[58−03] 予備罪の幇助に関する(A)欄の見解と最も密接に関連する(B)欄の記述を一つずつ選ぶことにした場合,(A)欄のいずれとも結びつかないものはどれか。

(A)

ア. 予備罪の幇助は,予備行為そのものであって,その予備行為に法律上処罰規定がある場合には,予備罪として処罰される。

イ. 予備罪の幇助は,予備罪の従犯として処罰される。

ウ. 予備罪の幇助は,正犯を幇助したことにならないから不可罰である。

エ. 予備罪のうち,単に構成要件の修正形式として規定されているものに対する幇助は不可罰である。

(B)

1. 予備行為は,一般に無定型,無限定であって,実行行為として観念することができない。

2. 他人のための準備行為も予備行為ということができる。

3. 予備罪の幇助行為は,予備行為者を実行に至らせる具体的危険性のある場合に限ってその幇助罪と見ることができる。

4. 刑法第62条の「正犯」とは犯罪を実行した者であるから予備行為を行っただけの者はこれに含まれない。

5. 予備罪が処罰される場合にはそれ自体を1個の構成要件と見ることができる。

[58−06] 次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1. 甲は,BがA方からも宝石を窃取した際に,Bを自動車に乗せてA方へ案内し,後日,その宝石をBから預かった。この場合甲には,窃盗幇助罪と賍物寄蔵罪が成立する。

2. 甲は,路上でA名義の東京・横浜間の国鉄定期券を拾得し,後日,その定期券を使用して東京から横浜まで国電に乗った。この場合甲には,占有離脱物横領罪と詐欺罪が成立する。

3. 甲はA所有の家屋を侵奪し,後日,その家屋を取り毀した。この場合甲には,住居侵入罪を別とすれば,不動産侵奪罪のみが成立する。

4. 甲は,Aから米ドル紙幣をすり取り,後日,その紙幣を銀行で日本円に両替した。この場合甲には,窃盗罪のみが成立する。

5. A商店の集金係甲は,集金した現金を勝手に自己の名義で銀行に預金し,後日,銀行からその預金の払戻を受けた。この場合甲には,業務上横領罪と詐欺罪とが成立する。

[58−09] 日本刑法の適用範囲に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1. 公海を航行中の外国船舶内において,外国人が日本人を殺害した場合は刑法の適用はない。

2. 外国の領海を航行中の日本船舶上の外国人船員の過失により,その船舶が付近を航行中の外国船舶と接触し,その結果,外国船舶上の外国人が死亡した場合は,刑法の適用がある。

3. 外国の領海を航行中の外国船舶内において,日本人が外国人所有の金品を窃取した場合は,刑法の適用はない。

4. 公海を航行中の外国船舶内において,外国人が行使の目的をもって日本法人の小切手を偽造した場合は,刑法の適用がある。

5. 公海を航行中の外国船舶内において,日本の公務員がその職務に関して外国人から金品を受取った場合は,刑法の適用がある。

[58−12] 次の記述のうち,甲について刑法上の犯罪が成立しないものはどれか。

1. 甲は,解雇された元の勤務先の乙会社に対し,いやがらせをするつもりで,乙会社の名で,丙食堂に対し,翌日昼食時までに乙会社あて弁当100人前を届けるように電話したので,当日丙食堂は弁当を作り配達したが,乙会社はこれを受領しなかった。

2. 甲は,会社の同僚乙のクレジット・カードを1時間ほど無断借用してレストランで飲食するため,乙の机の引出しから乙のクレジット・カードを取り出したが,その直後反省してこれを元の場所に戻した。

3. 甲は,自宅を増築した際,隣接地の所有者乙に無断で,幅50センチメートル,長さ4メートルの1階出窓を隣地の上に張り出して作った。

4. 銀行の貸付担当者である甲は,友人乙の会社が倒産にひんしているのを助けるため,担保も取らずに銀行の資金を貸付けたが,その後,乙の会社が立ち直り,貸付金は利息を含めて何収された。

5. 甲は,自動車を運転中ハンドル操作を誤り,自動車を乙所有の家屋に突入させ,玄関の柱を折損した。

[58−15] 没収に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。なお,物件はいずれも犯人の所有に属するものとする。

1. 収賄犯人が賄賂として収受した金員をしまっておいた金庫は,特にその金員を隠匿するために購入した場合には,没収することができる。

2. 業務上過失致死犯人が運転を誤って被害者に衝突させた自動車は,通勤用に日常使用されていたものであっても,没収することができる。

3. 窃盗犯人が他人の住居に侵入するときに使用した合鍵は,住居侵入罪が併せて起訴されていない場合にも,没収することができる。

4. 殺人犯人が犯行に使用するため携行した短刀は,実際には殺害が他の方法で行われたため犯行に使われなかった場合にも,没収することができる。

5. 強盗犯人が金品を強奪しそれを入れて運んだアタッシュケースは,直接強取のために使用されなかったとしても,没収することができる。

[58−18] 某県内のX税務署所得税課に所属し,同署管内A地区における所得税に関する調査等の事務に従事していた甲は,同署管内B地区に住む納税者乙から,所得税の調査に関し便宜を図ってもらいたいとの申出を受けたが,同署の内部事務分担により,B地区の担当者は同僚の丙であったので,その趣旨を丙に伝え,丙はこれを承諾した。その後,甲は同県内のY税務署所得税課に転勤したが,乙から,転勤祝いの名目で,上記のことに対する謝礼として現金10万円を受け取った。

甲の罪責は,次のうち,どれにあたるか。

1. 単純収賄罪

2. 受託収賄罪

3. 第三者供賄罪

4. 事後収賄罪

5. 斡旋収賄罪

[58−21] 次の記述のうち偽造(変造を合む)にあたらないものはどれか。

1. A銀行普通預金係甲は,A銀行発行の乙の預金通帳に金銭の預け入れがないのに100万円入金されたように記帳した。

2. 甲は,手形の振出権限を有する乙の部下で手形振出の事務を担当していたが,振出の必要がないのに乙に虚偽の報告をしてその必要があるものと信じさせ,金額,振出日,振出人の記名等所要事項の記入をした手形用紙に乙の印を押なつさせた。

3. 甲は,国鉄A駅に掲示されている同駅長名義の「列車が1時間遅延する」旨の急告板を見て勝手に時間を2時間と書き換えた。

4. 甲は,自分の名前を書く以外には読み書きできない乙に対して実際には丙から8万円を借りるための借用証であるのに,これが丙への単なるあいさつ状でもあるようにうそをいって借主欄に署名押印させた。

5. 甲は,自己の描いた絵の出来ばえがよくて乙画伯のものに似ていたことから,その絵に乙画伯の雅号をそっくりまねして記入した。

[58−24] 公職選挙法第235条第1項は下記のように定めているが,同項の解釈として誤っているものはどれか。

「当選を得又は得させる目的をもって公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者の身介,職業若しくは経歴,その者の政党その他の団体への所属又はその者に対する人若しくは政党その他の団体の推薦若しくは支持に関し虚偽の事項を公にした者は,2年以下の禁錮又は10万円以下の罰金に処する。」

1.本罪が成立するためには,行為者が,行為の当時,公表事項が虚偽の事項であることを認識していたことを要する。

2.候補者の女性関係についての虚偽の事実を公にした場合本罪に該当しない。

3.本罪が成立するためには,名誉毀損罪の場合と異なり,その事実が真実であることの証明がないというだけでは足りず,積極的に虚偽であることの証明を要する。

4.本罪の主体は,犯罪の性質上,選挙運動者に限られ,候補者本人はこれに含まれない。

5.選挙の結果,当該候補者が落選した場合でも,本罪は成立する。

[58−27] 次の記述のうち,甲に加重逃走罪(刑法第98条)が成立するものはどれか。

1. 服役中の甲は,隣房で服役中の乙と一緒に脱獄しようと相談し,自房の扉を合鍵で開けて逃走した。乙は自房の扉を合鍵で開けたが,思い直して逃走しなかった。

2. A刑務所で服役中の暴力団員甲は,B刑務所で服役中の子分乙と面会者を介して親分の一周忌に列席するため脱獄しようと相談し,甲及び乙は,同一日時にそれぞれの刑務所から逃走した。

3. 勾留中の甲は,面会に来た乙に拘置所の裏に逃走用の自動車を用意してくれと依頼し,乙はこれに応じて自動車を用意し,甲は,拘置所の塀を乗り越えて乙の用意した自動車に乗り逃走した。

4. 勾留中の甲は,隣房に勾留中の乙と逃走しようと相談し,看守の眼をそらすため乙がその同房者丙を殴打し,看守が乙の行為を制止しているすきに,甲が自房の扉を合鍵で開けて逃走した。

5. 少年院に収容されている甲は,同室の乙,丙と相談し,3人で集団脱走した。

[58−30] 次の記述のうち,正しいものはどれか。

1. 強姦をするつもりで婦女に暴行を加えてけがをさせた甲が,悔悟して強姦行為をやめたとしても,中止犯は成立しない。

2. 乙と共同して強盗の実行に着手した甲は,その直後,悔悟して乙に無断でその場から立ち去った。乙は,その後も実行行為を続けたが,単独では無理だと思って犯行を断念した。この場合,甲には中止犯が成立する。

3. 放火の実行に着手した甲が,結果の発生を防止するため,いかに真剣に努力したとしても,結果の発生を防止したことにつき,少しでも他人の援助を受けた以上,中止犯は成立しない。

4. 他人の住居に侵入して金品を物色中の甲が,悔悟して金品をとるのをやめたならば,科刑上の一罪全体について中止犯が成立する。

5. 殺人を計画して凶器を用意した甲が,悔悟して計画をとりやめたとしても,刑は免除され得ない。

[58−33] 不法原因により給付された物については横領罪が成立しないとの説があるが,次の記述のうち,その説の根拠となり得ないものはどれか。

1. 委託者は受託者に対してその委託した物の返還を請求し得ず,受託者も委託者に何らの義務を負わないのであるから,委託者は受託者に対して保護される所有権をもたない。

2. 委託関係が公序良俗に違反し無効なので,受託者は委託された物の占有権を取得しない。

3. 民法上返還義務のない者に,刑罰の制裁をもって返還ー少なくとも処分しないことーを強制するのは法秩序全体の統一を破るものである。

4. 横領罪において要求される法的意味での委託信任関係の違背を認めることができない。

5. 不法原的給付物については,給付と同時にその所有権が受託者に移転する。

[58−36] 次の文章は,最高裁判所の判決文の一部であるが,[ ]に後記1から5までの語句から適切なものを選んで入れた場合(同一語句を繰り返して使用することができる。),いずれの[ ]にも入らないものかある。それはどれか。

「共謀共同正犯が成立するには,二人以上の者が,特定の犯罪を行うため,[ ]の下に一体となって互いに[ ]を利用し,[ ]を実行に移すことを内容とする謀議をなし,よって犯罪を実行した事実が認められなければならない。従って右のような関係において共謀に参加した事実が認められる以上,直接実行行為に関与しない者でも,[ ]をいわば[ ]として犯罪を行ったという意味において,その間刑責の成立に差異を生ずると解すべき理由はない。」

1. 共同意思

2. 各自の意思

3. 自己の手段

4. 自己の行為

5. 他人の行為

[58−39] 次の記述のうち,正しいものはどれか。

1. 甲は,人家の密集地域にある一人住まいの自己所有家屋に火災保険を掛け,保険金詐取の目的で,この家屋に放火して全焼させたが,保険金を保険会社に請求した段階で放火の事実が発覚した。この場合は,詐欺未遂罪と自己所有非現住建造物等放火罪が成立する。

2. 村有地管理の職務を担当する村役場の職員甲は,村有地の払下げを希望する不動産業者乙を村有地の下見に案内した。その土地は乙の希望と合致しなかったが,たまたま乙がその隣りにある村長丙の私有地の購入を希望したので,甲はその旨を丙に報告して指示を受け,乙が丙の土地を購入するあっせんをし,その謝礼として乙から現金をもらった。この場合は,単純収賄罪が成立する。

3. 交番勤務の警察官乙が,管内をバトロール中友人と立談していたところ,甲は「不まじめだぞ」と言って乙の顔面を手拳で殴りつけた。この場合は,公務執行妨害罪が成立する。

4. 甲は,路上で通行人乙とけんかになり,乙を殴打しているうちに金品を奪おうと思い立ち,更に殴打を加えるとともに所携のナイフを突き付けて,金品を強奪した。乙は傷害を負ったが,いずれの殴打行為によって生じたものか判明しない。この場合は,強盗致傷罪が成立する。

5. 妊娠6ヶ月の甲女は,単身居住していたアパートで流産したが,愛惜の念から,死胎を布で包み,1ヶ月ほど自宅の押入れに入れたままにしておいた。この場合は,死体遺棄罪は成立しない。

[58−42] 名誉毀損罪と信用毀損罪に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1. 名誉毀損罪の成立には,現実に人の社会的評価が害されたことを要しないが,信用毀損罪の成立には,現実に人の信用の低下を来たしたことが必要である。

2. 名誉毀損罪の客体である「人」は,自然人に限られるが,信用毀損罪の客体である「人」は,自然人に限られない。

3. 名誉毀損及び信用毀損の行為は,不特定又は多数の人に対してなされることが必要である。

4. 一つの行為で死者の名誉を毀損した場合は,摘示した事実の内容によっては名誉毀損罪のほか信用毀損罪も成立し,両罪は観念的競合の関係にある。

5. 不特定又は多数の人に対して,破産者である甲につき,その破産に関する事実を告げた場合は,名誉毀損罪が成立することはあっても,信用毀損罪は成立しない。

[58−45] 次の文章中の[ ]に,後記1から5までの語句のうちから適切なものを選んで入れた場合,最も多く使用される語句はどれか。

「[ ]とそれぞれの[ ]における[ ]とは,別個の観念である。[ ]は,[ ]によって保護されている利益・価値であるのに対して,[ ]は,通常[ ]の向けられる有形的な物又は人である。虚偽公文書作成罪を例にとると,[ ]は公務員であり,[ ]は公文書であり,[ ]は公文書の信用性である。一般には[ ]が何であるかは,法文自体からは出て来ず,[ ]の解釈によってはじめて明らかになるものである。」

1. 刑罰法規

2. 犯罪の主体

3. 犯罪の客体

4. 行為

5. 保護の客体

[58−48] 甲は,株式会社A宝石店の銀座支店長であり,乙はその友人である。甲,乙は相談の上,狂言強盗を装って同支店の宝石を奪おうと企て,甲が宿直の夜,乙は同支店に赴き,かねての打合せとおり,甲を縛り上げて持参したかばんに宝石を入れ店を出ようとした。たまたまその時店員丙が店に入ってきたので,乙はとっさに丙を殴ったところ,丙はその場に転倒して一時気を失った。乙は,その間に宝石を持って逃走した。この設例について乙の刑責を論ずる場合,不要な論点は,次のうちどれか。

1. 被害者の承諾

2. 身分

3. 結果的加重

4. 因果関係の錯誤

5. 併合罪

[58−51] 甲は,友人乙を驚かそうと考え,某夜,路上を歩いていた乙に,いきなり玩具のけん銃を突きつけた。ところが,乙には重い心臓疾患があったため,驚がくしたショックで心臓麻ひを起こして,死亡してしまった。因果関係に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。

1. 乙の心臓疾患が一般人にとって認識不可能であったとしても,甲にとって認識可能であったとすれば,主観的相当因果関係説と折衷的相当因果関係説とで結論が異なる。

2. 乙の心臓疾患が甲にとって認識不可能であったとしても,一般人にとって認識可能であったとすれば,主観的相当因果関係説と客観的相当因果関係説とで結論が異なる。

3. 乙の心臓疾患を甲が認識していたとすれば,一般人にとって認識不可能であったとしても,主観的相当因果関係説と折衷的相当因果関係説とで結論が異ならない。

4. 乙の心臓疾患が甲にとって認識可能であったとすれば,一般人にとって認識不可能であったとしても,客観的相当因果関係説と折衷的相当因果関係説とで結論が異ならない。

5. 乙の心臓疾患が一般人にとって認識可能であったとすれば,甲にとって認識不可能であったとしても,客観的相当因果関係説と折衷的相当因果関係説とで結論が異ならない。

[58−54] 次の記述のうち,横領罪(業務上横領罪を含む。)が成立しないものはどれか。

1. 商店の主人Dは,臨時雇の下働きの店員丁にD名義の預金通帳を渡し銀行から5万円下ろしてくるように命じたところ,丁は,銀行に行く途中悪心を起こし,銀行で15万円の払戻を受け,うち5万円を主人に渡し,残りの10万円は勝手に使ってしまった。

2. 甲は,Aと金を出し合って千株券1枚を購入し,甲において保管中悪心を起こし,これを換金するために証券会社に持参し,あたかも自分一人の物であるように装って売却し,その代金を勝手に使ってしまった。

3. 某銀行B支店の出納主任乙は,事務取扱い中悪心を起こし,上司である支店長の目を盗んで手元にある取扱い中の現金をひそかに外部に持ち出し,勝手に使ってしまった。

4. 兄と同居中の弟丙は,兄の不在中その友人Cが返しに来た借金を兄に代わって受領したが,悪心を起こし,兄の帰宅前にその金を勝手に使ってしまった。

5. E会社名義の手形の振出権限のある同社取締役戊は,正規に手形を振り出した後悪心を起こし,その手形を街の金融業者に持ち込んで割引きを受け,割引金を勝手に使ってしまった。

[58−57] 偽証罪に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1. 日本の裁判官の嘱託に基づき,アメリカの裁判所で行われた証人尋問において,宣誓の上,虚偽の証言をした日本人甲には,偽証の罪が成立する。

2. 甲は,民事事件で偽証をしたことを心配していたところ,その事件の裁判確定前に,交通違反事件で取り調べを受けた警察官から,「ほかに悪いことをしているだろう。」と聞かれたので,偽証が発覚したと思い,やむなく,上記偽証をしたことを述べた。この場合には,前の偽証は刑の減免の対象となり得る。

3. 甲は,乙の窃盗事件の公判において,宣誓の上,事件当夜乙が自宅前を通ったのを見かけたことはなかったのに,それがあったように証言した。乙が甲の自宅前を通ったのが事実であったとしても,主観説によれば,偽証罪は成立しない。

4. 甲は,乙が当夜A毛から出て来たのをはっきり見たが,乙のA宅での窃盗事件の公判において宜誓の上その点についてはお答えできません。」と述べた。この場合には偽証罪が成立する。

5. 甲は,乙の窃盗事件の公判において,宣誓の上,虚偽の証言をしたが,その後再び証人として喚問をうけた際,前の証言を翻して真実を述べた。この場合には,偽証罪は成立しない。

[58−60] 次の文章は,大審院の判決文の一部であるが,[ ]に後記1から5までの語句のうちから適切なものを選んで入れた場合,2回使用される語句はどれか。

「抑モ刑罰法[ ]ヲ規定シタル法規ニシテ国家ノ秩序ヲ維持スルヲ以テ唯一ノ目的トス果シテ然ラハ之ヲ解釈スルニ当リテモ亦主トシテ其国ニ於テ発現セル[ ]ヲ照準トスヘク単ニ物理学上ノ観念ノミニ依ルコトヲ得ス而シテ[ ]ハ犯人ニ[ ]アリト認ムヘキ特殊ノ情況ノ下ニ決行セラレタルモノニアラサル限リ[ ]ニ於テ刑罰ノ制裁ノ下ニ法律ノ保護ヲ要求スヘキ[ ]ト認メサル以上ハ之ニ臨ムニ刑罰法ヲ以テシ刑罰ノ制裁ヲ加フルノ必要ナク立法ノ趣旨モ亦此点ニ存スルモノト謂ハサルヲ得ス」

1. 法益ノ侵害

2. 共同生活上ノ観念

3. 危険性

4. 共同生活ノ条件

5. 零細ナル反法行為

[58−63] 人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律第2条及び第5条に関する記述のうち,正しいものはどれか。

人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律

第2条 工場又は事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質(身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物資を含む。以下同じ。)を排出し,公衆の生命又は身体に危険を生じさせた者は,三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。

 2 前項の罪を犯し,よって人を死傷させた者は,七年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。

第5条 工場又は事業場における事業活動に伴い,当該排出のみによっても公衆の生命又は身体に危険が生じうる程度に人の健康を害する物質を排出した者がある場合において,その排出によりそのような危険が生じうる地域内に同種の物質により公衆の生命又は身体の危険が生じているときは,その危険は,その者の排出した物質によって生じたものと推定する。

1.第5条は,当該地域内において工場又は事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出した者すべてについて適用される規定である。

2.第5条は,当該地域内において工場又は事業場における事業活動に伴って人の健康を害する物質を排出する者が二人以上あることを必ずしも前提とする趣旨の規定ではない。

3.第2条第1項の罪の故意の内容としては,公衆の生命又は身体に危険を生じさせることの認識を必要としない。

4.第5条は,排出された物質と生じた危険との間の因果関係を推定するにとどまる規定であるから,第2条第2項の罪の成否に関しては,適用される余地がない。

5.第5条は,当該排出により公衆の生命又は身体に危険が生じうる地域内において,同種の物質によるそのような危険発件の蓋然性が認められる場合にも適用される余地がある。

[58−66] 次の文章は,最高裁判所の判決文の一部であるが,文中の[ ]に,その[ ]に示された数字に対応する番号の後記の語句を入れた場合,記述に誤りを生ずるものがある。それはどれか。

「刑法第38条3項但書は,自己の行為が刑罰法令により処罰されるべきことを知らず,これがためその行為の[1]ことを意識しなかったにもかかわらず,それが故意犯として処罰される場合において,右違法の意識を欠くことにつき斟酌または宥恕すべき事由があるときは,刑の減軽を[ ]ことを認めたものと解するを相当とする。従って自己の行為に適用される具体的な刑罰法令の規定ないし法定刑の寛厳の程度を[ ]としても,その行為の[ ]ことを意識している場合は,故意の成否につき同項本文の規定をまつまでもなく,また前記のような事由による科刑上の寛典を考慮する余地はあり得ないのであるから,同項但書により刑の減軽を[5]ことはいうまでもない。」

1. 違法である

2. なし得べき

3. 知らなかった

4. 違法でない

5. なし得べきものでない

[58−69] 賍物罪に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1. 賍物であることの認識は,行為の際に存することが必要であるから,賍物であることの情を知らずに売買契約をした場合,その後その引渡を受ける際に賍物であることを知ったとしても,賍物故買罪は成立しない。

2. 牙保とは,賍物の売買等を媒介,周旋することをいうから,窃盗の実行を決意した者の依頼に応じて,同人が将来窃取してくる盗品の売買の媒介,周旋をした場合は賍物牙保罪が成立する。

3. 収受とは,無償で賍物を取得することをいうから,窃盗犯人からその窃取してきた金銭を利息付で借り受けることは賍物収受罪とはならない。

4. 窃盗犯人が盗品を運搬することは,賄物運搬罪を構成しないから,窃盗犯人の友人が窃盗犯人と一緒に盗品を運搬しても賍物運搬罪は成立しない。

5. 寄蔵とは,委託を受けて賍物を保管することをいうから,貸金の担保として盗品を頼ったとしても賄物寄蔵罪は成立しない。

[58−72] 甲は,スーパーマーケットで1,500円の果物を買い,5千円札で支払った。ところが店員Aが1万円札と思い,お釣りとして8,500円を甲に返還した。甲の罪責に関し,誤りはどれか。

1. Aが,釣銭を出す前に,「今のは1万円札ですね。」と尋ねたのに対し,甲が,「そうだ。」とうそを言い,その結果,8,500円の釣銭を受領したとすれば,詐欺罪が成立する。

2. 甲は,Aがお釣を支払う前から5千円を1万円札と思い違いをしていることを知っていたが,Aが「今のは1万円札ですね。」と尋ねたのに,だまってお釣を受け取った場合は,それだけで詐欺罪となる。

3. 甲がお釣を受け取った後,帰宅途中で初めてお釣りが多いことを知ったが,そのまま帰宅した場合は占有離脱物横領罪となる。

4. 甲がお釣りを受け取った後,帰宅途中に買い物をしようと思い初めて釣銭が多いことを知ったが,翌日,自分の同額のお金で返すつもりで,そのまま使用してしまった場合は占有離脱物横領罪とはならない。

5. 甲が,翌日スーパーマーケットで買い物をしようとした時,釣銭をもらい過ぎたことに気付いたが,Aから,「昨日釣銭を余分に渡しませんでしたか。」と聞かれた際,聞こえなかったふりをしてその場を立ち去っただけでは,占有離脱物横領罪は成立しない。

[58−75] 次の記述のうち,甲の行為について( )内の罪が成立しないものはどれか。

1. 甲は,乙所有家屋の屋根瓦十数枚をはがして叩き割った。(建造物損壊罪)

2. 甲は,有名な画象であるが,某禅寺の本堂のふすまに,住職に無断で得意の絵筆をふるい裸婦を描いた。(器物損壊罪)

3. 甲は,勤務先の社長乙あてに,市長選挙に関し自己の支持する候補者の対立候補者を推薦する書状が送られてきたのを知って,これを破り捨てた。(私文書毀棄罪)

4. 甲は,自己の所有する水田に,その永小作権者乙が植え付けた稲苗を抜き取って側溝に投げ捨てた。(器物損壊罪)

5. 甲は,一時海外旅行中の同居の友人乙あてに,その婚約者から郵送されたはがきを乙の本棚の書籍中に挟んで隠した。(信書隠匿罪)

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