[44−01] 間接正犯に関する次の記述のうち誤りはどれか。

(1) 間接正犯の理論は,共犯従属性説の立場からは認められるが,共犯独立性説の立場からは認められない。

(2) 間接正犯の概念は,限縮的正犯概念とは結びつくが,拡張的正犯概念とは結びつかない。

(3) 極端従属性説においては,制限従属性説におけるよりも,間接正犯の成立する範囲が広くなる。

(4) 間接正犯における実行の着手の時期を,被利用者の行動を起こさせるための言動をはじめた時と解すれば,その言動の終わった時に,既遂となる。

(5) 自手犯の概念は,間接正犯の形態では犯すことのできない犯罪があることを認め,かかる犯罪を称するため考案されたものである。

[44−05] 騒擾罪に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 騒擾罪が成立するためには,一地方の平穏が現実に害されたことが必要である。

(2) 路上に駐車している無人の自動車を転覆させることも,騒擾罪の「暴行」にあたる。

(3) 率先助勢者とは,自ら暴行・脅迫をした者をいう。

(4) 附和随行者は,必ずしも多衆が暴行・脅迫をするものであることを知らなくてもよい。

(5) 多衆不解散罪が成立するのは,当初から暴行・脅迫をする目的で集合した場合に限られる。

[44−13] 次の記述のうち中止犯となるのはどれか。

(1) やくざの親分甲は乙から100万円喝取したが,被害者乙が証人として証言する際に偽証してもらおうと思い,乙に手紙を書いて子分丙に持っていかせようと考えた。しかし甲は既に手紙は書き終っていたが思いなおして子分丙に乙宅へ手紙を持って行かせるのをやめた。

(2) 或る夜,甲は乙女をつけて行き人通りの少ないところで,乙女を強姦しようと襲ったが,乙女が「甲さんやめて」と叫んだので乙女が甲であることを知っていると思い,「このことは誰にも話さないでくれ」と乙女に頼んでそのまま立ち去った。

(3) 銀行員甲は銀行の金を盗むつもりで,金庫の扉を開いたが,今夜盗むと,たまたま今夜宿直をしている友人乙に嫌疑がかかると思い明日盗むことにし,何も盗らずに金庫の扉をもとどおりにして帰った。

(4) 甲は乙の住居を焼失させる目的で,となりにある物置に火をつけたが,その火勢に驚いて消防署へ電話したが,自らは物陰に隠れて見ていた。消防自動車がきて物置の火を消しとめた。

(5) 甲は妻乙,乙の母丙と同居していた。乙女がしばらく家を留守にしている間に,重病の丙を置いて行方をくらまし面倒を見なかったのであるが,2,3日後たまたま甲の実母の命日であることを思い出し,丙をかわいそうに思い家に戻り,面倒を見た。

[44−14] 甲と乙とは強盗を共謀し,丙女方へ侵入し,甲が同女を縛り上げてその間に乙が財物を物色することとし,甲が丙女の両手を縛り上げてその際全治1週間の傷害を与えた。乙が別室で金品を探している間甲は丙女の姿態に劣情をもよおし,しいて姦淫した。乙は同家を物色したがめぼしいものがなかった。甲は丙女の知人丁所有の雨靴をはいて同家を去った。乙はそのことについては知らなかった。住居侵入の点は別として,甲乙の罪責は次のうちどれか。

(1) 甲乙とも強盗傷人罪と強盗強姦罪

(2) 甲は強盗傷人罪,強盗強姦罪。乙は強盗傷人罪

(3) 甲は強盗傷人罪,強姦罪。乙は強盗傷人罪

(4) 甲は強盗傷人罪,強盗強姦罪。乙は強盗罪

(5) 甲は強盗傷人罪,強姦罪,窃盗罪。乙は強盗未遂罪

[44−18] 執行猶予と仮出獄の差異についての記述であるが,誤りはどれか。

(1) 執行猶予は裁判所がこれを行なうが,仮出獄は行政官庁によって行なわれる。

(2) 無期懲役について執行猶予を行なうことはできないが,仮出獄は無期懲役についても行なうことができる。

(3) かつて禁錮以上の刑に処せられた者は絶対に執行猶予を受けられないが,仮出獄は行なうことができる。

(4) 刑の執行開始後,執行猶予を行なうことはできないが,仮出獄は刑の執行開始の後に行なわれる。

(5) 執行猶予は宣告刑と無関係にその期間が定められるが,仮出獄は宣告刑から執行ずみの期間を除いた残刑期について行なう。

[44−22] 飲食店主甲は,友人乙に,最近ノイローゼ気味で商売がおもわしくない旨の手紙を親展の封書で出した。乙はそれを読み,ポケットに入れたまま医者丙の診療をうけ,帰る時その手紙を診察室に落としてしまった。その手紙を読んだ丙は,親友丁が甲と取引していることを思い出し,その内容を丁に知らせた。その結果丁は甲との取引を停止した。丙の罪責は次のうちどれか。

(1) 信書開披罪

(2) 信用毀損罪

(3) 名誉毀損罪

(4) 秘密漏泄罪

(5) 業務妨害罪

[44−24] 次のうち,傷害罪の成立しない場合はどれか。

(1) 他人をなぐるつもりで後から追いかけ,すぐ背後まで迫ったところ,その他人が逃げようとしてつまづき,ころんでけがをした場合。

(2) 人を傷つけるつもりはなく,おどすつもりで出刃包丁を振り回したところ,誤ってその他人を傷つけた場合。

(3) 人を落し穴に誘導したところ転落して失神してしまった場合。

(4) 義務なきことを要求しようといやがらせの電話を繰り返してかけたところ,そのために相手は重い神経症にかかった場合。

(5) 有毒色素を含む食品であることを知りながら,外見がきれいで売れゆきがいいからとこれを製造販売したため,これを食べた者が腹を下した場合。

[44−26] 甲は通行人をおどして金を取ることを乙に相談したところ,乙は強盗をするものと思って賛成した。夕方,甲,乙は人通りの少ない裏通りで,通りかかった丙を呼びとめ,甲が「金を貸してくれないか」と話したが,乙は丙の腕をねじ上げ,ナイフを突きつけて「金を出せ」とどなった。甲は「手荒なことをしないで,おだやかに金を貸してもらおうではないか」と言ったが,乙は甲に向かって「丙のポケットから金を取れ」と言った。しかし甲は強盗はしたくない」と言って,そのまま立ち去ったので,その後,乙は1人で金を取った。甲の罪責如何。

(1) 脅 迫 罪

(2) 恐喝未遂罪

(3) 恐喝既遂罪

(4) 強盗未遂罪

(5) 強盗既遂罪

[44−29] 次の記述のうち誤りはどれか。

(1) 会社員甲は同僚乙が暴力団員丙に生命を狙われていることを知りながら,あえて乙にその旨を知らせなかった。乙は用心をしなかったために丙に殺された。この場合甲は殺人罪の従犯とならない。

(2) 夜警員甲は夜間会社内をパトロール中,友人の乙が会社の製品を盗んで搬出しているのを発見したが,乙が見逃してくれるようにとのそぶりをみせたので,そのまま見逃した。この場合甲は窃盗罪の従犯である。

(3) 甲は火災の現場で見物していたとき,消防夫乙から鎮火の援助を依頼された。甲は軽犯罪法1条8号により援助義務があるにもかかわらず援助をしなかったために,さらに数軒の家屋が類焼してしまった。甲は放火罪の従犯とはならない。

(4) 甲は列車のなかで偶然知り合いになった乙とパーティを組んで冬山に登った。下山の途中乙は激しい腹痛のため動くことができなくなった。甲はまだ十分余力があるにもかかわらず下山してしまった。乙はそのためおよび厳しい寒さのために肺炎にかかってしまった。甲は保護責任者遺棄致死罪となる。

(5) 登山案内人甲は登山者乙と冬山を案内する契約を結んだ。途中,大雪崩の危険があるので下山を乙に極力助言したが,乙は1人でもよいから登頂したいと言って甲の忠告を聴き入れなかった。甲は人の忠告を聴かない奴は死んでも構わないと思って一人で下山した。はたせるかな乙は大雪崩にあって死んでしまった。甲は殺人罪である。

[44−31] 次のうちで業務上過失傷害罪の成立しないものはどれか。

(1) 飯場の炊事係が,不注意で腐敗した材料で調理した夕食を供し,それを食べた作業員が食中毒をおこした場合。

(2) 幼椎園の保母が,園児をブランコに乗せて遊ばせているうち,不注意で園児をブランコから転落させ怪我を負わせた場合。

(3) 自動車の運転免許証をとりたての会社員が,休日に友人の自動車を借りて初めてドライブに出かけ,途中で操縦を誤って通行人に怪我をさせた場合。

(4) 建設会社のビョウ打ち作業員が,ビルの建設工事中あやまってビョウ打ち機を落とし,通行人にあたって怪我をさせた場合。

(5) 無免許で医業を行なう者が,治療方法を誤って,そのために患者の病状が悪化した場合。

[44−34] 次のうち,不動産侵奪罪となるものはどれか。

(1) 不動産の共有登記名義人の1人が,他の共有者に無断で,自己の単独所有名義に登記を移す行為。

(2) 家屋の賃借人が,賃貸借契約の終了後も立ち退かず,家主が明渡請求したところ,家主をおどして居すわる行為。

(3) キャンプに行った者が,人のいない他人所有の別荘に2,3日間宿泊した行為。

(4) トラックの運転手が,他人の空地に,積荷を2日間置いた行為。

(5) 他人の土地の管理をまかされている者が,その土地に自己名義のビルを建設するため土地に板囲いをする行為。

[44−41] 甲は自分の庭のかきの木に登ってその実を食べている少年乙を発見し,木の幹を軽くゆすって「降りてこい」とどなったところ,乙は甲につかまるのをおそれてへいの外へとび降りて足をくじいた。甲の罪責は次のうちどれか。

(1) 暴行罪

(2) 脅迫罪

(3) 傷害罪

(4) 過失傷害罪

(5) 犯罪不成立

[44−47] 次のうち誤っているのはどれか。

(1) 6歳になる子供を親の同意なしにその子供の承諾を得て家に連れてきて泊らせた。未成年者拐取罪が成立する。

(2) 輸血用の血液をえるため医師が相手方の承諾をえて身体を著しく衰弱させない程度に採血した。そして相手方がそれを賭博の資金にするということを知っていた場合傷害罪になる。

(3) 金庫から金を盗み現金をポケットに入れて家を出ようとしたとき家人に見つかり説諭され,後悔して金を返したところ,そのお金はお前が立ち直るためにやると言われたので,それをふところにしまいそのまま立ち去った場合窃盗罪が成立する。

(4) 民事訴訟法による強制執行をされ商品を差押えられて,その倉庫に封印をされた。債務者は債権者に対し債務の一部を弁済し債権者の同意を得て,自ら封印をはがして,商品を持ち出した場合,封印破棄罪が成立する。

(5) 精神薄弱ではあるが,心神喪失の程度には至らない15歳の少女をその承諾をえて姦淫した場合強姦罪は成立しない。

[44−50] 甲は,乙になりすまして,乙所有の家屋を500万円で丙に売る契約をし,たまたま乙から預っていた乙の印章を使って,その家屋の所有権移転登記の申請書を作成し(添付書類の点は別論とする)これを登記官吏に提出し,その情を知らない登記官吏をして不動産登記簿に家屋の所有権が乙から丙に移転した旨の記載をさせ,これを備え付けさせ,丙からその代金として500万円の小切手を受け取ったが,小切手は不渡となった。甲の行為は,次のどれにあたるか。

(1) 私印不正使用罪,私文書偽造罪,同行使罪,公正証書原本不実記載罪,同行使罪,詐欺罪

(2) 私文書偽造罪,同行使罪,公文書偽造罪(間接正犯),同行使罪(間接正犯),詐欺罪

(3) 私文書偽造罪,同行使罪,公正証書原本不実記載罪,同行使罪,詐欺罪

(4) 私文書偽造罪,同行使罪,公正証書原本不実記載罪,同行使罪

(5) 私印不正使用罪,私文書偽造罪,同行使罪,公文書偽造罪(間接正犯),同行使罪(間接正犯)

[44−52] 次に記述する甲の行為のうち,窃盗の既遂とならないものはどれか。

(1) 甲は,乙電機会社のテレビを窃取する目的で,乙会社の倉庫の窓から侵入し,倉庫の奥にあったカラーテレビ10台を選んでその場に1カ所にまとめ,近くに駐車しておいた運搬用のトラックをとりに行っている間に見まわりに来た警備員に発見された。

(2) 機関助手甲は,積荷の銅板を盗もうと思い,列車が鉄橋の上にさしかかった際,あとでとりに来る予定で,それを水中に投下した。

(3) 甲は,書店で,店員のすきをみて棚から英和辞書1冊を抜き出し,上衣の下に隠して店の出口近くまできたが,悪かったと思いなおしてその辞書をもとの所に戻した。

(4) 甲は,他人の留守宅に忍び込みその家にあった衣類をふるしきに包んでこわきにかかえ,玄関の外に出たところで帰宅した家人に出合い騒がれたので,その包みを放り出して逃げた。

(5) 甲は,銀行の前に鍵をかけて置いてあった他人の自転車を盗もうと思い,その鍵を外し,ハンドルを握り方向を変え,ペダルに片足を掛けたところ持主に発見され逮捕された。

[44−56] 現金をスリとる目的で他人のポケットの中に手を入れたところ,たまたま現金がなかったとしても不能犯ではなく窃盗罪の未遂であるとの判例があるが,このような見解においても次の事例のうちカッコ内の罪の未遂が成立しないと考えられるものはどれか。

(1) 甲は,巡査乙からけん銃をうばい取って,丙を殺す目的で丙をねらい引き金をひいたが,乙の職務違反でそのけん銃には弾丸がこめられていなかった。(殺人罪)

(2) 甲は,倉庫に保管中の多数の時計を窃取する目的で倉庫内に侵入したが,時計はすべて前夜中に搬出されてあった。(窃盗罪)

(3) 会社員甲は,上司乙宅に行き,乙の妻丙に対して「乙が交通事故で病院に運ばれ,治療代を持ってきてくれと頼まれた」と嘘を言い金品を詐取しようとしたが,丙は乙がすでに帰宅していたので甲を相手にしなかった。(詐欺罪)

(4) 甲は,乙を殺す目的で,深夜この部屋の窓から,乙のベッドをねらって発砲したが,その夜乙は外出していた。(殺人罪)

(5) 甲は,某地点で,特定の列車を転覆させる目的で,線路上に石を置いてきたが,その列車は運行中止となった。(列中転覆罪)

[44−57] 次の甲の行為につき,刑法第38条第2項の適用のないものはどれか。

(1) 甲は,公務員乙の私印を使用して文書を作成することは私文書偽造になると思い,公務員乙の私印を使用して乙の作るべき公文書を偽造した。

(2) 甲は,乙が冗談に「殺してくれ」と言ったのを真に受け,その意にそうつもりで乙を殺した。

(3) 甲が,乙に対し丙の家に入って金員を窃取するよう教唆したところ,乙は丙家に侵入して強盗をはたらいた。

(4) 甲は夜間,人のいない校舎に放火したが,その建物に宿直室のあることを知らなかった。

(5) 甲は,公園のベンチにカメラがあるのを見つけ,誰かが置き忘れたものとおもい,不法領得の意思で持ち去った。しかし,そのカメラは所有者乙が近くのカメラ店へフィルムを買いに行く間ちょっとベンチに置いておいたものだった。

<参考条文>刑法第38条2項 罪本重カル可クシテ犯ストキ知ラサル者ハ其重キニ従テ処断スルコトヲ得ス

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