「アルジャーノンに花束を」


作:ダニエル・キイス 脚本・作詞・演出:荻田浩一 音楽:斉藤恒芳

出演
浦井健治

永山たかし 森新吾 小野妃香里 朝澄けい 小田島クリスティン 

宮川浩 戸井勝海

 安寿ミラ


ACT1

★ぼくわかしこくなりたい(ぼくわかしこくなりたい〜チャーリィ・ゴードン、彼は相応しいか)
★ぼくがぼくでなくなるとき
(君の心を測りたい〜迷路の中のねずみ〜ぼくがぼくでなくなるとき〜神様にお祈りを)
★ぼくはかしこくならない
★ドナーズ・ベーカリーへの帰還
★チャーリィ・ゴードンとその変化
(おかえりドナーズ・ベーカリー〜あいつは変わった〜みんなは変わった)
★男の子は恋をする
★知性と孤独の関係(ささやかな不正〜さよなら、ドナーズ・ベーカリー)
★彼はラハジャマティを知らない
★今のままでは
★檻の外へ

ACT2

★彼女は非常階段(鍵はかけていないから、どうぞ〜誰なら許せるの?)
★僕たちの関係が終わる時(彼女はあなたを愛してる〜僕は賢くならない〜お帰り研究室)
★ウォレン・レクイエム
★アルジャーノンに花束を
★失われた家族(3ドル50セント〜ローズの幻〜僕が僕でなくなる時)
★絆
★ぼくはかしこくなりたい
2006.3.4 マチネ観劇 1階E列4番

なんとなく原作のことは知っている私ですが、しっかり読んだこともないし、ドラマ等も観たことのない私です。
なので、特段イメージのないまま(年齢とか設定とか)観ました。

冒頭、ついたてのようなものがあってその前にアリス(安寿さん)が登場。チャーリーらしき人の声が聞こえてきて、ちょっとの間話をしていました。
「あのーぅ・・・」とのんびりしたほんわかしたチャーリーの声。
「よろしくね。」アリスの伸ばした手の先に、ついたてが外れ、満面な笑顔のチャーリー@浦井さんが。
中央の後ろには、ネズミの檻(回転するやつ)みたいなセット、階段で二階に上がれるようになっているセットが。


このしょっぱなの浦井さんの笑顔で、私はびっくりしました。
純粋無垢っていう言葉がぴったりという位、無防備でキラキラした笑顔なんです。
一瞬、「誰?」とか思ってしまった(笑)それ位「チャーリー」でした。
「あのぅーぼくわぁ かしこくなりたいですっ」片手を(握りしめたまま?)ずっとお腹の付近に置いたまま、落ち着きなく歩きまわるチャーリー。
どんなことでも耐える、がんばるからかしこくなりたい、と。

この時は、白いざっくりした(少しVに切り込みの入った)セーター(かな)にベージュのチノパン(ポケットが沢山ついててかわいかった。)。
この時の衣装がとても好き。

これが、チャーリーの変化に伴って少しずつ変わっていきます。
ズボンが黒に変わって、シャツがワイシャツに変わって、黒いジャケットがプラスされて、中に灰色のベストがプラスされて・・・そしてまただんだん・・・ラストにはねずみのアルジャーノンと同じ白いつなぎになって・・・。

正直、浦井さんばっかり観ていたかも^^;
というか、目が離せなかったです。

チャーリーの変化というのが、少しずつ少しずつ微妙なんです。
一気に頭が良くなるわけでも、性格が変わるわけでもなく。
少しずつ、少しずつ・・・。かしこくなって・・・人を見下すような性格になっていって・・・。

以下、(勘違いもあると思いますが)ざっとチャーリーの流れを。

「手術が終わったのに、全然かしこくならない!しっぱいだったんだ!」
最初はそんなチャーリーでしたが、段々その知能も様子も変わっていく。

「こんなはずじゃなかった。」自分が変わったせいなのか、自分が知らなかっただけなのか。
あんなに「いい人ばっかり」だった唯一の居場所ドナーズ・ベーカリーにも彼の居場所がなくなってしまった。

苦悩したまま、同じ手術を受けたネズミのアルジャーノンを連れて研究室を飛び出したチャーリー。

隣人のフェイ@小野さんと出会い、少しは癒されたのかも知れないけど、お酒を飲んだ時とかふとした時に心の底にいる(?)本来のチャーリーがふと現れる・・・。
そして、アリスへの思い・・・。

頭は異常に良くなった、でも心は追いついていない。
体は成人の男、だけれど、幼い時からのトラウマなどが彼を苦しめる。
なかなか女性を抱くことも出来なかった、けど・・・。

そんな中、アルジャーノンの様子がだんだんおかしくなる。
フェイが気を利かせて買ってきてくれたメスネズミを共食いしたり・・・。

頭が良くなる手術を受けたアルジャーノン。その倍のスピードで衰えていく。
それは、自分も同じ・・・。

アルジャーノンを連れて研究室に戻ってきたチャーリー。
そして、アルジャーノンは息絶える。
研究動物ゆえに、処分(焼却?)させられそうになったアルジャーノンを引き取り、お墓を作るチャーリー。

そんなチャーリーは、もう、自分が書いたもの(論文?)さえ読めない・・・この先自分の行く末はウォレンの施設・・・そして・・・。

何十年かぶりに妹に再会した。
父親は、自分の事を最後まで気づかなかった。
ドナーズベーカリーの皆とは絆を取り戻せた。

そしてラスト、チャーリーは(アルジャーノンと同じ白いつなぎを着て)「アルジャーノンに花束をあげてください。」と無邪気な笑顔で語っています。
その笑顔が、冒頭と同じようでいて、何か違う感じ・・・。
あのキラキラした笑顔というより、その無邪気な笑顔の中に「酷く傷ついた心」を感じてしまいました。
笑顔が切なくて切なくて・・・。

皆の花束、そしてアリスの花束は誰に対して手向けられたものなのでしょうね。
そしてチャーリーは。


と、こんな感じの流れだったかと。
微妙な変化、瞬間の切り替え、がとても丁寧に演じられていたように思います。
と、いうか浦井さんに乗り移ってたかのようでした。
のめり込み過ぎてしまって、コントロール出来なくなりそうな感が全くなかったわけではないのですが。
歌い方もその時の状態に合わせた歌い方をしていたので、いろんな声質で、しかし雑になることなく、素敵な歌声でした。
かしこくなったチャーリーは、嫌なやつではありましたが^^;その裏にある苦悩とかも観えましたし・・・。
あと、思いの他セクシーな仕草や動きだったので、どきっとしてしまった私です。
ここまで演じ分けが出来ると思っていなかったし、とても頼もしく感じました。
ラストの笑顔にポロポロ泣いてしまいました。


ホントは、アリスの存在も大きいはずなんですが・・・正直あんまり記憶が・・・。
というより、安寿さんのアリスに「違和感」を感じてしまったんです。
チャーリーとの絡み、愛も含め・・・。うーん。
朝澄さんは、台詞の発し方も動きもすべてが宝塚っぽくて、私はダメでした。ごめんなさい。
小野さんのフェイはチャーミングで、自由奔放みたいな感じが(でもそれだけでない)仕草からも歌からも感じられてよかったです。
かしこくなってからのチャーリーが、抵抗なく彼女と親しくなったのも分かる気がしました。

印象に残ったのは、宮川さんと戸井さん。
お二人とも歌がめちゃうまい!ええ声ですねえ・・・。
宮川さんは初見だったのですが、役柄的にもあったかさが感じられて、声の伸びもよくて心地よかったです!
戸井さんは(研究室では)逆に冷徹な役だったので、歌声もがつーんとくる感じ。
(トゥイを思い出してしまった・・・。)
でも、ドナーズベーカリーの従業員の時は、「ちょっとワルイ(けど人間味のある)兄貴分」みたいなキャラ(?)でした。声の発し方が少し柔らかかった気がします。
(ジョンでも聞いてみたい、などと思った私は未だにミス・サイゴン病:笑)
お二人とも演じる役柄によって、演技だけでなく声色や歌声も変えてたりして観ていても聞いていてもすーっと入り込めました。
そしてあの歌声!ハーモニーもとにかく心地よくてうっとりでした。


そういえばカテコで皆さんがお辞儀をした瞬間、永山さんだけなんかポーズをとっていました。
(お茶目な感じだったんですが、個人的にこの作品でそのポーズは場違いな感じがして笑えなかった。本編での出来も私の中でいろいろ思う所があったので余計だったかも:苦笑)
客席から笑いが出たため、お辞儀をしたままの姿勢で隣の永山さんをふと観た戸井さんにはちょっと笑ってしまいました。「なにしとんねん、お前。」って感じの視線だったので。

そんなわけで、舞台全体の深いところまでは全く感想を言えぬまま、ただの浦井さんレポになってしまいました^^;

とにかく、観れてよかったと思いました。
最初、CDを買う予定は全く無かったのですが(笑)間幕で既に「購入するぞ!」と心に決めてしまった私。
届くのが今から楽しみです。

もうちょっと大きいハコでもよかったかなあ・・・。