二、炭は湯の沸くように置き
「炭」は無論木炭のことですが、これは単に「湯が早く沸騰するような炭の置き方」を云々しているのではありません。
ここで言う「置き」とは、「湯の沸くよう」にするための行為全体の象徴的表現と言えます。つまり、点茶における準備の重要性を説いているのです。
日常生活においては、ガスコンロにヤカンをかけても、電気ポットで熱しても、沸騰した湯を得ることにさほど気遣いはいりません。
しかし、客前で茶を点てる場合はそうはいきません。釜に満たした湯を沸騰した状態にするためには、釜にたっぷりと水を注ぎ、それを加熱し続け、そのための火を熾こした炭を用意しなければなりません。勿論、炉・風炉の準備も必要です。
ならば、何故その中でも炭の「置き」に焦点があてられるのでしょうか。それは、湯の沸き具合を左右する存在だからです。水は熱っせられて湯になるのであって、自らは変化できません。
と言っても、火力が一定ならば水の量や釜蓋の開閉で加減は可能です。そうなると、一番大切なのが最初の火の調節ということになります。
全ては「湯の沸くよう」に火力が維持されて、初めて加減が成立するわけですから。ところが、一旦火を熾こし、水を満たした釜を乗せた後では、炭の調節はできません。
そのため、予め最良の炭の置き方が求められるということです。
亭主の解釈……「準備・段取りは、要となるツボを押さえて。」
|