[H08−41] 学生X及びYは,事実の錯誤と故意の成否につき,次のように考えている。

X 行為者の認識事実と発生事実とが具体的に符合する場合に限り,発生事実について故意を認める。

Y 行為者の認識事実と発生事実とが構成要件的に符合する場合に限り,発生事実について故意を認める。

 下記文章の( )に適切な罪名を入れると,「甲が,Aを射殺しようとしてけん銃を発射したところ.その弾丸がAに命中するとともに,偶然付近にいたBにも命中し,@ABとも死亡した場合,AAは死亡し,Bは傷害を負った場合,BAは傷害を負い,Bは死亡した場合,CABとも傷害を負った場合,それぞれ甲の刑責はどうなるか。」との試験問題に対するX及びYの解答となる。その中で,「殺人既遂罪」と「過失致死罪」とがそれぞれ使用される回数の差は何回か。

X @の場合,Aに対しては( ),Bに対しては( ),Aの場合,Aに対しては( )Bに対しては( ),Bの場合,Aに対しては( ),Bに対しては( ),Cの場合,Aに対しては( ),Bに対しては( )がそれぞれ成立する。

Y 殺人の故意につき,人数を問わず,およそ人を殺す意思であると解するので@の場合,Aに対しては( ),Bに対しては( ),Aの場合,Aに対しては( ),Bに対しては( ),Bの場合,Aに対しては( ),Bに対しては( ),Cの場合,Aに対しては( ),Bに対しては( )がそれぞれ成立する。

l.  0回

2. 1回

3. 2回

4. 3回

5. 4回

[H08−42] 下記アないしエの記述は,実行の着手時期に関する学生2名の発言である。.各学生が下記TないしVのいずれかの異なる説を採り,各2回発言したとして,各学生の採る説と発言の組合せとして,正しいものはどれか。

T 外形的行為及び外部事情を基礎として,法益侵害の具体的危険が発生したと認められる時点で実行の着手を認める。

U 外形的行為及び外部事情のほか,行為者の故意を基礎として法益侵害の具体的危険が発生したと認められる時点で実行の着手を認める。

V 外形的行為及び外部事情のほか,行為者の故意及び企図,計画を基礎として,法益侵害の具体的危険が発生したと認められる時点で実行の着手を認める。

ア 君の立場はスリが他人の着衣のポケットの外側に触れる行為をした場合,狙った相手の財布の位置を確認する目的のときと,単に狙う相手をさがす目的のときとを区別しないことになって不当だ。

イ 君の立場は主観的要素が結果発生の危険性の判断に影響を及ぼすことを認めることになるが,これは違法を結果無価値と解する立場とは相い容れず不当だ。

ウ 君の立場は実行の着手という構成要件該当性の判断において構成要件外の個別事情を考慮することになって不当だ。

エ 君の立場ではどの犯罪の未遂犯が成立するか決しえない場合が出て不当だ。

1. T−ア,イとV−ウ,エ

2. T−イ,エとU−ア,ウ

3. T−イ,ウとU−ア,エ

4. T−イ,ウとV−ア,エ

5. U−イ,エとV−ア,ウ

ーー[H08−43]及び[H08−44]ーー

 下記事例について,後記[H08−43]及び[H08−44]の問いに答えよ。

〔事例〕 甲は,電車内で居眠りしていた乗客丙から財布を抜き取ったところ,丙が目を覚まして財布を取り戻そうとした。偶然これを見ていた乙は,甲と意思を通じ,財布を取り戻されるのを防ぐ目的で,二人で丙に暴行を加え,その反抗を抑圧した。

[H08−43] 以下は,乙の刑責に関する学生AないしEの議論の一部であるが,(  )に下記の語群から適切な語を入れるとして,最も多く使用する語の使用回数は何回か。

A 乙は,甲が財布を抜き取ったのを認識した上で,甲の事後強盗の実行行為の途中から意思を通じて暴行しているから事後強盗の(  )の問題となる。

B (  )の問題とすると,事後強盗の実行の着手を(  )の時点で認めることになり,(  )はしたが(  )に及ばなかった場合も事後強盗未遂となって不当だ。

C 事後強盗罪は(  )犯人であることを身分とする身分犯であり,実行の着手は(  )の時点で認めるべきだ。そうすると,乙は事後強盗の実行行為に当初から関与したことになるから(  )の問題とはならない。

D C君の立場では(  )は実行行為ではないことになり,事後強盗の既遂・未遂を(  )の既遂・未遂によって区別することと矛盾する。

E 事後強盗罪を身分犯とすることには賛成だが,これをC君のように(  )と解すると事後強盗罪を(  )罪の加重類型と考えることになり,事後強盗罪が本質的には(  )であることと矛盾すると思う。

B 事後強盗罪は,(  )に加え(  )の側面も併せ持っており,(  )罪と罪質が部分的に重なり合うから,これを(  )と解しても不当ではない。

D (  )の問題とする点ではA君に賛成だが,乙の暴行が甲が既に行った(  )行為に因果性を及ぼすことはないから,結論的にはA君に反対だ。

B 私は,刑法65条1項は(  )及び(  )の(  )に関する規定,2項は(  )の(  )に関する規定と考える。

C 私は,刑法65条1項は(  )の(  )及び(  )に関する規定,2項は(  )の(  )及び(  )に関する規定と解する。

〔語群〕ア 真正身分犯  イ 不真正身分犯  ウ 財産犯  エ 身体犯  オ 成立  カ 科刑  キ 窃盗  ク 強盗  ケ 暴行・脅迫  コ 承継的共同正犯

1. 4回

2. 5回

3. 6回

4. 7回

5. 8回

[H08−44] 上記の議論を前提に,乙に事後強盗罪の成立を認める学生の組合せとして正しいものはどれか(刑法第65条第1項の「共犯」は,共同正犯を含むものとする。)。

1.ABC

2.ABE

3.ACE

4.BCD

5.BDE

[H08−45] 次の記述の( )に下記語群から適切な語を選んで入れた場合,(ア)及び(イ)に入る語の組合せとして正しいものはどれか。

 殺人罪を犯した者に対する有罪判決において,宣告する刑を定めるには,まず殺人罪の( )に定められた( )刑を前提に,その複数の( )の中から適用する( )を選択する。ここでは有期懲役刑に処することとし,被告人に累犯前科があって再犯であるので,その刑の( )を行う。次に,被告人が行為当時心神耗弱の状態にあったので,この刑を( )する。さらに,併合罪に該当する場合には,この( )した刑を基に( )をすることとなるが,ここでは併合罪関係にある罪はなく,また,酌量減軽をすべき場合でもないので,懲役(ア)以上(イ)以下の範囲内で,宣告する刑を定めることになる。

〔諸群〕 加重 減軽 刑種 罰条 法定

1. ア−3年   イ−20年

2. ア−3年   イ−15年

3. ア−3年   イ−10年

4. ア−1年6月  イ−10年

5. ア−1年6月  イ−7年6月

(参照条文)

刑法第12条第1項  懲役は,無期及び有期とし,有期懲役は,1月以上15年以下とする。

刑法第14条    有期の懲役又は禁錮を加重する場合においては20年にまで上げることができ,これを滅軽する場合においては1月未満に下げることができる。

刑法第39条第2項 心神耗弱者の行為は,その刑を滅軽する。

刑法第57条    再犯の刑は,その罪について定めた懲役の長期の2倍以下とする。

刑法第68条第3号 有期の懲役又は禁錮を減軽するときは,その長期及び短期の2分の1を減ずる。

刑法第199条   人を殺した者は,死刑又は無期若しくは3年以上の懲役に処する。

[H08−46] 下記事例AないしEの末尾の〔  〕内の記述は,各事例において,放火の罪に関して甲に成立する罪を記載したものであるが,誤っているものは何個あるか。

A 甲は,甲の意図を知らない妻の旅行中に,妻と二人で居住する甲所有の家屋に放火し,全焼させた。〔刑法第108条の罪の既遂〕

B 甲は,乙の住宅を燃やそうと考え,隣接する乙のガレージに放火したが,ガレージを全焼したにとどまった。〔刑法第108条の罪の未遂〕

C 甲は,店舗に夜警として一人で住み込んでいたが,自殺目的で閉店後の深夜自室内に灯油をまいて火をつけ,店舗を全焼させた(甲には,他の建物への延焼の認識はなかった。)。〔刑法第109条第1項の罪の既遂〕

D 一人暮らしの甲は,自殺目的で住宅街にある甲所有の居宅に放火し,全焼させた(甲には,他の建物への延焼の認識はなかった。)。〔刑法第109条第2項の罪の既遂〕

E 甲は,家屋の火災保険金をだまし取ろうと企て,妻と共謀の上,妻と二人で居住する甲所有の家屋に放火し,全焼させた。〔刑法第109条第2項の罪の既遂〕

1. 1個

2. 2個

3. 3個

4. 4個

5. 5個

(参照条文)

刑法第108条 放火して,現に人が住居に使用し又は現に人がいる建造物……を焼損した者は,……に処する。

刑法第109条第1項 放火して,現に人が住居に使用せず,かつ,現に人がいない建造物……を焼損した者は,……に処する。

刑法第109条第2項 前項の物が自己の所有に係るときは,……に処する。ただし公共の危険を生じなかったときは,罰しない。

刑法第115条 第109条第1項……に規定する物が自己の所有に係るものであっても,差押えを受け,物権を負担し,賃貸し又は保険に付したものである場合において,これを焼損したときは,他人の物を焼損した者の例による。

[H08−47] 次の文章は,共犯の処罰根拠と教唆の未遂の可罰性を論じたものである。( )には,下記AないしEの文章が入る。その順序として最も適切なものはどれか。

 「共犯も固有の犯罪性を持つと考えるべきことは,今日,広く認められている。そして,共犯の処罰根拠論が自覚的に展開されるにつれ,( )と考えられるようになっている。このように( )ことになろう。この考え方によれば( )ことになる。そこで,未遂の処罰根拠は,結果発生の具体的危険の惹起に求めるべきであるとする立場からは,( )からであると説明されることになる。また,共犯従属性説は共犯を条件付犯罪とするものであるとして批判されたこともあったが,上のような見解によれば,( )ので,この批判は当たらない。」

A 未遂も具体的危険の発生を要件とする一種の結果犯として理解される

B 教唆の未遂が不可罰である理由は,教唆行為だけでは未遂として処罰するに足りる結果発生の具体的危険を認めることができない

C 共犯と正犯の処罰根拠が同じであるとすると,どの段階に達すれば共犯を処罰できるかという問題も,正犯について未遂がどの段階で認められるかという問題と基本的に同じである

D 共犯の処罰根拠は,正犯と同様に,法益侵害又はその危険の惹起が必要である

E 教唆の未遂の可罰性の問題は,未遂の成立の問題に解消される

1. ACEBD

2. ACEDB

3. DCEAB

4. DCEBA

5. DECBA

[H08−48] 下記TないしWは,共謀共同正犯に関する見解であり,学生AないしDは,そのいずれかの異なる見解を採った上で以下のとおり発言している。学生とその見解との組合せとして正しいものはどれか。

T 共謀共同正犯は,現行刑法上認められない。

U 共謀共同正犯は,一定の目的の下に複数の者が同じ一体的共同意思主体を形成していることを根拠に認められる。

V 共謀共同正犯は,間接正犯における利用関係と類似した実態を見いだし得る場合に認められる。

W 共謀共同正犯は,構成要件的行為について自ら包括的な行為支配を有する場合に認められる。

A C君の見解では,対等の関係にある者については共謀共同正犯の成立を肯定するのは困難ではないか。また,共謀共同正犯は関与者がいずれも正犯意思を有することを無視することになるのではないか。

B D君の見解は,科刑の面ではともかく成立する罪が関与者のはたした役割の実態にそぐわないのではないか。

C A君の見解は,実質的に僕の見解と同じことにならないか。また,用いる基準が不明確だと思う。判例は少なくともA君のような考え方でないのではないか。

D B君の見解は近代刑法の大原則である個人責任の原則に反しないか。

1. A−W B−V

2. A−W C−V

3. B−U C−T

4. B−U D−V

5. C−V D−U

[H08−49] 刑法上の有価証券に関するAないしCの見解についての下記アないしエの記述のうち,明らかに誤っているものは何個あるか。

A 有価証券は,直接的可読性を備えた文書に限定される。

B 有価証券は,直接的可読性を必ずしも必要としない。

C 有価証券は,直接的可読性を有する部分を中心とするが,直接的可読性を有しない部分も券面の記載を補充する限りにおいて有価証券の一部を構成する。

ア 残度数が20の真正なテレホンカードの電磁的記録の度数部分の記録を105に書き換えた場合,A説では刑法第162条第1項の罪(有価証券偽変造罪)が成立し得ないが,B説及びC説では同罪が成立し得る。

イ 券面上には何の記載もないが,テレホンカードに必要な電磁的記録はすべて備えたカードを作出した場合,A説では刑法第162条第1項の罪が成立し得ないが,B説及びC説では同罪が成立し得る。

ウ 未使用の真正なテレホン力ードと同様の記載があるが(度数においても「105度数」と記載されている。),何ら電磁的記録のないカードを作出した場合,AないしCのいずれの説によっても,刑法第162条第1項の罪が成立し得る。

エ 自動改札機でも使用することのできる定期券(表面には,定期券に必要なすべての事項が記載されている。)の磁気面の有効期限の記録を3か月先に書き換えた場合,AないしCのいずれの説によっても刑法第162条第1項の罪が成立し得る。

1. 0個

2. 1個

3. 2個

4. 3個

5. 4個

[H08−50] 下表のアないしオには,TないしXの事例のいずれかが,@ないしCには,aないしdの問題点のいずれかが入り,それぞれの事例における甲の刑責に関連する問題点について,◯印が付されている。アないしオに入る事例の組合せとして正しいものはどれか。

T 甲は,深夜,睡眠中の学生Aの部屋に鍵を掛け,翌朝,Aが目覚める前に,その鍵を開けた。

U 甲は,生後10日目の新生児Aがいる部屋に1時間鍵を掛けた。

V 甲は,受験勉強に熱中しているAの部屋に1時間鍵を掛けたが,Aはこのことに気づかなかった。

W 甲は,「廊下にワックスをかけたので,30分間部屋から出ないでほしい。」と嘘を言ったため,これを信じたAは30分間部屋にとどまった。

X 甲は,入浴中の女性Aの衣類を隠したので,Aは浴場から出られなかった。

a 監禁罪の客体は,監禁されていることを認識する必要があるか。

b 監禁罪の客体は,移動可能な状態にある必要があるか。

c 監禁罪の客体は,もともと意思能力を有している必要があるか。

d 監禁行為は,物理的に困難にする必要があるか。

  ア イ ウ エ オ

1. U T X V W

2. U X T V W

3. W V U X T

4. W X T V U

5. X T V W U

[H08−51] 下記TないしVの設例の甲に現金の窃盗未遂罪が成立するか否かに関する学生AないしDの見解のうち,理由と結論が明らかに矛盾しているものは何個あるか。

T 甲は,勝手に持ち出した友人のキャッシュカードを現金自動支払機に挿入し,暗証番号として友人の電話番号を押したが,暗証番号と一致せず,現金を引き出すことができなかった。

U 甲は,その日に拾った他人のキャッシュカードを現金自動支払機に挿入し偶然知った暗証番号を押したが,落とし主から紛失届が出されていたので,現金を引き出すことはできなかった。

V 甲は,現金自動支払機をこじ開けたが,工事の準備で機械の中は空だったので,現金を手に入れることができなかった。

A 行為時に行為者が認識していた事情を基礎に,一般人が結果発生の危険を感じる場合に未遂罪が成立すると解するから,すべての設例で窃盗未遂罪が成立し得る。

B 行為時に存したすべての客観的事情を基礎に,一般人が結果発生の危険を感じる場合に未遂罪が成立すると解するから,設例Vでは窃盗未遂罪が成立し得るが設例T,Uでは成立し得ない。

C 行為時に行為者が認識していた事情及び一般人ならば認識し得た事情を基礎に,一般人が結果発生の危険を感じる場合に未遂罪が成立すると解するから,すべての設例で窃盗未遂罪が成立し得る。

D 行為時に存したすべての客観的事情を基礎に,科学的に結果発生の危険が存する場合に未遂罪が成立すると解するから,設例Vでは窃盗未遂罪が成立し得るが,設例T,Uでは成立し得ない。

1. 0個

2. 1個

3. 2個

4. 3個

5. 4個

[H08−52] 下記アないしウは,「無銭飲食の意思で飲食した後,その代金の支払を免れるため,反抗を抑圧する程度の暴行を加えて逃走した者の刑責」に関する記述である。( )に「一項詐欺罪」,「二項詐欺罪」,「二項強盗罪」のうち適切なものを入れた場合,最も多く使用される罪名と最も少なく使用される罪名の使用回数の差は何回か。

ア ( )と暴行罪の二罪が成立するとする見解がある。この見解は,飲食物の交付を受けることとその代金支払を免れることとは実質的に同一であるから,前者を( )として評価する以上,後者について重ねて刑法上の評価をするのは適当ではなく,したがって,例えば( )が既遂に達した後,その代金の支払を免れるために欺く行為を重ねても( )は成立しないことを根拠とする。この見解に対しては,「事前に犯意があったとすれば軽い罪,これがなければ重い( )になるのは不合理である。」との批判がある。

イ ( )と( )の二罪が成立するとする見解がある。この見解は,( )が成立した後も,その代金支払義務が存在する以上,その義務を暴行により免れることは,新たな財産上の利益を得たものと評価し得ることを根拠とする。この見解に対しては,「飲食代金を踏み倒す意思で飲食し,代金請求を受けた際,欺いて支払を免れれば、飲食の時点で( )が成立し,支払を免れた時点で( )が成立することを前提としており,妥当でない。」との批判がある。

ウ ( )の一罪が成立するとする見解は,事後強盗罪の場合,先行する窃盗罪が事後強盗罪に吸収されることを類推し吸収関係を認めて一罪とする。この見解に対しては,「罪質及び客体を異にする( )と( )に吸収関係を認めるのは不合理である。」との批判がある。

1. 1回

2. 2回

3. 3回

4. 4回

5. 5回

[H08−53] 下記事例T及びUの甲の刑責について,AないしCの立場がある。この各立場と,その論評アないしカの文中の「この立場」の組合せとして正しいものはどれか。

T 殺人犯人甲は,友人乙に頼んで犯行に使用したナイフを山に捨てさせた。

U 被告人甲は,友人乙に頼んで甲にアリバイがあるとの偽証をさせた。

A 事例T=証拠隠滅教唆罪,事例U=偽証教唆罪

B 事例T=犯罪不成立,事例U=犯罪不成立

C 事例T=犯罪不成立,事例U=偽証教唆罪

ア この立場に対しては,教唆行為を実行行為と同視するものとの批判が可能である。

イ この立場に対しては,共犯も正犯と同様に法益侵害に対して因果性を及ぼす点に処罰根拠があるとする因果的共犯論からは説明困難だとの批判が可能である。

ウ この立場は,甲が自ら行う場合と乙に行わせる場合の法益侵害の程度について,証拠隠滅と公判廷における虚偽の供述とでは差異があると解している。

エ この立場は,偽証教唆は実質的に見れば証拠の隠滅行為に外ならないと考えている。

オ この立場は,甲が被告人の立場で虚偽の供述をすることが不可罰とされる根拠は,期待可能性がないからではなく,政策的に被告人に証人適格が認められていない結果にすぎないからだと解している。

カ この立場に対しては,他人を犯罪に引き込んだ点に共犯の処罰根拠を求める責任共犯論を採用するに等しいとの批判が可能である。

1. A−イカ,B−アオ,C−ウエ

2. A−イオ,B−ウエ,C−アカ

3. A−アカ,B−エオ,C−イウ

4. A−イカ,B−アエ,C−ウオ

5. A−ウカ,B−アエ,C−イオ

[H08−54] 公務執行妨害罪における公務と業務妨害罪における業務との関係について,学生AないしDが,下記TないしWのいずれかの異なる見解を採った上で後記のとおり発言している。学生とその見解の組合せとして正しいものはどれか。

T 公務はすべて,公務執行妨害罪及び業務妨害罪の対象となる。

U 公務はすべて,公務執行妨害罪の対象となるが,業務妨害罪の対象とはならない。

V 非権力的公務は,公務執行妨害罪及び業務妨害罪の対象となるが,権力的公務は,業務妨害罪の対象とはならない。

W 業務妨害罪の対象となるのは非権力的公務のみであり,公務執行妨害罪の対象となるのは権力的公務のみである。

A 暴行を加えて非権力的公務を妨害すれば,威力業務妨害罪が成立し得る。

B 暴行を加えて非権力的公務を妨害しても,公務執行妨害罪は成立し得ない。

C 暴行を加えて非権力的公務を妨害すれば,公務執行妨害罪が成立し得る。

D 偽計を用いて権力的公務を妨害すれば,偽計業務妨害罪が成立し得る。

1. A B C D

  | | | |

  U W V T

2. A B C D

  | | | |

  V T U W

3. A B C D

  | | | |

  V W U T

4. A B C D

  | | | |

  W V T U

5. A B C D

  | | | |

  W V U T

[H08−55] 学生20人に対し,下記TないしVの事例について,甲の行為と乙の死亡との間に因果関係が認められるかどうか質問したところ,事例Tについては7名が,事例Uについては17名が,事例Vについては2名がそれぞれ因果関係を肯定した。因果関係に関し各学生がAないしDの各説のいずれかを採っているとして,B説とC説を採る学生数の組合せとして正しいものはどれか。

T 甲は,居酒屋でけんかとなった乙を突き飛ばしたところ,心臓疾患の持病のあった乙は心臓麻庫を起こして死亡した。甲は,乙の持病を知らず,かつ,知り得なかったし,一般人も知り得なかった。

U Tの事例で,甲は乙の持病を知らず,かつ,知り得なかったが,一般人は知り得た。

V 甲は,乙に切り付け,腕に入院加療2週間を要する傷害を負わせた。乙は,これにより入院中,病院の失火による火災のため焼死した。

A 行為と結果との間に条件関係があれば,因果関係が認められる。

B 行為時に存在した全事実及び一般人が予見可能な行為後の事実を基礎にして,甲の行為から乙が死亡することが相当と認められる場合に因果関係が肯定される。

C 行為時に一般人が認識し得た事実及び甲が認識していた事実を基礎にして,甲の行為から乙が死亡することが相当と認められる場合に因果関係が肯定される。

D 行為時に甲が認識し又は認識し得た事実を基礎にして,甲の行為から乙が死亡することが相当と認められる場合に因果関係が肯定される。

1. B−5名,C−10名

2. B−5名,C−13名

3. B−2名,C−13名

4. B−5名,C− 7名

5. B−7名,C−10名

[H08−56] 以下の記述は,学生A及びBが刑法における新旧両学派の基本的な考え方を要約したものである。(  )に当てはまる語を下記の語群から選んで入れた場合,2回以上使用する語は何個あるか。

A (  )の考え方によれば,(  )は,行為者の犯罪意思に対する(  )に基づいて,結果を含めた(  )に均衡する(  )として行為者に科されるものであり,それによって一般人を(  )して犯罪を防止しようとするものであるのに対し,(  )は,犯人の(  )に着眼し,将来における犯罪の(  )を目的とするものと理解されているので,両者は,本来,異質なものとされる。このような考え方を(  )という。

B (  )の考え方によれば,処罰の根拠は行為者の(  )にあり,(  )は犯人を(  )して(  )させることを目的とし,これによって将来の犯罪も(  )され,社会も防衛されると考えられている。したがって,(  )と(  )とは,犯人に対する矯正及び社会防衛の手段としては異ならないものとされる。このような考え方を(  )という。

〔語群〕a道義的非難 b社会的危険性 c応報   d教育改善 e予防

    f保安処分  g二元主義   h一元主義 i社会復帰 j威嚇

    k社会防衛  l古典学派   m近代学派 n刑罰   o犯罪行為

1. 1個

2. 2個

3. 3個

4. 4個

5. 5個

[H08−57] 下記文章は,その(  )に下記語群中の適切な語を入れると,原因において自由な行為に関し,責任能力がどの段階で必要かについての学生X,Y及びZの議論となる。全体での使用回数が最も多い語は,上から3番目のXの発言では何回使用されるか。

X 刑法上の(  )非難は,犯罪行為を行うという(  )に向けられるものであるから,たとえ(  )の時点では完全な(  )がなくても,(  )がある状態での(  )が,その後の(  )において発現している以上,完全な(  )を問うことができる。

Y (  )が,(  )だけでなく(  )を含む点を見逃してはならない。刑法規範に違反する行為が(  )である以上,(  )の時点で当該行為を制御する能力がなければならない。君の考えでは,責任能力状態下での犯罪意思を処罰根拠とするのと同じことになる。

X 君が強調している(  )が,是非善悪の弁識に従った行動をする能力を意味するなら,そのような行動も(  )に基づいてなされるものであり,結局は,(  )を行うかどうかという(  )の時点で問題となるものである。したがって.(  )を含めた(  )は,(  )の時点にあればよいということになる。

Z 僕は,(  )の時点で当該行為を制御する能力を含めた(  )がなければ,完全な(  )を問い得ないと考えるが,そこにいう(  )は,結果との間に相当困果関係が認められる行為であればよく,それによって直ちに未遂犯が成立するようなものでなくてもよいと考える。

Y そうすると,(  )の段階で(  )があれば,完全な(  )を認めることにならないか。そもそも既遂罪の(  )を問う以上,その(  )の時点で(  )かなければならないとすべきなのではないか。

〔語群〕@意思決定 A責任 B責任能力 C行動制御能力 D実行行為

    E弁識能力 F予備

1. 1回

2. 2回

3. 3回

4. 4回

5. 5回

[H08−58] 甲は,Aに自己所有の自動車を1年間の約定で賃貸したが,期限を1週間過ぎてもAが返還しないので,Aの承諾なしに同車を取り戻した。下記@ないしDの文章の口に下記語句群から適切なものを入れて完成させ,「(ア)。前者の(イ)。他方,後者の(ウ)。さらに,(エ)。(オ)。」の(ア)ないし(オ)に@ないしDの文章を当てはめた場合,(エ)に入るものはどれか。

@ □が保護されるとする説によれば,例えば,口から口が財物を奪い返す場合にも,口の口は保護されなければならず,窃盗罪が成立するという結論になる

A この説を採ると,本事例については,窃盗罪は口という結論になる

B 窃盗罪の口については,口すなわち人が物を支配している状態そのものを保護しようとしているのか,口を保護することによって,究極的には口を保護しようとするのかという点に争いがある

C口な□であっても,実力による奪還を受忍すべき程度の重大な口と,民事的手続による返還請求を拒み得ないという程度の口とは区別され,刑法上,前者の場合は保護に値しないが,後者の場合は保護されるべきであるという説もある

D口が保護されるとする説を徹底すると,例えば,盗品を譲り受けて口していた者から口がこれを奪取した場合にも窃盗罪が成立しないという結論も生じ得る

〔語群〕a 窃盗犯人 b 権利者 c 第三者 d 不法 e 適法 f 成立する

    g 成立しない h 保護法益 i 占有 j 所有 k 本権

1. @

2. A

3. B

4. C

5. D

[H08−59] 医師甲は,情を知らない看護婦乙を利用して患者Aを殺害しようと企て,乙に毒薬入り注射器を渡してAへの注射を指示した。乙は,それが毒薬入りであることを察知したがそのままAに注射してこれを殺害した。この事例に関する下記アないしオの見解のうち,誤っているものの組合せはどれか。

ア 犯罪共同説の立場からすると,甲乙が共同してAに対する殺人行為を行っているので,甲乙は殺人罪の共同正犯の刑責を負う。

イ 乙が殺人罪の刑責を負うことは当然であるが,甲の乙に対する誘致行為は,教唆ではなく実行行為に当たるから,乙が途中で情を知って殺人行為に及んだとしても,甲も殺人罪の刑責を負う。

ウ 甲は殺人の正犯としての故意を有していたが,結果として乙に対しAの殺害を教唆したことになるから,乙は殺人罪,甲は殺人罪の教唆の刑責を負う。

エ 甲に殺人罪の刑責を認める見解は,利用者の意図に反して被利用者が情を知るに至ったことを相当因果関係の範囲を逸脱するものと解するのに対し,殺人罪の教唆の刑責を認める見解は,それを因果経過に関する軽微な錯誤にすぎないと解する。

オ 乙が情を知って注射をやめた場合,間接正犯の実行の着手時期を利用者の誘致行為の時点と解すれば,甲は殺人未遂の教唆の刑責を負う。

1. アイオ

2. アウエ

3. アエオ

4. イウエ

5. イエオ

[H08−60] 次のAないしDの記述の中で,誤っているものは何個あるか。

A 「常習賭博罪の常習性は,責任要素である。」との見解は,常習賭博罪の常習性が行為者の属性であるとする説と矛盾しない。

B 「賭博の常習性を有する者が,常習性を有しない者の賭博を幇助した場合,常習賭博罪の幇助が成立する。」との見解は,常習賭博罪の常習性が行為者の属性であるとする説と矛盾しない。

C 「それまで賭博の常習性を有しなかった者が,賭博遊技機50台を設置して自己が胴元となり客を相手に賭博をするゲームセンターを開店したが,初日に客1人を相手に1万円の利益を上げたところで警察に摘発された場合,常習賭博罪は成立しない。」との見解は,常習賭博罪の常習性が行為者の属性であるとする説と矛盾しない。

D 「常習賭博罪が単純賭博罪より重く処罰されるのは,法益侵害の危険性がより高度だからである。」との見解は,常習賭博罪の常習性が行為の属性であるとする説と矛盾しない。

1. 0個

2. 1個

3. 2個

4. 3個

5. 4個


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