[61−41] 次の文章中の[ ]に,「欺罔行為者」,「被欺罔者」,「財産的処分行為者」,「第三者」の語句のうちから適切なものを一つずつ選んで入れていった場合において,使用回数の多い方から二つを取り出したとき,その関係は後記1から5までのうちどれか。

「詐欺罪において,[ ]と,[ ]すなわち財物の交付者とは通常一致するが,必ずしもその必要はない。ただ,一致しない場合には,財産的処分行為が[ ]の行為に起因する錯誤に基づいてなされることを要するから,[ ]と[ ]との間に意思の連続性が認められなければならない。他方,[ ]と財物の交付を受ける者も通常一致するが,必ずしもその必要はなく,[ ]をして[ ]以外の[ ]に財物を交付させた場合も,財物を騙取したと言い得る。もっとも,この場合,[ ]と[ ]との間には,[ ]が[ ]の道具的立場の者ないし代理人的立場の者であるとか,[ ]の行為が[ ]をして財物の取得によって利得させる目的に出たなどの関係が存在しなければならない。」

1. 同数である。

2. 一方が他方より1回多い。

3. 一方が他方より2回多い。

4. 一方が他方より3回多い。

5. 一方が他方より4回多い。

[61−42] 次の記述のうち,( )内の罪が成立するものは何個あるか。

A 酒屋から盗んできたブランデーを他の酒屋に持参し,その店で購入したもののように装って返品を申し入れ,現金を受け取った。(詐欺罪)

B 寺院から盗んできた純金の仏像を,盗んできた品物とわからないようにして売却する目的で溶解し金塊とした。(器物損壊罪)

C 百貨店から盗んできたカメラを盗品であることを秘して友人に売り渡した後,その友人からこれを借りて使用中,小遣い銭に困って質入れした。(横領罪)

D 友人と一緒に自動車用品店から盗んできたタイヤ数本を山分けした後,友人からその分け前分のタイヤを買い取った。(賍物故買罪)

E 自転車置場から盗んできた自転車を使用中,被害者に発見されて返還を求められた際,自転車店で買ったものだとうそを言って返還を免れた。(詐欺罪)

1. 1個

2. 2個

3. 3個

4. 4個

5. 5個

[61−43] 次の文章中の[ ]に適切な語句を入れていった場合,同一の語句が最も多く使用される回数は,後記1から5までのうちどれか。

「現代の文明諸国における刑罰は,それによってはく奪される法益の種類によって,[ ],[ ],[ ],[ ]に大別される。そして,[ ]とは人の生命を奪う刑罰をいい,[ ]とは人の社会生活の自由を奪い,又は制限する刑罰をいい,[ ]とは人の財産をはく奪する刑罰をいい,[ ]とは人の社会人としての地位をはく奪,制限する刑罰をいう。現行刑法は,刑罰として,死刑,懲役,禁錮,罰金,拘留,科料,没収を規定している。このうち,死刑から科料までが,[ ],すなわち独立に言い渡し得る刑罰であり,没収は,附加刑,すなわち[ ]を,言い渡すときにこれに附加してのみ言い渡し得る刑罰である。また,はく奪される法益によってこれを分類すると,死刑は[ ]であり,懲役,禁錮,拘留は[ ]であり,罰金,科料,没収は[ ]である。現行刑法は[ ]を認めていないが,特定の選挙犯罪により一定以上の刑に処せられた場合,選挙権及び被選挙権を停止されることとされており,これは形式的には有罪判決の附随処分であるが,実質的には一種の[ ]とみられる。」

1. 1回

2. 2回

3. 3回

4. 4回

5. 5回

[61−44] 次の文章は,ある判決文の一部である。下記の(事例)について,防衛の意思に関する後記1から5までの記述のうち,この判決の考え方に適合しないものはどれか。

「急迫不正の侵害に対し自己又はは他人の権利を防衛するためにした行為と認められる限り,その行為は,同時に侵害者に対する攻撃的な意思に出たものであっても,正当防衛のためにした行為にあたると判断するのが,相当である。すなわち,防衛に名を借りて侵害者に対し積極的に攻撃を加える行為は,防衛の意思を欠く結果,正当防衛のための行為と認めることはできないが,防衛の意思と攻撃の意思とが併存している場合の行為は,防衛の意思を欠くものではないので,これを正当防衛のための行為と評価することができるからである。」

(事例)Aが甲にこん棒で殴りかかった。甲はAを包丁で突き刺した。

1. 甲がAから侵害を加えられた事実を認識していなければ,防衛の意思は認められない。

2. 甲にAの侵害に対応し,これを避けようとする意思があれば,防衛の意思を認めてよい。

3. 甲に防衛の意思を認めるには,防衛を主たる動機として反撃を加えたことは必要でない。

4. 甲がAの侵害に逆上して突き刺した場合でも,直ちに防衛の意思は否定されない。

5. 甲がAの侵害を予期し,この機会にAを傷つけてやろうと思い突き刺した場合でも,防衛の意思は否定されない。

−[61−45]から[61−47]まで−

次の設例を読んで,後記の[61−45]から[61−47]までの各問に答えよ。

「甲は,自分一人が住んでいる自己所有の木造家屋(以下『甲宅』という。)に火災保険を掛けていたので,留守中にこれを燃やして保険金を騙取しようと企て,独り住まいであることを知っている乙に計画を打ち明けたうえ,スイッチを入れると約5時間後に発火する装置Xと,これに数10メートル先から電波でスイッチを入れる装置Yの製作を依頼した。乙は,甲の犯行を助けるため,装置X・Yを作り甲に渡した。

その後,甲は,近所の丙に装置Yを渡し,『これは,犬にえさをやる装置に電波でスイッチを入れる装置です。出張しますので明日の夕方5時にこの装置のボタンを押してくれませんか。』と頼んだところ,丙は,これを信じ,快く引き受けた。丙が,翌日ボタンを押したところ,装置Xが作動して夜10時に発火し,火は甲宅を全焼させたうえ,Aが住む隣家(以下『A宅』という。)に燃え移りこれを半焼させた。」

(参照条文)

刑法111条 第109条第2項又ハ前条第2項ノ罪ヲ犯シ因テ第108条又ハ第109条第1項ニ記載シタル物ニ延焼シタルトキハ3月以上10年以下ノ懲役ニ処ス

前条第2項ノ非ヲ犯シ因テ前条第1項ニ記載シタル物ニ延焼シタルトキハ3年以下ノ懲役ニ処ス

同法112条 第108条及ヒ第109条第1項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス

同法113条 第108条又ハ第109条第1項ノ罪ヲ犯ス目的ヲ以テ其予備ヲ為シタル者ハ2年以下ノ懲役ニ処ス但情状ニ因リ其刑ヲ免除スルコトヲ得

同法115条 第109条第1項及ヒ第110条第1項ニ記載シタル物自己ノ所有ニ係ルト雖モ差押ヲ受ケ,物権ヲ負担シ又ハ賃貸シ若クハ保険ニ付シタルモノヲ焼燬シタルトキハ他人ノ物ヲ焼燬シタル者ノ例ニ同シ

[61−45] 甲の罪責に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1. 甲が,A宅に燃え移ることはないと考えていた場合にも,現住建造物放火罪が成立する。

2. 甲が,A宅に燃え移ることは望まないが燃え移ってもやむを得ないと考えていた場合には,非現住建造物放火罪と延焼罪が成立する。

3. 甲が,A宅に燃え移ることは望まないが燃え移ってもやむを得ないと考えていた場合には,非現住建造物放火罪と現住建造物放火罪が成立する。

4. 甲が,A宅に燃え移ることは望まないが燃え移ってもやむを得ないと考えていた場合には,現住建造物放火罪が成立する。

5. 甲が,A宅に燃え移ることはないと考えていた場合には,非現住建造物放火罪と失火罪が成立する。

[61−46] 甲が,A宅に燃え移ってもやむを得ないと考えていた場合,乙の罪責に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1. 乙が,A宅に燃え移ることはないと考えていたときには,非現住建造物放火罪の幇助犯の刑で処断きれる。

2. 乙が,A宅に燃え移ってもやむを得ないと考えていたときには,非現住建造物放火罪と現住建造物放火罪との幇助犯が成立する。

3. 乙が,甲宅の近くに家があることを知らなかったときでも,公共の危険についての認識を要しないという立場に立てば,延焼罪の幇助犯が成立する。

4. 乙が,甲宅の近くに家があることを知らなかったときには,現住建造物放火罪の幇助犯の刑で処断される。

5. 乙が,甲宅の近くに家があることを知らなかったときには,公共の危険についての認識を要するという立場に立てば,犯罪は成立しない。

[61−47] 次の記述のうち,正しいものはいくつあるか。但し,甲はA宅に燃え移ってもやむを得ないと考えていたものとし,また.甲が丙に装置Yを渡した時点では放火の罪について実行の着手はまだ認められないものとする。

A 甲には,丙が装置Yのボタンを押した時点で,放火の罪のほか保険金騙取目的の詐欺罪の実行の着手が認められる。

B 甲には,丙が装置Yのボタンを押した時点で,甲宅の放火の罪の実行の着手が認められ,A宅に燃え移った時点で,A宅の放火の罪の実行の着手が認められる。

C 甲が,乙から装置X・Yを受け取った後,丙にボタンを押すことを依頼したが断られたために断念した場合,甲には,放火の罪の予備罪が成立する。

D 甲が,出張先で翻意し,丙に,電話で,計画を秘したまま,装置Yのボタンを押さないように頼んだが,丙がこれに従わずにボタンを押したため,装置Xが火を発して甲宅の障子を焼いたものの,それだけで鎮火した場合,甲には,放火の罪の中止犯が成立する。

E 甲が,出張先で翻意し,急いで帰宅したところ,火が甲宅の障子に燃え移ったばかりだったので,これを消し止めた場合,甲には,放火の罪の中止犯が成立する。

1. 1個

2. 2個

3. 3個

4. 4個

5. 5個

[61−48] 甲,乙,丙,丁,戊の5人が下記の罪を一つずつ犯した。刑法10条に従い法定刑の軽重を比較すると,「甲の罪の法定刑は丁の罪のそれより軽い。乙の罪の法定刑は丁の罪のそれと下限が同じである。丙の罪の法定刑は戊の罪のそれより重い。」という関係にある。丙の犯した罪は,下記のうちどれか。

(参照条文)

刑法10条2項 同種ノ刑ハ長期ノ長キモノ又ハ多額ノ多キモノヲ以テ重シトシ長期又ハ多額ノ同シキモノハ其短期ノ長キモノ又ハ算額ノ多キモノヲ以テ重シトス

1. 価証券偽造罪(3月以上10年以下の懲役)

2. 自己所有非現住建造物放火罪(6月以上7年以下の懲役)

3. 営利誘拐罪(1年以上10年以下の懲役)

4. 有印私文書偽造罪(3月以上5年以下の懲役)

5. 窃盗罪(10年以下の懲役)

[61−49] 次の文章は,最高裁判所の決定の要旨である。この決定の趣旨が妥当する範囲に関する後記1から5までの記述のうち,誤っているものはどれか。

「専用軌道を有する電車の運転士は,夜間,踏切警手のいない踏切を通過する場合には,特別の事情のない限り,電車の速度を低減しもしくはその進行を停止して,不慮の事故に備えるべき義務はないが本件のようにその進路前方の沿線に火災の発生したことを知り,しかもその発生場所を的確に知ることができない状況にある等特別の事情のあるときは,運転台からその煙を望見し得る限り,火災発生場所が自己の一応の判断よりもはるかに近い軌道沿線であるかも知れないことを予測し,火災現場に急行する消防自動車や,火災に心を奪われた被災者,見物人等が,電車の進行に注意を払わないで,右現場近くの踏切を横断しようとし,または右踏切やその付近の軌道敷内に立入るおそれがあり,そのため電車がこれらと衝突する危険のあることを予見して,進路前方に異常を発見した際にこれと衝突することなく直ちに停車し得る程度にまで減速して進行すべき注意義務がある。」

1. 運転士が,夜間,電車を運転中,無人踏切付近のガスタンクが爆発して炎上しているのを発見した場合,この決定の趣旨は妥当する。

2. 運転士が,夜間,電車を運転中,無人踏切付近で火災が発生したことを知らされたが,当該踏切付近に至った際には既に鎮火しており,火災の徴候を認めなかった場合,この決定の趣旨は妥当しない。

3. 運転士が,夜間,電車を運転中,沿線に火災が発生したことを知らされたが,火災は無人踏切から遠く離れていることを確認できた場合,この決定の趣旨は妥当しない。

4. 運転士が,夜間,電車を運転中,火災が無人踏切付近で発生したのを発見したが,進路前方に消防自動車も人影も認めなかった場合,この決定の趣旨は妥当しない。

5. 運転士が,電車を運転中,火災が無人踏切付近で発生しているのを発見した場合,それが昼間であっても,この決定の趣旨は妥当する。

[61−50] 次の文章中の[ ]に,後記1から5までの語句のうちから適切なものを一つずつ選んで入れていった場合,使用する回数が二番目に多いものはどれか。

「[ ]を許すと,法律の予定しない行為を犯罪として処罰するおそれがある。[ ]とは,[ ]と[ ]の間に,外形的共通性と法の精神・目的当の原理的共通性を発見し,その共通性を理由として,[ ]に関する法規を[ ]に対し適用することである。しかし,刑法の解釈も法の解釈である以上,形式的な文理解釈にとどまるべきでなく,適切な合理的解釈は許されなければならない。その意味での[ ]は[ ]に反しない。もっとも,[ ]が禁止されるのは,[ ]の歴史や憲法31条の趣旨からわかるように,犯人に不利益な場合だけである。犯人に利益になる方向に向かっての[ ]は,[ ]に抵触しない。」

1.罪刑法定主義

2.類推解釈

3.拡張解釈

4.明文上規定されている事実

5.明文上規定されていない事実

[61−51] 「飲酒の際自動車を運転する意思が認められる場合には,酒酔い運転の行為当時に飲酒めいていにより心神耗弱の状態にあったとしても,刑法39条2項を適用して刑の減軽をすべきではない。」とする考えの根拠となり得るものは,次の記述のうち何個あるか。

A 道路交通法は飲酒運転を禁じ,めいていの度合いが大きいほど犯罪性が重いとしているのだから,同法の精神に即した解釈をすべきである。

B 心神耗弱の場合にも原因において自由な行為の適用を認めないと,心神耗弱の場合には刑が減軽され,心神喪失の場合には完全な責任能力者としての責任が認められることになり不合理である。

C 行為と責任の同時存在は要求されないと考えるので,完全な責任能力のある状態の下で形成された犯意がそのまま実現された場合には,行為時の責任能力の程度は問題にならない。

D 酒酔い運転の罪は,その構成要件からみて当然に責任能力に関する刑法総論の規定の適用を排除する趣旨である。

E 酒酔い運転の罪は,飲酒,運転という一連の行為を前提としているから,飲酒時に運転する意思がある場合には,その時に責任能力があればよい。

1.1個

2.2個

3.3個

4.4個

5.5個

[61−52] 次のAからEまでの文を,「[ ]。そこで,[ ]。このように,[ ]。ところで,[ ]。したがって,[ ]。」と並べると,構成要件に関する論述になる。最も適当な順序は,後記1から5までの組合せのうちどれか。

A 価値判断を必要とする要素をすべて構成要件から排除することは不可能であるし,また,その必要もない

B 構成要件が不明確であると,いかなる行為が法律上罰せられるものであるかを認識することが困難となり,法的安定性と予測可能性が失われ,罪刑法定主義は実質的に否定されることになろう

C 構成要件は,可罰的行為を具体的にしかも明確に記述することによって,個々の場合に,どのような行為が刑法上の犯罪に当たるかを認識させて,罪刑法定主義を実質的に支えているものである

D 構成要件と罪刑法定主義とは内的関連性をもつものであるから,厳格に輪郭づけられた構成要件が罪刑法定主義の要請ということになる

E 構成要件は,その要素として客観的,記述的要素に限らず,主観的,規範的要素を認めなければ,可罰的行為を類型化して構成要件を形成することはできない

1. CAEBD

2. EDABC

3. CBDEA

4. EABDC

5. CDEAD

−[61−53]から[61−56]まで−

次の文章は賄賂罪の保護法益についての考え方を述べたものである。これを読んで後記の[61−53]から[61−56]までの各問に答えよ。

賄賂罪の保護法益については,もともと職務行為の不可買収性に求める見解と職務行為の不可侵性に求める見解とが対立してきた。そしてこれらの見解は,ドイツ刑法理論に影響を受けた我が国の学説に受け継がれたとされている。ただ.我が国においては,職務行為の不可侵性を職務行為の公正と表現するものが多く見受けられるので,以下この例によることとする。なお,我が国では,賄賂罪の保護法益は公務員の清廉義務であるとする第三の見解がある。

[61−53] 次のAからDまでの文章は,上記の文章に続くべきものである。その順序の組合せとして適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

A 賄賂罪の保護法益を職務行為の不可買収性とする見解も,これを職務行為の公正とする見解も,前述のとおり,我が刑法の賄賂罪について,その保護法益を全体的に考察すれば,それぞれ難点がある。これを克服しようとするものに,職務行為の不可買収性と公正の両者を併せ考慮しようとする見解がある。

B しかし,賄賂罪の保護法益を職務行為の不可買収性とする見解も,職務行為の公正とする見解も,共に我が刑法の賄賂罪に関する規定を統一的に解釈するには難点がある。例えば,保護法益を職務行為の[1]とする見解に対して,我が刑法の賄賂罪の基本類型が,正当な職務行為についても賄賂罪の成立を認めていることからすれば正しい側面を持ち,職務犯罪のうちの賄賂罪の特殊性を明らかにしていると評価できるものの,加重収賄罪や斡旋収賄罪の説明に苦しむとの批判がある。また,保護法益を公務員の職務行為の[2]とする見解に対しては,我が刑法は,職務上不正の行為をすることを賄賂罪の成立要件としておらず,単に賂賂の授受だけで足りるとしているから,その場合は必ずしも職務行為の[3]は害されていないとの批判がある。ところが,職務行為の[4]を保護法益とする見解においても,それを,公務員が現に職務に違反した場合に限定することなく,職務打為の[5]に対する社会の信頼をも含める見解が有力であったようである。とすれば,この見解に対する批判は根拠を失うことになるが,このように解しながらも,なお,保護法益は職務行為の[6]であると言い切ることには問題があろう。

C 賄賂罪の保護法益は,公務員の職務行為の公正と,それについての社会の信頼であるとする見解もこれに属するものといえよう。一面において,この見解は,賄賂罪の保護法益は職務行為の公正であるとしながら,その公正には職務行為の公正に対する社会の信頼を含むと解する前述の見解について,表現をその真意のとおりに修正したものであるともいえる。

D さらに,第三の見解に対しては,収賄の事実と職務行為との関連性を把握していない点で,賄賂罪の可罰性を不当に拡大する危険を含むとの批判がある。

1. CBDA

2. ACBD

3. BDAC

4. BADC

5. DBAC

[61−54] 上記Bの文章中の[1]から[6]までに入る語句の組合せ及びその順序として適切なものは,後記1から5までのうちどれか。

1. 公 正   不可買収性 不可買収性 不可買収性 不可買収性 不可買収性

2. 不可買収性 公 正   公 正   公 正   公 正   公 正

3. 不可買収性 公 正   公 正   清廉義務  清廉義務  清廉義務

4. 清廉義務  公 正   公 正   清廉義務  清廉義務  公 正

5. 不可買収性 不可買収性 不可買収性 公 正   公 正   公正

[61−55] 次のAからEまでの記述のうち,[61−53]と[61−54]で完成された文章で述べられているところに照らして正しいものが二つある。それはどれか。

A 我が刑法は,賄賂罪の保護法益を専ら職務行為の不可買収性ととらえている。

B 我が刑法はドイツ刑法の影響を受けているため,賄賂罪の保護法益も,専ら職務行為の不可侵性に求められる。

C 公務貝の清廉義務を保護法益とする見解は,他の見解に比べると賄賂罪の成立範囲を狭く限定する傾向がある。

D 職務行為の不可買収性を保護法益とする見解に対しては,斡旋収賄罪を十分に説明できないとの批判が加えられている。

E 職務行為の公正に対する社会の信頼を保護法益に含める見解は,正当な職務行為に対する賄賂でも職務の公正を疑わせることになる点を考慮したものである。

1. AB

2. CD

3. BE

4. BD

5. DE

[61−56] 次のAからEまでの事例のうち,職務行為の不可侵性を保護法益とする見解によっては,賄賂罪が成立することを十分に説明し得ないおそれのあるものが二つある。それはどれか。

A 公立学校の教員に,卒業生の父兄一同が,在学中に子弟が世話になった謝礼として多額の現金を贈った場合

B 運転免許試験の替え玉受験を見逃してもらった謝礼として担当警察官に金品を贈った場合

C 暴力団事務所の捜索押収に関する情報を事前に提供された謝礼として担当刑事に売春婦を提供した場合

D 新しく市役所の土木課長になった者に対し,土木業者が今後入札子続等に関して指導を受けたいとの期待の下に,お近づきのしるしとして金品を贈った場合

E 麻薬の密輸入を見逃してもらった謝礼として担当税関職員に金品を贈った場合

1. BC

2. AE

3. CE

4. AD

5. DE

−[61−57]から[61−58]まで−

次の文章中の[ア]から[エ]までに,後記AからDまでの文章のうちから適切なものを一つずつ選んで入れた場合,ある判決文の一部となる。これを前提にして後記の[61−57]と[61−58]の各問に答えよ。

「[ア]。すなわち,[イ]。おもうに,[ウ]。しかし,[エ]。」

A 罪を犯した者が,その刑につき執行を猶予せられ,その裁判が確定したにも拘らず,その猶予期間内に更に罪を犯した場合は,そのことだけで,前に刑法25条1項により刑の執行を猶予されたときの犯罪に比して情状が重いというべきであるから,かかる者に対して,その刑の執行を猶予する場合は,右条項の場合よりもその条件を厳格にすることは理由のあることであって,これに同法25条2項を適用することは充分首肯することができるのである

B 刑法25条2項の法意を考えてみるに,それは同条1項と比較して,刑の[1]言渡の条件を更に厳格に制限したものである

C 或る罪につき同法25条1項により執行を猶予された者がその裁判の確定前に犯した他の罪(即ち余罪,刑法45条後段)と,右[2]の裁判の確定した罪とを比較すると,右余罪たる他の罪が,それより以前に確定した他の裁判により言い渡された[3]の期間内に犯されたものでない限りは,両者の刑の[4]の条件については,これを別異にすべき合理的な理由はない。即ち,後者(裁判の確定した罪)につき[5]の言渡が刑法25条1項によりなされたものであれば,前者(前記の余罪)についても,ひとしく同条項により,その[6]の条件が勘案せらるべきであり,そして,この場合には,同条項の「刑ニ処セラレタル」とは,[7]を言い渡された場合を指し,[8]の付せられた場合を包含しないものと解すべきことは,所論刑法改正の前後によって差異を生ずるものではない。なお.この場合前者と後者とは,法律上併合罪の関係に在ることをもって足りるのであって,訴訟手続又は犯行時期等の関係から,実際上同時に審判することが著しく困難若しくは不可能であるかどうか,又は同時に審判されたならば[9]を言い渡すことのできる情状があるかどうかというようなことは問題とはならないのである

D 同法25条1項1号によれば,3年以下の懲役若しくは禁錮又は5000円以下の罰金の言渡につき情状に因り刑の執行を猶予することができるのに,同条2項は,1年以下の懲役又は禁錮の言渡につき情状特に憫諒すべきものあるときにかぎり,刑の執行を猶予することができるものとしており,また同法25条の2,1項によれば,前者については,猶予の期間中保護観察に付することができるに過ぎないのに(同条項前段),後者については,猶予の期間中必らず保護観察に付さなければならない(同条項後段)こととなっているのであって,両者は,その処遇に寛厳の差の存することが明らかである

(参照条文)

刑法25条 左ニ記載シタル者3年以下ノ懲役若クハ禁錮又ハ5000円以下ノ罰金ノ言渡ヲ受ケタルトキハ情状ニ因リ裁判確定ノ日ヨリ1年以上5年以下ノ期間内其執行ヲ猶予スルコトヲ得

一  前ニ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコトナキ者

二  前ニ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコトアルモ其執行ヲ終リ又ハ其執行ノ免除ヲ得タル日ヨリ5年以内ニ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコトナキ者

前ニ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルコトアルモ其執行ヲ猶予セラレタル者1年以下ノ懲役又ハ禁錮ノ言渡ヲ受ケ情状特ニ憫諒ス可キモノアルトキ亦前項ニ同ジ但第25条ノ2第1項ノ規定ニ依リ保護観察ニ付セラレ其期間内更ニ罪ヲ犯シタル者ニ付テハ此限ニ在ラズ

同法25条ノ2第1項 前条第1項ノ場合ニ於テハ猶予ノ期間中保護観察ニ付スルコトヲ得前条第2項ノ場合ニ於テハ猶予ノ期間中保護観察ニ付ス

[61−59] 次の記述のうち,甲に( )内の罪が成立するものはどれか。

1. 甲は,生後3か月の実子乙を夫丙の下に残したまま家出したところ,その後丙が世をはかなみ自殺したため,乙は餓死した。(保護責任者遺棄致死罪)

2. 甲は,準禁治産者であって,乙がその事実を知れば金を貸してくれないことを承知しながら,殊更これを秘して乙に借金を申し込み,甲を能力者であると誤信した乙から現金100万円を借り受けた。(詐欺罪)

3. 甲は,他人の自動車が燃えているところを通りかかった際,消火活動中の消防職員から協力を求められたが,燃え広がれば面白いと思ってこれに応じなかったため,自動車ばかりか傍らの乙の住居まで全焼した。(鎮火妨害罪)

4. 甲は,留守中に見知らぬ乙が自宅の地下室に無断で浸入し,シンナーを吸って死んでいるのを発見したが,警察官に通報せず,そのまま放置した。(死体遺棄罪)

5. 乗客甲は,真冬の深夜,私鉄駅構内の暗がりで寝込んでいる酔客乙に気づき,凍死するかもしれないと思ったが,駅員に知らせなかったため,乙は凍死した。(過失致死罪)

[61−60] 判例は,数人共同して二人以上に対しそれぞれ暴行を加え,一部の者に傷害を負わせた場合には,傷害を受けた者の数だけの傷害罪と暴行を受けるにとどまった者の数だけの暴力行為等処罰ニ関スル法律第1条の罪が成立し,以上は併合罪として処断すべきである,としている。次の記述のうち,この考え方の論拠として適切でないものはどれか。

(参照条文)

暴力行為等処罰ニ関スル法律1条 団体若ハ多衆ノ威力ヲ示シ,団体若ハ多衆ヲ仮装シテ威力ヲ示シ又ハ兇器ヲ示シ若ハ数人共同シテ刑法第208条,第222条又ハ第261条ノ罪ヲ犯シタル者ハ3年以下ノ懲役又ハ500円以下ノ罰金ニ処ス

1. 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条の罪の基本となっているのは,暴行,脅迫,器物損壊という個人的法益を保護法益とする犯罪である。

2. 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条は,団体又は多衆の威力を背景とする行為等が暴力事犯を容易にするとともにそれによる法益侵害の程度,範囲も大きいので,これに対処するため規定されたものである。

3. 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条の罪の法定刑は,傷害罪のそれより軽い。

4. 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条は,犯行態様の悪質性,危険性等を理由に,暴行罪等の刑を加重したものである。

5. 暴力行為等処罰ニ関スル法律1条の罪は,その立法の経緯,犯行の態様等にかんがみると,社会的法益を主たる保護法益とするものである。

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