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この日記のタイトル”辛夷(こぶし)”の由来は、当院の庭に毎年可憐な花をつけて雀が戯れる辛夷の木があるためです。白い花が咲いた時はきれいです。(写真の中央にまっすぐに立っている木が辛夷です。)また、秋の紅葉した”どうだんつつじ”は見ごたえがあります(右の写真)。

  *以下、下線のあるところ(リンク)をクリックしますと、そちらを詳しく見ることが出来ます。ご利用下さい。


2017.11.20 最近読んだ本

1)“シャーロック・ホームズの事件簿“(アーサー・コナン・ドイル著 日暮雅通訳 光文社文庫)

特に“サセックスの吸血鬼”は題名に全くそぐわない、非常に人間的なお話です。是非読んで下さい。他に“白面の兵士”や“ヴェールの下宿人”などは疾病や外傷をテーマにしていて人の琴線に触れるものがある。

 

2)“ムシェ 小さな英雄の物語“(キルメン・ウリベ著 金子奈美訳 白水社)

1937年スペイン内戦下、バスク地方の疎開児童を受け入れたベルギーの文学青年ロベール・ムシュ一家。しかし、第二次大戦でナチに囚われ強制収容所行きに。悲しい半ノンフィクション小説だが、残った妻の胸中と共に胸に迫るものがある。この様な戦争下の悲劇的状況は、我々が知らないだけで無数にあったことだろう・・・・。

3)“嗤う名医”(久坂部羊著 集英社文庫)

医師である作家。この1作しか僕は読んでいませんが、残念ながら、これという感激、感動は持てなかった。


2017.10.25
 “蟹工船”(旭川市民劇場10月例会。東京芸術座。旭川市公会堂にて)

 原作:小林多喜二。脚色:大垣肇。恥ずかしながら原作を読んだことがありません。小林多喜二が特高警察に逮捕され虐待死という事しか知りません。劇は重労働を強いられ劣悪な環境下の蟹工船の漁夫達が、監督らの使用者に対し立ち上がるまでを描いています。しかし、舞台の何らかの環境のせいか言葉の端々が聞き取り辛かったのは僕だけだったのでしょうか。殆ど男ばかりの出演者達の熱演にも関わらず、見終わり、こういう事実があったという事は了解出来たけれど、余韻というか考えさせられる程の感動は無かった。
   
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2017.10.3
 最近読んだ本

1)“ラッフルズ・ホーの奇蹟”(コナン・ドイル著 北原直彦・西崎憲訳 創元推理文庫)

 コナン・ドイルはシャーロック・ホームズしかないと世間で思われています。確かに人生論的というか哲学的な内容は余りなく娯楽的要素が大部分だが、その奇想天外な発想、アイデア、筋立てには脱帽です。

 

2)“こころ”(夏目漱石著 角川文庫)

恥ずかしながら、漱石のこの名作を初めて読みました。難しい言い回しも無く読み易いが、その内容は深い。

 

3)“影裏(えいり)”(沼田真佑著 文藝春秋)

第一作が芥川賞を取ったということで読んでみた。申し訳ないが、大した感想はありません。

 

4)“ひとりの記憶―海の向こうの戦争と、生きぬいた人たち”(橋口譲二著 文藝春秋)

先の大戦前後、男女問わず、日本に帰れず残った人の何と多い事か?アジア以外のロシア、カナダ、キュ―バなどにも居り、10人の人を紹介している。その辿った苦労の内容は千差万別だが、楽に暮らした人はいない。各人の取材当時の写真を掲載しており、その顔の深い皺や苦労が滲んだ風貌には他人に何も言わせない力がある・・・・。

 


2017.9.6
 音楽劇“秋に咲く桜のような”(スタミナや&イッツフォーリーズ公演 作:堤泰之、演出:田上ひろし。旭川市公会堂)

 過疎化に悩む町が舞台。何とかしたいと模索する町民達。イッツフォーリーズはミュージカルを専門とする劇団とのことで皆、声量があり歌唱力はばっちりでした。器楽演奏がちょっと頂けないのはご愛嬌だが、茂木沙月のリズム感ある小太鼓と勝部祐子のトランペットは良かった。見終わって疲れが飛び気分が明るくなった。人は人と繋がりを持ちつつ喜怒哀楽して生きていく、それが人生というものなのだろう。それを目の前で見せてくれた。

上はフィナーレでの全員演奏。これがまた楽しい!


2017.9.
2 ゴッホ展(北海道立近代美術館、札幌)
ゴッホは日本では人気があるが諸外国ではどうなのだろう。ゴッホは生前はあまり知られていなかった様だ。しかし、その筆使いは独特で一筆が太くこってりしているのが特徴だろう。今回の展示の中では良かったのは“画家としての自画像”と“寝室“かな。

ゴッホ 種まく人


ゴッホ  種まく人

2017.8.20 上村松園、松篁、淳之展―道立旭川美術館開館35周年記念、及び北海道新聞社創業130周年記念―(北海道立旭川美術館)

以前から日本画が好きで見てきました。三代に渡る日本画家で、女性初の文化勲章を受けた母の松園は女性美を、松篁、淳之は花鳥画を探求しています。松園の“楊貴妃”、松篁が自分の幼子を描いた“春雨”は最高ですね。下図は上村松園の代表作“鼓の音”。


「曙色」〈山海二十題之内〉 昭和15(1940)年 紙本彩色・軸装


《鼓の音》 昭和15(1940)年 松伯美術館蔵



2017・8・11(金) お盆恒例“道内ぶらり旅”(今回は道東探訪) 帯広
釧路厚岸根室阿寒

今年は道東にしました。一番の目的は北方四島を見てみたい!ということ。帯広の入口、清水町の“十勝千年の森”で庭やチーズの手作り工房を見、セグウエイに乗ってみた。昨年の豪雨でコンクリート橋の半分が破壊されたまま残っていた。

2017・8・12(土)

十勝川温泉付近の十勝が丘展望台から十勝平野を一望した。丹頂鶴自然公園では丹頂鶴の夫婦や親子をじっくり見れた。厚岸では厚岸湾を見ながら、道の駅“コンキリエ”で生牡蠣を味わった。写真左から「十勝が丘展望台」、「十勝平野と帯広を一望」、「丹頂鶴自然公園の鶴の親子」 、「厚岸の“道の駅コンキリエ”」

はるばる根室にやって来た。長時間の運転で肩は凝るし頭痛も。ゆっくりホテルで休みたい。いよいよ明日は日本最東端、納沙布岬だ。

2017・8・13(日)

納沙布(ノサップ)岬では残念ながら霧で全く島は見えず。北方館で多くの資料や写真を見せてもらった。次いで“春国岱(しゅんくにたい)”という大きな砂州を見学。遠くに(望遠鏡でだが)えぞ鹿の家族、子鹿もいた。写真左から「納沙布岬」、「岬の灯台」、「砂州“春国岱”」


2017・8・14(月)

阿寒湖はマリモで有名だが、それを展示している阿寒エコミュージアムを見学。ここには幻の淡水魚イトウもいた。仕事柄、魚も白内障になるのを確認した。泥と水が地中からプクプク噴き出す硫黄臭の沼“ボッケ”も見た。やはり火山帯なのだ。写真は「阿寒湖」



2017.7.15
 最近読んだ本

1)“中国人とアメリカ人”(遠藤滋著 文春新書)

この著者の経歴はすごい。自分が知らないだけかもしれないが、こういうキャリアの人が日本人としてどれだけいるのか?

 

2)“素敵な日本人”(東野圭吾著 光文社)

どの短編も読ませてくれ、気分転換にぴったり。

 

3)“絶望している暇はない―「左手のピアニスト」の超前向き思考”(館野泉著 小学館)

 以前私ら夫婦、この人のファンクラブに入っていて、実際に館野ご夫妻に会っております。今回、右手が効かなくなり左手のピアニストとして脚光を浴びています。ある意味、脱帽ですね。

 

4)“猟銃・闘牛”(井上靖著 新潮文庫)

 この人の作品多くは読んでませんが、殺人とかそういうテーマでなく好感持てます。猟銃は不倫が題材だけれど闘牛は会社員のイベント興業のため苦心、努力する姿を描いている。因みに井上靖は、今私の住んでる旭川市生まれです。

 

2017.7.13 演劇“みすてられた島”(中津留章仁作 青年劇場)旭川市民劇場7月例会 旭川市公会堂

 テーマは堅いけれど、適度に(あるいは必要以上に?)男女関係の話が織り交ざっており、それなり楽しめました。しかし、劇だから仕方ないけれど、会話場面というか(政治絡みのテーマですから島民VIPによる)discussionが多く、話について行くのが少々大変でした。島長夫人の藤木久美子が笑いを呼ぶ役で好演。


 

2017.7.1 最近見た映画

“オリエント急行殺人事件”

皆さん、よく御存じのアガサ・クリスティの作品。しかし、作家というものはよくこういう意外な粗筋を思いつくものだ。いつも感心します。



2017.5.10
 演劇“Be My Baby いとしのベイビー”(旭川市公会堂、原作:ケン・ラドウイッグ 訳:小田島恒志&小田島則子 演出:鵜山仁 出演:加藤健一、阿知波悟美など)

始めは、若夫婦が養子にした赤ちゃんに四苦八苦するコメディかと思っていたが、意外な展開で良い方向に裏切られ面白かった! 加藤健一と阿知波悟美が良い演技をしている。特に加藤はアドリブかと思わせる箇所も多く、それが大仰でなく好感が持てた。公会堂はほぼ満員で、マナーも良かった(2月の公演では携帯電話の会話がありひどかった様だ)。2013年初演で「日本の喜劇史に新たな名コンビが誕生」と絶賛されたそうだが頷ける。他の脇役4名の若手の演技がわざとらしいが、コメディだし舞台が英国という外国なので、これ位でないとメリハリが効かず許される範囲だろう。
  

2017.5.3 最近読んだ本

1)“アウシュビッツを志願した男 ポーランド軍大尉ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ”(小林公二著 講談社 2015年)

 読んでナチスの収容所での凄惨さを改めて思い知らされた!若い母親の目の前でBabyの頭を壁に打ちつけて殺すなど。読むに耐えられない。ピレツキが仲間二人と収容所を脱走する場面は映画を見ている様だ。ピレツキはあくまでも祖国ポーランドの自由を望んでいたに過ぎないが、大戦後の1948年、スターリン体制下のポーランドにより死刑を執行された。しかし、1990年その死刑判決は無効とされ、彼の名誉は回復し、現在ポーランドの英雄として顕彰されている。

2)“富良野風話 日本人として“(倉本聰著 財界研究所刊 2015年)

今、昼の連続ドラマ“やすらぎの郷”で話題の倉本聰のエッセイです。2011年の三陸沖大地震の直後から書き起こしたものです。内容は日々の日本の世相を見て意見を述べています。政治や原発に関することが比較的多いですが、良識ある日本人ならほぼ納得できる意見が多いです。この人は過去、テレビの脚本作りで番組担当者と色々あったようですが、それはそれ。

2017.4.10
 最近見た映画

1) “博士の愛した数式“(小泉堯史監督 2006年)

寺尾聰、深津絵里出演

 認知症なのだろうが、こういう先生も現実にいるだろう。深い心の傷があるようだ。

 

2) “ロックダウン”(アイバン・シルベストリニ監督 2016年) カタリーナ・ボウデン主演

 途中、どうなるかと思った・・・・。しかし、あの崖から車を突き落したのは何故なのか?

 

3) “蒲田行進曲”(深作欣二監督 1982年) 

松坂慶子、平田満、風間杜夫出演。平田満が良い演技をしている。松坂慶子は色んな役が出来るね。

 

4) “ジャックと天空の巨人”(ブライアン・シンガー監督 2013年)

ニコラス・ホルト、エレノア・トムリンソン出演

 

2017.4.9 最近読んだ本

1) “なぜイギリス人は貯金500万円で幸せに暮らせるのか?”(井形慶子著講談社)

最近、自分のRetire後の過ごし方を時々考える様になりました。子供達の世話になる気はないので、「夫婦二人して、限られた財源の中でいかに快適に過ごしていくか?」ですね。でも、この本、余り参考にならなかった。

 

2) “月のしずく“(浅田次郎著 文春文庫)

 短編集です。周知の通り、浅田次郎の文面は読みやすく、僕と同世代のため違和感なく内容に入っていける。特に“花や今宵”。 こういう事は、現実にはまず無いであろうが読後感が良い。

 

3) “十津川街道” (司馬遼太郎著 “街道をゆく№12”  朝日文庫)

奈良県十津川村の住民が、北海道の新十津川町に移住した経緯がよくわかります。十津川村は古来、天領で税が一切無い免租地であった事等、新発見が多数あります。大阪から南下し、まず五條市から書きだされているが、そこから十津川村まではかなり険しい道である。

 

4) “人生を変えてくれたペンギン 海辺で君を見つけた日” (トム・ミッチェル著 矢沢聖子訳 ハーパーコリンズ・ジャパン刊)

(写真は著者が飼うことになった種類のマゼランペンギン。その個体ではありません。)まずペンギンをペットとして飼うことがeccentricなことである。しかし切っ掛けが、重油にまみれていたのを助けたことに始まるので、不自然ではない。本来群れとして生きる動物なので、このペンギンにとって幸せだったのかどうか、知りようも無い。しかし、少なくとも周りの人たちに可愛がられ、不幸せだったとは思えない。題名でこのペンギンが著者の「人生を変えてくれた」とあり、著者がこのペンギンに感謝していることは間違いない。

2017.2.5
 最近読んだ本 

1)“すごいお母さん、EUの大統領と会う”(尾崎美恵著 文芸春秋)

 このお母さん、すごい!!こんな積極性が僕にもあれば、今の人生、もっと違ったものになっていただろう。

四国夢中人代表・尾崎美恵さん

 

2)“最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常”(二宮敦人著 新潮社)

 確かに芸術家(の卵ではあるが)なので、作り上げたもの(絵画であれ音楽であれ)がどうかという事が最も大事なのである。普通の学校と違い、授業がどうかとか単位がどうかではない。従って、科や専攻によっては1年に数日の出席日数でも良い処があるそうだ。極端に言うといつ、どこにいるかも不明な学生もいるらしい・・・。

東京芸術大学


3) “コーヒーが冷めないうちに” (川口俊和著 サンマーク出版)

内容も読後感も良かった。まず、タイムトラベルが出来る喫茶店という設定が面白く、最終第4話の“親子”は秀逸。僕にとっては久々に(しばらく無かった)涙した作品。

 

2017.1.28 最近見た映画

1)“マイ・インターン”(ナンシー・マイヤーズ監督 2015年)

2)“ハドソン川の奇跡”(クリント・イーストウッド監督 2016年 アメリカ)特集

圧巻は国家運輸安全委員会の公聴会。機長が人的要件に言及したのはまさに的を得ている。人間の関わること、殆ど皆その通りだろう。

2017.1.26
 最近読んだ本

“クリスマス・キャロル”(チャールズ・ディケンズ著 村岡花子訳 新潮文庫)

 有名な小説(中編)ですね。多くの人は子供時代に読んでいるかと思いますが、今回初めて読みました。幽霊が登場する童話という感じです。確かに、天から俯瞰すると、自分がどんな感じの人間であって、どんな人間模様の中で暮らしているのか、同時進行で見れるという事は興味深いですね。

2017.1.22 富良野GROUP 公演“走る”(倉本聰監督 富良野演劇工場)

2017.1.2
 最近見た映画

1)“ベン・ハー”(フレッド・ニブロ監督 1925 サイレンント)

主演ラモン・ノヴァロ。言わずと知れた名作ですが、これはチャールトン・ヘストン主演のremake版(1959年)ではなく昔のもの(しかし、実は昔1907年、明治40年に短編ですが最初のベンハーが撮られています)。戦車競争の場面はremake版に劣らず迫力があります。ただ、映画全体はサイレントなので地味で、ただ筋を展開している様で物足りない。筋は全くご承知の通り、というかremake版がこれと全く同じに作ったとのことです。

2)“狼たちの午後”(シドニー・ルメット監督 1975年)

あの“ゴッドファーザー”のアル・パチーノ(下の写真)の出世作。彼の犯人役としての迫真の演技が評価された様だ。人間として最低限の節度を守ろうとしている銀行強盗の青年をよく演じている。最後、飛行機に乗らんとする車内のシーンは見逃せない。

Al Pacino

 

2017.1.2 最近読んだ本

1)“倉本聰 ドラマ人生”(倉本聰 北海道新聞社 2013年)

倉本聰が東京から富良野来るまでの話やあの国民に感動与えたドラマ“北の国から”制作に纏わる秘話等を克明に、倉本の聞き書きで本にしたもの。倉本聰の性格がよく描出されています。多数の名作ドラマを世に送り出し、確かに脚本家としては一流と思う。あのドラマも倉本作品かと!と。しかし独特の個性、妥協しないというか、相手のことをあまり考えず自分の流儀で事を推し進める傾向は否定できず、それで敵を作ってしまったこともある様だ。しかし、それによる体験がまた彼の肥やしになってしまうのだ。

2)“誰も教えてくれない男の礼儀作法”(小笠原敬承斎著 光文社新書 2010年)
 宴席等人が集う所ではそれなりの作法というものがある。根本は、礼儀作法を守りつつ、かつその場で他の人たちに迷惑を掛けない様、嫌悪感を与えぬ様、そして自分も含めて楽しく過ごせる様な気遣いが肝要ということだろう。だから宴会などでの振る舞い方は、意外と難しいものなのである。

3)“コンビニ人間”(村田沙耶香著 文芸春秋刊 2016年)

 2016年第155回芥川賞受賞作。面白くて一気に読んだ。しかし、主人公の女性のcharacterは常軌を逸しているというか筋がずれており現実的でないと思う。ただ読んだというだけで、単なる娯楽作品ですね。下の写真が村田沙耶香氏。

村田沙耶香

2016.11.30 立派な棕櫚(シュロ)と蘇鉄(ソテツ)を戴きました!

先日、患者さんのTご夫妻から、自宅で長年育てられていた南国の木、棕櫚(シュロ)と蘇鉄(ソテツ)を戴きました。嬉しいのですが、立派過ぎて枯らさない様気を付けて行きます。右がソテツ、左がシュロ
    

2016.11.27
 最近読んだ本

1)“家族という病2”(下重暁子著 幻冬舎新書)

 世の中の最小生活単位。「たかが家族」ではなく、「やはり家族」だろう。生きて行く上で大切であり、頼るのは家族。しかし「親しき仲にも礼儀あり」で、甘えも良くない。

2)“世間とは何か”(阿部謹也著 講談社現代新書)

 世間という語について、明治以降は社会という言葉が出来た。兼好法師、親鸞、井原西鶴、夏目漱石、永井荷風らの作品に描かれた世間を詳述している。

3)“母さん ごめん もう無理だ”(朝日新聞社会部著 幻冬舎)

 裁判を傍聴して、犯罪者の動機等で生の言葉を露わにした。各事例千差万別。後悔先に立たず。犯行後に後悔してもダメ、遅い。

4)“御広敷用人 大奥記録(十) 情愛の奸”(上田秀人著 光文社)

本当に久しぶりに時代小説を読んだ。ただの娯楽読み物だがそれなりに面白かった。昔、東映の時代劇映画が全盛の頃を思い出す。ファンだった大川橋蔵や、片岡千恵蔵、市川歌右衛門、東千代之介、月形龍乃介、中村錦之助、大友柳太郎等々。あれから50年か・・・!隔世の感がある。

5)“白衣の嘘”(長岡弘樹著 角川書店)

この未だおそらくそれ程著名でない47才の作家は才能が有りそうだ。なかなかの小説、これはすべて短編であるが読ませる。タイトルから分る様に医療系の内容だが、医者ではない(社会学部卒)。


2016.10.22
 最近読んだ本

“15のわけあり小説ジェフリー・アーチャー著 新潮文庫)

 有名な英国の政治家でありベストセラー作家の様ですが恥ずかしながら初めて読みました。その内容の意外性というかどんでん返しに私は嬉々としております。特に「満室?」、「ブラインド・デート」とか、実話に基づく「メンバーズ・オンリー」や「女王陛下からの祝電」など。アーチャーは何かヒントがあれば、5分で粗筋が作れると話していて自信家の様だ。

 

2016.10.20.最近見た映画

1)“タクシードライバー”(マーティン・スコセッシ監督 1976

主演:ロバート・デニーロ 有名な映画である。このタクシードライバーの常軌を逸した正義感は肯定できない。当時13歳のジョディー・フォスターが娼婦役で出ているのは驚き。

 

2)“博士の異常な愛情”(スタンリー・キューブリック監督 1964年)

ピーター・セラーズが3役を演じている。冷戦時代の核についての大ブラック・コメディ。

 

3)“グッド・ウイル・ハンティング”(ガス・ヴァン・サント監督 1997年

主演マット・デイモン(下の写真左)名優ロビン・ウィリアムス(下の写真右)。脚本がマット・デイモンと親友を演じたベン・アフレックによるものというのも面白い。現実にはありえない様な話だが、劇中でも述べられているように、あのアインシュタインも実はスイス特許庁の一技術者に過ぎなかった。

マット・デイモンロビン・ウィリアムズ


2016.10.20
 “生きそびれる?”

開業以来20年経ちました。勤務医には無い開業医の色んな事は、もう多くの先生方がこの欄で書きつくしていますので、触れないことにしました。となると、他に特に記す事もありませんが、先日、有名な解剖学者、養老孟司先生がちょっと気になる話をしておりましたので、ここに取り上げて見ます。

 その題は “生きそびれる?”です。どういう事かと申しますと、養老先生の虫好きはもう皆さんご存知のことと思います。会合でも、虫の話をし出すと止まらないので禁止となっています。子供の頃から昆虫採集が趣味で、今でも標本作りの時間は至福の時で、没頭して寝食を忘れるそうです。つまり、寝食を忘れるほど没頭する時間は、本人は“おお、自分は生きているんだ!”ということを実体験している時です。しかし現実は人皆、日々、仕事に追われ、人間関係に気を遣いながら生きています。
明治時代の文豪、夏目漱石でさえも「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。兎角に人の世は住みにくい。」と言っています。そうして1日が終わり、1か月そして1年経ち2年経ちます。そして、振り返って、「ああ、もう○年経ったのだ。時が経つのは早いね」などとお茶を濁しています。その○年は“本当に生きた!”と言える時間だったのでしょうか?僕に限らず思い当たる先生も少なくないのでは。本当にそれでいいんですか? 自分の人生、全てを忘れ“自分は生きている!”という実感を持った時がどれ位ありましたか?“後悔先に立たず”の人生ではありませんか? と、そういうことを養老先生は“生きそびれている”と表現し、我々に警告を発しているのだと思います。


私も現在65才。残る私の人生も、いつ癌等の病気になるかも知れず、健康寿命として良い所20年あるかどうか。丁度、開業して現在までと同じ時間です。人生最後の時、「(子供、親、仕事、趣味、友人関係等全て含めて)ああ生きて良かった。自分の人生に悔いは無い。」と大いにsatisfiedしていたら良いですね。
という様な事を最近、よく考えます。しかし、何を言っても、何をするにしても、まずは健康でないと始まりませんが。(旭川医大眼科同門会誌 第26号、平成28年)


2016.10.9
 神田一明個展(旭川市 ヒラマ画廊 2016.10.410

 風景画が主でしたが、港町が比較的多かったです。彫刻家である奥様の故郷が釧路であったせいでしょうか。絵はいずれも派手な色使いが無く、落ち着いた感じで好感を持てました。

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2016.9.23
 最近読んだ本

1)“孤高-国語学者大野晋の生涯”(川村二郎著 集英社文庫)

岩波文庫の「日本語の・・・」の著者として、その名は知っていました。その人柄についてよく描かれています。日本語に関する仕事上の事については一切妥協しない、頑固一徹の方だった様です。まあそれ位でないと、(僕の様に優柔不断では)何事も一流にはなれないでしよう。

2)“海の見える理髪店”(萩原浩著 集英社)

今年の直木賞受賞作家です。残念ながら申し訳ないけれど、僕としては読んで大して感想はありません。

2016.9.25
“歌麿とその時代 美人画と役者絵”浮世絵展  

(道立旭川美術館 8.2610.16

彩色華やかなというか、煌びやかな浮世絵には圧倒されます。殆どは美人画で、その対象は吉原の花魁等です。夕涼み中、とか雨降り等の絵は趣があり、当時の時代の雰囲気が出ていて少しホッとします。左が東洲斎写楽“二世市川門乃助 伊達の与作”(1794年作)、右が喜多川歌麿“青楼三美人”(1792年頃の作)


2016.9.3(土)、4(日)“朋有り、遠方より来たる。亦た楽しからずや”
 大学時代の友人達と2日間、旧交を温めました。ゴルフと夜は美味しいもので楽しい時を過ごしました。2人は九州から、他の4人は東京からでした。皆、若い時は日々、診療や研究など仕事オンリーで邁進してきたで訳ですが、六十を過ぎるともう、するべき診療や仕事をしたら、他の時間は「人生を楽しまなくっちゃ」ですね。



2016.8.13
15 お盆恒例“ぶらり旅”―“新ひだか町”訪問

 今年も噴火湾沿いの街を訪れました。桜並木と競走馬の故郷として有名な新ひだか町で、平成18年、静内町と三石町が合併して出来ました。静内は、明治4年、洲本藩(今の淡路島)が政府の命により開拓を手掛けた町で、その厳しく苦しい生活は“北の零年”(吉永小百合主演)という映画で描かれています。その記念碑や足跡が残されており見てきました。暑い午後の昼下がりでしたので、牧場では少数の馬たちがのんびり草を食んでいました。そして、茶褐色で体温まる静内温泉に浸かった後、町の居酒屋で旨い酒を堪能しました。

左から順に、開拓者集団上陸記念碑(石碑全体が舟形で、右上の穴から遠く淡路島を望める様デザインされています)。益習館跡(郷里淡路の学問所名をそのまま使用した塾を作り教育した)。静内会所跡(アイヌ人との産物の交易をした所)。競走馬のふるさと日高案内所。広い牧場をバックに。優駿メモリアルパーク・記念館(オグリキャップの等身大ブロンズ像)


2016.7.16
 最近読んだ本


1)“沈みゆく大国 アメリカ<逃げ切れ!日本の医療>”(堤未果 集英社新書 2015年)

 要は米国がTPP等を利用して、高齢化する日本の医療や介護等の分野を“食い物”として今後割り込んでくるので注意しよう、ということの様です。

2)“羊と鋼の森”(宮下奈都著 文芸春秋社 2015年)

 調律師養成学校を出たばかりの若き調律師の純粋な心情を描いた秀作。本年度の本屋大賞受賞作です。会社の先輩や顧客との交わりで、試行錯誤を重ねながら成長していく姿勢が良いですね。ピアノを弾く双子姉妹の性格描写が秀逸です。

3)
“本覺坊遺文“(井上靖著 講談社 1981年)

 秀吉による千利休に対する賜死事件は、不可解なものがありしばしば取り上げられます。師千利休のお傍に仕えた本覺坊という者が綴った手記が残されており、それを基に井上靖がmodifyし作品に仕上げたものです。終章でやや真相に迫る文脈が出てきますが、しかしやはりなぜ利休は自刃しなければならなかったのか、不明な点は残ります。


2016.6.5
 ブラザーズ・フォア ジャパンツアー2016(富良野演劇工場)

 楽しみにしていたブラザーズ・フォア公演に行ってきました。最高でした。数々のアメリカンフォーク!“遥かなるアラモ”、“グリーンフィールズ”、“七つの水仙”、“500マイル”等々。帰りに、マーク・ピアソン(バンジョーの名手)夫人にお近づきになれ、かつグループのメンバー全員と一緒に写真を撮って頂けたのは忘れられない!  

THE BROTHERS FOUR


2016.5.15
 最近読んだ本

1)“街道をゆく №8 熊野・古座街道、種子島みち、他”(司馬良太郎著 朝日文庫)

前半の熊野・古座街道は行ったことも無く、また、文学や日々のニュース的にも馴染みが無く、読んでいてもピント来ませんでした。山の中、渓谷というのは分かりますが・・。大分県である豊後、日田地方のことも記されていますが、やはり、後半の種子島が読み応えがありました。島の南北である北種子と南種子の折り合い、種子島と紀州薩摩藩との関係などです。


2)“「なぜ?」がわかる激動の世界現代史 (下)民族と宗教の衝突”(水村光男著 講談社+α新書)

苦手な世界史(現代史、上&下)を読んでみました。1800年以降の現代史を取り上げています。しかし、やはり1800年以後と云えど世界中の事を取り上げていますので、新書版2冊では、政治体制がこう変わった等、単なる出来事の羅列に過ぎず、それほど得るものは無かったです。

3)“後世への最大遺物・デンマルク国の話”(内村鑑三著 岩波文庫)

 あの内村鑑三が、明治2733歳の時に行った講演です。主題は「人は、その生涯で何を残していけるか」ということです。我々の様な普通人にしてみれば、それは思想や文学でもなく、また事業やお金でもなく、生き様、生き方であるということです。これは卓見で、確かに我々は毎日、絶え間ない人間関係の中で生きており、他人に何を言って、どう反応したか、相手の心に残っている訳です。
 内村鑑三1861-1930(文久2-昭和5)

内村鑑三

4)コナン・ドイルの怪奇譚(ドイル傑作集2“北極星号の船長、他12篇“、ドイル傑作集4“陸の海賊、他11篇”。 創元推理文庫)

 コナン・ドイルは一連のシャーロック・ホームズで有名ですが、実は怪奇小説の名手であることは、殆ど知られていません。文学的な主張や人生訓的なものはありませんが、ただ最高に読書の醍醐味が味わえます。怪奇的なものを読むと読後、映画を見終わった時の様に、しばらく現実との境が無くなります。幼児誘拐、無差別殺人の様な奇怪な事件を起こした犯人の自宅を調べると、よくホラー映画等のビデオが山のように出てくることがあります。人間の内面って、そんなに強いものではなく、周りの影響を受けやすいものですね。


2016.5.5
 当院の庭の“北辛夷(キタコブシ)”が咲きました。
 
当ブログの名の由来である当院庭の北辛夷。毎年、白い可憐な花をつけ、元気をもらっています。
  
  
  

ついでですが、当院正面の庭に見えるチューリップや水仙は僕が一昨年、自分で植えたものです。当然なのでしょうが、ちゃんと毎年、越冬して咲いてくれ感激です。


2016.3.29 最近読んだ本

“父を見送る―家族・人生・台湾”(龍應台著 天野健太郎訳)

 たまたまその文体に引き付けられ、手にした一冊。台湾のベストセラー女性作家とのことですが、初めて知りました。内容は殆ど家族、特に認知症の両親と二人の息子達のことです。過去に生き、娘の顔も忘れがちな両親や「いつまでも子供扱いする」と怒る息子達との会話、それに時折り挿まれる人生や世の中への比較的肯定的な批評、単なるエッセイですが、ついつい引き込まれ読み通しました。写真は龍應台。

写真・図版


2016.2.11
 最近見た映画

1)“オデッセイ”(リドリー・スコット監督 2016年)

 主演:マット・デイモン。アカデミー賞に数部門ノミネートされているそうだが、残念ながらそれほどの感動は無かった。もっとスリリングな点もあって欲しかったし、ヒューマニズムの描き方も中途半端でした。ただ、(火星に一人置き去りということは非現実的だが、)たった一人、無人島等など置き去りにされたらどうだろうということは考えさせられた。一人で生きていくのに、体力、気力は勿論、広範な知識や色んな事が出来ないと駄目だろう。例えば、主人公は、芋など植物を育て、酸素を作製し、日曜大工的なことは勿論パソコンにも精通していなければならなかった。

2)“大いなる西部”(ウィリアム・ワイラー監督 1958年)

 テーマ曲は雄大な西部を連想させ有名ですね。Storyについては、別に見て頂くとして可もなく不可もなしですね。主演が僕の大好きな男優グレゴリー・ペック。彼は“ローマの休日”でオ・ヘップバーンの相手役の新聞記者。万年青年然とした風貌は正に適役でした。他にチャールトン・ヘストンやチャック・コナーズも出ています。古い映画ですので、女優陣も含め皆もう鬼籍に入っています。

3)“雨月物語“(溝口健二監督 1953年)
 主演は森雅之、京マチ子。物や器械等は時代が移るにつれて便利になりますが、人間の業とか、性や出世、家族等に関しての感情は変わらないものですね。つくづく、そう思います。

2016.2.7 最近読んだ本

1)“未成年“(イアン・マキューアン著 村松潔訳 新潮社)

 信仰として、生血の体内への侵入(輸血を含む)を頑なに拒否する宗派があり、以前にも日本でも難しい事態なりました。この本を読む限りでは、現在、(輸血に関して)社会的にコンセンサスとなっているのは以下の様です。「未成年の場合は本人や親の信仰に関わらず、生命の救済を第一に、輸血に替わる方法がなければそれを選択する。しかし、成人の時は本人の意思を尊重する。」ということの様です。白血病の少年は、一旦親から押し付けられた信仰から解放され、自由ある生き方に目覚めました。その後、命を与えてくれた主人公である女性裁判官との親交もありました。しかし最後に衝撃の結末です・・・。

Photo Credit: Annalena McAfee


2)“7つの習慣 最優先事項”(スティーブン・R・コヴィー、A・ロジャー、レベッカ・R・メリル共著 キングベア出版)

 私の人生の指南書、座右の本である"7つの習慣―成功には原則があった―” (スティーブン・R・コヴィー著)の姉妹書です(2011.11.24を参照して下さい)。このコヴィー博士(201279才で死去)の本により、私は大変役に立ち頼りになる処世訓を得ています。写真は著者スティーブン・R・コヴィー。

Stephen Covey 2010.jpg

3)“つまをめとらば“(青山文平著 文藝春秋刊)
 本年1月の直木賞の受賞作です。私は時代小説は専ら司馬遼太郎ばかりでしたが、暫らくぶりに他の作家のものを読んで見ました。しかし、やはり今一つインパクトが無いというか、心を揺り動かせられる感がないです。掲載された6編の短編の中では、小藩の田舎の支配所勤めに一人で出された若者を描いた“ひと夏”は良い作品で考えさせられる所がありました。

2016.1.23
“屋根”(富良野グループ公演、作、演出:倉本聰、富良野演劇工場)
 欠かさず見ている倉本聰の演劇です。この公演のあと、全国公演に回ります。第二次大戦の前夜、富良野の山奥に住む平和な家族にも、その荒波が押し寄せて来ます。子供達の出兵、徴兵、自殺。戦後のアメリカナイズした、日本の消費を主とする社会。勿論、笑いや涙を誘う場面も大いにありますが、倉本聰の作品にはいつも日本社会へ、これで良いのかという訴え、批判が込められています。中途のファッション・ショーは万博メロデイとともに良い気分転換。出演:森上千絵、納谷真大ほか若者多数。

 


2016.1.17
 今、腰痛で苦しんでいます!

 数年前にもあったのですが、今回は1週間前、突然来ました。思い当たることは、その数日前に除雪で少々無理をしたのと、職業柄ほぼ毎日“前かがみ”姿勢を取っていることです。それに65才という積年の疲労の蓄積が加担しているのでしょう。整形外科受診し、骨(脊椎)に年齢相当の変化以外、病的所見はないということで一安心。今は、鎮痛剤、腰ベルトに冷湿布をし、あとは(椎間板ヘルニアが恐いので)無理しない様にして自然治癒を待っている所です。


2016.1.11
 最近読んだ本

”人間・始皇帝”(鶴間和幸著 岩波新書)

 秦の始皇帝は一般に良くないイメージ、つまり暴虐的なイメージがあります。確かに生き埋めにしたり残虐な事をした独裁権力者の面は否定できませんが、彼が史上突出してそうだったというのは当たっていません。それよりも、紀元前200年~250年という時代にしては先進的な、文化的な側面にもっと注目していいと思います。例えば、度量衡の策定、裁判制度、首都を結ぶ国道の整備、郡県制の施行、文書形式の統一などです。わずか15年の短命帝国でしたが、現代まで中国史上最も影響ある君主といえます。勿論、通読して血なまぐさい場面が非常に多いですが、どこの国にもあったことです。  
 始皇帝陵は未発掘で、その地下空間に安置されている始皇帝の棺の周囲には水銀の川があるそうです。ひょっとすると始皇帝がミイラにならずそのままの姿で眠っているかも・・・。


2016.1.10
 最近見た映画

1)“東京暮色”(小津安二郎監督 1957

言うまでもなく原節子、笠智衆、有馬稲子出演。多感な若き娘が踏切事故で亡くなる最後など、見た後、暗い気持ちが引きずり、すっきりしない・・・。

2)“エデンの東”(エリア・カザン監督 1955

 あの夭逝したジェ-ムス・ディーンのデビュー作で、スタインベック原作、テーマ音楽でも有名な映画。兄弟の確執や不良少年とされた弟が結局は父に受け入れられる過程がよく描かれている秀作。


3)“アメリカン・スパイナー”(クリント・イーストウッド監督 2015年)

イラク戦争時の実在したアメリカ最強の狙撃手。罪無い市民も狙撃の対象となった戦争。祖国に戻った彼の心の葛藤、心の傷はいかなるものだったか?

 


2016.12.13
 最近読んだ本

1)“暇と退屈の倫理学”(國分功一郎著 太田出版)

 暇とは、退屈とはどういったものか、日頃特別深く考えずに過ごしているこれらの事について、哲学的に追及した良書です。例えば、“暇”なので“気晴らし”の為、パーティに参加したとする。しかし、その最中“退屈”を感じることがないでしょうか。この様に暇と退屈とは違うものです。著者の結論を極論して無理やり一行で記すと、「人間は思考することを楽しむことによって、暇とか退屈などの観念のない動物の様な状態になれる」と。

わかりにくいですが、詳細は読んでみて下さい。こういうのを哲学というのでしょう。久しぶりに哲学の勉強をしました。

2)“わが家のヒミツ”(奥田英朗著 集英社)

 6編の短編集。我々の日常生活を取り上げた話で、気合いを入れなくともすぐ読めます。だから読後、“何が書いてあったか”、とか感動の類いは期待しないこと。


2015.12.12
 最近見た映画

1)“プラダを着た悪魔”2006年 デイビッド・フランケル監督

 メリル・ストリ-プとアン・ハサウエイの競演。やはり、成熟した大人の女性役ならメリル・ストリ-プが一番だろう。ファッション雑誌の仕事に全精力を懸け、周囲の社員もビビッてしまう女性編集長の秘書になったアンナ。振り回されるが、結局は背伸びしない自分の生き方を選ぶことに。ニューヨークを舞台に、アパレル界の裏も見せてくれる。確かに、分野はどうあれ世界を相手にした仕事に精魂傾け、日々時間に追われる生活は、成功すればそれなりの自己満足は得られるだろう。しかし、犠牲にしているものはないか等、たまに自分の周りをじっくり見てみよう。自分というものも見失なわない様にしなければなるまい。


2)“炎のランナー”(ヒュー・ハドソン監督 1981年)

 このテーマ音楽が良い。映画音楽史上のベスト10に入ると思う。内容はご存じのように英国有名大学の陸上選手2人がオリンピックで金メダルを取った実話に基づいている。アカデミー賞の作品賞、作曲賞含め4部門受賞。しかし、僕にとっては、それほど見ごたえのあるものでなく、筋も凡庸だった。


2015.11.22
 “始皇帝と大兵馬俑”展2015.10.272016.2.21 東京国立博物館、平成館)

 この連休を利用して見て来ました。秦等の中国古代の歴史はともかく、兵馬俑を見てきて本当に良かった。始皇帝の陵墓の周囲から発掘された夥しい数の兵馬俑と銅車馬。俑とは陶製の置物のことですが、かつて紀元前10世紀頃の西周王朝には小さな俑を死者と共に棺に納める慣わしがあったそうです。兵馬俑には将軍俑、歩兵俑、立射俑など10種類位あります。堂々とした人実物大の俑は貫禄十分、今にも動き出し、喋り出しそうでした。



2015.11.8
 最近読んだ本

1)“鹿の王(上、下)”(上橋菜穂子著 角川書店)

 ウイルス抗原、それによる免疫をモチーフに、独創的な部族間の対立を描いた著者渾身の一冊。擱筆までに10年。黒狼病ウイルスに免疫を持つ主人公と幼女児。そのキャリアーである犬を噛ませて感染させ、対立する部族の撲滅を画策する部族。ワクチンや抗ウイルス薬の開発に挑む医師団も一方の主役でもある。架空の飛 (ぴゅい)鹿 ()という野山を縦横無尽に駆けることの出来る動物も活躍させ、逃走、恋、家族愛、誘拐等絡ませた波乱万丈の物語です。今年度の本屋大賞第1位作品。


 
2)「なぜ?」がわかる激動の世界現代史 (上)革命と大戦”(水村光男著 講談社+α新書)

日本史関連の本は大分読んできたので、今回は不得手な世界史の本を手に取って見ました。1870年代以降、つまり日本で明治時代が始まってまもなく、世界では帝国主義が支配する様になって来た時代以降を“現代”として捉えることが多い様です。この上巻は、列強の帝国主義による植民地支配に始まり、日本に原爆が落とされ二次大戦が終結するまでを詳細に記しています。最終ページに著者は次の様に記している。

「原爆投下が戦争終結を早めたという、主にアメリカによって主張される議論があるが、賛成できるものではない。しかし、そこに至るまで戦争終結(敗戦)の決断が出来なかった、余りに遅きに失した判断、当時の日本の政治、軍事の最高指導者層の過失責任は極めて大きい」。若い命も含め、非常に多く人命が犬死にの様に藻屑と消えた。何とかならなかったのか?(僕が言うのも何だが)悔やんでも悔やみ切れない。

 2015.11.8 最近見た映画

1)“フライト8714”(N.R.アマド監督)
 
航空機事故を題材にしたよくある映画。実際に2008年にスペインで起こった墜落事故から。

2)“駅”(降旗康男監督)

 高倉健主演。他に倍賞千恵子、烏丸せつ子、宇崎竜童他など。

2015.9.30 最近読んだ本
“中国・閩(びん)の道 街道をゆく№25”(司馬遼太郎著 朝日文庫)

 閩とは中国南部、台湾に面する福建省の事です。ここは海洋貿易で日本との縁が深く、港町である泉州市と関西の堺市とは室町時代から大いに交流がありました。(堺を泉州堺ともいうのはこの名残かもしれない。)あのマルコ・ポーロは泉州港は当時、世界最大の港であると記しています。孫悟空の原型と言われるお猿の武将像や元寇の失敗は船の問題であったとか、鉄で作る錨の話など興味深く読みました。


2015.9.4
 患者さんは質問を!

先日、テレビの“ためしてガッテン”で白内障を取り上げていました。そのハイライトとして白内障進行防止の秘策があると、盛んに言っていました。これは目薬でしたが、この目薬は実は30年以上前からあるもので、一時、効果に疑問が出て医薬品から消えそうになりました。最近の研究で見直された訳です。誤解しないで頂きたいのは、この目薬を点けても進みます。白内障は加齢によるものですから手術しない限り改善はしません。その進行具合が遅くなるということです。誰も自分の体にメスが入るのを好みませんので、手術をしたく無い人には朗報でしょう。どんな手術も体を傷つけるという意味では必要悪です。出来ればしないで済むに越したことはありません。白内障は手術で殆どの人が視力を回復し、快適に過ごしていますが、中には経過の良くない人もいます。
 医療はインフォームド・コンセントと言って、“手術等の際、それによってどんな事が起きるか患者さんは説明や情報を得て、了解し納得”の上、行われます。しかし、手術中や術後に起きる可能性のある事(合併症)は、細部まで言えば切りが無く、医師側も全て完璧に説明することは無理です。ぜひ、患者さん側は質問をして下さい。その方が医者側も言い足りない事を補足できます。遠~~い将来、白内障の治る目薬が出来るかもしれません。(まあ、難しいかな・・・。)(地域タウン紙“せせらぎタウン”平成279月号“眼の不思議発見 No.49) 

 

2015.8.28(金)N響、旭川公演(旭川市民文化会館)

 指揮者はヨーン・ストルゴーズ(ヘルシンキ・フィルハーモニー管弦楽段首席指揮者。フィンランド出身)。演目は3曲とも、ベートーベンでした。演奏順に①エグモント序曲、②ピアノ協奏曲第3番ハ短調作品37、③交響曲第5番ハ短調作品67「運命」。やはり、「運命」は良かった。とにかく、全曲通じて、弦の音が最高!バイオリン等の多数の弦の息がぴったり合い、一つの音となって纏まり迫力がある。世界に通じる弦の音だ。②のピアノニストはアリス・紗良・オット。1,500人入る会場も満員で、老若男女各年齢層がいた。N響だから満員になったのでしょうが、これだけ田舎の旭川にもクラシックファンがいるのは心強い。


2015.8.15
16 お盆恒例の“ぶらり旅”―苫小牧探訪

いつもお盆休みには、12泊で道内をぶらりと旅することにしています.昨年は伊達市(2014.8.1517を参照)、一昨年は白老町(2013.8.1415を参照)で今回は苫小牧市です。巡ったのは①苫小牧市科学センターの宇宙船“ミール”、②勇武津資料館、③ウトナイ湖(鳥獣保護センター)、④ノーザンスパークです。

  宇宙船“ミール”:内部は意外と広いです。ただ、飛行士が眠る寝室は半畳もなく極めて狭い! 無重力なのでほぼ立った状態で紐で固定して寝ます。ミールはロシア語で平和のこと。展示されている“ミール”はロシアに残った予備機です。と言うのは、誤解されやすいのですが、現実に宇宙に行った“ミール”は帰還時に燃え尽きています。②勇武津資料館:江戸時代末期、蝦夷の警護と開拓のため、八王子近郊の武士(八王子千人同心)が勇武津(現在の勇払)と釧路白糠に移住した。慣れない気候風土に結局大半は帰郷した。乳飲み子を抱えたお梅は、乳を求め、さ迷い、若くして亡くなったという悲話(梅女物語)も残されています。③ウトナイ湖:日本で見られる鳥のかなりの種類が見られる。鳥獣保護センターでは、鳥の巣や死んだ動物の頭蓋骨等も展示され、レンジャーから色々な話を聞くことが出来ました。④ノーザンスパーク:引退した競争馬もいて、子供たちを乗せて歩いていました。家族連れが一杯。社台スタリオンでは、1時間遅れでディープインパクトに会えず!


ミール

宇宙船

ミールと私

宇宙服と

船内作業服

勇武津

資料館

ウトナイ

湖畔

湖畔の

散策路

ポニー

と遊ぶ

乗馬

ショー

社台スタリ

オン種牡馬

 

 


2015.8.11 最近読んだ本
 
“我、弁明せず”(江上剛著 PHP研究所 2008年)
 
 皆さん、池田(しげ)(あき)という方をご存じでしょうか。私は全く不案内ですが、財界や政治関連では“知る人ぞ知る”大人(たいじん)の様です。慶応3年(1867年)生まれ。明治から二次大戦前後まで活躍し、三井財閥の番頭と言われた方で、一時首相候補にもなった様です。あの時代にも関わらず、若い頃アメリカ留学しています。戦前からずっと“英米に対抗するな、戦争も財政上持たない”と繰り返し、軍部に狙われていました。結局、時世とか政治というのは、大きな声をあげ目立つ人によって左右され道を誤ってしまうのでしょうか・・・?


2015.7.16
 最近読んだ本

1)“沈黙の人”(小池真理子著 文春文庫)

子供の頃、両親と睦まじく暮らしていた主人公(出版社に勤めるキャリアウーマン)だが、父母は離婚し、今はパーキンソン病を患う実父を時折り見舞う。彼は再婚したが、新しい家族とはうまくいっていない。話すことも書くこともままならず、車椅子生活で施設に入っている。父の再婚先の異母姉妹との交流や父亡き後の父の遺品を巡る諸事。高齢者の増加で老々介護を含め介護が社会問題となっている現在、私も人に迷惑を掛けない様PPK(ピンピンコロリ)で逝けたらと思っております。吉川英治文学賞受賞の著者渾身の作。

2)“古代史紀行”(宮脇俊三著 講談社文庫)

旧国鉄全線を完乗した旅行作家。歴史にも造詣が深く読ませる。歴史好きも楽しめます。

 3)人類哲学序説”(梅原猛著 岩波新書)

言うまでも無く著者梅原猛は、現代日本を代表する知識人の一人です。今後の日本の進むべき道を具体的に示唆しており、私は極めて賛意を表すものです。

 4)“ハワイの歴史と文化―悲劇と誇りのモザイクの中で”(矢口祐人著 中公新書)

原住民であるネイティブ・ハワイ人の所に、各国より移民が、そして白人、特にアメリカ人がやってきて社会的に大きな勢力になり、問題が生じる。これはよくある図式です。移民政策はカメハメハ王らが国策としてとって事ではあるが・・・。しかし日本等からの移民は、事業がうまく行かず生活が困窮し身を持ち崩す人々も少なくなかった。また、パールハーバー以後、日系人は眼の仇にされたが、しかし、むしろ身命を掛けてアメリカ人として戦場に赴いたのです。
 


2015.6.13 最近読んだ本
 “エリック・ホッファー自伝 構想された真実”(エリック・ホッファー著、中本義彦訳 作品社)

驚きです!この様な作家、思想家がいたという事は、僕の人生観、人生の価値観を変えました。つまり著者E・ホッファーは全く定職に付かず日雇い労働者として生きた人で、しかし読書や勉強が好きでもあったのです。放浪し、移動は貨物列車にただ乗り、行き当たりばったりの生活。それでも、日々、at randomに読書と勉強は続けたのです。65才時、仕事を引退し著作活動に専念。その生き様から全米でホッファー・ブームが起きた。1983年、81才で死去。アメリカ大統領自由勲章を受賞している。ぜひ、彼の人生を垣間見て下さい。一定の収入のある定職を持って、普通の家庭人として、しかし日々何やかやで生活に追われている様な我々。普通とは何? 考えさせられます。


 エリック・ホッファーbot   

2015.5.4 最近読んだ本

“サトラップの息子”(アンリ・トロワイア著 小笠原豊樹訳 草思社)

 たまたま市立図書館で手に取った本です。フランスに亡命したロシア人で、フランス文学の中では屈指のベストセラー作家の様です。1920年代、ボルシェビキによる革命吹き荒れるロシア、フランスへ亡命した2家族のフランスでの日常が、作家本人と思われる少年の目からよく描かれています。ほぼ自伝の様です。

2015.5.1
 ”本当に人間の体は良く出来ていると・・・”

本当に人間の体は良く出来ているとつくづく思います。例えば、単純に“歩く”とか“物を上手につかむ”いう行為をロボットで実現するのに科学者は苦心惨憺して来ました。アシモ君は“歩く”のはかなり上手になり、最近は“駆け足”も出来つつある様です。
 例えば、斜視は視線がずれている状態ですので、見ている方向が違い、ものが二つに見える(複視)はずです。しかし実際には、ずれている眼からの情報は脳で瞬時にシャットダウンして複視になることはありません。これを“抑制”と言います。(但し、外傷や脳の病気で眼の筋肉が麻痺を起こし斜視になった場合はこの限りではありません。)

 私は、子供の頃から“見える”ということに不思議さを感じていました。眼はどうして様々な色を感じ取り、細かい形をきれいに識別するのか? 眼底の網膜には二種類の視細胞がぎっしり詰まっています。1億個の光を感知する杆体細胞と色や点を感じ取る700万個の錐体細胞です。これら11個からの信号が視神経を伝わって脳へ送られ “見える”訳です。しかし眼球に異常が無くとも、脳に何か生じれば、例えば出血や血管閉塞が起きると部位によっては見えなくなります。半盲とか皮質盲です。
 また角膜(黒目の表面)が透明なのは、人体で唯一、血管が無い組織で、極めて細いコラーゲン線維が規則正しく配列し、光はその中を乱れることなく通過出来るからなのです。(地域タウン紙“せせらぎタウン”平成275月号掲載 ”眼の不思議発見” №48

2015.4.12  近況報告
  平成8年に開業して早19年。旭川の眼科開業医の中でも年齢で上から数番目になりました。まだCAT(白内障)のopeをしていますが、最近は自分より年下の患者さんであることも少なくないです。国内外、ざわついた事件が多いですね。「IS(イスラム国)に対し国連は何をしている」等々、僕を含め憤懣やるかたない人が多いのでは。(北眼医報、平成274月号掲載)

2015.4.10 “副操縦士が旅客機を故意に・・・”に思う

 副操縦士にはうつ病があった様で、多くの人を道連れにした無理心中の最悪型でしょう。機長との会話から、出発時は本人もまだ決行することは逡巡していた様です。つまり「〇時ころ到着かな?」という機長に対して、「そうだと良いんだけど・・・」と返答したとのこと。通常何かをする際もう一人の自分がブレーキを掛けますが、猛スピードで山に激突させた様ですので、もう抑制が効かなくなったのですね。それがまさに“病気”ということですね。

2015.3.25
 最近読んだ本

1)アインシュタインの世界 知の再発見双書59”(フランソワーズ・バリバール著 佐藤勝彦監修 創元社)

 言うまでも無く20世紀を代表する、と言うより人類歴史上の知の巨人です。画期的な相対性理論で、従来の時空の概念を変え、時間は絶対的なものでないことを表わしました。現実に天文学的に実証されています。そして彼が導き出した簡潔なE=ME:エネルギー、M:質量、c:光速度)の式には感動すら覚えます。しかし、その後の量子論で彼は少々迷路に入った様です。人生後半は政治的な平和主義活動に入り、学問からは遠ざかって行きました。彼のprivateの話も出て来て、我々同様に私生活上での悩みや葛藤も記されています。

2)“第八の習慣―「効果」から「偉大」へ”(スティーブン・R・コヴィー著 キングベア出版)

私の座右の書で世界最高のビジネス書の1つと言われる“第七の習慣―成功には原則があった”(2011.12.24参照)の姉妹書です。“第七の習慣”の質を更に高め効果的にする方策等を記しています。しかし難解でよく理解できませんでした。再読しなければと思っています。

 3)“私の父、私の母”(阿刀田高、渡辺淳一他。中央公論社 1994年)

著名な作家が自分の両親について書いたものです。三浦綾子さんも載っています。内容は三人三様で、もう亡くなった親もいるし、健在の親を書いたのもあります。反面教師となった親もいます。我々が物心付いた時はもう既に親として存在しています。父母それぞれに若かりし時があり、子の知らない人生を送って来ていますが、子としては中々ピント来ないものです。

2015.2.11 最近見た映画

1) “エクソダス 神と王”(リドリー・スコット監督 2014年)
 主演クリスチャン・ベイル。かの有名な映画“十戒”のremake版です。今回も勿論戦車を走らせたり戦闘の場面なども凄いけれども、CGを駆使し見せる映画に仕立てています。特に海が迫ったり、ハエやイナゴの大群、ワニが漁師を襲う、戦車隊が崖から集団で崩れ落ちる場面など。難点を言わせてもらうと、年端の行かない少年が神の使いの様な役で出てきたりしたのと、モーゼ役の俳優にもっと大物を起用してほしかったです。あら筋としては“十戒”と同じ感じです。

2) “失われた週末”(ビリー・ワイルダー監督 1945年)

 主演のレイ・ミランドについては、申し訳ないけれども存じ上げない俳優です。アカデミー賞作品賞、主演男優賞受賞作。アルコール中毒の小説家の話。私もお酒が嫌いでないので、少々身につまされます。今後少々お酒控えようかな

3)“キリマンジャロの雪”(ヘンリー・キング監督 1952年)

主演グレゴリー・ペック。他にエヴァ・ガードナー。スーザンヘイ・ワード等。原作者ヘミングウェイの体験に基づいたものの様で、狩りで重傷を負い、いつ来るか知れない救助を待つ間、過去に愛し合った3人の女性のことを思い出す。狩猟、アフリカなどが舞台で羨ましい面もあり、日々仕事で動き回る我々一般人には、ちょっと測れないスケールですね。


2015.1.12 最近読んだ本

1)“仙台藩最後のお姫さま-北の大地に馳せた夢”(伊達宗弘、伊達君子著 新人物往来社)

仙台伊達藩は江戸時代より、蝦夷、特に千島列島や函館の警備を担当していました。明治になって北海道開拓使が置かれると、その関係でその支藩等の関連諸藩がその支配を命じられ、亘理伊達藩が有珠一帯に入植することになりました。本藩伊達藩主の娘で亘理藩に嫁していた保子とその息子の藩主(くに)(しげ)の伊達開拓の苦難の実話です。武家が今までしたことの無い未開の地の開墾など大変なことだったでしょうが、士族たるプライドはおそらく最後まで持っていたでしょう。昨年、ぶらりと訪れた伊達市開拓記念館で手にした一冊で、そこでしか手に入らない本を読んでみるのも一期一会と言えるでしょう。

2)“ドン・キホーテ 前編(三)”(セルバンテス著 牛島信明訳 岩波文庫)
以前にも書いたけれど、皮肉でなく大人の漫画。面白い。何か教訓というか人生訓のようなものがあるわけではないが、実に様々な話が次から次と出て来ます。それが著者セルバンテスの才能なのでしょう。読んでいて飽きない。あの「ロメオとジュリエット」の様な悲恋物語に似た話が多い気がします。この物語の最後、ドン・キホーテはどうなるのだろう。非日常の遍歴の騎士の狂気から覚めるのだろうか?

3)“機長!”(井上博著 廣済堂新書 2015年)

ベテラン機長のエッセイ。パイロットになるに必要な資質は?と問われ以下の様に記しています。健康、強い精神力、そして不断の学習(弛まぬ努力)の三つを揚げていますが、これはどんな職業にも言えることでしょう。つまりは特別な能力は不要、この三つがあれば誰でもなれるという事を言っているわけです。パイロットに必要な資格、恐い経験談、YS-11等の各年代の旅客機の話など。

 4)“神田鶴八鮨ばなし”(師岡幸夫著 草思社 2000年刊)
Retireした東京神田の鮨店主のエッセイ。この人は結構づけづけ物を言う人で、カウンターに座った客や親方達とも気まずくなった話しが出て来ます。また、江戸っ子のせいか“粋“や”いなせ”という事を力説しています。随所にその人となりを知る人生観が書かれています。逐一出しませんが、当然なるほどという処と賛成しかねる点があります。

2015.1.1 念頭に当って

 平成27年、新しい年が明けました。新年明けましておめでとうございます。同じ時間の連続なのですが、不思議なもので気持ちが改まります。
 人は一人では生きていけず、必ず誰かの世話になっています。例えば、衣食住。“衣”は裸で暮らす訳には行かず、誰かが作ってくれた服のお世話になっています。“食”も言うまでも無く毎日お世話になります。お米は農家の方が作ってくれています。その他の食べ物も勿論誰かが作ってくれているわけです。次に“住”ですが家も建てて頂けないと暮らせません。かように我々はほとんど全て他人の世話になっています。
 人の生きる目的、理由は各自考え方があるでしょうが、“人の役に立つために生きる”のも正解の1つと思うのです。親のため、子のため、家族のため、妻のため、夫のため、地域の人達のため等々です。会社員の方は会社を通して人に役立つ物を提供しています。
 眼科クリニックを開いている私やスタッフは、地域の方々のQOL,QOVの保持、改善のため、視覚、目に関して生じた諸々の事態、病変に対処することを通してお役に立つべく、今年も努力したいと思います。

2014.12.6 最近読んだ本

1)“濃尾参州記 街道をゆく №43”(司馬遼太郎著 朝日文庫)

お分かりと思いますが濃尾は美濃と尾張のことですが、参は三河(愛知県東部)の三です。織田信長や今川義元、家康らの、彼らの若き日のこの地域を巡る攻防が詳しく語られています。特に桶狭間の合戦の記述は興味深く読みました。しかし、司馬氏は19962月に急逝したため、この巻は未完に終わっており短いです。それにしても日本や中国、欧米各地を知己を伴い、そしてその土地の方々と親交を深めながら、歴史を交えた紀行文的読み物を纏め上げるというのは常人には真似出来ないこととつくづく思います
 

2014.12.2 最近見た映画

1)  南極物語(蔵原惟繕監督、1983年)
 高倉健主演。先日、高倉健追悼のためTV上映されました。ご承知の様に実話に基づいたもので、現実に置き去りにされた犬たちは可哀相であった。しかし映画としては感動的ではある。ロケで実際に死んだり怪我した犬はいないそうですが、犬も大変だったろう。この様に人間の都合で命が決まってしまうというのは動物にとっては不条理というものだろう。また天候のせいで、次に来る予定の隊が来られず、犬たちをしっかり綱に繋いでおいたのが却って禍となった。どんなに確定的な予定でも、あくまでも未定の将来のことであり、決定でなく既定事実でもないのだ。肝に銘じよう。

2)      “インターステラー”(クリストファー・ノーラン監督、2014年)
 マシュー・マコノヒー主演。近未来の話。将来、飢餓や環境問題等でもう地球に住めなくなることを想定して、どこか人類が住める可能性のある星の探索に出かける話。主人公の男はブラックホールに吸い込まれ、5次元の世界に入ってしまう。これが映画冒頭、10歳の娘が自分の部屋でポルターガイストあるいは幽霊が出ると盛んに主張する所と結びつく。5次元になると時間も“行き来”できるのか。詳細は述べない。後味としては少々寂しい映画(宇宙の寂しさや孤独を感じさせる)で、決してこの映画を見て、力づけられるとか未来に希望が見えるとかはない。あくまでも娯楽作品。


3)キャプテン フィリップス  (ポール・グリーングラス監督 2013)
 主演:トム・ハンクス。実話に基づく映画です。監禁された船長は、最後は気も狂わんばかりの極限状態に陥る。もし自分だったらどうだったであろうと焦ってしまう。トム・ハンクスもロケは大変だった様です。海賊たちは普段は漁師だが、それだけでは生きていけない実態がある。生活がかかっている海賊漁師たちの恐いこと! 囚われ中、船長が海賊たちに、現代機器等を操るアメリカ海軍に立ち向かっても勝ち目が無いので降参する様話すが、「ここまで来たら戦うしかない」と自暴自棄になるテロリストは怖い。

4)“大統領の執事の涙” リー・ダニエルズ監督、2013年)

主演フォレスト・ウィテカー。ホワイトハウスで長く歴代のアメリカ大統領の仕えた黒人執事の話。南部の農園での奴隷出身で、privateには長男が公民権運動にのめり込むなど、後々までこれは悩みの種となった。肌の色での差別、人種差別については日本にいては想像できないものがあるだろう。差別される身になれば本当に憤りを越えた苦悩があるだろう。ジェーン・フォンダやロビン・ウィリアムズも出ています。

2014.11.8(土)加藤登紀子ほろ酔いコンサート2014(旭川市公会堂)

加藤登紀子がデビューして、今年で丁度50年になり、現在精力的に全国を巡っています。入場時に日本酒(旭川の地酒“大雪の蔵”)が振舞われ、勿論私も戴きました。彼女は1943年生れの現在70才ですが、(高音が少々かすれるが)声量は十分で聴きごたえがありました。まず冒頭に杯で喉を潤してから、10年毎のspan5曲ずつ歌いましたが、懐かしい曲ばかりでした。彼女のtalkは、主に後に夫となった学生運動家との出会いから結婚生活の危機等の自分史でした。やはり場慣れしており、白けさせず、客に阿る様な事も言わず、堂々とした語り口は外連が無く良かったです。最後にもう一杯グイッとやって、阿久悠作詞の楽しい“富士山だ”を歌ってコンサートを閉じました。まだまだ、やれる!これからの彼女の健闘を祈りたい。


 2014.11.2 最近読んだ本
1)“ドン・キホーテ 前編(二)”(セルバンテス/牛島信明訳 岩波文庫)
  ご承知の様に、騎士物語を読み、自分が勇敢なる騎士になったと錯覚したドン・キホーテの波乱万丈の物語。彼が事件、事故の原因となり、周囲がてんやわんやになるという筋です。漫画的な読み物ですが、よくぞここまでハプニングのアイデアが浮かぶと感服します。さすがにスペインの誇るstory tellerです。ただ随所にギリシャやローマ、聖書の人物名等が出てきて、著者の博識な事が伺われます。ただ後半には、ドン・キホーテとは関係ない挿話が出て来ます。これはシリアスなドラマでこれだけで一読の価値があります(親友が結婚し、その新妻の貞節をもう一人の独身の友が試す話です)。その中に以下のようなセルバンテスの女性観と思われる下りがあり、inpressiveなので付記します。「女というのは未完成な生き物なんだよ。だから女がつまづいたり転んだりしそうな所に障害物を置くなどもっての他で、むしろその進む道から邪魔のものを取り除いてやり、彼女が自分の欠けているところを補って、徳の高い人間となるべく、心おきなく邁進できるようにしてやることが必要なんだ。」うーん、そうですか・・・。

2)“街道をゆく 1.湖西の道、甲州街道、長州路ほか”(司馬遼太郎著 朝日文庫)

竹内街道、葛城みちの章では、そこは勿論大和の国ですが神武天皇の東遷以前に葛城という豪族が支配し、そこに又鴨豪族もおり、それが京都の賀茂神社、鴨川、加茂、賀茂川の由来である等の話です。長州路の章では、その県民性(山口県)としての品の良さ等を比較的詳しく論じているのが目立ちます。甲州街道では徳川慶喜の事が興味深く話されています。以前も記したけれども、日本の御意見番と考えていた司馬遼太郎が70才ちょっとで亡くなられたことがつくづく悔やまれてならない。(つい最近、新聞記者時代の同僚でもある奥さんが亡くなられましたね)。


2014.11.1
 ノーベル賞を取った話題のips細胞による、実際の患者さんへの臨床実験が日本で始まりました。世界初です。黄斑変性という病気に対してで、黄斑とは眼の奥の中央で、物を見る時の中心となっている場所です。そこが加齢により傷んでしまう病気です。今回首尾よく行けば、新しい希望となります。眼疾として、他に網膜色素変性という難病があり、今の所進行を抑える内服薬しかありません。治すには網膜の細胞を新しくする、つまり再生するしかなく、ips細胞が唯一の希望です。
 この様に、科学や医学の発達により、我々は多大な恩恵を受けています。しかし、その実際の運用に当っては、例えば核兵器や代理出産等、人倫に悖ったり難しい事態に発展することがあります。科学や医学の発達に対して、全面的に諸手を上げて賛成することに躊躇いを覚えるのは私だけではないでしょう。(地域タウン紙 せせらぎタウン 平成26
11月号掲載)

2014.9.26
(金) 来生(きすぎ)たかおソロライブ(旭川市 大雪クリスタルホール)
 シンガーソングライターの草分けと言っていい来生たかおを聴いて来ました。彼は1950年生れで僕と同い年、今年64才になるとは思えない良く通る声で感動しました。それも楽に歌っており、まだまだやれる感じです。予想通り観客は殆どが年配者でした。しかし、あの様にピアノ等の楽器を自在に弾き語りが出来るなど、僕にとっては全く羨ましい限りです。


2014.9.7“日本画の巨匠たち展―水野美術館所蔵(長野市)”

 平成14年に設立された水野美術館は、近現代日本画のコレクションで知られています。錚々たる巨匠たちの日本画58点をじっくり堪能しました。印象深かったものを2点挙げるとすれば、まず横山大観の有名な“無我”(明治30年)です(下に掲載、左)。着物を無造作に着た幼子が、何を考える訳でなく茫洋と立っているあの絵です。実は、今回の作品は大観はこの子の表情に納得出来ず、改めて書き直したものだそうです。しかし、タイトルの”無我”ですが、“無我の境地”として使われる“無我”とこの幼子の絵とは、しっくりしないと思いませんか。大観は無我というより無邪気という意味も込めて付けたと、私には思われます。
 
次に平山郁夫の“静夜鹿苑寺金閣”(平成16年)(下に掲載、右)。夜、暗闇の中、月明かりに照らされた金閣は数百年前のものとは思われません。その他、鏑木清方、上村松園、川合玉堂、橋本雅邦、菱田春草、等々。文化勲章を受けた方が多くいます。是非ご覧下さい。(北海道立旭川美術館にて。8/3010/19まで)


   


2014.8.1517 伊達市探訪

 毎年恒例のお盆休みを利用しての道内一人ぶらり旅。今年は北海道の湘南と言われる温暖な気候の伊達に行きました。ご存じのように明治初期、廃藩置県、戊辰戦争等により、藩主は身分の無くなった家臣団の為に北海道へ移住し開拓することが行われました。ここ伊達もその名の通り仙台伊達藩の支藩、亘理(わたり)伊達家が入植した地です。
 16日、開拓記念館で歴史的資料を見(下の写真)、迎賓館(下の写真)を経て、宮尾登美子が「平家物語」執筆で縁が出来た宮尾登美子文学記念館(下の写真)を見学しました。これらは全て国道37号沿いの道の駅“だて歴史の杜”の敷地内に纏まっています。
 17日、縄文の丘、北黄金(きたこがね)貝塚
で昔の人骨が埋まったままの墓に感動(写真)。道の駅での野菜の豊富さに驚き、美味しいと言われる茄子をお土産に買った。食塩泉である伊達温泉(下の写真)でのんびり入浴し、帰途に着きました。(記念館等の詳細については、各下線部をクリックして頂ければ見ることが出来ます)。

 
開拓記念館
迎賓館宮尾記念館貝塚にある人骨の埋まったままの墓
       右端が伊達温泉、中央が昭和新山、その左に連なるのが有珠山です。


2014.8.6 最近読んだ本

1)“「永遠の0」と日本人”(小川栄太郎著 幻冬舎新書)

大東亜戦争での日米開戦の勃発、原因に関する従来の一般的な見識を覆す衝撃的な本です! 一般的に日本軍部の暴走が大きく関係していると考えられています。しかし、開戦当時よりアメリカは資源大国であり、日本は石油等の重要資源をアメリカから輸入していました。そこに戦争を仕掛けるのは馬鹿な事、暴挙であることは日本側も解っていた。では、何故? ・・・映画“永遠の0”、“終戦のエンペラー”小説“永遠の0”戦闘機零戦と絡めて、独特の私見を述べています。私もまだよく理解できていないので、再読しようと思っています。


2014.7.6 最近読んだ本

1)“信州佐久平みち、潟のみち、ほか”(“街道をゆく”№9 司馬遼太郎著、朝日文庫)
  まず、初めは新潟県の深泥田だった亀田郷の農地改良事業とそこの昔の小作争議の話しです。日本はご承知のように土地を商品として売買する世界でも稀な国で、司馬が以前より嘆いている所です。(巻末の牧祥三氏の解説は秀逸で、日本の農地、土地制度の歴史に関して分かり易く記述しています。)後半の高野山紀行では、空海の真言密教と各地を念仏で布教に回った聖(ひじり)達の事で、これは司馬の得意分野です。彼は若い時、京都の寺院担当の記者でしたから。
*司馬遼の
“街道をゆく〟シリーズ(全43巻)。これで23巻読了。あと20巻もある・・・・。

 2)“1417年、その1冊がすべてを変えた”(スティ-ヴン・グリーンブラット著 河野純治訳 柏書房)
  “原子の歌―宇宙をつくるものアトム”(ルクレティウス著 国分一太郎訳 国土社 科学入門名著全集1)

現代では、“物質は全て原子で出来ている”というのは常識ですが、今から2000年前、“物の本質について”という本で、既にそれを書き表した人がいました!彼の名はルクレティウス1417年、教皇秘書まで上り詰めたポッジョなるブックハンターがその埋もれていた本を見出したのです。いつも思うのですが、昔の人は現代の我々が想像する以上に賢いのではないでしょうか。古代の食器や花瓶などの器や装飾品など、全く現代人が作り出せない様な物を作っています。ルクレティウスの本を発見した人文学者ポッジョの活動や生き方等を詳細に記述しています。


2014.6.8 特別展“医は仁術”(国立科学博物館、東京上野)

 またま上京した折り、見て来ました。日本における医学、医療の発展を実際の古書、図等の展示で示したものです。江戸時代、医師が蘭書などを参考に“腑分け”で人体の内部を観察しました。一人で40回以上も繰り返した医師もいました。そして、繰り返される度に内容が正確、詳細になって行く様子がわかります。入場者も多く盛況でしたが、生身のスケッチが生々しく気分が悪くなる人もいたのでは?それにしても、蘭書の翻訳等、生半可な勉強では駄目でしょう。昔の人の努力には頭が下がります。それに比べれば、現代の自分達は温室の様な処でぬくぬくとしていますね。

2014.4.20 うちの花ちゃん(ヨーキー)、死にました・・・

昨日の朝、僕が抱っこした中で、一度大きなけいれんを起こした後、呼吸が止まり亡くなりました。11歳(メス)でした。数か月前より「元気ないな?寝てばかりいるな。」と家内と話していました。3年前より、大きな鼠径ヘルニアがあり、年令的なこともあって元気が無いと思っていました。1週間前、動物クリニックで診てもらった所、末期の腎不全でした。血中に老廃物である尿素窒素が230(正常の10倍以上!)と異常に増加、生きているのが不思議な位でした。“犬はぎりぎりまで我慢する”とは聞いていましたが・・・。おしっこもいつもの決まった場所でしなければならないと思い、四肢はもう殆ど動かないのに、何とか行こうと頑張ります。以来、日に日に弱り、最後は、家内と見守る中、逝きました。ほぼ1週間の経過でしたが、もっと長期間苦しむ犬もいるそうです。この子とは沢山散歩もした。大人しくて優しい良い子だった。悲しい。向こうで沢山のわんこ達と楽しく遊んでほしい。


 

2014.4.13 最近読んだ本

1)“「イギリス社会入門」―日本人に伝えたい本当の英国”(コリン・ジョイス著 NHK出版
 
 私、以前から英国に興味がありました。紳氏淑女の国とか大英帝国とか言われたきた国で、国風として何となく上品というか垢抜けている感じがしています。これを読んで、更にその意を強くしました。しかし、いくつかの短所も記されていて、それが面白かったです(特にPUBに関する記事)。また天候を挨拶代りにしたり、お茶の習慣があるなど日本に似ている所もあります。

2)“イギリスは愉快だ”(林望著 文春文庫)

 私と同じ様に英国に凝っている文学者林望さんの本を読んでみました。留学中の宿であるルーシー・マリア・ボストン夫人の由緒ある古い家での事が大半で、興味深く綴られています。1120年建造の英国でも最も古い家の1つです。この女性は当時91才でしたが、お元気で、また有名な女流作家(「グリーン・ノウ物語」等)だったのです。ロンドンから車で2時間のケンブリッジ市より約20km離れた小さな村にあります。友人のとの交流、季節の変化、婦人の家での招待客らとのパーティなど、英国ならでは習慣等が良く描かれています。

3)“驚きの英国史”(コリン・ジョイス著、NHK出版新書380

この著者の本、2冊目です。雑談風に色々な分野について記述され、寝転がって読めます。我々は本当に何でも表の表情しか知らない。何にでも裏があり、それを知ると本当の姿が見えて来ます。あまり裏事情を知ると嫌いになることがあるかもしれませんが・・・。レーニンとスターリンがよく一緒に呑んでいたというパブ。ご承知のように英国の王位継承にまつわる怖い話、マグナ・カルタのためイギリスには成文憲法がない、等々。

 

2014.4.4  花粉症春季カタル

 首都東京をパニックにした雪の季節もいよいよ終盤で、もう春が目前です。そして入学、進学の時期でもあり、気分も高揚してきます。   
 春になると嫌なのは花粉症でしょう。アレルギー性結膜炎や鼻炎を起こします。お陰様で私は花粉症ではありませんが、急になってしまう方も見られます。北海道はスギでなく、4月から6月にかけてシラカバ(白樺)に敏感な方が断然多いです。抗アレルギー点眼薬は数種類ありますが、即効性はないので続けることが肝要です。例年、花粉症になるとわかっている方は、発症する2週位前に点眼しておくのが効果的です。それに反しステロイドは即効性があり、痒みがひどい時は大変重宝ですが、長期に渡ると副作用が出やすいので注意しましょう。原因(抗原)が花粉でなくハウスダスト、カビなどは時期に関わらず発症します(通年性)。
 
耳慣れないかと思いますが、春季カタルというアレルギー性結膜炎の重症型があります。子供に多く春から夏にかけ悪化することが多いです。上瞼の裏に丸い“ぶつぶつ”が出来、ひどい時は角膜(黒目)を傷つけ潰瘍になります。治療は、以前はステロイド点眼薬に頼っていましたが、効果は今一つでした。現在は免疫抑制剤が点眼として使える様になり有効です。治るのに時間がかかりますが、成長につれ徐々に改善していくことが多い様です。(地域新聞、せせらぎタウン紙4月号に掲載)

2014.3.9 戦没画学生“生命の絵”展―「無言館」所蔵作品(道立旭川美術館)

 あの長野県上田市にある窪島氏による戦没画学生慰霊美術館“無言館”の絵です。以前(この“辛夷”の2013.12.8欄参照)三浦綾子記念館で購入した本の実物を見てきました。鑑賞していると、何とも切なくというか残念としか言えない。皆、まず生きて戻れないと覚悟して出征した青年達だろう。その胸中察するに忍びない。見た後、出た処にノートが置いてあり、“合掌。皆、戻りたかったろう・・・。”と書いて来た。

 2014.3.12 ミクローシュ・ペレーニ チェロ・リサイタル(旭川市 大雪クリスタルホール)

 伴奏は愛息ベンジャミンが勤めた。旭川では7回目の公演です。私はそれほどクラッシクには詳しくないけれど、会場はほぼ満員でした。こんなに旭川にチェロを聞きに来る人がいるとは! 近現代のヤナーチェク、コダーイ、バルトークという作曲家の曲は僕には馴染めず、やはりシュ―ベルトのアルペジオーネ・ソナタが良かった。そして全体を通じてチェロの低音が良かった。

2014.2.9 最近読んだ本

1)“街道をゆくNo.40 台湾紀行”(司馬遼太郎著)

 日本が二次大戦終了までの50年間植民地として統治していた台湾について、その歴史、民族等多方面より分析しており、統治時代に築いた正、負の遺産、遺物が今もあり興味深いです。多種多様な同行者や出会った方々が出てきて面白い。台湾の高齢者はほぼ皆日本語が話せ、日本名も持っています。また、ご承知のように中国との関係は今なお微妙です。蒋介石が国民党を率いて移ってきたけれど(外省人)、当然元々住んでいた本島人(山地人、内省人ともいう)との事件も見逃せない。勿論かつての総統、李登輝氏も登場し司馬氏とは親しい様です。

2)“穴”(小山田浩子著 新潮社)

 最近の芥川賞(第150回)を受けた30歳の新進女流作家です。この本には3作載せられています。何れも現代の日常生活を描いていますが、mysteriousというか大げさに言えば怪奇的な題材が出て来ます。例えば、受賞作“穴”では河川敷の草原の気づきにくい穴、“いたちなく”ではイタチの断末魔の叫び、“ゆきの宿”ではアロワナです。文体は読みやすく、今後どういう作品を書いてくるのか楽しみではあります。


2014.2.3
 最近見た映画

1)“小さいおうち”(山田洋次監督、2014年)

 松たか子、黒木華主演。昭和10年代、日本国が戦争に突き進んでいる時代、女中、今でいうお手伝いさんのタキが経験したある家の物語。そこの奥さんの不倫を筋の基軸として戦争の悲しさ、侘しさを静かに描いています。タキは戸惑うが、勇気を出して奥さんに会うのを止める様進言する場面…、何とも言えない。全体のStoryとしては良いと思うけれど、学生の孫が祖母に盛んに自叙伝を書かせる動機が今一つ不明(なぜあそこまで勧めるのか)。自叙伝を絡めるのであれば別の方法があったのでは…。

2)ゼロ・グラビティ-”(キュアロン監督、2014年)

 主演サンドラ・ブロック。共演ジョ-ージ・クルーニー。この10年間で最も見ごたえがあったSF映画! 事故で宇宙空間に放り出され、スペースシャトルも大破してしまった宇宙飛行士と科学者の決死のサバイバル。極限状況下のサンドラの演技は迫真。リアルな宇宙空間や事故描写の殆どはVFXだろうが、それにしても、無重力状態での演技などどうやって撮影したのだろう。


2014.1.1
 新年明けましておめでとうございます


  あの東日本大震災以来、日本、政府は勿論国民も原発等のエネルギー問題を筆頭に、考え方の変化を余儀なくされています。それまで、温室の中にいるかの様な中途半端な気持ちで議論していたが、目が覚めたかの様に日本の将来を本気で思案し始めた気がします。少子高齢化による様々な問題も噴出しています。人間一人では生きて行けません。結局、お互い協力し思いやりを持って、かつ人として筋の通った生き方、つまり駄目なものは駄目、良いものは良いとする態度が肝心と思います。

2013.12.23
良い話です。“小さな鋸、海を渡る”

先日テレビで感動する良い話を伺いました。ある地方(新潟県)の一人でされている鋸製作所の小さな鋸が、あの有名なバイオリンの名器ストラディバリ―修繕職人(イタリア)の最高の道具で極めて有用との評価を受けているとのことです。
 鋸は近年替え刃の良く切れて安価のものが出回り、従来型は売れなくなっていました。その鋸職人が各所に出かけ自ら販売しても駄目な徒労の日々が続いていました。ある日訪れた主婦が「小さな鋸はありませんか?」と尋ねた。彼女は人形を作る人でした。その鋸職人は鋸は大工さんが使うものと頭から決めていたので、目から鱗が落ちるように、それ以来、小さな鋸製作に力を注ぎました。それが当たりました。
 確かに、小さな木を相手に細かい仕事をする人には便利ですね。世の中、知らないこと、盲点のような事、先入観に縛られていることがありますね。また、人の生活に必要、大切な物はどこに行っても、いつの時代でも変わらないということですね。(平成2512月放送の“和風総本家”から。)


2013.12.8 最近読んだ本
1)“石川直宏 まっすぐに平常心”(馬場康平著 出版芸術
社)
 あるきっかけから、今まで読んだ事のないサッカーの本を読んで見ました。JIチームFC東京の石川直宏選手について、その生い立ちから交友、サッカーに対する向かい方、考え方そして当然日々の鍛練等を直に石川選手と接しながら克明に描いています。特に感ずるのは、やはりスポーツ選手の宿命とも言える“けが”とそれを克服すべく努力する姿勢、そしてそれを抱えながら痛みに耐えながらも動き回らねばならないという身体的、精神的葛藤です。

2)“傷ついた画布の物語 戦没画学生20の肖像”(窪島誠一郎著 新日本出版社)
 
著者は、言うまでも無く戦没画学生慰霊美術館“無言館”(長野県上田市)館主であり、作家水上勉の息子である窪島氏です。残された彼らの遺作と、妻や姉妹兄弟などの遺族の話しを纏めたものです。彼らの“まず生きて戻れない”という作画時の気持ちを考えると、様様胸に迫るものがあります。あの戦争で優秀な人々が沢山亡くなったという事がよくわかります。合掌。

2013.11.27 長谷川きよしコンサート(旭川市神楽公民館()()(りん)

盲目の歌手、長谷川きよしを初めて生で聞きました。その声量の大きさやギターの上手さに圧倒される思いでした。丁度、僕と同年代で、ギャラリーも殆どが中高年者でした。「別れのサンバ」は彼の十八番ですが、聞いて良かったのは、「公園の手品師」と「コムダビチュート・いつも通り」です。前者はフランク永井の歌ですが、シャンソン風できよし独特の味が出ていました。後者は実はフランク・シナトラが歌って有名になった「マイウエイ」で、もともとフランス発の歌で、その内容も実は退廃的な結婚生活を歌ったものです。


2013.11.24 最近読んだ本
 1)”肖像写真ー時代のまなざし”(多木浩二著 岩波新書)

 
書店でたまたま手に取って買った本です。肖像写真つまり人物写真にこだわった著名な写真家3人を取り上げ、論じています。19世紀後半のナダール(18201910)、20世紀前半のアウグスト・ザンダー(18761964)、20世紀後半のリチャード・アヴェドン(19232004)です。彼らが撮った数々の肖像写真、始めはブルジョワ階級者が多いが、市井の名もない人々も対象となっていきます。写っている人々の顔を見ていると、その時代の背景等が伺える。著者の言を僕なりに解釈すると、一人一人の顔には文章として表現しにくいが、見る者に感得せしめる、あるいは訴えるものがある。それは当然生きてきた体験等に裏打ちされたものではあろうが、実はその背景にはその時代時代の歴史が関連している、ということであろうか。


2013.10.16 最近読んだ本
 1)”冬の旅”(辻原登著 集英社刊 伊藤整文学賞受賞)

 
初めてこの作家の本を読みましたが、引き込まれ一気に読み終わりました。文体が読みやすく、最近の(特に若い)小説家によく見られる変な 気張りがないのが良い。といってもこの著者は68才。storyとして確かに魅力のある筋立てだが、それ以上に人間とはどういう生き物であるか、考えさせられる。特に最終盤、主人公の内面に湧き上がる思いには哲学的なものがあり、道理には合わないが納得しないではない。もっとこの著者の作品を読んで見たいと思う。

2013.10.1 ”新しい機器”
 
器械の進歩は顕著なものがあります。今まで無かった全く新しい器械が登場することもあります。今回、そういう眼科機器を二つご紹介します。
 まず光干渉断層計(OCT)というものです。細胞に光を当て、それに対する反射の違い(干渉現象)を利用したものです。眼底の網膜(フィルムに相当)は厚さ1mmしかありませんが、約10種類の細胞の層で構成されています。その各層が描き出される画期的なものです。
 最近話題になる黄斑変性(眼底の中心の黄斑が傷む病気)では、どの細胞層に異常があるか一目で写ります。また、視神経線維がすり減る緑内障では、そのすり減り具合、程度が図示され、数値でも表わされます。今まで緑内障の進行は、主に視野の変化で見ていましたが、視野は患者さんの反応による大まかなものです。しかし、この機器により、緑内障が悪化しているのか、安定しているのか比較的容易に正確に判断できるようになりました。
 
もう一つは、光学式眼軸長測定装置です。白内障手術では、術前に埋め込む人工レンズの度を決めなければなりません。その為には、眼の奥行き(眼の長さ、眼軸長)を正確に測定する必要があります。もし術前の予想より眼の奥行きが長ければ、術後は近視(近くは良いが、遠くが見づらい)に、短ければ遠視(遠くは良いが、近くが見づらい)になります。従来は超音波式でしたが、これによってより正確に測定出来るようになりました。
 自動車、携帯電話、電気炊飯器など、我々の生活は大変便利になっています。こういった一つの器械が実用化されるまでには、多くの先達の汗が流されています。まずアイデアが出、理論を完成させ、試作機を作り、医療用なら動物実験し、そして人間で試し問題ないとなれば世に出ます。最初のアイデアから20年近くかかるでしょう。
今後もますます生活は便利になり、難病にも良い治療法が出来ると思います。しかし、心の豊かさは別で、人に迷惑をかけず、周囲と協調し、他人を思いやり誠実に生きるという人としての原点は、未来永劫変わることはないでしょう。
(地元タウン紙”せせらぎタウン”平成25年10月号 )


2013.8.24 最近読んだ本
 1)”牛乳屋テヴィエ”(ショレム・アレイヘム作 西成彦訳 岩波文庫)

  
あの今は無き名優森繁の”屋根の上のバイオリン弾き”の原作です。ユダヤの伝統と信仰を墨守してつつましく暮らす牛乳屋テヴィエとその娘達の結婚にまつわる物語です。イディッシュ文学(イディッシュとは”ユダヤの”の意)の金字塔とされていますが、そういう意味でなくとも面白いです。年頃の娘が4,5人いて、それぞれに結婚話が持ち上がり、各人各様の成り行きを辿るのだが、それをテヴィエが時にユーモアを交えて対応していく。ハッピーエンドもあれば、そうでない悲しい結末も・・・・。

2013.8.14~15.白老町&虎杖浜温泉訪問
 
お盆休みを利用し、こういう時でないとめったに行かないと思われる土地を訪問して来ました。今回は白老町ですが、以下ご紹介します。

①まず、ポロトコタン(アイヌ民族博物館):白老はご存じ方も多いですが、アイヌ集落のあった所で、その文化を今も大切に保存しています。アイヌ人の家であるチセ(茅葺きの家)が5軒復元してあります。丁度チセで古式舞踊が行われて
いました。ポロト湖畔にあります。


仙台藩元陣屋跡&資料館:ここが良かったです。幕末、蝦夷地を外国から守るため数か所に役所が置かれたが、ここは蝦夷地東側、つまり太平洋岸一帯の警備を命じられた仙台藩の陣屋跡です。資料館は一見すべきです! 歴史に埋もれた、あるいは運悪く犠牲となった人達(特に仙台藩家臣)のことがよく展示、描写されています。是非足を運んで下さい。
 ③虎杖浜温泉:弱アルカリ性で、無味無臭、飲用可(実際に飲んでみました)、皮膚病に良いらしいです。また、ここの”たらこ”は最高ですね。
お土産にしました。
 
④クッタラ湖:魚介料理・居酒屋”池田”のご主人お勧めの湖です。残念ながら霧がかかっており対岸が見えずじまいでした。

2013.8.10 富良野グループ公演”ノクターン(夜想曲)”(富良野演劇工場)
 富良野グループ観劇、
ほぼ常連の私。今回は倉本聰書下ろし作品で、一昨年の三陸沖大震災&福島原発爆発の被災者を題材にしたものです。津波で二人の娘を亡くし、その後離婚する至った男と恋人を津波で失なった原因が自分にあるとして心を病む若い女性とその姉。男の離婚は、娘達の死について妻とお互いを非難し合い、結局仲たがいしたもの。死は原因、誘因が何であれ取り返しのつかない事態。それを責め合うこと・・・・・・。無意味なことだろう。責め合うのでなく、省みることが大切だろう。

2013.7.28 最近読んだ本
 ”外来でのコミュニケーション技法”(飯島克己著 日本医事新報社)
 
以前から机上に”積ん読”状態だった診療に関する本です。良い傾向ではないのですが、僕はあまり診療等に関係するものは読まない方です。ですが今回ようやく読んで見ました。外来で患者さんに接する時の問診時の心構えに関する本です。内容は読むと当然のことが書かれていますが、仲々、毎日毎日忙しい中それらを実践することは難しいことです。テクニックはあるでしょうが、尽きる所、その患者さん(の病気、病状を)を”良くしてあげよう”、”治してあげよう”という気持が大事なのだと僕は思います。

2013.7.15 旭川市内、街歩き
趣味の一つであるWalkingしながら、見つけたものです。
日本醤油工業株式会社:創業が昭和19年ですから、70余年になる旭川の老舗です。昔ながらの建物で伝統の味を守りながら脈々と作り続けて来ました。中の売店には多くの醤油関連の製品が所狭しと販売されています。ドレッシングを買って来ましたが、期待通りでした。


2013.7.3 劇団四季のミュージカル”異国の丘”(東京浜松町、四季劇場)
 
昭和10年代、中国等の占領、支配を目論んだ日本政府や軍部。悪化の一途を辿る日中関係の改善を図った一日本人(実は時の総理大臣の息子)と中国蒋介石の姪との恋愛を描いた悲劇。彼はシベリア抑留者となり、そこで病死。現実にこのモデルとなった人物がいるらしい。また、劇中には歌謡曲「異国の丘」の作曲家である(故)吉田正も出て来ます。最近、涙脆くなった自分。ポロポロしている顔を一緒に行った娘に見られてしまいました。まあ、いいか。

2013.6.25 最近読んだ本
 ”貝と羊の中国人”(加藤徹著 新潮新書)
 
今や世界の経済に大きな影響力を持つようになった中国、その中国人の性向とか気質などについて書いた本です。貝とは財、貨、買、賭などの漢字に含まれる貝、羊は義、美、善、養などの羊。著者は、前者は有形の財貨を好んだ殷人の文化、後者は無形の主義を重んじた周人の文化と結びつけています。あの「巧言令色、少なし仁」など論語の孔子は紀元前500年頃の人物です。我が国がようやく歴史の舞台に出てくる卑弥呼は紀元後の230年頃。全く歴史の古さ、深さでは中国には敵いません。現在、中国は先進国には含まれていませんが、それは、途方もない広い国土や人口、民族の多さが関係していると思います。この本読んで中国、そして中国人を見る目が変ります。

2013.6.2 ”「無言館」所蔵品による〈戦没画学生・戦場からの絵葉書〉展”(旭川市 三浦綾子記念文学館
 
長野県上田市にある無言館の展示品です。表題の通り、戦没画学生が戦地から家族などへ宛てた絵はがき類です。いずれも、「自分は元気だ、皆、(特に子供や妻、母に)、元気でやってくれ」という内容が殆どです。美大や芸術学部を卒業(繰り上げを含む)してすぐ召集された20代、30代前半の人達です。政治の体制により翻弄されたというか、死ぬ必要のなかった人たちで、何とも無念というか言葉がありません。(6月9日まで開催。写真は三浦綾子記念文学館)

2013.5.31 最近読んだ本
 ”司馬遼太郎の世界”(文藝春秋編)
 
司馬遼鎮魂のため、彼の思い出から彼の文学の魅力等、多岐に渡り記述されています。彼は子供の頃から大人になってもですが、(確か大江健三郎と同様)図書館に入り浸りで、もう読む本がなくなったそうです。そのように長い長い知識の集積が、あの博識につながったのですね。学者ではないけれども、歴史時代小説というか大衆文学的な作家ですが、文化勲章を授けられた事に私は納得しています。また、私が一番感銘を受けた小説は長岡藩家老河井継之助の”峠”です。是非、お読み下さい。

2013.5.10 ウイーン少年合唱団公演(旭川市大雪クリスタルホール)
 
(開館20周年記念公演)本で人気が高いことを証明するようにチケット完売、満席でした。やはり、合唱の歌声は素晴らしいものでした。声変わり前の少年の声は、透き通るようですね。団員には日本人あるいは韓国人と思われる少年や黒人の子もいて、世界各国から集まっている様です。曲目は定番の”美しく青きドナウ”、”トリッチ・トラッチ・ポルカ”、”ローレライ”などの他に、日本の”ふるさと”や”花は咲く”で、良い”命の洗濯”になりました。

2013.5.4 佐藤忠良展(札幌芸術の森美術館)
 
生誕100年を記念して、彫刻家佐藤忠良展が開かれており見て来ました。彼の彫刻の多くは人、特に女性や子供をモデルにしたもので、中でも若い裸婦が抜きん出て多いです。その裸婦像も嫌らしい感じはなく、健康的で、その体の線もきれいに出ています。苦労した母の顔像は、欧州で展示した時、絶賛を浴びたとのことで、確かに彫刻とは思えない程、瞼や頬などに人として、苦労した生活感が滲み出ています。(5月26日まで開催) それにしても、まず最初に粘土で作製した像が、ブロンズ像に完成するまで、これ程数多の職人の手を経て成るとは・・・・。写真はこの美術館の正面です。

2013.5.3 いわさきちひろ展(北海道立近代美術館)
 
連休を利用して見て来ました。いわさきちひろは、言うまでもなく、あの独特のタッチの水彩画、主に子供たちを描いて来た画家です。当院の待合室には、彼女の水彩画を絵皿にしたものを(毎年新たに発売されるので、)自動ピアノの上に飾っています。毎年、ちひろの絵皿が替っているのに気づいている人は何人いるだろうか。しかし、ちひろが若くして共産党に入り、あの国会議員の松本善明氏と結婚していた事は初めて知りました。

2013.4.12 最近見た映画
 ”ポンペイ最後の日”

2013.4.8 
 
先日、テレビの番組で“視力が良くなる目薬”ということが話題になり、各地の眼科に問い合わせがありました。それは、ドライアイの点眼薬のことでした。ドライアイは、白目や黒目の表面に微細な傷が出来、(つまり眼表面が荒れた状態になり)、目に膜が張った様な違和感を感じるものです。それがその目薬で改善して見易くなり、視力が良くなったように思えるのです。このように、マスコミ等のメディアの誇張表現によって、医療機関が迷惑を被ることがあります。
 ここで、目に関して、一般に流布している根拠のない言説(言い伝えというか風評)を取り上げてみましょう(以下は主に成人についてで、視力の成長過程にある子供は、状態により一概には言えません)。
 
「メガネを掛けたり掛けなかったりすると、目が悪くなる」:これは証明されてなく、近視や乱視、白内障や緑内障などの眼病が、メガネを掛けたり掛けなかったりで悪化するというデータはありません。メガネを掛ければ見え、掛けなければ見えないだけの話です。ただ、ご承知のように人間の情報の80%は視覚から入りますので、人の表情や文字、景色等が見えると、QOL(生活の質)の向上につながります。
 
「テレビばかり見ていると、目が悪くなる」:テレビを見ることによって、眼病が悪化するという報告もありません。むしろ、目への影響よりも、毎日朝から晩まで全て受け身のテレビ漬けでは、頭にあまり良くないというか、認知機能に何らかの影響があるかもしれないという事は危惧されます。 
 白内障の手術をして、せっかく見える様になったのに、あまり使わない(大事にしている?)という患者さんがたまにいらっしゃいます。目は見るために使うものですので、どんどん使って下さい。「目の酷使で目が疲れて、眼病になる」という事も証明されていません。例えば、白内障の主な原因は加齢と糖尿病で、眼の酷使でなると書いてある本は見たことがありません。極端に言えば、一生目を使わなくとも、なる人はなります。(地元タウン紙 せせらぎタウン 平成25年4月号)


2013.3.16 最近読んだ本
 1)”日本の宿命”(佐伯啓思著 新潮新書)
 
マスコミ等での橋下現象(大阪市長の橋下徹)をまず取り上げ、そして日本という国についてcommentしたものです。佐伯氏の言わんとしている事は2つに集約出来そうです。”明治維新時、攘夷という精神から開国し、近代化、西洋化の道に走った日本。それが結局は、矛盾する様だが、列強との戦争を起こす契機になった。よく言われる軍部の独走とか統帥権の独立だけが二次大戦の原因ではない。戦後、日本は平和になり経済的な繁栄を示し、更に皆、常にアメリカに近づこう、アメリカをモデルに模倣、つまり何かにつけamericanizeです。しかし、今の状況が、徴兵された多くの若者の犬死、総計300万とも言われる死者の犠牲の上に成り立っている事を、戦後本当に正当に弔ったのか、疾しさみたいなものはどうなったのか?と問うています。

2)”金正日金正恩の正体”(李相哲著 文春新書)
 
初代の金日成、次の金正日、金正恩について詳細に記しています。読んで印象に残った事は以下の通りです。まず、北朝鮮の経済規模(GDP)は、日本のトヨタ自動車の10分の1に過ぎない小国であること。しかし約120万人もの軍隊を抱え、軍事費にそのほぼ半分以上を使っています。そして、金日成の後を継いで先年亡くなった金正日は恐ろしい人で、粛清に次ぐ粛清を重ね、現在の金氏の独裁体制を作り上げた。中国がどの程度、支えているのかはっきりは分からない。北朝鮮は辛うじて体制を維持しているが、国は疲弊し人民は飢えている。
 そして著者は次のように指摘しています。”忠臣達は、父の金正日に対しては長らく運命を共にして来たので、恩義を感じているだろうが、子の金正恩には恩を着せようと考えるだろう。この点が決定的に違う”と。これが今後、金正恩にどういう影響を与えるであろうか。


2013.2.26 最近見た映画
 1)”半落ち”(2005年)

 
寺尾聰主演。2003年ベストセラーとなった横山秀夫の話題作。2005年日本アカデミー賞最優秀作品賞。ようやく見れました。予想したよりhumanisticでした。半落ちというから、容疑者を自白させるため、もっとどろどろとした内容を予想していました。息子が白血病になり、骨髄移植のdonorが結局見つからず死ぬ。そのせいか、妻は認知症となる。妻からの嘱託殺人の様だが、はっきりしない。(息子への罪滅ぼしのため、自分は骨髄移植をして息子とほぼ同年の少年の命をを助ける。) 裁く裁判官も、実は家庭に老いた認知症の父を抱えて四苦八苦している。結局、執行猶予の付かない有罪判決が出る。容疑者も時機を見ての自殺を企図していたが、自分の移植で助かった少年と出会う。骨髄移植、認知症、嘱託殺人の量刑等、現代社会の抱える問題を考えさせてくれる。容疑者役の寺尾は適役だ(最優秀主演男優賞受賞)。

 2)”旅愁”

 3)”赤い風車”
 
子供の頃の事故で身長150cm位しかなかった(現在では遺伝疾患と考えられていますが)画家ロートレックの話しです。毎日酒場に出入りする酒浸りの中、二人の女性との恋愛を中心に描いています。伯爵家の息子でありながら、勘当され30代で世を去ります。(上半身は普通、下半身がほとんど成長していない。)身体的なdisadavatageから劣等感を抱くが、しかし、画家として特異な作風で、稀なことだが生前にルーブル美術館に認められる。身体的に外見上どうしようも無い欠点を持つ人間が、普通の当たり前の人生を送れない・・・・・。当然のことですが、我々一般人、周囲の取り巻く人達は、少なくともその肉体的欠陥を問題にせず(見て見ぬふりをして)、普通に接する事が重要でしょう。

2013.2.1 最近見た映画
 1)”間諜”(1937年)
 
ヴィヴィアン・リー主演、コンラート・ファイト共演。若き日のヴィヴィアン・リーは容姿も演技も問題なく、好感が持てる。

 2)”茶碗の中の嵐”(1937年)
 
ヴィヴィアン・リー主演、レックス・ハリソン助演。

 3)”革命児サパタ”(1952年、監督エリア・カザン)
 
マーロン・ブランド主演。メキシコ革命時に活躍したサパタという人物の物語。殺されても、未だ死んでいないと民に言われて伝説となった。一見すべき映画。

 4)”霧の波止場”(1938年)
 
ジャン・ギャバン、ミシェル・モルガン主演。共演のミッシェルは大人びた美人、18歳には見えない!

 
5)”ジュリアス・シーザー”(1953年)
 マーロン・ブランド主演。ジェームス・メイスン共演。

 
6)”河”(1952年、監督ジャン・ルノワール)
 インド、ガンジス河傍に住む、仲の良い、大人になりかけの女の子3人の初恋を描いているが、実は主題はここに住む人たちとその生活や自然。隣家に突然やってきた一人の若き青年をめぐる、女の子3人それぞれの付き合い方を描いている。ジャン・ルノワール監督の映画は色美しいと淀川長治氏は言っているが、確かにそうです。この映画の主題は、3人の女の子の三者三様の初恋の態様ではなく、最後のナレーションで言っている次のことでしょう。”河は絶えず流れ、世界も動く。天を太陽と月と星が回り、一日が終わる。そして終わりが始まる”

 7)”アンナ・カレニナ”(1948年 ジュリアン・デュヴィヴィエ監督)
 ヴィヴィアン・リー主演。

 8)”嵐が丘”(1939年 ウイリアム・ワイラー監督)
 
ローレンス・オリビエとマール・オベロン主演。E.ブロンテの有名な小説だが、内容は濃く、ここまで男女お互いの一途な想いが深いと厄介ですね。恋の恐ろしささえ感じる。裏話として、共演したこの二人、反りが合わず、その愚痴をオリビエは当時愛人だったヴィヴィアン・リーに打ち明けた。ビビアンは急遽英国からアメリカに駆けつけた時、たまたま”風と共に去りぬ”の火災シーン撮りを見ていて、その主役に抜擢されたとのこと。

2013.1.14 富良野塾公演”明日、悲別で”観劇

2013.1.13 フェルメール展鑑賞

2013.1.2 最近読んだ本
 
1)現代評論集(現代日本文学大系 97 筑摩書房)から
 ①田中耕太郎 ”ベートーベン的人間像”
 
僕は、クラシック音楽については決して詳しくなく、人に言える程のものを持っていません。以下はあくまでも僕の純粋な感じた事のみを述べています。ベートーベンの音楽は以前から、モーツアルトやバッハなどの彼の前後に輩出した何れの作曲家とも異にしていると思っていましたが、この田中氏も同じ見方をしており、少し安堵しました。田中氏は次のようにベートーベンを評価しています。”運命の力や世間的暴力から人類を守り、悩み苦しむ者の涙を拭い去り、永遠の幸福の世界への道案内の役割を勤めている。そこに尽きない魂がある。一個の人間でこれ程偉大な寄与を成した者が彼以外存在するであろうか。”と。僕は、彼の音楽にはモーツアルトのような明るさはないけれども、生きようとする者へ勇気づける力があり、チャイコフスキー様な迫力もあるけれど、派手な孤高の響きは無く、共に手を握り合うようなfriendlyさがあると、感じています。
 ②吉田秀和 ”ソロモンの歌”
 ③石田英一郎 ”日本的人間関係の構造”

 2)”本郷界隈”(司馬遼太郎著 街道をゆくシリーズ №37 朝日文庫)
 この街道をゆくシリーズには、当然その土地縁の人達が登場してくる。この本郷界隈には、樋口一葉、漱石、最上徳内、緒方洪庵などが出て来ます。しかし、いつも読んでいて興味津々になるのは、世間の表舞台には出ていない隠れた一角の人物のことです。例えば、この本では高島秋帆(西洋砲術家)、司馬凌海(通訳)などです。

2013.1.1 新年明けましておめでとうございます。
 
新しき年、単に時間が過ぎただけですが、やはり一つの区切りで気分も新たになりますね。どういう年になるか、自然災害、経済等のことは自分では如何ともできませんが、個人的なことはやはり自分で良い年にしようという気概が必要でしょう。”棚からぼた餅”でなく、何事も自分から引き寄せなければなりません。

2012.12.31 今年も暮れようとしています。
 
東北の方々は復興、復旧を目指して大変のことと思います。まだ、避難生活の方もいらっしゃるでしょう。日本には原発やらデフレ脱却、社会保障、竹島や尖閣諸島など、多岐に渡る多くの問題を抱えています。世界的に見ても中東情勢や経済不況など色んな問題があります。来年はどういう年になるでしょう。まずは皆さん、良い年をお迎え下さい。

2012.12.1 iPS細胞と眼

 京都大の山中教授がiPS細胞の開発で、ノーベル賞と文化勲章を受けました。画期的でかつ人類に幸福をもたらす有用な開発や発見は一朝一夕では得られず、幾多の試行錯誤を経た努力の賜物です。幸運とは単なる“棚からぼた餅”ではなく、日々そのことに集中し精進していた人にだけ降りて来るぼた餅と、僕は思っています。
 新聞でも報じられましたが、いよいよiPS細胞の人眼への臨床実験が近々開始されます。網膜の中心である黄斑が傷んでしまう黄斑変性という病気が対象です。これは、以前から類似の基礎実験が学会で報告されていました。この加齢黄斑変性は欧米では失明原因の第1位で、日本でも食生活等の欧米化のせいでしょうか増加しています。どういう結果がでるか本当に楽しみです。
 もう一つの目の難病、網膜色素変性も近い将来、対象となります。これは眼底の網膜全体が徐々に駄目になるもので、視野狭窄と夜盲が特徴で、夕方や夜道は非常に見づらくなります。今は服用しないよりは少し良いかもしれない程度の内服薬しかなく、悪化する人が多いです。将来改善することが出来れば患者さんにとっては大きな福音となります。今なお、原因不明の病気や治療法の無い病気は沢山ありますが、癌も将来克服されるでしょう。(地元タウン紙、せせらぎタウン 12月号に掲載)


2012.10.31 最近読んだ本
1)”白衣の神様”(結城五郎著、角川春樹事務所刊)
 
著者は千葉に住む内科開業医です。これは短編集(5話)ですが、何れも読み応えがあるドラマで飽きさせません。勿論いずれも医療絡みの話しで、例えば若い女性癌患者への告知の問題、あくまでも治療を拒む癌の父親を持つ医者の話などです。病気関係のことなら日本中に書き尽くせないろんなドラマがあることでしょう。著者の経験の基づくものもあることでしょう。

2)”未完の贈り物「娘には目も鼻もありません」”(倉本美香著 産經新聞出版)
 
本の帯にもあるように、まさに親、特に母親にとって、あるいはこの子本人にとっての壮絶な記録です。両眼の無眼球症と顔面の先天性多発奇形で生まれた子ですが、顔面形成手術の繰り返し。ここまでする必要があるのか?考えさせられます。ましてや医療費の高いアメリカです。妊娠からお産まで担当した産科の医師との対決も書かれています。この医師はここまでanomalyがあるとは想像してしていなかったのが本当でしょう。万が一の予期せぬことは、医師として携わっている限り遭遇する可能性は誰にもあります。それにしても、この母親である著者は、並行して現在二男二女の親にもなっており、患児との闘病も考えると、その頑張りには賛辞を惜しまざるを得ない。

2012.10.5
 最近読んだ本
1)”舟を編む”(三浦しをん著 光文社)
 今年の本屋大賞第一位ということで期待してましたが、外れでした。ストーリーとして普通である上に、盛り上がりもなかった。辞書を作るというのは、説明されるまでもなく地道に、本当にこつこつと用例等を集めなければならず大変努力のいる仕事です。それにしてはその激しさが伝わって来ません。まあ、娯楽的に読むのには丁度いいかも。

2)”ポケットの中の啄木”(白竜社編)
 
最近、自分に俳句の才が無いことがほぼ判明し(自己判断で)、短歌に興味が移りました。そこで、歌人啄木の歌を150首集めた手軽な本を読んでみました。啄木の歌は、字余りや字足らずがまず無くリズムが良い。それにも関わらず、琴線に触れる歌が多く、天才と言われる所以でしょう。しかし、内容は暗く家庭を含む生活苦のことが多くやはり薄幸の人ですね。

3)”アポロ13号奇跡の生還”(ヘンリー・クーパー著、立花隆訳 新潮社)
 
日本では月に初めて着陸したアポロ11号の方が有名で、このアポロ13号の件はあまり知られていません。実際、私もこの13号のことは、恥ずかしながら覚えていません。映画化され、私には非常に印象的でしたので、詳細を知るため読んでみようと思っていました。立花隆の訳が上手なのか一気に読み終えました。出発2日後、地球から33万kmのところで2つの酸素タンクの全てが爆発、3つあった燃料電池のうち2つが駄目になったのです!!ここからNASA総力上げて、帰還のための闘いが始まりました。支援船、月着陸船、司令船のメカ、電気、物理、天文等各分野のspecialistが知恵を出し絞りました。当然、対策方法が正しいかどうか、居残りの宇宙飛行士が模擬実験を実施します。何人も名人も100%順調には行かない。何かトラブル、アクシデントが起こった時に、何事も無かったかのように成功裏に終われる者が真の名人(手術でいえば名医)と言えるでしょう。

2012.9.22 最近読んだ本
”危機の指導者 チャーチル”(富田浩司著 新潮選書)
 
以前から興味があったのですが、大戦時のイギリスの宰相チャーチルについて詳しく記しています。伝記というより、主に彼の成人後の政治家としてどうであったかについて詳述しています。著者は以下の点を強調しています。①大戦時下、ヒットラーというファシズムの独裁者に対抗するには彼しかいなかった。平時ならハリファックスとかチェンバレンなど首相適任者はいた。②軍人から若くして政治家になった。他の職業についたことはなく、政治家歴は極めて長い。③周囲の助力を最大限使って、膨大な情報収集力があった。④若い時から読書家で、ご存じのように大戦の回想記はノーベル文学賞をもらっている。⑤また、彼の弁舌は聞く人の心動かし、それもノーベル文学賞の受賞理由になっている。⑥二次大戦時、国民の意気を鼓舞し、その萎れそうになる気持ちを振い立たせたのは彼の演説であった。著者はこう書いています。”いかなるコストを払ってでも、この戦争に勝利する、という目的を明確化したチャーチルの演説は国民の迷いを払拭し、その総力を結集する上で計り知れないものであった。”これらよりチャ-チルの人となりが窺われる。確かに、リーダーたる者、自分について来いというものを持ってないと駄目であろうし、本人に自信のない決定についていく人はいません。

2012.9.17 特別展 ”絶滅哺乳類の世界”(旭川市科学館サイパル)
 
恐竜絶滅後の哺乳類の化石等の展示です。ところで、ランチョ・ラ・ブレア発掘地というのをご存じでしょうか?私も初めて知りました。アメリカ、ロサンゼルス郊外に地下から湧き出たタールが沼沢地となっているところがあります。そこは一種の底なし沼状態で、古代より動物は一旦入ると抜け出せず、古代より閉じ込められた哺乳類(それを餌に食おうとした動物もいる)の全身骨格が数多く発掘されています。人間も一体のみ見つかっています。

2012.8.23 N響、旭川公演
 
圧巻でした!!何といっても、プログラムの一つに私の大好きなチャイコフスキーの交響曲第5番がありましたから。特に弦楽器グループの一体感はメリハリ共に素晴らしく、音が一つになって会場の壁をこれでもかと壊さんばかりにズシリと響いていました。もう一曲は有名なチャイコフスキーのピアノ協奏曲で、ピアノは小山実稚恵さんで、言うまでもなくばっちり。得した1日でした。(旭川市文化会館にて)

2012.8.15 旭川市の風景
 
旭川市は北海道のほぼ中央で、雄大な風景が広がり、本州の方々には、必ず気に入って頂けると確信しています。以下、気ままに撮ったものです。
何処までも広い青空と広がる水田。旭川市のある上川地方は稲作百万石と言われています。
水田地帯の中の旭川空港。最近は韓国便など少々国際便も出ています。
”プラタナス通り”。旭川医大から街中心部へ向かう道の一つにプラタナス並木通りがあり、名所になっていて、毎年この名を冠した文学賞が募集されています。次の写真には天文台が見えていますね。これは旭川市科学館”サイパル”です。ここのプラネタリウムを是非楽しんで下さい。
どこまでも続く真直ぐな田舎道。私の愛車が映っています


朝顔を見事に巻きつけて飾ってある家。全部咲くと見事でしょうね。

212.8.11 最近読んだ本
1)室生犀星著”幼年時代”、"或る少女の死まで".”性に眼覚める頃”
 来月、眼科学会で金沢に行くので、金沢縁の詩人、作家の室生犀星の著作を読んでみようと思った訳です。本が氾濫している今日、何を読むか、何を読んでいいのか迷うのは私一人ではないでしょう。”ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの”という詩から連想されるこの寂しさは、彼の恵まれない生い立ちによるものの様です。つまり、生後すぐ養子に出され、その養母との関係も悪く、実母とはその消息も不明で生涯一度も会うことは無かったのです。この二つの著作は彼の殆ど自叙伝とも言えるようで、文体は流石に流麗であり、漱石や芥川のような難解な言葉も出てきません。

2)”本所深川散歩、神田界隈”(司馬遼太郎著 街道を行くシリーズ №36
 
言うまでもなく、東京(江戸)の深川と神田について書いたものです。特に神田の紹介は圧巻です。維新後、神田に多くの専門学校や法律学校が創られ、現在に至っていることを細かに、本当に詳細に記しています。人物紹介、一般の人に知られていない”知る人ぞ知る”一角の人物を多く紹介しています。

2012.8.6 北日本フィルハーモニー管弦楽団コンサート

2012.8.5 富良野のかなやま湖
 富良野の奥のかなやま湖へ行って来ました。森閑として熊がひょっこり出てきそうでした。
金山ダムによって堰き止められた人造湖ですが、冬のワカサギ釣り、夏のキャンプ、カヌーなど楽しめる所です。


2012.7.14 富良野のラベンダー
 
今盛りのラベンダーを見に、あの富田ファームへ行ってきました。私はラベンダーの香りが好きで、当院の外来トイレ等に置いてあります。

2012.5.8 最近読んだ本
1)”明日の記憶”(荻原浩著 光文社文庫)
 
以前映画にもなった若年性アルツハイマー病患者の物語です。確か渡辺謙主演と思います。若年性といっても単に発症年齢が65才未満ということであって、病態が異なるわけではありません。病名を告げられた後、本人の葛藤や心配する妻との一時的な確執は当然として、場面として多いのが会社での出来事(会議を忘れてしまう、集合場所へ迷って行けない等)です。誰でもが避けたい病気ですが、現在、この発症原因も不明です。当院の患者さんにも認知症の方は少なくありませんが、本当にわかっていないのでしょうか。潜在する意識下にはある程度、状況を把握している可能性は否定し切れないのでは?

2012.5.4(金)~6(日) GWに函館へ。土方・啄木浪漫館がお勧め!
 
今回、旭川から函館往復するに当たり、GW特別割引チケット3日間使い放題8000円というのが発行され、非常にお得でした!!しかし、登別室蘭ー伊達間で雨のため通行止めに遭い、函館到着に時間かかりました。しかし、五稜郭公園は桜満開で壮観。美味しい活イカなども堪能しました。函館では、あの啄木が親しみ、”東海の小島の~”と詠んだ大森浜にある土方・啄木浪漫館を見てきました。ぜひ訪れて下さい。土方歳三、戊辰戦争、啄木の生涯など詳しく知ることが出来ます。復路は、いつも静かな佇まいの洞爺湖に立ち寄ってきました。写真は、その大森浜の浪漫館傍に建つ啄木像です。
”東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる”

2012.5.3 最近見た映画
”幕末太陽傳”(昭和32年川島雄三監督)
 
フランキー堺主演。他にも錚々たる顔ぶれが出演しています(南田洋子、左幸子、二谷英明、石原裕次郎など。) ぜひ見るべき邦画の一つとされている様で、あの幕末の何か気忙しい暗い雰囲気や時代考証はよくは出来ていると思います。でも私個人的には、ファンには申し訳ないですが、それ程の感激は受けませんでした。

2012.5.3 気に入った春の俳句10句
 

  人の世にサイレン頻り鳥雲に(横山康夫)

  雀の子そこのけそこのけ御馬が通る(小林一茶)

  女ゐて鰊番屋の戸によれる(清崎敏郎)

  女医に目を覗かれてをり木の芽晴(千田一路)

  入学のおはじきに記すフルネーム(山崎篤)

  花嫁は七つ年上柳飛ぶ(藤平寂信)

  チューリップ抱いて行く青い垣根の鱒二の家(橋田サカエ)

  風光る路上の喧嘩見て過ぎぬ(原子公平)

  花冷えや箪笥の底の男帯(鈴木真砂女)

  ほたるいか目玉の芯の噛み残る(飯沼衣代)

2012.5.1 
眼の加齢変化(眼の不思議発見 №42
 
費税アップの議論が喧しく、いよいよ法案が上程される模様です。実際、逆ピラミッド型の超高齢化社会を迎え、年金、医療費等の社会福祉関連の財政難の中、止むを得ないでしょう。高齢になり幾つもの疾患を抱えて通院している方は少なくありません。
 
白内障に代表される加齢による眼疾は、他科に比べ多いかと思います。白内障の他には、硝子体剥離による飛蚊症、一部の緑内障、視野中央が見えなくなる黄斑変性、瞼が下がってくる眼瞼下垂、鼻涙管閉塞による流涙症(涙目)などが挙げられます。白内障(水晶体の濁り)についてはもう詳しくお話するまでもないでしょう。時々、片目ずつ見て、霞んでいないかどうか(霧視)確認して下さい。硝子体剥離による飛蚊症は大体60歳前後から始まることが多く、突然、目の前にゴミや蚊の様なもの(円形のことが多い)が現われます。まれに網膜裂孔や網膜剥離を起こすことがあり要注意です。緑内障は初期は全く自覚症状はなく、徐々に徐々に視野、視力が障害されるものです。
 
高血圧や糖尿病などの生活習慣病と違い、残念ながらこれらは専門医である自分でも予防は困難です。40才を過ぎたら目の検診をお勧めします。
(地元タウン紙”せせらぎタウン”平成24年5月号に掲載)

2012.4.1 最近読んだ本
1)”サダト自伝ーエジプトの夜明けをー”(アンワル・エル・サダト 朝日新聞東京本社外報部訳 朝日イブニングニュース社刊)
 
あのキャンプデービッド会談の成果でノーベル平和賞をもらった元エジプト大統領の自伝です。自分の生い立ちから青年将校時代、そして、政治の世界に入ってからの葛藤、同僚や取巻きとの確執などを克明に記しています。私からすればよくこれだけ日付なども含め昔のことを覚えているなと感嘆します。特に圧巻は後半のイスラエルとのパレスチナ・中東戦争の記載です。冷戦時代のアメリカやロシア、その他多くの周辺諸国との関係、それら各首長との駆け引きなど引き込まれてしまいます。ただ、400ページに及ぶ大冊です。

2)”肥前の諸街道”(司馬遼太郎著、街道を行くシリーズ №11)
 
佐賀県から長崎にかけて、江戸時代一手に、特にポルトガルやオランダとの通商を行った平戸、そして後年長崎へと変遷するその歴史的実情を、当時の大名らのキリシタン改宗と不離の関係であったことと絡めて詳細に記しています。司馬遼にはいつも感心させられるが、彼は地名について造詣が深く、今回も佐世保、長崎などその由来を詳しく述べています。

2012.4.1 最近見た映画
 1)”はやぶさ 遙かなる帰還”
 2)”おかえり はやぶさ”
 
あの国民に感動を与えた小惑星探査機はやぶさ帰還の映画化です。両者当然脚本が違い、前者は一女性新聞記者が、後者は実際に携わったJAXA技術者が主人公です。いずれもやはり子供にも分かり易いような内容になっています。しかし、”はやぶさ”現象があってそれほど時間も経たないうちに映画を作ってしまうその商魂逞しさは必ずしも賞賛に値するものではなく、じっくり腰を据え時間をかけてこれぞという映画を作って頂ければ、もっと違う、感動的なものが出来たのではないかと思う。

2012.2.29 最近読んだ本
1)”遠野物語
柳田国男著)
 
よく知られている柳田国男の本です。以前から読もうと思っていて、ようやく出来ました。彼は官僚で、始めはその傍ら民俗学的な興味から段々専門家になったとのことです。やはり何事も”好きこそ物の上手”ですね。遠野物語自体は、予想したような内容でオシラサマ、、座敷わらし、川童(かっぱ)等々でそれ以外に不思議な話しが盛り沢山。しかし、これらの言い伝えと言える話しは遠野地方に限らず、日本国内至る所にあると思います。たまたま、佐々木鏡石なる稀有な伝承人が、著者と運命的な邂逅したためでしょう。
2)”宇宙人としての生き方ーアストロバイオロジーへの招待”(松井孝典著 岩波新書)
 
天文学と宇宙的な意味での地学に知識がないと十分に理解できない難しい内容でした。特にビッグバンからの地球という惑星の成り立ちなど。それとは別に、この本は地球上の人類を宇宙から俯瞰して、生物の一部として捉えた場合(生物圏の人類)、知的生命体として捉えた場合(人間圏の人類)の生き方を独特の理論で論じています。著者は言う、「我々が、宇宙の中で人類として人間圏を作って生きるということは正しい選択だが、生き延びるという選択としては非常に危険なことをしている。文明が発展してあるレベルに達すると宇宙や地球、生命の歴史が解読出来るようになる。しかし、その一方で同時に地球環境問題など我々自身の存在がその存在基盤である地球を揺るがす問題を生じるー文明のパラドックスー」と。

2012.1.28(土) 奏でる彫刻たちー音楽と彫刻のコラボレーション
 (旭川市大雪クリスタルホール )
 
出演:ピアノ菅野雅紀、ソプラノ吉川具仁子、市内2小学校の合唱団、彫刻家中垣克久
 ホール入り口や舞台に木彫やブロンズの彫刻が並べられ、それを見つつ、ピアノやソプラノ独唱、小学生合唱団の歌声を楽しませて頂きました。演奏された曲は、武満徹、中田喜直などの日本の作曲家の他、後半はフォーレ、ドビッシー、ラフマニノフなどでした。吉川具仁子の声はホールによく響き、帰り際、ご本人にその旨お伝えしました。また、小学生合唱団の澄んだ声は期待以上のものでした。また、中垣のブロンズの彫刻は、素朴だが思想が感じられ一見の価値があります。

 
2011.12.24 最近読んだ本
”7つの習慣ー成功には原則があったー”(スティーブン・R・コヴィー著 J/スキナーおよび川西茂訳)
 ようやく自分の座右の書と言えるものに出合った気がします。人生は人間関係がほぼ全てと言えます。周囲には、医者の場合は患者であり、商売をしている方では顧客。そして妻や夫、親、子等の家族、そして友人、仕事の同僚達、仕事関係の業者ら等々です。生活信条として、人それぞれ重きを置くものが異なります。例えばとにかくお金が中心の人、家族が中心、仕事人間と言われる仕事中心の人、他に宗教を生活の中心にしている人など。しかし、著者は言います。①“原則”こそ中心にすべきであると。そして②誠実であること、③人間関係としてwin-winに持っていくこと。その他、生きる良い指針が得られます。函館のTさん、是非読んで下さい。


2011.11.29 上杉春雄のピアノ・リサイタル、”バッハの平均律”鑑賞(旭川市、木楽館)
 
ご存知の方も多いかと思いますが、立派に医師とピアニストを両立させている上杉氏です。バッハが得意ということですが、私のようにクラシックを余り知らない者にとってはなんとも批評できかねます。
 
2011.11.26 観劇”炎の人ゴッホ”(富良野演劇工場)
 
市村正親主演、富田靖子、益岡徹出演。三好十郎原作の戯曲の再演とのことです。あのゴッホの生き様を熱く劇化しています。ゴッホが元宣教師であったとは知りませんでした。住む田舎町での労働争議には、宣教師として、自分の生活を犠牲にして率先して協力したそうで、この特異な芸術家の別の一面を見ました。絵画制作の夢を諦め切れず、しかし(どこまで事実に基づくかわかりませんが)底辺の女達や酒との日々、同居するゴーギャンとの確執などが描かれています。彼は一事に真摯、つまり一途な性格なのでしょうが、それも昂じればば病的な執着気質です。出演者皆、芸達者で好感を持てましたが、辛口批評をするなら、主演市村の言葉が聞き取りづらかったことと、(これは脚本の問題でしょうが)会話が途切れず矢継ぎ早で、聞いていて疲れました。もっと落ち着いた感じにならないものか。満席で約3時間、終了は午後10時半でした。また、以前からファンの富田靖子を生で見れて感激。

2011.11.20 最近読んだ本
 1)”国家の命運
”(藪中三十二著 新潮新書)
 
前外務事務次官による、主に自分が携わった外交交渉等を軸に日本のあり方を記したものです。まず読後感ずるのは英語、英会話が達者でないと勤まらないということ。そして彼が第一に言うのは、会議のテーブルに付く相手国の人達との信頼関係が重要ということ。その上で、始めは言うべきことを言い、要求すべきことを要求して、お互いある程度の妥協点を見つけていく。今、国を二分する程の論議をされているTPPなどの問題は参加していくのが世界の流れの様ですね。

 2)”ガリレオーはじめて宇宙を見た男”(ジャン・ピエール・モリ著 遠藤ゆかり訳 創元社ー知の発見双書140)
 
言うまでも無く、望遠鏡等の観察により、当時異端とされた地動説を決定的にした人物。通説を覆すことはかなり難しいことだが、それには確固たるEvidenceが無いと説得できない。更に当時は教会という途轍もなく大きい権力との闘いがあった。異端審問所から終身刑を言い渡されたが、1年後に釈放され最悪の結果にならなかったのは喜ばしい。カトリック教会が地動説を公式に認めたのは、実にガリレオが亡くなってから180年後の1822年であった。

2011.11.5 楽しきかな クラシック映画
 
 著作権が切れ安価になった昔の映画(DVD)を、会合やprivateな用事のない、ふっと時間の空いた夜など洋、邦画問わず見ています。と云っても、一週間などあっという間に経ちますので二週間に一位でしょうか。一時、仕事や患者の事を忘れさせてくれます
  邦画では、昨年末亡くなった女優高峰秀子のものをよく見ます。何れの作品もが印象深いですが、中でも名作と云われる二十四の瞳1954年)、灯台守の家族を描いた喜びも悲しみも幾歳月1957年)、作家林芙美子の放浪記1962年)、そして邦画の十本指には必ず入る浮雲1955年)などは揚げておきたい。ただ高峰本人は「女優は好きでなかった」と云っているのは面白いことです。彼女顔立ちは柔らかいというか優しい感じで二十四の瞳の小学校の先生役がぴったりと思います。カルメン故郷に帰る1951年)のようなコミカルな役もあり、その役柄の多岐に渡ること感服させられます。他では、邦画のベスト3には必ず入る東京物語1953年)の名監督小津安二郎作品や黒澤明作品は言うまでもありません。黒澤明作品はどれもいつもぞくぞくさせられます。昔の邦画(特に昭和時代の)を見る度に思うのは、その日常会話の綺麗さ(特に女性)というか語弊があるかもしれませんが上品さです。それは市井の庶民にも当てはまります。現代は言葉使いが汚いというか乱れていて、嫌悪を感じているのは私だけでしょうか。
 最近見た洋画では、ナチの収容所で生き別れた母子の再会を描いた山河遙かなり1948年)アンデス山脈の郵便飛行達を描いたコンドル1939年)、あの淀川長冶が綺麗な映画と絶賛した “邂逅” 1939年)などが良かったです。好きな俳優は男優では“十戒”(1956年)のチャールトン・ヘストン、女優では“レベッカ”(1940年)のジョーン・フォンティンです。いやー、映画って本当にいいですね
 以上、駄文を労しました。開業して15年。診療以外の事、つまりレセプト関連は勿論、スタッフの労務関係、税関係、色んな業者との折衝、その他雑用は当然初めての経験で暗中模索でしたが、あっという間でした。診療については、守備範囲を守り後眼部のOpeには手を出さず、患者さんも情報を得ているので精査の必要な症例は紹介するようにしています。昨年、還暦を迎えました。今後とも宜しくお願いします。(旭川医大眼科同門会誌 2011年 第21号に掲載)


2011.11.5 最近読んだ本
 1)”パレスチナ”(広河隆一著 岩波新書)
 
毎日報道される時事ニュース、わかっているようで実はよく知らない事が多いものです。その一つに、長年紛争を繰り返している中東情勢問題、すなわちイスラエルとパレスチナ。本当にこの二者間の問題は厄介です。それを実地に見聞した著者が詳細に記しています。宗教、民族、地理等の問題が複雑に絡み合っています。従来イスラエルに贔屓目に見ていましたが、見方が変わりました。”目には目を、歯には歯を”という心理が働いている様に思われてなりません。

 2)”ドン・キホーテ 前編(1)”(セルバンテス著 岩波文庫)
 
以前から読みたいと思っていたのですが、予想した内容と異なり、いささか拍子抜けしています。というのは、マンガチックで一編の壮大なコミックを読んでいる感じです。読んで何らかの教訓とか生きる示唆を得ようとするのでなく、ただ楽しむために読むのが正解です。面白いです!

2011.11.3 ドウダンツツジの紅葉
 
当院の入り口にあるドウダンツツジが今や、紅葉真っ盛りです。綺麗なので掲載させて頂きました。
しかし、もう少しすると冬将軍がやって来て寂しい季節に入ります。半年近い長い冬を短く感じられるような良い過ごし方を模索中です。


2011.10.30 最近見た映画
 1)”秋刀魚の味”(小津安二郎監督、1962年)
 
ばらくぶりに小津作品を見ました。始めは少々まどろこしいテンポ(昔の邦画は大体そういう傾向にあるけれども)でしたが、段々引き込まれますね。 佐田啓二、岡田茉莉子、岸田今日子ら若き頃の俳優が多数出てきますが、長女役の岩下志麻は改めてじっくり見るとかなりの美人ですね。笠智衆はかねてから思っていましたが、人間的には愛すべき人柄でしょうが、演技は決して上手とは言えませんがそれがこの人の個性なのでしょうさて内容は書きませんが、どこに秋刀魚が登場するでしょう?
 

2011.10.16 最近読んだ本
 1)”ある小さなスズメの記録”(クレア・キップス著 梨木香歩訳 文芸春秋)
 
1953年初版。少々信じられないというか驚きの記録です。普段見かけるあの人に懐かないスズメと自分の子の様に暮らした英国婦人のノンフィクションです。生来足が悪く十分飛べなかったこともありますが、その一生を家庭内で飼われ、時にダンスの様なこともして来客や街の人々を楽しませたり、また、一緒に枕元で寝て心を通わせていたエピソードも記されています。

 
2)”モンゴル紀行(街道を行くシリーズ№5)”(司馬遼太郎著 朝日文庫)
  
モンゴルは本当に果てしない草原が続いているらしい。写真等からそのイメージは浮かびますが、やはり何でもそうですが実体験すると、規模が違う様です。また、馬が日常足代わりに活躍し、また、遊牧の民なので包(パオ)で暮らす人々が、その中でパソコンを使いインターネットを楽しんでいるそうです。

2011.10.3
 不定愁訴
 不定愁訴(ふていしゅうそ)という言葉を聞いたことがあると思います。これは “色々な自覚症状は訴えるけれども、検査で何の身体的異常が見つからない状態”を云い、医者を悩ませるものの一つです。例えば内科等で自律神経失調症と言われた方もおありでしょう。眼科でも、目が「しょぼしょぼする」、「ちくちくする」、「ごろごろする」、「ズキンとする」、「ちかちかする」、「重い」等々あります。検査をして、「どこも何とも無いきれいな眼です」とご本人に言いますと、安心する方もいますが、再三受診される患者さんもいらっしゃいます。生きているのですから、多数の様々な臓器の組み合わさった身体に何かを感じるのはあって当然と云えます。
 ただ、問題は逆のことが潜んでいる場合です。身体の病気なのに(特に初期の場合)検査ではっきり異常所見の出ないことがあります。眼では、老眼の始まりやドライアイは「しょぼしょぼする」など不定愁訴症状を呈する代表疾患です。
4045歳を過ぎて老眼が始まり、新聞など近くが見づらくなっているのに今までと同じ眼鏡を使っていたり裸眼で見続けている。ドライアイで、目に潤いがなく黒目と白目が傷っぽくなっている。前者は読書用眼鏡、後者は潤すヒアルロン酸点眼で大方改善されます。
 結局、何か症状があればまず受診して検査を受けてみる。それで異常が無ければあまり気にしないで様子をみるのが良いということになります。医者が「様子を見ましょう」とか「経過観察しましょう」というと、放っておかれたとか何でもないと誤解、勘違いしてしまう患者さんがいます。しかし、それは、ひょっとして病気が潜んでいるかもしれないので定期的に診察することや、変ならいつでも受診するよう言っているのです。(地元タウン紙”せせらぎタウン”平成23年10月号に掲載)


2011.8.13 北竜町”ひまわりの里”、秩父別町”ローズガーデン”で遊ぶ
  
快晴で猛暑の中、ここぞと咲くひまわり畑の中を歩いてきました。世界中のひまわりが植えられていましたが、中でも日本産の”小夏”という品種は丈が10cm位と小さく可愛いかったです。また、次に訪れたローズガーデンでも、本当に色々なバラを見せてもらい、命の洗濯になりました

2011.8.6 チャリティーコンサート・平和への祈り
 
「あさひかわ第九の会」企画演奏会(旭川大雪クリスタルホールにて)
 主に旭川出身のクラシック歌手によるコンサート。歌手は4人で及川洋治、中原聡章、佐々木智美、菅原有希の各氏。中原氏と佐々木さんは中学校の教諭ですが、立派なもので、特に中原氏の声量は大です。混声合唱のためのカンタータ「土の歌」(大木惇夫作詞、佐藤貢作曲)は一度聴いておくとよいです。

2011.7.14 最近読んだ本
 1)”三陸海岸大津波”(吉村昭著 文春文庫)
 
今、話題の書です。1970年(昭和45年)に既に吉村氏は三陸を訪ね、過去の大津波について取材しています。三陸海岸は明治29年と昭和8年に大きな津波の被害に合っています。しかし、千年に一度と言われる今回のような甚大な災害を誰が予想し得たでしょう。マスコミや専門家などが起こった事件や事故を後付けで、さも自分達は以前から分かっていたかのように批判、発言します。しかし、起こった事を後付けで批判することは簡単なことです。今回の原発事故でも、東京電力や原子力関係者に一方的な批判、非難がありますが、少し可哀相そうです。やはり想定外は想定外なので、国民特に当事者の怒りは尤もですが、こういうこともあると腹を括って理解すべきでしょう。

 2)”何とかなるわよー
お姫さま そして女将へ立花文子自伝”(立花文子 海鳥社)
 
九州福岡県の柳川市は旧柳川藩の城下町です。そこの代々の藩主立花家の一人娘である立花文子氏の自伝です。面白くというより楽しく読ませて頂きました。明治43年生まれで、子供時代、お姫様として育てられた状況がよく書かれています。しかし、驚くほど進取の精神に富み、全くひ弱な教育はされていません。是非、一般の方に読んでほしいです。*立花文子さんは昨年10月100歳の長寿を全うしました。

2012.6.26 佐地君と美瑛巡り
 
同期会の翌日、佐地君を美瑛を駆け足で案内しました。
  

2011.6.25 旭川で大学の同期会
 
母校医学部の同期会が自分も含め4人と少数ですが、旭川であり、講演とその後の親睦会で盛り上がりました。講演は母校で小児科教授をしている佐地君の”小児の心臓移植”に関する話でした。彼は心臓病など小児の循環器疾患では国内はもとより世界でも名を馳せている権威の一人です。他にはやはり母校で内科教授をしている住野君と静岡で内科をしている鳥居君です。その後、お寿司屋さんに場所を移し会食。やはり若かりし頃の仲間との会話は尽きず、本当に楽しい時間を過ごしました。

2011.5.12 最近読んだ本
 1)”長男の出家”(三浦清宏著)
 
親の習慣や行動、しつけ等が子に大きな影響を与えるということです。著者である父親が座禅に長男を連れて通っていたら、その子が”大きくなったらお坊さんになる”と言い出したのです。父は軽い気持ちで連れて行ってたのでしょうが。その子は結局初志貫徹してお坊さんになり、現在立派にやっているとのことです。親は十分気をつけましょう。

 2)”白河・会津のみち、赤坂散歩(街道をゆくシリーズ№33)”(司馬遼太郎著)
 
私が全巻読破を目指している司馬遼の”街道をゆく”シリーズです。やはり彼の著作はまず期待を裏切らないです。中には中途で投げ出した作品もありますが。今回の圧巻は会津の章で、幕末に貧乏くじを引いた松平容保に関する話です。司馬氏は若い時分、寺社関係の新聞記者をしていたので、そういう事項には飛び切り詳しいのです。惜しい人を日本は亡くしました。もっと生きて欲しかったです。あれ程、日本史に関し語れる人はいません。

2011.4.17 最近見た映画

 1)”コンドル”(1939年 アメリカ・。 ハワード・ホークス監督)
 
ケーリーグラント主演。

 2)”終着駅”(1953年 アメリカ)
 
ジェニファー・ジョーンズ、モンゴメリー・クリフト主演。

2011.4.1 点眼薬の合剤 

 最近、日本でようやく点眼薬の合剤が認可され、処方できるようになりました。何れも抗緑内障薬で、緑内障の方に朗報です。合剤は点眼薬1本に2種類の薬が入っているもので、目薬の本数が減るだけでなく、1日の点眼回数もかなり減少します。欧米では以前よりありましたが、お堅い慎重姿勢の厚労省によりようやく認可されました。
 緑内障は、放置すると殆ど自覚症状がないまま視野狭窄などが進行するものです。その症状を悪化させないよう現状を維持するため、生涯、点眼を続ける必要があります。患者さんによっては数種類の点眼薬を1日何回も点けなければなりません。緑内障は痛くも痒くもないので、往々にして、特に若い人では仕事など多忙のためもあり、忘れたり面倒になったりして、結局、点眼を中断してしまうことが少なくありません。患者さんになぜそれが必要か、治療(点眼)の意味を理解させ、治療(点眼)に対するモチベーション(やる気)を高めることも医師としての役割です。
 緑内障の恐い所は視神経が侵されるため、悪化してからでは改善方法はありません。悪化を止めるための点眼です。それが合剤により本数も点眼回数も減り、コンプライアンス(服薬遵守)が向上し結果的に効果も上がると考えられます。
          (地元タウン紙”せせらぎタウン”平成23年4月号掲載)


2011.3.27 東日本大震災の被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
 
この度の未曾有の震災、地震に次ぐ大津波、更に追い討ちを駆ける原発事故には本当にやりきれぬ思いで一杯です。地震や津波が自然の猛威とすれば致し方ないのでしょうが、それにして酷い状況です。日本国民全体が一丸となって復興の手助けをしましょう。家屋や町は時間かければ何とかなるでしょうが、とにかく原発の放射能は封じ込めないと!

2011.2.6 最近読んだ本
 1)”挑戦する勇気”(羽生善治著、朝日新聞出版)

 2)”水死”(大江健三郎著 講談社)
 
始めは主人公の父の水死がmainの物語かと読み進んでいましたが、終盤、副主人公ともいえる若い女性の個人的体験に話の中心が変わって行きます。結局それが主題だったようです。

2011.1.4 最近読んだ本
 1)”小説帝銀事件”(松本清張著 角川文庫)
 
以前から、新聞等でよく見かけた平沢貞通なる人名には興味を引かれていました。しかし、帝銀事件の詳細には全く不案内なため、今回ようやく松本の本を読んでみました。やはり、予期したとおり冤罪を疑わせるものでした。その理由にはついては、ここではこれ以上触れません。最近、厚労省関連事件の検察によるでっちあげが明らかになりました。人間とは、何と先入観に囚われる生き物なのでしょう。全く何事も先入観等に惑わされることのないようにしたいものです。

 2)”さみしい男”(諸富祥彦著、ちくま新書)
 
現代の特に若年、中年代の日本人男性について述べていますが、同感する所が多々あります。例えば、家庭で居場所がない、仕事で疲れ帰宅しても何かストレスを感じて自分の部屋に篭ってしまう、母親のように子供たちとしっくり会話が出来ない、職場では上司と部下の板挟み状態になっている、仕事は仕事で我がまま言いたい放題の顧客の対応に嫌気が差しretiireしてのんびり暮らしたくなる等々です。女性の方が元気があります。どうしてこういう日本になったのでしょう。やはり、今までの資本主義、自由主義による”儲け”ようという競争が遠因である気がしてなりません。

 3)”ニューヨーク散歩 (街道を行く 39) ”(司馬遼太郎著 朝日文庫)
 
主にニューヨークに関係する人が出てきます。何と言ってもドナルド・キーン教授。彼の日本古典文学に関する造詣には脱帽でしょう。また、角田柳作というコロンビア大学の先生については、私も全く存知あげず、日本では殆ど知られていませんが、いるんですね。こういう人が!

2010.12.9 最近読んだ本
 1)”小惑星探査機はやぶさ物語”(的川泰宣著 NHK出版)
 
小惑星探査機については日本は世界のトップを行っている様です。つい先日、金星探査機には失敗しましたが。この”はやぶさ”はご承知の通り御難続きでしたが、一応の目的は達しました。特に読んで心を動かされたのは、準備段階でColleagueが誰彼と無く、トップの川口プロジェクトマネージャーの知らない所でaccidentに対するhardの面での用意をはやぶさに備えていたことです。これこそ、まさに仲間でしょう。どんな職場でも言われたことだけを準備していたのでは駄目です。自主性をもつことが重要です。右は、本文中の里中満知子さんの励ましのイラストです。満身創痍の”はやぶさ”。頑張ったね。

 2)”歩きながら考えよう”(安藤忠雄著 PHP研究所)
 
あの独学で建築を学び東大教授にして文化功労者の安藤忠雄氏の本です。彼が建築だけでなく自然や環境汚染にも関心があり精力的に活動しているとは知りませんでした。

2010.11.6 最近読んだ本
 1)”弧舟”(渡辺淳一著)
 
今話題の書ですが、期待はずれでした。定年後、男が家庭に入り、妻らに今まで以上にお世話を掛けることになる。当然、同居する人たち、特に妻とぶつかり合う事はわかり切っています。それを男が自分で葛藤しつつ如何にやっていくのか、上手くやっていけないのか、それをどういう風に著者が描くのかが、読む前、読者が期待していることです。しかし、渡辺は浮気というか不倫を大きな中心的題材としており、頂けない。結局、渡辺はこういう女性関係を核としてしか小説を書けないのだろうか。

 2)”ちょっとした勉強のコツ”(外山滋比古著)
 
本年三月の欄でも書いた外山氏です。こういうちょっとした教養本をよく書いている人です。読書に当り、私などは40歳を過ぎた頃から、読んでいる時はわかっていても読んだ後から忘れ様になっています。少しでも何かが頭に残ってくれれば良いと思います。以下に述べるのは一番印象に残った箇所ですが、”物を覚えるのに二通りある。コンピューター式と鳥式。前者は通常の試験の様にとにかく頭で物を覚えようとすること。鳥式とは親鳥が自分の子に餌の取り方や飛び方等を繰り返し繰り返し体で覚えさせるようとする、つまり体得させる。これは一生忘れない。”

 3)”国民の遺書 「泣かずにほめて下さい」靖國の言乃葉100選”(小林よしのり責任編集)
 
これは今夏話題になった二次大戦等で戦死した軍人達の遺書です。遺書と言っても多くは戦闘間際に書かれたもので短いのですが。まず、読んで思うのは死に臨んでの潔さです。人間、これだけ確実な死を目の前にして達観出来るものなのか、御国の為に死すということで喜びを表している人も少なくありません。特攻隊員もいれば法務死といって戦後軍事裁判で戦犯として処刑を待つ人もいます。しかし、遺書の末尾にかかれた「さようなら」の言葉は永久の別れを表すわけで胸に刺さります。殆どが20代前後から30才位までの男子で、やるせない・・・・

2010.11.1 最近見た映画
 1)”邂逅(めぐりあい)”(1939年アメリカ作品)
 
主演シャルル・ボワイエ、アイリーン・ダン感動的な良質のStory。メロドラマではあるがこの筋書きはいいです。特に最後、彼の絵を購入したのは足の悪い貧しい女性だったと途中まで言い掛けて、再開した彼女の部屋の隅を見るとその絵があるでは!全てを悟った彼。あの映画評論家淀川長治氏はこの映画を最高に綺麗な綺麗な映画と絶賛しています。納得。

 2)”凱旋門”(1948年 アメリカ作品)
 
主演イングリッド・バーグマン、シャルル・ボワイエ。やはりイングリッド・バーグマンは良いです。私の大好きな美人女優の1人で、この映画でも好演しています。この映画では、始めから終わりまで愛に生きる女性を演じていますが、映画評論家の水野氏も言っているように、彼女は実生活でもそれに近かったようです。残念ながらlove storyとして、よくある粗筋でそれほど感動的な映画とは言えませんね。

2010.10.22 藤原真理チェロ・リサイタルを聴いて
 
(旭川市大雪クリスタルホールにて)有名な彼女は小柄な方でした。前半はいずれも馴染みのある9曲の小品でしたが、中でもメンデルスゾーンの「歌の翼に」は良かったです。ホールの影響もあるかもしれませんが、彼女のチェロの音というか響き(特に低音部)は体に浸み渡る様で、音楽は良いものだと改めて感じさせられました。他にはフォーレの「夢のあとに」やルビンシュタインの「メロディ」も良かったです。

2010.10月 当家の2代目わんこ、ヨーキーの花ちゃん(7歳)です。
        

2010.10.11 最近読んだ本
 1)”巡礼コメディ旅日記”(ハーペイ・カーケリング著、みすず書房)
 
著者はドイツの人気のコメディアンとのことです。病気などをきっかけにスペインのサンチャゴ巡礼道800kmを歩き通そうと思いたったのです。この巡礼道は日本では知っている方は少ないと思いますが欧米ではよく知られているらしいです。道中のあれやこれやを1日単位でよく描いています。結局出会った人との40日間の交流が見所ですが、道路事情や宿、巡礼道の環境なども見逃せません。2007年度の国際旅行見本市最優秀紀行文学賞を受賞した話題作です。

 2)”時のかけらたち”(須賀敦子著。青土社
 
以前も書きましたが、イタリアに長く居られ晩年日本に戻って来た方です。晩年というと語弊がありますが、1998年、69歳で亡くなられています。彼女の文章は大変綺麗な日本語でお手本になります。ただ、馴染みのない文人名や地名がが出てくるのには閉口します。本書の内容はイタリア等での交友や体験を詳しく書いています。特に「ガールの水道橋」では一青年との交友を描き、そして彼の重病による急逝にはショックを受けます。

2010.10.9 最近見た映画
 1)”アンナ・カレーニナ”(1948年)
 
文豪ルストイの同名小説の映画化。ヴィヴィアン・リー主演。不倫の相手役はキーロン・ムーア。

 2)”巴里の屋根の下”(1930年)
 主演アルベール・プレジャン。

 3)”パラダイン夫人の恋”(1947年)
  主演グレゴリー・ペック。

 4)”グランドホテル”(   )
 グレタ・ガルボ、ジョン・バリモア。

 
2010.10.1“中年以降に急に発生する飛蚊症(ひぶんしょう)に注意”
 目の前にごみや煤のようなものがちらちらすることを総称して飛蚊症と言います。若い時から見えるプランクトン状のはほぼ心配ありません(生理的飛蚊症)。眼球内には透明なゼリー状あるいは卵の白身状の硝子体(しょうしたい)が充満しています。硝子体は生来眼底の網膜(カメラのフィルムに相当)に密着していますが、加齢によりある日突然網膜から離れます(後部硝子体剥離)。硝子体の粘り気が無くなる為と考えられます。離れた硝子体の裏面にある線維が小さな輪状に正面よりやや外側に見えることが多いです。この飛蚊症自体を治すことは出来ませんが徐々に薄れ、常時見える訳ではないので殆どの方は遅かれ早かれ気にならなくなります。ただ、注意しなければならないのは、運が悪いと硝子体と接着の強かった部位の網膜に裂孔が出来、網膜剥離の原因になることです。裂孔が出来た時はそれを塞ぐことは出来ませんが、その周囲を剥れないように光凝固で固めます。(保険も適用されます。)裂孔周囲が剥れて網膜剥離が起きてしまうと光凝固は無効で、入院、手術となります。
                    (地元せせらぎタウン紙掲載 平成
2210月号)   

2010.9.19 最近読んだ本
 1)”老いのかたち”(黒井千次著 中公新書)
 
著者黒井氏は、それほど彼の著作を読んでいるわけではありませんが、私が以前から短編あるいは随筆で注目している作家です。この本は77歳の一男性高齢者である著者が日々感じていることを正直に書いているものです。50代後半の私も是認というか納得できる、加齢からくる身体的および精神的な面をよく綴っています。特に印象に残ったことは、美しく老いるというか品位のある老人、理想の老人像についてしばしば言及していることです。当然、呆けたり、口うるさかったり周囲から嫌がれれるする老人はだめでしょう。

2010.8.8 最近読んだ本
 1)”俺の考え”(本田宗一郎著。新潮文庫)
 
言わずもがなですがHONDAの創業者です。口語調の歯に衣着せぬ彼の文体は彼の性格を表しているのでしょう(実際の彼の性格はよく知りませんが)。人生哲学より、世間の経営や企業に関する彼の考え方を記しています。言わんとすることはわかりますが、中には賛成出来ないというより”そうは現実にはうまく行かないだろう”という点もあります。勿論、どんな人の考え方でも、それで全て世の中の事がうまく行く考え方なんてありませんから。でも、世界の名だたる一つの企業、エンジン・メーカーを作り上げた尋常でない心意気は伝わってきます。

 2)”街道をゆく 甲賀と伊賀のみち、砂鉄のみち ほか”(司馬遼太郎著。朝日文庫)
 
この本で感動というか深く考えさせられたのは最後の章、”砂鉄のみち”です。日本における砂鉄から鉄を作る、つまり製鉄がこんなに歴史のあるもので、深い意味のあるものとは知らなかったことです。出雲から美作、吉備へ残るタタラ遺跡群の話。また、鋼1トン作るのに砂鉄12トン、木炭14トン必要とし、木炭14トンのためには薪50トンを得る必要があり、森林の消費が凄まじいことなど。朝鮮との関連で話が進められていきます。

2010.7.25 最近見た映画
 1)”ロビンソン・クルーソー”(2003年仏・独合作)
 
勿論原作通りではありませんが上手に作っています。途中この後どうなるのか心配でしたが、とにかくハッピーエンドで良かったです。

 2)”子鹿物語 ”(1947年作品)
 
グレゴりー・ペック主演。アメリガ開拓時代のある家族の人間性溢れる映画。最近、日本ではこのような映画は少なくなったのではないでしょうか。迷って森で臥せっていた子鹿を少年が引き取り家で飼うが、畑を踏み荒らす、作物を食べてしまう。結局、子鹿は撃たれてしまう。この子供と作物や畑に生活が掛かっている親。一時行方不明になる子供。この映画、見てよかった!

2010.7.10 富良野グループ公演”帰国”
 
以前から楽しみにしていた倉本聰の”帰国”を見て来ました。第二次大戦で犠牲になり南の海に漂う未だ成仏できない英霊達が現代の日本に来ます。感動するというより考えさせられます。戦後、アメリカ等の影響による資本主義の台頭と相俟って、便利を追求することが優先され、それにより失ってしまったものがあるとはよく言われています。倉本聰は嘆いています。叫んでいます。彼の心底からの声を聞こう。

2010.5.8 最近読んだ本
 1)”生き方” (稲盛和夫著 サンマーク出版)
 
稲盛氏はご承知のように、この度、日航再建を託された京セラの創業者です。彼の生きる指針あるいは生業に対する姿勢には共感を覚えます。まず儲け第一というのではなく、誠実に一生懸命働くこと、それが結局は良い実を結ぶということです。若干27歳で京セラを創設した方。しかし、彼の”一生懸命”というのは、並みのものではない。

 2)”河童・戯作三昧”(芥川龍之介著 角川文庫)
 
これには他に”玄鶴山房”、”開化の殺人”、細川ガラシアを題材とした”糸女覚え書”などの短編も載っています。私は芥川を短編の俊才と考えています。漢文学を始めとして古今東西の文学は勿論、今回改めて彼の作品を読んで一般庶民的な事柄にも通じていることが察せられました。例えば”本黄楊”(櫛屋の看板のこと)とか、生姜は痩せた土地にも出来やすいこと等、書き出せば切りが無いほど雑学に通じています。彼の文章は段落が比較的短く読みやすく、引き込まれていきます。ただ、彼が精神を病んだことはなるべくしてなったのか、残念なことです。それと関連して、後書きで五味渕典嗣氏は芥川の人間観について厳しく断じています。

2010
5.2 最近のアレルギー症の増加

北海道も長い冬が終わり、ようやく良い季節が到来しました。しかし、これから花粉症に悩む人が増えます。昔はアレルギーやアトピーの人は少数でした。私が子供の頃は川に入ってドジョウやゲンゴロウを取り、時には腕や足にゴミかと思いきやヒルがくっ付いたりしました。また田んぼでオタマジャクシや田螺を取って遊んだものでした。科学的な根拠はありませんが、そういう事で自然に体に抵抗が出来たのではないか。今の子供や若い人たちはそのような経験が少なくなり、更に清潔な環境と相俟って免疫ができないのではと思われてなりません。勿論、清潔志向を否定している訳ではありません。ある日本人学者は寄生虫が減少したのが現在のアレルギー症増加の原因と考え、自分の体内に回虫を飼っていました。しかしこれは科学的に根拠の無いことが判明しています。
 痒みを主とする目の花粉症、アレルギー性結膜炎では球結膜(白目)の充血や瞼結膜(瞼の裏側)に乳頭(小さな水泡状のぶつぶつ)が出ます。しかし、外見上殆ど正常のこともあります。掻くという刺激で痒みの元となる化学物質が増加し一層痒くなりますので、出来るだけ掻かないようにして下さい。抗アレルギー剤の目薬は即効性は余りありませんので、すぐ無効と判断せず続けて下さい。改善しない時はステロイド剤ですが、これは即効性はありますが、ご承知と思いますが白内障や眼圧上昇、感染の助長などの副作用がありますので漫然と使用しないで下さい。現代はエイズや鳥や豚のインフルエンザ、狂牛病などかつて見られなかった病気が出現しています。今後、衣食住等の環境の変化により、病気の種類毎の多寡も変わっていくのでしょう。(地元タウン紙:せせらぎタウン5月号掲載) 
 

2010.4.25 最近読んだ本
 1)”半島へふたたび”(蓮池薫著。新潮社)
 
拉致被害者の蓮池さんの本。彼が韓国へ妻らと行った時の紀行文。生き生きとして書いています。キムチ作りの苦労など随所に出てくる北朝鮮での生活を述べる所が面白い。彼の文章は分かり易く、かつ、まどろっこしく無く、翻訳家あるいは作家の道を選んだのは正解です。大成を祈ります。

 2)”銀河鉄道の夜”(宮沢賢治著。集英社文庫)
 
恥ずかしながら、じっくりと宮沢賢治の本をまとめて読んだのは初めてです。”よだかの星”、”風の又三郎”、”いちょうの実”など全部で6作品が収められています。彼の物語に共通しているのは、やはり一種の悲しみでしょうか。読後は、感動を受けるというのではなく、人誰もが持っている悲しみや孤独感を飾らずに素直に表現しており、心情的に納得できるのです。

2010.4.25 最近見た映画
 1)”別離”(1939年作品。イングリッド・バーグマン主演)
 
不倫の映画です。題名は忘れましたが、以前にも同じようなのがありました。それは奥さんが不倫し、短い夢を見ていたとして夫が迎えるものでした。これは名バイオリニストの夫がE・バーグマンを不倫相手として結局家庭に戻るものです。ですからこの映画の原題は”間奏曲”です。私はE・バーグマンが最高の美人と考えています(勿論、人それぞれですが)。
 
 2)”カサブランカ”(1942年作品)
 
名作中の名作と謂われている、ご承知の映画。ハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマン主演。とにかくボガードの声や喋り方、そしてついでに言えば身振りが(比喩が的確ではないかもしれませんが)無駄がないというか冷酷非情を思わせる人間に見える。しかし、結局は自己犠牲の精神の持ち主。最後場面、警部の温情も良い。

2010.3.7 最近読んだ本
 1)”思考の整理学”(外山滋比古著。ちくま文庫)
 
東大や京大生のベストセラーというが、ちゃんと理解するのが難しい本です。言わんとする事がわかる処もありますが、よく把握できない箇所も少なくありません。日々きちんと頭を整理しながら仕事をしていくに大切な心構えというか方法、具体的方法を論じています。最後の”あとがきにかえて”の”考える”と”思う”についての説明はよくわかりました。もう一度繰り返して読む必要がありそうです。

 2)”疚しき沈黙”(倉本聰著)
 
先日富良野塾の演劇を見た時、倉本聰の本を購入しました。現代の世相を批評していますが同感、賛成できる所がかなりありました。(一部ちょっと違うのではという箇所はありますが、それは人それぞれというところでしょう。) マスコミ、現代の親、政府、資源としての石油、健康志向等々について語っています。改めて自分の周囲を見回し、自分というものが実はマスコミ等に操られていないか、本当に真っ当な生き方とはどういうものか、基本に立ち帰って見回したいものです。

2010.2.6 富良野塾”谷は眠っていた”観劇。感激!
 
あの倉本聰率いる富良野塾が今期で終わるということで、遅まきながら見に行きました。その存在は知っていましたが見るのは初めてです。ある感激は受けましたが、芝居というよりパフォーマンスの多い劇です。体力と若さがないと勤まらないでしょう。単なる芝居劇団では全国中にあり、何らかの独自性を持たせるためでしょう。今回の”谷は眠っていた”は富良野塾草創期、原野を開拓しつつ半ば自給自足で、全国から芝居で一旗上げようとした若者を募り始めた時の状況を劇にしたリバイバル作品です。これから全国公演をするそうです。私が思うに、体力、年齢等諸事情の許す限り、塾としてではなく一つの劇団”富良野グループ”として全国公演を主に活動してはどうだろう。内容は独自性の溢れたものでした。一度は見て頂きたい。特に主役級のシロ役森上千絵は良い。

2010.2.4 最近読んだ本
 1)”柿の種”(寺田寅彦著。岩波文庫)
 
随筆家、物理学者として著明な著者ですが、恥ずかしながらきちんと彼の本を読んだのは初めてです。この本は全く日常の何気ない事を取り上げて、彼の人生観と言うか日頃感じていることを書き記したものです。大正末から昭和十年頃に書かれたものですが、現代人にも通じる感性が感じられます。

2010.1.27 最近見た映画
 1)”OCEANS
   
テレビ等の宣伝で既にご承知の方もいらっしゃるでしょう。海の動物の生態を描いたものです。印象に残った映像が幾つかあります。人間のように抱っこして子供を育てるセイウチの母親。山のような集団になって脱皮をする蟹。外敵から身を守るためらしいですが、はっきりとした理由は不明とのことです。悲惨な場面として、中華料理の美味フカひれを取るため、生きたまま尾びれと背びれを切り取り、そのまま海へ放り投げる。泳げなくなった鱶(=鮫)はもがきながら海底に沈み死んでいきます。網に絡まり、そのまま力尽きたイルカや海鳥、鯨など。”決して人間だけが生きものの主人公ではない。海に生きる動物、彼らそれぞれが主人公なのだ。”と言っているようです。

 2)”片目のジャック”(1960年作品。マーロン・ブランド監督、主演。)
 
銀行強盗に入った二人組。1人(カール・マルデン)が金貨を持ったまま姿を消した。その残された者(マーロン・ブランド)は割に合わず刑務所に。その復讐劇だが、愛する人がカールの連れ子だ。西部開拓の頃はまだメキシコとの往還は自由だったようです。Storyとしてよくある話しの感じです。以前から”地獄の黙示録”や”ゴッド・ファーザー”を見てマーロン・ブランドは一味違う役者というか、凄みのある俳優だと思っています。ですが、この映画では熟年になってからの凄みはまだ出て無いようです。

2010.1.10 最近読んだ本
 1)”いのちの代償”(川嶋康男著
 
47年前、北海道学芸大学(現在の教育大学)函館分校山岳部11名が大雪山で遭難しました。10名が死亡しましたが、リーダーのN氏唯1人生還しました。彼も凍傷で後日両足切断しています。しかし彼には当然と言っては何ですが、遺族より非難が浴びせられました。そのN氏に焦点を当てて書かれています。N氏は言う”俺は死ぬまで黒い十字架を背負って生きなければならないと覚悟している。棺桶に体を入れられるまで。元気かい?と言って岳友がしょっちゅう夢に出てくるよ。あいつらは当時の顔のままでな。いつまでも若いんだ。”と。
 人間、何事もその時はベストを尽くしたと思っても、後日顧みると悔やむ、ああいうことも出来た、こういうことも出来たということはあります。それは人間の限界というものではないか?

 2)”日本近代文学の名作”(吉本隆明著)
 
あの吉本が明治から昭和までの24作品を名作として選び論じています。一般的に名作とされているものもありますし、そうでないものも取り上げられています。例えば、馴染みのない作品とすれば、岡本太郎の母である岡本かの子著”花はつよし”とか中野重治著”歌のわかれ”などです。これら24作品を出来るだけ読んで見たいとは思っています。しかし、本など、読み始めて自分の波長に合わないというか自分に合わない事があります。そういう場合、無理に読むことはないのではないか?と最近思い始めています。

2010.1.5 新春随想
 今年、私は遂に還暦を迎えます。俳句が趣味の一つで,還暦にまつわる句をご紹介し、少々感慨を述べたいと思います。

“幼な顔残りて耳順更衣”(本田豊子)

 新しいかどうかは不明ですが、気に入った服に着替えた時、その嬉しさに一瞬、子供のような顔がかい間見えたのでしょう。友人や先輩であれ誰であれ、ふっと子供のような顔、特に笑顔が見えたりすると何かホットします。

“還暦やすでに亡き人虫の声”(小林勇一)

 同級生や同年輩の友人がもう幾人も亡くなっています。秋、静かな夜、虫の声を聞くと何故か茫漠たる気持ちになります。「自分はまだ生きている。彼は残念だったろうな。死にたくなかったろうな。」そう考えると自分にはまだ運があるのかなと思ってしまいます。

“新暦還暦の日を緋で印す”“(山之内白美)

 新しい年を迎え、まっさらなカレンダーを見る時、「今年はどんな年になるのだろう。良い事があればいいけれど、厭な事が起こるかもしれない。」と不安と少々期待の入り混じった気持ちが交錯します。現在の私にとって、一番気がかりなのは二人の子供(一男一女)のことです。自分ら夫婦は、もうaggressiveに何かするという精気はあまり無く、大病さえしなければ日々の生活は何とかなります。彼らは大分前に親元を離れ手綱が解かれた状態で、二人ともまだ年頃の独身・・・・・。

“還暦の見上げて秋の雲ばかり”(木村敏男)

 天候で言うと、若い時は真っ青に晴れた秋晴れですが、六十歳はどんよりと曇り、所々晴れ間が覗いているというところでしょう。これから雨や嵐が来るかもしれません。しかし、秋晴れにはならなくとも、曇り空だけなら過ごすに何ら支障はありません。

“還暦やまだまだ続く蟻の道”(馬場白州)

 作者はどこかで働蟻が一列になって、何かに向かって行進するのを見かけたのでしょう。誰でも親なら子供が落ち着くまでは日々安心出来ません。私もまだまだ脇道に逸れずに、地道にコツコツと仕事をして行かねばならない様です。外見は別として、気持ち的に老け込まないよう気をつけていきたいと存じます。(北眼医報、平成22年新春号に掲載)


2010.1.1 新年明けましておめでとうございます。
      
    本年も宜しくお願い申し上げます。


2009.12月 目の俳句
 
私は俳句が好きですが作るのは苦手で、専ら読む方です。目に関する句を見てみましょう。
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眼を病めば片目淋しく手紙書き居る(尾崎放哉)。この方は片目が悪かったのでしょう。片目しか見えないのは確かに淋しい気がします。実は傍目にはわかりませんが、片目が見えない方は予想以上に多くいらっしゃいます。事故などの外傷が少なくありません。

 
 鰰(はたはた)のみひらきし目にまた雪来(山上樹実雄)。魚にはご承知のように瞼がありませんので、くりっと丸く大きな目は目立ちます。漁港や市場で取れたばかりの鰰の目に雪が当たっているのでしょう。瞼は目の乾燥を防ぐ役割がありますが、魚は水中にいるので必要ありませんね。涙を分泌する涙腺が上瞼の耳側にあることは意外と知られていません。顔面神経まひを起こすと瞼の眼輪筋が障害され瞼を閉じることが出来なくなり(兎眼といいます)、黒目(角膜)のびらんを生じます。
  
 巨き友の踏み跡を踏む雪眼して(山崎聰)。冬登山でしょうか。雪眼になり、痛み、まぶしさ、流涙などを感じながら歩いている情景が浮かびます。雪眼は日光(あるいは反射した日光)中の紫外線により表層角膜炎を起こしたものです。黒目の表面の荒れというか沢山の小さな傷です。夏の海水浴、長時間の運転、紫外線殺菌灯などで生じ易いです。溶接の光によってもなりますが、直接しなくとも傍で短時間見ていただけでなることあります。多くは数日で自然治癒します。(地元タウン紙”せせらぎタウン”12月号掲載)

2009.12.2最近読んだ本
 1)”カインの末裔”・”親子”・”秋”(有島武郎著)
 
”カインの末裔”は有島の代表作でよく知られています。有島の父が北海道の羊締山麓のニセコに購入した有島農場をベースにしています。過酷な自然や貧しさと闘うオウトロー的な一農民の物語です。小作人制のあった明治、大正期が舞台ですから、現代の日本と隔世の感はありますが、一読されることをお勧めします。有島の文章表現、”秋”で特に顕著ですが、自然の描写が的確で素晴らしい。
 あの蝦夷富士と言われる羊蹄山の麓(ニセコ山麓)に”有島武郎記念館”があり、多くの彼にまつわる物品が展示してあり一見の価値があります。ぜひ、足を運んで下さい。時のスナップです。


 2)”遠い朝の本たち”(須賀敦子著)
 
この作家というか随筆家をご存じでしょうか。私は迂闊にも最近テレビで知りました。聖心女子大を出て単身欧州へ留学、フランスからイタリアに移り、そこで結婚しています。夫に死別し日本に戻り、それから文筆活動をしていますので作家としての期間は50代後半からの10数年に過ぎません。とにかく彼女の文章は清冽で読みやすい。真の随筆家とは彼女のような人をいうのかもしれません。

2009.11.8 最近読んだ本
 1)”方丈記”(鴨長明著 角川ソフィア文庫)
 
言うまでも無く「行く河の流れは絶えずして・・・・」で有名な古典です(現代語訳付き)。作者の名は「ながあきら」というのが正しいそうです。鴨家は京都下鴨神社の神職のトップ、宮司の家柄で、長明は子供時代に叙爵を受けている位、かなりの名家です。しかし、宮司相続の問題(彼は後継者と目されていましたが従兄弟との後任争いに敗れた)やら、その時代に続いた天変地異を実体験したせいか隠遁者になったのです。この本の主題はご存知と思いますが、無常観です。こういう本を読みたくなったのは、私も還暦(来年)近くになったせいでしょうか。

2009.10.14 最近見た映画
 1)”モダン・タイムズ”(C.チャップリン監督)
 2)”独裁者”(C.チャップリン監督)
 
チャップリンはやはり天才と思います。コミカルな仕草、演技は言うまでもありませんが、締めに人生、特に愛について述べます。実はそれが彼の本当の姿なのかもしれません。コミカルな仕草は日本の喜劇人がよく行うドタバタ(これはわざとらしく好感が持てません)ではありません。

 3)”隠し砦の三悪人”(黒澤明監督)

 4)”南部の人”(ジャン・ルノワール監督)
 
最近はこのページをご覧になってお分かりのように、著作権の切れた昔の映画が安価で市販されていますので、専らそれを見ています。これもその一つです。主演はザカリー・スコットという人。アメリカ南部の新規開拓農家の苦労というか悲惨さを描いたものです。気難しい隣人との確執、豪雨による畑の被害、子供の偏食や老人を抱える家族の問題などが描かれています。今や世界を席巻し繁栄している様に見える大国アメリカも、日本や他の発展途上国等が抱えている種々の問題を経験しているということですね。

2009.10.13 最近読んだ本
 1)”現代俳句歳時記”(飯田龍太著 新潮選書)
 
下手の横好きで俳句が好きです。読むのはいいのですが、作句は苦手で小学生が作る様なものばかりで、人にお見せるするほどのものは出来ません。この本の著者は有名な俳人飯田蛇笏の息子さんです。季節ごとに専門俳人や素人も含めてその俳句を掲げ、それぞれに寸評を書いています。俳句は五-七-五の17文字で表わす短詩ですので、ますます俳句の難しさを痛感しました。
 
2)”ぶらり江戸学”(杉浦日向子著 マダラ出版)
 
たまたま古書店で買った本です。しかし、江戸の研究者だけあって雑学を教えられました。例えば、「小股が切れ上がった」とは足首から膝、腿へかけて弦を張った弓のような足、(こういう人が着物を着ると実に色っぽいらしい)とか、「下町」とは城下町の意で城の下の町ということらしいです。他にも上方と江戸の相違点など。しかし、先年亡くなりましたね。合掌。

 3)”5000年前の日常ーシュメル人たちの物語”(小林登志子著 新潮選書)
 
エジプト文明などでよく知られている世界四大文明の一つ、チグリス・ユーフラテス河流域のメソポタミア文明の話です。実に紀元前25世紀から20世紀。この時代に現代と変わらぬ交易、夫婦関係、家族生活、王家の政略結婚など粘土版に書かれたシュメル文字を解読して、細かに伝えてくれています。人間は根本においては変わらぬものなのです。いつの世も不道徳は不道徳であり、良いことは良いのですね。
 
2009.8.16 最近読んだ本
 1)司馬遼太郎著”壱岐・対馬の道”(街道をゆくシリーズ№13)
 
私が全43巻読破を目指している街道を行くシリーズです。壱岐も対馬もまだ行ったことのない土地ですが、韓国に近く魏志倭人伝に出てくる所です。いつも司馬遼の博識さや資料調べには驚かさせられますが、今回も同様です。壱岐は田園風景たっぷりの良い田舎という感じですが、対馬は土地が粗く岩がごつごつしたような所らしいです。遣新羅使の雪連宅満(ゆきのむらじやかまろ)、俳聖芭蕉の供をした曾良、対馬藩の儒者で朝鮮使の通訳として活躍した雨森芳州などが出てきて、本当に興味深く読みました。
 
 2)姜尚中(カンサンジュン)著”悩む力”
 
ちなみに政治学者で東大教授である著者は1950年生まれで私と同年です。
夏目漱石とマックス・ウェーバーの二人を軸に人生というか生き方にヒントを与えようとした本です。主に若い人を対象にしています。漱石の小説の、特に夫婦や男女のあり方をよく取り上げています。残念ながら、私はあまり漱石の本を読んでなく、これから少し読んでみようかと思っています。内容としては、彼が言わんとしている事は一言で言えば、”悩むならとことん真面目に悩め。そうすれば何かが見えてくる。”ということなのでは。しかし、繰り返し読まないとよくちゃんと把握できない様です。

 3)”イギリスの歴史”(指昭博著。河出書房新社)
 
ようやくこの本を読み終わりました。読むのが遅い自分で、これは半年近くかかりました。本来、読書というのは、面白さにつられて、いつの間にかあっさりと読んでしまうのが良いのでしょうが・・・。以前から英国に興味がありますが、未だ訪れたことはありません。かつて大英帝国といわれた紳士の国。この本はその歴史をわかりやすく説明しており、図も豊富です。それにしても欧州というのは、言語が異なるにも関らず地続きのせいか(英国は島国ですが接近しており)、王室の結婚など昔から大いなる交流があり、日本では考えられない事態です

2009.8.15 支笏湖周遊
 お盆休みを利用して、透明度や深さで日本屈指の湖、支笏湖に一泊してきました。天気に恵まれ良い休息になりました。

 1)オコタンペ湖
  
支笏湖北西側にある神秘的な湖で、鬱蒼とした森に囲まれ全容は見れません。北海道の三大秘湖の一つです。支笏湖と同様ヒメマスなどがいてボートを出して釣り人がいました。丁度、この湖に魅せられたアマチュア・カメラマンがおられて霧に覆われつつある湖の写真を戴き、現在待合室に飾ってあります。
 2)山線鉄橋
 
支笏湖の観光船乗り場のすぐ近くにあり、散策する人々が大勢いました。道内最古の鉄橋と言われ、やや色あせていますが、出来た当時の真紅の色鮮やかさが想起されます。支笏湖地域に電力を供給している製紙会社が発電所を建設するために使っていたとのことです。            
 3)白扇の滝・ラルマナイの滝(恵庭渓谷)
 
支笏湖から恵庭に抜ける道道117号線沿いにあります。やはり滝を見ると涼しさを感じ、一時暑さを忘れさせてくれました。      
                       

2009.7.3
 生まれつき全盲の辻井伸行君(20歳)が国際的なピアノコンクールで優勝。
 ニュースで垣間見ただけですが、全盲にも関わらず、鍵盤を正確なタッチで流れるように演奏していました。ピアノと自分が一体となっているのでしょう。アンビリーバボーですが事実です。

 彼は両眼の小眼球症ということで、これは胎児の時に眼球が正常に発達せず未熟のまま生まれたということです。受精卵は一個の胚細胞となり、それが分裂を繰り返し、部分部分が身体の色々な器官、臓器に分化して人間の形となって生まれてくる訳です。これがスムースに進行する事はうがった見方をすれば奇跡的なことと思います。

 このように先天的に眼に障害があることがあります。例えば、妊娠初期に風疹にかかると赤ちゃんは先天白内障などになることがあります(風疹症候群と言われます)。大体多くの方は小さい時に予防接種を受けていますが、もし風疹に抗体がない女性は予防接種を受けておくのがベターです。他に、染色体異常でマルファン症候群と言って水晶体が脱臼し視力障害を来たすことがあります。水晶体脱臼とは水晶体の位置がずれてしまっている状態ですが、症状の多くは子供時代はわからず青年期に現われます。また、生まれつき眼内圧が高い先天緑内障もあります。これは極めて治療困難なものです。眼内圧が高いせいで黒目(角膜)が拡張して大きくなり牛眼と言われます。(たしかに牛の眼、黒目は大きいですね。)また、原因は不明ですが、視神経低形成といって生まれつき視神経がちゃんと発達していないこともあります。

 辻井君は全盲というハンディキャップがあるにも関らず、並外れたことを成し遂げました。“好きこそものの上手なれ”という言葉もありますが、人間、強い意欲や意志があれば、誰でもかなりのことが出来るのでしょう。(タウン紙”せせらぎタウン”7月号に掲載。)


2009.6.27 ヨーロッパ絵画ーロココ、ロマン派、バルビゾン派ーを見て
 
道立旭川美術館で開催されている”ヨーロッパ絵画の輝き~ロココの華・バルビゾンの田園~”(後藤美術館所蔵)を堪能してきました。後藤美術館は芭蕉の名句”閑さや 岩にしみ入る 蝉の声”で知られる山形の山寺立石寺にあります。特に良かったのはバルビゾン派と言われるルソー、ミレー、クールベ、コローなどの作品です。バルビゾン村はパリ郊外フォンテーヌブローの森の近くの自然豊かな村で、都会的な雰囲気が勃興してきたパリに嫌気がして画家達が移り住んだ所です。どの作品もそれぞれ感銘させるものがありますが、良かったのは以下のようなものです。”小川で働く人々”(トロワイヨン作)。”橋のたもとにて”(ヴェイラサ作)。”庭にて”(ミレー作)。”月夜の羊飼い”(エミール・ジャック作)。他にバルビゾン派ではありませんが、良かったのは”荒地のマグダラのマリア”(ジャック・エンネル)、”クラリッサ”(エバレット・ミレイ)。”少女と鳩(グルーズの模写)”(J・コンスタブル)など。名画をじっくり鑑賞するのはいいものです。何か気持ちが太った感じになります。

2009.6.26 最近読んだ本
1)ガルシア・マルケス著”百年の孤独”(1967年 新潮社刊)
 
驚きました。こんな小説初めてです。storyはマコンドという村の開拓者一族ブエンディア家の百年に及ぶ物語です。一代目から数代に亘る各人の、また、その妻や夫(正式に結婚していない者も含めて)の各様の生き様、主にその内面の葛藤や感情、そして生活の状況などを細かに描出しています。著者であるコロンビアの作家ガルシア・マルケスがノーベル文学賞(1982年)を受賞したのも、おそらくこの代表作を筆頭に、人間の内面の表出の仕方の深さによるものと私は考えています。この小説以降、世界の小説が変わったと言われているそうです。500頁に近い大作ですが、引き込まれてしまいます。こういう物語を読むと日本の現代作家は、人間の内面の奥深い所の表出が不十分で、温室的平和さに慣れ、人間の醜さや嫉妬、性悪説等の人間の悪い面がよく見えなくなっているのではないかと思ってしまいます。

2)東野圭吾著”怪しい人びと”
 
今や日本の若手推理小説家を代表する1人と言っていいでしょう。これは短編集ですぐ読み終わりますが、何れの短編も読む者を納得させてくれます。期待に外れません。

2009.6.25 最近見た映画
1)”追いつめらて”(1959年)
 
主演ホルスト・ブッフホルツ。名子役と知られているヘイリー・ミルズも準主役として好演しています。最後の場面がいい。

2)”真夜中の記憶(1991年)
 
原作シドニー・シェルダン。典型的なサスペンス。

2009.4.23 
北海道学校保健功労者表彰を戴いて

 この度、全く思いがけなく、格別学校医として顕著な功績もありませんがこのような表彰を戴きました。昭和52年に医師になり、以来、眼科医として32年、自分なりに一生懸命勤めて参りました。今後も自分のペースで進んで行きたいと思っております。
 ところで、眼科に関する学校保健上、現在幾つかの問題点が御座いますのでこの機会に思いつくままに少々したためたいと存じます。列挙いたしますと次のようになります。①プール後の洗眼の是非について(塩素の問題)。②強アルカリである消石灰の使用について。③結膜炎(はやり目)と登校停止。④色覚検査の廃止。⑤コンタクトレンズ装用者の低年齢化、等です。①昨年、慶応大学眼科は“塩素は角膜障害を引き起こすので、プール後の洗眼は良くない”という主旨の実験報告をしました。これはプールにも水道水にも塩素が含まれているためです。前半の“塩素は角膜障害を引き起こす”はいいのですが、後半の“プール後の洗眼は良くない”という文言がマスコミ等により流布され一人歩きを始めています。しかし、塩素は主に細菌対策であり、プールには細菌だけでなくウイルスや汚物が混じっています。塩素による角膜障害と天秤にかけると、私見ですが、それらを機械的に洗い流すことの方が重要と思います。②従来、学校グランド等でのライン引きに使用されてきた消石灰(水酸化カルシウム)は強アルカリ性のため目に入ると強い角膜障害を起こします。厚労省はチョークなどに使用される炭酸カルシウムを使用するよう通達を出しましたが、依然改善されていない所が多いようです。③“はやり目”とはアデノウイルスによる流行性角結膜炎とエンテロウイルスによる急性出血性結膜炎を言います。非常に伝染力が強く、大学病院等の眼科病棟での院内感染やそれに伴う新規入院停止の事例はご承知のことと思います。これに罹患しますと一応1週間の登校停止ということになりますが、1週間は長く、学芸会や修学旅行等の学校行事とかち合ったりして守られづらいのが現状でしょう。④以前は小学4年生にルーチンに施行されていた色覚検査が2003年に廃止されました。現在は希望者にのみ施行することになっていますが、事実上皆無です。3年後の2012年には色覚検査未施行の世代が就職や車の免許取得(信号機の赤や青の識別)をすることになり“2012年問題”と言われています。俗に色盲とか色弱と言われる色覚異常は男子の15人から20人に1人と決して少なくなく、1クラスに一人か二人はいることになります(女子は0.2%と少ないです)。業種によっては色覚正常が条件のものがあり、今後、色覚異常があることを知らずに受験あるいは就職希望し不利益を被る例が出てくることが危惧されます。⑤最後に、コンタクトレンズ使用の低年齢化です。今や小学生のサッカーや野球等のスポーツが盛んです。眼鏡で済ませられるスポーツはいいですが、サッカーは眼鏡は禁止に準ずるもの(禁止ではないが可及的しない方がよいもの)のようです。コンタクトレンズにより角膜障害を生じることは少なくなく、一度角膜障害を起こすと“クセになり”再発を繰り返すことも少なくありません。長い人生、医学的には小学生からでなく、中学生になってからにしてほしいものです。
 以上、眼科学校保健上、気にかかる事を記しました。少しでもご参考になれば幸甚に存じます。
(旭川市医師会発行 旭医便りに掲載)

2009.3.15 最近読んだ本
 1)”プリズン・ストーリーズ”(ジェフリー・アーチャー著)
 
英国の作家ジェフリー・アーチャーをご存知の方も多いと思います。彼が偽証罪で実刑判決を受け収監された際、刑務所内部で見聞したことを基に書いた12編の短編集です。ある夫婦の話”この水飲めません”はある策略を弄した夫も逆に妻と共に犠牲になってしまうぎょっとする話です。脱税を上手くしたつもりが執拗な捜査で見抜かれた”マエストロ”も面白いです。

 2)”父さんの銃”(ヒネル・サレーム著)
 
フセイン政権下のクルド人少年(著者)は将来に希望を持ちつつ、イラク政府のクルド人へのいじめ、弾圧から日々、家族共々逃避行をしたりして何とか生き延びていきます。今は映画監督としてパリで暮らしているようです。日本で安穏として生活している我々からは、実感できない遠い世界のことのようです。今の日本人もこういう本をたまに読んではどうでしょう。

2009.3.5 最近見た映画
 1)”マンマ・ミーア”
 
あのアカデミー賞最多ノミネート女優のメリル・ストリーブ主演のミュージカル映画です。彼女含め共演する女優陣の元気さが伝わってきます。Storyとしては現実にありそうな無いような筋で、3人の父親候補が現われます。以前から英国などで上演されていたそうです。ただ、007俳優のピアース・ブロスナンの歌唱力は頂けません。

 2)”チェンジリング”
 
突然行方不明になったわが子。警察から見つかったという連絡が入り、会うが、わが子ではないと母親は主張する。実話に基づくものです。現在ならDNA鑑定で解決でしょうが。いろいろ考えさせられた映画でした。精神科に強制入院させる警察。母親の警察や医師らとの闘い。凶悪な殺人犯。是非ご覧になって下さい。

 3)”おくりびと”
 
今話題の映画です。久々に邦画でアカデミー賞を獲得しました。コミカルな場面もありますが、主演の本木雅弘を取巻く脇役の好演も注目したい。妻の広末涼子や山崎努ら。この映画によって、納棺師という仕事に光が当てられましたが、こういう事があって世の中が少しずつ変わっていくのでしょう。

 4)”旭山動物園物語”
 
私の住んでいる街の動物園です。今や全国に知られました。こんなに話題になり、入場者日本一になるなど大変驚いています。動物園に限らずどんな事でも工夫や趣向を凝らすなどして当事者達の人の力で何とかなるということでしょうか。

 5)”地上より永遠に”(フレッド・ジンネマン監督。1953年作品)
 
モンゴメリー・クリフト、バート・ランカスター、ドボラ・カー出演。フランク・シナトラも脇役で出ています(アカデミー賞の助演男優賞受賞)。日本の真珠湾奇襲攻撃直前の米軍ハワイ駐留部隊の日常を描いたものです。不倫や街の酒場での事件や部隊内部でのいじめなどを描いています。50年以上前の映画とは思えず現代にも十分通用する内容です。

 
6)”折れた矢”(1950年作品)
 ジェームス・ステュワート主演。西部開拓時代のインディアン・アパッチと軍の絶え間ない流血をテーマにしています。アパッチの若き女性を娶った1人の男がその間を取り持つというか仲介役を果たすのですが、その新妻が戦いの中犠牲となります。白人と原住民インディアンとは数知れず諍いがあり、その影にはこの映画以上の悲劇が繰り返されたことでしょう。

2009.1.25 最近読んだ本
 1)”神戸・横浜散歩・芸備の道”(司馬遼太郎著。”街道をゆく。21”)
 
私の愛読書司馬遼の”街道をゆく”の1冊です。全43巻読了を目指していますが、未だ13巻。彼の歴史特に日本史に関する博識さや資料の渉猟にはいつも驚嘆するが、それも歴史や史跡に対する尋常でない興味や愛着というか心意気が基本にないと書けないだろう。

 
2)”夢をかなえるゾウ”(水野敬也著)
 たまたま店頭で手にしたのですが、これがかなり売れている本でした。帯にあるように確かに(抱腹絶倒とまでは言いませんが)、笑わせてくれる面白い本です。しかし漫画的に書いてありますが、内容は真面目で、処世訓というか人生訓というか、道徳的内容でこの本自体は良い本です。ぜひ読んでみて下さい。寝ながら気楽に読めます。

2009.1.22 最近見た映画
 1)”チェ 28歳の革命”
 
あのキューバで闘ったチェ・ゲバラの話です。彼が医者であるとは知りませんでした。彼が負傷者を手厚く扱ったり、非道な事には仲間であっても厳罰に処する姿勢には好感を持ちます。また、それまでのキューバの軍事独裁政権をカストロと共に倒した事に対し評価はします。しかし、彼の話し合い等でなく、あくまで戦闘にこだわるところには頷けないものがあります。

 2)”群衆”(キング・ヴィダー監督。1928年製作)
 
無声映画です。内容は出世を口癖のように言う青年とその妻。その出会いから紆余曲折の結婚生活のお話。結局は愛があれば何とかなるさという展開で終了。内容とタイトルが合っていない気がしますが・・・。群衆というタイトルを付けた監督の意図は、いろんな事が各人にあるが、それは結局は群衆の中の一コマに過ぎない、誰でも1人1人storyを持っているということなのか。

 3)”嵐の三色旗(二都物語)”(1934年製作)
 
C.ディケンズによるイギリス文学の名作二都物語の映画化です。又しても恥ずかしながら、こういう筋の物語とは知りませんでした。時はフランス革命の直前。愛する人のため、その夫の身代わりとなってギロチンに架けられる青年弁護士。約70年前の映画のため、どの俳優もまったく存じ上げません。これを見てフランス革命についてもっと知りたくなりました。フランス革命の詳細はよく知りませんが、大まかな構図で言えば、庶民が貧困や重税に喘ぐ中、貴族達は贅沢三昧の生活を送り、ついに国民の怒りを買ったということなのでしょうか。

2009.1.1 年頭に当たって
 
以前から不況の日本にそれに、追い討ちを掛けるアメリカ発の不況。今や日々、日本のメディアにそれに関連しないNewsはありません。今年はどうなるのでしょう。短期間に回復するとは思われません。麻生首相も3年は見ているようです。個人事では、自分のやるべき事、守備範囲を日々こつこつと地道に、地に足を付けて行くことが最も大切と感じております。それでも診療にまつわる事、医院の経営、スタッフや家族の事、健康等心しなければならない事ごとが多々あります(それは誰でも同じでしょうが)。大過なく、また1年後の正月を迎えたいものです。皆様にとっても本年が良い年であるよう願っています。

2008.12.14 山形由美フルート・リサイタル
 
旭川市大雪クリスタルホールにて、満員の中行われました。以前より私は楽器の中でもフルートの音色が好きでCD等で聞いていました。この度は早々とチケットを購入し待ちに待ったコンサートです。期待に違わず聴かせてくれました。中でもジュナン作曲の”ヴェニスの謝肉祭”は良かったです。フルートの素朴で人に媚を振らない音色が良いですね。

2008.12.10 最近読んだ本
 1)”チエーホフ・ユモレスカ傑作短編集”(チエーホフ著)
 
いうまでもなくロシアの著名な作家チエーホフの短編集です。本邦初訳のものもあります。チエーホフは医者ですが、医学部在学中より破産した家計を助けるためにせっせと短編を作り続けました。それをある作家が文才を浪費するものだという指摘をし、それからチエーホフは腰を据えて作家活動をするようになったとのことです。勿論いい短編もありますが、私から見てこれはどうかと首を傾げたくなるようなものあります。
 
 2)”北の季寄せ”(近藤潤一著) 
 
北海道をテーマに俳句の季語別に纏めたものです。北海道が季語的には本州と時期がずれていることを実感させてくれます。俳句はその背景が不明だと理解がなかなか進みませんね。私としては俳句は読むのは好きなのですが、才能がないのでしょうか作るのがすごく難しいです。 

 3)”ただマイヨ・ジョーヌのためでなく”(ランス・アームストロング著)
 
将来を嘱望された自転車競技選手が癌(睾丸癌)に侵され、脳や肝臓にも転移が見つかった。医学的にはほぼ治癒見込みの無い状態だったが、本人の病気に対する尋常でない闘志も相まって奇跡的に回復した。その後、あの有名なツール・ド・フランスの7連覇という偉業を果たした。子供も出来た。これはその本人の病気との闘いの記録です。彼のこういう言葉がいい。”僕はツール・ド・フランスの優勝者と言われるより癌生還者の肩書きを選ぶ。癌が人間として、男として、夫として、息子として、父親としての僕に欠けがいのないものを与えてくれた。”実際、脳や肝臓に転移した癌が治癒する見込みは極めて少ないだろう。奇跡的だが、こういう例も世の中あるのだ。言い古されているが”Never give up”という言葉を今一度思い起こそう。*マイヨ・ジョーヌとは、ツール・ド・フランスの優勝者だけが着る栄光の黄色いジャージです。

2008.11.15 最近見た映画
 1)”まぼろしの邪馬台国”
 
古代好きのワンマン社長宮崎康平は盲目である。彼に求婚されたアナウンサーの和子は、その手となり足となって邪馬台国探しに二人三脚の人生を歩む。宮崎役の竹中直人、彼はいつもそうだが演技過剰。どうも好きになれません。それに比べ和子役の吉永小百合は言うことなし。

 2)”わが青春に悔いなし”(黒澤明監督)
 
1946年作品。原節子主演。当然黒澤組の藤田進や志村喬が出ています。タイトルと内容のgapには驚きました。意外に原節子はこういう泥にまみれる役も合っていますね。

 3)”三銃士”(1948年作品)
 
この粗筋は言うまでも無いでしょう。アレキサンドル・デュマの名作です。主演はあの”雨に唄えば”のジーン・ケリーで、脇役の女優としてラナ・ターナーが出ています。心躍る活劇で気楽に見るのに持ってこいです。あっという間の2時間で、沈んでる時の気分転換に見て下さい。

2008.10.5 最近読んだ本
1)”天章院篤姫と皇女和宮”(清水将大著)
 
ご承知のように、今や最も視聴率の高いNHKの大河ドラマの関連本です。私も欠かさず見ています。篤姫や和宮に関する事はそれほど目新しい事は書かれていません。圧巻は大奥に関することです。まさに微に入り細に入りという感じで詳しく述べられています。大奥のしきたり、日々の生活、歴代将軍の正室や側室、身分の高い御年寄などの大奥女中の消息などが細かに書かれています。

 2)”国境の南、太陽の西”(村上春樹著)
 
内容はタイトルからは想像つきません。幼なじみの女性との再会がメインの話ですが、不倫ですので家庭人としての生き方も絡んで、”僕”の葛藤がよく表出されています。最後に女性との邂逅が夢幻の如くに思わせられます。文章が複雑でなく読みやすく、一気に読ませる所はさすがです。しかし”ノルウェイの森”などもそうですが性描写が露骨で、もっと言えば大江健三郎のような深く真直ぐな哲学的思索があまりなく、ノーベル賞という賞にはには適さない作家かと思いますがいかがでしょう。

 3)”海と毒薬”(遠藤周作著)
 
戦時中の日本軍による捕虜の生体解剖事件を題材にした有名な作品。以前から読んでみたかった本。少々尻切れトンボみたいな感もあるが、生体解剖の目的がクリアにされている。どこまでがfictionなのかわからないが、実際はこの小説以上に残酷な面もあったのではないか。

2008.9.5 N響を聴く
 
旭川市(文化会館)で久々に行われたN響演奏会に出かけました。演目はドボルザークの交響曲が2曲とモーツアルトのバイオリン協奏曲でした。私は決してクラッシックに造詣が深くなく、たまに聴く位です。会場の8割が埋まり旭川市民の文化度も決して低くはないなと感じました。内容ですが、ドボルザークの交響曲8番は”新世界より”と並び称されるものですが、やはり私は後者が好みです。確かに批評家が言うように管と弦の調和には聴かせるものがありました。それに匹敵する位、小野明子のバイオリンは良かったです。

2008.8.2 最近読んだ本
 1)”走ることについて語るときに僕の語ること”(村上春樹著)
 
ノーベル賞なども取りざたされている作家村上春樹の最大の趣味はマラソンです。彼はあくまで健康保持のためにしていると本著でも述べており、本末転倒していません。よく趣味だったはずのものをその人の人生第一のものであるかのように錯覚してしまう人も少なくありません。本著はかれの国内外のマラソン大会参加を題材に、なぜ走るのか余す所なく語っています。

 2)”街道を行く夜話”(司馬遼太郎著)
 
これは司馬が”街道を行く”シリーズ以外に時折り地方地方にまつわる話を記したものを夜話として纏めたものです。やはり期待に反せず唸らせるものがありました。中でも”ある会津人のこと”、”雑賀男の哄笑”、”千葉の灸”などは面白い。

 3)”病床六尺”(正岡子規著)
 あの結核で脊椎を侵され(脊椎カリエス)夭折した天才俳人正岡子規の手記です。夏目漱石と親交があったのは有名です。これは新聞に載せた文で毎日これを見るのが楽しみというか生きがいであったのです。色々な内容が書かれており、彼の旺盛な好奇心や興味の広さ、深さが窺い知れます。次のような句があります。”いまならば子規は死なずよいわし雲”(金久美智子)

4)”死を考える”(中村真一郎編)
 死は避けられない事なのに、人は正面向き合って死について考えることは少ないです。それは日々忙しいとか色んな理由ですが、実は逃避している面もあると思う。敢えて考えたくない、考えても仕方が無いということでしょうか。この本は死について考察した古典的名著を抜粋したものです。例えばリルケの”マルテの手記”や漱石が胃潰瘍による吐血で死に面したことを綴った”思い出す事など”が載っています。最も心を動かされたのは岸本英夫の”わが生死観”です。岸本英夫は東大教授の宗教学者です。癌にかかり死に面し(彼はそれを生命飢餓状態と言っています)次のように述べています。辛くても苦しくても、与えられた生命を最後までよく生きてゆくよりほか、人間にとって生きるべき生き方はない。専らどうすれば「よく生きる」ことができるかということを考えている。死は生命に対する別れの時。立派に最後の別れが出来るように、平生から、心の準備を怠らないように努めるのである、と。

2008.5.11 最近見た映画
 1)”虎の尾を踏む男達”(黒澤明監督。1945年作品)
 
言うまでも無く、義経逃避行時の勧進帳の話しです。エノケンの演技は特筆もので是非ご覧下さい。
 
 2)”喜びも悲しみも幾年月”(木下恵介監督。1957年作品)
 
高峰秀子と佐田啓二の灯台守り夫婦の人生を描いたものです。一度見てみたいと思っていました。こういう人生もあるのですね。人生、人、様々ですね。

 
3)”君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956”(クリスティナ・ゴダ監督 2006年作品)
 
ハンガリー動乱時の闘争に参加していた女性と水球選手の恋愛を描いています。女性は逮捕され不幸な結末を迎えますが、水球チームはその年のメルボルンオリンピックで因縁のロシアを破り優勝します。ロシアは当時ハンガリーに侵攻、駐留していました。この二人の悲恋はあくまでフィクションです。女性闘士を演じた女優カタ・ドボーは闘士にしては若干弱弱しい。

 4)”SICKO(シッコ)”(マイケル・ムーア監督 2007年)
 
国等が行う公的な医療保険のない国アメリカは恐ろしい。国民は民間会社の医療保険に入ります。4人に1人が医療保険に入っておらず自費となっています。アメリカでは病気になれません。国民皆保険の良さを日本国民はどれほどわかっているのでしょう。欧米諸国の医療保険事情も詳しく教えてくれます。殆どの欧米諸国は医療費はかからず只です。それは高い消費税など税金からの財源があるからです。26%の消費税とか。日本の5%はいかにも低い。これでは国に財源が無いわけです。

 5)”築地魚河岸三代目”(2008年)大沢たかお、

2008.5.11 最近読んだ本
 1)”奥の細道”(松尾芭蕉著。現代語訳)

  
説明するまでも無く、芭蕉の紀行文です。これは月刊誌「サライ」の付録としてついてきました。随所に有名な芭蕉の俳句が出てきます。ぜひ一読を。

 
2)”斎王の葬列”(内田康夫著)
  
斎王(さいおう)とは初めて聞かれた方もいらっしゃると思います。昔、奈良時代以前からですが、天皇即位の度に伊勢神宮で神に仕えるために遣わされた未婚の女性皇族をいいます。60数名います。斎王の仕えていた所一帯を斎宮(さいくう)といいます。自由に外出も出来ません。生活の殆どを斎宮で過ごしたそうです。つまり監禁状態にあり選ばれると悲劇です。内田康夫の本は気楽に読め気分転換には最適です。斎王についてはこちらを

 3)”乳と卵”(川上未映子著)
 
昨年の芥川賞作品です。元歌手なる作者川上の文体は独特で現代っ子の面目約如です。内容は叔母の豊乳手術を題材にしていますが、その子つまり姪の独白が秀逸です。”乳と卵”についてはこちらを。

 4)”新しい人の方へ”(大江健三郎著

  
大江氏のいつも丁寧な文体には敬服します。読書はゆっくりとすることが大切と力説しています。つまり熟読玩味です。それは子供時代、「学校の図書室にはもう読む本がなくなった」と母親に言った際、母親が図書室に彼を連れていき本棚から本を抜き出し「この本に何が書いてあったか言ってみなさい」と言われたが適切に説明出来なかった事に由来しています。私は、実際にお目にかかったことはありませんが、大江氏は日本が誇りうる小説家として尊敬しています。”新しい人の方へ”についてはこちら

2008.4.30 ドライアイについて

 ドライアイという言葉は今や一般に浸透し、テレビのコマーシャルでも流れています。このドライアイについて少しお話しします。
 ドライアイとは厳密には病名ではありません。症候群で、目の乾燥感や異物感、充血の他に、涙液の減少による角結膜障害があるものをいいます。角結膜障害とは黒目(角膜)や白目(結膜)の表面が荒れている状態です。この“表面の荒れ”がなくて単に目が乾くだけではドライアイとは言えず、ドライアイの疑いということになります。この表面の荒れは色素(フルオレスセインという黄色い色素)で染めることによりわかります。
ドライアイの診断は意外と難しいものです。症状として目の乾きを感じない方もいらっしゃいます。長年、目の充血が取れずそれがドライアイだったという事もありました。矛盾している様ですが、ドライアイによって却って流涙(涙目)を生じることがあります。つまり黒目や白目の荒れによって刺激に敏感になりちょっとしたことで涙がでてしまう状態です。
 涙液の減少は、実際に涙腺からの涙液分泌が減少している場合の他に、涙液の蒸発亢進も含まれます。これは、例えばコンタクトレンズ装用時やパソコンなどの画面を集中して見つめる時瞬目(まばたき)の回数が減少して生じるものです。ドライアイと一緒に唾液腺からの唾液の減少による口の乾き(ドライマウス)がある時はシェーグレン症候群という病気の可能性があり、難病に指定されています。

 ドライアイの治療ですが、涙腺からの涙液分泌を促す薬は今のところありません。従って、頻回点眼つまり目薬で涙を補うことが最初の治療となります。しかし、涙と同じ成分の理想的な人工涙液はまだ開発されていません。点眼で不十分な時、涙点プラグで“涙点に栓をする”のが効果的です。


2008.1.26 最近読んだ本
 1)”指揮官の決断ー八甲田山死の雪中行軍に学ぶリーダーシップ”(山下康博著)
 
明治35年1月八甲田山で青森五連隊約200名が遭難死したことはよく知られていますが、同時期別の弘前隊37名が一人の落伍者も出さず首尾よく踏破を遂げたことはあまり知られていません。この時の隊長福島泰蔵大尉に注目した本です。しかし私は著者とは違って以下の点を強調したい。何事も例え短期事業であっても、あるいは些細なことと思われることでも決して甘く見ないことが肝心であること。私は”福島大尉だからこそ首尾よくいった”とは思いません。言葉を変えれば遭難した青森隊の指揮官であっても甘くみなければ遭難はしなかった可能性はあると思います。

2008.1.1 年頭に当たって
 
新年明けましておめでとうございます。今年は、昭和天皇が崩御され元号が平成に改まって早20年目。昨年は”偽”の文字で代表されましたが、今年はどういうこと、どういう文字になるでしょうか。
 色々な事件や事故が発生し、直接には勿論間接的にも自分が関与していないのにも関らず、それに影響されるというか、言葉を変えれば幻惑される感が無きしもあらずです。自分というものを見据え、そして自分の現在の環境を落ち着いて見廻し、自分のペースで過ごして行きたいものです。
 具体的には幾つか思い描いている事があります。東洋、西洋を問わず大作といわれる本に挑戦したい。手術等の診療に係わる仕事については、今までのペースを堅持したい。
 しかし、言い古されていますが、何事も健康があってのことです。健康で充実した良い年にしたいものです。

2007.12.24最近見た映画
 1)”モロッコ”(1930年作品)
 
ゲーりー・クーパー、マレーネ・ディートリッヒ主演。これも戦前の古い映画です。最後にディートリッヒが軍について行くのは、フランスの観客から失笑を買ったというが確かにそうでしょう。少々現実的でありません。粗筋もよくあるstoryで別に見なくてもよかった映画。私としては星はあげられません。一つ言える点はゲーりー・クーパーのダンディー振りで言うことありません。
 2)”レベッカ”(1940年作品)
 
あの清潔感あふれる私の好きな美人女優ジョーン・フォンティン主演です。いうまでもなくヒッチコックの有名な作品ですね。恥ずかしながら初めて見ました。粗筋ですが、離婚もせずhappyエンドなのでその点は救われます。やはり一度は見ておくべき映画です。とにかく筋というか展開が面白く2時間はあっという間に経ちます。ジョーン・フォンティンが父親の仕事の関係で日本生まれということです。嬉しくなりますね。共演のローレンス・オリビエもいい味をだしています。

2007.12.11 最近読んだ本

 
1)”寡黙なる巨人”(多田富雄著)
 著者は千葉大医学部を卒業し東大教授になった免疫学者で、医学関係の方なら知らない人はいないでしょう。かれは、カフカの”変身”を連想させる(ご本人もこの本の中で述べていますが)体験を心底から吐露しています。つまり突然出張先で脳梗塞に見舞われ、翌日から体が麻痺してしまい、それからの苦痛、あがき、リハビリ等の戦いの日々を切々に書いています。その不自由さに対し、我々健常人は改めて強い関心を払わなければならないと思わせられました。

 2)”人を活かす経営”(松下幸之助著)
 松下イズムとは、この経営の神様と言われた人の大なる常識性、言葉を変えて言うなら非凡なる凡庸さにあるのではないでしょうか。この本のどの章を読んでも、はったり的な考え方や目立って偉ぶる考え方は出てきません。あくまで、人としての当たり前の道を辿らんとする姿勢が窺えます。私の生き方に自信を与えてくれました。

 3)”容疑者Xの献身”(東野圭吾著)
 内容は詳しくは言いません。思わぬ展開にあっと言わずにおられません。題名のXの意味も読後にわかります。東野氏の作品は初めてですが、現在ガリレオ何とかいう作品がテレビ等で話題になっている様です。いつも思うのですが作家は粗筋を書く前に決めているのか、あるいは書きながら展開を決めているのでしょうか。私がよく読む内田康夫氏は後者の様です。しかし、この作品の主人公石神がああまでして隣家の女性に恋するというのは極端で現実的で無く無理があります。

2007.11.18 私の好きな11月の俳句
 小春日や父がだんだん小さくなる   (白石司子)
 クレーンを吊っているのは冬晴です  (尾田秀三郎)
 木枯やわれを支ふるものはわれ    (下村梅子)
 一人なら毛布を奪ふこともない     (櫂未知子)
 鯛焼をふたつに頒けて尾がさみし   (ながさく清江)
 悪びれず鯛焼食ぶる舞妓かな     (松村幸一)
 雑炊に舌打ちしたるさびしさよ      (能村登四郎)
 新海苔にのせる海鼠腸妻も飲む    (福田康司)
 洩れ陽さす唐招提寺冬構        (鈴木六林男)
 出稼ぎに父とられじと厚目貼      (木附沢麦青)
 木の葉散る金色に刻染まりつつ    (野澤節子)
 少年ら枯葉のスープ作るらし      (本田ひとみ)


2007.10.19 最近読んだ本
 1)”死体は語る”(上野正彦著)
 
この著者は法医学の分野では知らない人はいないはずです。長く東京都監察医務院に勤めていました。仕事は簡略していえば変死体の検査から、死因や死亡時の状況などを推察することです。解剖等により変死体の死亡時の状況を類推にしても、一般常識だけでは不足で、一般大衆の下々の生活状況を知らないと十分にこの仕事はやっていけないでしょう。一読すべき本です。
 2)”伊能忠敬測量隊”(渡辺一郎著)
 
あの隠居後の第二の人生を見事に有効利用、充実させた伊能忠敬の本です。現代にも通用する程の緻密な日本地図を手作りで、自分たちの足で測量したものです。忠敬は決してスーパーマンや天才でなく普通人であったと随所に記されています。私は井上ひさし著”四千万歩の男”を以前に読んだこともあり、この本を感動を持って読みました。「自分はもう○○歳」と言わず、「まだ○○歳なんだ」という意気を胸に抱いて今後の人生を前進して行きたい。
 3)”嵯峨散歩、仙台・石巻(街道をゆく26)”(司馬遼太郎著)
 
司馬の本はまず読んで損と思う事はなく、これも例外でありません。彼が旅で遭遇した事についてのメモ魔的なところやそのまめさにはいつも驚嘆しています。例えば碑文の詳細や出会った人との詳細な会話や固有名詞など、よくこれほど書けるほど忘れずにいると。

2007.10.18 最近見た映画

 1)”ナイアガラ”
  1953年作品。主演マリリン・モンロー、ジョセフ・コットン。あのアメリカとカナダ間に跨る名瀑布ナイアガラの景観がたっぷり楽しめます。不倫を絡めたミステリーに仕上げた良品。肉体派とされているマリリンが好演しています。夫が自己犠牲の精神を見せる終局は、何ともやるせない思いを掻き立てられますが、それで良かったのだという気がします。

 2)”ジェーン・エア”
 1944年作品。主演ジョーン・フォンティン。恋する相手として若き日のオーソン・ウエルズが出ています。この主演のジョーン・フォンティンという女優は不勉強で知らなかったけれども、清楚で非常に魅力ある女優です。改めて言うまでも無くイギリスの名作小説の映画化です。リッチな青年が火災事故で失明することを除けばハッピーエンドではあります。この内容は作者(シャーロッテ・ブロンテ)の体験に根ざすものか、あるいfictionなのか興味のあるところです。孤児である主人公の少女時代の体験は見てられないほど可哀想です。

 3)”武器よさらば”

 
1932年作品。主演は軍人役にゲーリー・クーパー、その恋人の看護師役にヘレン・ヘイズ。言うまでもないですがA.ヘミングウェイの名作の映画化です。75年前の作品ですが内容は全く現在でも通用するものです。恋人が死んでゆくラストは何とも悲しいですが、現実にこれと類似の事は少なくないでしょう。最後を迎えようとする場面の二人の会話は聞き逃せません。

2007.10.7 私の好きな10月の俳句
 
秋まひる道にしやもじが落ちてゐる (郡山やゑ子)
 長々と尾のあるごとし秋の暮     (奥坂まや)
 秋うららガイドの私語の土地訛り   (篠田悦子)
 陸橋に満つ朝寒の女学生       (草間時彦)
 秋深き隣は何をする人ぞ        (松尾芭蕉)
 山の駅降りしは一人秋深む      (内田園生)
 行秋の耳かたむけて音はなし     (高木晴子)
 無言とは妻の仕打ちの秋の霜     (澤悦子)
 おそれつつ老ゆる他なき冬支度    (北さとり)
 直立の案山子O型かも知れぬ     (野木桃花)
 新藁をくわえて走る小犬かな      (長谷川櫂)
 体育の日もの書いて戸を出でず    (園田夢蒼花)
 大鹿に近すぎる銃向けたまま     (八木博信)
 涙拭き面を上げよ鳥渡る        (下村梅子)
 滝壺にりんごを洗ふ男かな       (岩井久美恵)
 心病みきのこの森に入りびたり    (西口昌伸)


2007.9.15 最近見た映画

 1)放浪記: 
 
高峰秀子主演。言うまでも無く女流作家林芙美子の自伝的映画で、少々modifyされていますが、それなりに見せてくれます。見所はやはり結婚、離婚を繰り返した男性達との貧乏生活、葛藤を描いたところでしょう。それにしても、この映画の製作年頃の高峰秀子の活躍には目を見張ります。

 2)”ジャンヌ・ダルク”:
 
1948年作品。イングリッド・バーグマン主演。言うまでも無く15世紀、祖国フランスを英国の侵略から救うため立ち上がった、信仰深い聖少女の話しです。異端として火刑にされた悲劇の少女です。イングリッド・バーグマンがどうしてもやりたかった役らしいですが、彼女のあの上品な顔、そし容姿は戦火にまみれる役はしっくりしません。彼女には男性との関係で葛藤するような恋愛物語の方が合っていると思います。

 
3)”雨の朝パリに死す”
  
1954年作品。エリザベス・テーラー主演。恋愛映画ではあるが、最後に泣かせる。はじめは、売れない作家たる夫と酒、パーティーなどで遊び呆ける妻を軸としたstory。しかし、最終場面。姪を引きとって育てている義姉が頑なに姪の引き取りを拒む。その真意は、義妹を死なせた事に対する罰ではなく、実は愛していた自分と結婚しなかったことに対する罰だと義姉の夫が説く。あの007のロジャー・ムーアが不倫相手の若き青年として出ています。

2007.9.14最近読んだ本
 
1)”遺骨”:
   内田康夫著。最近、内田康夫に嵌っています。まずStoryの展開というか筋立てが面白い。Story上、意外な発展をさせて楽しませてくれます。

 
2)”化生の海”:
   内田康夫著。これも期待を裏切らない良い作品でした。

 
3)”灯”:
   森村誠一著。これは読んで時間の無駄でした。あまり森村誠一作品は読まないけれど、こういう手合いのものなら、今後読む気になりません。


2007.8.12~14 お盆休みに美瑛に

 時々行くのですが、美瑛のペンションに1泊してきました。美瑛町は私の住む旭川市から車で30分でいけ、もう少し進むとスキーで有名な富良野に着きます。パッチワークの景色を持つ美瑛町は、日本で最も美しい町の一つに数えられています。残念ながらラベンダーの旬の時季は終わっていました。私はたまに美瑛のペンションに行ってのんびり疲れを落としてきます。西日の残照が良かったです美瑛町についてはこちら

2007.4.5 最近読んだ本
 ①”部長の大晩年”(城山三郎著)
 
永田耕衣という会社員と俳人の二足の草鞋を履いた粋な人物の評伝。俳句以外に書画等にも造詣深い多趣味の人だったらしい。俳句が異端というか難解で、俳句の世界では有名であったそうです。97歳で大往生したそうです。私も俳句には興味がありますが、作る俳句が幼稚でまだまだこれから勉強です。
 ②”北海道の食彩「マッカリーナ」物語”(笠井一子著)
 
札幌でフランス料理店を開いているシェフ中道博氏が羊蹄山の麓、農作物の産地真狩村に作ったオーベルジュが「マッカリーナ」です。オーベルジュとは宿泊施設をもつレストランのこと。彼の料理に対する姿勢というか料理観というものを表現するべく、村長さんら村の方々と協力して他の仲間と立ち上げるまでを描いた爽やかな本です。一気に読まされます。野菜をメインとするフランス料理で一度行ってみて下さい。

 ③”王妃マリー・アントワネット”(遠藤周作著)
 
あまり遠藤周作氏の本は読んでいませんが、これは一気に読みました。フランス革命当時の世情がよく描かれています。登場人物も架空の人物が加わり多士済々です。言うまでも無くマリー・アントワネットに関する記述が多く、特に後半の処刑されるまでの描写は一本の映画を見ているようです。彼女の母親としての一面もよく描かれており見逃せません。

 ④”日輪の遺産”(浅田次郎著)
 
浅田次郎作なので期待して読んだが期待はずれでした。storyは悪くないけれど今一つ読み手に響くものが無かったです。

2007.4.4 最近見た映画

 ①笛吹川:
 木下恵介監督作品。武田信玄や上杉謙信達の割拠する時代。戦に自分の子供を取られていく家の両親、特に母親を描いています。見ていて言い様の無い虚しさ、もどかしさを感じました。その時代、戦に出るということが出世の手始めとして、若者には一種のステータスと錯覚されていたようです。戦は命を捨てる事だ、百姓をしろと言い聞かす親。現代の学歴社会にも一脈通じるものがありますね。

 
②二十四の瞳:
 昭和29年の木下恵介監督作品。言うまでもなく小豆島を舞台とした高峰秀子主演の名作です。恥ずかしながら初めて見ました。泣く場面が多すぎる位あり、それにつられてなのか私自信も泣けて仕様がありませんでした。師範学校新卒の女教師が初めて担当した小学校1年生12名(男5名、女7名)。彼ら彼女らの家庭やらその後の人生、歩みを綴っています。それらに直面した大石先生の人生も上手く描いています。ところで高峰秀子さんはお元気なのでしょうか。


 ③カルメン故郷に帰る:
 
木下恵介監督作品。高峰秀子主演。

 
④風と共に去りぬ:
 
ビビアン・リー主演。

2007.2.12 父の目を手術して
 
ゴルフ好きな父が白内障で見ずらくなり、昨年12月に左目、今月に右目を手術しました。手術は手術する側も患者さんが誰であれ緊張します。父ということで普段以上に異常に緊張するかと思っていましたが、他の患者さんを手術するのと殆ど変わりありませんでした。それは緊張しなかったということではなく普通通り緊張し、それ以上でもそれ以下でもなかったということです。
 現在、白内障手術は簡単だなどという風潮にあります。しかし白内障手術には、頻度は少ないですが色々と術中合併症が起こることがあり、実は気の抜けない、油断のできない手術なのです。その辺の所が一般には知られておらず、する側としては歯がゆい思いなのです。


2007.1.27 最近読んだ本
①”人は見た目が9割”(竹内一郎著)
 
この「見た目」というのは広義の意味で、人間関係のコミュニケーションにおける言葉以外のもの全てを指しています。単に目で見た外観ということではありません。誤解しないようにして下さい。そういうことではこのタイトルも肯けるものです。特に著者は舞台、戯曲関係の人ですからそういう面での考察が多いです。

②”対日折衝記”(P I リコルド著)
 
江戸時代末期、ロシアのゴロブニン艦長他が日本側に捕えられた際、その解放に尽力したあの高田屋嘉兵衛とリコルドの話。ゴロブニン艦長直下のリコルド艦長による手記です。副題として”1812年と1813年における日本沿岸航海と日本人との交渉”としてあり、当然その日本人とは主に高田屋嘉兵衛のことです。嘉兵衛は余程肝の据わった人物であった様です。ロシア側に捕えられた際、リコルドと寝食を共にしましたが、お互いに気持ちが通じるにつれ、リコルドは嘉兵衛の大器ぶりを随所に記しています。嘉兵衛を筆頭として当時交渉に当った日本の庶民側のロシア語会話習得の速さ、その努力には敬意を表せざるにはいきません。いかに短時間にロシアと交渉できる位の会話力を身に付けていったことか。私など英語を長年学んできたのに、英会話力の貧弱なことお恥ずかしい限りです。

③”勇将ジェラールの回想”(コナン・ドイル著)
 
私の好きなコナン・ドイルの珍しい冒険歴史小説です。殆どの方はドイルといえばシャーロック・ホームズを連想するでしょう。ナポレオン配下の騎兵旅団きっての名剣士ジェラール准将の痛快無比の武勇談です。高校生向きですが、大人にも楽しめます。やはりドイル流のどんでん返しも随所に見られ、一巻の冒険映画を見ている様です。ドイルは他に科学小説も書いているとのことで、今後読むつもりでわくわくしています。

④”世界の日本人ジョーク集”(早坂隆著)
 今評判の一冊です。沢山の日本および日本人関連のジョークが載っています。素直に笑えるもの、微笑ましいものから(極端に言うと)読むに耐えないものまで出ています。例えば”日本人は入浴する前に体を洗う(欧米では体を洗うために入浴する)”とか。日本人の性格を揶揄するようなものが多いけれど、経済的なジョークもやはり多いようです。しかし、一昔前、日本あるいは日本人に関する本(例えば”ジャパン アズ ナンバーワン”など)が欧米を筆頭に外国人等により多々でていましたが、バブルが終わり不景気になってからは影をひそめましたね。

2007.1.26 最近見た映画
①”硫黄島からの手紙”(渡辺謙、二宮和也他)
 
これは評判の映画ですが、残念ながら今一つ感動がありません。硫黄島の日本軍が本土からの応援が見込めない中、苦労しながら壊滅していく様は筋として見えていますが、タイトルの「手紙」に関しての取り上げ方が中途半端です。家内も言っていますが、先日テレビで放映された硫黄島生き残り兵のドキュメンタリーの方がずっと感動し泣けました。

2007.1.6 2007年、平成19年を迎えて
 
驕る(驕るという言葉が適切かどうか議論のあるところですが)アメリカに世界がしてやられている中、日本は庶民が実感の伴わない好景気ということです。団塊世代の退職、高齢化、少子化、療養病棟の削減、自宅介護の増加、医療費の高騰など多くの問題を抱え、今後に不安をかかえている日本。阿部総理を含む政府に期待を持っていいのでしょうか。
 当院としては従来通り、白内障手術と流涙症(涙目のことです)治療に重点を置いて今年もやっていくつもりです。昨年10月からの白内障日帰り手術も順調にいっております。涙目に対する涙管チューブも積極的に施行していきます。
 個人的には、誰でもそうですが健康に気をつけマイペースでいきたい。50代も半ばを過ぎたので、仕事一途ではなく、色んな本を読んで気を耕し、良い映画を見て感動し、良い旅をしてリラックスしたいと思います。


2006.12.30 有馬温泉に1泊
 神戸六甲の裏側にある古湯”有馬温泉”に1泊してきました。塩分を含む鉄泉で、黄土色というか濃い金色で非常に温まります。温泉街には数箇所、泉源が噴き出しており温泉を実感させてくれます(写真)


泉源の一つに炭酸泉があります。飲んでみましたがまんざら悪くない味でした。昔は砂糖を入れてサイダー代わりにしていたそうです。有名な有馬籠や人形筆も見てきました。有馬籠の様に竹細工で作った蟷螂や鈴虫なども一見に値し、今私の書斎に飾ってあります。味のお土産としては、実山椒(花山椒ではなく)をお勧めします。個性的な味わいです。

2006.11.14最近読んだ本
 ①”ダ・ヴィンチ・コード”(ダン・ブラウン著)
  
話題の本です。映画を先に見ておいたので、良かったかもしれません。というのは筋が複雑に絡み合っており混乱しやすいからです。著者の聖書やそれを取り巻く諸事情に関しての博識さや詳細な調査には驚かされます。フィクションを上手く使って面白くしています。上中下3巻ありますが、じっくり腰を据えて読まれることをお勧めします。粗筋は下記の”最近見た映画(2006.6.25)”の欄を見て下さい。

2006.9.17 最近読んだ本
①”84歳。英語、イギリス、ひとり旅”(清川妙著)
   
53歳から英語、特に英会話を学び直し、以来イギリスへ何度もひとり旅をしている一老婦人のエッセイ。イギリスで知り合った人々との心温まる友情、交遊を描いています。70、80になっても、こんな素敵な人生があるのかと思うと、私現在55歳、元気づけられます。というより、何でもそうですが、尽きる所、自分で積極的に作っていかないと駄目ですよね。

2006.9.9(土)~10(日) 増毛で一泊
    
かつて鰊漁で大いに賑わった、日本海に面した町、増毛へ行ってきました。友人がおり、美味しい海の幸を堪能してきました。下の写真は雄冬岬から見た日本海で,、眼下に雄冬(増毛町)の町が見えます。*増毛町は札幌の北方にある小さな町で留萌市の隣です。詳しくはここをクリックして下さい。
    
雄冬はかつて陸の孤島と言われていましたが、今は札幌まで続く、立派な舗装道路が完成しています。

2006.8.9 こんなもの、街で見かけました。
 
当院の近くにあるお寺の入り口の掲示板で見かけました。”過去を追わざれ、未来を願わざれ”とあります。過ぎてしまった過去は良きにつけ悪しきにつけどうしようもないものです。私はわりと過去を悔やむところがあります。あの時どうしてああしなかったのか!などと。これからはそういう性向を反省し、現在を楽しみたいと最近は考えています。未来を願うな、というのも意味深長な文言です。

2006.8.8 最近読んだ本
①”医師がすすめるウオーキング”(泉嗣彦著)
   
 私の趣味の一つにウオーキングがあり、たまに出かけています。最近も猛暑の中ですが延々と市内を歩き、かなり日焼けしました。上の写真もその時のものです。この本の著者はウオーキングを糖尿病などの生活習慣病対策として推奨しています。彼は健診が専門のようです。ウオーキングを堅く考えず、日常の生活に少しでも取り入れる様にしましょう。

②”国家の品格”(藤原正彦著)
     
最近までベストセラーであった話題の本を読んでみました。彼の言わんとしていることに賛同出来ます。例えば「だめなことはだめ。この世には理屈で割り切れないものがある」ということ。なぜ人を殺してはいけないのか、とか、なぜ人の物を盗んではいけないのかなど。これらは理屈ではありません。それを有無を言わせず子供達に強制することも一つの教育であるということ。これは書いてあることのごく一部です。読んでみてください。というより、もう読んでしまっていますね。

③”辺境・近境”(村上春樹著)

    
評判の作家村上春樹の本を読んでみました。彼が今まで旅した所を回顧したものです。特にメキシコの辺境の、道なき道を車やバスで旅したところなどは読ませます。彼も度胸がいいと感心します。とても魅力ある土地だったと書いております。しかし、このような旅はお金はともあれ時間に余裕がないと出来ず、私にとっては今の所、実現は難しいことです。

 
④お濠端に暮らす(根岸道子著)

   
著者は小泉八雲が島根県松江に半年ばかり住んだ住居(小泉八雲旧居)の所有者の末裔です。この住居は八雲が大変気に入っていた家で、それに関する著作もあります。著者は今もそこに住んでいます。根岸家の歴史、特に小泉八雲が住むに至る点や、現在の様に保存され公開されるまでの経緯を細かに記しています。

2006.7.12 最近読んだ本
 
①草原からの使者”沙高楼綺譚”浅田次郎著
   私の好きな作家の一人浅田次郎の本です。期待はずれにはなりません。お勧めですが、本当に娯楽のための小説で何かを得ようとしては駄目です。

 
②高田屋嘉兵衛遭厄自記
  
高田屋嘉兵衛の生地である淡路島の翁顕彰会が苦労して口語訳にしたものです。原典はかなり判読しづらいものの様です。彼がロシア船に捕えられた経緯から始まり、その船長達と徐々に交際を深めていく様子がよく描かれています。それにしてもロシア語を会話から文章まで短期間によく習得したものだと感心させられます。司馬遼太郎が彼に敬意を払うのがわかる気がします。嘉兵衛は包容力がありよくよく肝の据わった人物だったのでしょう。残念ですが、私にはとても真似が出来そうにありません。*高田屋嘉兵衛についてはここをクリックして下さい。

2006.6.25 映画”ダ・ビンチ・コード”を見て

 聖なる血脈がテーマでしょうか。キリストには実は妻がいて、その血脈が現代までつながっておりそこにシオンなる教団がからんでいるという主旨の物語です。その妻とはダ・ビンチが描いた”最後の晩餐”のキリストの左隣りに座っている人物で、マグダラのマリアなる人物だそうです。確かに絵を見ると、どう見ても女性に見えます。シオンなる教団の長には、ダ・ビンチの他、あの科学者ニュートンもそうだったそうです。それなりに面白く興味をそそられました。

2006.5.18 糖尿病と糖尿病網膜症について
 先日、急に右目が見えなくなった中年の女性が訪れました。見ると眼底に広くべたーと出血しております。進行した糖尿病網膜症です。この出血は自然吸収を待って、再出血を防止するためがっちりと光凝固をしなければなりません。お聞きすると、半年前に内科で糖尿病の検査をして大したことはないと言われたそうです。また眼科でも診察を受けましたがそこでも網膜症は軽度と言われたとのことです。それ以来安心して内科にも眼科にも行っていません。

 これはどう考えたら良いでしょう。まず第一に“血糖コントロールさえ良好であれば網膜症などの合併症は起こらない”と多くの人が誤解しています。良好な血糖コントロールは網膜症を起こしづらくするのに必要な条件ですが、十分な条件ではありません。網膜症を起こす一番の要因は糖尿病の罹病期間です。長年コントロール良好の人に“これは網膜症です”というと“ずっとコントロールが良いのにどうして?”という返事が返ってきます。統計上、コントロールの良否に関わらず糖尿病と診断されて約10年すると網膜症が出ます。この10年とは糖尿病が見つかった時点からですから、実はもっと前から糖尿病があった可能性が大です。もちろんコントロール不良だと合併症が出やすいのは言うまでもありません。
 さらに第2点はこの女性、半年前に眼科で診察を受けあまり問題ないと言われたことです。これも皆さん疑問に思うでしょう。実は一見軽く見える網膜症でも進行した網膜症のことがあります。網膜症が発症したら定期的に経過を見て、おかしな点が見つかれば網膜血管造影などの精密検査や適宜内服薬や光凝固をします。網膜症がある程度以上になったら“もうそれ以上進まない状態に”するため眼の底のフィルムである網膜を“光で焼く”つまり光凝固をします。
 定期検査を軽んじてはいけません。何ともなくとも定期的に検査を受けて下さい。網膜症がない場合は半年毎。軽度網膜症なら3ヶ月毎です。人間とは勝手なもので”自分だけは癌にならない”とか”交通事故に遭わない”と考えがちです。しかし病気は平等です。いつ、誰がどんな病気になっても不思議はありません。
               (せせらぎタウン紙 平成18年6月号掲載)
     

2006.5.3~7 淡路島に旅して
      
この連休に神戸を基点にして淡路島に行って来ました。神戸と淡路島を結ぶ明石海峡大橋から望む滔滔たる海やゆっくり進む船、遠くに霞む瀬戸内海は絶景でした。ただ渋滞がひどく疲れました。島中西部の五色町はあの高田屋嘉兵衛の故郷です。そこにある高田屋歴史文化資料館”菜の花ホールを見学しました。辰悦丸の1/2模型や彼が北前船輸送の他に広く手がけた金融などのビジネスの台帳なども見ることが出来ました。ロシア抑留中の苦労などの文書も展示されていました。南部の福良港から出る観潮船”日本丸”で”鳴門のうず潮”を見に出ました。海流の段差は見ることはできましたが、残念ながらうず潮は見れませんでした。明石海峡大橋菜の花ホールにて
高田屋歴史文化資料館”菜の花ホール”についてはここをクリックして下さい。


2006.4.3 最近読んだ本
       ①司馬遼太郎著”街道を行く27:因幡・伯きのみち、檮原街道”
        
今夏、眼科学会で山陰へ行く予定なのでこの本を選んでみました。予想に違わず司馬遼はいいですね。彼の博識なのにはいつも脱帽します。日本の古代から江戸時代までが網羅される感じがします。それにこの街道のみちシリーズは各地で出会う人達をきっかけとして話が展開されていき読ませてくれます。        
         ②ドイル傑作集Ⅱ-海洋奇談編ー
        
6編収められていますがいずれも読ませてくれます。私も一気に読んでしまった感じです。ドイルの探偵物ではないものも、なかなかです。私が気に入ったのは”ポールスター号船長”や”ジェ・ハバカク・ジェフスンの遺書”です。
         
③松本清張著”日本の黒い霧(上)”
          6編収められていますがいずれも私が物心つかない頃の事件でもあり、またあまり知識として存じないものが多く読んでいてもピンと来ません。しかし下山国鉄総裁謀殺論は読ませます。これは賛同者は少数派ですが清張は米軍説とっています。警察は自殺ということでうやむやにしたそうですが。他に”白鳥事件”とか”革命を売る男、伊藤律”などが書かれていますが、これらは日本の戦後を引きずる事件で読んでいて暗くなります。
        
④フレディ松川著 ”今日からできるボケないための7つの習慣”
          最近というより以前からですが、すぐに処方する薬名が出てこなかったりします。若年の認知症が渡辺謙の映画もあり世間の耳目を集めてい現況もあり、この本を読んでみました。ボケないための7つの習慣とは次のようなものです。1散歩、2料理作り、3人と会う、社会と交わる、4電車やバスに乗る、5恋心を持つ、6日記や手紙の習慣、7新聞や本、辞書を読むです。私は今55歳ですが、備えあれ憂いなしというから料理作りなどこれからしてみよう!

2006.3.29 最近見た映画
     ①生きものの記録
      
黒澤明作品。三船敏郎主演。原水爆恐怖症に陥った老人に振り回される家族や従業員。
     ②激流
      
メリル・ストリープ主演。彼女の逞しさに感動。

2006.3.9 最近二人の友を亡くしました。残念でなりません。
     
一人は高校時代からの同級生で、知的障害者施設で園長として周囲の信頼厚く慕われていました。園長に昇進したばかりでした。私にとっては高校時代より今なお親交のある数少ない友人の一人で、他の同級生とたまに一緒に呑みに行っていました。もう一人は私が以前勤務していた旭川赤十字病院や名寄市立病院の同僚Drで一歳年上でした。人柄は温厚で優しく、癌の闘病中お見舞いに行ってきましたが、奥さんと冗談を言って明るく振舞っていました。二人共、私の思い出の中に生き続けています。

2006.2.28 最近見た映画
     ①禁じられた遊び:

       今回で見たのは確か3回目ですが、恥ずかしながらこの題名の意味が今回初めてわかりました。子供にとっても死はやはり死なのです。愛犬やモグラや虫のお墓作りに懸命で世間の諸事は子供には関係ないのです

     ②老人と海:

       スペンサー・トレーシー主演。有名なヘミングウエイの小説でつい先日読んだばかりでグッドタイミングでした。老人の鮫との格闘は凄まじいものでしたが、それよりもう人生の黄昏を迎えた老漁師の心境を伺い知る、あるいはそれを慮る内面小説と言っていいのではないでしょうか。

     ③たそがれ清兵衛:

       真田広之主演。宮川りえ他出演。真田が今は家庭人として苦労しているがかつては剣の使い手であった侍を演じているが少々ミスキャストの感もなくはありません。この主人公にはもっと人生の辛酸をなめた苦労人のような風貌のの俳優が適切であったと思います。真田では少々きれい過ぎる気がします。

     ④お早う:
       
小津安二郎の作品。平凡な日常を描いていますが見て全く損のない映画です。子役達の演技は秀逸で特に次男坊の演技には脱帽します。笠智衆、三宅邦子、佐田啓二など懐かしい顔ぶれがずらり。
     ⑤天国と地獄:
       
黒澤明監督の現代映画。三船敏郎、仲代達也、香川京子、山崎努など芸達者な俳優達が揃って出ています。新幹線走行中の車内から犯人らをビデオ撮影したり麻薬中毒患者のスラム街の場面など黒澤らしい演出が見られます。

2006.2.19 朱鞠内湖(しゅまりない湖)にワカサギ釣りに行って来ました。
     
毎年この時期、気の置けない仲間達とワカサギ釣りに行っています。寒いですが湖上で、釣ったばかりのワカサギを天麩羅にしてジンギスカンや豚汁と一緒に皆で輪になって食べるのは気持ちのいいものです。今回は天候にも恵まれました。朱鞠内湖は北海道北部にある人造湖です。朱鞠内湖についてはここをクリックして下さい。

2006.2.13 最近見た映画
    ①欲望という名の電車
     
 (1951年作品)監督はあのエリア・カザンです。出演はヴィヴィアン・リー、マーロン・ブラントなど。前々から見ようと思っていた映画で期待に違わぬものでした。特にヴィヴィアン・リーの演技には脱帽です。勿論若き日のマーロン・ブラントも見逃せません。storyも興深く、本来舞台劇であったのは肯けます。
    ②桑港(サンフランシスコ)
      
(1936年作品)クラーク・ゲーブル、ジャネット・マクドナルド、スペンサー・トレーシー出演。音楽映画と言っていいほど歌やジャズが流され、ジャネット・マクドナルドの綺麗な歌声に魅了されますstoryはよくある恋愛ものですが・・・。

2006.2.8 最近読んだ本
    ①コナン・ドイル著”四つの署名”
      また好きなシャーロック・ホームズを読みました。期待に違わず面白かったです。その筋立てはインドの暴動を取り込みスケールの大きなものです。ワトソン博士の結婚話が出てくるのも一服の清涼剤となっています。事件そのものは少々複雑ですが後味は悪くありません。皆さんもご堪能下さい。皆さんの時間の損にならないこと請け合います。
    ②小林司、東山あかね著”図説シャーロック・ホームズ
      
本邦のシャーロッキアンの代表ともいうべき二人(夫婦ですが)によるシャーロック・ホームズに関する本。写真や絵が豊富でシャーロッキアンにとって十二分に堪能できます。ホームズの性格、性癖、嗜好、趣味などは一読に値します。
    ③アーネスト・ヘミングウェイ著”老人と海”
      
始めは少々冗長で退屈しますが、中盤以降は漁師たる老人と大魚マグロやそれに向かって次々と襲い来る鮫との格闘場面が展開され、はらはらさせられます。一緒に登場する少年も脇役として一人物となっており見逃せません。

2006.1.26 映画”妻として女として”を見て
 
女性映画の名匠といわれている成瀬巳喜男監督の作品(昭和36年製作。出演は淡島千景、高峰秀子ら)を始めて見ました。内容は不倫が主題でかなりseriousです。終盤子供に事実が判明する下りなどは直視できない程であった。現代にも通用する筋立てで怖いものを感じた。仲代達也や星由里子らが脇を固め好演している。

2006.1.8 年末年始休暇 大阪のUSJで遊んで 
 
正月休みを利用して大阪のテーマパーク”USJ(ユニバーサル スタジオ ジャパン)”へ行ってきました。東京のディズニーランドと同じく乗り物に乗ったりして童心に帰り楽しんできました。特にお勧めはスパイダーマンとターミネーターです。立体視出来るサングラスを掛けて見るものですが、前者は実際に車に乗って移動するので現実感が格別です。

2006.1.1 年頭に当たり
 
平成18年新年明けましておめでとうございます。
当院も10年目を迎えました。この10年は夢中でやって来た気がします。大過なく過ぎこれもスタッフや周囲の皆様の御蔭でございます。昔は病院や診療所は待っていれば患者さんが訪れてくれる時代でした。今やクリニックも増え、これからは眼科に限らず患者さんがクリニックを選ぶ時代です。選ばれなければなりません。それにはハード、ソフト両面での充実が必要です。つまり診療技術は勿論ですが、診療機器や建物の使い勝手(バリヤーフリー等)からスタッフの患者様への対応など心していかなければなりません。
 本年も当院はスタッフ一同一丸となってより良い医療を提供すべく精進致す所存であります。宜しくお願い申し上げます。また皆様にとって良い年となるようご祈念申し上げる次第です。

2005.12.25 夏目漱石著”我輩は猫である”を読んで
 
恥ずかしながらこの年で初めて読みました。しかし内容は決して小中学生にわかるようなものでありません。世評が多く現代と照らし合わせ的を得ている発言も多いようです。感心するのはやはり文体が淀みなく文豪と言うに相応しいかもしれません。

2005.12.13 紅山雪夫著”ヨーロッパものしり紀行(くらしとグルメ編)”を読んで
 
雑学的にヨーロッパについて肩肘張らず記した本です。チーズや泉に関する所などは読ませます。風景などの写真が入っているのも良いです。私もそれほど外国に行っているわけではないけれど、外国ではどこでも肝心なのは度胸の様です。恥ずかしいとか言っていては駄目の様ですね。

2005.11.11 映画”アンブレーカブル”を見て
 
ブルース・ウイリス主演。ある特殊な能力(透視というべきか)のある男の話。しかし、少々筋立てが幼稚な気がするが、それは見方が浅いのかも。”シックス・センス”の方がずっと深みがありぞくぞくさせられた。

2005.11.3 最近見た映画

     ① ”Day after Tomorrow":
         南極で研究を続ける古代気象学者ジャック・ホール教授(デニス・クエイド)は調査データから地球規模の自然危機を予感する。そして、その4か月後、東京などで異常気象が発生し彼の嫌な予感は現実味を帯びてくる。お勧め。面白かった。

   
    
 ”家族ゲーム”:
         松田優作がおちこぼれ気味の中学生の家庭教師をする。その家族(伊丹十三や由紀さおりなど)とのやり取りが面白い。今思えば、貴重と言えそうな男優を早くになくしてしまった。


2005.10.26
 
    長き夜を 無為に過ごさぬ 術ありや 
    

    高楼の 窓の月影 皓として
              

   
山風に 上枝の戦ぎ 秋思湧く (以上 青村萌生) 

2005.10.5 司馬遼太郎著”南蛮のみちⅡ”(街道をゆく23)を読んで
 
前半ははっきり言って司馬遼太郎にしてはめりはりの無い、割と単調な紀行文。しかし後半はポルトガルでの話しでアクセントが出て活気あり。大航海時代の象徴といえるエンリケ(ヘンリー)王子が主役となっている。

2005.10.2 清水久典著”死にゆく妻との旅路”を読んで
 
著者の素人とは思えない文章というか語り口には敬意を表しますが、癌で重症の妻を連れての車での旅はいただけません。やはりちゃんと入院させるべきだったと思います。妻の死後警察に一旦逮捕されるのは止むを得ないでしょう。職を求めての旅ということですが、本気で働こうとしている様子はなく旅自体が目的であるかのようです。旅とは言えず、放浪でしょう。しかし文才はありますので今後、本を書いてはどうでしょう。

2005.9.25 

愛犬を 抱きて爽やか 昼下がり

とんぼうが これ見よがしと 踊りたる

秋彼岸 淋しさいや増す 今宵かな

2005.9.13 衆院選が終わって 

 
衆院選が行われ自民党が圧勝し、二大政党化の流れはひとまず止まりました。小泉首相は郵制民営化一本で終始しましたが、大勝の原因には彼のカリスマ性も大いに影響したでしょう。しかしその党が選挙で大勝したからといって、一つの事案に国民が納得、賛成したということでもない気がしますがいかがでしょう。
 制度というのは必要なものですが怖い面もあります。色々な境遇や状況の人々がいるにも関わらず一律に適用されるものだからです。その制度に合わない境遇や状況の方もいらっしゃるでしょう。
 眼についても“目の悪い”人たちのために身体障害者福祉法があります。しかし、これで考慮される基準は視力と視野の二点だけです。“目が悪い”といっても色々な状態があり、視力と視野だけで決まるものではありませんから、患者さんの症状の程度や具合悪さ、不便さと障害認定は必ずしも一致するとは限りません。例えば眼筋まひといって事故や病気で目が自由に動かなくなる病気があります。この場合常に複視(物が二つ見える)が生じますが、本人がいくら日常辛くてもそれぞれの眼の視力が良ければ障害の認定はされません。また片眼が失明してももう片方の視力が良ければこれも認定は降りません(認定される視力の基準は両眼の視力の和で決まるからです)。反面、両眼の視力がある一定値以下であれば最低ラインの障害認定はされますので、外見上健常者と変わらずに見える方もいらっしゃいます。

 郵制民営化とはどうことになるのでしょう。郵便を運ぶに不便な離島や山間僻地へは、高額の郵便料金を取られるということになるのでしょうか。郵便制度こそ国営で残すべきと思うのですが・・・。
(地域紙”せせらぎタウン”平成17年10月号に掲載

2005.9.10 コナン・ドイル著”恐怖の谷”を読んで
 
終末の、主人公による見事などんでん返しには恐れ入った。ずっと読み進んでいても結末がどういう風になるのか見当がつかなかった。胸がすっきりした。ただしシャーロック・ホームズが活躍するのは始めだけである。内容は言わないほうでおきます。お勧めの一冊です!

2005.8.30 映画”Massage in a bottle”を見て
 
深く愛した妻を亡くした漁師がその悲しい胸中を吐露した手紙を瓶に入れて海に流した。それを拾った女性ジャーナリストとの恋愛を綴ったもの。残念な悲しい結末を迎えるが、fictionとはいえ、夫婦愛というもの、夫婦とは何かと考えさせられる。未だその余韻が残っている。他人であったものが夫婦となり、家族が出来、通常一生の連れ合いとなる。夫婦とは何だろう。

2005.8.25 
     
仕事終え ほっと一息 夕焼かな
      
       オペ終えて 小犬と歩く 夕涼み
      
       朝風呂し 疲れいや増す 夏真昼 

2005.7.23 富良野”ラベンダー園”に行って
 
見事なラベンダー畑を見てきました。家族連れなど多くの観光客が花を、買い物を、飲食を楽しんでいました。ここを作った富田忠雄氏は当初これほどまで、ラベンダーが観光に、あるいは香水、芳香剤などの商品として発展するとは思っていなかったそうです。人間というか世の中は先はわからないものがありますね。何事もすぐにはgive-upしない方がいいようです。

2005.7.20 管宗次著”俳遊の人 土方歳三(句と詩歌が語る新選組)”を読んで
 
土方歳三の事よりも、彼と近藤勇との関係や新撰組に関連することが主に書かれています。俳句に関してはあまり書かれていないので期待はずれでした。武闘派の棟梁みたいな近藤勇が漢詩等に関して造詣が深いとは意外でした。また土方は人格者で部下からの信頼が厚かったそうです。歴史の流れに巻き込まれた男達です。

2005.7.15 ドストエフスキー著”貧しき人びと”を読んで
 
これはドストエフスキーが23歳の時の彼の処女作です。中年の小役人と薄幸の若き女性との主に文通による交際を描いたものです。わかりやすい文体で一見親しめる作品ですが、表題の通り彼らを取り巻く人々との軋轢等を描いており明るい気持ちには最後までなれません。

2005.6.18 司馬遼太郎著”南蛮の道Ⅰ”を読んで
 
南蛮とは今のスペインとポルトガル。本の内容は、日本にキリスト教をもたらしたバスク人、フランシスコ・ザビエルの故郷ナバラ王国に関連したことが中心です。ナバラ王国とはピレネー山脈の麓にある小国で、今はスペインの自治州として認められているそうです。それにしても司馬遼の”街道を行く”を読むといつも、観光ではなくこれぞ旅であろうという感慨を持たされます。

2005.6.17~18
 日本白内障学会および日本眼内レンズ屈折手術学会に出席して
 京都での日本白内障学会&日本眼内レンズ屈折手術学会に行ってきました。現在の白内障手術の流れは極小切開に向かっています。一度切開した創を眼内レンズ挿入のため拡げないように何とかならないものだろうか。あと一つの話題は小児の場合である。小児に眼内レンズを入れるのに抵抗のある先生方もまだ多いようです。

2005.6.1 旭山動物園が有名に
  
旭山動物園が全国的に有名になりました。動物園といえば檻に閉じ込めらた動物達が
所在なげに憂鬱そうにしているイメージがありますが、今や旭山動物園の動物達は生き生きと
しています。私の子供時分、旭山は現在と同様、
桜の名所で花見などはしましたが、ザリガニを取って遊んだり遠足に行ったりスキーをしたに過ぎず、これほど有名になるとは思いませんでした。
 如何に動物達を生き生きとさせるかを日々模索していた小菅園長やスタッフ全員の発想、アイデアによるものでしょう。
 良い発想、アイデアはそう簡単に生まれるものではありません。日々一つの事にこだわり続けてようやく出てくるものと思います。先年、ノーベル賞を受けた田中耕一さんの受賞対象となった研究は、”瓢箪から独楽のようなもので偶然の産物”と本人はおっしゃっていたようですが、毎日毎日の実験と考察の繰り返しの成果以外の何物でもないでしょう。エジソンも”天才とは1%のひらめきと99%の汗である”と言っています。
 眼科では1900年代前半にゴールドマンという眼科医が現在の眼科医療に不可欠の器械である細隙灯を発明し、これにより診断が飛躍的に向上しました。その原理はほぼそのまま踏襲され、性能の改善が加えられつつ現在に至っています。彼は他にも視野計や三面鏡など考案し、それらはほぼ完成された形で部分的な修正はあるものの現在も繁用されています。

                    
(地域紙”せせらぎタウン”平成17年6月号に掲載)

2005.5.18 
 
当院の庭の夏椿も一旦四分程度に開花しましたが、この寒さのせいで萎んでしまいました。

2005.5.12 蒲島郁夫著”運命”を読んで
 
農協職員から東大法学部教授になった蒲田氏の自伝です。東大のしかも法学部の教授になるのに全く畑違いのところから紆余曲折を経て成功したやや稀な例です。本人の頑張りの賜物であり敬服します。他方、私は医者としての道一筋で来ました。医学部を出て大学病院そして総合病院に勤務後、開業しました。愚痴になりますが、どんな職業にも苦労はつき物で毎日毎日医療過誤を懸念しながら患者さんと顔を合わせ、その中に経過の思わしくない患者さんも出会います。そういう日々の繰り返しです。

2005.5.5 道東へ旅して”チミケップ湖”

 
この連休を利用して津別町のチミケップ湖へ行き湖畔の唯一のペンションに泊ってきました。全く都会の喧騒から隔絶された所です。テレビも殆ど受信できませんし(BSのみです)、携帯電話も届きません。聞こえるのは鳥の囀りだけでした。まさに命の洗濯にぴったりの場所です。ただし着くのに、蛇行した山道を車で数十分登っていかねばなりません。
でもほぼ満室でした。女満別空港が近いせいでしょうか本州のお客さんが多いようです。
      チミケップ湖

2005.5.1 中名生正昭著”芭蕉の謎と蕪村の不思議”を読んで

 
俳聖と呼ばれる芭蕉と蕪村の生立ちやその俳句を鑑賞している本です。俳句は私の趣味の一つですが、今は殆ど鑑賞ばかりで作句はしていません。蕪村の漢詩などの教養には驚かされ、読んでも理解できない句も多々あります。芭蕉の句には大きさというか深さが感じられ、それをわびとかさびというのでしょうか。

2005.4.29 映画”プロフェシー”を見て
 
空想の生物Moss Man蛾男の話です。予知能力があり、翼のある人間の形をした生き物です。リチャード・ギア主演の新聞記者が、ある田舎町での奇怪な事件に巻き込まれる。実際にはほぼあり得ない話なのですが映画としては面白かったですよ。人間も夢を見る。正夢とか夢が知らせたとか、あるいは胸騒ぎとか嫌な予感などという言葉もあります。人間や生き物には自覚しないけれども予知の能力があるのかもしれません。火事発生の前に鼠が逃げしたとか、鯰が地震を予知するなどといわれています。

2005.4.22 映画”ザ・ウオッチャー”を見て

 
キアヌ・リープスの連続女性殺人鬼ははまり役でした。一見甘いマスクであるのが意表を突いています

2005.4.17 河合隼雄著”大人の友情”を読んで

 
題名の割には面白い本でした。特に、同性愛や茶のみ友達の章は興味深く読みました。特に夏目漱石の”こころ”を引用した下りなどです。確かに親友と呼べる友を作るのには難しい面があります。友人も単なる知り合いから、知人に始まり親友と呼べるところまでいくのに時間がかかることもあるでしょうし、短時間で良き友になる場合もあります。

2005.4.12  映画”Aviator”を見て

 アメリカの富豪ハワード・ヒューズの波乱の人生の物語です。配役が違えばもっと良い映画になった気がします。ディカプリオが主演でしたが、もっと貫禄というかeccentricに見える男優の方がよかったのでは。しかし取り巻きの女優陣は適切な配役と見て取れました。3時間を長く感じさせず、スコセッシ監督の技量でしょう。

2005.4.10 桐野夏生著”柔らかな頬”を読んで
 テーマとなる子供の失踪はいいけれど、筋書きとして女主人公が癌末期の男と共に行動するのは少々無理な設定と思います。それに話の展開が冗長で読む気がそがれてしましいます。もう一皮剥けると大きな作家になると感じられました。

院長の日記”辛夷”