[47−03] 甲の罪責に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 甲は乙に殴りかかったところ,乙はその暴行を避けようとして子供の作った落し穴に転落し,負傷した。この場合,条件説によっても傷害罪は成立しない。

(2) 甲が乙の胸部を殴打したところ,たまたま,乙は持病の心臓病でショック死した。甲がこの事を知らなかったとしても,客観的相当因果関係説によれば傷害致死罪である。

(3) 甲は乙を殺すつもりで日本刀で切りかかり全治3ヶ月の重傷を負わせた。乙は療養中に精神病者丙に首を締められ殺された。折衷的相当因果関係説によれば,甲は殺人既遂罪である。

(4) 巡査甲は不注意にも実だんをそうてんしたままの拳銃を机上に置いて仮眠中,平素よくあそびにきている小学生乙がこれを持ち出しおもしろ半分に友人丙に向けて発射し丙を死亡させた。この場合相当因果関係説のどの立場によっても甲は業務上過失致死罪となることはない。

[47−07] 甲・乙・丙は窃盗を共謀し,甲は屋外で見張りをし,乙は時計店に入って時計を盗み,丙は現場には行かず乙が盗んできた時計を売却し,その売得金は3人で分配することに決めた。共謀共同正犯の理論によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 甲がまず屋外で見張りをはじめたときは,甲・乙ともに窃盗罪の実行の着手がある。

(2) 甲が現場に行く途中おじけづいてやめてしまったが,乙は甲が見張っているものと信じて時計を盗み出したときは,甲には窃盗罪は成立しない。

(3) 乙が物色をはじめたところで家人に見つかり逮捕されたときには,丙には窃盗未遂罪は成立しない。

(4) 乙が盗み出した時計を受け取った丙は,これを売却する前に検挙されてしまった。丙には窃盗罪は成立しない。

(5) 時計を盗み出した乙は,これを丙に渡さずに勝下に売却し,その金を持ち逃げしてしまった。丙に窃盗罪は成立しない。

[47−12] 公務執行妨害罪(刑法第95条第1項)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 公務の執行が現実に妨害されない場合でも本罪が成立する。

(2) 偽計を用いて公務の執行を妨害しても本罪は成立しない。

(3) 暴行による公務執行の妨害について,その暴行は公務員の身体に対して直接加えられなければ本罪は成立しない。

(4) 公務員の職務執行を妨害する行為は,当該公務員に対する個人的なうらみをはらす目的であっても本罪は成立する。

(5) 公務員の公務執行の対象となっていない第三者が暴行を加えた場合であっても,本罪は成立する。

[47−13] 事実の錯誤と法律の錯誤についての次の記述のうち誤っているのはどれか。

(1) 刑法上公務員としての適用のある公共企業体の職員が,自分は公務員ではないから賄賂を受け取っても収賄罪とならないと思って賄賂を受け取った。これは法律の錯誤である。

(2) 公務執行中の私服警官を暴力団の組員と誤認し殴打したときは事実の錯誤である。

(3) 建物の壁一面にビラを貼って建造物損壊罪で手配されている者の身代りになった者が,ビラ貼り行為は軽犯罪法に違反して拘留または科料に処せられるだけであると思った。事実の錯誤である。

(4) 結婚,営利,猥褻の目的なく18歳の少年を18歳と思い,ただ民法では18歳を成年としていると信じて誘拐したとき,事実の錯誤である。

(5) 猥褻な映画を放映した者が,これは芸術作品であるから犯罪にならないと思った。法律の錯誤である。

[47−18] 過失犯につき,次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 過失犯の共同正犯については,犯罪共同説よりもり行為共同説のほうが認めやすい。

(2) 過失犯については,期待可能性の理論の適用される余地はない。

(3) 信頼の原則は,道路交通事故の過失犯についてのみ適用される。

(4) 重大な過失とは,認識ある過失のことである。

(5) 現行刑法典においては,過失犯の自由刑については,禁錮刑のみ規定されている。

[47−19] 次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 債務を免除する代わりに,債務者の承諾を得て,その指を切断しても傷害罪に当たらない。

(2) 家人不在の隣家の火事を消すため,その玄関の戸をこわして中に入り消火するのは住居侵入罪に当たる。

(3) 母親が親子心中をするため,幼児の承諾をえてその子を殺害すれば承諾殺人罪に当たる。

(4) 医師が輸血するため,承諾を得て採血するのは傷害罪に当たる。

(5) 多数人の集会において,集会者全員の同意を得て猥褻映画を上映しても猥褻物陳列罪に当たらない。

[47−22] 責任能力について,次の記述のうち,正しいものはどれか。

(1) 責任能力とは,是非を弁別する能力をいう。

(2) 精神病者は心神喪失者である。

(3) 責任能力は,行為の時だけでなく,裁判の時にも必要である。

(4) 飲酒めいてい中に犯罪を犯した者は,行為当時の記憶が全くなくても常に心神喪失者とはいえない。

(5) 心神喪失中の行為は責任能力がないため故意が阻却される。

[47−23] 次のうち没収できないものはどれか。

(1) 公務員が賄賂として得た家屋

(2) 賭博犯人が賭博により得た金で買った腕時計

(3) 窃盗犯人が窃取した自転車を売って得た現金

(4) 賍物運搬の犯人が運搬により報酬として受けとった現金

(5) 窃盗犯人が窃取した他人の現金

[47−25] 次の行為のうち,観念的競合となるものはどれか。

(1) 預金証書を窃取し,これで支払をうける行為

(2) 借用証書を焼失する目的で,債権者の住居を燃焼する行為

(3) テレビを盗んできたらそれを買ってやるといい,盗んできたテレビを買った行為

(4) 2人を並べて順次に殴打したとき

(5) 不法に他人の住居に侵入し,家人の要求を受けて退去しない行為

[47−26] 罪刑法定主義に関する次の事項のうち誤りはどれか。

(1) 現行刑法には罪刑法定主義を宣言した規定はない。

(2) 行為後刑の変更があり軽い刑が規定された場合新法を適用しても罪刑法定主義に反しない。

(3) 類推解釈は被告人に有利になる場合は罪刑法定主義に反しない。

(4) 故意過失すらない行為を罰することは,罪刑法定主義に反する。

(5) すでに無罪とされた行為をさらに処罰できないとすることは罪刑法定主義の要請と関係がない。

[47−30] 甲は乙によって丙所有のあき別荘に監禁されたが,施錠されたドアを破って外へ脱出した。甲の罪責に関して,正しいのはどれか。

(1) 正当防衛として犯罪不成立

(2) 緊急避難として犯罪不成立

(3) 自救行為として犯罪不成立

(4) 建造物損壊罪が成立する

(5) 器物損壊罪が成立する。

[47−34] 偽証罪について正しいものはどれか。

(1) 宣誓しない証人が虚偽の陳述をしたとき,本罪が成立する。

(2) 宣誓した証人が虚偽の陳述をしたとき,その陳述が証拠として採用されなくても,本罪が成立する。

(3) 民事裁判において,当事者本人が宣誓して,虚偽の陳述をした場合,本罪が成立する。

(4) 刑事裁判で,刑事被告人が被告人として虚偽の陳述をしたとき,本罪が成立する。

(5) 証言拒絶権のある者については,偽証罪の規定は適用されない。

[47−35] 百貸店の衣料品売場の女店員甲とその友人乙は,洋服生地を質入して小遺銭を作ろうと相談し,甲の売場に客を装ってきた乙に対して洋服生地を渡し,乙がそれを甲の自宅まで運んだ。甲乙の罪責はいずれか。

(1) 甲乙とも業務上横領罪

(2) 甲は業務上横領罪,乙は単純横領罪

(3) 甲は業務上横領罪,乙は業務上横領罪幇助と賍物運搬罪

(4) 甲乙とも窃盗罪

(5) 甲は窃盗罪,乙は賍物運搬罪

[47−38] 次のうち,刑法上の有価証券でないものはどれか。

(1) 社 債 券

(2) 定期乗車券

(3) 宝 く じ

(4) 定期預金証書

(5) 貨物引換証

[47−39] 横領罪に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 横領罪の成立する前提である占有は事実上の占有に限られない。

(2) 自己の所有する物には,横領罪は成立する余地はない。

(3) 横領罪は動産については生じるが,不動産については生じない。

(4) 委託を受けている金銭を後日返還する意思をもって費消した場合には横領罪は成立しない。

(5) 処分行為は事実上の処分行為に限られ,法律上の処分行為は含まれない。

[47−46] 刑罰法規の適用につき,次のうち正しいものはどれか。

(1) 日本人か外国で,外国人のタクシー乗務員から金品を強奪した場合,刑法は適用されない。

(2) 日本の港内に停泊中の外国船の中で,外国人乗客が外国人船員を殺した場合,刑法は適用されない。

(3) 日本国の公務員が外国でその職務に関して外国人商社の外国人社員から,賄賂を受けとった場合,刑法は適用されない。

(4) 外国人が外国で,日本国内に流通する日本銀行券を偽造した場合,刑法は適用されない。

(5) 日本の航空機内で外国人が外国人を殺害(注:傷害か?)した場合,刑法は適用されない。

[47−47] 甲の罪責に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 甲は夜間人影のない村役場に放火し,全焼させたが,その建物に宿直室のあることを知らなかった。この場合,非現住建造物放火既遂罪が成立する。

(2) 甲は妻と2人で住んでいたが,妻が旅行に出たので,その留守に,保険金騙取の目的で,自己所有の住宅に放火した。この場合,現住建造物放火罪は成立しない。

(3) 甲は乙の住居に放火する目的で,それに隣接する物置に放火して,物置を半焼した。この場合,非現住建造物放火罪の既遂が成立する。

(4) 甲は乙の住居に放火したが,乙の家人に発見され,畳1枚を焼燬した程度で,消し止められた。この場合,現住建造物放火罪の既遂が成立する。

(5) 甲は乙の自動車を焼燬する目的で放火したが,乙の住居にまで延焼してしまった。この場合,延焼罪が成立する。

[47−49] 執行猶予に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 刑の執行猶予の言渡を取り消されることなくして猶予の期間を経過したときは,刑の執行を受け終わったものとみなされる。

(2) 罰金刑に執行猶予が付せられた場合,保護観察に付することはできない。

(3) 刑の執行猶予期間内にさらに罪を犯し,罰金刑に処せられたときは必ず刑の執行猶予は取り消される。

(4) 刑の執行猶予の期間内にさらに罪を犯しその罪につき禁錮3年の刑に処せられたときでも,特別の情状があると認められる場合には,再度の執行猶予が許される。

(5) 罰金刑を2回受けた者に対しても執行猶予することができる。

[47−54] 窃盗罪で不法領得の意思を必要とする立場に立てば次のうちで窃盗罪の成立するのはどれか。

(1) 友人の受験を妨害するため,試験当日,友人の受験票を友人の部屋の天井裏に隠したとき。

(2) 燃料店の店員が,灯油の罐の数の不足を補うため,店内にある灯油罐より少量ずつ抜き出して空罐に入れ灯油罐の個数を合わせたとき。

(3) 友人のカメラを1日だけ借りるつもりで無断で持ち出したところ外出先で紛失してしまった。後に友人よりカメラを知らないかと問われたのに対し,知らないと答えたとき。

(4) 展覧会を妨害する目的で,会場に掲示してある絵をとりはずし,屋外に投げ捨てたとき。

(5) 水増投票をする目的で,投票日の前夜投票所より投票用紙を持ち出したとき。

[47−57] 次のうち,占有離脱物横領罪にいう「占有を離れたる他人の物」に当たらないものはどれか。

(l) 自分の家の庭に迷い込んできた他人の飼犬。

(2) 旅館の泊り客が散歩に出かける際,自室に置き忘れた腕時計。

(3) デパートから誤配されてきた他人の洋服地。

(4) くず屋が買ってきた古新聞の間にはさんであった札束。

(5) 自分のものと誤信して着て帰った他人のコート。

[47−60] 株式会社の代表取締役甲は,自己の借金の返済にあてるため,同社を振出人とする額面50万円の約束手形1通を振り出し,債権者に交付した。甲の罪責は次のうちどれか。

(1) 有価証券偽造罪・同行使罪

(2) 有価証券虚偽記入罪・同行使罪

(3) 詐欺罪

(4) 業務上横領罪

(5) 背任罪

[47−61] 次に掲げる行為が刑法第130条(住居等侵入罪)の罪に当たらない場合はどれか。

(1) 窃盗の目的で,他人の家の二階のベランダに上がる行為

(2) 窃盗の目的で,農産物の貯蔵してある山腹のほら穴に入る行為

(3) 一晩泊る目的で,冬期閉鎖中の別荘に入る行為

(4) 航海中の船舶の乗客が窃盗の目的で,他の乗客の船室に入る行為

(5) 他人の家をのぞき見する目的で,他人の家の垣根をこえて,中庭に人る行為

[47−65] 賍物罪に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(1) 14歳未満の者が窃取した物でも,その処分の周旋をした場合は賍物牙保罪が成立する。

(2) 他人が強取した物を,騙取した物と誤解して運搬してやっても,賍物運搬罪が成立する。

(3) 他人が窃取した金銭を無利息で借り受けると賍物収受罪が成立する。

(4) 賍物と自己の財物と交換すると,賍物故買罪が成立する。

(5) 賍物を貸金の担保として預かるのは賍物寄蔵罪となる。

[47−67] 甲は,乙に対して丙を殺害することを教唆したところ,丙を殺すことを決意した乙は,丙だと思って丁を殺してしまった。法定的符合説および共犯従属性説によれば,甲の罪責は次のうち,どれにあたるか。

(1) 丙に対する殺人未遂の教唆,丁に対する過失致死罪

(2) 丁に対する殺人既遂の教唆

(3) 丙に対する殺人未遂教唆,丁に対する殺人既遂教唆

(4) 丁に対する過失致死罪

(5) 丙に対する殺人未遂の教唆

[47−70] 死刑に関する次の記述のうち正しいものはどれか。

(1) 刑法は死刑の執行方法について規定していない。

(2) 刑法には結果的加重犯につき死刑を科する規定はない。

(3) 現行法では,行為時に,20歳未満であったものについては死刑の判決をすることはできない。

(4) 心神耗弱者については,死刑を科することができない。

(5) 最高裁判所は,死刑が合憲か違憲かについて,明確な判断を下していない。

[47−75] 謀官庁の庁舎建築の職務を担当している公務員甲は,自分の息子の入学資金にあてるため,長年の友人である建設業者乙に対し,金を貸してくれるように頼んだ。乙は仕事上の便宜を図ってもらう意図で「困っているときはお互いさまだ。そのうちこちらもお世話になることもあろうから」といって,30万円を無利息で貸した。甲は,乙のそんな意図に全く気づかず,友人のよしみで貸してくれるものと信じて受け取った。甲,乙の罪責は次のうちのどれか。

(1) 甲は賄賂収受罪,乙は賄賂供与罪

(2) 甲は賄賂要求罪,乙は賄賂申込罪

(3) 甲は犯罪不成立,乙は賄賂供与罪

(4) 甲は犯罪不成立,乙は賄賂申込罪

(5) 甲,乙ともに犯罪不成立

[47−82] 次の行為のうち,詐欺罪にあたるものはどれか。

(1) 公衆電話機に金属片を入れ,通話する行為。

(2) 入場券を買わずに多数の観客にまぎれて映画館に入場し,映画を見る行為。

(3) 買った土地の価格を過少に申告して,不動産取得税の納付を免れる行為。

(4) 甲に渡してくれと頼まれて乙から現金10万円を預かったのに,甲には「5万円預った」といって,5万円だけを渡す行為。

(5) 初めから料金を支払う意思なくタクシーに乗り,目的地に着いたところで,運転手のすきをみて逃げ出す行為。

[47−86] 甲の罪責として,( )内の犯罪の成立につき誤っているものはどれか。

(1) 甲は,百貨店で4,000円の買物をし,代金として女店員乙に5,000円札1枚を渡したところ,乙は,つり銭として6,000円さし出した。甲は,これ幸いと受け取り,知らんふりをして帰宅した。(詐欺罪)

(2) 銀行の金庫係甲は,同僚乙が大金庫の中で仕事をしていることに気付かず,扉を閉めて鍵を掛けてしまった。甲は,その後帰る時になって,乙が金庫の中に閉じ込められていることに気付いたが,日頃から乙を恨みに思っていたのでそのままにして帰宅してしまった。そのために乙は翌朝まで金庫に閉じ込められていた。(監禁罪)

(3) 通行人甲は,町内会の会合で顔見知りの乙が深夜公園のベンチででい酔して寝ているのを見かけた。このまま放置すれば,凍死してしまうかも知れないと思ったが,日頃から乙とは不仲だったのでそのままにして帰宅した。翌朝乙は凍死していた。(遺棄致死罪)

(4) 工場の夜警である甲は,深夜見廻り中,工場の倉庫から製品を盗んで搬出している犯人を発見したが,それは失業中の友人乙であった。乙が見逃して欲しいとのそぶりをみせたので,甲はかわいそうだと思いそのまま見逃してやった。(窃盗罪従犯)

[47−87] 次に掲げる甲の行為で( )内の罪の未遂となるものはどれか。

(1) 甲は乙の住宅を焼く目的で,乙宅の台所の床下に10分後に発火するようにセットした自動発火装置を置いた。(放火罪)

(2) 甲は妊娠中絶を欲しない恋人乙に,堕胎手術を受けさせる目的で,診察を受けるだけだとだまして,あらかじめ手術を依頼しておいた産婦人科医丙のところに行くことを承諾させた。(不同意堕胎罪)

(3) 甲はスーパーマーケットでかん詰一個を棚からとり,こっそり外とうのポケットに入れ出口近くまで行ったが,悪かったと思い直してそのかん詰をもとの棚に戻した。(窃盗罪)

(4) 甲らは強盗の目的で会社の事務所に押し入り,居合せた事務員をしばりあげ,持参したボストンバックに金庫の中の金を詰め込み,事務所を出ようとしているところを警察官に逮補された。(強盗罪)

(5) 甲は乙をおどして金をとろうと計画し,脅迫の手紙を書いてポストに投かんしようと家を出たが,ポストの前まで来て気が変わり,投かんしないで帰宅した。(恐喝罪)

[47−89] 中止犯に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

(l) 1万円札を偽造するために,筆で1万円札を模写したが,一見してにせものとわかるようなものしか作れなかったので偽造をあきらめた場合,中止犯とはならない。

(2) 窃盗の目的で工場の倉庫に侵入したが,その工場の警備員が自分の友人であることを思い出し,疑いがかかっては気の毒だと思い,盗取を断念して立ち去ったときは中止犯となる。

(3) 強盗の意思でおもちゃのピストルをつきつけ,金を出せと脅かしたところ,相手が精神薄弱でにやにや笑っていたので,おもちゃであることがばれたと思い犯行を中止したときは中止犯となる。

(4) 殺人の意思で日本刀で切りつけたところ,被害者が血を流して苦もんしているのを見てかわいそうになり,近所の公衆電話から救急車を呼びそのまま逃走したとき,たとえ被害者が病院で生命を取り止めた場合でも中止犯とはならない。

(5) 身代金を取る目的で子供を誘拐したが,かわいそうだと思い自宅に帰してやったときでも中止犯とはならない。

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