[63−41] 刑法第6条に関する次の記述のうち,正しいものは何個あるか。

(参照条文) 刑法第6条 犯罪後ノ法律ニ因リ刑ノ変更アリタルトキハ其軽キモノヲ適用ス

A 結果犯における結果発生後に,法律により刑の変更があったときは,新旧両法を比照することとなる。

B 強盗予備罪を犯した後,法律によりその刑の変更があり,その後進んで強盗罪の実行に着手したときは,強盗罪について刑法第6条を適用する余地はない。

C 犯罪行為の終了後に,法律により刑の変更があったときは,その後に処罰条件が完成しても,新旧両法を比照することとなる。

D 犯罪後の法律により2回以上刑の変更があった場合には,その最も軽いものを適用すべきである。

E 刑法第6条は,刑罰法規の遡及適用を禁止したものである。

1. 1個   2.2個   3.3個   4. 4個   5.5個

[63−42] 公務員が他の職務に転じた後,前の職務に関して賄賂が授受された場合に,転職によって具体的職務権限に相違を生じても,一般的,抽象的職務権限に同一性が認められるときには賄賂罪が成立するとする限定説と,職務権限の同一性の有無にかかわらず,賄賂の授受の時に,収受した者が公務員であれば賄賂罪が成立するとする非限定説の対立があるが,次の記述のうち,非限定説の論拠となるもの,あるいは限定説に対する批判となるものは何個あるか。

A 賄賂を収受する時に,現に公務員である以上,それが過去の職務に関するものであったとしても,収受の時点における職務あるいは将来の職務の公正さや,これに対する社会の信頼を害することになる。

B 賄賂罪が成立するためには,賄賂と職務に関する行為とが対価的関係に立つことを要するが,賄賂が職務行為そのものに対することを必ずしも必要とせず,職務と密接な関係を有する行為に対するだけで足りるものと解される。

C 一般的,抽象的職務権限の同一性の判断基準が必ずしも明確でないから,賄賂罪の成立範囲をあいまいにすることになりかねない。

D 刑法第197条第1項に「公務員…其職務ニ関シ賄賂ヲ収受シ…」とあるのに徴すれば,賄賂罪は収受の時点における公務員の職務行為との関連性を前提とするものであると解される。

E 公務員の身分を失った者についても,一定の場合,収賄罪が成立するのと比較し権衡を失することとなり,そうかといって,転職の場合を事後収賄罪として扱うのは,刑法第197条ノ3第3項が「公務員…タリシ者」としている文理にそわない。

1. 1個  2.2個  3.3個   4. 4個  5.5個

−[63−43]から[63−44]まで−

中止未遂に関する次の[63−43]と[63−44]の各問に答えよ。

[63−43] 現行刑法の中止未遂に関する規定は第43条但書であるが,この規定について,以下のような趣旨のもとに改正を考慮する場合,改正案として最も妥当なものはどれか。

(参照条文)刑法第43条 犯罪ノ実行ニ著手シ之ヲ遂ケサル者ハ其刑ヲ減軽スルコトヲ得但自己ノ意思ニ因リ之ヲ止メタルトキハ其刑ヲ減軽又ハ免除ス

@  中止未遂の規定は,障害未遂の規定とは別の条項に規定する。

A  中止未遂の態様には,いわゆる著手未遂と実行未遂があるが,この区別を法文上も明らかにする。

B  中止未遂の要件は,現行法どおり,自己の意思によることを要することとするが,いかなる場合に自己の意思によったものと認めるかは解釈に任せる。また,悔悟に出たものか否かによってその法律上の効果は区別しない。

C  中止未遂は,本来行為者の行為によって犯罪の成立が阻止された場合でなければならないが,行為者が犯罪の完成を阻止しようとして真剣な努力をした場合には,他の事情によって結果が発生しなかった場合にもその刑を減軽ないし免除するものとする。

1. 1項 自己の意思によって犯罪の実行を中止した者は,その刑を減軽し,又は免除する。

2項 行為者が,結果の発生を防止するに足りる真剣な努力をしたときは,他の事情によって結果が発生しなかった場合においても,前項と同じである。

2. 1項 自己の意思によって犯罪の実行を中止し,又は結果の発生を防止した者は,その刑を減軽し,又は免除する。悔悟によるときは,これを罰しないことができる。

2項 行為者が,結果の発生を防止するに足りる真剣な努力をしたときは,他の事情によって結果が発生しなかった場合においても,前項と同じである。

3. 1項 自己の意思によって犯罪の実行を中止し,又は結果の発生を防止した者は,その刑を減軽し,又は免除する。

2項 行為者が,結果の発生を防止するに足りる真剣な努力をしたときは,他の事情によって結果が発生しなかった場合においても,前項と同じである。

4. 1項 犯罪の実行に著手して,これを遂げなかった者は,未遂犯とする。ただし,自己の意思によって犯罪の実行を中止し,又は結果の発生を防止した者は,その刑を減軽し,又は免除する。

2項  行為者が,結果の発生を防止するに足りる真剣な努力をしたときは,他の事情によって結果が発生しなかった場合においても,前項と同じである。

5. 1項 自己の意思によって犯罪の実行を中止し,又は結果の発生を防止した者は,その刑を減軽し,又は免除する。

2項  行為者が,結果の発生を防止するに足りる真剣な努力をしたときは,前項と同じである。

[63−44] 次の事例のうち,上記改正の趣旨によっても中止未遂とならないものはどれか。なお,動機は,いずれも後悔など倫理的なものとする。

1. 母親が子供を殺そうと思って睡眠薬を飲ませた直後,医師を呼んで手当を受けさせたところ,睡眠薬が致死量に達していなかったために,子供は一命を取りとめた。

2. 火を放った直後,バケツに水を汲んで火を消そうとしたが,病弱なため一人では水を運ぶことができなかったので,大声で隣人を呼び,その助けを借りて火を消した。

3. 人を殺そうとして刃物で胸部を突き刺した直後,被害者を病院に運んで手当を求め,医師の手術で被害者は一命を取りとめた。

4. 共犯者とともに強盗の実行行為に著手した直後,警察に通報した上共犯者を制止していたところ,ガードマンが駆けつけたために,共犯者はやむなく犯行を断念した。

5. 火を放った直後,消防署に電話をかけ「火事だ。すぐ来てくれ。」と通報し,自分はその場から立ち去ったが,いち早く発見した隣人が火を消し止めた。

[63−45] 次の文章は,観念的競合に関する最高裁判所の判決の一部であるが,下記の記述のうち,この判例の趣旨に最も適合するものはどれか。

「刑法54条1項前段の規定は,1個の行為が同時に数個の犯罪構成要件に該当して数個の犯罪が競合する場合において,これを処断上の一罪として刑を科する趣旨のものであるところ,右規定にいう1個の行為とは,法的評価をはなれ構成要件的観点を捨象した白然的観察のもとで,行為者の動態が社会的見解上1個のものとの評価をうける場合をいうと解すべきである。ところで.本件の事例のような,酒に酔った状態で自動車を運転中に過って人身事故を発生させた場合についてみるに,もともと自動車を運転する行為は,その形態が,通常,時間的継続と場所的移動とを伴うものであるのに対し,その過程において人身事故を発生させる行為は,運転継続中における一時点一場所における事象であって,前記の自然的観察からするならば,両者は,酒に酔った状態で運転したことが事故を惹起した過失の内容をなすものかどうかにかかわりなく,社会的見解上別個のものと評価すべきであって,これを1個のものとみることはできない。したがって,本件における酒酔い運転の罪とその運転中に行われた業務上過失致死の罪とは併合罪の関係にあるものと解するのが相当である。」

1. 人を殺害した上その死体を他所に運搬して遺棄した場合は,殺人の目的に導かれた統一的な行為であって,社会的見解上1個のものと評価し得るから,観念的競合に当たる。

2. 殺人の目的で他人宅に放火し,睡眠中のその他人を焼死させた場合は,殺人は個人的法益を侵害するものであるのに対し,放火は社会的法益を侵害するものであるから,両者は社会的見解上1個のものと評価することはできず,観念的競合に当たらない。

3. 無免許運転の途中に速度違反をも犯した場合は,運転行為としては社会的見解上1個であるから,観念的競合に当たる。

4. トラックの運転を誤ってバスに追突した上そのバスを断崖から転落させたが,追突の際乗客の1名に,転落の際乗客の他の1名にそれぞれ傷害を負わせた場合は,行為の結果もまた社会的事象として広い意味の行為に含まれるから,観念的競合に当たらない。

5. 短刀を不法に所持した上これを用いて殺人を犯した場合に,不法所持は殺人の時点における短刀の使用以前から継続しているから,観念的競合に当たらない。

−[63−46]から[63−47]まで−

次の文章中の[ @ ]から[ C ]までに,後記AからDまでの記述のうちから適切なものを選んで入れた場合,一つの文章となる。これを前提にして,後記の[63−46]と[63−47]の問に答えよ。

「[ @ ]。したがって,[ A ]。しかし,[ B ]。また,[ C ]。」

A 例えば.他人の自転車を無断で一時使用した直後に返還した場合のように,一時使用の後原状のままで直ちに返還する意思をもって自己の占有に移す行為,すなわち[ ア ]は[ イ ]を欠くから[ ウ ]を構成しない

B [ イ ]の存否は,[ ウ ]と[ エ ]とを区別するメルクマールでもあるから,例えば校長を陥れるため,同人の勤務する小学校の校長室から卒業証書を持ち出して,自宅に隠匿するといったような,単に[ オ ]する意思をもって物を取るに過ぎないときは[ ウ ]を構成せず[ エ ]が成立するだけである

C [ イ ]の存在は,判例によれば[ ウ ]の主観的要件として必要であるとされる。それは一方において[ ウ ]を[ ア ]から区別し,他方において単に[ オ ]のみの目的で他人の物を取る行為を[ ウ ]から区別する機能をもつ

D [ ア ]の場合に[ イ ]が常に否定されるわけではなく,その行為が全体的にみて,被害者の意思に反する態様でなされた場合,例えば乗り捨てにする意思で他人の船を使用したとき,全く無関係の者の車を駐車場から無断で持ち出して長時間乗りまわしたときなどは[ イ ]が認められる

[63−46] 上記の[ @ ]から[ C ]までにあてはまるAからDまでの記述の組合せとして適切なものはどれか。

1.A B C D   2.B C D A   3.C D B A

4.D B C A   5.C A D B

[63−47] 上記の文章中の[ ア ]から[ オ ]までに次のAからHまでの各語のうち適切なものを入れた場合,入らないものの組合せとして正しいものはどれか。

A 窃盗罪  B いわゆる使用窃盗  C 窃盗の故意  D 横領罪

E 不法領得の意思 F 毀棄・隠匿  G 毀棄罪  H 不可罰的事後行為

1.C D H   2.C E F   3.D F H

4.C F H   5.B C G

[63−48] 次の文章は,刑法第8条に関するものであるが,[  ]に「刑法総則」,「行政刑罰法規」,「特別の規定」,「固有の刑法」の語のうちから最も適切なものを選んで入れた場合において,使用回数の多い方から二つを取り出したとき,その関係は後記1から5までのうちどれか。

(参照条文)刑法第8条 本法ノ総則ハ他ノ法令ニ於テ刑ヲ定メタルモノニ亦之ヲ適用ス但其法令ニ特別ノ規定アルトキハ此限ニ在ラス

「刑法典以外で刑を定めた法令を特別刑法というが,その中核をなすのは,行政的取締りの必要に基づく[  ]である。かつては,[  ]は[  ]と基本的性格を異にするもののように考えられ,行政的取締目的達成のために必要であるということで[  ]がかなり広範に存在していたが,[  ]もその基本的性格は[  ]と同一であると考えられている今日では,[  ]の範囲は,著しく減縮しており,いわゆる両罰規定の形式による事業主処罰規定が[  ]の主要なものである。もっとも,[  ]的色彩にとどまらず,刑事刑法的色彩を濃厚にもつといわれる,『人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律第5条』が,事業活動に伴う有害物質の排出と公衆の生命・身体に対する危険発生について,いわゆる因果関係の推定規定を設けたように,社会的要請に対応するために,新しいタイプの[ ]を設ける必要があることも否定できない。ところで,[  ]は明文上のものに限られるかどうかについては,判例は明文がなくても,法令の規定の性質上その規定の目的を達するため,[  ]の適用をを除外することが必要な場合も,[  ]があるときにあたるとする立場を明らかにしている。学説上,[  ]とは,明文上のものを意味するとする説もあるが,明文がなくても,その法令の趣旨,目的,規定の精神からみて解釈上[  ]の適用が除外される場合があるとして,判例と同じ立場をとるものが多い。」

1. 一方が他方より1回多い。   2.一方が他方より2回多い。

3. 一方が他方より3回多い。   4.一方が他方より4回多い。

5. 一方が他方より5回多い。

[63−49] 次の文章中の[  ]に「麻薬」,「覚せい剤」,「麻薬所持罪」,「覚せい剤所持罪」,「故意」,「認識」のうち適切な語を入れた場合,最も多く使用される語と最も少なく使用される語との使用回数の差はどれか。

(参照条文)麻薬取締法第28条第1項 麻薬取扱者,麻薬診療施設の開設者又は麻薬研究施設の設置者でなければ,麻薬を所持してはならない。但し.麻薬施用者から施用のため麻薬の交付を受け,又は麻薬小売業者から麻薬処方せんにより調剤された麻薬を譲り受けた者が,その麻薬を所持する場合は,この限りでない。(本条項違反の罪の法定刑……7年以下の懲役)

覚せい剤取締法第14条第1項 覚せい剤製造業者,覚せい剤施用機関の開設者及び管理者,覚せい剤施用機関において診療に従事する医師,覚せい剤研究者並びに覚せい剤施用機関において診療に従事する医師又は覚せい剤研究者から施用のため交付を受けた者の外は,何人も,覚せい剤を所持してはならない。(本条項違反の罪の法定刑……10年以下の懲役)

「本件において,被告人は,[  ]を[  ]と誤認して所持したというのであるから,[  ]を犯す意思で[  ]に当たる事実を実現したことになるが,両罪は,その目的物が[  ]か[  ]かの差異があり,後者につき前者に比し重い刑が定められているだけで,その余の犯罪構成要件要素は同一であるところ,目的物である[  ]と[  ]との類似性にかんがみると,この場合,両罪の構成要件は,軽い前者の罪の限度において実質的に重なり合っているものと解するのが相当である。被告人には,所持にかかる薬物が[  ]であるという重い罪となるべき事実の[  ]がないから,[  ]の[  ]を欠くものとして同罪の成立は認められないが,両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い[  ]の[  ]が成立し,同罪が成立するものと解するのが相当である。」

1.4回     2.3回     3.2回   4. 1回     5.0回

−[63−50]から[63−51]まで−

次の文章は,暴行後に金品奪取の意思を生じた場合の強盗罪の成否に関する控訴審裁判所の判決文の一部である。これを読んで,後記の[63−50]と[63−51]の各問に答えよ。

「原判決は,刑法236条1項の強盗罪の罪となるべき事実として,『前記暴行に引き続き.前記場所において,前記暴行により抵抗の気力を失ってその場にうずくまっている被害者に対し,“お前本当に金がないのか”と申し向けながら,同人の背広左内ポケットに手を差し入れてビニール製二つ折定期券入れを取り出したうえ,同人が抵抗できない状態にあるのに乗じて,右定期入れ在中の同人所有の1万円札1枚及び腕時計1個を強取し』と判示している。[ ア ]。[ イ ]。[ ウ ]。[ エ ]。そして右の暴行又は脅迫の行われたことは,もとより強盗罪の罪となるべき事実として具体的かつ明確に判示されなければならない。しかるに,原判決をみると,被告人が奪取の意思発生前に加えた暴行により畏怖している被害者の懐中に手を差し入れて,抵抗不能の状態にある同人から金品を取り上げた事実は判示されているが,右の判示では,財物奪取の意思を生じた後にその手段として暴行はもとよりなんらかの脅迫が行われたことも判示されているとはいいがたい。」

[63−50] 以下の各文のうち,上の文章中の[ ア ]から[ エ ]までに入らないものが一つある。それはどれか。

1. もっとも,この場合は,被害者はそれ以前に被告人から加えられた暴行又は脅迫の影響によりすでにある程度抵抗困難な状態に陥っているのが通例であろうから,その後の暴行・脅迫は通常の強盗罪の場合に比し程度の弱いもので足りることが多いであろう。

2. したがって,自己が生じさせた被害者の反抗不能の状態を利用し,それを新たな犯罪実現の手段とする意思で財物を奪取した場合は,その犯意発生前になされた暴行・脅迫は財物を奪取するための暴行・脅迫と法律上同一視されるものと解すべきである

3. また,前に被告人が暴行・脅迫を加えている関係上,被害者としては更に暴行・脅迫を加えられるかもしれないと考え易い状況にあるわけであるから,被告人のささいな言動もまた,被害者の反抗を抑圧するに足りる脅迫となりうろことに注意する必要がある

4. しかしながら,同条項の強盗罪は相手方の反抗を抑圧するに足りる暴行又は脅迫を手段として財物を奪取することによって成立する犯罪であるから,その暴行又は脅迫は財物奪取の目的を持ってなされるものでなければならない

5. それゆえ,当初は財物奪取の意思がなく,他の目的で暴行又は脅迫を加えた後に至って初めて奪取の意思を生じて財物を取得した場合においては,犯人がその意思を生じた後に,改めて被害者の抗拒を不能ならしめる暴行ないし脅迫に値する行為が存在してはじめて強盗罪の成立があるものと解すべきである

[63−51] 上記判決の見解に従った場合,次のアからオまでの甲の行為について,強盗罪が成立しないものはいくつあるか。

ア  甲は,日頃から虫のすかないAに対し暴行の意思で暴行を加えたところ,抵抗不能となったAが財布を差し出したので,この際これを取り上げようと考え,財布を受け取った。

イ  甲は,かねて恨みのあるAを脅迫しようとしてナイフをその胸元に突きつけたところ,Aがひどく怯えているのを見て,この際金品を取り上げようと考え,ナイフを突きつけたままAの背広のポケットから財布を抜き取った。

ウ  甲は,Aと喧嘩になり,同人に暴行を加えるうち,Aのはめていた腕時計が路上に落ちたのを見て,この際腕時計を取り上げようと考え,Aが抵抗できない状態にあるのをよいことにこれを拾い上げた。

エ  甲は,Aと喧嘩になり,同人に暴行を加えるうち,同人が抵抗不能になったのを見て,この際金品を取り上げようと考え,うずくまっているAの胸倉をつかんで立たせた上,背広のポケットに手を差し入れて財布を抜き取った。

オ  甲は,Aにガンをつけたとして暴行を加えたところ,同人が失神してしまったのを見て,この際金品を取り上げようと考え,何人から背広を剥ぎとった。

1. 1個     2.2個     3.3個   4.4個     5.5個

[63−52] 次の事例につき,甲,乙,丙,丁の刑事責任を問う場合の正い組合せはどれか。

甲,乙及び丙は,窃盗の被告人として某拘置所の同じ房に勾留されていたが,各人それぞれ逃走の計画を胸に秘めていた。甲は,房の合鍵を入手し隠し持って機会をうかがっていたが,結局逃走を諦め乙に合鍵を譲りその使用方法を教えた。そこで乙は,合鍵を錠穴に差し込もうとしたところ,担当看守丁が鍵を掛け忘れていたため扉が開いたので,乙は直ちに房から出て拘置所の裏門を乗り越え,タクシーで逃げた。丙はこれを奇貨として乙に続き房から出て拘置所の裏門を乗り越え飛び降りたところで,巡回中の看守Aに発見,逮捕された。他方丁は,鍵の掛け忘れに気付き房に戻ろうとした際,ちょうど乙と丙が房から出たところを目撃したが,かねて乙らに同情していたため,物陰からこの様子を見ていただけでなんらの処置もとらなかった。

(参照条文) 刑法第97条〔単純逃走〕 既決,未決ノ囚人逃走シタルトキハ1年以下ノ懲役ニ処ス

刑法第98条〔加重逃走〕 既決,未決ノ囚人又ハ勾引状ノ執行ヲ受ケタル者拘禁場又ハ械具ヲ損壊シ若クハ暴行,脅迫ヲ為シ又ハ二人以上通謀シテ逃走シタルトキハ3月以上5年以下ノ懲役ニ処ス

刑法第100条第1項〔逃走援助〕 法令ニ因リ拘禁セラレタル者ヲ逃走セシムル目的ヲ以テ器具ヲ給与シ其他逃走ヲ容易ナラシム可キ行為ヲ為シタル者ハ3年以下ノ懲役ニ処ス

刑法第101条〔看守者逃走援助〕 法令ニ因リ拘禁セラレタル者ヲ看守又ハ護送スル者被拘禁者ヲ逃走セシメタルトキハ1年以上10年以下ノ懲役ニ処ス

(注)上記各罪には未遂処罰の規定がある(刑法第102条)。

1. 甲 逃走援助 乙 単純逃走 丙 単純逃走未遂 丁 看守者逃走援助

2. 甲 犯罪不成立 乙 加重逃走 丙 加重逃走 丁 犯罪不成立

3. 甲 逃走援助 乙 加重逃走 丙 加重逃走未遂 丁 看守者逃走援助

4. 甲 犯罪不成立 乙 単純逃走 丙 単純逃走 丁 犯罪不成立

5. 甲 逃走援助 乙 加重逃走 丙 単純逃走未遂 丁 看守者逃走援助

[63−53] 犯罪の成立要件に関する次の文章中の[  ]に,後記AからGまでの文のうち適切なものを入れた場合,使用されない文はどれか。

「犯罪はそれに対して法律上刑罰が科せられている行為である。しかして,[  ]。[  ]。次に,[  ]。[  ]。更に,[  ]。[  ]。」

A 犯罪は法律上許されない行為でなければならない

B この法律上特定の行為として規定されている行為の類型を構成要件というから,犯罪は構成要件に該当する行為でなければならない

C 行為についてその行為者を非難しうるという性質を責任又は有責性というから,犯罪は有責な行為でなければならない

D 責任能力のない者の行為は,有責な行為とはいえない

E 犯罪は行為についてその行為者を非難しうるものでなければならない

F 法律上刑罰が科せられている行為は法律上特定の行為として規定されている

G この法律上許されないという性質を違法性というから,犯罪は違法な行為でなければならない

1.A   2.B   3.C   4.D   5.G

[63−54] 次のA群に掲げられた犯罪のうち,B群に掲げられた犯罪の種類のいずれにも該当しないものはいくつあるか。

A群 現住建造物放火罪 偽証罪 わいせつ文書所持罪 傷害致死罪

   監禁罪 強要罪 営利等拐取罪 窃盗罪 強盗強姦罪 背任罪

B群 身分犯 継続犯 危険犯 目的犯 結合犯

1.1個     2.2個     3.3個   4.4個     5.5個

[63−55] 次の文章中の(A)から(P)までに,「公共の安全」,「公共の危険」,「抽象的危険犯」,「具体的危険犯」,「現住建造物」,「非現住建造物」の各語句のうち,適切なものを入れた場合,(L)に入る語句が使用される回数は(L)を含めて何回か。

「放火罪の保護法益については,各種のものが考えられるが,自己所有に係る(A)や建造物以外の物に対する放火罪について(B)の発生を要件としていること及び法定刑の重いことにかんがみると,その第一次的な保護法益は(C)であるといえる。しかし,放火の客体が(D)である場合には,自己の所有物であるか否かによって,(E)となるか(F)となるかの違いがあり,その法定刑にも差があることを考慮すると,財産に対する罪の性格も有しているというべきである。更に(G)か(H)かによって法定刑に差異が生じることからすると,人の生命,身体に対する罪の性格をも有しているといえよう。ただ,放火罪の保護法益が第一次的には(I)であることからすれば,1個の放火行為で(J)と(K)とを焼燬しても(L)放火罪として処罰され,(M)に放火する目的で(N)に火を放ち,これを焼燬しただけで(O)に延焼しなかったときでも,(P)放火罪の未遂として処断されることになる。」

1.7回   2.6回   3.5回   4.4回   5.3回

[63−56] 次の問答は,甲の罪責に関する捜査官A・Bの会話である(ただし,[  ]はよく聞き取れなかった箇所とする。)。甲に成立すると考えられる犯罪は,次のうちどか。

A 一見して真正なものと見聞違うし,甲が[  ]した部分も[  ]の本質的部分だから,[  ]に当たると解してよい。

B しかし,我国の公務所のものではなく外国の公務所作成のものだから,[  ]罪に当たると考えるべきだろう。他の要件である事実証明の文書であることについては,問題がない。ところで,主観的違法要素である[  ]の存在に疑問はないのか。

A 道路交通法違反で検挙当時現に携帯していたのだから,存在したというべきだ。

B それでは,更に進んで[  ]罪は成立しないのか。

A その罪が成立すれば先の罪とは牽連犯になるわけだが,携帯だけでは[  ]には[  ]というのが判例だ。

B その犯行の前に,その物を,拾得者である乙からもらい受けている点はどうか。

A 乙の物でないことはもらい受けた時点で見当がついたはずだから,甲は[  ]であることは知っていたといってよいだろう。

1. 遺失物横領,虚偽公文書作成

2. 賍物収受,有印私文書偽造

3. 賍物収受,有印公文書偽造

4. 賍物収受,有印公文書偽造,偽造公文書行使

5. 遺失物横領,有印私文書偽造,偽造私文書行使

[63−57] 次のAからDまでの文を,「[  ]。しかし,[  ]。したがって.[  ]。これに対して,[  ]。」と並べると,集金人の犯罪に関する論述になる。後記1から5までのうち,その順序として最も適当なものはどれか。

A 集金人が会社の正規の領収書を使用して集金を行っている限り,集金人の内心の意思はともかく,客観的には会社の業務を遂行している状態が存するのであるから,集金金銭は一応有効に会社に帰属するとみるのが妥当であろう

B 集金人が集金金銭を会社に納入する意思なしに顧客から集金した場合は,もしその情を知っていたならば,顧客は集金人に金銭を交付しなかったであろうと言えるから,詐欺罪を構成するとみるのも一つの考え方である

C この場合には顧客の金銭を騙取したとみるべきではなく,集金にかかる会社の金銭の横領が問題となる。そして横領の成立時期は,会社の支配から完全に脱した時期,すなわち,業務の正常な運営の状態において集金金銭を会社に納付すべき時点までに納付しない状態が確定的に生じたときとみるべきであろう

D 退職した元集金人など,集金権限のない者が正規の集金人を装って顧客から代金を取得した場合は,集金した金銭は会社に帰属するわけではないから横領罪ではなく,詐欺罪を構成するものとみるべきである

1.B A C D    2.D B C A    3.A C B D

4.B C A D    5.D A C B

[63−58] 次の論述中の[  ]に後記1から5までの文章を入れると完結した論述となる。[  ]に入る文章として最も適切なものはどれか。

「賭博の常習性は,賭博を反覆累行する習癖をいい,行為者の属性として認められるものであるというのが,確定した判例であり,ここに習癖とは,性癖,習慣化された生活ないいし行動傾向,人格的,性格的な偏向などをいうと理解される。そして,[  ]。これを[  ]。更に,[ A ]。しかし,[  ]。例えば,[  ]。」

1. 賭博遊戯機を設置した遊戯場の営業者について考えると,営業を相当期間継続し,多数回にわたって賭博行為を反覆累行した場合には,その行為自体に照らして,営業者に賭博を反覆累行する習癖が獲得されたものと認めるのが相当である

2. 常習性を認定するに当たっては,行為者に賭博の前科があるというような特定の資料が要求されるものではなく当該賭博行為の態様や反覆の回数,期間,又は行為者の性行などに照らして,これを認定することも妨げないのである

3. 通常の遊戯機を設置した遊戯場の営業者が,一時的に賭博遊戯機を設置したにすぎない場合や,賭博遊戯機を設置した遊戯場の営業を単純な営利の意図から譲り受け,短期間これを継続したにとどまるような場合において,そのことから直ちに.当該営業者について賭博を反覆累行する習癖があるものと認定することは許されないのである

4. そのような期間を経過するに至らない場合においても,営業を始めた動機が賭博的興味,意欲などから出たものであるとか,営業者の性行,経歴,生活態度など諸般の事情を総合して,営業者に賭博を反覆累行する習癖があるものと認定しうる場合もありうる

5. 習癖として賭博を行うことと,営業として賭博を行うこととは別個の親念であるから,賭博遊戯機を設置した遊戯場の営業者について,常に賭博の習癖があるものとみることはできないものといわなければならない

[63−59] 次の事例中の甲の行為につき,後記アからオまでのうち,不可罰とされる行為の組合せとして最も適当なものはどれか。

甲は,A方から手提げカバンを窃取してきた上,同カバン在中のクレジットカード,密封した封筒入りの現金,B銀行発行のキャッシュカード,その暗証番号等をメモした手帳を取り出し,現金は封筒を破って抜き取り,クレジットカード,キャッシュカード,手帳と一緒に自己のポケットにしまい込み,カバンはナイフで切り裂いて川へ捨てた。その後甲はレストランに行き,上記の抜き取った現金で代金を支払って飲食し,次にB銀行に行き,上記の窃取したキャッシュカードを利用して自動支払機から現金を引き出し,さらにデパートへ行き,Aになりすまして,上記の窃取したクレジットカードを利用して毛皮のコートを購入した。

ア  密封した封筒を破って現金を抜き取った行為

イ  クレジットカードで毛皮のコートを購入した行為

ウ  抜き取った現金で代金を支払い飲食した行為

エ  カバンをナイフで切り裂き川へ捨てた行為

オ  キャッシュカードで現金を引き出した行為

1.ウ エ オ   2.ア イ エ   3.ア イ オ

4.ア ウ エ   5.イ ウ オ

[63−60] 次の文章は,自己の法律事件の示談解決を弁護士でない者に依頼し,その報酬を支払った事案に関するある判決の一部である。後記AからEまでの記述のうち,この判決の理解として適切でないものは何個あるか。

「弁護士法72条は,弁護士でない者が,報酬を得る目的で,一般の法律事件に関して法律事務を取り扱うことを禁止し,これに違反した者を,同法77条によって処罰することにしているのであるが,同法は,自己の法律事件をみずから取り扱うことまで禁じているものとは解されないから,これは,当然,他人の法律事件を取り扱う場合のことを規定しているものと見るべきであり,同法72条の規定は,法律事件の解決を依頼する者が存在し,この者が,弁護士でない者に報酬を与える行為若しくはこれを与えることを約束する行為を当然予想しているものということができ,この他人の関与行為なくしては,同罪は成立し得ないものと解すべきである。ところが,同法は,右のように報酬を与える等の行為をした者について,これを処罰する趣旨の規定を置いていないのである。このように,ある犯罪が成立するについて当然予想され,むしろそのために欠くことができない関与行為について,これを処罰する規定がない以上,これを,関与を受けた側の可罰的な行為の教唆若しくは幇助として処罰することは,原則として,法の意図しないところと解すべきである。そうすると,弁護士でない者に,自己の法律事件の示談解決を依頼し,これに報酬を与え若しくは与えることを約束した者を,弁護士法72条,77条違反の罪の教唆犯として処罰することはできないものといわなければならない。」

(参照条文)弁護士法第72条(抄) 弁護士でない者は,報酬を得る目的で訴訟事件,(中略)その他一般の法律事件に関して鑑定,代理,仲裁若しくは和解その他法律事務を取り扱い,又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。(後略)

同法第77条(抄) (前略),第72条(中略)の規定に違反した者は,2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

A この判決は,弁護士でない者に自己以外の他人の法律事件の解決を依頼した場合,弁護士法第72条違反の罪の教唆犯若しくは幇助犯が成立するか否かについては論及していない。

B この判決は,依頼人自身に弁護士法第72条にいう「報酬を得る目的」があり得ないことを前提とした上,目的のない者が目的犯に加功しても共犯にならないとの見解に依拠している。

C この判決の考え方からすれば,自己の法律事件の解決を弁護士でない者に依頼した者については,弁護士法第72条違反の罪の共同正犯にもならないこととなる。

D この判決のような考え方をとると,証憑湮滅罪は犯人が自ら行った場合罪にならないのであるから,犯人が他人を教唆して行わせた場合でも,同罪の教唆犯は成立しないこととなる。

E この判決の見解は,わいせつ文書販売罪における買主には,同罪の教唆犯若しくは幇助犯は成立しないとの考え方と同様の思考に基づくものといえる。

1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個

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