[H06−41] XがYに対して,覚せい剤購入資金として金銭の寄託をしたが,Yはこれを自己の用途に費消してしまった事例につき,次の文章の(  )に,下記語群の中から適当なものを1個ずつ入れて完成させた場合,使用しない語句の組合せとして,最も適切なものはどれか。

「(  )という見解の下では,およそ上記事例につき横領罪が成立する余地はない。もっとも,(  )との判例によれば,上記事例は(  )ことから,横領罪が成立すると言えそうであるが,一方,上記事例は,(  )に当たり,民事上(  )との見解を前提にすれば,結局横領罪は成立しないことになる。これに対し,(  )と考え,刑事上は,なお(  )として,横領罪の成立を肯定する見解もある。」

(語群)

a 不法な領得行為に対し,保護に値する利益が寄託者に存在する

b 金銭の所有権は,金銭の占有移転とともに移動する

c 不法原因給付

d 不当利得

e 横領罪の成立には不法領得の意思は不要である

f 返還請求権を行使し得ないとする以上,反射的に所有権を喪失する

g 使途が特定されている

h 寄託者に,金銭の所有権が存する

i 受託者に,金銭の所有権が存する

j 使途を定めて金銭を寄託した場合には,寄託者に所有権がある

1.agh   2.bch   3.dej   4.dei   5.gij

[H06−42] 覚せい剤の粉末を麻薬と誤認して所持した場合の罪責に関する見解について,次の( )に,aからjまでの語群の中からいずれかを選んで入れた場合,1から5の組合せの中で適切なものはどれか。

「犯人の認識がヘロインの所持であった場合は,(ア)を犯す意思で,(イ)に当たる事実を実現したことになるが,両罪は,その目的物が(ウ)か(エ)かの差異があり,この余の犯罪構成要件要素が同一であるところ,麻薬と覚せい剤との類似性にかんがみると,この場合,両罪の構成要件は,(オ)ものと解するのが相当である。結局,(カ)。また.犯人の認識がコカインの所持であった場合は,結局,(キ)。」

〔語群〕(下記の@,B及びCについては後記関係条文参照)

a @の罪  b Bの罪  c Cの罪  d 覚せい剤

e 麻薬であるジアセチルモルヒネ

f 麻薬であるコカイン

g 軽い前者の罪の限度において実質的に重なり合っている

h 実質的に全く重なり合っている

i 覚せい剤を麻薬と誤認したことによる錯誤は,生じた結果である覚せい剤所持の罪について故意を阻却するものではない

j 犯人には,所持に係る薬物が覚せい剤であるという,重い罪になるべき事実の認識がないから,覚せい剤所持罪の故意を欠くものとして同罪の成立は認められないが,両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い麻薬所持罪の故意が成立し同罪が成立するものと解すべきである

〔関係条文〕

覚せい剤取締法

@  第41条ノ2第1項(要旨)覚せい剤をみだりに所持した者は10年以下の懲役に処する。

麻薬及び向精神薬取締法

A  第2条(抄)この法律において次の各号に掲げる用語の意義は,それぞれ当該各号に定めるところによる。

1  麻薬 別表第一に掲げる物をいう。

別表第1(抄) 13 コカイン 16 ジアセチルモルヒネ(別名へロイン)

B  第64条ノ2第1項(要旨)ジアセチルモルヒネをみだりに所持した者は10年以下の慾役に処する。

C  第66条第1項(要旨)ジアセチルモルヒネ等以外の麻薬をみだりに所持した者は,7年以下の懲役に処する。

1.アイウエオカキ    2.アイウエオカキ    3.アイウエオカキ

  |||||||      |||||||      |||||||

  baedhij      cadehji      baedgij

4.アイウエオカキ    5.アイウエオカキ

  |||||||      |||||||

  cafdhij      badehji

[H06−43] 以下の@ないしEは学生A及びBの発言であるが,窃盗罪の保護法益につき,Aは所有権その他の本権であると解しており,Bは所持であると解している場合,@からEのなかで,Bの発言は何個か。

@ :君の見解では,窃盗の被害者が翌日犯人から窃取された物を取り戻すような場合まで処罰されてしまうのではないか。

A :君の見解では,財物の占有が侵害された場合に,その占有が権原に基づくものかどうかをいちいち明らかにしなければ窃盗罪の成否が確定されないのではないか。

B :君の見解では,刑法第242条は当然の規定となり,同条を設けた意味が乏しくなるのではないか。

C :君の見解を徹底すれば,窃盗犯人が窃取した財物を所有者以外の者がさらに盗んだ場合は,窃盗罪が成立しないことになるのではないか。

D :君の見解を徹底すれば,窃盗犯人が窃取した財物を投棄した場合は,これを別途処罰することにならざるを得ないのではないか。

E :君の見解では,不可罰であるべき一時使用が広く処罰対象とされるのではないか。

1.1個   2.2個   3.3個   4.4個   5.5個

〔参照条文〕刑法第242条 自己ノ財物ト雛モ他人ノ占有ニ属シ(中略)タルモノナルトキハ本章ノ罪ニ付テハ他人ノ財物ト看做ス

―[H06−44]から[H06−45]まで―

[H05−44] 次の文章の(  )に,下記のAないしEの文章のうち適切なものを入れると,銃の発射音が外に漏れないように目張りを施すなどした行為と強盗殺人の幇助の成否に関するある下級審判決の一部になる。その順序として正しいものはどれか。

「(  )のであるから,(  )ことは原判決も認めているとおりであるところ,このような場合,それにもかかわらず,(  )といい得るには,(  )ことを要すると解さなければならない。しかしながら,……(中略)……,そもそも(  )事実すらこれを認めるに足りる証拠もなく,したがって,(  )ことを認めることはできない。」

A 被告人の地下室における目張り等の行為が現実の強盗殺人の実行行為を幇助した

B 被告人の地下室における目張り等の行為が甲の現実の強盗殺人の実行行為との関係では全く役に立たなかった

C 被告人の目張り等の行為が甲に認識された

D 被告人の目張り等の行為が,それ自体,甲を精神的に力づけ,強盗殺人の意図を維持ないし強化することに役立った

E 甲は,現実には,当初の計画どおり地下室で本件被害者を射殺することをせず,同人を車で連れ出して,地下室から遠く離れた場所を走行中の車内で実行に及んだ

1.ABDECA    2.ACEDBD    3.EBDACA

4.EBADCD    5.ECBDAD

[H06−45] 次のアからエまでの記述のうち,上記判決の理解として適切なものの組合せはどれか。

ア  本判決は,物理的幇助の場合には,片面的幇助が成立しないことを認めたものである。

イ  本判決は,精神的幇助の場合には,片面的幇助が成立しないことを認めたものである。

ウ  本判決は,正犯と幇助行為との間の因果関係について正犯の「結果」ではなく,「実行行為」との間に認められる必要があるとの考えと矛盾しない。

エ  本判決は,幇助行為がなかったならば正犯の実行行為は行われなかったであろうという条件関係が必要であるとする考えを前提としている。

1.アウ    2.アエ    3.イウ    4.イエ    5.ウエ

[H06−46] 甲から代理権を与えられていない乙が,「甲代理人乙」と表示して文書を作成した事例につき,学生のA,B,Cが議論している。(  )に下記の語群のなかから適切なものを選んで入れた場合,使用する回数が2回のものは何個あるか。

A 僕は,名義人は(  )であり,「甲代理人」という部分は文書の(  )の一部であると解するので,本事例は文書の(  )の真実を害した場合,つまり(  )であると考える。

B 君のように考えると,(  )の(  )は,刑法上ほとんど処罰されていないから不都合なことになる。僕は,文書に表示された法的行為の効果が(  )に帰属する形式の文書なのだから,名義人は(  )であり,本事例は(  )の真正を害した文書の作成,すなわち(  )であると考える。

C 僕も,B君と同じく,(  )と考えるが,理由が違う。本事例では,(  )という代理人の名前のみではなく,甲代理人という肩書も重要だから甲代理人乙を一体として名義人ととらえるべきだ。そして,甲代理人乙は実在しないのだから,この文書は(  )名義の文書となり,(  )となるんだよ。

〔語群〕

有形偽造  無形偽造  甲  乙  架空人  私文書  作成名義  内容

1.1個    2.2個    3.3個    4.4個    5.5個

[H06−47] 間接正犯を認めた次のような判決があるものとして,これに関する以下の@からDまでの記述のうち,誤っているものは何個あるか。

「Aは,12歳の養女B子を連れて長期間旅行をしていたが,日ごろB子がAの言動に逆らう素振りを見せる都度,暴行を加えて自己の意のままに従わせ,B子に対して窃盗を命じてこれを行わせていたというのであり(ただし.B子は絶対的強制下にあったわけではない。),これによれば,Aが,自己の日ごろの言動に畏怖し意思を抑制されているB子を利用して本件窃盗を行ったと認められるのであるから,たとえ,B子が是非善悪の判断能力を有する者であったとしても,Aについては本件窃盗の間接正犯が成立するものというべきである。」

@  極端従属性説によると,本件では,Aに窃盗の教唆犯は成立しない。

A  制限従属性説を形式的に適用すると,本件では,Aに窃盗の教唆犯が成立する。

B  B子が絶対的強制下にあって意思決定の自由を欠いていたと仮定すると,極端従属性説によっても,制限従属性説によっても,Aに窃盗の間接正犯が成立し得る。

C  本判決の立場によると,B子の年齢その他の事情は結論に影響を与えない。

D  本判決は,被利用者が刑事未成年であっても利用者に教唆犯が成立する場合があるとする見解と矛盾する。

1.0個    2.1個    3.2個    4.3個    5.4個

[H06−48] 偽証罪の成否に関して,次のA及びBの見解がある場合,下記のアからカまでの事例のうち,Aの見解とBの見解とで結論が異なる事例は何個あるか。なお,証人は,法律により有効に宣誓した上,陳述したものとする。

A:客観的に真実に反する陳述をすることによって成立する。

B:証人の記憶に反する陳述をすることによって成立する。

ア  証人が,自己の記憶に反することを真実でないと信じて陳述したところ,それが客観的に真実であった場合。

イ  証人が,自己の記憶に合致することを真実であると信じて陳述したところ,それが客観的に真実に反した場合。

ウ  証人が,自己の記憶に反することを真実であると信じて陳述したところ,それが客観的に真実であった場合。

エ  証人が,自己の記憶に反することを真実であると信じて陳述したところ,それが客観的に真実に反した場合。

オ  証人が,自己の記憶に合致することを真実であると信じて陳述したところ,それが客観的に真実であった場合。

カ  証人が,自己の記憶に反することを真実でないと信じて陳述したところ,それが客観的に真実に反した場合。

1.0個    2.1個    3.2個    4.3個    5.4個

[H06−49] 次のA群の文章は,それぞれ三つの判決の一部の要旨であり,A群の文章に関してB群のうちのいずれかの文章が続くが,その組合せとして最も適切なものはどれか。

〔A群〕

@  正当防衛における侵害の急迫性の要件は,相手の不正な侵害に対する本人の対抗行為を正当と評価するために必要とされる行為の状況上の要件であるから,たとえ相手方の侵害がその時点で現在し又は切迫しているときでも,行為の状況全体からみて急迫性の存在を否定すべき場合があり,

A  刑法第36条第1項における「行為」とは,これについて正当防衛という違法性阻却事由の存否が判断される対象を指称する概念であって,構成要件に該当すべき行為を意味するから,

B  急迫不正の侵害に対し,自己又は他人の権利を防衛するためにした行為と認められる限り,その行為は,同時に侵害者に対する攻撃的な意図に出たものであっても,正当防衛のためにした行為に当たると判断するのが相当である。すなわち,

〔B群〕

ア  防衛に名を借りて侵害者に対し積極的に攻撃を加える行為は,防衛の意思を欠く結果,正当防衛のための行為と認めることはできないが,防衛の意思と攻撃の意思とが併存している場合の行為は,防衛の意思を欠くものではないので,これを正当防衛のための行為と評価することができる。

イ  正当防衛として開始された暴行が,同一場所で,短時間の間,同態様で連続して加えられ,その終局時点で防衛の程度が相当性を欠くに至った場合には,法律上これを一体として評価し,これを一個の過剰防衛が成立するとみるのが相当である。

ウ  その存否を決するには相手の侵害に先立つ状況をも考慮に入れて判断するのが相当である。

エ  狭義の行為すなわち動作だけではなく,故意犯における結果と同様に結果的加重犯における結果を含むものと解しなければならず,狭義の反撃行為だけではなくその結果をも含めた全体について判断されるべきものである。

オ  防衛意思の存在下になされた加害の時間的長さ,程度,態様を右意思の解消後専ら積極的加害の意思の下でなされたそれと対比較量することによって,当該行為を全体として誤想に基づくかつ防衛意思に発する行為と認められるか否かを判断すべきである。

1.@イAウBオ  2.@イAエBア  3.@ウAエGア

4.@ウAエHオ  5.@オAイGア

[H06−50] 以下に記載する第1条から第3条までの規定があるとして,これらに関する次の見解中の(  )に当てはまる条文を下記のa又はbから選び,[  ]に当てはまる語を下記の(1)から(4)までの中から選んでそれぞれ順に入れた場合,最も適当な組合せはどれか。

〔規定〕

第1条  風俗営業を営もうとする者は,風俗営業の種別に応じて,営業所ごとに,当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければならない。

第2条  前条の規定に違反して同条の許可を受けないで風俗営業を営んだ者は,1年以下の懲役若しくは50万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。

第3条  法人の代表者,法人又は人の代理人,使用人その他の従業員が,法人又は人の営業に関し,前条の違反行為をしたときは,行為者を罰するほか,その法人又は人に対し,同条の罰金刑を科する。

〔見解〕

(  )が規定する無許可営業罪は[ ]であるから,例えば,従業員乙が個人営業主甲の営業に関して無許可で風俗営業を行っている事例の場合には,(  )により乙を単独犯として処罰することはできない。また,この事例において,甲が無許可営業の事実を知らない場合には,故意を欠く甲を(  )により処罰することもできない。さらに,伝統的な考え方によれば,法人には犯罪能力がないとされているから,[ ]が法人である場合にはその法人については(  )の適用はあり得ないこととなる。そこで,(  )を設けて,これらすべての処罰を可能にしたと解されるのである。もっとも,甲と乙との間に共犯関係が成立する場合には,刑法総則の共犯規定が適用されるから,(  )を適用する必要はない。

a 第2条   b 第3条

(1) 真正身分犯  (2) 不真正身分犯  (3) 従業員  (4) 営業主

1. a−(1)−a−b−(3)−a−b−a

2. a−(2)−a−a−(4)−a−b−b

3. a−(1)−a−a−(4)−a−b−b

4. b−(2)−b−a−(4)−b−a−a

5. b−(1)−b−b−(4)−b−a−a

[H06−51] 以下の学生A,B,Cによる会話は,「甲は,イ駅からロ,ハの各駅を経てニ駅まで鉄道に乗車するに際し,イ駅改札係員Xにイロ駅間の乗車券を示してイ駅構内に入り,鉄道に乗車してニ駅で下車し,ニ駅改札係員Yに,持っていたハニ駅間の定期券を示して出場した。」という事例に関するものである。矛盾する発言をした者はだれか。

A: 僕は,甲が当初からキセル乗車の意思を有していた場合には,Xに乗車券を示す行為が欺罔行為に当たると考えている。

B: 甲はXに対し有効な乗車券を示しているのだから,欺罔行為とはいえないのではないか。ロハ間の乗車についての料金支払義務があるにもかかわらず,これを告知しないことによりYを欺岡したと考えるべきだと思うね。

C: 甲は有効な乗車券・定期券を示しているのだから,Xに対してもYに対しても欺罔行為は認められないのではないか。

A: 事実を素直にみれば,当初からキセル乗車の意思を有していた甲の行為は,有効な乗車券を不正乗車による利益を得るための手段として使っているにすぎないから,偽造した乗車券を示した場合と変わるところがないとみるべきではないか。

B: A君の説に立つと,甲が途中で気が変わりロ駅で降りた場合にはどうなるのかな。僕の説に立てば,その場合には詐欺罪が成立することになるし,乗車後にキセル乗車の犯意が生じた場合や,下車後改札口通過前にキセル乗車の犯意が生じた場合でも詐欺罪が成立することになる。

C: B君の説によるとYに処分行為を認定することになるが,処分行為には処分の意思が必要だから,処分行為性を認めることは困難だと思う。

1. A  2. B  3. C  4. A及びB  5. A及びC

[H06−52] 原因において自由な行為の理論に関する,AからDまでの見解があるものとして,その理解の仕方に関するアからウまでの記述,及び各見解に対応する刑法第39条の適用の有無に関する(1)から(3)までの記述をそれぞれ組み合わせた場合,@からCまでのなかで誤っているものは何個か。

〔見解〕

A:間接正犯に類似した考え方に基づいて,責任無能力状態にある自分を道具として利用して犯罪を実行したものと見て,その可罰性を肯定する見解

B:原因行為から実行行為である結果行為までの一連の過程を,一つの意思決定に貫かれた一つの行為と見て,責任能力は原因行為と結果行為を包括する行為の時に存在すればその可罰性を肯定できるとする見解

C:原因において自由な行為の理論自体を否定する見解

D:行為を,原因行為と結果行為に分けた上,問責の対象になるのは原因行為であるものの,それが実行行為である必要はなく,原因行為時に故意・過失があって,原因行為と結果行為との間に一定の関係がある場合には,その可罰性を肯定できるとする見解

〔各見解の理解の仕方〕

ア  この見解は,原因において自由な行為の理論を過失犯に限って認めるものである。

イ  この見解は,実行行為時に責任能力を要求する立場であるといえる。

ウ  この見解は,実行行為時に責任能力を必ずしも要求しない立場であるといえる。

〔刑法第39条の適用〕

(1) 責任無能力の場合には刑法第39条第1項の適用を否定し,限定責任能力の場合には同条第2項の適用を肯定する。

(2) 責任無能力・限定責任能力の場合を問わず,刑法第39条の適用を肯定する。

(3) 責任無能力・限定責任能力の場合を問わず,刑法第39条の適用を否定する。

〔組合せ〕

@ A ウ (1)   A B ア (2)   B C イ(2)   C D ウ (3)

1.0個    2.1個    3.2個    4.3個    5.4個

[H06−53] 強姦犯人が,被害者に対して殺人又は傷害の故意を有していて,死亡又は傷害の結果を生じさせた場合の罪責について,AないしCの見解があり,これに対する批判として,aないしdがあるものとする。各見解と各批判との組合せのうち,誤っているものは何個か。

〔見解〕

A:殺人の故意がある場合には,強姦致死罪と殺人罪との観念的競合が成立し,傷害の故意がある場合には強姦致傷罪のみが成立する。

B:殺人の故意がある場合には,強姦致死罪のみが成立し,傷害の故意がある場合には,強姦致傷罪のみが成立する。

C:殺人の故意がある場合には,強姦罪と殺人罪との観念的競合が成立し,傷害の故意がある場合には強姦罪と傷害罪との観念的競合が成立する。

〔批判〕

a この見解には,致死と致傷の場合とで扱いが異なるという難点がある。

b この見解には,強姦犯人による殺人の方が,単なる殺人と比べて刑が軽くなるという難点がある。

c この見解には,強姦犯人に傷害の故意がある場合の方が傷害の故意がない場合と比べて刑が軽くなるという難点がある。

d この見解には,死亡を二重評価しているという難点がある。

〔組合せ〕

@ A−a AA−d BB−c CB−d DC−b EC−c

(注意)強姦致死罪及び強姦致傷罪の法定刑―無期又は3年以上の懲役

  殺人罪の法定刑―死刑又は無期若しくは3年以上の懲役

  強姦罪の法定刑―2年以上の有期懲役

  傷害罪の法定刑―10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料

1.1個  2.2個  3.3個  4.4個  5.5個

[H06−54] ある罰則を含む現行法を改正し,当該罰則を削除して刑を廃止する際に,「この法律の施行前にした行為に対する罰則の適用については,なお従前の例による。」との規定(以下,「経過規定」という。)を設けることについて,学生A・Bが議論している。アないしキの(  )に下記の語群の中から適当なものを入れた場合,1から5までの組合せのうち,最も適切なものはどれか。

A: 改正前になされた違法行為について,改正後においても処罰の対象とするために経過規定を設けることは不要だと思う。法律とは(ア)であり,(イ)のだから。

B: いや,法律というのは(ウ)であり,(エ)と考えるべきだ。経過規定がなければ,改正前の違反者を改正後に処罰することは不可能だろう。

A: (エ)という考え方は(オ)と矛盾するおそれはないか。

B:いや,(オ)とは(カ)の規定に定められている内容を意味するものだ。それに,(キ)の規定の趣旨から考えると,経過規定がなければ刑の廃止前の行為を廃止後も当然に処罰することはできないと考えられる。

〔語群〕

a 裁判規範  b 行為規範  c 類推解釈禁止の原則  d 刑罰法規不遡及の原則  e 裁判においては行為時の法律が適用される。  f 裁判においては裁判時の法律が適用される。  g 刑法第6条(「犯罪後ノ法律ニ因リ刑ノ変更アリタルトキハ其軽キモノヲ適用ス」)  h 憲法第39条(「何人も,実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については,刑事上の責任を問はれない。以下,省略……。」)

1. アイウエオカキ  2. アイウエオカキ  3. アイウエオカキ

   |||||||     |||||||     |||||||

   aebfcgh     beafchg     afbedgh

4. アイウエオカキ  5. アイウエオカキ

   |||||||     |||||||

   beafdgh     beafdhg

[H06−55] 甲乙が共謀して丙に暴行を加えた後,「おれ帰る。」と言っただけでその場を立ち去った甲について,その後の乙の暴行に関し,共犯関係からの離脱ないしその解消の有無が問題になった事案に関する次の見解に対する(1)から(6)までの論評のうち,明らかな誤りがあるものは何個か。

「甲が帰った時点では,乙においてなお暴行を加えるおそれが消滅していなかったのに,甲においては格別これを防止する措置を講ずることなく,成り行きに任せて現場を立ち去ったにすぎないのであるから,乙との共犯関係がその時点で消滅したということはできず,その後の乙の暴行も甲乙の共謀に基づくものと認めるのが相当である。」

(1) この見解は,共犯関係からの離脱ないしその解消という問題を共犯の場面における中止犯の成否そのものとする前提に立っている。

(2) この見解は,共同正犯の本質について共同意思主体説をとる立場においてもこれを導くことが可能である。

(3) この見解は,共犯関係からの離脱ないしその解消のための要件として,乙による犯罪の継続が阻止されることを必要としている。

(4) この見解は,甲乙の共謀に係る犯罪の実行着手前においては,甲乙間で共犯関係を解消する合意があれば,共犯関係からの離脱ないしその解消が認められるとする立場と矛盾するものではない。

(5) この見解では,実行の着手後においては,当初の共謀に基づき乙が犯罪を継続するおそれがある限り,甲乙間で共犯関係を解消する合意ができたというたけでは,共犯関係からの離脱ないしその解消は認められない。

(6) この見解では,何らかの犯罪が既遂に達した後は,およそ共犯関係からの離脱ないしその解消は認められない。

1.0個    2.1個    3.2個    4.3個    5.4個

[H06−56] 名誉毀損罪及び侮辱罪の保護法益についてのAないしCの見解とその帰結に関する各文章とを組み合わせた場合,適切なものはどれか。

A:両罪の保護法益は客観的な社会的名誉(社会的地位ないし社会的評価)である。

B:名誉毀損罪の保護法益は,客観的な社会的名誉であるが,侮辱罪の保護法益は主観的な名誉意識または名誉感情である。

C:両罪の保護法益は,客観的な社会的名誉自体ではなく,それを尊重してもらいたいと思う名誉感情である。

(1) 事実を摘示した場合には,侮辱罪が成立する余地はない。

(2) 事実を摘示した場合にも,侮辱罪が成立する余地はある。

a 刑法第230条ノ2に規定する事実の証明があるため,名誉毀損罪で処罰されない場合には,侮辱罪が成立する余地はない。

b 刑法第230条ノ2に規定する事実の証明があるため,名誉毀損罪で処罰されない場合にも侮辱罪が成立する余地はある。

@  法人に対しては,名誉毀損罪のみが成立し得る。

A  法人に対しては,名誉毀損罪も侮辱罪も成立し得る。

B  法人に対しては,名誉毀損罪も侮辱罪も成立しない。

1.A(1)bA  2.A(2)aA  3.B(1)b@  4.B(2)b@  5.C(1)bB

[H06−57] 狩猟熟練者甲と狩猟未熟練者乙が狩猟中に,甲が熊と思われる影を発見して,乙にそれを撃つことを勧め,乙もその気になって甲乙同時にそれを撃ったところ,それは実は丙という人間であり,丙は一発の弾丸により死亡したが,その弾丸は甲乙いずれの猟銃から発射されたものか確定できなかった。甲乙の刑事責任に関する学生AからDの発言のうち,明らかに適切でないものの組合せはどれか。

A:僕は,過失犯の共同正犯を認める立場であり,甲乙は過失行為を共同していると認められるから,両名に業務上過失致死罪が成立すると考える。

B:僕も,過失犯の共同正犯を認める立場であり,甲乙は過失行為を共同していると認められるが,いずれの猟銃から発射された弾丸が当たったか確定できないのだから,因果関係がなく,両名に業務上過失致死罪は成立しないと考える。

C:僕は,過失犯の共同正犯を認めない立場だが,一緒に発砲した以上甲及び乙がそれぞれ過失行為をしたものと認められるから,両名に業務上過失致死罪が成立すると考える。

D:僕も,過失犯の共同正犯を認めない立場だが,熟練者甲が未熟者乙に撃つことを勧め,乙がその気になって撃ったのだから,甲の行為と丙の死との間には,いずれにせよ因果関係が認められ,少なくとも甲には業務上過失致死罪が成立すると考える。

1.A C  2.A D  3.B C  4.B D  5.C D

[H06−58] 証憑湮滅教唆罪の成否についての次のA説及びB説についての以下の@からDの記述のうち,明らかに誤っているものの組合せとして正しいものはどれか。

A説:犯人甲が他人を教唆して湮滅行為をさせた場合,甲に教唆犯が成立する。

B説:犯人甲が他人を教唆して湮滅行為をさせた場合,甲に教唆犯は成立しない。

@ 犯人甲の親族乙が,甲乙と親族関係のない丙を教唆して証憑湮滅行為をさせた場合,A説は乙について刑法第105条の適用がないとする結論に結びつきやすい。

A @の場合,B説は乙について刑法第105条の適用を肯定する結論に結びつきやすい。

B 犯人甲と親族関係のない丙が,甲の親族乙を教唆して証憑湮滅行為をさせた場合,A説によれば丙に刑法第105条を適用ないし準用しないこととなるが,B説は丙に同条を適用する結論に結びつきやすい。

C 犯人甲がその親族乙を教唆して湮滅行為をさせた場合,A説によれば甲について証憑湮滅教唆罪が成立することとなる。

D Cの場合,B説は乙について証憑湮滅罪の成立を否定する結論に結びつきやすい。

1.@B    2.AC    3.BC    4.BD    5.CD

(参照条文)刑法第104条 他人ノ刑事被告事件ニ関スル証憑ヲ湮滅シ又ハ偽造,変造シ若シクハ偽造,変造ノ証憑ヲ使用シタル者ハ二年以下ノ懲役又ハ二十万円以下ノ罰金ニ処ス

刑法第105条 前二条ノ罪ハ犯人又ハ逃走者ノ親族ニシテ犯人又ハ逃走者ノ利益ノ為メニ犯シタルトキハ其刑ヲ免除スルコトヲ得

―[H06−59]から[H05−60]まで―

[H06−59] 次の文章は,監禁罪に関する一つの見解を順不同に並べたものである。各文章の(  )に「意思能力」,「責任能力」,「行為能力」,「意思」,「行動」,「能力」,「自由」のうちから最も適切なものを一つ選んで入れた場合,「行動」と「能力」の使用回数の差はいくつか。

ア  監禁罪の法益とされている(  )の(  )は,任意に(  )し得る自然人についてのみ存在するものと解すべきであるから,任意の(  )を全くなし得ない者,例えば.生後間もない嬰児は監禁罪の客体となり得ない

イ  その(  )の(  )は,前提として(  )の(  )ないし(  )の(  )を有することを必要とし,その(  ),(  )のない者は,監禁罪の客体とはなり得ない。

ウ  それが自然的,事実的意味において任意に(  )し得る者である以上,その者が,法律上(  )や(  )を欠く場合はもちろん,幼児のように(  )が欠如している場合も,なお監禁罪の保護に値すべき客体となり得る

エ  監禁罪は,人の(  )の(  )を侵害することを内容とする犯罪であって,その客体は自然人に限られる

1.3回   2.4回   3.5回   4.6回   5.7回

[H06−60] 上記のアからエまでの各文章を次の(  )に入れた場合,その順序として正いものはどれか。

「(  )が,(  )と解する説が有力に唱えられている。確かに,(  )ことは,ほぼ異論のないところであろう。しかしながら,(  )ものと解することが,立法の趣旨に照らし合理的というべきである。」

1.アイウエ    2.アウイエ    3.イウエア    4.エイアウ

5.エアウイ


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