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家 族 信 託 |
成 年 後 見 制 度 |
関与者 |
委託者、受託者、受益者 民事信託(受託者は委託者の意思に基づき、任意で選出可能) indexindex |
当事者の判断能力が不十分になった際、家庭裁判所が、 弁護士、司法書士、社会福祉士、信託銀行、家族のいずれかを指定する。 当事者は本人と後見人 |
権限 |
信託財産の管理・処分のみ |
財産の管理・処分のみでなく、財産に関する法律的行為(賃貸借、保証等)も可能。 身上監護権(例:老人ホームとの契約等) |
財産の処分 |
受益者のために、信託契約の範囲内及び忠実義務の範囲内で売却等も可能。 |
原則的に財産は本人のためにのみ支出が可能であり、合理的理由のない財産処分は不可能。 |
本人死亡の場合 |
・遺言による信託契約が可能 ・委託者本人の死亡後も信託は終了しない、との契約とす れば、本人死亡後もスムーズな事業承継可能で、資産の 長期的な管理が可能 |
死亡によって後見業務は終了 |
監督機能 |
任意で信託管理人等設定が可能 |
家庭裁判所または監督人により必ず監督を受ける |
開始の要件 制度 |
家族間で契約し、受託者は委託者が設定した信託目的に従って受益者のために信託財産の管理・処分などをする制度 |
家庭裁判所の許可 許可の内容に従って、成年後見人が財産の管理・処分などをする。 |
意義 |
事前に相続方法を考える。 |
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対象と 報告義務 |
不動産、現金、有価証券など |
不動産、現金、有価証券、介護、相続方法など 年一回程度家庭裁判所へ報告 |
メリット |
認知症、病気などの意思判断能力が低下した際の対策ができる上に、成年後見制度の機能を持っている。 本人の判断能力がある状態でも利用可能であり、成年後見制度の使い勝手の悪さを解決する制度となっている。 後見人の負担も大きいという成年後見制度の欠点を補える制度である。 急に家族が倒れて相続や遺産処分の話題が持ち上がった時、あわてずに済む。 未だに日本では非常に抵抗感のある遺言とは異なる、新しい資産管理及び資産承継を実現する制度となっている。 倒産隔離機能がある。 |
裁判所で審査し後見人を定める。 管理・処分について、裁判所の指導と裁判所への報告を必要とする。 |
デメリット |
家族信託では、委託者及び受益者は本人になるケースが多く、それほど問題となりませんが、家族、親族の誰に信託を行うかは、人選を誤ると家庭崩壊になりかねない。十分な話し合いが必要。(長男等が勝手に進めたら駄目) |
成年後見制度では、本人の判断能力が衰えるまで第三者は財産の管理は行えないことになっています。 家庭裁判所の関与が必要不可欠であるため、柔軟な対応が難しい制度である。? 後見人の負担が大きい |
費 用 |
・信託契約書を公証役場で公正証書にする →確定日付の場合1通700円 ・不動産がある場合登録免許税及び司法書士費用 →固定資産評価額の1000分の4、但し、土地信託の場合 は10000分の3 ・信託監督人や受益者代理人を置く場合 →月額1万円 ・弁護士、司法書士に依頼する場合 →財産額の0.1〜1%程度の手数料 |
弁護士、司法書士、社会福祉士の場合:裁判所が実際の介護や財産管理等の内容を審査し報酬を決める。年間10万円〜30万円程度か?後見人が財産を増やすような行為があればプラス査定。本人に財産が少ない場合は少なめに査定する。 流動資産が1200万円程度以上(管轄裁判所により額が異なる)ある場合、信託銀行で行うことができ、手数料はかかりません。但し流動資産は全て当該信託銀行が預かることになる。 初年度のみ専門家、以後、家族が後見人になることも、適正な人がいれば可能ですので、管轄裁判所に問い合わせてください。 最初から家族が後見人になることも可能ですが、裁判所の許可が必要です。 |
・家族信託(2007年、84年ぶりに信託法改正)
・(※)「商事信託」(信託銀行等、営利目的)
「民事信託」(営利を目的としない)
民事信託の中でも「家族信託」は家族間で財産の管理や移転を目的としておこなうものを指す。
・家族信託には@委託者と受託者の信託契約、A委託者の遺言によるもの、B委託者兼受託者が行う信託宣言の三つある
@
私製でOK役所の承認等不要
A
遺言書作成する。委託者が死亡した信託が成立する。自筆証書遺言でも構いませんが、民法上の形式要件満たすこと。満たさないと無効。私の調停の経験では有効な遺言書でも必ず争いになる。→手続きが必要になりめんどくさい。公正証書を勧める。
B
委託者が受託者として、資産を運用・管理する方法。子供に残す資産を親の資産と分離して、管理だけは親が行う場合に利用される。
信託宣言は確定日付のある書面で行う必要があるため、公正証書が必要となる。
尚、受託者自身を当初受益者とする場合、信託が開始してから1年以内に受益者を第三者に対して譲渡する必要が生じる。(信託法163条1号)
・家族信託の例
・A所有のマンションを信頼できるBさんに譲渡して、マンションの家賃収入をAさんの子供であるCさんに与える、という取り決めが信託となる。
・Bさんは財産の管理人で信託目的に基づき財産を管理する
・Bさんは財産の管理・処分は受益者のために行わなければならないという忠実義務が課せられる。
Cさんは受益者であるが、Bさんの財産に対する関与権限はない。家賃はBさん経由でもらうだけ。