人間模様

病院ではいろいろな人間模様が展開される
さまざまな病気におかされ人生を大きく左右される
一見どんな症状なのかわからないけれど病院生活から
何気なく知り雰囲気で直感するときがある
ある明け方 近くで苦しむ声が聞こえてきた
以前から鎮痛剤を求める様子や痛みを訴える声が聞こえていた
その様子からガンの末期であるとかねてから直感していた
この朝 その患者さんに急変が起き生死をさまよう状態となった
看護婦さんの足早に動く音に目が覚め緊張した雰囲気が伝わってきた
僕の向かいに位置するその病室ではどんな状況なのだろう
己は人工呼吸器につながれ胃ろうという体に管を通している状態で
名も知らぬ一人の命の安否を息を殺して気遣っていた
命の尊さを敏感にとらえていた自分を思った
死に対する恐れのような悲しさを抱いていた
しばらくして家族のすすり泣く声が聞こえてきた
それはその患者さんの死を意味する泣き声だった
こんなに間近に人の死の瞬間を感じたのは初めてだった
僕にとってもいたたまれない思いで一杯となった
薄暗い病室でまんじりとしないで朝を迎えていた
朝を迎え自分の病室から出て向かいの病室を眺めてみた
もうすっかり荷物等も引き払われていて空室の病室が残されていた
陽を浴びた病室には悲しさが漂って見え胸に迫ってきた
病院では毎日のように命が消えていく
僕の病室でも何人の命がこの世を去ったのだろう
いろいろな人生を歩んで最期を迎える
この名も知れぬ人の死に多くの人間模様を感じた