魔法少女ファンシーCoCo
魔法のプリンセスの帝王学とは

魔法少女ファンシーCoCoを語る上で欠かせないゲームが、育成系ゲームの元祖であるガイナックスの「プリンセスメーカー」。俗にプリメといわれてるこの作品の目的はズバリ「娘を育てて立派なプリンセスにする」ことでした。育成黎明期におけるこの作品は今見てみると、ごくシンプルなシステムで成り立ってることに驚くでしょう。『名作ロールプレイングの「ウィザードリィ」からキャラメイキング&ステータスのみにスポットを当てたゲーム』と例える人もいます。イベント重視な昨今の恋愛重視系ゲームとは違い、「何かをすれば何かが下がる」という中で成長させて行くあたりは純粋なゲーム的面白さを持っているともいえましょう。さて、ここで紹介する「魔法少女ファンシーCoCo」。世間がイベント重視なシステム全盛時代のさなかにおいて、このゲームはまんま「プリンセスメーカー」しているのです。

プレイをはじめる前に箱を取ると、この手のゲームに欠かせないろりぃな主人公が見えます。彼女がこのゲームのヒロインであるプリンセスCoCoなのですが、かなりロリロリなのに極めて露出度の高い服を着ています。おまけに胸も大きいです。ちなみにゲーム中ではこれが彼女プリンセスCoCoの普段着とのこと。このへん製作者はユーザーのニーズをわかっていらっしゃるようです。箱の裏を見ると「魔法少女育成シミュレーションがついに登場!」とかかれて、脇には登場キャラ全員が描かれてるのですが、ここで「表と絵柄がかなり違うような…」などとくだらないツッコミをしてはいけません。ゲームをプレイすればそんなことは些細なくらいツッコミどころが満載なのがわかります。例えば取扱説明書の2ページに渡るプロローグ、ゲームに必要な文章は一番後ろのたった3行だけで、あとはゲーム中には一切伏線すら出てこない裏設定みたいなものですから。

電源を入れるとオープニングムービーが流れます。画像が粗いのはプレステ初〜中期作品なのでこの際大目に見ましょう。当時見てても粗かった気がしますが。ムービー内容はなかなか無意味に派手で壮大なバトルを見せてくれます。しかしムービー要素の8割程度を成す宇宙戦艦や、炎の竜、壮大な背景などはゲームには一切関係ありません無論そんなものは出てきません。ともかく、ゲームをスタートするとまんま「プリンセスメーカー」なのがわかります。バイトこそないものの、お金は服やアイテム購入ぐらいにしか使わず、習い事にお金はかからないので、育成面だけ考えれば「お金の概念の無いプリメ」と見ても差し支えないでしょう。一応バカンスなんてものには多少の金を使いますが。さて、「城を歩く」を選ぶとそこの人達と話が出来ます。しかし彼らはせいぜい立派なプリンセスまでに必要なパラメータがどのくらいまで達してるかの大まかな目安を数段階の反応で教えてくれる程度なだけで、彼らのゲーム中の役割はそれだけです

育成ゲームに欠かせない要素(?)が服装。さっそくある程度の金がたまったところで店に行くと売ってる服がセーラー服とかバニー服ネコ・コスプレ服とかいった何ともアレな服が多いことに気づくでしょう。そう、それこそがこのゲームの真髄とも言える骨格で「悪夢のプリンセスメーカー」と異名をとる所以でもあります。ちなみに一年に一回人間界に行けるのですが、そこにはアニメショップなるものがありアニメキャラフィギュアとかマンガ作りセットなんてモノまで買えます。CoCoのパラメータには「趣味」という項目もあり、最後に使ったアイテムが趣味になるというわかりやすいシステムなので、そちら系に調教するのはいとも容易なことです。しかし基本はプリメ。それに類するイベントなどは一切用意してない硬派ぶりなので、過剰なサービスは期待してはいけません。能力値のほかに身長、体重、スリーサイズ(なお育成期間は8歳〜12歳)のパラメータもあるのであくまでも数字だけで想像して萌えましょう

今までさんざんプリンセスメーカーと比較してきましたが、このゲーム独特の要素として「CoCoが変身魔法で変身できるものを身につける」というものがあります。これは、一定の能力値を超えると最初は赤ん坊にしか変身できなかったものが成長してパラメータが変化するごとに様々な職業にかれーなるせーちょーをとげることができるというもの。変身先には女学生やウェイトレス、アイドルといったお約束のものから、アニメ声優、美少女戦士なんて変り種まで計50種類が用意されています。で、これがどうゲームに絡んでくるかというと、なんと、ごく一部がおまけゲーム登場のフラグになってるだけで、そのほとんどは何も絡んでこないのです。そう、一切の寄り道をせずひたすらより良い(あるいは悪い)エンディング目指すときでも若干のパラメータ変化がある服などはそれなりに重要とも言えますが、この変身魔法に至っては何の役にも立たないのです。このゲーム一番のウリとも思われるシステムが一番役に立たないというのはどこの会社も真似できない大胆な発想でしょう。

ともあれ育成そのものは結構それなりに楽しめると思います。打倒ライバルを掲げて立派なプリンセスに育てるも良し、あの手この手でCoCoをマニアックな指向に染めるも良し、ひたすら買い食いして、人間界を支配するエンディング目指すもよし。何気にドットが粗く見えるゲーム画面も何十回もやれば見慣れてくるものです。これで、プレイ時間の半分以上を占める、戦闘シーンのカードバトルさえなければ結構遊べるゲームではないかと思います。

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