国税庁は、広大地評価に関する改正財産評価基本通達のあらましを公表しました。

 広大地の評価については、平成 29年度税制改正大綱において、現行の「面積に比例的に減額する評価方法」から「各土地の個性に応じて形状・ 面積に基づき評価する方法」に見直すとともに、適用要件を明確化することとされた。

 改正通達は、現行の「広大地の評価」を廃止し、「地積規模の大きな宅地の評価」を新設するという内容です。新たに「規模格差補正率」が設けられ、「地積規模の大きな宅地」を戸建住宅用地として分割分譲する場合に発生する潰れ地や工事・整備費用、開発分譲業者の事業収益・事業リスク等の負担による減価が反映されることになりました。

 改正通達は平成30年1月1日以後に相続、遺贈又は贈与により取得した財産の評価からの適用となる。

具体的には次の通りです。

・適用要件の明確化(現行の広大地評価では適用要件があいまいでしたが、改正後は下表のように明確化されます。

要 件 広 大 地 地積規模の大きな宅地
地 積 基準は三大都市圏500u、 その他1000u以上
                  (ミニ広大地もOK)
三大都市圏500u、 その他1000u以上
地区区分 中小工場地区も認められる場合あり 普通住宅地区
普通商業・併用住宅地区のみ
容積率 原則として300%以上の土地は適用されない 400%以上の土地は適用されない
(東京23区は300%)

・規模補正率の導入
<従来の広大地評価の方法>
   従来の広大地評価額=地積×路線価×広大地補正率
<改正で次のように変わりました>
   地積規模の大きな宅地評価額=路線価×各種補正率×規模格差補正率×地積
     各種補正率は、いびつな形の土地の評価を減額するための補正率で、規模格差補正率は、土地の大きさを考慮して減額するための補正率です。
     つまり、その土地の形状と地積の大きさを考慮した評価が可能になりました。
     従来の広大地評価では、地積が同じであれば、どんな形の土地であっても評価額は同じでした。
     改正後の評価方法では、正方形に近いきれいな形の土地は、現行の広大地評価で算出した額より、評価額が高くなります。



・面積別補正率表
 三大都市圏の場合

地 積 改正前
(広大地補正率)
改正後(平成30年1月1日以降)
   (規模格差補正率)
 500u   42.5% 20%  22.5 
 1,000u  45% 22%  23
 2,000u 50% 25%  25
 3,000u 55% 26%  29
 4,000u 60% 28%  32
 5,000u 65% 29%  36

三大都市圏以外の場合

地 積 改正前
(広大地補正率)
改正後(平成30年1月1日以降)
    (規模格差補正率)
 1,000u  45% 20%   25  
 2,000u 50% 24%   26
 3,000u 55% 26%   29
 4,000u 60% 27%   33
 5,000u 65% 28%   37

改正前の広大地評価のほうが、大きな減額が受けられることが分かります。
改正前の広大地評価は平成29年末までです。平成30年1月1日以降は改正後の適用になります。

実際の計算
・改正前の広大地評価を適用した場合の評価額
   100,000円(路線価)×(0.6−0.05×1,600/1,000)×1,600u(地積)=83,200,000円
・改正後の規模格差補正率を適用した場合の評価額
   100,000円(路線価)×0.92×0.75×1,600u(地積)=110,400,000円
このように、改正後の評価額は、改正前の評価額と比べて、27,200,000円も高くなっています。

最後に、広大地評価を適用できる土地をお持ちの方は、「相続時精算課制度」を使った対策をしたほうがいいのかどうかは、土地に詳しい税理士さんにお聞きになってください。

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