日本橋三越本店 THE WORLD OF MONTBLANC <モンブランの世界>
ゲストによるトークショー
作家・法政大学国際文化学部教授の島田雅彦さん、
フリーアナウンサーの富永美樹さん

日時:2005年11月20日 (1) 13:00〜13:30 (2) 15:30〜16:00
於:日本橋三越本店 本館1階中央ホール
(2005/11/21)


★☆★ ウロ覚えレポなので、だいたいこんなカンジと思って読んでください。
赤い文字は島田雅彦の言葉です ★☆★
13:00からの回を見るため、開始10分ほど前にトークショー開場である1階中央ホールに行ってみると‥確かにありました、モンブランの特設コーナー。
四隅を真っ黒なパーテーションでガッチリ仕切ってあり、特設ブースにワザワザ入るカンジで‥マァ、正直入りにくいネ‥。そのセイか、客席は25席ほどが用意されていたけど、ワタシより先にいたお客さんはたった一人‥。
昼下がりのデパートにありがちな、オバちゃん達が休憩がてらトークショーを聞いていく、というワタシの予想は大幅にハズレました。聴衆は数人の勇気あるお客サンと、その倍以上はいる主催者側のスタッフ、でもお席はまだまだ空いてます状態で、とりあえずお時間になってしまいトークショー、スタート。

まずは司会の富永アナが登場し、ご挨拶。

「では、本日のゲストをお呼びしましょう。作家の島田雅彦さんです。ドウゾ〜」

の声に促されて島田雅彦、黒のスーツに青の縦縞が入ったシャツ、でもエリは飛び出しておらず無難な出で立ちで登場。
サスガにモンブランだけに(?)いつもの哀川スタイルではありませんでしたが、胸にリボンの名札(ドイツ国旗のシマシマ)を着けさせられていてなんか笑えた。イヤイヤ、貴賓扱いってコトだよネ。さすがは島田雅彦!

富永アナがモンブランの歴史などを紹介し、「島田さんはモンブランをお使いになったコトは‥?」とダレもが疑問に思っているコトを質問。

「マァ、文筆業ですからネェ‥。ドイツを訪れた時に‥ある日、呼ばれるようにしてお店に入って‥定番の白いシャーペンを‥。そのシャーペンで7冊ほど書きました」

自信のないテーマ(?)の時は語尾がハッキリしない話し方になる島田雅彦。

どうやらモンブラン製品とのおつき合いはそれだけのヨウで、ドイツで買ったのも

「なんか現地で買う方がトクかな」

と思ったソウです。
ちなみにこの特設会場にあった万年筆のお値段は237万円。
ヒエー。たぶん、特別な品でヒトキワ高額なモノなんだろうけど、島田雅彦が現地でシャーペン買うのが精一杯だろうヨ(←余計なお世話)。

「使い勝手はどうでした?」と聞かれ、

「良くなければ7冊も書けない」

「‥そうですよネェ〜。‥ウフフッ」と困ったヨウに相づちを打つしかナイ、富永アナ。

「今度、モンブランでは女性用のアクセサリーを始める事になりまして(中略)デザインがステキで、(中略)お値段も、あの、手頃なカンジで‥。島田さんはご存じでしたか?」

「エ、あの、一昨日くらいに知りました」

話はいっこうに盛り上がる気配ナシ。
観客少ないし、そのホトンドはスタッフの方だから仕方ないか。この空気を察したか、

「筆記具も胸ポケットに挿したりしますよネ‥あの、筆記具にもアクセサリーの良さがあります。モンブランは装飾部分が効果的に作られていますし」

と、トウトウと語り始める島田雅彦。

「機能性を越えて魅力的、だから人が持っていると欲しくなる」

そーゆー人が欲しくなるような職人技が、交易を促し、

「土器とか。優れた職人技がなければ海を越える事はなかった」

と、お得意の論旨でまとめていました。

実生活上ではキーボードで済ませてはいるが、筆記具など道具は便利さだけでなく

「物にかまける感じがいいですよね。ひと手間かける感じが、精神安定的に必要なんではないか、と思うんですヨネ」

フムフム、だから40の手習いなワケか。島田雅彦に限らず、今って精神衛生的に結構、劣悪な環境だったりするんだろうナー。手習い程度で解決出来る問題でもナイだろうけど気休めにはなるか。島田雅彦にとっては仕事でもあるし。


「過去の作家たちは皆、手書きですけども、生原稿にはその人のオーラが伝わってくる。その人の健康状態とか」

そりゃ、作家でなくとも年賀状とかで友達の字がいつもと違っていたら気にはなるヨネ。

道具は使う人との相性もあり、自分に合うモノと出会うとかえられなくナル。当然
「筆記具を変えるには勇気が要る。人から借りた物にはその人のクセがあるので使いにくい。楽器に近い」と語る島田雅彦。

富永アナ「体の一部みたいなモノですよネ」

「そうですネ。それ以上ですよ。だって指だけでは書けませんから」

ナ〜ルホド〜。そりゃ気が付かなかった!さすが島田雅彦!やっぱ違うネェ!‥と思ってみたりするけど会場的にはまるで盛り上がらない状態が続きます。
モンブランのように歴史あるメーカーで買えば壊れても修理出来る職人がいるから安心。お値段は張るけどそーゆー保険があるヨネ〜と、ほとんど身内しか聞いていない会場でモンブランの良さを語る二人。

富永アナ「最近、筆記具を使うのはどんな時ですか?手書きでナニかをする時は?」

「‥奥さんに詫び状を書くときとか、ですね」

そういわれると内容を知りたくなるのが人の常。当然、富永アナも「エ〜、それはどんな内容だったりするんですか〜?」と乗ってきたのに

「マ、こんなところでですから。それは。」とお茶を濁す島田雅彦。

なんだ〜。マ、それは奥さんだけが知っていればイイのか。でもホントに書くとしたらエライね!40代のオッサン達は“いいんだヨ、ウチのチャンカーなんか!”みたいなタイプが未だに多いからサ。

文化・芸術を支援する活動をしているモンブラン。
それについてドウ思う?と聞かれ、

「企業は儲け過ぎちゃいけない。‥儲けた時、それをどう保持するか」

が問題で、アーティストのバックアップなどをすることで富を社会還元していく。

「商品だけじゃなく、どーゆーアーティストを育てたかでも評価されていくンじゃないでしょうか。(中略)アートの支援というのは伝統的な使い方ではあると思います」

で、モンブランではショルティやカラヤンへのオマージュとして作られた万年筆があり、その代金は音楽家への支援に使われるンだそうデスよ。

「今の日本では個々人が寄付をしても税金が控除にならないンですネ。控除になればもっと寄付が広がっていくのでは」

芸術にはパトロンが不可欠で、

「もし、ワーグナーが生きてる当時にしっかり援助しなければ、今、我々はその音楽を聴けなかったかもしれないンですネ。(中略)すぐにモトをとるのは無理なんですヨ。ワーグナーだって200年でモトをとったワケですから。林業的な発想をして欲しい。実は教育もそうなんですネ」

‥ワーグナーから200年も経ってないですヨ、大センセイ。それにモト取れたってのともチョット違うヨウナ‥。耐用年数が永久的に長い作品を作れたのはパトロンあってのコトって話ならワカルけど。(←揚げ足とるな)

脳味噌がキモチいいと思わせるモロモロが人を幸福にするのであって、「文学にもある、と信じていなければ書けないワケですが‥」と語る島田雅彦。
ココで富永アナ、「島田さんはご自身の作品をどう読んでほしいですか?」。出た!地上波民放アナウンサーがインタビューする時にありがちな超・無意味な質問。
「こう読め!と言えるものではないし」読んで喜ぶ人もいれば島田雅彦を憎む人もあるかもしれず「多様な読まれ方があった方がいい」と答えていました。こう答えるのは当然だよネ。

その後は「書けない時はモノに当たったりするんですか?」とかモンブランの宣伝にもナラナイ、そんなコト聞いてどーすんだ?状態の富永アナに反比例するように、何となく落ちついてきた島田雅彦。

「書けない時はふてくされて寝るしかない。マ、効果的な睡眠をとれば何とかなる。寝ている時も脳は動いてますし」

と淡々と答え、最後は「じゃ、これからも喜んだり、憎まれたりする作品をたくさん書いてくださいネ。今日はありがとうございました〜」と富永アナがご挨拶してオワリ。

何だか余りモンブランの宣伝にならないような、とりとめのないトークショーだったな〜。聴衆のほとんどがモンブランの関係者だったからなんの支障もナイだろうけど、せっかく日曜日の昼下がりにお江戸日本橋三越に呼ばれたんだから、たくさんのヒトが島田雅彦の話を聴けるようにして欲しかったですヨ。

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ア〜、長かった・・・。
最後まで読んでくださった方ありがとう!

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