平成24年4月28日読売新聞


  春の褒章県内から36人
 春の褒章が28日付で発表され、・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・教育や福祉などに尽く
 した「藍綬」に15人が選ばれた。受章者に喜びの声を聞いた。

 
双方の話粘り強く耳傾け


      藍 綬

調停委員
 小出紀久男さん67
       (尼崎市)


 「地道にやってきたことが認められ、光栄です」
 民事での紛争を仲介し、解決を目指す調停委員を務めて19年。不動産鑑定士としての専門知識を生かし、主に西宮簡裁で不動産問題を担当してきた。
 思い出すのは、阪神大震災。マンションやアパートなどの建物が倒壊し、住人の立ち退きを巡る争いが相次ぎ、簡裁に毎日足を運んだ。「双方の話を平等に加味し、公平な解決策を示すのが鉄則。とはいえ、一瞬で生活の場を失った被災者の身の上に、胸が痛んだ」と振り返る。
 現在は神戸家裁尼崎支部で離婚調停などの調停にも当たる。財産や親権の問題が複雑に絡み、「人と人との関係の難しさを痛感します」。感情的になる当事者も落ち着かせ、粘り強く耳を傾ける。不調に終わり、本裁判になるケースもあるが、「新しい人生、頑張ってください」と声を掛けるという。
 ロータリークラブの一員として、開発途上国の支援や、常務理事を務めるNPO法人「兵庫さい帯血バンク」の活動にも駆け回る。
 調停委員の仕事は原則70歳までで、「受章を励みに、最後まで全力投球したい。一人でも多くの人が笑顔になれるように」と使命感をにじませた。