鋭い切れ味コラム 「アメリカのフォアグラ」

 今の日本とは何かと一言で表現すれば「フォアグラ」みたいなものだろう。第二次世界大戦で敗戦してのち、アメリカの行ってきた「日本利用」は構図として「日本に世界の金を集めるだけ集めさせる」ということであった。天皇を生かして国民の目を反米意識から遠ざけ、カルト宗教の信者のような一心な勤勉性を引き出して経済力をつけさせた。そして、日本は見事に復興しアメリカの軍事力の傘のもとにバキュームカーのように世界中のお金を貿易によって吸い取った。
 そして、バブルが崩壊した。お腹満タンというわけである。すなわち収穫時期なのである。待ってましたとばかり強力なシステムとアメリカ国家権力に守られたアメリカ企業がなだれ込み、日本政府の庇護に守られ防御力を失った企業をなぎ倒してお金を吸い取る。こうして日本はアメリカに食べられてしまうのである。まさにフォアグラである。
 なんのことはない。日本はアメリカの50州の次の州でもなく、植民地でもなく、独立国家でもない。ただの放牧地だったのである。
 昨年、永田町では「日本は空母を持って核武装すべし」という声がちらちらと出ていたそうである。時代錯誤か、あるいは広島や長崎の人には言いわけもできない話だが深い意味がある。それは「いくら国会で決めても、独自性のあることをしようとしても、戦争反対、米軍基地出て行けと言おうがすべての権力の実態がアメリカに握られている以上、俺達ではどうしようもないよ」というため息だったのである。
 日米安全保障条約は「同盟国の安全を守る」というのが建前だろうが実際は「アメリカの安全を守る」ということである。大体「同盟国」というのが怪しい。思い返すと「日独伊三国同盟」とかがあったが、あれも結局はお互いのしたい放題を認めて悪さをしましょうというのが本音であり、本当にその国々を守るとかいう性質のものではなかったのである。大体本当に友好国を助けるのなら、友好国が攻め込まれたら攻めた国とその国をいち早く仲直りさせるよう仲裁に回るのが筋であろう。
 なぜ日本にはイスラエルや韓国でも与えられないイージス艦やF15なんて高性能兵器が与えられるのかというと大事なフォアグラを他に食べられては困るからなのである。別に友好でも何でもない。もっとも、日本人には「友好」だとか「もっとも親密だからだ」とマスコミを使って思わせている。けれども、アメリカで調査をすると日本は信頼できる国としては真ん中程度なのである。日本人だけの片思いもいいところだが、そのように我々の意識はマインドコントロールされている。
 さて、そうだとすると日本はどうするべきだろう。フィリピンのように不便は覚悟で「独立」するか?大体フィリピンは「私たちは第二のアメリカ人である」と自負していたし国語も英語であった。だが、ついに米軍基地を追い出した。そして国語もタガログを復活させた。ヴェトナムは半殺しの目に遭いながらも追い出した。韓国も本音は「出て行けアメ公」である。しかし、なぜ彼らができるかというと第二次大戦アメリカに敗戦しなかったからである。
 負けた日本=フォアグラは食べられるしか運命がないのだろうか?
 絶望的だがひとつ思いついた。
 それはフォアグラ自体が毒になることである。食うに耐えないシロモノになればアメリカも「いらん」と言って手放すだろう。空母も核もなく、アメリカの言うことしか聞かない自衛隊を抱えたこの国がとる唯一の方法はもはやそれぐらいしかないだろう。みんなは何を考えますか?
内海新聞(1998/5/5 No.39)より
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