ボコスカウォーズ
二味違う孤独の王、スレン

ボコスカウォーズは、名義上はただのRPGで売ってますが、これは「シミュレーションRPG」というジャンルの原型をつくったゲームといっても間違い無いでしょう。また、いわゆる「ファンタジー世界」を題材にしたことも大きな功績の一つといえるでしょう。なにしろ、このゲームが無くてはファイヤーエムブレム、ラングリッサーなどの秀作も登場しなかったかもしれないのですから。そしてこのボコスカウォーズというゲーム、昨今の同ジャンルのゲーム群と比べても独自の個性、世界観、そして攻略性を持つ誠に素晴らしいゲームなのです。プレイしてみればわかると思いますが、とにかくこのゲーム、他のゲームとは一味どころか二味も違います。……そういうとなんだか「明日の方向」と「明後日の方向」くらい、意味が大きくかけ離れているような響きで、全然誉め言葉になってないような気もしますが、少なくともボコスカウォーズの箱にそういうウリ文句が書かれているのは事実です

ゲームの目的は自分がスレン王となって、宿敵であるオゴレス王を倒すことです。ところが、自軍の兵はオゴレスの魔の手によって木や岩に変えられています。魔法のメカニズムは私には分かりませんが、味方が瞬時にして点々と変えられて散らばっているところや総勢わずか180名の軍隊でも十分事足りてることを見ると、その魔法の恐ろしさがおわかりいただけるでしょう。その細胞組織の形成状態をも瞬時にして別の物質に変換させるという恐ろしい魔力を持つ敵に対し、我らスレン王はたった一人で味方を一人ずつ地道に探索しながら立ち向かわなければならないのですから大変です。

そして、このゲームのメインBGMもそれらの事象を物語るかのような、どことなく孤独と物悲しさを持つものに仕上がっています。当時ゲームの音楽に歌詞をつけるということが流行していたのですが、このゲームもご多分に漏れず素敵な歌詞がつけられています。いくら有名な歌詞とは言えファミコン初期のもの。JASRACに登録されてないものとタカをくくって歌詞をあげてみると……

すすめ すすめ ものども
じゃまな敵を けちらせ
敵の 城を 目指せ
オゴレス倒すのだ

実に覚えやすい歌詞とヘ長調の悲しい旋律が心に響き渡ります。ちなみにこの曲、エンドレスです。ゲームをはじめてからオゴレス王のところまでずっとこの曲です。聞いてるうちに曲の感じがあやしくて宗教的音楽に聞こえてくる人もいるかもしれませんが、少なくとも洗脳音楽なのは間違いありません。

いよいよゲームの内容ですが、なにしろ二味違うRPGなので心してかからなければなりません。特に気をつけなくてはいけないのが敵との勝負判定法です。大概のシミュレーションRPGでは、自ユニットを敵へ隣接なり接触なりさせて攻撃をしかけ、それぞれのダメージを判定、そしてその時にヒットポイントがゼロになったほうは死亡したり、戦闘が終わると経験値獲得などの流れを採用しているのが一般的でしょう。ところがこのボコスカウォーズ、自ユニットを敵へ接触まではいいものの、それからの判定法がなかなかにシビアで必ずどちらかが死んで片方が生き残ります。しかもそれは主人公とて例外ではありません。各ユニットには10〜300程度の間で「強さ」のパラメータが用意されていますが、自軍にて強さ250のユニットを強さ10の敵に突っ込ませても死ぬことがザラなのです。無論生き返るなどという概念はありません。せっかく木から元の姿に戻れたのに、その直後に敵に突っ込んで死にに行く姿は、命の尊さとはかなさを思い知らされます。そしてその戦いに破れたキャラが主人公ユニットなら、無論その場で即ゲームオーバーです。きっとこのゲームは「いかなる連戦錬磨の英雄といえどもふとしたミスで死んでしまう」ということを再現したかったのでしょう、その証に「3人殺せばクラスチェンジ」というシステムを持っています。他のゲームでは既に英雄という設定の元ではじまってるためかどうかは知りませんが、近くにいる3人の敵ぐらいは試し斬り感覚で軽く屠ってくれます。しかしこのゲームではここにきてようやく英雄扱いなのです。クラスチェンジすると色格好も変わり、強さパラメータも大幅に上昇します。何とも心強く頼もしい重臣が誕生しますが、肝心の死に易さに関してはあまり変わらないようです

このゲームを少しでも確実にクリアする為には、無意味やたらに味方を戦わせないことです。一応王様一人でも何とかなりますが、なにかと一人では心細いものです。どうせ死に行く運命の味方とは言え、もしかしたら敵との戦いに勝って道を切り開いてくれるかもしれないので、なにかあったときの保険用として仲間を見つけ、肉の壁を築きながら進軍して行くことにしましょう。そして王が敵に囲まれてどうしようもなくなったときにこそ、これらの切り札を起用すべきなのです。ですが、敵が密集してるところに向かってまで仲間を救出に行くのは逆に自殺好意です。木に変えられた味方には申し訳ないですが、彼には一生を光合成しながら過ごしてもらうことにしましょう。とにかくこのゲーム、間違っても味方をもっと強くしようなどと考えたり、じゃまな敵を蹴散らそうなどと考えてはいけません

なかなかにシビアなこのゲームですが、王様が死んだら終わりということを考えれば「王が死ににくくなるまで育てる」というのも一法です。王が強くなるまで一番弱い敵相手に経験値稼ぎをすれば少しは進み易くなりますし、ゲームオーバーになっても最初の方ならやり直す気力も残っているでしょう。しかしこれは、あくまでも「今日はとりあえずオゴレス王を倒しておこう」と考えてる場合にしか通じません。このゲームは無事にオゴレス王を倒すと、なんと2周目がはじまります。敵もパワーアップし(1周目+10)、落とし穴という存在まで出来て、ただでさえクリアが困難なこのゲームが一層困難になるのです。最大5周まで敵が強くなるらしいですが、私はかなり昔にたった1度だけ3周まで行ったのが限界です。どなたか5周出来る攻略法があったら教えてください……

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