彼は飲んで朝帰りが多いのに、
私が家に電話をしないとすねるの
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島田雅彦夫人 島田ひとみさん
インタビュー集『ダンナの悪口 』(1993年 岸本裕紀子著・朝日新聞社刊)より
島田雅彦さんは今オペラに夢中。ときどき奥さんの電子ピアノで歌の伴奏をするようにいう。しかし、島田さんは感情にまかせて歌うから、合わせるのは結構大変。 「物書きでなければ歌手になりたいなんていって、毎日歌っています。私が台所で洗い物をしていると、2階で歌っている声が聞こえて来るんです。しばらくすると、歌いながら階段を下りてきて、だんだん近づいてくるのが分かるの。そして、最後に私の後ろに立って朗々と歌うんですよ」 ひとみさんは今、広告制作会社で働いている。そのせいもあって、いつの間にか料理は島田さんの担当になった。家事分担と言うよりは自分の思うように料理をしたいから、という感じ。後片付けはひとみさんがする。 二人は東京外語大の時に知り合った。ひとみさんのことを校門で待ち伏せして、「今度、あなたの絵を描かせてくれませんか」。 「彼はとにかく目立つ格好をしていましたね。どピンクのルパシカとか、紫メガネに紫のシマシマTシャツとか。私は女子大生風だったから二人でいるとすごくミスマッチで」 島田さんは、小説と同じように二人の交際シナリオを作っていたらしい。 「彼は自分で、ぼくはモテることになっているってはっきり言うんです。はじめはなんてヤツだろうって思いましたね。そのうち慣れちゃいましたけど」 島田さんは在学中華々しい文壇デビューを飾り、3年後に結婚。 「彼は小説を書いてノってくると、ときどき声に出して私に読んで聞かせるんですよ。こんな文章を書けるのはボクだけだ、とか、馬も毎日念仏を聞いていれば、そのうち分かるようになるなんて言うんです。でも、彼の小説に感動したことは無いんです」 島田さんの描く小説の世界に浸って“私だけが島田さんの小説を理解出来る”と信じるファンがたくさんいるという。独特のナルシシズムが“私だけは特別”という意識を刺激しているためだろう。 「彼は家でもナルシストです。ぼくは才能があるといって差別されている。人々の嫉妬が怖ろしいって切々と訴えるんですよ。でも彼はそう思い込むことで自分の存在意義を認めているみたいなところがあるんじゃないかと思うんです。そうじゃないと、あの世界は辛いことも多いし、叩かれてしまうこともあるからやっていけないのかもしれない・・・」 「結婚したての頃は、私の仕事で一喜一憂していたけど、それじゃ身が持たなくなっちゃった。それでいまは、彼の仕事からは少しは距離をおくようにしました。かえってそのほうが私達にとってはいいみたい」 ひとみさんによると、島田さんは一見華やかなようでいて純文学一本の人だし、地味な方ではないかと言う。二人が一緒の時間は、晩ご飯からひとみさんが寝るまでの間である。 「私、夕方必ずカエル・コールをするんですよ。でも、彼のほうは外に出れば飲んで朝帰りと決まっています。海外取材しても、あまり電話くれないし・・。そのくせ、私が友達と食事したりして家に電話しないとすねるの。夕暮れ時が寂しい、なんて言ったりもします」 |
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ご令息誕生の直前と言うことで、おそらく92年早春のインタビュー。文壇の貴公子の甘えん坊さんぶりが暴露(ってほどでも無いけど)されています。でもちょっと余所行きな感じよね〜?(オバサン)。ヤダね〜、モ〜。なんツーか、すべては奥さんの手のひらの上って感じ?彼って変わってるけどカワイイの(ハート印)状態で、どっちかってーとノロケじゃん!全然『ダンナの悪口』じゃありませんわね〜オホホ。 |