文学史年表の川

 大和朝廷が全国の統一を完成する時期から飛鳥・白鳳時代は、日本文学の黎明期で、上代ともいいます。
まだ文字を持たなかった人々は集団生活の中で神々への祈りの言葉(祝詞)や、農耕、戦闘、恋愛、葬送などのときの言葉(古代歌謡)を口から口へと語り継ぎました(語り部)。しかし、5世紀に漢字が伝わってくると、それを使って表現するよう
になりました(万葉仮名)。
 この時代の文学は和歌にしろ、歴史書、漢詩集にしろ後の文学の規範となりました。

天皇・王朝等 年代 時代文化 種類・作品と作家・流派 社会の動き・出来事
応神朝   
(口承文学の時代) 日本武尊の物語・百済の王仁博士が『論語』・千字文を伝える。
欽明朝 538年 和  飛 神話・伝説・祝詞 百済の聖明王が仏像・経典を贈る。(仏教伝来)
推古朝 593年 時  鳥 (記載文学の時代) 聖徳太子摂政となる。

620年頃 代  白 『天皇記』『国記』の編集  
孝徳朝 645年(大化元)      鳳 <初期万葉時代> 大化の改新
天智朝 668年     文 <二期万葉時代(専門歌人の登場)> 律令国家の形成
天武・持統朝 679年      化 文武天皇即位の『宣命』 大宝律令 (701年)
元明朝 710年 奈     平城京遷都
  712年(和同5) 良  天  古事記』(太安麻呂・稗田阿礼)  
  713年 時  平  『風土記』編集の勅命  
元正朝 720年(養老4) 代  文  日本書紀』(舎人親王等)  
聖武・孝謙朝 733年(天平5)     化 『出雲国風土記』  
  751年(天平勝宝3)    『懐風藻』  
  759年頃(天平宝字3)   万葉集』(大伴家持) 東大寺大仏開眼供養(752年)
桓武朝        

    以上が奈良時代までの流れです。日本文学の黎明期と言えます。各作品について、さらに詳しく知りたい人は青色の部分をクリックしてください。
  


  次は平安時代の文学についてです。

    この時代は文学史上は「中古」と呼ばれます。
   初期は前代と同じく唐の文化の影響を受けて漢詩集などが作られました。
   しかし、894年、遣唐使の廃止が決定された頃から、日本独自の「国風文化」と呼ばれる文化が花開きました。
   文学の担い手は貴族でしたが、仮名が普及し、女流文学が発達しました。

  
  年表U  

天皇・王朝等 年代 時代・文化 種類・作品と作家・流派 社会の動き・出来事
桓武 794年(延暦13) 平       平安京遷都
嵯峨 814年(弘仁5)     弘仁  『凌雲集』・『文華秀麗集』・『経国集』 東密・台密・室生寺
        貞観 『日本霊異記』(景戒)  
文徳 850年     文化 『六国史』 六歌仙の時代
醍朝 894年     遣唐使廃止
  900年頃(昌泰3) 安     竹取物語 菅原道真筑紫配流(901年)
  905年頃(延喜5)        古今和歌集  
朱雀 935年頃(承平5)      国 土佐日記』(紀貫之)  
村上 947年頃 伊勢物語 (延喜・天暦の治)
  951年頃      風 『大和物語』 この頃、「いろは歌」できる。
円融 974年頃(天延2)   蜻蛉日記』(藤原道綱母)  
  984年頃 『宇津保物語』  
一条 1001年頃(長保3)      文 枕草子』(清少納言) 藤原道長、摂政となる。
  1007年頃(寛弘4)   『和泉式部日記』 日記・物語文学の隆盛  
  1008年頃(寛弘5)      化 源氏物語』(紫式部) 女流文学の隆盛  
  1010年頃(寛弘7)   『紫式部日記』  
三条 1012年頃   『和漢朗詠集』(藤原公任)  
後一条 1028年頃(長元元)   『栄華物語(正編)』 浄土教広まる。
後冷泉 1059年頃   更級日記』(菅原孝標女) 末法思想の流行。
堀河 1086年頃       院 『栄華物語(続編)』 白河上皇の院政開始。
鳥羽 1115年頃       政 『大鏡』  
  1120年頃(保安元)       文 今昔物語集  
後白河 1156年(保元元)       化   保元の乱
二条 1159年(平治元)     平治の乱
六条 1169年頃(嘉応元)   梁塵秘抄』(後白河院) 今様の流行 平清盛、太政大臣となる。(1167年)
高倉 1170年頃   『今鏡』  
後鳥羽 1187年(文治3)   千載和歌集』(藤原俊成) 八代集 平家、壇ノ浦で滅亡。
  1190年頃(建久元)   山家集』(西行法師)  


以上が平安時代までの流れです。各作品について、さらに詳しく知りたい人は青色の部分をクリックしてください。

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