[40−03] 甲は,隣家乙方の物干台から風に吹かれて甲の庭にとんできたワイシャツを拾い,これを乙方に届けようとしていたところ,たまたま洗濯屋の店員丙が御用聞きにきたので,事情を話してこれを乙方に届けるよう依頼した。丙は,これを届ける途中悪心を起こし,自分のものだといつわってこれを友人の丁に与え,甲には乙方に届けたとウソをついた。丙の罪責はどうか。

(1) 占有離脱物横領罪

(2) 詐欺罪

(3) 業務上横領罪

(4) 背任罪

(5) 横領罪

[40−09] 継続犯について次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 継続の中途から加担しても共犯となる。

(2) 阿片煙所持罪は継続犯である。

(3) 不法監禁罪は被監禁者を解放したとき既遂になる。

(4) 倉庫から一夜のうちに数回にわたり,継続して商品を盗み出す行為は継続犯ではない。

(5) 横領罪は継続犯ではない。

[40−11] 次の記述のうち,誤っているのはどれか。

(1) 故意の成立に,結果発生を意欲することを必要とする説においては,故意とならない場合にも結果発生の可能性の認識をもって足るとする説においては故意となる場合がある。

(2) 行政法規の違反についても過失を罰するのはその旨の特別規定がなければならない。

(3) 結果発生の時に行為者が心神喪失の状態になっても故意または過失の責任を問う妨げにならない。

(4) 重過失とは過失により重大な結果を生じたことをいう。

(5) 業務過失傷害の成立に必要な,注意義務には必ずしも法令上の根拠があることを要しない。

[40−15] 甲は金1・000円を持って,それまで行ったことのないレストランに行き,ビールを次々と注文して飲み,その額は金5・000円に達した。甲の罪責につき,以下の記述のうち誤れるものはどれか。

(1) はじめから代金を踏み倒すつもりだったときは,全部につき詐欺罪が成立する。

(2) はじめから代金を踏み倒すつもりだったときは,ビール代金に1割のサービス料が加算される場合に,それをも含めて全部につき詐欺罪が成立する。

(3) はじめは持っている金の範囲内で飲むつもりだったが,途中で踏み倒す気になり,どんどんビールを追加して飲んだときには,全部について詐欺罪が成立する。

(4) 途中で金が足りないことが判り,店員のすきをみて裏口から逃走した場合は,詐欺罪とならない。

(5) 途中で金が足りないことが判ったが,たまたま自分が持っていた他人の名刺をみせ,「自分はこういう者だが,勘定はあとで払いにくる」と嘘をついて安心させ,立ち去った場合は詐欺罪が成立する。

[40−18] 博徒の親分甲は,子分乙に対し,「丙を殺してこい。いうことをきかないとおまえの生命はないと思え」といった。乙はしかたなく一人で丙宅に行き,丙を殺害した。乙の罪責につき,次のうち正しいものはどれか。

(1) 乙は,甲が丙を殺すための道具として使われただけにすぎないから,犯罪は成立しない。

(2) 乙は,自己の生命に対する現在の危難を避けるため,やむをえずやったのだから,犯罪は成立しない。

(3) 乙は,抗拒が不能な強制の下で丙を殺害したのであるから,犯罪は成立しない。

(4) 乙には,適法行為の期待可能性かないから,犯罪は成立しない。

(5) 乙については,殺人罪が成立する。

[40−24] 次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 他人の犬を自分の犬と思って殺した場合,具体的事実の錯誤である。

(2) 自分の犬と思って他人の犬を殺した場合,幻覚犯である。

(3) 他人の犬と自分の犬がけんかしているとき他人の犬を殺そうとして誤って自分の犬を殺した場合,客体の錯誤である。

(4) 首輪をはめていない犬はたとえ他人の犬であっても殺してもよいのだと思って殺した場合,法律の錯誤である。

(5) 飼主の同意があったと誤信して犬を殺した場合,抽象的事実の錯誤である。

[40−27] タクシー連転手甲は,深夜人かげのまばらな通りを,高速で運転中,あやまって通行人乙をひき,転倒させた。乙はその場ですぐに立ち上り,えらいけんまくでバカヤローと怒鳴った。甲は乙が喰ってかかる位なら大した傷ではないと思い,そのまま走り去った。然し乙の傷は意外に重く,その場で死亡した。甲の刑事責任は次のうちどれか。ただし道路交通法違反の点は問わないものとする。

(1) 業務上過失傷害罪,保護責任者遺棄罪

(2) 業務上過失傷害罪,保護責任者遺棄致死罪

(3) 業務上過失傷害罪,遺棄致死罪

(4) 業務上過失傷害罪

(5) 業務上過失致死罪

[40−30] 現行刑法典に関する次のうち,誤っているのはどれか。

(1) 現行刑法典の制定にあたっては,ドイツ刑法典の影響を強くうけた。

(2) 現行刑法典は第2次大戦後アメリカ刑法を大幅に取り入れて改正された。

(3) 現行刑法典が旧刑法典に比し条文数の少ないこと,法定刑の上限下限の幅が大きくなっていることは裁判官の自由裁量の範囲を拡大している趣旨である。

(4) 現行刑法典は刑法における客観主義と主観主義の思想をあわせて取り入れている。

(5) 現行刑法典は刑罰法規の基本的な法典で,その総則は原則として他の法令で刑を定めたものに適用される。

[40−32] いわゆる共謀共同正犯理論に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 共謀共同正犯理論によれば,甲から乙,乙から丙と順次に共謀しても共同正犯になる。

(2) 共謀共同正犯理論によれば,見張りは常に共同正犯となる。

(3) 共謀共同正犯理論によれば,共同正犯が成立するには,少なくとも共謀者の1人が実行に着手することか必要である。

(4) 共謀共同正犯理論は,共同意思主体説によって基礎づける努力がなされている。

(5) 共謀共同正犯を否定する立場からは,謀議に参加しただけのものは共同正犯とはならないとされる。

[40−35] 現行刑法典の規定する刑についての次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 無期懲役に処せられた者については,仮出獄は許されない。

(2) 罰金を完納することができない時は,刑の執行に代えて一定の期間拘留することができる。

(3) 法定刑として懲役と禁錮が選択刑になっている罪については,法益侵害の軽微な場合に禁錮刑を科す。

(4) 没収は,犯人に属さないものでも,必要があればできる。

(5) 執行猶予期間が取り消されずに満了すれば,刑の執行を終ったものとされる。

[40−37] 次のうち過剰防衛にあたるのはどれか。

(1) 甲は,めいていした乙が自宅と間違えて甲方の塀を乗り越えようとしているのを見て,窃盗犯人と思い違いをして,乙に組みつき投げとばした。

(2) 甲は,自己の得意先から集金を持ち逃げした乙と,偶然路上で出会い腹立ちまぎれにその顔面を殴打した。

(3) 甲は乙から殴られ,「明日また殴ってやる」と言われ,その日の夜,乙の家に行って,乙を殺害した。

(4) 甲は,乙にけんかをふきかけたところ,逆に乙に組み伏せられたので,ボケットからナイフを取り出し,乙の腹をつき刺した。

(5) 甲は,乙から棒でなぐりかかられたのでこれを殴り倒し,乙が動けなくなったのにも拘わらず,なお乙の頭を殴った。

[40−39] ある教団の布教師甲は,病人乙に対して自分の教団の信者にならなければ病状が悪化してまもなく死んでしまうとうそをいって,入信をしつこく勧誘した。乙は信者にならなかったが,何かたたりがあるといけないと思って,教団に献金するため甲に金員を交付した。甲の罪責は次のどれにあたるか。

(1) 迷信犯であるから犯罪は成立しない。

(2) 単に災いの発生を告知したにすぎないから,犯罪は成立しない。

(3) おどかしたのであるから脅迫罪が成立する。

(4) うそを言って金員の交付を受けたのであるから詐欺罪が成立する。

(5) 入信を強要したのであるから強要(強制)罪が成立する。

[40−43] 甲は,他人所有のあき家を焼くつもりで,障子に火をつけて立ち去ったところ,たまたま,その家にこじきが寝泊りしていて直ちに消し止めたため,障子を焼いただけで大事に至らなかった。甲は次のどの罪の刑によって処断されるか。

(1) 現住建造物放火既遂罪

(2) 非現住建造物放火既遂罪

(3) 現住建造物放火未遂罪

(4) 非現住建造物放火未遂罪

(5) 非現住建造物放火未遂罪と現住建造物放火既遂罪との観念的競合

[40−46] 安死術(安楽死)を適法と認める説に立って,その要件となり得ないものはどれか。

(1) なおる見込みがないこと

(2) 肉体的苦痛が激しいこと

(3) 死期が切迫していること

(4) 近親者の心痛が甚しいこと

(5) 方法が相当であること

[40−49] 甲は乙に対し,丙宅に押し入り,丙所有の宝石を強奪するようそそのかした。乙はその気になって丙宅に向かったが,誤って,丙宅の隣りの丁宅に入ってしまった。ところが,丁宅は留守で誰もいなかった。乙はめざす宝石を探し出そうとあたりを物色したが宝石はみつからなかったので,衣類数点を盗んできた。

次の記述中,共犯従属性説および法定的符合説によれば,甲の罪責として正しいものはどれか。(但し,住居侵入教唆の点は除外して考えることとする)

(1) 窃盗(既遂)教唆

(2) 窃盗教唆の未遂

(3) 強盗(既遂)教唆

(4) 強盗教唆の未遂

(5) 強盗教唆の未遂と窃盗(既遂)教唆との観念的競合

[40−51] 判例によれば衣類窃盗の実行の着手が認められるは,次のうちのどの段階であるか。

(1) 他人の家の門を乗り越えて邸内に入った時。

(2) 雨戸をこじあけて,屋内に入った時。

(3) 居間のふすまをあけて,中に入った時。

(4) たんすのひき出しに手をかけようとした時。

(5) たんすのひき出しをあけて,衣類に手を触れた時。

[40−55] 甲は自己所有の自動車に盗難保険をかけてあることを利用し,保険会社をだまして保険金を騙取することを企てた。保険金を受けとるためには警察署の盗難証明書が必要であるので甲は「自動車を何人かに盗まれた」旨の盗難届けを提出し,次いで,「自動車が盗難にあったことを証明願います」旨の盗難証明書下付願を出した。警察署長乙は盗難証明書下付願に「右のとおり証明する」旨記載し記名捺印し交付した。甲は盗難証明書を保険会社に提出する以前に発覚し逮捕された。甲の刑事責任として正しいものはどれか。

(1) 保険金を騙取しようとしたのであるから詐欺未遂罪

(2) 「何人かによって自動車が盗まれた」旨の盗難届をA署に提出したのであるから誣告罪

(3) 「何人かによって自動車が盗まれた」と盗難届をA署に提出したのであるから私文書偽造罪,何行使罪

(4) A署長ををして「盗難を証明する」と書かせたのであるから公文書有形偽造罪の間接正犯

(5) A署長をして「盗難を証明する」と書かせたのであるから公正証書原本不実記載罪

[40−57] 次のうち,正しいものはどれか。

(1) 幼稚園に通っている女の子にわいせつの行為をすれば,たとえ女の子がそれを承知したとしても強制わいせつ罪が成立する。

(2) 被害者の承諾を受けてこれを殺したときは殺人罪が成立する。

(3) 甲が乙に贈るつもりで用意していた物を乙がそれと知らずに窃取した。甲は乙が窃取した事実を知って,乙に対し「それを君にあげろよ」と言った。この行為は窃盗罪にならない。

(4) 甲は商店街の中にある乙の家に,乙の承諾を得て放火したところ商店街を全焼してしまった。甲の行為は放火罪にならない。

(5) 看護婦が提供者の同意を得て,輸血のため適量の血液を採取する行為は傷害罪にあたる。

[40−59] 甲は乙とけんかをして乙に軽傷を与えた。用心深い乙は,傷の手当を受けるため入院したが,たまたま病院が火災となり,乙は焼死してしまった。この場合,甲が傷害致死の刑責を負わないことを説明する論拠となり得ないものはどれか。

(1) 相当因果関係の主観説

(2) 相当因果関係の折衷説

(3) 因果関係中断論

(4) 結果的加重犯の成立には,重い結果の発生につき予見可能性を必要とする説

(5) 結果的加重犯の成立には,重い結果の発生につき過失を必要とする説

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