To Heart
〜Through a year with セリオ〜




 第4章  お見舞い(9月5日)


「ふあーーーー・・・一週間てのはこんなに長かったかなー!?」
 学校からの帰り道、大きなあくびをしながら俺はそうボヤいた。
「ふふふ、浩之ちゃんてばスッカリ休みボケだね」
 隣を歩いていたあかりが、可笑しそうにそんな事を言った。
「ああ、かもしれねえな・・・ふああーーーーー」
 俺はそう答えながらもう一度大きなあくびをした。
 大体、俺に言わせてもらえば、夏休みが明けて一週間も経っていないのにまともに授業を受けられるあかり達の方が余程おかしいと思う。
「ああー、どうせ『まともに授業を受けてる私達の方が変だ』とか思ってるんでしょー?」
 俺の顔を覗き込んでいたあかりが、クスリと笑いながらそう訊ねた。
 さすがに長い付き合いだけあって俺の考えなどお見通しらしい。
「だってよー、普通そう思わないか?お前らには、あの眩しい太陽の下で過ごした輝かしい日々の余韻てのはないのか?」
「そ、そうかなー・・・」
 俺の少々大袈裟なジェスチャーを交えた言葉に、あかりは困ったような顔をした。
 生憎今日は雅史と志保は一緒ではないので、あかりは誰にも助けを求められず困り果てている。(もっとも、志保の場合、助けてもらうより窮地に立たされる可能性の方が遥かに高いだろうが・・・)
「う〜ん・・・」
 生真面目なあかりは、何とか適切な答えを返そうと腕を組んで考え込んでいる。
 そんなあかりの視線が不意に、『ある物』で止まった。
「ひ、浩之ちゃん!見て見て、このビルもうすぐ完成だね!」
 あかりは、すぐ脇にそびえている建設中の高層ビルを指差しながらそう叫んだ。
『ったく、相変わらず誤魔化すのがヘタクソな奴だな』
 俺は少し呆れながらも、あかりに話しを合わせてやることにした。
「ホントだな。ところで、このビルって何になるんだっけ?」
「確か、総合ショッピングセンターになるって話だよ。大きな100円ショップなんかも入るみたいだから今から楽しみだよ!」
 俺の問いかけに、あかりが嬉しそうに答えた。
「100円ショップなんかそこら中にゴロゴロあるじゃねーか」
「だって、今度出来るのはすごく大きいんだよ!浩之ちゃんだって行ってみればきっと楽しいと思うよ」
「俺はそういう面倒くさいのはパスだ!」
「そう?」
 俺の言葉を聞いて、あかりは本当に残念そうな顔をした。
「浩之さ〜ん!!」
 しょんぼりしているあかりを、やれやれと思いながら見ていた俺は、不意に自分の名前を呼ばれ声の方に視線を向けた。
 見なくても声の主の想像は付いた。
こんな街中で俺の名前を大声で呼ぶ人物など、彼女ぐらいのものだ。
「浩之さ〜ん!!」
 俺の予想通り、声の主であるマルチは、俺の視線に気付くとブンブンと手を振りながら再度俺の名前を呼んだ。
「ぷっ!」
 その無邪気な行動に、俺とあかりは顔を見合わせて思わず吹き出してしまった。
「なんだ、マルチ今帰りかー!?」
 俺はマルチに負けないぐらいの大声でそう訊ねた。
「はい!セリオさんも一緒なんですー!」
 マルチがそう叫ぶと、マルチの後ろに立っていたセリオがこちらを振り向き軽く会釈をした。
 製造順からするとマルチの方がお姉さんらしいが、2人の行動を見る限りどうしてもセリオの方がお姉さんに見えてしまう。
『まったく、相変わらずの凸凹コンビだな』
 俺がそんな事を考えながら何気なく視線を上空に向けた時、俺の目に信じられない光景が飛び込んできた。
 ブチ!
 そんな音が聞こえてきそうな程の勢いで、クレーンで釣り下げられていたビルの建築資材を束ねていたワイヤーが切れたのだ。
『なっ!?』
 ドラマならともかく実生活では起こり得ないようなその光景を目の当たりにして、俺は反射的にその落下予想地点に目を向けた。
「ヤバイ!!」
 ダッ!
 俺から50メートル程前方のその予想落下地点に小さな女の子がいるのを発見した時、俺は迷わず走り出していた。
「浩之ちゃん?」
 資材の落下に気付いていないあかりが驚いたように声をかけてきたが、俺はそれを無視してひたすら走った。
『ギリギリ間に合うか!?』
 俺がそう思ったのと女の子を抱きかかえたのは殆ど同時だった。
『よし、後は離脱する・・・』
 ズルッ
「うっ!」
 焦りすぎたのが失敗だった。慌ててその場から離れようとした俺は、誤って足を滑らせその場につんのめってしまった。
「キャーーー!」
 ようやく事態に気付いたあかりの悲鳴を聞きながら目前に迫った建築資材を目の当たりにした瞬間、俺は死を覚悟した。
 ドン!
 しかし、次の瞬間俺を襲ったのは、上からの押しつぶすような圧力ではなく、横から突き飛ばすような力だった。
「痛て!」
 ガラガラガッシャーン!!
 次の瞬間、それまで俺達がいた地点に凄まじい音をたて建築資材が落下してきた。
「うえ〜ん!!」
 それまで事態が飲み込めずキョトンとしていた俺の腕の中の女の子が、その音に驚いて泣き始めた。
「よしよし、もう大丈夫だぞ」
 俺は女の子をあやしながら、落下地点に目を向けた。
「セリオ!?」
 砂煙が舞っているその場所にうつ伏せになったセリオの姿を見付けた時、俺は思わず叫んでいた。
「浩之さん、お怪我はありませんか?」
 俺の声に気付いたセリオが、顔を上げて心配そうに訊ねてきた。
 よくよく見てみれば、セリオの右足は建築資材に潰されていた。
「俺は大丈夫だ!それよりお前の方は!?」
「それを聞いて安心しました。私の方は心配いりません」
 セリオはそう言いながら安堵の表情を見せた。
「浩之ちゃん!」
  「浩之さん、セリオさん!」
 その時、野次馬や建設作業員に混じってあかりとマルチが駆け寄って来た。
「浩之ちゃん、怪我してない!?」
 あかりが泣きそうな顔でそう訊ねてきた。
「ああ、俺の方は全然・・・セリオのお陰で命拾いしたみたいだな」
「良かった・・・。浩之ちゃんが飛び出すと同時にセリオさんも走り出して、危機一髪の所で突き飛ばしてくれたんだよ。セリオさんは浩之ちゃんの命の恩人だね」
「そうだったのか・・・ありがとな、セリオ」
 あかりの説明を聞いた俺は、改めてセリオにお礼を言った。
「そんな・・・私はロボットとして当然の事をしたまでです」
 俺の言葉を聞いて、セリオは恥ずかしそうにそう言いながら少し俯いてしまった。
 俺の気のせいかもしれないが、その頬がほんのりと赤く染まっているように見えた。
「あかり、この子を頼む。マルチ、ちょっと手伝ってくれ!」
「は、はい!」
 俺はあかりに女の子を任せて、マルチと一緒にセリオの足に乗っかっている建築資材に駆け寄った。
 俺とマルチ、そして俺の意図を悟ってくれた数人の建設作業員は、同時にその資材に手を掛けた。
「せーの!」
 俺の掛け声に合わせて、全員が一斉に資材を持ち上げた。
 ガラーン!
 程なくして、俺達は資材をセリオの足の上から取り除く事に成功した。
「大丈夫か、セリオ?」
「はい。ありがとうございました浩之さん」
「礼を言うのはこっちの方だよ。それより怪我はないか?」
「右膝部駆動部に若干の損傷がありますが、それ以外は特に問題ありません」
 セリオはそう答えるとフラフラと立ち上がった。
「セリオ無理はするな、しばらく座ってろ!」
「心配いりません。バランサーも正常に作動してますし、多少難はありますが歩行は可能です。それに、いつまでもこの場に留まっていては、片付け作業に支障が生じます」
 セリオはそう言いながら片足を引きずるようにヒョコヒョコと歩き始めた。
「仕方ねーな」
 俺はそう呟くや否や、セリオの側に駆け寄り彼女をヒョイと抱きかかえた。
「なっ!?ひ、浩之さん!?」
 俺に突然お姫様抱っこされる形になったセリオは、珍しく動揺したような声を上げた。
「要はこの場から離れればいいんだろ?少し行った所にベンチがあるからそこまで運んでやるよ」
「そ、そんな、いけません!私は自分で歩けますから降ろして下さい!人間の方の手を煩わせる訳には・・・」
「セリオ!」
 ビクッ
 俺の腕の中でジタバタともがいていたセリオだったが、俺が少し大きな声を出すと体を硬直させて少し驚いたように俺の顔を見上げた。
「俺もお前に借りを作ったままじゃ寝覚めが悪いんだよ。もし、俺の役に立ちたいと思うんなら、ここは大人しく俺のやりたいようにさせてくれないか?なっ?」
 俺はそう言いながらニッコリと微笑んだ。
「・・・分かりました・・・それでは、お願いします」
 セリオは少し恥ずかしそうにそれだけ言うと、抵抗を止め俺の胸にそっと頬を押し付けた。
 ドキン!
 その表情が何とも言えず色っぽかったので、俺は柄にもなく胸を高鳴らせ赤面してしまった。
「よ、よし、それじゃ行くぞ!」
 俺は顔が赤くなっているのを悟られないようにわざとぶっきらぼうにそう言うと、ベンチに向かって歩き始めた。

 その後、俺は助けた女の子の母親と工事現場の監督に散々頭を下げられて少し困ってしまった。
 セリオは、マルチの連絡を受けて迎えに来た研究室のライトバンに乗せられ帰路に就く事になった。
「それでは浩之さん、今日は大変お世話になりました」
 迎えのライトバンに乗り込みながら、セリオが律義に頭を下げた。
「よせよ、世話になったのは俺の方なんだし。それより、怪我はすぐ治りそうなのか?」
「はい。私達ロボットはパーツを交換すれば良いだけですので」
「そうか、それじゃ明日にはまた学校で会えるな?」
「はい」
 セリオはそう言うと大きく頷いた。その顔は少しだけ嬉しそうだった。
「それじゃ、また明日。マルチもまたな!」
 俺は奥に乗り込んでいたマルチにも声をかけた。
「はい、また明日!」
 声をかけられたのが嬉しかったのか、マルチが元気な声でそう答えた。
 バタン!ブロロロロロロー
 セリオとマルチを乗せたライトバンはドアを閉め、その場から走り去って行った。
 それを見送る俺に向かって、後ろの窓からマルチがブンブンと手を振っている。
「ははは、マルチの奴め・・・おっ!」
 それを微笑ましく眺めていた俺の目に、意外な光景が飛び込んできた。
 何と、派手に手を振っているマルチの横で、こちらに振り向いたセリオが小さく手を振っていたのだ。
 俺はそれに応えるようにセリオを見つめながら手を振り返してやった。
 すると、それに気付いたセリオは、恥ずかしそうに俯くとそのままクルッと背を向けてしまった。
 やがて、セリオとマルチを乗せた車は俺の視界から消えて行った。
「ねえ、浩之ちゃん・・・さっき、セリオさんも手を振ってなかった?それとも、私の見間違いかな?」
 俺の隣で車を見送っていたあかりが、自信なげにそう訊ねてきた。
「いいや、確かに振ってたよ」
 そう答えながら、俺は何故か嬉しくてしょうがなかった。


 次の日、セリオは学校へ姿を現さなかった。
『セリオの奴どうしたんだ?まさか、怪我の具合が予想以上に悪かったとか?』
 考えれば考えるほど俺の予想は悪い方へ悪い方へと発展して行き、とても授業を平然と受ける気分にはなれなかった。
 事情を聞こうにもマルチも一緒に休んでいる為出来ず、その事が俺の不安を更に煽り立てた。
『よし、お見舞いに行ってみよう!』
 俺がそう決心したのは、4時限目の終了5分前の事だった。
 幸い今日は土曜日、授業もこれで終りなので丁度都合も良かった。
 次に俺が考えたのはお見舞いの品である。
 さすがに手ぶらでは行けないと思った俺だったが、今まで人のお見舞いなどに行った事がなかったので、肝心の品物が思い浮かばなかった。
 そこで、俺は人からアドバイスを受ける事にした。
 真っ先に思い浮かんだのはあかりだったのだが、俺には『お見舞い』という行為がどうにも恥ずかしく思え、出来れば事情を知っているあかりは避けたかった。
 次に思い浮かんだのは雅史なのだが、相談内容が内容だけに男である雅史はあまりあてにできそうもないとすぐに考え直した。
 女の子で、気軽に話せ、きちんとした回答をしてくれそうな子(この時点で志保の名前が俺の中から完全に削除された)・・・そんな条件を満たす人物として、俺は一人のクラスメイトに白羽の矢を立てた。
 キ〜ンコ〜ンカ〜ンコ〜ン
 授業終了のチャイムが鳴ると同時に、俺は速攻であかりと雅史に一緒に帰れない事を告げ、白羽の矢を立てた人物・委員長こと保科智子の元へ駆け寄った。
「委員長、ちょっと相談に乗ってくれないか?」
「なんや藤田くん、薮から棒に?」
 突然声をかけられて驚いたのか、委員長がキョトンとした顔でそう聞き返してきた。
「時間は取らせないからさ・・・ダメかな?」
「ま、別にええけどな。それで、どないな用件や?」
 委員長はそう言いながら、椅子に座り直した。
「サンキュー!実はさ、ある人のお見舞いに行こうと思ってるんだけどさ、何をお見舞いに持って行ったら喜ばれると思う?」
 俺は一言お礼を言った後そう切り出した。
「お見舞いねー・・・その人って怪我したん?それとも病気か?」
「・・・一応、怪我かな?」
「なんや、その『一応』ってのは?」
「い、いや、何でもないんだ!それより、どんな物が良いかな?」
 委員長の鋭い突っ込みを、俺はそう言って何とか誤魔化した。
「そやな、怪我の場合やったら一般的には果物や菓子折りってとこやな」
 少し考えて、委員長がそう答えた。
「果物か・・・食い物はちょっとな・・・」
 セリオの事を思い浮かべながら、俺は難色を示した。
「あかんか?・・・そもそも、見舞いの相手っちゅうのは女なんか?それとも男か?」
「そ、それは・・・」
 委員長の質問に、俺は思わず口篭もってしまった。
「そっか、女の子か」
 そんな俺の様子を見て、委員長はやれやれといった表情でそう言った。
「な、何だよ、俺はまだ何も言ってないぜ!」
「そんなの藤田くんの態度見てれば分かるがな」
 俺の必死の抗議は、呆れ顔の委員長にアッサリと切り捨てられてしまった。
「う・・・」
「女の子やったら花がええやろ」
 絶句している俺に向かって、委員長がキッパリとそう言った。
「花?」
「そや!花をもらって嬉しゅうない女の子は、まず居いへんで!」
 少々面食らっている俺に向かって、委員長はまたもやキッパリとそう言い放った。
「そんなもんかな?」
「そんなもんや!」
 正直俺は半信半疑だったが、キッパリと断言する委員長の姿を見ると妙に納得出来るような気もした。
「それで、どんな花が良いのかな?」
 お見舞いの品を『花』と決めた俺は、当然のように委員長にそう訊ねた。
「それはウチが言うべき事やない!藤田くんが自分で考えやるべきや!」
「そ、そんな!?委員長、意地悪しないでくれよ!」
 委員長の冷たい言葉に、俺は思わず情けない声を出してしまった。
「別に意地悪で言うてる訳やないで。花は言うなれば送り主の心を映すもんや。そんなもんを人に聞いたりしてどないするんや?送り主である藤田くん自身が決めるもんやろ!」
「う・・・」
 委員長のもっともな意見に、俺は返す言葉が見付からなかった。
「大丈夫やて、藤田くんが選んでくれた花なら、その子もきっと気に入る筈や!」
 少しだけ落ち込んでいる俺に向かって、委員長はニッコリ微笑みながらそう言ってくれた。
「委員長・・・サンキュー!」
「うん!ほな、気張りや!」
 俺の言葉を聞いて満足そうに頷くと、委員長はそう言い残して教室を出て行った。
「よーし、張り切って花屋に向かいますかね!」
 俺は自分に言い聞かせるようにそう呟くと、一路花屋に向かい教室を後にした。

 花屋で散々思案した挙げ句俺が買ったのは、かすみ草の花束だった。
 随分悩んだのだが、結局財布の中身と相談した結果少々地味なこの花束となってしまったのだ。
「大体、花ってのは高すぎるよな」
 バスから降りた俺は、そうぼやきながら目的地に向かってトボトボと歩き続けた。
 程なくして、俺はその目的地の正面入口に到着した。
 『来栖川電工中央研究所』という看板が掲げられた白い巨大な建物の群れは、俺を圧倒するのには充分だった。
「うわ〜・・・でけー建物だな・・・。ここで、セリオやマルチは生まれたのか・・・」
 少しだけ感慨深くその建物を眺めていた俺の脳裏に、その時1つの基本的かつ重要な疑問が思い浮かんだ。
「ここって、俺みたいな一般人て入れてもらえるのか?」
 仮にもここは天下の来栖川電工の研究所、増してや最新鋭のメイドロボットの開発室があるのだ。よくよく考えてみれば俺みたいな一般人が入れる方が不自然だ。
『やべー・・・全然考えてなかった』
 俺は自分の考えの無さに、思わず自分自身で呆れてしまった。
『せっかくここまで来たんだ、ダメ元であたってみるか!』
 しかし、直ぐにそう気持ちを切り替えると、入口横の受付に向かってズンズンと歩き始めた。
「あ、あのーすみません・・・」
 俺は目一杯緊張した声で、受付の警備員に声を掛けた。
「はい、何でしょうか?」
 強面の警備員が、胡散臭そうな表情で俺を見ながらそう訊ねてきた。
 学生服の高校生が花束抱えて声を掛けてきたのだから、それも仕方のない事だろう。
「あの・・・ここはセリオの家・・・というか、研究所なんでしょうか?」
「セリオ?」
 俺の言葉を聞いて、警備員は思いっきり訝しげな表情をした。
「あ、いや、あの・・・メイドロボットのHM・・・あれ、何番だっけ?」
「ああ、あのメイドロボットの事ね。確かに、ここは彼女達の開発・研究を行ってる研究所だよ」
 俺の断片的な言葉から推測したのか、警備員がそう教えてくれた。
 しかし、声の感じからして俺を歓迎してないのは一目瞭然だった。
「あの・・・俺、そのセリオのクラスメイトなんですけど、彼女今日学校に来なかったんで・・・その、お見舞いに来たんですけど・・・その、中に入れてもらえないでしょうか?」
 俺は意を決して、オズオズと本題を切り出してみた。
「ダメだね!」
 警備員の回答は実にシンプルだった。
 俺が明らかに落胆した表情を見せると、警備員は図に乗って更に言葉を続けた。
「ここは天下の来栖川電工の最先端を行く研究室だよ。企業秘密だって山のようにある。君みたいな普通の高校生が中に入れない事ぐらい、常識で考えれば分かりそうなもんだがね!」
 警備員はそう言うと、俺を馬鹿にしたようにフフンと鼻を鳴らした。
『このヤロー!!』
 俺はその態度に心底頭に来たが、相手が言っている事は正論だけに何も言い返せなかった。
「分かりました・・・どうもすみませんでした」
 俺が断腸の思いでその場を去ろうとしたその時、
「あー、ちょっと待ちたまえ」
 突然門の内側から俺を呼び止める声が聞こえてきた。
「え?」
 俺が反射的に振り向くと、そこには白衣を着た一人の中年の男性が立っていた。
 白衣を着ているところを見るとここの研究員なのだろうが、だらしなくニヤけている顔といい、ボサボサの髪といい、ずり落ちた眼鏡といいとてもそうは見えなかった。
「長瀬さん!」
 その人物を見て、警備員が思わず声を上げた。
「話は聞かせてもらったよ。君はセリオのクラスメイトらしいね?」
 『長瀬さん』と呼ばれた中年研究員は、警備員の言葉を無視してそう訊ねてきた。
「はい・・・」
 俺は少し戸惑いながらもそう答えた。
「そうか、そうか・・・それでは私に付いてきたまえ。セリオの所へ案内しよう」
 長瀬さんは満足そうに頷くと、何とも魅惑的な言葉で俺を誘ってくれた。
「本当ですか!?」
 にわかに信じられない話に、俺は思わずそう聞き返してしまった。
「勿論!」
 そんな俺の言葉を聞いて、長瀬さんはキッパリとそう断言してくれた。
「ちょ、ちょっと待って下さい!それでは規則という物が!?」
 長瀬さんの言葉に驚いた警備員が、慌てて口を挟んできた。
「責任は私が持つよ。まあ、そう堅く考えなさんな。高校生の工場見学とでも思えば良いじゃないか、ははははは!」
 警備員の言葉を軽く聞き流して、長瀬さんはそう言って豪快に笑った。
「分かりました。問題は起こさないで下さいね」
 警備員は渋々といった感じでそう言うと、俺に通行許可証を渡してくれた。
「さ、行こうか!」
 それを確認した長瀬さんは、ポンと俺の肩を叩くとそのまま歩き始めた。
「は、はい!」
 俺は少々戸惑いながらもその後に続いた。

「うお〜、スゲー・・・」
 工場内に踏み込んだ俺は、その設備の凄さに圧倒された。
 シンプルな建物の外見とは対照的に、工場内は複雑で高価そうな機械で埋め尽くされていた。
『もしかして、俺ってとんでもなく場違いなんじゃ・・・?』
 学生服姿の自分をマジマジと見つめながら、俺はそんな事を考えた。
「藤田くんというのは君のことかな?」
 その時、前方を歩いていた長瀬さんが突然そんな事を訊ねてきた。
「えっ!?た、確かに藤田は俺の名前ですけど・・・」
 突然自分の名前を言い当てられて、俺は少し狼狽してしまった。
「やっぱりな。いやー、君の事はマルチやセリオからよく聞いていてね・・・そのイメージとピッタリだったもので、もしかしてと思ってね」
 長瀬さんは頭をポリポリと掻きながらそう言った。
「え、セリオやマルチが俺の事を?・・・で、どんな事を?」
 俺は、嬉しさ半分不安半分な気持ちでそう訊ねた。
「ま、色々ね・・・」
『おいおい!』
 長瀬さんの曖昧な答えに、俺の不安は益々高まってしまった。
「さあ、ここからがセリオ達のいる第7研究開発室だよ」
 そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、相変わらず飄々とした表情で長瀬さんが説明してくれた。
「長瀬主任〜!」
 その時、パタパタと駆け寄ってくるような足音と一緒に聞き覚えのある声が聞こえてきた。
『しゅ、主任ーーーーー!?』
 長瀬さんの事をてっきりヒラ研究員だと思っていた俺は、その言葉に仰天してしまった。
「おおマルチ、検査はもう終ったのか?」
 そんな俺のリアクションなど気にも留めず、長瀬さんは駆け寄ってきたマルチに嬉しそうに声を掛けた。
「はい、後はAIのパルスチェックと外傷の検査を残すだけで・・・ああっ、浩之さん!?どうしてこんな所へ!?」
 長瀬さんの後ろに俺の姿を見付けたマルチが、驚いたようにそう叫んだ。
「ようマルチ、元気そうだな!」
 俺は咄嗟に手にしていた花束を背中に隠しながらそう答えた。
「はい、お蔭様で元気です!でも、浩之さんはどうしてここへ?」
「いや、お前とセリオが学校に来なかったからさ・・・その、どうしたのかなーと思ってさ・・・」
「それで、わざわざ会いに来て下さったんですか?」
「ああ、まあな」
「ううう・・・感激です!」
 俺の言葉に、そう言ってマルチは目を潤ませた。
「おいおい、そんな大袈裟な・・・」
「どうしたんですか、マルチさん?」
 俺がそう言いかけた時、マルチの背後からセリオが姿を現した。
「セ、セリオ!」
「ひ、浩之さん!?」
 普段は冷静なセリオもさすがに俺の存在に驚いたらしく、目をパッチリと見開いて俺の顔を見つめている。
「おお、セリオか!丁度良い、彼をメンテナンスルームまで案内してやってくれ。さ、マルチ行くぞ!」
 長瀬さんは突然そう言うと、マルチの手を引いてズンズンと歩き始めた。
「あ、ちょっと待って下さい!案内だったら私も・・・」
「いいから、いいから」
 何か言いたそうなマルチの言葉を軽く聞き流し、長瀬さんはそのままマルチと一緒に廊下を歩いて行ってしまった。
 その際、こちらをチラリと振り向いた長瀬さんが俺にウィンクしたように見えた。
『まさか、花束のことがバレたんじゃ・・・?』
俺は自分の心の中が見透かされたような気がして、ちょっぴり恥ずかしくなってしまった。
「浩之さん、どうしてここにあなたが?」
 そんな俺に向かって、いつもと変わらない表情に戻ったセリオがそう訊ねてきた。
「あ、ああ・・・セリオが学校に来ないからさ・・・その、足の具合が悪いのかと思ってさ・・・」
「それで、わざわざいらして下さったんですか?」
「ああ、まあね・・・」
 俺は照れ隠しに頬をポリポリと掻きながらそう答えた。
「ご心配かけて申し訳ありませんでした。お蔭様で、膝の方はスッカリ完治しました」
「そっか、そりゃ良かった。だけど、それなら何で今日は学校に来なかったんだ?」
 俺はホッと安堵の息を漏らしながらそう訊ねた。
「実は、私とマルチさんが作られて今日で丁度半年経つので、定期点検を行っているんです。事前に知らせておくべきでした・・・どうも申し訳ありません」
 セリオはそう言って、本当にすまなそうに頭を下げた。
「セリオが謝る事じゃないさ!俺が勝手に早とちりしたんだし・・・とにかく何事もなくて良かったよ!」
 俺はそう言ってニッコリと笑った。
「浩之さん・・・ありがとうございます」
「お礼なんていいよ・・・それより、こいつは無駄になっちまったかな?」
 俺はそう言いながら背中に隠していた花束を差し出した。
「浩之さん、これは?」
 それを見て、セリオが驚いたように訊ねてきた。
「セリオへのお見舞いだよ。
もっとも、あんまり意味がなかったみたいだけどな」
「そんな事ありません!」
「セ、セリオ!?」
 セリオが突然大声を上げたので、俺は驚いてしまった。
「浩之さんが私の事を心配してくれただけでも、私は嬉しいです!」
 セリオはそう言うとハッとしたような表情になり、そのまま赤くなって俯いてしまった。
「それじゃ、こいつは受け取ってもらえるんだな?」
 俺は踊りだしたいほど嬉しいのを必死に押さえながら、セリオに花束を差し出した。
「はい・・・ありがたく頂きます」
 そう言いながら花束を受け取るセリオの顔は、真っ赤に染まっていた。
『か、可愛い・・・』
 そのセリオの仕種に、俺は思わずセリオを抱きしめたくなるような衝動に駆られた。
「さ、浩之さん、メンテナンスルームへご案内致します」
 そんな俺の気持ちなど知る由もないセリオは、そう俺を促した。
「なあセリオ、これから何処へ行くんだ?」
 俺は前を行くセリオにそう訊ねた。
「この後、私とマルチさんはAIと外傷の詳細チェックを行いますので、浩之さんにはそれを行うメンテナンスルームのスタッフルームで待っていてもらう事になります」
「スタッフルームって・・・俺みたいな部外者がそんな所に出入りして良いのか?」
 俺は少し心配になり、思わずそう訊ねた。
「問題ありません。長瀬主任も了承済みですから」
 セリオはいともアッサリとそう答えた。
「なあ、セリオ、あの長瀬さんて偉い人なのか?」
「はい。私やマルチさんを開発したスタッフのリーダーですから」
「へー、そうなんだ・・・そういえば、以前マルチがそんな事を言ってたような気もするな・・・」
 口ではそう答えたものの、俺は正直半信半疑のままだった。
「到着しました」
 程なくして、セリオがとある部屋の前でピタリと止まった。
 プシュー
「主任、浩之さんをお連れしました」
 自動ドアをくぐったセリオは、部屋の中の長瀬さんにそう話し掛けた。
「おう、ご苦労さん。さ、彼は私に任せてお前は準備に入りなさい」
「はい、分かりました。それでは、浩之さんまた後で」
 セリオはそう言い残すと、スタッフルームからガラス1枚を隔てた向こうの部屋へ消えて行った。
「ささ藤田くん、そんな所に突っ立ってないでまあ座りたまえ」
 長瀬さんはそう言って俺に椅子を勧めてくれた。
「し、失礼します!」
 俺は幾分緊張しながらその椅子に腰を下ろした。
 腰を下ろした所でよくよく辺りを見渡してみると、その部屋は見た事もないような計器類で覆い尽くされている。
「あのー・・・ここってどういう部屋なんですか?」
 俺は、隣でコーヒーを啜っている長瀬さんに思わずそう訊ねた。
「ここは、セリオ達のAIのパルスと外傷をチェックする部屋だよ。ああ、AIというのはマルチやセリオに搭載している人工知能の事で、パソコンで言う所のCPUのような物だよ。もっとも、性能は格段に違うがね」
「はあ・・・」
 正直俺には長瀬さんの話がピンと来ず、曖昧に頷く事しかできなかった。
「丁度マルチの検査が始まるところだ。百聞は一見にしかずと言うし、ちょっと見てみるかい?」
 長瀬さんはガラスを隔てた向こうの部屋に目をやりながら、俺を手招いた。
『いっ!?』
 長瀬さんに言われるままに向こうの部屋を覗き込んだ俺は、思わず大声を上げそうになった。
 ガラスを隔てたその部屋には、テレビで見たことがあるCTスキャンのような装置がついたベッドに横たわるマルチの姿がそこにあった。
 マルチの首筋や側頭部からは何本かコードが出ていて、それが機械と繋がっている。
 俺が驚いたのはマルチの格好だった。
 何と、マルチは薄いパンティーのような物以外何も身につけていなかったのだ。
「こ、これは一体?」
 幼児体型を通り越して完全につるぺたなマルチの体を見ながら、俺は思わずそう訊ねてしまった。
「まあまあ、そんなに驚かないでくれたまえ。あのマルチの格好には意味があるんだよ。あの機械は、超短波を使ってマルチの体についた細かい傷をチェックする機械なんだよ。より正確な測定をする為に、マルチにあんな格好をさせてるんだよ」
 俺の心を見透かしたように、長瀬さんがそう説明してくれた。
「そ、そうだったんですか」
「うむ。それと同時に、ここではマルチ達のAIのパルスチェックを行っているんだよ」
「パルスチェック?」
「マルチ達のAIは普通のCPUなどと違い大変複雑な構造になっている。当然、それを制御している信号は膨大な量になると同時に単純な信号ではなくなっている」
「?」
 俺は話がサッパリ分からずに思わず首を捻ってしまった。
「まあ、分かり易く言うならば、彼女達には喜怒哀楽を表すパルスが個々に存在するという事なんだよ。ここでは、それの測定を行っているんだ」
「それはつまり、喜怒哀楽の度合いを数値的に見る事が出来るって事ですか?」
「その通り!まあ、これを見てみたまえ」
 長瀬さんはそう言って1つのモニターを指差した。
 そこには、棒グラフのようないくつかのデータが示されていた。
「ほら、このデータだけが突出して高いだろ?これはマルチの『喜』の感情を表しているパルスなんだよ。恐らく、さっき君に会えた事が嬉しかったのだろう」
 なるほど、長瀬さんが言うように確かに1つだけ突出して高いデータがあった。
「これって本当に『喜』のパルスなんですか?」
 俺は興味本位でそう訊ねた。
「論より証拠だ。ちょっと、マルチに向かって手を振ってみてくれたまえ」
「はい」
 俺は長瀬さんに言われるままに、ガラスの向こうのマルチに向かって手を振った。
 すると、俺の姿に気付いたマルチが嬉しそうに手を振り返してきた。
 グーン!
 その瞬間、『喜』のパルスが一気に倍近く上昇した。
「おおー!」
 俺はそれを見て思わず感心してしまった。
「とまあ、こんな感じだ」
 長瀬さんはその結果を見て満足げに頷いた。
「凄いものですね」
 俺はそう感心しながら、改めて来栖川グループの技術力に舌を巻いた。
「おや、セリオの準備が出来たようだな」
「えっ?」
 俺は長瀬さんの言葉に釣られ、反射的にガラスの向こうに視線を送った。
『うおおおーーー!!』
 俺は本気で絶叫しそうになった。
 そこにはマルチと同じ格好でベッドに横たわるセリオの姿があったのだ。
 しかし、マルチと決定的に違うのはそのプロポーションだった。
 幼児体型のマルチとは違い見事に突き出したその胸に、俺の視線は釘付けになってしまった。
『い、いかん!こんな事はすぐに止めねば!』
 頭では分かっていても、俺の本能がそれを許さなかった。
 その時、不意に目を逸らしたセリオと俺の視線がモロにぶつかってしまった。
 セリオはすぐに視線を逸らして横を向いてしまった。
『ヤ、ヤバイ・・・』
 俺はそんなセリオの態度を見て、真っ青になり慌てて視線をセリオの胸から外した。
『うう・・・今のでセリオに嫌われたかも・・・』
「ふむふむ・・・マルチ同様外傷はなしと・・・」
 自己嫌悪に落ち込んでいる俺の横で、長瀬さんが着々とデータのチェックを行っている。
「おや、これは珍しいな!」
 不意に長瀬さんが素っ頓狂な声を上げた。
「どうしたんですか?」
 俺は何だか不安になりそう訊ねた。
「いやなにね・・・セリオの思考パルスがね」
 長瀬さんはモニターを指差しながら意味ありげにそう言った。
 長瀬さんが指差したモニターに示された棒グラフは、2ヶ所のデータが突出していた。
「これって、何の感情なんですか?」
 気になった俺はそう訊ねてみた。
「1つは先程のマルチと同じ『喜』のパルス、もう1つは・・・」
「もう1つは?」
「『恥』のパルス・・・つまり、セリオは恥ずかしいと感じているんだよ」
「えっ!?」
 一瞬、長瀬さんの言葉と先程のセリオの表情が重なり俺は戸惑った。
「そんな、セリオに限って・・・」
 俺は思わずそんな言葉を口にしてしまった。
 すると、長瀬さんから返って来たのは意外な言葉だった。
「君は勘違いしてるかもしれんが、マルチとセリオのAIは全く同じ物なんだよ」
「えっ!?それなら、なんでああも性能や性格が違うんですか?」
 納得の出来ない俺はそう聞き返した。
「それは、初期プログラミングの違いだよ」
「初期プログラミング?」
「そう、マルチには敢えて最初から知識を与えず、感受性が豊かになるようなプログラムを、逆にセリオにはある程度の知識を与え、感受性はやや押さえ気味のプログラムを施してある」
 長瀬さんは淡々とそう語った。
「どうしてそんな風に区別したんですか?」
「マルチとセリオは全く別タイプのメイドロボットを目指して作られた物だからね。テストをするのに当たって、同じプログラムではまずかったのさ。・・・ただこれだけは言える。セリオも、時間さえかければマルチのように感情豊かなロボットになり得るとね・・・」
「セリオに感情が・・・」
 俺はその言葉を反芻しながら、ガラス超しのセリオを見つめた。

 結局、セリオとマルチの定期点検は何の問題もなく終了した。
 その後、俺はセリオとマルチの案内で研究室内を見て回り、思いがけない貴重な体験をする事が出来た。
 数時間後、帰路に就こうとした俺をセリオがバス停まで送ってくれた。
 ちなみに、マルチは長瀬さんに用事を頼まれ付いて来れなかった。
 どうも、長瀬さんは俺に気を遣ってくれているように思える。
「今日は色々とありがとな」
 バス停で、俺はセリオにそう礼を言った。
「いいえ、こちらこそわざわざありがとうございました。
・・・お花、大切にします・・・」
 ブロロロロー
 セリオが呟くようにそう言った所でタイミング良くバスが現われた。
「セリオ!」
「はい?」
『お前の裸とってもキレイだったぞ!』
 本当はそう言いたかったのだが、さすがにそれを口にする事は出来なかった。
「早く月曜日が来ると良いな!」
 俺はバスに乗り込みながらそう言った。
「はい。私も楽しみです」
 セリオは少しだけ微笑んでそう答えてくれた。
「それじゃ、またな!」
「はい。また月曜日に」
 プシュー
 そんな会話を交わした所で、バスのドアが閉まりバスは走り出した。
 席に座って後ろを振り向くと、セリオがどことなく名残惜しそうに手を振っているのが見えた。
 俺はそれが嬉しくて夢中で手を振り返した。
「セリオにも感情か・・・」
 セリオの姿が見えなくなった後、俺は長瀬さんの言葉を思い出しながら何となくそう呟いた。
「それって、やっぱり良いよな!・・・いつかはもっと!」
 先程のセリオの微笑みを思い出しながら、俺は新たにそう決心した。
 何故だか、その時の俺にはそれが遠い未来ではないように思えていた。



 第4章の後書きのようなもの


 皆さん、どうもこんにちは。
 北極圏Dポイントの教授です。
 セリオ本も、ようやく真ん中の第4章まできました。
 タイトルと言い全体の流れと言い、かなり地味な章ですが、私は結構お気に入りです。
 やっぱり、頬をほのかに赤らめる女の子はいつの時代も可愛いですね。(笑)
 この章を境に、セリオが浩之に対して明確な『ラブ』(いかん、シスプリのやり過ぎかも・・・)の感情を持ち始めます。(笑)
 次章以降は、益々ラブラブになって行きますのでお楽しみに。
 それでは、また次の章でお会いしましょう。

 2001年4月13日 教授


 

<<<前の章へ   次の章へ>>>

「教授の部屋」に戻る