松本 亨の株式必勝学
バブル時代の象徴

現在、シミュレーションゲームのジャンルは戦国モノ、近代戦争モノにはじまり、競馬、都市作成、育成、恋愛などなど多岐にわたりますが、ここ最近トンと見ないシミュレーションのジャンルに「株式取引」があります。もっとも、現在の金融情勢でそのジャンルをだしたところで数多の他企業を全て敵に回しかねませんが。社会全体の景気がよかったときだからこそ許されるジャンル、株式取引。しかしそれの先駆けとも言える「松本亨の株式必勝学」はじつに趣のある仕上がりになってます。とにかく、製作先のイマジニアテイストが存分に味わえますから。

ゲームの目的は、主人公が松本亨先生に弟子入りをしたい。しかし、松本亨先生は一つの試練を与え、それをクリアできたら弟子入りを認めるというもの。しかし、その試練というのが「100万の元手を2年で1億にしろ」…無理です。それが出来るくらいなら弟子入りなどしなくてもいいような気さえしますが、主人公は松本亨先生を師と仰いでるという設定なので、たとえ無茶でもやらなくてはいけないようです。で、説明書に目を通すとゲームの目標である「総資産額1億円以上」のほかに「レベル(LE)25以上」という謎の条件が設定されてることに気づきます。読み進めてみると、自分のパラメータには所持金以外に健康度(HP)、生活度(LP)、レベル(LE)などという項目があるではありませんか!しかもHPやLPがなくなるとゲームオーバーという徹底ぶりです。単なる株式取引ゲーだけに終わらせようとしないイマジニアの気合が感じられます。思いっきり空回りしてる気がしますが。

ゲームの進行はリアルタイム方式です。株式売買を考えると理想の方式なのでしょうが、画面上に出てる株価ボードを切り替えてる間も刻一刻と時間が進んで行きます。大金の預金となると、それだけで1日が終わってしまいます。株式取引はまさに時間との戦いなのです。操作性との戦いとも言えますが。そんな戦いの間を縫って買い物に出かけると、そこにはHP上昇の為の「スポーツ」やLP上昇の為の「レジャー」が用意されています。ボウリング1回5000円とか、ドライブ1回20000円とか社会までが主人公を敵に回してるような価格設定がなされていますが、これをしないとパラメータは日ごとに減って行くので購入せざるを得ません。ちなみに2年目になるとさらにこれらの価格が1.5倍近くにインフレします。そして株式売買自体がしょっちゅうやるものでもないので、こちらのほうがゲームのメインとなります。このシステムが評判よかったのかどうかは知りませんが、続編の「松本亨の株式必勝学II」では、リアルタイム進行に加え、街中が3D迷路で構成される大胆ぶりです。ここまでやるなら、あとは敵をエンカウントさせれば全てが完璧です。

ゲームを進めて行くと、「!」のアイコンが光り始めます。ハプニングサインです。このゲームは、これによって様々なイベントが発生するしくみになっています。定期収入、借金返済などがこれらによって発生するのですが、これを開かなければ次の日に進めるコマンドを使用できないようになってます。一見、強制イベントのように思えますが、リアルタイムゲームなので時間の進行さえ我慢できれば一応は放っておくことも可能です。まぁいつかは開ける日が来るのでしょうけど。イベントの中には結婚、出産、遺産相続のほかに、火事、盗難、交通事故など、なんだか人生ゲームを髣髴させるものが用意されています。車買うとやたらと事故を起こせる主人公とか、数億の現金であろうとも風呂敷に入れて盗む泥棒のバイタリティには誠に恐れ入りますが。

さて、この株式必勝学必勝法となると理論は単純です。このゲームの株価は、日ごとの価格こそランダム性が持たれているものの長い目で見たときの上昇法は一定、すなわち上がる株は何度かやればおのずとわかってきます。チャートコマンドで半年ずつ全銘柄の記録を取りさえすれば、無茶な試練の設定額など2年を待たずにあっという間に攻略できます。いささか面倒ではありますし、なにより現実では使えない必勝法なのが残念ですが。また、いくら数十億単位の売買をしようが、株価が微動だにしないのはきっと、インサイダー取引防止策でしょう。決してゲームの手抜きではないはずです。えぇ。

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