エンジン CRM80 エンジンの改造      


 NSR80のシリンダー装着 
以前エンデューロにCRMででたとき、ホンダの研究所のチームの人と話す機会がありました。
そこで出た話が「CRMにNSRのシリンダーつけると速くなるよ。XR200なみだよ。」という話でした。
その後、幸か不幸か?エンジンブローになることとなり、エンジンの腰上を交換する機会がきたのです。
ためらわずNSRのシリンダーを買いました。

NSRとCRMのシリンダーは、装着上の違いは冷却水の入り口のパイプの長さと方向の違いだけです。
CRMのウォーターホースそのままでは、ホースがまがってつぶれて水の通りが悪くなってしまいます。
私はCRMのホースをカットして使いました。若干のホースのよじれはあるものの、問題ないようです。
そのへんも気になるようでしたら、NSR80のホースを使えば良いと思います。
CRMとNSRではポートの形状、位置が違います。特に排気ポートが、タイミングが早い位置にあるのと、
形状も上端が一直線で、力強い排気のブローダウンが起こる形状になっています。
CRMのような上端が弧をえがいてる形状だと、
マイルドさ、騒音的にはよいらしいのですが、パワーにかけるそうです。
排気ポートの幅はCRM、NSRとも同じです。

つけてみての効果はパワーバンドがかなり上になりました。低速は落ちましたが、
時速70キロ前後の加速は気持ちよいです。
ただし最高速、回転の上限は変わりません。
そこがちょっと残念ですが、元気よく走るようになりまして、私的には満足しています。
低速が落ちたのも、CDIの交換、多孔プレートなどの改造で、補えます。
NSR80のシリンダーの装着
   
冷却水の入口の向きが少し変わります

                                                         2002/4/13


 NSR80のシリンダーヘッド装着 
NSR80のシリンダーヘッドはCRMにくらべてスキッシュエリアが大きく、
コンパクトな燃焼室をもっています。
圧縮比はほとんど同じくらいなのですが、CRMのヘッドは完全な球形燃焼室ではありません。
プラグ周りの形状が逆Rになっていて、富士山のような形状となっています。

これでは最短距離、直線で火は伝わっていかないと思い、最高回転数のアップを狙って、
NSR80のヘッドに交換しました。
シリンダーヘッドの交換
 左NSR ,右CRMのシリンダーヘッド
 CRMのプラグ周りが深いのが
 大きな差です
さて結果なのですが、交換のみで性能差はわかりませんでした。
全く変わらないといっても良いかと思います。
でもあきらかに、CRMの燃焼室形状は高回転向きではないと考えます。
タコメータのないCRMのオーバーレブ対策なのかもしれないと思っています。
他の部分、チャンバー、CDI ,などの改造により
高回転まで回るようになってはじめて効いてくる部分かもしれません。                                                           

2002/6/1


 CRM80のシリンダーヘッド情報 
CRM80、及びCRM80に使える他機種のヘッドの情報です。
CRM80 〜N型 1ミリ厚のガスケット対応。
燃焼室容積は
プラグつけた状態で
約7.2cc。
プラグ周りの逆RがCRMのヘッドの特徴。
入手困難になりつつある。
部品番号
12200-GW7-000
CRM80 P型〜 0.2ミリ厚のガスケット対応。
燃焼室容積は約8.7cc。
N型までのヘッドの圧縮比を落としたもの。

部品番号
12200-GW7-720
NSR80 〜J型 1ミリ厚ガスケット対応。
燃焼室容積は7.6cc。
燃焼室の淵の
段差がない。
ただし現在欠品らしく
入手困難。

部品番号
12200-GT5-000
NSR80 K〜N型 0.2ミリ厚の
ガスケット対応。
燃焼室容積は約7.6cc。
スキッシュエリアが
大きくなり、
急速燃焼を狙った
コンパクトな燃焼室に
なっている。

部品番号
12200-GT5-710
NSR80 P型〜 0.2ミリ厚の
ガスケット対応。
燃焼室容積は約9cc。
上の型の圧縮比を
落としたもの。
高回転指向なのか?。

部品番号
12200-GT5-690
CRMはN型までが3枚タイプの1ミリ厚シリンダーヘッドガスケット、
P型以降が1枚タイプの0.2ミリ厚ガスケットを使用しています。
シリンダーヘッドもその厚みに応じて、燃焼室の淵の部分の高さが変わっています。

CRMとNSRのヘッドの違いは上の図を見ていただくとわかるとおり、燃焼室の形状にあります。
NSRが球状であるのに対し、CRMはプラグ周りが逆R形状になっています。

これはCRMが中低速のドライバリティーの向上にため、あえて燃焼速度を抑えているためだそうです。
急速燃焼で一気にトルクがかかるより、
トルクのかかる時間を長くすることで扱いやすい特性を作っているようです。
一種のトラクションコントロールみたいな効果なんでしょうか。
同様のヘッド形状はAR以前のCRM250にも見られます。

当然燃焼速度が遅いことは高回転でのネガ部分なのですが、
NSRのヘッドをつけても性能差がほとんどでません。
CRMが高回転までまわらないのはヘッドのせいではないようです。

厚いガスケットの旧型ヘッドは薄いガスケットを使用することでパワーアップがはかれます。
ひとつは薄いガスケット2枚重ね等で、圧縮比を高くできます。
もう1つはシリンダーベースガスケット(厚さ0.5o)を2枚重ねして、
ヘッドガスケットは薄い物1枚にすることです。
これだとポート位置も0.5o上に行き高回転型のポート位置となります。
その上で圧縮比も多少あがります。
ベースガスケットは純正は厚さ0.5oですが、
枚数や厚み(社外品のガスケットシートから切り出せば0.3ミリからあります。)
で圧縮比、ポートタイミングを調節できます。

こう考えると旧型ヘッドは貴重ですね〜。
新型のヘッドは面研するしか圧縮比を上げる方法はないようです。

さらにMBX80のヘッドはさらに高圧縮らしいのですが確認は出来てません。

2002/12/29


シリンダーヘッドの情報をご紹介したわけですが、
12200-GW7-000などの旧型ヘッドは欠品になりつつあります。
ご相談パーツとしてワンオフのような形で作ってはもらえるようですが、コストはかかるようです。
手持ちのヘッドを面研加工に出した方が安い?

2004/12/29


 ピストンの改造 
NSR50などでは、ピストンの吸気側に穴が開いてます。
80用でも社外品のピストンには開いているものもあります。
これは吸気ポートの空いている時間を長く取ろう、そしてピストン裏の冷却という意味があるようです。
穴をどのようにあけるか?というノウハウがないもので、
とりあえずピストンの吸気側下端をけずってみることにしました。
これは昔のCRがやっていた形状で、
NSR50が出た時どこかのショップのボアアップキットのピストンも同じ形をしていました。
ピストンの改造
 左ノーマル、右改造ピストン
 吸気側のスカート下端を円弧状に削ってあります
削りすぎると吹き返し、一次圧縮の低下を招く恐れがあるので、
目安は掃気部(ピストン側部)の高さが最大限というところでしょうか。
この改造は吸気ポートの開いている時間を多く取る反面、
吸気の吹き返しはピストンでなくリードバルブにまかせることとなりますので、
リードバルブのメンテナンスも重要になってくると思います。

低速域のパワーアップの効果があるとの話を聞いていましたが、
効果としては中速域が力強くなった気がします。
もともとピストンが磨耗していて、その交換だけでも力がでているのでしょうが、
以前に比べてもデメリットの部分はありません。
スカートの部分を削っているのでピストンの首振り音が出るのではないかと不安でしたが、
異音もありません。
バイクショップにいくと同様の削り方でピストンピン近くまで削っているものを先日見つけました。
わたしのは、かなり控えめに削っているのでまだ削る余地はありそうです。

                                          2002/6/1(2002/6/17追加更新)


この改造の後日談、というかはっきりいってトラブルです。です。
ピストンを交換してからと一年半、距離にして1万5000`というところで、
圧縮漏れのような症状がでてきました。

低いギヤ、下り坂じゃ調子いいのですが、高負荷時のトルクがない、
キャブのセッティングを変えても反応が変わらない…。
まさか、このくらいの距離でもう?ピストン磨耗?と思っていたのですが、
いろいろやっても改善せずピストンの磨耗しか考えられなくなりました。
そこでピストンとシリンダーをみたところ、
上記の改造で円弧状に削った部分の左右の角の部分が、シリンダーをひっかいてしまっていて、
シリンダーのその部分がスジ状に彫れてしまっていました。

シリンダーの首振りの動きや、側圧を、
とんがった部分で受け止めてしまっていたため、こうなったのでしょう。
削り方にもっとうまい方法があったのかもしれませんが、
レースならともかく、通勤用の耐久性には問題があったようです・・・・・・。
 吸気ポートまわりにスジ上の傷が多数です。
 ピストンの角が当たる部分は、ツメが引っかかる程に溝になっています。

2004/10/16追記


 点火プラグについて 
よく聞く話に点火プラグの向き合わせという話があります。
プラグを取り付けるときに、プラグの接地電極の方向を一定の方向に合わせるというライトチューンです。
これには諸説あって、プラグの開いている方を吸気側にむける、
排気側に向ける、真横にするなどいろんな説があります。

吸気側から排気側にガスが流れていく時、
接地電極でガスが妨げられないようにという点火のしやすさを考えると、
吸気側に開いている考え方になります。
火がついた後、火炎流をすばやく燃焼室内に回すという考え方だと、
燃焼ガスの邪魔にならないように排気側に向けるという説になります。
吸気側から排気側への気流の通りのよさを考えると、
横に向けて一番抵抗のない形におくというという考え方になります。

一般的にはそう言われていて、どれがいいのかと考えてしまうところですが、
実際問題、燃焼室内でどのように気流が流れているのかは確かではありません。
確かに吸気の最初の方、吸気と排気がオーバーラップしている時は、
吸気側から排気側への気流が存在するでしょうが、
それが圧縮が始まって点火直前までも続いているのかどうかは、疑わしいところがあります。
4ストロークエンジンならともかく、
2ストロークは掃気ポートからの吸気なのでさらに都合のよい流れにはなっていないでしょう。

私的には、どの向きがいいというより、
常に一定のプラグ向きにすることで燃焼室の燃焼条件を一定にすることが、
メリットのように思えます。
特に多気筒エンジンの場合など、各気筒で燃焼が違うというのは問題になりそうです。

プラグは火をつける役目がある反面、
燃焼室内に突き出していて、燃焼の邪魔になっている事は確かです。
接地電極は爆発の際、陰を作ってしまいます。
特に大きさの小さい、球形の燃焼室形状をもつCRMなどの小型2ストロークエンジンでは、
プラグの接地電極と燃焼室の壁の間が狭く、
こんなところに火が回っていくのかというくらいになっています。
接地電極の裏はもう燃焼室でなく、単なる隙間と化しています・・・。
 ボロボロのプラグです・・。
 接地電極と燃焼室の壁の間かなり狭くなっています。
2ストロークエンジンでは燃焼室形状は左右対称です。
燃焼も基本的には左右対称におこなわれていると思います。
そういう条件の中で、プラグだけがそうなっていないというのには理にかなわないところがあります。
できればプラグも左右対称な位置になるのが理想なのではないでしょうか。
つまり接地電極が前後方向いずれかの位置にきちんとなるようにとりつけるということです。

これによってどれだけ性能差がでるのかというと微々たるもの、わからないほどだとは思うのですが、
当初プラグを自然に斜めにつけていた私のCRMでは、
燃焼室の汚れがプラグの向きにあわせて若干偏っていました。
左右均等の燃焼になっていないようでした。
こういうのをみるとプラグぐらいで何とかなるなら何とかしたい〜というものです!

プラグの向きを合わせるといっても規定の締め付けトルクは守らねばなりません。
つまりそういう向きになるプラグを何本もあるなかから、見つけるということです。
ネジの山は各バイク、各プラグでちがいます。
プラグの台座を削ったり、ワッシャーをいれて調整する方もいるようです。

プラグが陰になって燃焼の邪魔をしてしまっているという事の解消方法として
接地電極を細くしたり、流線型断面にしたり、
あるいは穴をあけるといった改造をなされている方も多いようです。
私はつけたことがないのですが、NSR250のプラグもいいという話を聞きます。
NSR250のプラグは接地電極が斜めになっていて、
先ほど言った燃焼室と接地電極の間隔がいくらか広くなって火炎が回り込みやすそうです。
ただしこのプラグはプラグキャップ取り付けの碍子部が短く、
取り付けるにはプラグキャップもNSR250用に交換する必要があります。

特殊形状した社外品プラグもありますが、逆に陰を造ってしまうように思えます。
沿面タイプなど特にそう感じます。
火花の飛びやすさという点では優れているのでしょうし、
突き出している部分が多いため圧縮比が若干向上するというメリットはありそうですが・・・。
CRMのように燃焼室が小さくプラグの大きさの占める割合が大きいバイクでは、
そのできる陰の影響はかなりあるのではないでしょうか。

最後にプラグの取り付け方ですが、規定トルクで締めても実はプラグから圧縮漏れは起きています。
プラグの取り付け部がオイルだらけになっている方も多いのではないでしょうか。
プラグのネジ部にシール材を塗る事でこれを防止でき、圧縮漏れを抑える事ができます。
私は デイトナガレージ/アンチ・シーズ(ネジ焼付防止剤) というネジ焼付防止剤を使っています。

2004/6/13


 排気ポートの加工 
2ストロークエンジンのパワーのキモは、チャンバーと排気ポートといわれています。
2ストロークエンジンはチャンバーの脈動効果で、負圧波、正圧波をつくりだし、
負圧波でシリンダー内に混合気を吸い込ませ、正圧波で混合気を圧縮します。

もちろん、そのタイミングなどが重要なのですが、
とりあえずは強い負圧、正圧波を発生させる事がパワーアップの鍵となります。
こと排気ポートに関すれば、その面積がパワーと比例するとまで言われています。

面積といってもただ大きくすればよいという物ではないようです。
強い脈動効果をチャンバーで得るためには、
一気に強い勢いで、大量の燃焼ガスをチャンバーに送りこめる形状であることが重要になります。
つまり一気にポート面積が最大に開くような形状、逆三角形のような形状が望ましい物となりますし、
そのポートの幅もできるだけ広い方がパワーに結びつくものとなります。

ポートの高さを変えるのもポート面積をひろげる手法ではあるのですが、
排気タイミングが変わり、圧縮比、有効ストロークも減ってしまうので、
それを補う他の部分での改造が必要になります。
さらに特性が大幅に変化してしまいます。
ということで今回は排気ポートの横幅を広げる加工をおこなってみます。

排気ポートはCRM50と80では形状が大幅に違います。
50は単純な一つの穴があいている形状、80はセンターにリブがある2ポートの形状になっています。
50のようなシングルポートの場合、そのポート幅の上限はボア径の70%、
80のような2ポートの場合、95%ぐらいまで可能といわれています。
これはそれ以上にするとピストンリングが圧縮を保とうと外に張り出す際に、
ポートの穴にリングが引っかかってしまうためです。
まあどれくらいの寸法にポートの幅を拡大するにしろ、
ポートの拡大はピストンリングにはやさしくない改造となります。

まあ市販車は騒音対策、マイルドな特性をあえて狙っている部分もあるので、
少しのポート拡大なら良いのじゃないかな〜。
という事で削ってみました。ベースシリンダーははCRM80でなくNSR80シリンダーです。
形状はやまっちさんのHPを参考にしてみたつもりですが、削っているうちになんだか適当に・・。
でも基本的にはノーマル形状をそのまま両端を1.5ミリ拡大、センターリブを心持細くしただけです。
ポート上面、排気タイミングには手を加えていません。
 左が加工前、右が加工後。ほとんど差がわかりません・・。
実は、この加工は新品シリンダーにおこないました。
ピストンの改造の項に追記した事由によって、NSR80の新品シリンダーになってしまいました。
CRMとNSRは排気ポートの形状がかなり異なっています。
CRM80の排気ポート形状は山形になっていて、一気には排ガスは出て行きません。
そのかわり、扱いやすさ、静音性を確保しています。
排気タイミングも遅くなって中低速よりとなっています。


慣らしを300キロほどおこなったところで、いよいよ全開。そのインプレです。
まず排気音が太くなりました。これは低速からでもはっきりわかります。
低中速は今までとまったく変わりません。ピストンも新品になった分、
今までよりもツキが良くなったようにすら思います。
もっとも排気タイミングに変更は加えていないので下が落ちるとも思えないのですが。
6速で速度にして65〜70位よりパワーバンドに入ります。
この感じは今までとそう変わりません。
そのまま80を超えていくのですが、変わったのはこの後です。
今までなら徐々に伸びがなくなっていくこの領域で、
さらにもう一段トルクの盛り上がりがあってさらに猛然と加速をはじめるのです。
このあたりの加速は結構暴力的?なものです。
そのまま100近くまでいきますが、そのあたりで頭打ちがでてきました。

走行条件としてノーマルチャンバー、ノーマルキャブ(無加工)で走っていますので
そういった面でもリミッターが効いてしまったのかもしれません。
セッティングも標準セッティングのままです。特に変更は加えていません。
さらにどうにかする余地はありそうです。
この加速ならスプロケットもさらにハイギヤードが使えそうです。
ただし排気音は結構大きくなったような・…。

2004/11/21追加更新


     

カメレオンファクトリー/メガトン100キットII
カメレオンファクトリー/メガトン100キットII CRM80
キタコ/ボアアップキット(1R)
キタコ/ボアアップキット(1R) CRM80(J.K.L.N)


デイトナガレージ/アンチ・シーズ(ネジ焼付防止剤)