[38−02] 次のうち「行使」にあたらないものはどれか。

(1) 資産家を装うため偽造株券を見せた場合。

(2) 登記官吏をあざむいて不動産登記簿の原本に不実の記載をさせ,それを備えつけさせておいた場合。

(3) 公衆電話に偽造通貨を投入した場合。

(4) 偽造通貨を賭博の賭金とした場合。

(5) 示談が成立していないのに示談書を作成して任意に捜査官に提出した場合。

[38−06] 甲は毎晩,自分の畑のスイカが盗まれるので,ある夜畑にかくれていたところ,乙はいつものとおり畑に入り込みスイカを取り上げたが,甲がいることに気がついてスイカを投げ出して逃げ出した。甲は乙を追いかけて捕えた。甲の行為は次のうちどれか。

(1) 法令による行為

(2) 正当防衛

(3) 過剰防衛

(4) 自救行為

(5) 緊急避難

[38−09] 次のうち名誉毀損罪(230条)の成立するものはどれか。

(1) 甲は証人として呼ばれ,大勢の傍聴人のいる法廷で「被告は,以前私の物を横領したことがある」と供述した。ところがそれはうっかりした思いちがいであった。

(2) 甲は乙の会社が経営が散漫で破産に瀕していると大勢の人にふれまわった。

(3) 甲は日頃信頼している友人三人に固く口止めして,そこにいない乙の人格が劣悪であることを事実を挙げて話した。

(4) 甲は最近死んだ小説家を日頃快よく思っていなかったので半信半疑であったが,乙の「小説◯◯」は盗作であると某新聞に発表した。後で調べたところやはり盗作であった。

(5) 甲は大学教授乙をおとし入れようとして「乙は無能教授である」とのビラを学内に多数配布した。

[38−14] 刑法上の暴行の概念に関して次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 騒擾罪における暴行は人に対する有形力の行使でなければならないし,また少くとも1地方の靜ひつを害する程度のものでなければならない。

(2) 公務執行妨害罪における暴行は,公務員に対する有形力の行使であれば足り,当該公務員の職務執行の妨害となるべき程度であることを要しない。

(3) 暴行罪における暴行とは人に対すると物に対するとを問わず,有形力の行使といえればよい。

(4) 強盗罪における暴行とは財物の所有者または占有者本人の身体に加えられる有形力の行使でなければならない。

(5) 強要罪における暴行とは,相手方の反抗を抑圧する程度のものたることを要す。

[38−16] 甲が乙に対し丙を恐喝することを教唆したところ,乙は丙に暴行脅迫を加えその反抗を抑圧して財物を強取したという事例につき裁判所は甲に恐喝の責任を認めた。この結論の理由について,その記述中,正しいものはどれか。

(1) この結論は錯誤に関し法定的符合説をとらなければ説明できる。

(2) この結論は錯誤に関し抽象的符合説の立場に立っても説明できない。

(3) この結論は,刑法第38条第2項「罪本重カル可クシテ犯ストキ知ラサル者ハ其重キニ従テ処断スルコトヲ得ス」という規定を適用するだけで,錯誤論とは関係がない。

(4) この結論は錯誤に関し具体的,抽象的,法定的3符合説以外の理論によらないと説明できない。

(5) この結論は,教唆がどの範囲で成立するかという問題で決まるのであって,錯誤論とは関係がない。

[38−20] 住居侵入罪に関する次の記述のうち,誤りはどれか。

(1) 強盗の目的で電報配達人をよそおい家人が玄関の扉を開けたすきにすばやく入りこんだ場合には住居侵入罪が成立する。

(2) 浮浪者が夜中に住居に隣接する物置小屋に忍びこんだ場合には建造物侵入罪が成立する。

(3) 賃借人が賃借期間経過後も立ち退かないので,賃貸人が自分で立ち退かせようと無断で該家屋に入り込んだ場合には住居侵人罪が成立する。

(4) 暴行の目的で住居に入った者が主人から退去を要求されたが,それに応じなかった場合には住居侵入罪と不退去罪が成立する。

(5) 親友の下宿を尋ねたが不在であったので帰るのを待つつもりで部屋に上りこんだ場合には住居侵入罪は成立しない。

[38−23] 執行猶予に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 執行猶予は5年以下の懲役または禁錮の言渡を受けた者について付することができる。

(2) 執行猶予を言い渡すときは,必ず保護観察に付さなければならない。

(3) 執行猶予の期間中は再度の執行猶予の言渡はできない。

(4) 執行猶予を取り消すのは仮釈放の場合と同様,行政官庁である。

(5) 執行猶予の期間を無事に経過すれば,刑の執行を終了したのと同一の効果がある。

[38−26] 次の事例のうち,甲の行為が中止犯となるのはどれか。

(1) 甲は乙の住宅を焼燬する意思で,その裏口にわらくずを積んで,これに点火して立ち去ったが,ただちに後悔の念を起し,これを消すために立ちもどったところ,その火は通行人によって消しとめられていた。

(2) 甲は乙を殺害しようとして毒の入った酒を乙に送った。乙は毒が人っているとは知らなかったが,飲む気がしないので,そのまましまっておいた。その後甲は後悔してこれを取り戻そうとしたが,乙が飲んでしまったとうそをついたので,無事にすんだと安心していたところ,その数日後乙は実際にこれを飲んで死亡してしまった。

(3) 甲は乙と共謀して強盗の実行に着手したが,その直後後悔の念にかられ,乙に無断でその場から逃走した。これに気づいた乙は,一人では覚束ないので,犯行をとりやめた。

(4) 甲は保険金ほしさから,自己店舗の屋根裏にぼろぎれを投げ込んで放火した。火がまだ建物に燃え移らないうちに居合せた店員らが発見し騒ぎだしたので,何くわぬ顔で同人らと協力して消しとめた。

(5) 甲は丙を殺そうとしてその実行を乙に依頼した。乙はその依頼に応じて丙を水中に突き落したが,その苦しむ姿を見て急にかわいそうになり,丙を救い上げてその命をとりとめた。

[38−27] 甲,乙は意思の連絡なく,甲は殺人の意思をもって,乙は傷害の意思をもって,丙に向って同時に発砲した。弾丸の一発は丙の手にかすり傷を負わせ,一発は心臓に命中して,丙は死亡した。甲,乙いすれの弾丸が丙の心臓に命中したか不明である。甲,乙の罪責は次のどれにあたるか。

(1) 甲は,殺人罪,乙は傷害致死罪

(2) 甲は傷害致死罪,乙は傷害罪

(3) 甲は殺人罪,乙は傷害罪

(4) 甲,乙共に傷害致死罪

(5) 甲,乙共に犯罪不成立

[38−31] 次のうち,不可罰的事後行為はどれか。

(1) 盗んだ短刀で人を殺す行為。

(2) 人を逮捕し,引き続いて監禁する行為。

(3) 窃取した品物を損壊する行為。

(4) 殺害後,死者の懐中からさいふを抜き取る行為。

(5) 人を殺した後,死体を損壊する行為。

[38−33] 次のうち,誤りはどれか。

(1) 商店の主人から留守番を頼まれた店員が留守中無断で,商品を他人にやった場合は窃盗罪である。

(2) 不動産の売主が,第一の買主に対して未だ登記をしていないのを奇貨として,二重に売った場合は,第一の買主に対して横領罪が成立する。

(3) 父親が死亡し,その子甲乙丙が不動産を相続したが,相続財産が甲の単独占有にあったので,甲は乙丙に無断で他人に売却した。この場合甲につき横領罪が成立する。

(4) 巣に戻る修正のある他人の鳩をとったときは窃盗罪。

(5) 誤って配達された郵便物を着服した場合は占有離脱物横領罪が成立する。

[38−35] 静脈に空気を注射しても少量なら人は死なないが,一般人は死ぬものと考えている。このことを前提として危険説をとった場合,甲が殺人罪の不能犯となるのは次のうちどれか。(但し,どの危険説をとってもよい)

(1) 甲は致死量がどのくらいか知っており,殺意をもって致死量の空気を乙に注射したつもりであったが,実は致死量でなく乙は死ななかった。

(2) 甲は,致死量がどのくらいか分らずそれを検定しようとして,もしかすると乙が死ぬかも知れないと思いながら注射したが,致死量に達せず乙は死ななかった。

(3) 甲は,致死量は知っていたが致死量ではないと思って注射したら実はそれが致死量であって乙は死んでしまった。

(4) 甲は,致死量のことなど念頭になく,空気を注射すれば乙は死ぬものと思い殺意をもって空気を注射したが,致死量に達せず乙は死ななかった。

(5) 致死量のことは知らなかったが,いずれ多量に注射すれば乙は死ぬであろうと思って空気を注射したが致死量に達せず乙は死ななかった。

[38−37] 甲はある日の正午頃,かなり人どおりのあるいなか道で,腹痛で苦しんで倒れている未知の乙から医者へつれていってくれるように頼まれたが,帰りをいそいでいたので,医者のところへは数キロの廻り道をしなければならす,自分がつれていかなくとも誰かがつれて行くだろうと考えて,そのまま通りすぎた。ところが,誰もつれていかなかったので乙は手遅れとなり死亡した。甲の罪責は,次のいずれにあたるか。

(1) 単純遺棄罪

(2) 保護責任者遺棄罪

(3) 遺棄致死罪

(4) 過失致死罪

(5) 犯罪不成立

[38−41] 甲は乙を殺害する目的でウイスキーを買い求め,家で致死量の毒薬を入れ,もとのままに密封して包装した。そして事情を知らない丙に渡して,乙のところに進物として届けるよう依頼した。ところが,途中丙はその過失によって瓶を落して割ってしまった。この事例につき,次のうち正しいものを選べ。

(1) 構成要件の一部を実現したときに実行の着手があるとする立場からは,甲が,ウイスキーを買ったときに殺人の着手ありとする。

(2) 構成要件の一部またはそれに密接する行為があったときに実行の着手があるとする立場からはウイスキーを買うために自宅を出た時に殺人の着手ありとする。

(3) 犯罪意思がその遂行的行為によって確定的に識別される状態に達した時に実行の着手ありとする立場でも,甲がウイスキーを買っただけでは実行の着手があったとはいえない。

(4) 法益侵害の初めの行為の時に実行の着手ありとする立場からは甲がウイスキーに毒薬を入れ密封の上包装した時に実行の着手ありとする。

(5) 犯意の飛躍的表動の時に実行の着手ありとする立場からは,少くともウイスキーが乙のところへ届かなければ実行の着手があったとはいえない。

[38−42] 甲は所轄税務署の係員乙に税額の査定を安くしてもらいたいと頼んだところ乙は承諾し,その代り自己の家屋建設資金として100万円を無利息で融通してくれるよう甲に要求したところ,甲は承諾した。その後乙は地方に出張するに際し,妻丙に事情を打ち明けず,留守中甲は乙宅に100万円を持参し,丙はこれを受け取ったが,乙は出張中であったのでこれを知らなかった。甲,乙の刑事責任につき正しいものはどれか。(刑法は公務員が職務に関して賄賂を収受・要求・約束することを罰し,その相手方も賄賂を供与・申込・約束した場合に罰している。なる本問では請託の点は考えるに及ばない。)

(1) 甲は賄賂申込罪,乙は賄賂要求罪

(2) 甲乙とも賄賂約束罪

(3) 甲は賄賂供与罪,乙は賄賂収受罪

(4) 甲は賄賂約束罪,乙は賄賂要求罪

(5) 甲乙とも犯罪不成立

[38−45] ぐれん隊の甲と乙は,深夜公園のベンチでアべックの男女をみつけた。甲が乙に対して「あいつらを襲おう」と言ったところ,乙はこれを女を強姦する意味だと思って承知した。2人は男女のところに行き,短刀をつきつけ,甲は男を乙は女をそれぞれ附近の木蔭に連れこんで,甲は強盗のつもりだったので男から金品を強取し,乙は女を強姦して傷を負わせた。甲は乙が強姦するとは考えていなかった。甲の罪責は強盗罪のほか,次のうちどれにあたるか。

(1) 強 姦 罪

(2) 強姦教唆罪

(3) 強姦幇助罪

(4) 強姦致傷罪

(5) 強姦致傷教唆罪

[38−47] 次のうち,賍物罪にあたらないものはどれか。

(1) 貸金の担保として賍物を受け取り,これを保管する行為。

(2) 賍物の入質をたのまれ,質に入れてやった場合。

(3) 賍物を買う約束をしてそれを受け取ったが,まだ代金を支払っていない場合。

(4) 賍物を自分の物と交換する行為。

(5) 賍物の売買を無償で周旋してやった場合。

[38−49] 甲は恋人乙が戯れに「生きていても仕方がない。いっそあなたの手にかかって死にたい」といったのを,うかつにも真意だと思い,紅茶に毒薬を入れて乙に飲ませ,自分も飲んだ。為に乙は死亡したが甲は助かった。なお乙は心中するつもりはなかった。甲の刑事責任として正しいものはどれか。

(1) 殺人罪

(2) 傷害致死罪

(3) 嘱託殺人罪

(4) 過失致死罪

(5) 処罪されぬ

[38−53] 甲は所轄の公安委員会から交付を受けた自己の自動車運転免許証を友人に売り渡そうと考え,右運転免許証にはりつけてある自分の写真をはぎとった。甲の刑事責任について正しいのはどれか。

(1) 公文書偽造罪

(2) 公文書変造罪

(3) 公文書(公用文書)毀棄罪

(4) 私文書(私用文書)毀棄罪

(5) 犯罪不成立

[38−55] 甲は都内に店をもつ商人乙の集金係としてつとめていたが,ある日近所の得意先で集金したのち,その金を持って大阪へ逃げようと決心し,乙の店と反対方向にある東京駅に向って歩いて行き,集金した金で乗車券を買い,大阪行の列車に乗って横浜駅まで行ったところ,乙に見つけられ連れ戻された。

 次のうち,甲の行為がはじめて横領罪の既遂となる時期はどれか。

(1) 東京駅に向って歩きはじめた時。

(2) 乗車券を買った時。

(3) 列車に乗り込んだ時。

(4) 列車が発車した時。

(5) 横浜駅でみつかった時。

[38−61] 刑法第6条は「犯罪後ノ法律ニ因リ刑ノ変更アリタルトキハ其軽キモノヲ適用ス」と規定しているが,これに関して正しいものはどれか。

(1) この規定は裁判時法主義を定めたものである。

(2) この規定は行為時法主義を定めたものである。

(3) この規定は,刑の執行中に刑の変更があった場合に適用され,軽い刑に変更されるものである。

(4) この規定は,犯罪行為に着手した後,その終了までの間に刑の変更があるような継続犯の場合には常に裁判時法によることを定めたものである。

(5) この規定によれば,行為時・裁判時・中間時に,それぞれ数回刑の変更があった場令は,その最も軽い刑を適用すればよいことになる。

[38−66] 次の記述のうち,近代学派(実証学派・新派)の主張に属しないものはどれか。

(1) 刑の目的は,,犯罪者を改過遷善し,社会に適応させることにある。

(2) 刑は当該の犯罪者を矯正してその者の将来の犯罪を予防することを主眼とするものである。

(3) 刑は応報であるべきでないから,犯罪者の利益のためにできるだけ軽い刑を科すべきである。

(4) 刑は犯罪者の個性に応じて各人各様に科せられるべきものである。

(5) 刑の軽重は犯罪の大小によるべきではなく,犯罪者の礼会的危険性の大小によるべきものである。

[38−68] 法人の犯罪能力について,肯定説,否定説いずれの立場によるも,その根拠となり得ないものはどれか。

(1) 法人の行為能力は,一定の目的の範囲内に限られていること。

(2) 法人実在説

(3) 現行法の刑罰体系に死刑や自由刑があること。

(4) 法人には刑罰に対する感受能力がないこと。

(5) 特別法には法人を処罰する規定があること。

[38−71] 甲は自宅の電気メーターを通さずにコードを引いて電気ゴタツを使用中検針員乙に発見されたので,内密にしてくれるよう極力頼んだが,乙は聞きいれず証拠にコードと電気ゴタツを持ち去ろうとしたので証拠を湮滅するため検針員乙をしめ殺した。甲の刑事責任は次のいずれにあたるか。

(1) 殺人罪

(2) 強盗殺人罪

(3) 強盗殺人罪と証憑湮滅罪

(4) 殺人罪と証憑湮滅罪

(5) 窃盗罪と殺人罪


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