 良家の子女に対して結婚するからとだまして情交を結んだ場合は詐欺罪が成立する。

(5) 誇大広告をして効能の乏しい薬品を売っても,必ずしも詐欺罪になるとは限らない。

[37−21] 甲は乙家へ盗みに入り,物に手をかけたが,家人が目をさましたため,何もとらずに飛び出し,すぐ前の通りで,タクシーを拾い自宅付近で下車したところ,前方より私服警察官丙が来て呼び止めたので,乙家の家人が追って来たものと思い,逮捕を免れようとして丙に傷を負わせて逃げた。甲の罪につき正しいものはどれか。但し住居侵入の点は除く。

(1) 準強盗傷人罪

(2) 準強盗傷人罪と公務執行妨害罪

(3) 窃盗未遂罪と公務執行妨害罪と傷害罪

(4) 窃盗未遂罪と傷害罪

(5) 準強盗罪と傷害罪

[37−24] 刑法上未遂処罰に関して考え方が分かれるが,次の記述中,理論上一貫しないものはどれか。

(1) 主観主義の立場からは既遂と未遂とを区別する理由はない。

(2) わが刑法は未遂について結果の不発生と共に行為者の主観を考慮して「刑を減軽することを得」としている。

(3) 主観主義の立場からは,障碍未遂を「減軽することを得」としているのは不徹底な立法である。

(4) 法益の侵害を重視する立場からは未遂は必ず減軽すべきである。

(5) 主観主義の立場からは未遂処罰を各本条で定めている場合に限っているのは不徹底な立法である。

[37−28] 左記のうち,賍物罪が成立するのはどれか。

(1) 公務員が賄賂として収受したものをその情を知って買い受けた場合。

(2) 他人から宝石を盗もうとしている者に対し,盗んで来たら宝石を買ってやると約束した場合。

(3) 占有中の他人のものを勝手に売り払おうとする者から買受け方の交渉を受け情を知ってそれを買い取った場合。

(4) 甲乙共同で窃取したものを甲が乙から買受けた場合。

(5) 偽造の自動車免許証を情を知って偽造者から買った場合。

[37−34] 甲は乙と口論のあげく,乙の後頭部を手で殴ったところ,乙は動脈硬化症にかかっていたため(そのことは誰も知らなかったし,決して知ることもできなかった),脳出血して死亡した。裁判所は甲を傷害致死罪と判断した。この裁判について次の記述中どれが正しいか。

(1) この判決は条件説では説明できない。

(2) この判決は明らかに相当因果関係説をとったものである。

(3) この判決は因果関係の中断を認めたものである。

(4) この判決は因果関係無用論の立場からでなければ説明できない。

(5) この判決は責任と因果関係を混同している。

[37−36] 雇人甲は雇主乙から給料袋をうけとり,自宅へ帰って開けてみると1万円札が1枚多く入っていた。甲は乙が間違えて入れたものであることを知ったが,これを乙に告げなかった。そして自己のために費消した。甲の罪責は次のうちどれか。

(1) 犯罪不成立

(2) 背任罪

(3) 詐欺罪

(4) 業務上横領罪

(5) 賍物収受罪

[37−38] 刑罰に関し誤れるものはどれか。

(1) 強盗罪(5年以上の有期懲役)につき,累犯加重すれば30年の懲役を科すことができる。

(2) 有期禁錮の長期が有期懲役よりも長くても,有期禁錮が必ずしも重いとはいえない。

(3) 「10年以下の禁錮に処する」という場合の法定刑の最下限は1月である。

(4) 刑法は併合罪の刑について場合に応じ吸収主義・加重主義・併科主義を採っている。

(5) 刑の減軽には法律上の減軽と酌量減軽とがあるが,法律上の減軽をなした後,更に酌量減軽をなし得る。

[37−42] 次の一例のうち,甲の行為が詐欺罪(既遂・未遂を問わない)にあたるものはどれか。

(1) 甲は旅館に宿泊中,女中に宿泊料を請求されたが,金が足りないことに気がつき,踏み倒す気になってすきをみて裏口から逃げた。

(2) 甲はは自動販売機の商品を手に入れる目的で,硬貨の代りに金属片を使用したが硬貨の重量より軽かったために,目的物が出て来なかった。

(3) 甲は,保険金を詐取する目的で物置に放火したが,すぐに家人にみつけられて消火された。

(4) 甲は乙の注意をそらしておいて,そのすきに乙のポケットから財布をすりとった。

(5) 甲は金が欲しかったので,乙に「いいもうけ口があるから出資してほしい」と借金を申し込んだところ,乙はそれがうそであることを知っていたが,それにもかかわらず甲に金を渡した。

[37−44] 次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 雇人甲は,夜中に主家の倉庫から宝石入りの箱を盗み出すつもりで,昼間のうちに倉庫の合カギを手に入れておいた。甲の行為は窃盗罪の実行の着手である。

(2) 甲は一万円札を偽造するため,用紙や印刷機械を購入した。甲の行為は通貨偽造罪の実行の着手である。

(3) 甲は乙から借りているカメラを誰かに売却して,小遣銭を作ろうと考え,乙からカメラの返還を求められた時「今あれは友人に貸してある」といいのがれを言ってそのカメラを人目につかないところにかくしてしまった。甲の行為は未だ横領罪の実行の着手に至らない。

(4) 甲はたまたま乙の住宅に接着して自己所有の物置があるのを奇貨とし,その物置に火をつけて乙の住宅に燃え移らせようと考え,物置内に積んであったかんなくずに点火したが,直ちに家人に発見され消し止められた。甲の行為はまだ住宅放火罪の実行の着手に至らない。

(5) 甲は乙を毒殺しようと考え,毒入りの菓子を乙宅に郵送した。乙はこれを受け取ったが,その包を開かずに商用のため旅行に出かけてしまった。甲の行為は殺人罪の実行の着手である。

[37−48] 次のうち,共同正犯となるのはどれか。

(1) 甲と乙とは未知の間柄であるが,いずれも丙に対して恨みを抱いていた。ある夜甲は丙家の表口から放火した。たまたま同じ時刻に乙はその裏口から放火した。丙家は両方から燃え上がりとうとう全焼した。

(2) 甲は隣家の丙と仲が悪かったところ,ある夜酒場で少し低能な乙と知り合ったので,甲は乙に丙家に放火したら明晩も酒を飲ませてやるといった。乙はその夜丙家に放火して全焼させた。

(3) 甲はある夜酒場で乙が丙に眼みを抱いていてすぐにでも丙家に放火しかねない気配を知った。帰宅途中,丙家の前を通ると乙が既に放火して立ち去った後であった。甲はそのとき,もし消火行為に出たならば消火できたかもしれないが素知らぬふりで帰って行った。火はやがて風にあおられて火勢を強くし,丙家が全焼した。

(4) 甲と乙とは未知の間柄であるが,いずれも丙に対して恨みを抱いていた。ある夜行は丙家の表口から放火した。たまたま同じ時刻に乙は放火に適当な場所を探そうと裏口にきてマッチをすったがよい場所が見当らないのでうかつにもそれをワラの上に捨てて明夜を期して立ち去った。丙家は同時に両方から発火して全焼した。

(5) 甲と乙とは未知の間柄であるが,いずれも丙に対して恨みを抱いていた。甲はある夜丙家の表口で放火に適当な場所を探そうとマッチをすり,不注意にもそれをワラの上に落して明夜を期して帰って行った。これと同じ時刻に乙は丙家の裏口で放火に適当な場所を探そうとマッチをすり,それをワラの上に落して明夜を期して帰って行った。そのため丙家は両方から同時に発火して全焼した。

[37−50] 次のうち,刑法上の有価証券でないものはどれか。

(1) 約束手形

(2) 郵便為替証書

(3) 百貨店の商品券

(4) 改札前の国鉄乗車券

(5) 貨物引換証

[37−52] 甲は乙を殺そうと思って毒入りの菓子を乙の面前に差し出したが,乙は食べなかったので殺すのをあきらめて紙に包んだまま道ぱたのごみ箱に捨てた。甲はもはや人がそれを拾って食べるとは考えていなかったところ,そのすぐあとからバタ屋丙がきて,その菓子をひろって食べて死んだ。甲の刑事責任に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 殺人の客体が相違しているにすぎないから甲は殺人の既遂の罪責を負う。

(2) 乙に対する殺人未遂の罪責はあるが毒入りの菓子は丙がごみ箱からひろい出したのであるから丙の死は丙自身の責任に帰すべきことでこの点については甲には責任はない。

(3) 乙に対する殺人未遂のほか通常バタ屋の拾うような場所に捨てたのは不注意であるから丙に対する過失致死の罪責を生ずる。

(4) 甲は乙に対してまだ「たべろ」といったのではない。したがって乙に対しては予備の行為があったにすぎないから,乙に対する殺人予備と丙に対する過失致死の罪責を生ずる。

(5) 乙に対する殺人予備の罪責しかない。

[37−56] 次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 甲は乙の住宅に放火したが,家人に気づかれたため,畳を焼いただけに終った。畳を焼燬したのだから現住建造物放火罪の既遂である。

(2) 通行人甲は,火災の際に警察官から消火の手伝いを求められたが,これに応じなかったために数軒の住宅が全焼した。甲の行為は不作為による現住建造物放火罪の既遂である。

(3) 乙の住宅から火事が起った。野次馬の甲が消火栓を破壊して消防隊の活動を妨害したため,水不足で附近の人家数軒が焼けてしまった。甲の行為は現住建造物放火罪の既遂である。

(4) 自己所有の家屋に妻と2人住いの甲が,妻が病気で入院中なのを幸いに,自宅に放火して焼いてしまった。甲の行為は現住建造物放火罪の既遂である。

(5) 甲は他人の住宅に放火したが,既遂に達しないうちに発見されたため,通行人のような顔をして,発見者に,「消してくれ」と言い残しただけで立ち去ったが,火はその人によって消し止められた。甲の行為は現住建造物放火罪の中止未遂である。

[37−60] 甲は乙と路上で口論の末,相手を傷つけようと考え,付近にあった鉄棒で乙の頭や胸を数回強打して重傷を負わせた。

 このため乙は意識を失って倒れてしまったが,甲はふと乙のポケットからサイフがはみでているのる見つけ,それを取る気になり,抜き取って逃げた。甲の行為は次のうちどれにあたるか。

(1) 強盗傷人罪

(2) 傷害罪と占有離脱物横領罪

(3) 傷害罪と昏酔強盛罪

(4) 傷害罪と窃盗罪

(5) 傷害罪と事後強盗罪

[37−62] 刑の執行猶予に関する現行法の制度を設けた理由について次の記述のうち,誤れるものはどれか。

(1) 短期自由刑の執行は弊害を伴う。

(2) 刑の言渡にあたっては一般予防の効果を考慮する必要がある。

(3) 再び罪を犯せば執行猶予は取り消されるという心理的拘束によって再犯を防止する。

(4) 刑の執行を受けたという事実は社会的に犯人の更生を困難にする。

(5) 軽微な犯罪については必ずしも常に刑を執行しなければならないものではない。

[37−65] タクシー運転手甲は,自動車を運転しながら「ウイスキー」をあおっていたところ,酔が廻ってきて意識不明となり通行人をひき殺してしまった。目撃者の話によると,被害者は不注意に車の前に走りだしたため,ひき殺されたことが判明した。しかしもし甲が酔っていなかったとすれば,この事故は避けることができたものと認められた。業務上過失致死罪の成否に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 被害者をひき殺したとき,甲は意識不明であり,甲の行為は刑法上の行為にあたらぬから過失犯は成立しない。

(2) 甲は心神喪失の状態にあったので責任能力がなく,したがって過失犯は成りしない。

(3) 運転しながら飲酒したこと自体に過失があるから,過失犯が成立する。

(4) 甲について過失があり,被害者にも過失があるので甲について過失犯の責任を問うことはできない。

(5) 甲の過失と被害者の過失とを比較して,もし甲の過失の方が大きければ過失犯の成立を認め得る。

[37−67] 次のうち一罪でないものはどれか。

(1) 反覆の意思をもって,わいせつ図画を数回にわたり販売した場合

(2) 人を逮捕し,引き続いて監禁した場合

(3) 他人の財物を盗み,それを損壊した場合

(4) 他家の玄関にある主人の靴を盗み,つづいて茶の間で奥さんのハンドバッフを盗んだ場合

(5) 1個の放火行為で数個の家を焼燬した場合

[37−75] 自動車の運転手甲が,運転を誤って乙をひき,傷を負わせて逃げたところ,そめ傷のために乙はまもなく死亡した。甲の行為が殺人罪にあたるのは,次のうちどれか。

(1) 軽傷で生命に別状はないと思って逃げたが意外の重傷であった。

(2) かなりの傷だが死ぬはずはないと思って逃げた。

(3) そのままなら死ぬかも知れないことはわかっていたが,通行人が多いから必ず助けられると思って逃げた。

(4) 死ぬに違いないと思ったが病院に運んで医師に引き渡し氏名をつげずに立ち去った。

(5) まだ生きていたのであるが,死んだと思ってそのままにして逃げた。

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