[45−03] 共犯従属性説と共犯独立性説に関する記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 共犯従属性説では,責任無能力者を利用して犯罪を犯した場合,間接正犯となる場合があるが,独立性説では,単なる正犯もしくは教唆犯が成立する。

(2) 幇助行為は独立性説によれば,実行行為性を有するが,従属性説では,実行行為とは別のものである。

(3) 自殺関与罪(刑法202条・203条)は従属性説によれば,独立の犯罪定型を規定したものとなるが独立性説によれば,自説の根拠を明文化したものである。

(4) 刑法65条1項により,非身分者が身分者を教唆もしくは幇助した場合,非身分者の共犯が成立するのは,共犯従属性説では,当然のことを注意的に規定したにすぎないが,共犯独立性説では,この規定により初めて処罰される。

(5) 共犯従属性説では過失の共同正犯は認められないが,共犯独立性説では認められる。

[45−05] 不渡手形を出して倒産した甲は,債権者に5パーセントしか弁済できないことがわかったので,友人乙に相談して,債権者集会で一芝居うつことにした。そこで甲は乙に対して何ら債務がないのに,額面500万円の約束手形を作成して手渡した。これを持って債権者集会に臨んだ乙は,この手形を呈示して支払を請求し,甲が5パーセント以上の弁済は出来ない事情を説明するのを聞いて,かねての打合せ通りに,さも同情した如く装い,会場の出席債権者に向かって,「私は50O万円の債権をもっているが,これを全て放棄するから,皆さんも5パーセントの弁済で我慢して下さい」といったところ,他の債権者もやむをえないと考えて残りの債権を放棄した。甲・乙の罪責として正しいものはどれか。

(1) 甲は有価証券虚偽記入罪と詐欺罪,乙は虚偽記入有価証券行使罪と詐欺罪。

(2) 甲乙ともに,有価証券虚偽記入罪,虚偽記入有価証券行使罪,詐欺罪。

(3) 甲乙ともに,有価証券虚偽記入罪と虚偽記入有価証券行使罪。

(4) 甲乙ともに,詐欺罪。

(5) 甲乙ともに,犯罪不成立。

[45−14] 深夜甲宅に強盗乙が押し入り,短刀を抜いて脅かし甲に突きかかって来たので,甲は咄嗟に傍にあった木刀で乙の頭を殴打し傷を負わせ,乙がひるんだところを取り押えた。甲は乙を警察に引き渡すため,警察へ電話で連絡したが,深夜のため,いっこうに連絡がつかなかったので,仕方なく翌朝,警察に引き渡すつもりで乙の手足を縛り,物置に閉じ込めておいた。夜中に乙が急に苦しみ,うなり出し,しきりに苦痛を訴えたが,甲は乙が大したこともないのに嘘をつきおおげさにいっているのだろうと思い,誤って何等とりあわず,そのまま放って置いた。ところがその傷は意外にも重く,翌朝甲が物置に行って見ると乙は既に死んでしまっていた。甲の罪責如何。

(1) 傷害致死罪(第205条)

(2) 監禁致死罪(第221条)

(3) 遺棄致死罪(第219条)

(4) 過失致死罪(第210条)

(5) 犯罪不成立

[45−16] 次のうち,併合罪となるものはどれか。

(1) 猥褻図画30枚を入手し,即日甲に10枚,5日後乙に5枚,その翌日丙に7枚頒布した場合

(2) 甲を暴行する意思で,甲宅の窓から忍び込んだところ,家人にみつかり,強く退去を要求されたが,そのまま居すわった時

(3) 甲商店に対する支払のために小切手を偽造したが,乙商店の商品が欲しくなり,その商品代金支払のために偽造小切手を使用した場合

(4) 一棟のアパートの各室から,次々に現金を盗み出した場合

(5) 友人から,同人が盗んできた時計を売ってくれと頼まれ,盗品と知りながらこれを受け取り,2ヶ月ほど預ったのち買手をさがし出して来て売却を斡旋した場合

[45−19] 次のうち,緊急避難の成立しないものはどれか。

(1) 飼主が鎖につなぎ忘れた猛犬が襲ってきたので,これを追い払うためやむを得ず石を投げたが,その石が犬を追ってきた飼い主にあたり負傷させた場合。

(2) ホテルで火災がおきて,多くの客が非常口に殺到し,しかも非常口が狭かったので,自分がのがれるため老人客をつきとばし負傷させた場合。

(3) 少年が狂人におそわれているのを見た通行人が,少年を救うため友人所有のカメラを振り回し狂人をなぐり倒し,カメラを壊した場合。

(4) 乗客を乗せてタクシ-を運転していた運転手が,急にセンターラインを越えて高速度で進行してくる対向車との衝突を避けるため,ハンドルを切って自動車を道路わきの電柱に衝突させ会社所有の自動車を大破させるとともに客に重傷を負わせた場合。

(5) 消防署員が消火作業中,煙にまかれて窒息しそうになったので,隣家の垣根を壊しその場をのがれた場合。

[45−21] 次のうち正しいものはどれか。

(1) 甲は,エロ本を刑法175条にいう「猥褻の文書」にあたらないと思って販売した。事実の錯誤である。

(2) 甲は,他人の飼いねこをのらねこだと思って殺した。法律の錯誤である。

(3) 放火犯として拘禁されている甲は,自分は無実だから許されると思って,看守のすきをみて逃走した。事実の錯誤である。

(4) 医師甲は,はげしいゼンソクにかかっている患者乙から保険会社に出す身体検査書の作成を頼まれたので,保険会社に出すのならウソを書いてもかまわないと思って,「健康状態良好」との身体検査書を作成した。ところが,乙はこれを採用願に添付して市役所に提出した。法律の錯誤である。

(5) 甲は,父親乙が丙から借りている本を乙のものだと思って盗んだ。法律の錯誤である。

[45−26] 次の問題のうち,甲について( )内の従犯が成立しないのはどれか。

(1) 旅館主甲は博徒の親分乙に「自分の旅館で賭博場を開かないか,部屋を提供する」と誘ったところ,前から適当な場所を捜していた乙は,甲の申込を承諾した。その後甲の旅館の一室で乙は賭博場を開帳した。(賭博場開帳罪)

(2) 会社の運転手甲は社長乙から,公務員丙宅へ現金10万円を届けるよう依頼された。甲はそれが賄賂だと知っていたが届けた。(贈賄罪)

(3) 甲は友人乙から「例の倉庫にある衣料品を盗み出して売りたい。買手をみつけてくれ」と依頼された。そこで甲は友人丙と交渉して買方を承諾させその旨を甲に告げたところ,甲は窃盗をしてきた。(窃盗罪)

(4) 甲は乙から丙を撃って殺害することを聞き,乙の逃走を容易にしてやろうと,自動車でその家の近くまで行き,犯行を遂げてきた乙を自動車に乗せ逃走を容易ならしめた。(殺人罪)

(5) 甲は乙から「丙をだまして金もうけをするから偽物の浮世絵を売ってくれ」と頼まれたので偽物を1万円で売った。乙はこれを丙に本物だといって10万円で売った。(詐欺罪)

[45−28] 次のうち,正しいものはどれか。

(1) 他人の書いた他人所有の履歴書を破り棄てた場合は,私文書毀棄罪である。

(2) 市役所に保管されている自分が提出した自己名義の届け書を綴りの中から選び出して破った場合は,公文書毀棄罪である。

(3) 執行官が差押に来たので,差し押えられるくらいなら自分で壊した方がましだと思い,自己所有の高価な物を壊した場合は,器物損壊罪である。

(4) 他人所有の家の屋根に登り,屋根瓦10枚を投げすて壊した場合は,器物損壊罪である。

(5) 他人が記念のために保管していた,著名作家からその妻にあてた信書を隠した場合は,信書隠匿罪である。

[45−30] 予備罪に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 殺人の目的でピストルを入手したが,これにこめる弾丸をまだ入手していないときは,殺人罪の予備にはならない。

(2) 放火の目的で放火個所を捜すために,他人の家の周囲をうろついていただけでは,放火罪の予備にはならない。

(3) 内乱の目的で同志を募っただけでは,内乱罪の予備にはならない。

(4) 強盗の目的で凶器を携えて道ばたで待ち伏せしていたが,通行人が来なかったときは,強盗罪の予備にはならない。

(5) 殺人の目的で友人から短刀を借り,自宅に隠して殺害の機会をねらっていただけでは,殺人罪の予備にはならない。

[45−31] 次のうち,詐欺罪の成立しないものはどれか。

(1) 債権者が泥酔しているのに乗じて,債務を免れる目的で,前日支払った家賃の受取証だと偽って,債務を免除する旨の書面に押印させた場合。

(2) 目的地についたら運転手に暴行・脅迫を加え,料金の支払を免れるつもりでタクシーに乗ったが,目的地付近で運転手が所用のため車をはなれたので,そのすきに逃走した場合。

(3) 期限切れの定期券と気付かずに電車に乗り,降りる際に初めて期限切れであると気付いたが,何くわぬ顔で期限切れの定期券を駅員に示して改札口を出た場合。

(4) ダイヤモンドの鑑定を頼まれた者が,無キズのものとわかったのに,たまたま友人が買手であったため,キズ物と偽り,特に安く売らせた場合。

(5) 1000円札で500円の買物をしたのに,店員が誤って4,500円のつり銭を出したのでこれさいわいと受け取った場合。

[45−33] 判例の共謀共同正犯理論を前提として,次のうち正しいものはどれか。

(1) 甲が乙に頼んで窃盗の見張りをしてもらった場合,乙は常に窃盗の正犯である。

(2) 甲・乙はAを毒殺することを共謀して,甲が毒薬を入手,乙がそを使って殺人を実行することにした。ところが,甲は毒薬を入手した後,気がかわって実行の中止を乙に申し入れた。それにも拘らず,乙は最初の計画通り,甲の入手した毒薬を使ってAを殺した。甲は殺人の正犯である。

(3) 甲と乙が犯罪を共謀し,乙が実行することにした。ところが乙はさらに丙と共謀し,結局,丙が実行した。甲は正犯とはならない。

(4) 他人の自動車免許証を拾った甲は,乙と免許証の偽造を共謀した。ところが甲は別のことで逮捕され拘禁されてしまった。その間に乙は免許証を偽造した。甲は拘禁されている間,乙と連絡できなかったのだから正犯とならない。

(5) 甲・乙は窃盗を共謀して他人の家に侵入,甲は応接間で宝石類を物色していた。その間,乙は居間に行き目をさました家人をしばりあげて金を強奪した。甲は強盗の共同正犯である。

[45−36] 甲は空巣に入って金品を物色中,買物からその家の若妻乙が帰ってきて,甲を見て驚き外へ来ぴ出そうとした。甲は騒がれてはまずいと思い,逃げようとした乙を取り押え短刀で脅かしているうちに劣情をもよおし,その場で同女を強姦した。ちょうど,その時,酒屋の御用聞き丙がやってきたりで,警察に知らされてはまずいと思い丙を縛り上げた。そして,たまたま目にとまった丙の集金袋中から1万円を奪って逃走した。なお,丙は,甲に縛られる際に腕に約1週間の傷を負った。甲の罪責は住居侵入の点を除き,次のいずれか。

(1) 窃盗未遂罪・強姦罪・強盗傷人罪

(2) 強盗未遂罪・強姦罪・逮捕致傷罪・窃盗罪

(3) 強盗未遂罪・強姦罪・強盗傷人罪

(4) 強盗強姦罪・逮捕致傷罪・窃盗罪

(5) 強盗強姦罪・強盗傷人罪

[45−38] 甲が乙を殴打したところ,乙は重い心臓病を患っていたため,殴打された際の衝突で死亡した。甲の行為と乙の死亡との因果関係の記述について誤りはどれか。

(1) 甲は友人である乙の心臓の悪いことを知っていた場合には,主観的相当因果関係説からは因果関係は肯定される。

(2) 甲は乙の心臓が悪いことに気付かず,他人もそれを知ることができなかった場合には,主観的相当因果関係説からは因果関係は否定される。

(3) 甲は乙から心臓が悪いことを聞いて知っていたが,元気そうに見えるため他人が気が付かない場合,折衷的相当因果関係説からは因果関係は肯定される。

(4) 甲は乙の心臓病について気が付かなかったが,一般人が見てそれを知ることができる場合には,折衷的相当因果関係説からは因果関係は肯定される。

(5) 甲は乙が心臓病であることを知らす,一般人にも知ることができない場合でも主治医が知っていれば客観的相当因果関係説からは因果関係は肯定される。

[45−43] わが国の刑法がいかなる場所において生じた犯罪に適用されるかについて属地主義,属人主義,保護主義があるが,次の犯罪の記述のうちで正しくないものはどれか。

(1) 日本国民が外国で外国人の住宅に放火した場合にわが刑法が適用されるのは属人主義による。

(2) 外国で日本航空機内で外国人が犯罪行為をした場合にわが刑法が適用されるのは属地主義による。

(3) 日本国民が外国駐在の日本国大使の名誉を毀損した場合にわが刑法が適用されるのは保護主義による。

(4) 外国人が日本国内から外国人を略取し外国に移送した場合にわが刑法の適用されるのは属地主義による。

(5) 外国人が外国で外患援助の行為をした場合にわが刑法が適用されるのは保護主義による。

[45−46] 甲と乙は甲所有の家屋に一緒に住んでいたが,そのうち仲が悪くなり,乙は甲の留守中にその家に放火した。外出から帰ってきた甲は乙が自分の荷物を持って逃げていくのを見て乙が放火したのだと思った。甲は火を消そうと思えば容易に消すことができたのに家に保険がかけてあることを思い出し,保険金をとろうと思ってそのまま放置したので,家は全焼してしまった。甲の罪責如何。

(1) 現住建造物放火罪で処罰される。

(2) 自己所有の非現住建造物放火罪で処罰される。

(3) 他人所有の非現住建造物放火罪で処罰される。

(4) 現住建造物放火罪と自己所有の非現住建造物放火罪の観念的競合。

(5) 現住建造物放火罪と他人所有の非現住建造物放火罪の観念的競合。

[45−47] 次に掲げる甲の行為のうち,賄賂罪として処罰されないのはどれか。

(1) 課税事務を担当している税務署員は納税者乙から「税金を安くしてくれたら10万円差し上げる」と依願され承諾したが,上司の監督がきびしく手ごころを加えることができなかったため,その金をもらえなかった場合。

(2) 市長選挙候補者甲は土建業者乙から「市長に当選したら市の工事を請負わせてくれ」と頼まれ100万円を受け取ったが,落選した場合。

(3) 警察官甲は被疑者乙から「捜査をやめてくれ」と頼まれ,その事件をもみ消してやり,退職後20万円を請求したが断わられた場合。

(4) 営業許可事務を担当している公務員甲は業者乙から「営業を許可してくれ」と頼まれ,50万円を提供されたが,自分は受け取らず乙をして外郭団体に寄付させた場合。

(5) 受験生の父親甲は公立学校の入試事務を担当している職員乙に「入試に便宜をはかってくれ」と頼み10万円を提供したが,乙に拒絶された場合。

[45−50] 刑の執行猶予について次の記述のうち,誤りはどれか。

(1) 罰金の前科が何回あっても刑の執行猶予を付することができる。

(2) 拘留を言い渡す場合はその執行を猶予することができない。

(3) 懲役刑と罰金刑とを併科する場合,懲役刑だけについてその執行を猶予することができる。

(4) 罰金刑について執行猶予する場合,その猶予期間中保護観察に付することができる。

(5) 刑の執行猶予の言渡を取り消されることなくして,猶予の期間を経過したときは,刑の執行を受け終わったものとみなされる。

[45−51] 罪刑法定主義に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 'Nulla Poena sine lege. Nullum crimen sine lege

 「法律がなければ刑罰はない。法律がなければ犯罪はない」は,ローマ法の原則である。

(2) 無罪確定後新たな証拠が発見されても,同一の罪について罰せられないのは罪刑法定主義の要請するところである。

(3) 抑留された後無罪の裁判を受けた場合,国家に補償を求めることができるのは,罪刑法定主義から認められたものである。

(4) 行為時の法律より裁判時の法律の方が刑が軽い場合,軽い刑が適用されるのは,罪刑法定主義の当然の帰結である。

(5) 少年のとき犯罪を犯した者が,裁判中に成人に達すれば通常の刑を科しうるものとする法律を制定するのは,罪刑法定主義に反しない。

[45−54] 次の記述のうち,誤っているのはどれか。

(1) 刑務所の監房から逃げ出した囚人が,まだその外壁を越えず,刑務所内に潜伏している段階では,逃走罪は未遂である。

(2) 誣告の文書を,警察署の玄関の前に備えつけられた投書箱に入れただけでは,誣告罪の既遂とはならない。

(3) 友人から預っていたカメラを,勝手に入質しようとしたが,質屋の主人にあやしまれ,質入れできなかった場合でも,横領罪の既遂になる。

(4) 行使の目的で,通貨の偽造を開始したが,一般人をして真正な通貨と誤認させる程度に達しないものしか作り出せなかったときは,通貨偽造罪の未遂である。

(5) マ-ジャン賭博において,参加者が賭金を出し合い,マージャンパイを配って勝負を始めれば,まだ勝負がきまっていなくても賭博罪の既遂である。

[45−57] 次の記述のうち,いわゆる新派(実証学派)の刑法理論について,誤りと思われるものはどれか。

(1) 犯罪者の性格をもとに,行刑上個別的に処遇する必要があるから,懲役刑または禁錮刑の区別を廃止して,一律に拘禁刑にすることが必要である。

(2) 量刑につき,裁判所の裁量権を強化するために,不定期刑を採用することか望ましい。

(3) 刑罰と保安処分の差異は本質的なものではないから,併科されたときは,一方を他方に代替することも可能である。

(4) 少年または常習犯人に対してのみでなく一般犯罪人に対しても不定期刑を採用すべきである。

(5) 心神耗弱者の量刑を必ず減軽することは不当である。

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