[H01−41] 次の文章は,ある最高裁決定の少数意見の一部である。この意見に対する次の各記述のうち,誤っているものの組合せはどれか。

「詐欺罪の規定(刑法246条)は,個人的法益としての財物または財産上の利益を保護するために設けられているものである。財物がたまたま国家や公共団体の所有に属していても,それが個人的法益であることにかわりはないから,これを騙取すれば詐欺罪が成立することは,もちろんである。これに反して,本来の国家的法益に向けられた詐欺的行為は,詐欺罪の構成要件の予想する犯罪定型の範囲に属しないものといわなければならない。」

A この見解は,詐欺罪が個人的法益としての財産的法益に対する罪であるから,国家的法益を害する行為までをも対象とするものではないとの見地に立つものである。

B この見解に立つと,欺罔手段によって旅券の交付を受けた者に対しては,詐欺罪が成立しないことの説明がつかない。

C この見解は,刑法における構成要件の定型性を重視する立場から説かれているものである。

D この見解によれば,納入の意思がないのに商品を納入する旨国の係官を欺き,その代金を受領したときは,詐欺罪が成立しない。

E この見解は,構成要件該当性の判断にあたって,保護法益が何であるかを重視する立場とは両立し得ない。

1.A D

2.B E

3.D E

4.B D E

5.C D E

[H01−42] 下記の事例のうち,甲について,( )内の犯罪の双方が,共に成立するものと,共に成立しないものとの組合せはどれか。

ア  甲は,Aが多額の株券を保有していることを聞知し,Aに対し,高額で他に売却してやると嘘を言って,Aに株券を交付させ,しばらく自ら保管したのち,他に売却したが,それによって得た金員をAに渡さない。(詐欺・横領)

イ  甲は,A所有の庭石を自己の物と偽って,Bに売却し,Bから代金の交付を受け,その庭石をA方からひそかに搬出し,Bの庭園に運び込んだ。(詐欺・窃盗)

ウ  甲は,A所有の土地を売買の目的としてBと売買契約を締結し,Bから手附金の交付を受けたが,その後にAから当該土地の所有権を取得することができないことが分かったのに,Bに手附金を返還しない。(詐欺・横領)

エ  甲は,友人のA宅を訪ねた際,Aの時計をこっそりと自己のポケットに入れようとしたところ,Aに気付かれたため,Aを数回にわたって殴りつけ,その反抗を抑圧して,時計を持って逃げた。(窃盗・強盗)

オ  甲はAに雇われている音であるが,自己のために費消するつもりであるのに,その意図を秘して,Bから新聞購読料金を集金し,これをAに納入せず自己の遊興に充てた。(詐欺・業務上横領)

1.ア イ     2.ア エ     3.イ ウ

4.ウ オ     5.エ オ

[H01−43] 教唆犯に関する次の記述のうち,甲の刑責につき明らかに誤っているものはどれか。(共犯従属性説によるものとする。)

1. 甲はAにBを殺すようにそそのかし,Aはその決意をしたが,CをBと誤認してCを殺害したときは教唆犯が成立する。

2. 甲がAに「刑務所に行ったら箔がつくから何かやってこい」とそそのかしたところ,Aがその気になって傷害を犯したときは教唆犯は成立しない。

3. 甲がA,Bの面前でAに強盗するようそそのかしたところ,Bは「おれがやる」と言い,甲は黙認したのでBがこれを実行に移したときは,教唆犯が成立する。

4. 甲はAに強盗をするようそそのかしたが,Aは自ら実行せずBに強盗をするようそそのかし,Bがこれを実行に移したときには,教唆犯は成立しない。

5. 甲はAに窃盗をするようそそのかし,これによりAは窃盗を決意したが,その後翻意し改めて自ら思い返して窃盗を犯したときは,教唆犯は成立しない。

[H01−44] 下記のアからオまでの記述のうち,次の文章の考え方と適合しないものは何個あるか。

「幇助罪は正犯の犯行を幇助することによって成立するものであるから成立すべき幇助罪の個数については,正犯の罪のそれに従って決定されるものと解するのか相当である。甲は,Aが2回にわたり覚せい剤を密輸入し,2個の覚せい剤取締法違反の罪を犯した際,覚せい剤の仕入れ資金を工面し,Aの右各犯行を幇助したのであるから,たとえ甲の行為が1個であっても,2個の覚せい剤取締法違反幇助罪が成立すると解すべきである。ところで,このように幇助罪が数個成立する場合において,それらが刑法54条1項にいう1個の行為によるものであるか否かについては,幇助犯における行為は幇助犯がした幇助行為そのものにほかならないと解するのが相当であるから,幇助行為それ自体についてこれをみるべきである。そして,甲の幇助行為は1個と認められるから,Aの罪が併合罪の関係にあっても,甲の覚せい剤取締法違反幇助の罪は観念的競合の関係にあると解すべきである。」

ア  甲がA及びBの各別の求めに応じ,窃盗を容易にするため,別個の機会に同人らにそれぞれC方の見取図を交付したところ,その後A及びBが共謀の上,C方で窃盗を行った場合に,甲につき2個の窃盗の幇助犯が成立し,併合罪となる。

イ  甲がAに対しあらかじめB方の見取図を交付し更に犯行当日刃物を貸与しAがこれらを使用して強盗を行った場合は,甲につき2個の強盗の幇助犯が成立し,併合罪となる。

ウ  甲がAに対し,2度にわたり凶器を貸与し,Aがそのつどこれを利用して2個の殺人を行った場合は,甲につき2個の殺人の幇助犯が成立し,観念的競合となる。

エ  甲がAに対し順次BCD3人の客を紹介しAのこれらの者に対するわいせつ物販売罪を容易にした場合,甲には3個のわいせつ物販売罪の幇助犯が成立し併合罪となる。

オ  甲がAに対し,B方及びC方への侵入用としてドライバーを貸与し,Aがこれを利用してB方及びC方にそれぞれ侵入した場合に,甲につき2個の住居侵入の幇助犯が成立し,観念的競合となる。

1.5個     2.4個     3.3個

4.2個     5.1個

[H01−45] いわゆる不真正不作為犯につき下記の規定を設けたとした場合,その解釈として妥当でないものはどれか。

「罪となるべき事実の発生を防止する責任を負う者が,その発生を防止することができたにもかかわらず,ことさらにこれを防止しないことによってその事実を発生させたときは,作為によって罪となるべき事実を生ぜしめた者と同じである。」

1. この規定は,故意の作為犯を不作為によって犯す場合を定めたものであり,過失犯には直接の適用はない。

2. この規定にいう「責任」は,法令上の根拠に基づくことを必要としない。

3. この規定は,そこにいう「責任を負う者」の不作為を常に作為と同視しようとするものではない。

4. この規定にいう「ことさらに」とは,故意のほかに積極的意図を必要とする趣旨である。

5. この規定は,そこにいう「罪となるべき事実」の発生が確実であるとの認識を必要とするものである。

[H01−46] 次の文章は,保護責任者遺棄致死罪に関する最高裁判決の一部であるが,以下のアからオまでの記述のうち,本判決の理解として適当でないものは何個あるか。

「原判決の是認する第一審判決の認定によれば,被告人は,産婦人科医師として堕胎の依頼を受け,自ら開業する医院で妊娠26週に入った胎児の堕胎を行ったものであるところ,右堕胎により出生した未熱児(推定体重1000グラム弱)に保育器等の未熟児医療設備の整った病院の医療を受けさせれば,同児が短期間内に死亡することはなく,むしろ成育する可能性のあることを認識しかつ,右の医療を受けさせるための措置をとることが迅速容易にできたにもかかわらず,同児を保育器もない自己の医院内に放置したまま,生存に必要な措置を何らとらなかった結果,出生の後54時間後に同児を死亡するに至らしめたというのであり,右の事実関係のもとにおいて,被告人に対し業務上堕胎罪に併せて保護責任者遺棄致死罪の成立を認めた原判決は,正当としてこれを是認することができる。」

(参照条文) 刑法第218条第1項 老者,幼者,不具者又ハ病者ヲ保護ス可キ責任アル者之ヲ遺棄シ又ハ其生存ニ必要ナル保護ヲ為ササルトキハ三月以上五年以下ノ懲役ニ処ス

ア  この判決は,堕胎によって出生した未熟児については,常に医師に「保護ス可キ責任」が生ずるとしたものである。

イ  この判決は,堕胎によって出生した生育する可能性のない未熟児は,刑法上の「人」にあたらないとしたものである。

ウ  この判決は,堕胎によって出生した生育する可能性を有する未熟児が遺棄罪の客体になることを前提としたものである。

エ  この判決は,医師において,未熟児が短期間内に死亡することはないと認識している限り,保護責任者遺棄致死罪が成立するとしたものである。

オ  この判決は,医師が生育する可能性を有する未熟児を放置して死亡させた場合は,常に,保護責任者遺棄致死罪にあたり,殺人罪にはあたらないとするものである。

1.1個     2.2個     3.3個

4.4個     5.5個

[H01−47] 次の文章は,自動車を運転する際に偽造による運転免許証を携帯するだけで,偽造公文書行使罪が成立するか否かについてのAとBの問答である。次のABの問答のうち,論理的に妥当でないものはどれか。

1. A 偽造公文書行使罪にいう行使とは,文書を真正に成立したものとして他人に提示,交付するなどして,その閲覧に供することをいうと解すべきである。従って,偽造した運転免許証を携帯しているだけでは,行使があったものとはいえない。

2. B A君のいう行使はせますぎるのではないだろうか。自動車の運転者は免許証を携帯する義務があり,警察官の求めがあればいつでも提示しなければならないので,携帯しているだけで,真正な公文書として使用しているものといえるんじゃないか。

3. B 君の立場に立つと,不動産登記簿のような場合には,公務所に備えつけさせただけでは行使があったとはいえないことになるが,それは一般の常識に反するんじゃないか。

4. A 不動産登記簿の場合には,公務所に備えつけさせるだけで,一般人が閲覧しうる状態にあるといえるのであるから,免許証の場合と同様に論ずることはできない。

5. A 免許証を携帯しているだけの場合は,偽造公文書行使の未遂で処罰しうるのだから,行使にあたらないとしても,特に不都合はない。

[H01−48] 次の文章は,賄賂罪に関するものであるが,[A]から[C]までの中に,それぞれこれに対応する@,Aの文章のうち適切なものを入れた場合,正しい組合せとなるものはどれか。

「賄賂罪の本質は公務の不可買収性にある。蓋し,公務員が賄賂を収受することにより公務の公正さに対する信頼が失われることになるので処罰の必要があるのである。この処罰理由に徴して考えると,[A]。したがって職務行為と密接な関係にある行為について公務員が賄賂を収受した場合も収賄罪として処罰されるべき十分な理由かある。判例が一貫して刑法197条の「職務ニ関シ」の意義を職務行為及び職務に密接な関係のある行為と解してきたのは,公務員が賄賂を収受することによって公務の公正を損わせるかどうかという点に着目して,その虞れのない公務員の私的行為との間に限界づけをしたものと思う。そして,職務に密接な行為,というためには,[B],社会通念上職務行為として認められ,行われているものをいうのであって,そのような行為として認定するためには,[C],公務を左右する性格をもつ行為かどうか,公務の公正さを疑わせるかどうかの視点が基準となる。」

A @ 賄賂は当該公務員の職務行為それ自体と対価関係に立つことが必要である

  A 賄賂は当該公務員の職務行為それ自体と対価関係に立つことか必ずしも必要でない

B @ 本来の職務行為とは認められないとしても職務行為と関連があり

  A 本来の職務行為とは認められず,職務行為と関連性かなくても

C @ 当該公務員の職務権限と実質的な結び付きがあるかどうか

  A 当該公務員の職務権限と実質的な結び付きかあるかどうかは問題とならず

1. A@ B@ C@

2. A@ B@ CA

3. A@ BA C@

4. AA B@ C@

5. AA BA CA

[H01−49] 次の文章は,ある判決文の一部である。この判決文の[ ]のうちの[ア]と[イ]に入る語として最も適切な組合せはどれか。

「思うに,講学上いわゆる[ア]を刑事司法上採用すべきかどうかは慎重な検討を要することである。もっとも,最高裁昭和48年4月25日全農林事件大法廷判決は,ある罰則の『構成要件に該当する行為であっても,具体的事情のいかんによっては法秩序全体の精神に照らし許容されるものと認められるときは,刑法上違法性が阻却されることもあり得る』としており,同趣旨のことを述べた最高裁判決も少なくない。しかし,これらはむしろ,特定の場合において,いわゆる[ ]が適用される余地のあることを宣明したものと解するのを妥当としよう。そして,当裁判所も右判例に従うとともに,かかる場合に該当するためには,当該行為の目的が正当として社会的に是認され,手段態様が相当で,法益侵害の程度が軽微であること等の要件が少なくとも具備されていることを要するものと考える。ただし,この[ ]も,[ ]も,ともに結局において[イ]を共通の基盤とするもので,後者は前者に包含されるか,または両者接着して位置付けられるものであって,その判断基準はほとんど類似するものがある。」

1. ア 超法規的違法性阻却事由の理論  イ 実質的違法性論

2. ア 可罰的違法性の理論       イ 客観的違法性論

3. ア 客観的違法性論         イ 実質的違法性論

4. ア 可罰的違法性の理論       イ 形式的違法性論

5. ア 社会的相当性の理論       イ 客観的違法性論

[H01−50] 次の文章は,ある下級審判決の要旨である。[ ]内に下記に列挙した語のうち,最も適切なものを入れた場合,3回用いられるものはどれか。

「[ ]の[ ]が存在しないのに,[ ]の[ ]があるものと認識して,[ ]を行った場合に,右[ ]が相当であったときは,いわゆる[ ]として事実の[ ]により[ ]が阻却され,犯罪は成立しないものと解するのか妥当である。しかし,[ ]が相当性を欠き,過剰にわたるものであるときは,少なくとも[ ]の相当性を基礎づける事実につき,[ ]の存しない場合においては,事実の[ ]として[ ]の阻却は認められないものと解するのが相当である。ただこの場合においては[ ]との均衡上,[ ]に関する刑法36条2項の規定に準拠して,刑の減軽又は免除をなし得るものと解するのが相当である。」

(ア) 正当防衛  (イ) 錯誤    (ウ) 急迫不正  (エ) 防衛行為

(イ) 故意    (カ) 誤想防衛  (キ) 侵害    (ク) 過剰防衛

1. イ        2.エ           3.オ

4. イとエ      5.ウとキ

−[H01−51]から[H01−52]まで−

次の文章は,強盗致傷罪における傷害の意義に関する一つの見解であるか,これを読んで後記[H01−51]及び[H01−52]の各問に答えよ。

「刑法における傷害とは,一般に他人の身体の生理的機能を害しあるいは他人の身体の状態を不良に変更した場合を指すものとされているが,これは医学上の概念ではなく法律上の概念であり,いかなる程度の生理的機能の障害等をもって刑法各本条の傷害と認めるべきかには,その立法趣旨,構成要件の内容に照らし,おのずから合理的差異があるものといわなければならない。(ア)。(イ)。(ウ)。したがって,(エ)。刑法上同一の文言が各構成要件によって異なった意味に解されるということは,他にもその例をみるところであって,あえて異とするに足りない。」

A そのような結果は,傷害罪における傷害とはなり得ても,強盗傷害罪においては,暴行に伴う当然の結果であって,暴行行為のうちに含めて解するのを相当と考える

B 強盗傷害罪にあっては,単純強盗罪の法定刑が5年以上の懲役であるのに対し,無期又は7年以上の懲役という重刑をもって処断している法意を考えると,そこにいう傷害は,傷害罪のそれよりも幾分高度のものであることを要すると解すべきである

C 日常生活において通常生じがちであって特に通院加療を要しない程度の損傷,例えば,本人が痛痒をあまり感じない程度の軽微な腫脹や比較的短時間に快癒する疼痛などは,強盗致傷罪にいう傷害をもって論ずることはできない

D 強盗罪の構成要件としての暴行は被害者の反抗を抑圧する程度のものであることを必要とするが,その程度の外力が身体のいずれかの部分に作用する場合には,厳密に検査すれば軽微な損傷の結果を発生させているのがむしろ一般である

[H01−51] (ア)から(エ)までにAからDまでの文章のうち適当なものを一つずつ選んで入れる場合,最も適切な順序は1から5の組合せのうちどれか。

1.A B C D     2.BADC

3.B C A D     4.BDAC

5.C B A D

[H01−52] この見解に関する次の記述のうち,明らかに妥当でないものはどれか。

1. この見解は,刑罰法規の目的論的解釈を志向するものである。

2. この見解によると,強盗の機会に負傷させた事案につき,執行猶予を付することができる範囲が拡大される。

3. この見解にいう,刑法上同一の文言が各構成要件によって異なった意味に解される例としては,他に「脅迫」を挙げることができる。

4. この見解の趣旨は,強姦致傷罪における「傷害」にも当てはまり得る。

5. この見解は,強盗の機会に生じた「傷害」と,強盗行為により生じた「傷害」の区別を志向するものである。

[H01−53] 窃盗を決意した者が,犯行が発覚した場合に財物の取還を拒ぎ,又は逮捕を免れ,若しくは罪跡の湮滅を目的として暴行,脅迫を加えるため凶器を準備した場合,強盗予備罪が成立するかという問題がある。次の記述はこの点に関するAとBとの会話の一部であるが,[1]から[21]に「窃盗」,「強盗」,「強盗予備」,「事後強盗」の語のうちから最も適切なものを選んで入れた場合,使用回数の最も多い方から二つ取り出したとき,その関係は後記1から5までのうちどれか。

A 「まず,条文の配列を見るといい。[1]罪は,[2]罪の直後に置かれ,[3]罪は,それより更に後に置かれているだろう。他の予備罪の規定をみても,配列上それより後に置かれた罪の予備を処罰するものは,見あたらない。」

B 「単なる条文の配列や文理解釈から,単純な[4]の意図を超えた[5]の意図が[6]罪にいう「[7]ノ目的」に含まれないとするのはおかしい。だって,[8]と[9]とは,類型的にも現象的にも類似しているし,危険性という点でも特に異なったところもないだろう。だから,刑法上[10]を[11]と同等に取り扱おうとしているんたよ。」

A 「しかし,条文の「[12]ノ目的」は,本来不確定的なものではだめだと思う。[13]の意図というのは第一次的には[14]の意図しかなく,暴行,脅迫の意図は第二次的なものではないか。だから,「[15]ノ目的」には含まれないと思うよ。」

B 「先程言ったように[16]は刑法上[17]と同じ扱いを受けているだろう。だから,たとえ二次的であっても暴行,脅迫の意図が確定的であれば問題ないはずだよ。」

A 「それにしても,[18]は,そもそも一種の身分犯というべきだ。その身分を取得していない者に予備行為などあり得ないよ。」

B 「身分犯というのは理由にならないよ。およそ予備というのは,犯罪の実行行為に着手する前に特定の犯罪の準備行為をするいりものだから[19]の構成要件の一部である[20]に着手していないため,身分を取得していないからといって,[21]罪の成立を云々するのはおかしいと思うよ。」

1. 同数である。

2. 一方が他方より1回多い。

3. 一方が他方より2回多い。

4. 一方が他方より3回多い。

5. 一方が他方より4回多い。

[H01−54] 甲は,窃盗の目的で,妻子が旅行中のA方に侵入して金庫を開けようとしていたところをAに発見されて組みつかれたので,捕えられては大変だと思って突き飛ばしたところ,Aは暖炉の角に後頭部をぶつけ脳内出血を起こして死亡した。これを見た甲は大変なことになったと思い,A宅に放火して逃げさり,A宅は全焼した。甲の犯罪は次のうちどれか。

1. 住居侵入,窃盗未遂,傷害致死,非現住建造物放火

2. 住居侵入,事後強盗,傷害致死,現住建造物放火

3. 住居侵入,強盗,傷害致死,現住建造物放火

4. 住居侵入,強盗致死,現住建造物放火

5. 住居侵入,強盗致死,非現住建造物放火

[H01−55] 下記は,文書偽造罪について記したものである。(ウ)から(ク)までには2種類の語句が入るが,(ア)に入るのと同じものが入るのはどれか。

「文書の作成名義の真正を偽る行為を文書偽造として処罰する立法主義を(ア)といい,真実と異なる内容の文書を作成する行為を処罰する立法主義を(イ)という。作成した本人が文書の名義人の承認を得ていた場合には,(ウ)によれば一般には文書偽造罪は成立しない。債権者が債務者から借用した借用書を紛失し,勝手に債務者名義の借用書を作成した場合,(エ)によれば,私文書偽造罪を認めるのに対し,(オ)によればこれを認めないことになる。またこの区別によれば,(カ)が有形偽造を,(キ)が無形偽造をそれぞれ処罰の対象とすることになる。昭和62年5号法改正で新たに設けられた,刑法161条ノ2によれば,電磁的記録を不正に作成した者は処罰されるが,例えば,商店主が脱税の目的で自己の取引上の帳簿である磁気ファイルに虚偽の記録を作成することは,(ク)の趣旨からは不可罰である。」

1. ウ オ キ ク

2. エ カ ク

3. ウ エ カ ク

4. ウ エ カ

5. ウ エ キ ク

[H01−56] 次の文章は,ある決定に関する評論である。[ ]に,「殺人既遂罪」,「殺人未遂罪」,「業務上過失致死罪」又は「業務上過失致傷罪」のいずれかの語句を入れて文章を完成させた場合,それぞれの語句が用いられる個数の組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

「被告人は,山小屋にいた狩猟仲間を物音や影の動きなどから熊と誤認し,猟銃2発を連続して発射し命中させた。その直後,被告人は誤射に気づいたか,間もなく被害者が死亡すると考え,目撃者がいないところから,被害者を殺害して逃走しようと決意し,3発目を胸部に命中させて死亡させた。しかし,検証の結果,被害者は3発目の銃弾を受けなくても,1〜2発目のみで数分後には死亡する致命傷を負っており,3発目の傷は,半日〜1日後に死亡させる程度のものと判明した。この事案において最高裁は,甲に[ ]と[ ]の併合罪を認めた控訴審判決を肯定したが,この結論は是認できるものといえよう。すなわち,3発目の発射による攻撃は,被害者の死期を早めたものとして,死の結果と因果関係がある以上,[ ]として論ずることになるのであり,そのように評価すれば,論理の必然として,1〜2発目の発射による攻撃は,[ ]と評価することになる。これに対しては,[ ]と[ ]の併合罪ではないかとする反対説がある。1〜2発目の発射による攻撃を[ ]ではなく,[ ]だとするのは,客観的にみて死の結果は明らかに1〜2発目から生じたはずであると解される以上,その間には因果関係が肯定され,[ ]に問擬すべきとするからである。これを[ ]とするのは,1〜2発目が致命傷であったことを見落としており妥当でないとする。そのように評価すれば,3発目の発射による攻撃と死の結果との間には因果関係がないことになる。これに[ ]の成立を認めると,死の結果を二重に評価することになり妥当でないとする。いずれにせよ,死の結果が,1〜2発目の発射による攻撃によるのか,3発目の発射による攻撃によるのかが明らかでない場合には,前者を[ ],後者を[ ]と認めることになるであろう。そうすると,死の結果の評価を欠くことになるが,因果関係の点からやむを得ないであろう。」

 殺人既遂罪   殺人未遂罪   業務上過失致死罪   業務上過失致傷罪

1. 4個      3個       2個         4個

2. 3個      2個       3個         5個

3. 3個      1個       4個         5個

4. 4個      1個       2個         6個

5. 4個      2個       3個         4個

[H01−57] 次のAからDまでの各行為には[ ]中に適切な国名を入れると,すべてにつき我が国の刑法が適用される。この場合,「フランス」を最大限何個入れることかできるか。

A [ ]人がフランスにおいて日本銀行券を偽造した。

B 大阪市に住所を有する[ ]人が韓国に旅行中,同行した[ ]人から現金を騙取した。

C 在スペインの[ ]国一等書記官がスペインにおいて[ ]人から,職務に関し賄賂を収受した。

D [ ]人がインド上空を飛行中の日本航空機内で[ ]人を殴打し,傷害を負わせた。1.5個   2.4個   3.3個

4. 2個   5.1個

(参照条文 抄)刑法第1条第1項 本法ハ何人ヲ問ハス日本国内ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ之ヲ適用ス

第2項 日本国外ニ在ル日本船舶又ハ日本航空機内ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ付キ亦同シ

第2条  本法ハ何人ヲ問ハス日本国外ニ於テ左ニ記載シタル罪ラ犯シタル者ニ之ヲ適用ス

第4号 第148条〔通貨偽造,偽造通貨行使〕ノ罪及ヒ其未遂罪

第3条  本法ハ日本国外ニ於テ左ニ記載シタル罪ヲ犯シタル日本国民ニ之ヲ適用ス

第14号 第246条乃至第250条〔詐欺・背任・恐喝・未遂〕ノ罪

第4条  本法ハ日本国外ニ於テ左ニ記載シタル罪ヲ犯シタル日本国ノ公務員ニ之ヲ適用ス

第3号 第193条〔公務員職権濫用〕,第195条第2項〔看守護送者暴行陵虐〕,第197条乃至第197条ノ4〔収賄〕ノ罪及ヒ第195条第2項〔看守護送者暴行陵虐〕ノ罪ヲ犯シ因テ人ヲ死傷ニ致シタル罪

−[H01−58]から[H01−59]まで−

次の文章を読んで,後記[H01−58]及び[H01−59]の各問に答えよ。

「思うに,( )の犯罪遂行の途中からこれに共謀加担した( )に対し( )の行為等を含む当該犯罪の全体につき共同正犯の成立を認め得る実質的根拠は,( )において,( )の行為等を( )の犯罪遂行の手段として積極的に利用したということにあり,これ以外には根拠はないと考えられる。したがって.いわゆる承継的共同正犯が成立するのは,( )において,( )の行為及びこれによって生じた結果を認識・認容するに止まらず,これを( )の犯罪遂行の手段として積極的に利用する意思のもとに,実体法上の一罪(狭義の単純一罪に限らない。)を構成する( )の犯罪に途中から共謀加担し,右行為等を現にそのような手段として利用した場合に限られると解するのが相当である。」

[H01−58]上記( )内には二種類の語が入るが,それぞれに一語ずつ入れた場合,その回数の差は何回か。

1.4回     2.3回     3.2回

4.1回     5.0回

[H01−59]上記見解に従った場合,次の事例のうち甲につき承継的共同正犯が成立すると認められるものは何個あるか。

ア  甲は,AがBを縛り上げて反抗を抑圧し財布を奪うのを物陰で見ていたが,Aが立ち去った後,Bが抵抗できない状態にあることを利用して腕時計を奪った。

イ  甲は,Aが強姦目的でB女に暴行を加えその反抗を抑圧している現場を目撃し,Aと意思を通じてAに続いて姦淫した。

ウ  甲は,AがBを欺岡して売買代金名下に翌日金員を受け取る約束をしたことを知り,分け前にあずかるつもりでその旨Aに申し入れAの了承を得て翌日Bからその金員を受領した。

エ  甲は,Aが行使の目的をもって通貨を偽造したことを知り,それでひと儲けしようと考えAと共にその偽造通貨を行使した。

オ  甲は,AがB宅の玄関に火を放ってその屋根を燃え上がらせたのを目撃しAと意思を通じて自らもB宅裏口に火を放ちB宅を全焼させた。

1.5個     2.4個     3.3個 

4.2個     5.1個

[H01−60] 次の文章は,いわゆる両罰規定の適用に関する最高裁判所の決定の一部である。[ア]から[ケ]の中に適切な条項を入れた場合,正しい組合せはどれか。

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「法」という。)[ア]は,[イ]の場合を除き,産業廃棄物の収集,運搬又は処分を業として行おうとする者は,当該業(以下「産業廃棄物処理業」という)を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならないとし,法[ウ]は,右[エ]の規定に違反した者を処罰する旨定めている。ところで,本件において知事の許可を受けるべきであった者は,産業廃棄物処理業を行おうとした原判示廃棄物処理協同組合であり,したがってまた,法[オ]の規定に違反した者は右組合であるから,同組合の代表理事である被告人は直接法[カ]によって処罰されるわけではない。しかし,被告人は,右組合の業務に関し法[キ]の違反行為をしたのであるから,法[ク]に「(略)」とあることにより,右罰則の適用を受けるものと解すべきである。したがって,原判決が被告人の本件所為に対しては法[ケ]を適用すべきでないとしているのは誤りである」

(参照条文)第7条第1項 前条第1項に規定する区域内においては,その区域を管轄する市町村長の許可を受けなければ,一般廃棄物の収集,運搬又は処分を業として行ってはならない。ただし,事業者がその一般廃棄物を自ら運搬し,又は処分する場合,もっぱら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集,運搬又は処分を業として行う場合その他厚生省令で定める場合は,この限りでない。

第12条第1項 事業者は,その産業廃棄物を自ら運搬し,若しくは処分し又は産業廃棄物の処理を業として行うことのできる者に運搬させ,若しくは処分させなければならない。ただし,都道府県又は市町村が行う産業廃棄物の収集,運搬又は処分に関する業務の提供を受ける場合は,この限りでない。

第14条第1項 産業廃棄物の収集,運搬又は処分を業として行おうとする者は,当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし事業者がその産業廃棄物を自ら運搬し,又は処分する場合,もっぱら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集,運搬又は処分を業として行う場合その他厚生省令で定める場合は,この限りでない。

第25条  第7条第1項,第9条第1項若しくは第14条第1項の規定に違反し,又は第7条第6項(中略)の規定による命令に違反した者は,1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。

第26条  法人の代表者又は法人若しくは人の代理人,使用人その他の従業者が,その法人又は人の業務に関し,第25条から前条までの違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対しても,各本条の罰金刑を科する。

  ア イ ウ エ オ カ キ ク ケ

1 12条1項 同条但書 25条 12条1項 25条 25条 25条 25条 25条

2 14条1項 同条但書 25条 14条1項 14条1項 25条 25条 29条 29条

3 7条1項 同条但書 25条 7条1項 25条 25条 29条 25条 29条

4 12条1項 同条但書 25条 12条1項 12条1項 25条 29条 29条 29条

5 14条1項 同条但書 25条 14条1項 14条1項 25条 14条1項 25条 25条

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