[H05−41] 次のAからDまでの事例と,刑法第244条の適用に関する下記TからVまでの見解と,後記@からBまでの帰結を組み合わせたものとして最も適切なものはどれか。

〔事例〕

A 犯人は妻と二人暮らしであるが,妻の父甲方でカメラを盗んだ。これは甲と同居している妻の弟の所有物であった。

B 犯人は父と二人暮らしであるが,父が経営する時計店の金庫から時計を盗んだ。これは犯人とは親族関係のない顧客が修理を依頼して預けたものだった。

C 犯人は父の妹乙と二人暮らしであるが,乙が自室で愛用していたラジオを盗んだ。これは乙の所有物ではなく,犯人の父が乙に貸したものだった。

D 犯人は父と二人暮らしであるが,父丙の家に忍び込んで,宝石を盗んだ。これは丙のみの所有物ではなく,犯人とは親族関係のない丁が丙と共同で購入した共有物であり,転売するまでの間丙が預かって管理していたものだった。

〔見解〕

T 犯人と所有者との間に親族関係があれば適用され,占有者との関係は問わない。

U 犯人と占有者との間に親族関係があれば適用され,所有者との関係は問わない。

V 犯人と所有者及び占有者の双方との間に親族関係がある場合のみ適用される。

〔帰結〕

@  刑の免除はなく,告訴も不要である。

A  刑が免除される。

B  告訴がなければ,処罰できない。

   A  B  C  D

1. T@ T@ U@ TA 

2. TB V@ TA U@ 

3. UB U@ UA TA 

4. UB T@ UA UA 

5. VB TA VB V@ 

(参照条文)

刑法第244条 直系血族,配偶者及ヒ同居ノ親族ノ間ニ於テ第235条ノ罪,第235条ノ2ノ罪及ヒ此等ノ罪ノ未遂罪ヲ犯シタル者ハ其刑ヲ免除シ其他ノ親族ニ係ルトキハ告訴ヲ侍テ其罪ヲ論ス

親族ニ非サル共犯ニ付テハ前項ノ例ヲ用ヒス

[H05−42] 間接幇助(正犯を幇助する者をさらに幇助すること)の可罰性について,A説及びB説があるものとする。各説に関するアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せはどれか。

A説 間接幇助は,正犯の実行を容易にしている以上,直接幇助と実質的に変わらず,間接的であるが正犯の実行を幇助したことになる。従って,間接幇助者は,直接幇助者とともに,刑法第62条第1項「正犯ヲ幇助シタル者ハ従犯トス」の「正犯」を幇助したものとして処罰されると解すべきである。

B説 間接幇助者と正犯の間に直接幇助者が介在する以上,間接幇助者は直接幇助者を幇助したにすぎない。そして,間接教唆については,刑法第61条第2項「教唆者ヲ教唆シタル者亦同シ」の処罰規定があるのに,間接幇助については,その規定を欠くのであるから不可罰と解すべきである。

ア  A説によって,間接幇助を処罰する場合には,当然刑法第63条「従犯ノ刑ハ正犯ノ刑ニ照シテ減軽ス」により二回減軽することになる。

イ  B説においては,間接幇助者について,正犯を幇助する意思の有無は問題とならない。

ウ  A説・B説いずれの説に立っても共犯従属性説の立場からは,幇助行為は,実行行為ではなく刑法第62条第1項の「正犯」には含まれないことになる。

エ  B説に立つ限り,情を知らない者を使って,正犯を幇助した者も間接幇助として不可罰とするほかはない。

オ  A説に立つと,間接幇助者は,正犯の実行行為の存在さえ知ればよく,誰が正犯者かを知らなくとも処罰されると解することができる。

1.ア イ  2.ア エ  3.イ ウ  4.ウ オ  5.エ オ

[H05−43] 次の学生A,B及びCの会話は,「甲が乙時計店で腕時計を窃取したところ,それに気付いた乙に逮捕されそうになったが,甲の窃取行為を見ていた丙が,甲と意思を通じて,その逮捕を免れさせる目的で乙に暴行を加えて同人を負傷させた。」という事例に関するものである。その発言の中で明らかに適切でないものはどれか。

@  A:まず,事後強盗罪は身分犯かどうかだが,僕は身分犯ではないと解している。

A  B:事後強盗罪は,窃盗犯人を主体とするものだから,身分犯だよ。

B  C:僕も身分犯だと思うね。

C  A:ところで事後強盗罪は結合犯であって,丙は甲の窃盗がなされた後,途中から関与しているから,承継的共同正犯が問題になるね。

D  C:事後強盗罪の実行行為は暴行の時点で始められたと見るべきだから,承継的共同正犯の問題ではないよ。共犯と身分の問題だよ。

E  B:そうかなあ。僕は身分犯であっても,まず承継的共同正犯の成立を認め,その上で,共犯と身分の規定を適用すべきだと思うよ。

F  A:僕は,丙に承継的共同正犯の成立を認めるので,身分犯の問題は考えなくてよいと思う。

G  C:僕は,事後強盗罪が不真正身分犯であると考えるので,丙は,刑法第65条第1項,第2項の適用を受けることになる。

H  B:僕は,真正身分犯だと思う。したがって,丙は,刑法第65条第1項の適用は受けることになる。

I  A:僕の考えだと,丙については,刑法第65条第1項,第2項とも適用がなく,刑法第60条を適用して事後強盗致傷罪を認めることで足りる。

J  B:僕の結論も丙に事後強盗致傷罪を認めることになる。

K  C:僕の考えでは,丙には傷害罪の刑しか科しえない。

1. D   2. E   3. I   4. J   5. K

(参照条文)

刑法第65条 犯人ノ身分ニ因リ構成ス可キ犯罪行為ニ加功シタルトキハ其身分ナキ者ト雖モ仍ホ共犯トス

 身分ニ因リ特ニ刑ノ軽重アルトキハ其身分ナキ者ニハ通常ノ刑ヲ料ス

[H05−44] 死者の占有に関する下記イからハの見解につき,下記@ないしBの場合において,財物を奪った点についての下記AからEの記述のうち,適切なものは何個あるか。

イ 死亡した者には占有がなく,生前の占有の継続もないとする見解

ロ 死亡直後においては,死者にも占有があるとする見解

ハ 死者には占有がないが,行為者の被害者に対する侵害行為を全体的に観察し,死亡直後であれば生前の占有が継続して保護されるとする見解

@  最初から財物奪取の意思で殺害し,その直後に財物を奪う場合

A  被害者を殺害してから初めて奪取の意思を生じて,その直後に財物を奪う場合

B  殺害者以外の第三者が,死亡直後に死体から財物を奪う場合

A イの見解によると,@ないしBのどの場合でも占有離脱物横領罪が成立する。

B ロの見解によると,@ないしBのどの場合でも強盗殺人罪が成立する。

C @の場合には,イないしハのどの見解でも強盗殺人罪が成立する。

D Aの場合には,イないしハのどの見解でも窃盗罪が成立する。

E Bの場合には,イないしハのどの見解でも占有離脱物横領罪が成立する。

1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個

[H05−45] 下記の〔事例T〕,〔事例U〕及び〔事例V〕において甲がどのような刑事責任を負うかにつき,学生A,B,C及びDの四人から意見を聞いたところ,下の表のような結果となった。この四人の学生の意見に結びつくと思われる見解を下記1から5までの中から一つずつ選んだ場合,最後に残るものはどれか。

〔事例T〕 医師甲は,患者丙を殺害しようと企て,致死量の毒物を看護婦乙に手渡し治療のためと称して丙に注射するよう命じた。乙はそれが毒物であることに気づいたが,甲の意図通り丙を殺害しようと決意した。ただし乙は実行行為には至らなかった。

〔事例U〕 医師甲は,患者丙を殺害しようと企て,致死量の毒物を看護婦乙に手渡し,治療のためと称して丙に注射するよう命じた。乙はそれが毒物であることに気づいたが,甲の意図通り丙を殺害しようと決意し,丙に注射して丙を殺害した。ただし甲は最後まで乙が情を知らないものと思っていた。

〔事例V〕 医師甲は,患者丙を殺害しようと企て,致死量の毒物を看護婦乙に手渡し,治療のためと称して丙に注射するよう命じた。甲はそれが毒物であることを乙も知っているものと思っていたが,乙はそのことに気づかず丙の治療のためであると信じ甲の指示通りに注射したところ,丙は死亡した。

    事例T 事例U 事例V

学生A 殺人教唆の未遂 殺人教唆 殺人教唆

学生B 不可罰 殺人の間接正犯 殺人教唆

学生C 不可罰 殺人教唆 殺人の間接正犯

学生D 不可罰 殺人教唆 殺人教唆

1. 間接正犯の故意と教唆犯の故意との関係は重なり合いが認められ,間接正犯の故意は教唆犯の故意を包摂すると考えられる。

2. 間接正犯と教唆犯は法律上同一に処断されるべきものであるから,犯罪に軽重の差はなく,正犯か共犯かは客観的に発生した事実を基準として考えるべきである。

3. 間接正犯と教唆犯は法律上同一に処断されるべきものであるから,犯罪に軽重の差はなく,正犯か共犯かは行為者の故意を基準として考えるべきである。

4. 間接正犯の故意と教唆犯の故意との間には明らかな相違が認められるので,重なり合う部分はなく,両者間の錯誤の場合には,故意は認められないことになる。

5. 共犯の成立には,正犯の実行行為は必要とせず,他人を介して犯罪を実行しようとすることは,それ自体共犯の成立である。

[H05−46] 次の文章は,刑法のゼミナールの模様を記述したものであるが,文中のアからオまでに,1ないし5のうちから,適切なものを一つずつ選んで入れた場合,ウに入るものはどれか。ただし,同じ選択肢は二度使わないものとする。

「教授が学生X及びYに対して,『犯罪における行為とは何か』と尋ねたところ,Xは『ア』,Yは『イ』とそれぞれ説明した。

そこで教授が〔事例1〕について,『甲の行為が存在するか』と質問したところ,X及びYは,いずれも甲の行為の存在を肯定した上で,Xは『ウ』,Yは『エ』とそれぞれの説を説明した。

次に,教授が〔事例2〕について検討させたところ,X及びYは,いずれも丙の行為の存在を認め,Xは更に『オ』と説を改め,Yは『エ』の説をそのまま維持した。」

〔事例1〕 甲は,自分の子である2歳の乙が川落ちて溺れかけていたが,乙が死ねばいいと思い,甲は何もせず乙を助けなかった。そのため,乙は溺れて死んだ。

〔事例2〕 丙は自動車を運転中ハンドル操作を誤り,横断歩道を歩いていた丁に衝突させ,丁にげがをさせてしまった。

1. 行為とは,犯罪の結果発生を目的とした人の身体の動作である。

2. 行為とは,何らかの意思決定に基づく人の身体の動静である。

3. 行為とは,犯罪の結果発生を目的とした人の身体の動静である。

4. 行為とは,物理的な意味における人の身体の動作である。

5. 行為とは,何らかの目的をもった人の身体の動静である。

[H05−47] 構成要件上複数の者の互いに対向する行為の存在を必要とする対向犯,及び,構成要件上同一目標に向かった多衆の共同行為を必要とする多衆犯について,次の記述のうち,正しいものはいくつあるか。

@  多衆犯については,通常,各行為者の関与の態様に応じて刑罰が定められている。

A  対向犯の処罰形式は,対向する行為者の双方を同一の法定刑で処罰する規定をおくものと,その一方のみを処罰する規定をおくものとに限られる。

B  多衆犯の各実行行為者相互間においても,常に,刑法総則の共犯規定が適用される。

C  対向犯において,その一方のみに処罰規定がおかれいてる犯罪については,他方はすべて刑法総則の共犯規定によって処罰される。

D  対向犯において,その一方のみに処罰規定がおかれている犯罪については,対向関係に立たない者がこれに加担した場合には,刑法総則の規定によって処罰される。

1. 1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個

[H05−48] 公務執行妨害罪の「公務」の概念および業務妨害罪の「業務」の概念につき次の見解に立ったとき,下記の1から5までの記述のうち,誤っているものはいくつあるか。

公務執行妨害罪の「公務jの概念について

甲説 権力的であると非権力的であるとを問わず,一切の公務を含むとする見解

乙説 権力的公務に限るとする見解

業務妨害罪の「業務」の概念について

@ 説 公的であると私的であるとを問わず,一切の事務を含むとする見解

A 説 私的事務のほかに,非権力的公務を含むとする見解

B 説 私的事務に限るとする見解

1  甲説及び@説を採ると,暴力又は脅迫を加えて公務を妨害したとき,観念的競合と解する場合,公務執行妨害罪と業務妨害罪の両方が成立するが,法条競合と解する場合,業務妨害罪のみが成立する。

2  甲説及びA説を採ると,暴力又は脅迫を加えて権力的公務を妨害したとき,観念的競合と解する場合,公務執行妨害罪と業務妨害罪の両方が成立するが,法条競合と解する場合,公務執行妨害罪のみが成立する。

3  乙説及び@説を採ると,暴力又は脅迫を加えて非権力的公務を妨害したとき,観念的競合と解する場合,公務執行妨害罪と業務妨害罪の両方が成立するが,法条競合と解する場合,公務執行妨害罪のみが成立する。

4  乙説及びA説を採ると,偽計又は威力を用いて権力的公務を妨害しても,公務執行妨害罪も業務妨害罪も成立しない。

5  乙説及びB説を採ると,暴力又は脅迫を加えて非権力的公務を妨害しても,公務執行妨害罪も業務妨害罪も成立しない。

1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個

[H05−49] 次の事例に関する下記の見解の( )に下記の諸群のうちから適切なものを選んで入れ,また,AからIまでの〔 〕に「窃盗」,「強盗」及び「強盗致傷」のいずれかを入れて文章を完成させた場合,AからIまでに入る組合せとして最も適切なものはどれか。なお,「窃盗」を「0」,「強盗」を「1」,「強盗致傷」を「2」とする。

〔事例〕 甲は,乙にX方に侵入して金品を盗んで来いとそそのかした。乙は,X方に侵入し,金品を物色中Xに発見されたため,Xを果物ナイフで脅した上,手拳でその顔面を数回殴打し現金を強取したが,その際Xに顔面打撲の傷害を与えた。

〔見解〕 この事例は,甲が意図した罪と発生した結果とが( )を異にする食い違いを生じた場合,すなわち,( )の場合にあたる。意図した罪は〔A〕であり発生した結果は〔B〕であるから,軽い罪を犯す意図で重い結果を生じさせた場合にあたり,( )により,〔C〕の教唆の罪責を問うことはできず,甲の意図と乙の行為の結果との合致する限度,すなわち,〔D〕の限度で教唆の罪責を負うに止まることになる。もし,甲が〔E〕を教唆し,乙が〔F〕を実行して家人を負傷させてしまった場合には,重い罪が意図した軽い罪の( )であって,重い結果について故意を必要としないとすると,その重い結果についても責任を問わなければならない。したがって,この場合には,〔G〕を教唆し,〔H〕の結果を生じさせたのであるから,教唆者甲は,〔I〕の教唆の責を負わなければならないことになる。

(語群)結果的加重犯  具体的事実の錯誤  故意犯  犯罪構成要件  身分

    刑法第38条第2項  刑法第65条第1項  抽象的事実の錯誤

  A B C D E F G H I 

1.0 2 1 0 0 1 0 2 0

2.0 2 2 0 1 1 1 2 1

3.0 2 2 0 1 1 0 1 2

4.0 2 2 0 0 2 0 0 1

5.0 2 2 0 1 1 1 2 2

−[H05−50]から[H05−51]まで−

[H05−50] 次の文章の( )の中に下記1から5までの記述を入れると,違法性の意識に関する下級審判決の一部になる。Xに入るものはどれか。

「一般に,ある( )とともに,( )場合には,たとえ( )だけでなく,なんらかの事情により,(X)としても,そのことから直ちに犯罪の成立が否定されるものではないと解すべきである。しかしながら,特別の事情が存在し,その( )ような場合には,刑法の責任主義の原則に従い,もはや法的非難の可能性はないとして例外的に犯罪の成立が否定されると解すべきである。」

1. 行為者がその行為の全ぼうについて認識していた

2. 自己の行為が法的に許されたもので処罰などされることはないと信じていた

3. 行為者において自己の行為が特定の刑罰法規に触れるものであることについて法的認識がない

4. 行為者の行為が客観的に一定の刑罰法規の構成要件に該当する

5. 行為者においてその行為が許されたものであると信じ,かつそのように信ずるについて全く無理もないと考えられる

[H05−51] 上記の判決について述べた以下の論述のうち,正しいものの組合せはどれか。

イ この判決は,違法性の意識は犯罪成立の要件ではなく,違法性の錯誤は犯罪の成否に影響しないとするものである。

ロ この判決は,故意犯に関し故意の成立には違法性の意識を必要としつつ違法性の意識を欠いたことについて過失があった場合には,故意と同様に取り扱うとする見解に立つものである。

ハ この判決は,故意犯に関し故意の成立には違法性の意識の可能性があれば足りるとし,違法性の錯誤が避けられた場合には,故意を阻却しないとする見解と結論を同じくする。

ニ この判決によると,当該刑罰法規に関し確定している最高裁判例に従って行動したような場合には,犯罪の成立が否定されることになる。

ホ この判決によると,規範的構成要件要素の認識を欠くような場合においても事実の錯誤ではなく違法性の錯誤として処理されることになる。

1.イ ニ  2.ロ ニ  3.ロ ホ  4.ハ ニ  5.ハ ホ

[H05−52] 次の文章の( )の中に,下記のAからHまでの文章から適切なものを一つずつ入れると,有価証券変造罪についての一つの見解になる。Xに入るものは次の1から5までのうちどれか。

「( )と解される。ところで.( )が,( )。そうすると,(X)と認められ,かつ,これを( )から,( )と解するのが相当である。」

A 残通話可能度数については,カード式公衆電話機にテレホンカードを挿入すれば度数カウンターに表示され,発行情報も読み取ることができるシステムとなっている

B 有価証券は,文書である

C いわゆるテレホンカードについては,その発行時の通話可能度数及び残通話可能度数を示す度数情報並びに当該テレホンカードが発行者により真正に発行されたものであることを示す発行情報は,磁気情報として電磁的方法により記録されており,券面上に記載されている発行時の通話可能度数及び発行者以外の情報は,券面上の記載からは知り得ない

D カード式公衆電話機に挿入することにより使用するものである

E 文書でないものは,有価証券に当たらない

F 刑法162条に規定する有価証券とは,財産上の権利が証券に表示され,その表示された財産上の権利の行使につきその証券の占有を必要とするものをいう

G テレホンカードは,有価証券に当たる

H テレホンカードの磁気情報部分並びにその券面上の記載及び外観を一体としてみれば,電話の役務の提供を受ける財産上の権利がその証券上に表示されている

1. C   2. D   3. E   4. G   5. H

[H05−53] 次の文章の〔A〕から〔F〕までにT群から適当な語句を入れ,(ア)及び(イ)にU群から適当な事例を入れると,ある犯罪についての記述になる。U群について使用しなかった事例の組合せとして正しいものはどれか。

「本罪の行為は,〔A〕すること又は〔B〕することである。〔A〕の他に〔B〕が明記されているのは,本罪の客体に〔C〕が含まれているからである。したがって,〔B〕は〔C〕を対象とし,〔A〕は〔C〕以外のものを対象とすることになる。〔A〕及び〔B〕は,共に〔D〕と同じく,〔E〕に毀損することだけでなく,広く〔F〕を失わせることを意味する。〔F〕を失わせる行為の例として,〔A〕については(ア),〔B〕については(イ)を挙げることができる。」

T群 動物,毀棄,無形的,効用,傷害,建造物,損壊,文書,有形的

U群 a 食事用の鍋に放尿する行為

   b 文書を隠匿し,その使用を妨げる行為

   c 庁舎の壁全面にビラ数万枚をのり付けする行為

   d 鳥かごを開放し,鳥を逃がす行為

1.a c  2.a d  3.b c  4.b d  5.c d

[H05−54] 次の@からDまでの事例における甲の行為の違法性阻却の成否に関する記述のうち,誤っているものは何個あるか。

@  甲は,乙が丙所有の日本刀で切りつけてきたので,已むを得ずこれをとりあげてそばの川に投げ捨てた。この場合,甲が日本刀を川に投げ捨てた行為は日本刀の管理について丙に過失があったときに限り,緊急避難として違法性が阻却される。

A  甲は,乙がナイフで切りつけてきたので,逃げるため已むを得ずそばにいた丙をつきとばした。この場合,甲が丙をつきとぱした行為は,乙に傷つけられるのを避けるためであるから,緊急避難として違法性が阻却される。

B  甲は,ひもでつながれた犬を連れて散歩中の乙に出合った際,その犬が乙の手を離れて飛びかかってきたので,已むを得ずこれを所携の杖で殴り殺した。この場合,甲が犬を殴り殺した行為は,動物の侵害行為が違法とはなり得ない以上,緊急避難としてのみ違法性が阻却される。

C  甲は,乙に対し「意気地がない。」と侮辱したところ,乙が殴りかかってきたのでこれに対抗して乙を殴りつけて,大けがをさせた。この場合,甲が乙を殴りつけた行為は,自分自身の挑発による侵害に対するものである以上,甲および乙の殴打の程度にかかわらず,正当防衛として違法性が阻却されることはない。

D  甲は,乙が突然殴りかかってきたのに憤激し,乙を殴りつけた。この場合,甲が乙を殴りつけた行為は,憤激に基づくものである以上,防衛の意思の有無にかかわらず,正当防衛として違法性が阻却されることはない。

1.1個 2.2個 3.3個 4.4個 5.5個

[H05−55] 以下は,某中学校において,同級生を殴りつけていた甲が,制止に入った教師乙を,別の同級生が自分を襲ってくるものと誤解してつきとばし,その後乙が甲の肩を突いた際,よろけた甲が転倒して傷害を負ったという事案に関するAとBの会話であるが,( )に下記語群の中から最も適切なものを選んで入れた場合,「構成要件該当性」と「違法性」の使用回数の合計は1から5までのうちどれか。なお,語群中の語句は全部使用するものとする。

A:甲は中学生だから,( )の有無を問題にしなければならないが,( )がないとしても( )罪の( )と( )は認められると思う。しかし,甲は乙を同級生と誤解しているので暴行の対象である人の具体的な認識を欠くことになる。

B:その点については,( )の問題であり,人の認識を欠くことにはならない。つきとぱしたのだから( )罪の( )はあるだろう。仮に,乙がいきなり甲に暴行を加えてきたら( )が成立する余地があり,( )は阻却されるかもしれないが,本件の甲は自己に対する攻撃がないのにあると誤認しているので,( )の問題である。

A:乙は甲に暴行を加える認識があり,暴行と傷害という結果との間に因果関係もあるので,( )罪の( )も( )もあると考えるが,どうか。

B:しかし,乙は教師だから甲に対する暴行が( )と認められると( )がないことになる。

A:個人的な憤激の感情であれば,( )とはいえないだろう。しかし,仮に( )と認められたとき,甲に対する( )罪は成立しないが,( )の罪の成否について検討する必要がある。

〔語群〕正当行為  構成要件該当性  正当防衛  業務上過失傷害  責任能力

    傷害  違法性  客体の錯誤  誤想防衛  暴行

1.6回   2.7回   3.8回   4.9回   5.10回

[H05−56] 傷害罪における故意の要件について,次のA及びBの見解があるとした場合,Aの見解の根拠又はBの見解に対する批判となるものはいくつあるか。

A 本罪を暴行の結果的加重犯と解し,暴行の故意があるだけで足りるとする見解

B 本罪を故意犯と解し,暴行の故意があるだけでは足りず,傷害の故意を要するとする見解

イ 「暴行ヲ加へタル者人ヲ傷害スルニ至ラサルトキ」という刑法第208条の文理を重視すべきである。

ロ 過失致傷罪の法定刑が暴行罪の法定刑よりも軽い。

ハ 「罪ヲ犯ス意ナキ行為ハ之ヲ前セス」という刑法第38条の文言を重視すべきである。

ニ 刑法第204条の「人ノ身体ヲ傷害シタル」という文言を重視すべきである。

ホ 傷害罪には未遂の処罰規定がない。

ヘ 傷害の意思で傷害した場合とその意思なくして傷害した場合とを無差別に扱うのは不合理である。

ト 暴行の故意で傷害を行った場合には,過失致傷罪と暴行罪の観念的競合になると解すれば足りる。

1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個

[H05−57] 封緘委託物の占有に関するA説からD説までを,下記の@からDまでの記述に対応させた場合,最も適切な組合せはどれか。

A説:封緘委託物全体の占有は受託者にあり,内容物の占有は委託者にある。

B説:包装ないし容器の占有は受託者にあり,内容物の占有は委託者にある。

C説:内容物を含む封緘委託物全体について,受託者が占有を有する。

D説:内容物を含む封緘委託物全体について,委託者が占有を有する。

@  この説によれば,包装ないし容器は,内容物に対する委託者の支配の確保のための手段・装置にすぎず,それに対する独自の占有を考える必要はない。

A  この説に対しては,業務上保管したものでない封緘委託物全体を処分すると横領罪で,内容物を抜き取ると窃盗罪になることは,一部を取得した方が刑が重いことになり不均衡ではないかという批判がある。

B  この説によれば,包装ないし容器は,委託者が事実上の支配を移転した上で内容物の使用・処分や現状変更を禁じようとするものにすぎないことになる。

C  この説の中には,最初から内容物を取得する目的でまず封緘委託物全体を取得する場合,封被委託物全体の横領行為は窃盗の手段としての実行行為でもあり,横領罪が窃盗罪に吸収される結果,窃盗罪のみが成立する,とする見解もある。

D  この説によれば,封緘委託物全体を取得した場合には,窃盗罪と横領罪の観念的競合になる。

  @ABCD   @ABCD   @ABCD   @ABCD   @ABCD

  |||||   |||||   |||||   |||||   |||||

1.ABDBC 2.CABDC 3.DACAB 4.DADCB 5.DBDCA

[H05−58] 共犯の成立に関する@からDまでの見解を前提に,「甲は,友人乙が覚せい剤を使用すれば精神障害に陥り暴行を働く習癖を有すること,及び妻を殺そうと計画していることを知っていた。そこで以前から乙の妻に対して殺意を抱いていた甲は,乙に包丁を渡したところ,乙は案の定甲が予期した通り覚せい剤を使用して精神障害によって心神喪失に陥り,包丁をふり回し,妻を殺害した。」という事案に関する下記AからEまでの記述のうち,正しいものは何個あるか。

@  構成要件該当性,違法性,責任及び処罰条件を具備することを要する。

A  構成要件該当性,違法性及び責任を具備することを要する。

B  構成要件該当性及び違法性を具備することを要する。

C  構成要件該当性を具備することを要する。

D  正犯とは無関係に,独立して共犯が成立する。

A 原因において自由な行為の理論により乙に殺人罪が成立する場合,@の立場では,甲に殺人罪の従犯は成立しない。

B 原因において自由な行為の理論により乙に殺人罪が成立する場合,Bの立場では,甲に殺人罪の従犯が成立する。

C 原因において自由な行為の理論によっても乙に殺人罪が成立しない場合,Cの立場では,およそ甲に殺人罪の従犯が成立することはない。

D 原因において自由な行為の理論により乙に重過失致死罪が成立する場合,Aの立場では,甲に殺人罪の従犯が成立する。

E 原因において自由な行為の理論により乙に重過失致死罪が成立する場合であってもDの立場では,甲に殺人罪の従犯が成立する。

1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個

[H05−59] 実行の着手について,行為者の主観的要素の考慮の可否・程度に関し,下記TのAからCまでの立場があるとして,これと下記Uの@からBまでの見解とを組み合わせた場合,最も適切なものはどれか。

T 行為の結果発生ないし法益侵害の危険性の有無を判断するにあたっては,

A 行為者の主観的要素は考慮すべきでない。

B 行為者の故意又は過失のみを考慮すべきである。

C 行為者の故意又は過失だけではなく,具体的な犯罪計画の内容をも考慮すべきである。

U 財布が入っている他人のズボンの尻ポケットの外側に手を触れた行為について,

@  窃盗の故意で在中物の有無を確認しようとして手を触れたにすぎない場合には,なお窃取の実行に及ばない可能性もあるから,窃盗罪の実行の着手を認めるべきではない。

A  客観的な行為態様のほか窃盗の故意の存在を併せて考慮すれば,窃盗罪の実行の着手を認めることができる。

B  行為態様自体に財布の占有侵害の危険性が認められるから,窃盗罪の実行の着手を肯定してよい。

1.A−@  B−B  C−A     2.A−A  B−@  C−B

3.A−A  B−B  C−@     4.A−B  B−@  C−A

5.A−B  B−A  C−@

[H05−60] 作成名義人である公務員以外の者による虚偽公文書作成罪の間接正犯の成否について,次のような見解があるとした場合,下記の@からEまでの記述のうち,明らかに誤っているものの組合せはどれか。

A説 作成名義人である公務員以外の者すべてに虚偽公文書作成罪の間接正犯の成立を肯定する。

B説 作成名義人である公務員以外の者すべてに虚偽公文書作成罪の間接正犯の成立を否定する。

C説 職務上文書の作成にかかわる補助公務員について虚偽公文書作成罪の間接正犯の成立を肯定するが,それ以外の者については否定する。

@  A説では,刑法第157条第1項のうち虚偽公文書作成罪の間接正犯については日常しばしば起こる軽微な事案について,特に軽く処罰すると説明することになる。

A  A説では,作成名義人及び職務上文書の作成にかかわる補助公務員以外の公務員については,公正証書原本等不実記載罪の成立を否定することになる。

B  B説では,刑法第157条は,この規定がなければ不可罰な行為のうち特に処罰の必要性があるものについて規定したものと説明することになる。

C  非身分者による身分犯の間接正犯の成立を一般的に肯定する立場では,B説を採る余地はない。

D  非身分者による身分犯の間接正犯の成立を否定する立場を採らない限り,C説を採ることはできない。

E  C説では,作成名義人及び職務上文書の作成にかかわる補助公務員以外の者が虚偽文書の作成に正犯として関与できるのは,刑法第157条の場合に限られる。

1.@BE  2.@CE  3.ABD  4.ABE  5.ACD

(参照条文)

刑法第156条 公務員其職務ニ関シ行使ノ目的ヲ以テ虚偽ノ文書若クハ図画ヲ作リ又ハ文書若クハ図画ヲ変造シタルトキハ印章,署名ノ有無ヲ区別シ前二条ノ例ニ依ル

刑法第157条 公務員ニ対シ虚偽ノ申立ヲ為シ権利,義務ニ関スル公正証書ノ原本ニ不実ノ記載ヲ為サシメ又ハ権利,義務ニ関スル公正証書ノ原本タル可キ電磁的記録ニ不実ノ記録ヲ為サシメタル者ハ5年以下ノ懲役又ハ50万円以下ノ罰金ニ処ス


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