阿佐ヶ谷スパイダースPRESENTS

はたらくおとこ

作・演出:長塚圭史 
出演:池田成志 中村まこと 松村武 中山祐一郎 池田鉄洋 長塚圭史 伊達暁 富岡晃一郎 志甫真弓子 

場所は、雪国のつぶれたりんご農園の事務所。(舞台の上手が事務所、下手が外になっていて、雪が降り積もってます。)
理想を求め脱サラして挑んだリンゴ栽培に失敗し、さらにリンゴを包むスチロール、いわゆるりリンゴパッキン工場にも失敗。
その事務所の中で何をするわけでもなく終業時間を待つ社長・茅ヶ崎(中村)、夏目(成志)。
そして、ひどい風邪を引いてしまい、パジャマ姿で咳をする度、その反動であちこちのものをひっくり返すバイトの佐藤豊蜜(次男:鉄洋)。
なぜか“しぶい”リンゴを作ろうとしているおとこたち。借金が返済できなければこの事務所も取られてしまう。
この状況に文句言ったりしつつも、決してここを去ろうとしない不思議なおとこたち。
(ちなみにリンゴのパッキンは夏目の発案で、リンゴよりも高く(笑)モノにならなかった。そりゃそうだ。)
そこへ農薬の一件で地元農協とトラブルになった佐藤蜜雄(長男:松村)の妹:涼(志甫)がそのブツを持って逃げ込んでくる。
すると外からの地元農協の反撃にあってしまう。石やら何やら事務所に投げ込まれるのだ。
巻き込まれるおとこたち。茅ヶ崎は石が当たって怪我をしてしまい、逆にハイテンションになってしまう(笑)
そして蜜雄が乗り込んできて兄弟大喧嘩。なんと言われようとも農薬はやめないと言う蜜雄。
そんな中、一瞬の隙を狙ってそのブツを奪い、揺すろうと企む夏目。が、前田望(中山)と相談してる間に佐藤兄弟にブツを取り返されたり間抜け。

望は、密かにある計画を立てていた。貯めたお金で苗木を買い、地道に育てていたのだ。渋いリンゴを作るため、日夜罵声を浴びせ(?)。
すべては社長の思いを諦めない為。それを、さっきの「暴動」のせいでメチャメチャにされた事を知る。
犯人は川口(富岡)。農協の人間ではないようだが、便乗してむしゃくしゃした気持ちをその苗木にぶつけたらしい。
捕まった川口は悪びれることもなく、言い放つ。しかも、川口は涼の新彼だというではないか。
涼は望の弟:愛(伊達)の彼女だったはず。(愛は1週間前から行方不明。)
そのデブでふてぶてしい川口に、望は発狂したように怒り、苗木の状態を見に飛び出す。(しかも、愛がいなくなってから、涼は望にも言い寄っていたらしい^^;)
豊蜜が、確か誰かから奪った鎌をさっくり川口のお腹に突き刺してしまう。


そんな時、トラックが事務所に突っ込んでくる。事務所の壁が壊れ、中に居た人間はびっくり。運転者は愛だった。

仕事を探しにいってたという愛は、トラックの荷台の荷物を捨てるだけで大金が入る、という話を持ち込んできた。
大喜びの茅ヶ崎、夏目。
しかし、茅ヶ崎は愛の運転について厳しく追求する。飲酒運転ではないのか?と。しつこい位。
それには理由があった・・・。

茅ヶ崎は、交通事故で妻子を失っていた。助からなかった妻子に呆然としながらリンゴをかじる茅ヶ崎。
そこに居合わせたのが愛。(性病で(っておいおい。)病院に行ったところ、見かけたと。)
あほな愛(失敬)はそのリンゴをくれ、と茅ヶ崎に言ったが、「このリンゴは最後に妻が買ってきてくれたリンゴだからダメだ。」と言われたと。
その話を聞いた望は感動し、茅ヶ崎に付いていく事を決めたと。
そのリンゴの味は「とっても渋くて、うまかった。」その味を求めて茅ヶ崎はしぶいリンゴに執着していたのだった。

そして佐藤兄弟。
豊蜜は、ドタバタのどさくさでコップに入っていた農薬を間違えて飲んでしまい、大変ことに。トイレから戻ってきた豊蜜の顔は血だらけ。
蜜雄は一本の農薬を残し、すべて手放すと言い、夏目はその中間役をかって出、地元農協にその農薬を持って出かけていた。
(蜜雄は1本残す理由を「思い出」だの「ノスタルジー」だの言っていた。でも、後々茅ヶ崎は蜜雄に「弟さんに何かあったら死ぬつもりではありませんか?」と言っていた。)
涼はその尻軽さを愛にも責められていた。しかし、涼は片目が見えないことを隠し、自分の自信の無さから、「こんな私でもいいと言ってくれる人がいるなら・・」と思っていた。
1週間音沙汰なしの愛に、またふられたと思ったと。
愛も愛で少々あほ(失敬)なので、彼女がいてもフーゾクに行くとか言ってる事がちょっと??なんだけど。
瀕死の重傷の川口は、逃げ出そうとするけど、前田兄弟に追いかけられまた捕まえられる。益々出血がひどい。


そんな滅茶苦茶な状態の中、帰ってきた夏目は驚く。「どうするんだよ!この状態!!」
せっかく大金も入ってまたリンゴが作れる希望が出てきたのに、この惨事・・・。

愛「(川口を)捨てちゃいましょう。」(おいおい。)

・・・そして、愛が青いビニールに包まれた「ある人」を半べそで引っ張ってくる。
(前田兄弟は泣き虫兄弟ですぐえーん、と泣く。)
でも様子がなんだかおかしい。恐る恐る夏目らがそのビニールを開ける。
「うわっ!!」(客席からは見えない)さかんに嘔吐している。変な液が飛んでるし・・・。
それは望で、トラックの荷台を開けたらこんな事になっしまった、と。肌が黒くただれ、さかんに嘔吐を繰り返す。
パニックになるおとこたち。
蜜雄「サリンだ!」そこへトラックの同乗者真田(長塚)が現れる。「サリンじゃないんだけど。」
ただ、やばいものには違いない。産業廃棄物かなにか?
誰かトラックの荷台を密閉してこい、そして事務所内も密閉しろ、(トラックが突っ込んで隙間だらけなので)と。
でも、怖くてみんな近寄れずにいる。そして、もうボロボロの望が「俺がいく」と。
しかし、ガチャン、という音はしたのに望は戻ってこない。なかなか閉まらない為、中に入って中から鍵をかけたのだ。
おとこたちは、望の無事を確かめるかのように(望の好きな)松田聖子さんの「ガラスの林檎」を手拍子で大熱唱している。暫く聞こえていた望の声がとうとう聞こえなくなる・・・。

豊蜜も結局農薬やこの「やばいもの」のせいで死んでしまう・・・。

真田はこのままこのトラックをこの近くのどこかに捨てる、という。それが仕事だ、と。
蜜雄は必死に止める。中にまだ望もいる。しかもこの近くに捨てるなんて・・・。
しかし、聞く耳持たない真田を、蜜雄は殴り殺してしまう。
そして、茅ヶ崎はある決断をする。捨てやしない、でも守る事を。そして、夏目にクビだから出て行け、と命ずる。
最初は抵抗した夏目だったが、事務所を後にする。
そして、茅ヶ崎はそのトラックの荷台を開け、望を連れ出し、死んでいる豊蜜の隣に寝かせ、毛布をかける。
そして、その「やばいもの」を次々事務所の中に運び込んで、なんと食べ始める。蜜雄も手助けをする。
嘔吐しながら食べ続けるおとこたち。蜜雄も息絶えてしまう。
その事務所の外ではしばし考えた後意を決して事務所に戻ろうとする夏目。
「なんで戻ってきた!」そんな茅ヶ崎に夏目は「告白」をする。
茅ヶ崎の妻子の命を奪ったのは・・・・。

そして、夏目もその「やばいもの」を食べ始める。二人とも嘔吐しながら。
茅ヶ崎は「この味だよ・・・」やっとこの味に辿り着いたと。
その外で、死んだはずの望が小さな苗木を見つめ、すっと立ち上がって事務所の方を見つめた。暗転。

大きな音楽と共に舞台に明かりが。
すると、なぜかトラックが事務所に突っ込んできたシーンに。
右端のストーブの傍に夏目が、真ん中の机の上に血だらけの茅ヶ崎が倒れている。
トイレから出てきた豊蜜の顔は血に染まっていない。

夏目が意識を取り戻し、茅ヶ崎に駆け寄ろうとすると、茅ヶ崎に小さい明かりが照らされてすうっと起き上がり、
「許す。」
途中からになってたストーブの炎が再びオレンジで・・・。

2004.4.10(土) 本多劇場にてソワレ観劇 座席P列18番(ネットで当日券購入)

チケットを劇場で購入してまず思った。「劇場で手に入れてよかった・・・」
手にしたチケットはコンパクトで、背景が白でチラシでもお馴染みの可愛いロゴ、真ん中には真っ赤なリンゴが。
ちょっと気に入った)^o^(

で、物語ですが。正直、うる覚えだらけで書いてても自信がありません。勘違いやシーンが前後してるかも知れません。
ただ、休憩なしの2時間半、満足しました。
話だけ追ってると、なんだかシリアスだったり、重苦しい感じがするかもしれませんが、そんな事はなく。
かなり大笑いしました。
役者の皆さんのバランスがよいのでしょうか、しっくりきてる感じもあり、ちょっとしたタイミングや台詞でくすっと笑ったり、ドタバタ加減に大笑いしたりしました。
地元人間役の人は当然東北弁でしたが、自然でした。面白かった。
あと、スプラッタや嘔吐の連続など、正直私の嫌いとする部分なのですが、それをそのままにさせない展開、ラストには感動しました。
ダメダメなおとこたちの姿が時には可笑しく、時には切なく哀愁すら感じました。
茅ヶ崎と夏目の「事情」にじんわり。ラストの「許す。」が大きく心に響きました。
セットや音楽など、全体的なバランスもすごくしっくり感がありました。

中村さん。ちまちました動きがかなり面白いです。「東京のSF」(ナイロン100℃)でも拝見しましたが、今回の印象がかなり強いです。
こんな社長なら、おとこたちは付いていくのかな、と感じさせる説得力がありました。
中山さん。中山さんにしか出せない雰囲気だなあ。あの話し方といい。独特。ちょっと乾いた感じの台詞まわしというか、惚けた感じというか^^;
なるしーさん。今回は一番現実的でクールな役でした。なので、自ら飛び込んで大ボケすることはなく(笑)違うなるしーさんを観た感じです。
時折観せる「ちゃっかり具合」とか可笑しかったです(笑)
そして、ラストにはうるうるきてしまいました。
そっか、あんなに文句言ったりしながらもここを去ろうとしなかったのにはそういう理由があったんだ。すごく納得。

ストーブの炎が途中から緑に変わり、ラストまたオレンジになっていたのは「夢」「現実」を現してたのでしょうか。
色が変わる瞬間を見逃していたので、後から思うに、なのですが。