ついに明かされる衝撃の真実

その時、奇跡は起こった

近藤・真弓・浅田の各氏が乗鞍スカイライン頂上に

着いた時、彼らはこの世の物とは思えぬ荘厳な

光景に絶句した。 見渡す限りの雲海が眼下に

広がり、それが黄金色に染まっている。 今まさに、

雲海の中に夕日が沈もうとしていたのだ。

そのあまりの美しさに彼らは息を呑んだ。

 
しかし・・・この時すでに、近藤氏のバイクは

息絶えていた。

この峠を降りた所にある宿には、山内氏と

輪嘶舎メンバーが待っている。

しかし、まもなく辺りは暗闇に包まれる。

気が付くと3人以外に人影は無くなっていた。

 
どうやって近藤氏を、無事宿に到着させるか?

真弓・浅田の両氏はその事だけを考えていた。

しかし、その直後、信じられない光景に2人は

体が凍りついた。

近藤氏が、用意してきた携帯用コンロを取り出し

お湯を沸かし始めたのだ。

 
真弓 「近藤君、エンジン掛からんのやろ? はよう
    降りた方がええで。」

近藤 「いいコーヒー豆持って来たんですよ。
    こんな綺麗な景色の中で飲んだら、きっと
    美味しいですよ。」

浅田 「なっ何言ってるんですか、近藤さん!
    暗くなったら、どうやって降りるんですかっ!」

近藤 「このコーヒー豆、良い香りなんだよね〜。」

真弓・浅田 「・・・・・」

   

その後、どうやって降りてきたのか、真弓・浅田の両氏はあまり語りたがらない

輪嘶舎メンバーの証言によると、真弓氏が先頭、浅田氏が最後尾を走り

近藤氏をサンドイッチにする形で、暗闇の中を降りてきたらしい

近藤氏は、エンジンが掛からずライトも灯かないバイクのギヤをニュートラルにして、峠を降りた

2人のバイクのヘッドライトだけを頼りに

真弓氏は後ろを気にし過ぎて、ガードレールに数回接触したとの情報もある

浅田氏は対向車線を走行しながら近藤氏の足元を照らしていた為、対向車と何度も正面衝突

しそうになったらしい 2人に当時の話を聞こうとしても、体を震わせるだけで答えようとしない

近藤氏に訊ねると「面白かった。」という答えが返ってきた

   


頼もしきかな、輪嘶舎メンバー

宿には、そのまま降りていくはずだったが、3人はうっかり行き過ぎてしまった。 しかたなく、真弓氏が
近藤氏をタンデムし、無事宿に到着した。

皆に事情を説明して、近くに近藤氏のバイクを放置してきたと言うと、オオシマ氏を中心とする若い衆が数人
「おうっ」と威勢良く立ち上がり、宿の軽トラックとロープを借りて飛び出して行った。 すぐにバイクを
ピックアップして戻ってくると、近藤氏のバイクは、軽トラックの荷台に見事に梱包されていた。

山内氏と輪嘶舎メンバーの暖かい笑顔に迎えられ、3人は無事生還出来た事を確かめ合うのだった。
翌朝、輪嘶舎恒例の集合写真には、軽トラックの荷台に乗っている近藤氏のバイクが写っている。

こうして1995年のミーティングも楽しく過ぎていった。

(奇跡の生還調査委員会2004製作)

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