6.景気浮揚は情報開示と投資市場の整備で(平成14年)

 
小泉改造内閣は、不良債権処理の早期決着を決断しましたが、日本経済再生には、同時にデフレ対策が必要です。そこで、景気対策として、民間企業(※注イ)の情報開示により個人金融資産1,400兆円を証券市場や不動産市場に取り込み、株価と地価を押し上げデフレ解消を図ることを提言します。

<日本経済の現況>

@ 行財政改革や不良債権処理が進んでいません。 
A 金融・財政政策等による景気対策の効果が現われていません。
B 1985年10月プラザ合意による内需拡大政策は、構造改革のないまま円高・低金利政策により、資産インフレ「バブル」を作り出していきました。
C バブル崩壊後は、銀行の貸し渋り等からデフレを招いています。
D 1991年3月からの平成不況以降は公定歩合の引き下げ等よる金融緩和、公共投資、減税といったケインズ経済学の効き目が現われていない。
E 個人消費の上昇や企業の設備投資、技術革新、新ビジネス等による景気の回復が期待できない状況に陥っています。

<現在の景気対策の問題点>

@ 10月6日付朝日新聞によると、竹中経済・金融担当相が、日銀にインフレターゲットを要請し、日銀もそのことについて勉強していると応じたが、これではハイパーインフレが懸念されます。
A 金融緩和政策、調整インフレ論、円安でデフレを克服する案、銀行保有株の日銀の買取案等々がありますが、「スタグフレ−ション」や「日本売り」が懸念されます。
B デフレ対策としての株価対策は、証券税制改正、空売り規制、銀行窓口で株式売買取引ができる仕組み等で、株式市場の活性化を図ろうとしています。しかし、情報の不完全なもの、一部に独占されているもの、公平感のないものには不安で投資意欲もわきません。不動産についても、流動化促進のため、これまでも税制改革という手法を取ってきましたが、不動産市場の活性化は公開性・透明性に求められます。

<対策提言>

 以上のような状況での景気対策として、個人金融資産1,400兆円を証券市場や不動産市場に取り込み、株価と地価を押し上げデフレ解消を図ることです。
 その為には、構造改革(※注ロ)は政・官・民ともに必要ですが、今、特に民間企業の完全な「情報開示」を早急且つ強力に政策として断行すべきです。個人の金融資産約1,400兆円の過半が現預貯金と言われていますが、企業の完全な「情報開示」と「徹底したチェック機能」を構築することにより、その信頼性・透明性・公平性・公開性が確保され、リスクとリターンの明確な計算ができれば、インフレ・経済破綻・ペイオフ懸念や低金利の時代ですから個人投資家も証券・不動産投資に参戦してくるでしょう。
「新金融システム」(※注ハ)の技術と理論が普及しつつある今、完全な「情報開示」とノ−リスク・リタ−ン型から「リスク・リタ−ンの理念」による資本の効率的最適配分を実現する方向に転換する必要があります。
アメリカの「エンロン不正経理」問題で、情報開示の重要性が再認識されました。日本でもっとも遅れていると言われている「情報開示」の重要性は、経済再生のみの問題ではありません。あらゆる部分で必要であることは最近の社会問題を見ても明らかであります。

(注イ) ここで言う民間企業とは、上場会社、金融市場で資本調達する企業を言います

(注ロ) 構造改革とは日本の市場経済を自由、透明、公正につくり変えることです。

(注ハ)新金融システムについて
過去、資本(貯蓄)不足の時代、金融は産業の血液と言われ、銀行による資金配分を中心としていました。1980年代以降、日本は資本(貯蓄)過大となり、資本大国となっても間接金融主体の非効率な金融政策を続けています。

資本不足の時代は銀行による資金配分は有効でありましたが、今や、日本は資本大国であり、その資本を有効に配分し、資本の最適配分を実現させる環境を作ることが必要です。

銀行による土地神話に基づく土地担保金融でのノ−リスク・リタ−ン型から リスク ・リタ−ンの理念による資本の効率的最適配分を実現する方向に転換する必要があります。ここ数年、その技術は育っていますので、この環境を作ることが大切です。これにはリスクとリターンが計算できる情報開示と徹底したチェック機能が欠かせません。間接金融中心(物不足の時代の配給制度を、物あまりの時代になっても行なっていれば、資源の最適配分がおこなわれないと同様に、資本が十分あるのに銀行の配給制度のようなシステムは資本の効率性を阻害する)から直接金融(資本の本質から、リスク・リタ−ンを選択して資本が最適に配分されるように行動する構造)への転換が望まれます。  

日本の市場経済を自由、透明、公正につくり変えることにより、あらゆる面で新しい システムが再編され、新しい雇用や投資・消費が創造され、資本主義経済が正常に機能し、自由経済は発展します。

◎新金融システムのうち 証券化の流れ
直接金融システムとして、証券化があり、不動産、車のロ−ン債権、住宅ロ−ン債権 、貸出債権、消費者金融債権、地震債権、売掛債権、社債、新興企業投信、著作権等の 知的財産権、医療費請求権等の証券化があります。
住宅ロ−ン債権の証券化の効果として、銀行の住宅ロ−ンの長期固定金利も可能にな る等の様々な副次的効果も認められます。
不動産証券(参照ページ)には、不動産投資信託(日本版REIT等)、SPC、小口化商品があります。
私見としては、刑務所や市役所の不動産証券化も考えられます。市役所の不動産証券 化では財政難の地方自治体を救うことにもなり  ます。又、新興企業投信のほか、町の酒 屋さん、八百屋さんのような小さな投信も考えられ、これも、徹底した情報開示とチェック機能  が必要になります。この情報開示とチェック機能が今までの日本の経済システムのなかで遅れている部分です。


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