[46−03] 累犯加重に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 累犯加重は有期の懲役または禁錮に処すべき場合に行なわれる。

(2) 裁判確定後になって初めて累犯者であることが判明した場合,もはや累犯加重をする道はない。

(3) 累犯加重をする場合は,前刑の終わった日から5年内であることを要するだけでなく,その期間内に刑の言い渡しをする場合であることが必要である。

(4) 累犯加重をする場合は,前犯の刑より軽い刑を言い渡すことはできない。

(5) 累犯の要件が備わっていても,累犯加重をするかどうかは裁判官の裁量にゆだねられている。

[46−07] 甲はかねて悔みを抱いていた丙が犬をつれて散歩しているのる見て,丙を傷つけるつもりで丙に向かって石を投げた。同じく丙に恨みを抱いていた乙も,甲が石を投げた同じときに,丙を傷つけるつもりで,丙に向かって石を投げた。石の1個は丙に当たって丙は傷つき他の1個は犬に当たって犬が死んだ。甲乙は互いに相手が丙に投石したことを知らなかった。また2人とも石が犬に当たってもかまわないと思っていた。甲乙の罪責は次のうちどれか。

(1) 甲乙ともに暴行罪

(2) 甲乙ともに暴行罪と器物損壊罪

(3) 甲乙ともに傷害罪

(4) 甲乙ともに傷害罪と器物損壊罪

(5) 甲乙ともに器物損壊罪

[46−10] 名誉に関する罪についての次の記述のうち,誤っているのはどれか。

(1) 甲は人格高潔との評判の高い市会議員の名誉を害する意図で,その女性関係について事実を摘示して虚偽のスキャンダルをいいふらしたが,聞いた者は誰もそれを信じなかった。甲には名誉毀損罪が成立する。

(2) 公衆浴場で数人の浴客に対し,「先日の火事の放火の犯人は甲だ。俺は逃げていく甲をこの目で確かに見た」としゃべっても,入浴客が別の話に夢中になっていて,誰も聞いていなかった場合には,名誉毀損罪は成立しない。

(3) ある小説にかかれた虚構の事実を真実と軽信し,主人公についていいふらした場合,それが死者の名誉を害する結果となったとしても名誉毀損罪は成立しない。

(4) 侮辱罪の保護法益を外部的名誉と考える立場では,幼児・精神病者・法人を侮辱した場合侮辱罪が成立するが,保護法益を名誉感情とする立場では,侮辱罪は成立しない。

(5) ある評論家が,講演会で「◯◯県人はみなケナだ」としゃべっても名誉毀損罪はもちろん侮辱罪も成立しない。

[46−11] 次のうち,犯罪者の危険性を重視する考え方と適合しないものはどれか。

(1) 「未遂罪ヲ罰スル場合ハ各本条ニ於テ之ヲ定ム」との規定

(2) 併合罪加重

(3) 刑の執行猶予

(4) 刑の消滅

(5) 酌量減軽

[46−13] 過失について誤りはどれか。

(1) 医者は,患者がレッテルのはがれたアンプルをビタミン液だといって持参した場合でも,注射する前にその中味を検査しなければ,過失がないとはいえない。

(2) 自動車の運転手は,白昼,一見通常の成人と認められる人が舗道の端に立っており,かつ,その人が自分の車に気づいていると思われる場合,その人が突然道路の真中に飛び出してくることを予測せずに,徐行しなかったとしても,過失があるとはいえない。

(3) 食品製造業者が食品添加物として法令上使用を許されている薬品に薬事法の定めた品質・内容の保障があったので,その内容を検査しないで使用した場合,過失があるとはいえない。

(4) 子供か遊ぶ場所として,時々立ち入ることのある自宅付近の空地に,大型冷蔵庫(内からは開かない構造のもの)を放置した者は,たとえ,その広場に立入り禁止の立札を立て,まわりにさくがはりめぐらされていても,子供がさくをのりこえ,遊びに立ち入り,冷蔵庫に入り窒息死した場合には,過失がないとはいえない。

(5) 自動車の運転手は,助手が車から降りて誘導する場合において,助手の合図に従い,かつバックミラーに注意してパックさせたときには,過失はない。

[46−16] 甲は,窃盗犯人乙からダイヤモンドの指輪を盗品と知りつつ買い取った。その指輪は,別居中の甲の息子丙が乙と共同して丁方か窃取したものであったが,甲は丙が乙の共犯者であることを知らなかった。なお,甲と乙・丁との間には何らの身分関係もない。甲に対する裁判として次のうち,正しいものはどれか。

(1) 無罪を言い渡す。

(2) 刑の免除を言い渡す。

(3) 公訴棄却を言い渡す。

(4) 懲役刑または罰金刑を言い渡す。

(5) 懲役刑および罰金刑を言い渡す。

[46−17] 甲は,駅の改札口付近のベンチにおかれていたカバンを,いま出発した列車の乗客がおき忘れたものと思って自分のものにしようと持ち去ったが,実際はそれは,そのすぐ近くで見送り客と立話をしていた乙のものであった。甲の罪責につき,次のうち正しいものはどれか。

(1) カバンは乙の占有を離れているから遺失物横領罪で処断される。

(2) カバンは乙の占有を離れているが,駅の管理者の占有になるので窃盗罪で処断される。

(3) カバンは乙の占有を離れていないので,甲が何と思っていても窃盗罪で処断される。

(4) カバンは乙の占有を離れていないが,甲は遺失物だと思っていたのであるから遺失物横領罪で処断される。

(5) 乙の占有がないと甲が誤信したのは,法律の錯誤であるが,それについて過失があるので窃盗罪で処断される。

[46−18] 次の教唆犯に関する記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 甲は,酒に酔って心神耗弱の状態にある乙を教唆して商店のウィンドーをこわさせた。この場合,甲は,いかなる共犯従属形式によっても器物損壊罪の教唆犯である。

(2) 甲は,乙のポケットに何も入っていないことを知りながら,丙に乙の財布をすることを教唆した。これに基づいて丙は乙のポケットに手を入れたが何も取ることはできなかった。この場合,甲が不可罰であるという結論は,共犯独立性説の立場のみから肯定されることではない。

(3) 甲は,乙が丙を教唆して丁を殺させようとしていることを知り,乙に対して丁殺害の必要性を強調した。これにより乙は,いよいよその意思を強め,丙に丁の殺害を教唆した。これに基づいて,丙は丁を殺害した。この場合,甲は,共犯独立性説では可罰的ではあるが,共犯従属性説では不可罰的である。

(4) 甲は乙に強盗を教唆し,乙がこれを承諾したので,犯行を容易にするためピストルを貸与し,乙はこれを使って強盗をした。この場合,甲は強盗罪の教唆犯として処断される。

(5) 甲は乙に丙を侮辱することを教唆し,乙は丙を侮辱した。この場合,甲が侮辱罪の教唆犯として処罰されないことは,共犯独立性説においても,教唆犯が成立するためには特別の規定が必要であると解釈するからである。

[46−21] 会社員甲は,かねてから秘かに思いを寄せていた同社のタイピスト乙女が同僚の丙と親しく交際しているのを知り,その交際をやめさせようとして,乙女に対し架空の女性名で「あなたがつきあっている丙は,結婚詐欺を目的としているので,ひどい目に会わないうちにつきあいをやめた方がよろしいと思います。」との内容の手紙を郵送した。そのため乙女は丙とのつきあいをやめた。甲の刑事責任につき,次のうち妥当なものはどれか。

(1) 偽計業務妨害罪

(2) 脅迫罪

(3) 強要罪(強制罪)

(4) 私文書偽造罪,同行使罪

(5) 犯罪不成立

[46−32] 次の記述のうち器物毀棄罪が成立しないものはどれか。

(1) 他人の家の玄関の戸に,取り付けられた錠のねじくぎをはずした。

(2) 駅のホームに置いてあった小荷物の荷札を,駅員のすきをねらって全部取りはずし,宛名を不明にした。

(3) 他人の花壇に植えてあったバラの苗木十数本を抜き取ってその場にすてた。

(4) 中学校の校庭のテニスコートに大きな穴を掘ってテニスの競技に支障を与えた。

(5) 労働組合員が会社の事務室の壁一面に新聞紙大のビラをのりで数十枚ペタペタとはった。

[46−33] 次の記述のうち誤りはどれか。ただし法律の錯誤については改正刑法準備草案第20条による。

(1) 映画監督が自分の製作した猥褻映画を,芸術性があるので猥褻ではないと軽率にも信じて上映した場合は,猥褻物公然陳列罪が成立する。

(2) 裁判所から犯罪者の前科について照会を受けた町役場の吏員が,懲役に処せられ7年を経過している者を,刑法第34条の2による刑の消滅は5年であると誤信して,刑に処せるれたことのない旨証明する文書を作成した場合は虚偽公文書作成罪は成立しない。

(3) 一見,23,4歳に見えるが実際は18歳であり注意すればそのこともわかるような場合,これを成年者と錯覚し誘拐したときは未成年者誘拐罪は成立しない。

(4) ある県条例で「鑑札のない犬は飼主がないものとみなす」という規定を誤解して,鑑札をつけていない犬は殺してもよいと思い隣家の鑑札のない犬を殺した場合,器物毀棄罪にならない。

(5) 盗犯等防止及び処分に関する法律を誤信し,塀をのりこえて自宅の物置に入りこんでいる浮浪者をなぐりたおして怪我をさせれば傷害罪が成立する。

〔改正刑法準備草案第20条〕

@ 法律を知らなかったとしても,そのことによって故意がなかったとはいえない。但し,情状によってその刑を軽減することができる。

A 自己の行為が法律上許されないものであることを知らないで犯したものは,そのことについて相当の理由があるときは,これを罰しない。

[46−38] 次のうち,甲の行為が併合罪にあたるものはどれか。

(l) 甲は乙宅に侵入し,居間で現金を盗んだうえ,さらに隣の書斎で乙が甲から借りていた洋書1冊を盗んだ。

(2) 甲は,虚偽の登記申請を行ない,登記官をして,その旨登記簿に不実の記載をなさしめ,かつこれを一般人に閲覧せしめるよう備えさせた。

(3) 甲は,乙のボケットから財布をすりとったところ,これに気付いた乙に逮捕されそうになったので乙をつき倒し,全治20日間の傷を負わせ逃げたが,その際盗取した財布を現場に落としてしまった。

(4) 甲女は,夫乙を毒殺するためウイスキーに青酸カリを入れ,すすめたが,乙が飲まなかったので,翌日さらにすすめるつもりで茶ダンスの奥に隠しておいたところ,翌日甲女の不在中に訪ねてきた弟丙が,勝手に茶ダンスを開けてそのウイスキーをみつけ,これを飲んで死亡した。

(5) 甲は,乙と路上で口論のすえ組打ちとなり,もみあっているうちに,乙の時計がはずれ落ちたのをみて,にわかにこれを奪おうと決意し,乙を殴打したうえ,落ちている腕時計を拾って逃げた。

[46−41] 甲は乙方に押し入って金品を強奪しようと決意し,短刀を携えて乙方に侵入したところ,家人が不在だったので,居間にある金庫の扉に手をかけたが開けることができなかった。そこで室内を物色し,壁にかけてあった乙のオーバーを着込んだところへ,乙の長男丙(小学校2年生)が帰宅した。甲は丙を縛り上げ,金庫の鍵のある場所を聞き出そうとしたが丙が知らなかったので,甲は金庫を開けることをあきらめてそのまま逃走した。短刀の所持および住居侵入の点は別にして,甲の罪責は次のうちのどれにあたるか。

(1) 強盗罪

(2) 強盗未遂罪

(3) 窃盗罪と逮捕罪

(4) 窃盗罪と強盗未遂罪

(5) 事後強盗罪

[46−43] 次のうち,甲の行為が正当防衛にならないのはどれか。

(1) 甲は乙と口論中ふところに手を入れたところ,乙はそれをみてピストルを取り出すものと思い込み,傍らにあった棒きれで甲に殴りかかったので,甲はこれを避けるため乙を突き飛ばし,全治3日間の傷を負わせた。

(2) 甲は,飼主乙が猛犬をけしかけたので,所持していたステッキで犬を撲殺した。

(3) 甲は,乙が丙に日本刀で切りつけられているのを見て,所持していた空気銃で丙の足を狙い撃ち,全治15日間の傷を負わせた。

(4) 夜道は暗くて危険だからというので,護身用の木刀を携帯していた甲は,帰宅途中強盗乙に襲われたので,木刀で殴りつけ全治3日間の傷を負わせた。

(5) 甲は,乙が丙にいいがかりをつけ殴りかかったところ,丙は自分の身を護るため逆に乙を組み伏せたのを見て,かねてじっこんの乙を助けるため,丙を突き飛ばし,全治5日間の傷を負わせた。

[46−44] 次の記述のうち,正しいのはどれか。

(1) 5年の懲役刑と10年の禁錮とでは,前者の方が軽い。

(2) 刑の時効期間の満了と仮出獄の残刑期間の満了とは,同一の法的効果を生ずる。

(3) 刑の執行猶予期間の満了と刑の免除の言い渡しが確定したときとは,同一の法的効果を生ずる。

(4) 罰金を完納することができないときは,一定期間拘留されることがある。

(5) 累犯加重の制度は,もっぱら常習犯人の刑を加重するためにある。

[46−46] 次のうち正しいものはどれか。

(1) 甲は乙から,乙が盗んだものとは知らずにカラーテレビを買った。その後それが盗品であることを知ったがそのまま自宅で使用していた。甲は賍物寄蔵罪にならない。

(2) 甲は乙に「今晩おごってやる」と言われ,乙が盗んできた金であることを知りながらおごってもらった。甲は賍物収受罪になる。

(3) 甲は乙から盗品売却の周旋を頼まれ,周旋してやったがその手数料を受け取らなかった。甲は賍物牙保罪にならない。

(4) 甲は公務員乙が賄賂としてもらったゴルフ道具を,それと知って買い受けた。甲は賍物故買罪になる。

(5) 甲は,乙が盗んで来た絵画の処分に困っていたので,被害者宅に運んでやった。甲は賍物運搬罪になる。

[46−49] 甲は乙の住居に放火しようと思い,隣接する丙所有の空家の畳に石油をまいて火をつけたが通行人に発見され,畳1枚焼いただけで消しとめられた。甲の罪責は次のうちどれか。

(1) 非現住建造物放火未遂罪

(2) 非現住建造物放火既遂罪

(3) 現住建造物放火未遂罪

(4) 現住建造物放火未遂罪と非現住建造物放火未遂罪

(5) 現住建造物放火未遂罪と非現住建造物放火既遂罪

[46−56] 甲の罪責につき,誤っているものはどれか。

(1) 甲は乙から預っている金時計を乙に無断で質入れしようと思い,質屋へ行ったところ,顔見知りの刑事が入って来たため,顔をかくして,そのまま裏口から逃げ帰った。甲は単純横領罪である。

(2) 甲は乙の財産を管理するため,乙所有の家屋の登記名義人になっていたところ,乙に無断で該家屋を丙に売却し,登記を移転した。甲に単純横領罪が成立する。

(3) 甲は利益の2割を支払う約束で,乙と船舶を共有し,漁業を営んでいたが,乙に無断で船舶を他に売却し,その代金に自己の資金を加え,新たに船舶を購入し,自己の名義にして,操業を続けた。しかし,乙には利益の2割の支払いは続けた。甲に単純横領罪が成立する。

(4) 乙はまちがって配達された,丙あての小包を丙宅に届ける途中,御用聞きの甲に会ったので甲に小包を丙宅に届けるよう頼んだが,甲は途中で気が変って,自己のものにしようとして,自宅へ持ち帰った。甲には,占有離脱物横領罪が成立する。

(5) 水道料金の集金人甲は,集金した金で,近くの温泉場で遊興しようと思い,自分の金でタクシーに乗り,郊外電車の駅まで行ったが,後悔してそのまま引き返した。甲には,業務上横領罪が成立する。

[46−59] 次のうち,不可罰的事後行為にあたるものはどれか。

(1) 逃走犯人を家にかくまった者が,その後,旅費を提供して犯人を逃走させる行為

(2) 窃盗犯人から盗品を預った者が,その後,犯人のために無料でその盗品の販売を斡旋する行為

(3) 猥褻図画を販売する目的で所持していた者が,その後,それを販売する行為

(4) 公務員が密造酒入りの容器に施した封印を破棄した者が,その後,その容器の「ふた」を取って密造酒を流出する行為

(5) 被保険者の重病を隠して生命保険契約を締結し保険証書の交付を受けた者が,被保険者の死亡後,その保険証書で保険金を受領する行為

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