'01 10月 10月23日 またまた夜間接続に障害が出ています。またしばらくのご不便をおかけします。 サイト内に2つの検索機能を追加しました。まずペーパーバックのページにスカイソフトのデータベース検索機能を設けました。洋書約220万、和書約100万のデータベースとの事。もうひとつ、映画のページに米国のInternet Movie Data Com.のデータベース検索機能を追加しました。約25万の映画タイトル、約90万の人名検索が可能との事です。 ペーパーバックでは、キングソルヴァーの『野菜畑のインディアン』紹介を追加しました。映画化に向いてそうなヒューマン・タッチのロード・ノベルでした。今は、オースティンの『高慢と偏見』を読み返しています。2度目でもとても面白い。ラブ・コメの元祖、大御所みたいな感じですね。恩田陸さんの『球形の季節』を読みました。次には『三月は深き紅の淵を』を読む予定です。 久々にポップス紹介でボブ・ディランを upしました。 このページで映画『ふたりのベロニカ』を紹介するつもりでしたが、とてもよかったので同じキェシロフスキ監督作品で、もう1本『トリコロール:青の愛』を見ました。これも気に入ったので、キェシロフスキ監督特集としてまとめて紹介することとしました。 10月14日 オーソン・ウェルズ監督・主演の映画『マクベス』と久々の福永武彦作品紹介となる『廃市』および大林宣彦監督の映画化作品を追加しました。 バーバラ・キングソルヴァーの『The Bean Trees 野菜畑のインディアン』、恩田陸さんの『パズル』、『ネバーランド』と『センセイの鞄』/川上弘美 を読みました。 ピアノレッスン曲『回想』の演奏MIDIを追加しました。プレステのゲーム『クロノ・クロス』の挿入曲です。この『クロノ・クロス』の音楽は全体的にケルトの香りが漂っていて、他にも記憶に残るいい曲がいくつかありました。ゲーム自体、名作『クロノ・トリガー』の続編ということで、とても気に入っていたんですが、このHPを立ち上げた為、中断となってしまったのが残念。作曲者の光田さんは、『クロノ・トリガー』、『ゼノギアス』の音楽も手がけていて、ゲーム音楽の作曲家として最も評価している人ですが、なかでもこの『クロノ・クロス』がベストだと思います。
10月7日 『マクベス』/シェイクスピアと関連映画2本の紹介を追加しました。ペーパーバックでは、バーバラ・キングソルヴァーの『野菜畑のインディアン』を読んでいます。恩田陸さんの『6番目の小夜子』、『風花』/鳴海章、『魚影の群れ』/吉村昭 と『ポプラの秋』/湯本香樹実(これは再読)を読みました。 先月急死した相米慎二監督の追悼特集を考えていて、『風花』と『魚影の群れ』はその関連で読みました。恩田陸さんの『6番目の小夜子』(新潮文庫)は恩田さんの処女作の学園ホラーものですが、青春小説として秀逸でした。 ○ポプラの秋(1997)/湯本香樹実 → 湯本香樹実のページにまとめました。
千秋は神経質で弱い子供だった。転校した公立の小学校になじめず、過度の緊張のために発熱したが、なかなか下がらず、働き始めた母の苦労をみかねた大家のおばあさんが昼間千秋を預かることになった。気むずかしそうだったおばあさんにようやくなじんできたときに、おばあさんはまだ父の死にとらわれている千秋に「あたしは、あの世の郵便屋。あたしが死んであっちへ行く時に、あんたがお父さんに書いた手紙を運んであげる」と言った。 そして千秋は毎日、父への手紙を書いて、おばあさんに渡すようになります。父が死んだ直後、母がショックで茫然とし虚ろな状態となってしまったため、千秋は自分の深い悲しみを表わす機会を失って内に秘めてしまい、そのために神経が衰弱してしまっていたようです。たくさんの手紙を父に書くことによって気持ちが整理されていくのか、彼女は少しづつ感情を取り戻していきます。 最初の手紙はこうだ。 おとうさん、おげんきですか。わたしはげんきです。さようなら。 三通目まで、私は同じ文面を繰り返した。 だんだんと手紙は長くなっていきます。 『夏の庭』のおじいさんもなかなかの人物だったけど、このおばあさんもいい勝負です。その他ポプラ荘の隣人達、爽やかな女性佐々木さん、タクシーの運転手の西岡さんと息子の4年生のオサムくんも皆いい人たちでした。 そして18年後、物語はまだ終っていなかったのでした。 10月2日 P.D.ジェイムズの『皮膚の下の骸骨』の紹介を追加しました。『ライオンハート』に続いて、恩田陸さんの『月の裏側』と『不安な童話』を読みました。興味津々の作家なので、他のも引き続き読んでみようと思っています。 ○月の裏側(2000)/恩田 陸 → 恩田陸のページにまとめました。 ・・・・・さながら水に浮いた灰色の棺(ひつぎ)である。 『おもひで』/ 北原白秋 木立の間に細い月が懸(かか)って梢や枝を影絵のように黝(くろず)ませていたから、河はただ河明りによってそれと知られるだけだった。 『廃市』/ 福永武彦 There's someone in my head but it's not me And if the cloud bursts, thunder in your ear You shout and no one seems to hear 『Dark Side of the Moon 狂気』/ Pink Floyd あんたはいっつも、月の裏側に行ってるみたいにたそがれてるわ。 『不安な童話』/ 恩田陸 箭納倉(やなくら)という掘割が町中を縦横に走っている九州の地方都市が舞台となっていて、ストーリーの展開は作品の中でも言及されているSF侵略テーマの古典『盗まれた街 The Body Snatchers(1955)』/ジャック・フィニィ を思い起こさせます。 箭納倉では老人が行方不明となる事件が相次いで起きていた。彼らはしばらくして戻って来るが、失踪している間の記憶をなくしていた。事件の異常さに気づいた元大学教授の三隅は、かつての教え子の多聞を呼び寄せ、三隅の娘で多聞の後輩だった藍子、地方紙の記者の高安とともに真相を究明しようとする。 白秋だって、福永だって、みんな気付いていた。その断片を、我々に向かって自分の作品の中でメッセージにして送っていたんです。 文学者がいきなり登場するのも面白い趣向ですが、白秋は箭納倉のモデルと思われる柳川出身の詩人。福永武彦は『廃市』で水郷の町の旧家の二人の娘をめぐるロマンを描いています。 話の展開は『盗まれた街』に近いけど、これは果して侵略なのか、もしかしたら進化なのではないか。この疑問に対して恩田さんは答えてはいないけど、どうも後者のような気がしてなりません。表向き『盗まれた街』の路線を標榜しているこの作品は、実は『ブラッド・ミュージック』(1985)/グレッグ・ベア や『幼年期の終わり』(1953)/A.C.クラーク に近い意図で書かれたのではないか。そんな作者の仕掛けが感じられました。 我々は『ひとつ』になりたがっているのかもしれない。もしくは、無意識のうちに、あまりにも人間という生物の戦略の収拾がつかなくなったのに気付いていて、もう一度『ひとつ』に戻ろうとしているのかもしれない。(郷土史研究家 小林が三隅に語った言葉) (補足) タイトル『月の裏側』には、"The Dark Side of the Moon"という英語の副題が付いていて、この言葉は無意識を意味するということと、おそらく恩田さんの念頭にあったのは、ピンク・フロイドの傑作アルバム『狂気 Dark Side of the Moon』でしょう。この前に読んだ『ライオンハート』のケイト・ブッシュといい、恩田さん(1964年生まれ)は、'70年代ロックが好きなんじゃないのかな。 ロックだけでなく、古いジャズも好きなようで『クレオパトラの夢』とか『ミンガス・アット・カーネギーホール』なども登場します。 ジャズ喫茶から払い下げてもらったという煙草の匂いの染み付いたソファは、中から『クレオパトラの夢』が流れてきた。 三隅と多聞が文学しりとりをする場面があって、活字中毒の人には面白い趣向かもしれない。続けるのは結構大変のような気がするけど。ちなみにここでは以下のように続けています。このしりとりで4ページくらい費やしている。本当に面白い作家です。 廃市 ― しろばんば ― 薔薇の名前 ― 永訣の朝 ― さらばモスクワ愚連隊 ― 怒りの葡萄 ― うたかたの日々 ― 美女と野獣 ― 宇治拾遺物語 ― 林檎の樹 (ここでいったん中断し、あとで藍子が加わり、また再開している) ― キリマンジャロの雪 ― 飢餓海峡 ― 海と毒薬 ― クリスマス・キャロル ― ルバイヤット(詩の形式?) ― 遠い声 遠い部屋 ― 山と古寺風物誌 ― 潮騒 ― 石の花 ― 長い坂(山本周五郎) ― 風の又三郎 ― 生まれ出ずる悩み ― みだれ髪 ― 乱れたベッド(サガン)― ドリトル先生航海記 ― きけわだつみのこえ ― エマ ― マノン・レスコー ― 金色夜叉 ― 山の音 ― トニオ・クレーゲル そのほか多くの書名、作家名、曲名、アーティスト名(井上陽水、越路吹雪、そして佐良直美まで!)やらが登場する小説で、本筋でないところでも楽しめます。そのほか印象に残った言葉から。 真実は男のものだが、真理は女の中にしかない。男はそれを求めて右往左往するだけだ。 世界には二種類の"真"があって、客観的に把握できる"真実"と直感でしか捉えることができない"真理"とで、後者は男には無縁ということなのかな。気になります。そういえば『不安な童話』には、こんな一節もありました。本当かなあ。 女どうしは一瞬の視線で互いの体調や近況を読み取る。選ぶ口紅や鏡を見る目付きで、服の脱ぎ方や流しに置かれたカップの位置で。
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