「The Fantastics」亜門版ファンタスティックス

原作  オフ・ブロードウェイ「レ・ロマネスク」 / 原案  エドモン・ロスタン
脚本・作詩    トム・ジョーンズ   /作曲  ハーベイ・シュミット
[演出] 宮本亜門    [振付] 宮本亜門/助手 水野栄治
☆公式HP http://www.fantasticks.jp/

マット: 井上 芳雄
ルイザ:大和田美帆
ベロミー(ルイザの父親):斎藤 暁
ハックルビー(マットの父親):沢木順
モーティマー(旅芸人):なすび
ヘンリー(旅芸人)二瓶 鮫一
ミュート(一言も口をきかない影の進行役):水野 栄治
エル・ガヨ:山路 和弘


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STORY
 
 ルイザとマットは隣同士で恋人同士。父親同士も仲がよくて結婚を願ってる。
 なのに・・・突然に仲違いをして庭に壁を作ってしまった。
 これではなかなか愛も語れません。
 慌てた二人は親の目を盗んで密会を重ねます。
 
 実は、これは2人の結婚を願った父親達の陰謀。
 二人の愛は障害があるほど盛りあがると言うことで、父親同士が相談したのです。
 そうして、かえって二人の恋が盛り上がったところで、降って湧いたルイザの誘拐事件。
 ヒーロー役を演じたマットにルイザは更に惹かれ、両家公認の仲に。
 実はこの事件も、父親達が怪盗エルガヨを雇って作った狂言だったのです。
 それを知った二人は仲違い、マットは傷心のまま家を飛び出して世界を放浪。
 ルイザは怪しい雰囲気を漂わすイイ男・エルガヨに惚れ込んでしまうが捨てられてしまう。
 そして父親達も本当の仲違いを始め、すっかり冷え込んだ関係に・・・。

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Musical Numbers

ACT1

1 オーヴァチュア
2 トライ・トゥー・リメンバー(エル・ガヨ)
3 マッチ・モア(ルイザ)※「もっと」
4 メタファー(マット&ルイザ)
5 ネバー・セイ・ノー!!※「ノーは禁物」
6 誘拐ソング(エル・ガヨ、ベロミー、ハックルビー)※「お値段次第」
7 雨が降る(マット&ルイザ)※「もうすぐ雨が」
8 誘拐バレエ※「レイプ・バレエ」
9 ハッピー・エンディング(マット、ルイザ、ベロミー、ハックルビー、エル・ガヨ)

ACT2

10 熟れすぎたプラム(マット、ルイザ、ベロミー、ハックルビー)
11 アイ・キャン・シー・イット(マット&エル・ガヨ)※「僕には分かる」
12 野菜を植えよう(ベロミー&ハックルビー)※「大根を植えよう」
13 回れ、回れ(ルイザ&エル・ガヨ/コーラス)
14 ゼイ・ワー・ユー(マット&ルイザ)※「あれはあなた」
15 トライ・トゥー・リメンバー/リプライズ(エル・ガヨ/コーラス)

※はオリジナルの直訳(購入した台本に載っていました。)

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※変形四角形のようになっている舞台。
その舞台の前の方の三角形が少しオケピに突き出してる感じ。(たまにマットやルイザがそこに座って
足をぶらぶらさせながら話してたりします。)
その変形四角形の舞台の両端には長ーい棒が立っています。
(この棒は、ミュートがこれによじ登って星などを降らしたり、‘月’に見立てた丸いものを上げたり、と活躍。)
両サイドには3段の長椅子。(ベンチシート。)そして、不思議な「箱」がいくつか。これ以外、セットらしきものはありません。

1幕
ミュートがやってきて、お辞儀をします。そして、そのまま舞台の前方に座り、持っている楽器(小さいハープみたいの?)を奏で始めます。
それをきっかけに曲(「オーヴァチュア」)が始まって、エルガヨが登場。ミュートを視線で追い出して(?)私達に語りかけるように歌いだします。
「トライ・トゥー・リメンバー」
そして、「お芝居を始める前にご紹介しておきましょう」と登場人物の4人を紹介します。
そして、少女、青年が生まれて、恥じらいを知って・・・と説明しだします。
そうして、「突然」美しくなったルイザが「自分は特別!」うっとり夢みる夢子ちゃん状態であることが分かります。
「マッチ・モア」
そしてお次は、マット。
「彼女がいたんです」。初演は「棒読み状態」がおかしかったですが、今回はまたちょっと違う言い方でした。
微笑みながら(いや、にやつきながら?)言い出す井上さんがすごく可愛くて、面白かった。
エルガヨに「そ、それだけ?」と突っ込まれながらも、マイペースに(?)「彼女がいたんです」と繰り返します。
そして、自分の事を語りだします。
もうすぐ20歳をむかえ、勉強し、大人になったはずなのに、彼女を愛することで、「若さを取り戻す!愚かになる!」と熱く語ります。まさに、恋は盲目状態です。
そして、マットの合図で、そこが一瞬にして、お互いの庭に。

真ん中には2人の仲を裂くかのような壁(ミュートが棒を水平に持って「壁」にみたてます)
2人はその「壁」越しに愛を語ります。親の目を盗んで。(「メタファー」
ルイザが「何?よく聞こえないわ」と言うと、急に大きな声でマットが「アイラブユー!!」と歌いだします。
そして、激しく甘いマットの台詞にルイザは何度も気を失います。
もう、大変です(笑)
そして、ルイザが自分の見た夢の話をし、そこに現れた魅力的な悪な男性の話をすると、マットは壁越しに、
「そいつ、嫌いだな」とぼそっと言うんですが、その言い方が今回もまたヨイです。
更に話が続くと、「そいつ、大っ嫌いだな!」と拗ねる拗ねる(笑)
素直で可愛い、恋する青年です。
すると、そこへマットの父親、ハックルビーの咳払いの音。慌てる2人。「キスして!」(ルイザ)
2人は壁越しにキスをし、そのままの状態でライトが落ちます。

ハックルビー登場。枝切り用の大きな鋏を持って。枝を払いながら、自分の事を語ります。
(あまりに長くなりそうなので、脇でエルガヨが「な、長い長い」と突っ込まれる)
そして、片足をひょっこり上げながら(?)キスを続けているわが息子、マットの足をパーンと叩いてふと止まり、「これは息子の足です。」
(私は個人的に、初演の演出が好きだったので残念。↓
マットの足にハサミを入れて斬りそうになってふと止まり、「これは息子の足です。」そのタイミングと言い方に笑った記憶があります。)
そして、「何してるんだ」とマットに突っ込み、マットは誤魔化しています。
壁の向こうで隠れているルイザを気にし、時に父親の目を盗んで「愛してる」と花を渡したりしながら。
それにしても、マットパパ、「今朝買い物に出かけて結婚相手を選んでやった」って・・・^^;
ハックルビーが、マットを促しながら家に戻ると、今度はルイザパパ、ベロミーの登場。
斎藤さん、何度観ても存在がすでに反則(爆)そこにいるだけで、すでになんだかほんわか笑ってしまうんです。
そして、ハックルビー同様、語ります。「あの娘は(勝気で夢子ちゃんで?)大変です。野菜は素直で裏切らない」
(?)と。そして、ルイザを家に戻します。
わざと、壁越しにお隣さんの悪口を言って、お互いの子供が家に戻ったのを確認すると。
「ヨーロレイッヒ−!!」(ヨーデルで。)・・・おいおい。

それを合図に、2人の父親は壁越しに仲良く語りだします。そう、2人は仲良し。
「痛風はどうだ?」とか言いながら、すっかりのぼせあがってるわが子達の愛の行方にワクワクしています。
2人は親の言う事と逆な事をしたがる、だからそれを逆手にとって操るんだ、というような事を歌いながら。
「ネバー・セイ・ノー!!」
この2人の父親、仕草も台詞も、愛くるしさ、優しさを感じるパパです。

で、2人の結婚に向けて、どうやってこの仲違いを止めるか、思案します。
そこで、ハックルビーが提案。それが、ルイザを誘拐、それをマットが救い、めでたしめでたし、という筋書き。
そこへハックルビーが頼んだプロの誘拐屋(?)エルガヨがマントをひるがえしながら、はでーに登場。
「エロ?」(BYベロミー)「エル、ガヨです!」には爆笑。
で、ベロミーになんとか説明するけど、なかなかベロミーは飲み込めない。
やっと分かったと思ったら、エルガヨがどんなコースにするか、レイプの質はどうしますか(@_@)とか言い出すもんだから、ベロミーは再び拒絶。
(そりゃそーだ。)
でも、いつの間にか3人は、ノリノリで踊りながら話がまとまっている(笑)なんだよ、ファーストクラスの誘拐、一丁って(-_-;)オーレ!じゃないってーの(心の突っ込み。)
「誘拐ソング」

そして、エルガヨが「これを成功させる為に一芝居が必要、役者がいる。でもきっと何かが起こる・・・」というような事を言うと。
ミュートが用意した小道具の箱の中から、にゅっと(?)インディアン姿のモーティマーが顔を出します。
なすびさん、出てくるだけで大反則、大爆笑(爆)
そして、続いてよぼよぼでボケボケでボロボロの(失敬。)旅芸人ヘンリーが現れます。二瓶さん・・・^_^;これまた反則なお姿で(笑)
ベンチ(に見立てた箱の上)に上がるにも人の手を借りないと上がれず、降りられないヘンリーさんは、旅芸人だけに熱くシェイクスピアの作品をいくつも演じたとエルガヨに語る。
挙句には昔の劇評の切り抜きを見せようとして、制される(笑)
※エルガヨが、ベンチシートに座ってる「お客さん」に向かって「(誘拐するにあたって)お手伝い願いたい」と語ります。
そして、上手、下手から3人スポットがあたります。これ、実は「パフォーマー」としてキャスティングされてる人達。 
あまりにも普通のお客さんっぽいので、初演の時は、一瞬お客さんが突然指名されて演技指導されたのかと思いました(笑)

・・・そうして用意された舞台、9月の夜、月明かり(ちゃんと「月」も小道具として用意されています)。
恋するマット(薄紫のコートが似合ってます!)&ルイザが家を抜け出し、夜、落ち合っています。
お互い、「いけない事」と意識しながら、その分盛り上がってます。
震えながらも「愛してる」と「絶対ハッピーエンドにしたい」と語り合います。(「雨が降る」

そこへ、ヘンリーが現れ、モーティマー、の襲撃(?)「選ばれた」(?)パフォーマーの人達も、その私服のまま剣を握って襲撃(笑)
誘拐されかけたルイザを、マットは必死で助け、‘悪党’達をやっつけます。
最後に残ったのはエルガヨ。剣でマットは必死に戦います。
そして、マットに刺され、異常に劇的な死に方をするエルガヨ。何度も床から顔をあげ、痙攣しながら劇的にバッタリ。
マットが、動かないのを確認してほっとすると、再び音楽と共にまた復活しかかるという^_^;
マット「うわあっ」。
そして前方にずりずりやってきて、またもや劇的に(?)何度も顔を上げては倒れを繰り返し、バッタリ。
「誘拐バレエ」

で。
英雄マットに、ルイザもお互いの父親も盛り上がる。ハッピーエンド、とばかりに。(「ハッピー・エンディング」
そして、4人はそのまま肖像画のようにフリーズ。
(すごい格好で。→参考:ファンタスティックオフィシャルHPオリジナルの方)このHPのTOPに載ってる格好です。)
そして、死んでるはずのエルガヨがヨロヨロと立ち上がります。「あ、足つった・・・」とか言ってる(笑)
絵に描いたようなハッピー・エンドを迎えた4人を見ながら、「しかしいつまで持ちますか。(こんな美しいポーズを)とり続けるのは大変。
その内分かるだろうから少しほっといてみよう」ときついポーズの4人を残し、「これで一幕は終わり、休憩に入ります」と言い、退場。

ちょっと大変そうな4人(笑)会場からもちょっと笑いが。そして、そのまま本当に客電がついて「休憩」。
幕のない舞台上ではまだ4人が「肖像画」やってます。おもしろーい。
ついに限界。4人はそのポーズを崩し、やれやれ、という感じではけていきました。
※初演では、日によっては客席から拍手がおきたり、ポーズも結構長めだったりと(それでまた拍手が起きたり)いうこともありました(^^♪


2幕

始まりの合図。舞台にライトがあたる。そして、爆笑。
だって、1幕最後のあの「肖像画」状態で始まるんですから。

エルガヨが、「安易に得た幸せのつけを払って、みんなが多少なりとも火傷をし、磨かれてからこの物語を終わりにしよう」と4人に対して不吉な事を言い出します。
月が裏返って太陽になります。まだ4人はその格好のままです。ジリジリ暑いです。みんなの表情が「暑い!」と言ってます(笑)
マットは上げていた右手で思わず額の汗をぬぐい、エルガヨをチラッと見るとすばやくまた、もとのポーズに戻します。
ベロミー@斉藤さんがぼそっと一言、「あつい・・・」「え?」「あ・つ・い・・・」その言い方がまたおかしい。

壁もなくなり、マットとルイザは晴れてお日様の下、逢えるようになった、のだけど・・・。
しかし、何かしっくりいかない。引き裂かれた恋人でいたときの方がお互いを思うことができた。
「なんだか彼、違ってみえるわ」 「結婚なんてまだ早い」
「もっとがっちりしてるかと思った」 「よく考えたらただの隣の娘じゃないか」
「澄んだ冷たい流れで泳いでみたいわ」 「この道はどこに続いているのかな」
あらあら・・・(苦笑)
父親同士も、しかり。「私のキンカン、切ってるじゃないか!」「私のモクレンが水浸しだ!」
「私の庭に他人が入るのはすかん!!」

書割の月も消えて、芝居は終わり、現実は何だか色あせてみえる。
「このプラム熟れすぎてるわ」「失礼!」  「僕が食べてるとこ、見ないでくれるっ」「失礼!」
お互いのいちいちが気に障るマットとルイザ(「熟れすぎたプラム」)。
ですが、あの誘拐騒ぎの時の感激を思い出すと二人の気持ちは高まり、やはりヒーロー気取りのマットとヒロイン気取りのルイザ。
あの誘拐騒ぎの事を思い出し、大げさに話し始めます。ルイザはエルガヨに掴まれた腕の所に記念の赤いリボンをつけてる始末。
親の気持ちをそっちのけの二人に、ハックルビーはこらえ切れず、ベロミーが制するのも聞かず言ってしまいます。
「間抜け。」

そして、真相をぶちまけてしまうのです。信じられないマットとルイザ。
そこへ、エルガヨが「請求書」を持って登場。父親達はあまりの額に卒倒しそうに。
その素敵な誘拐請求書明細付き(?)を、まだ信じられないマットに突きつける。
マットはその明細を読み上げる。「1つ・・・役者達に銀貨1枚・・・・1つ・・・エロ、ガヨ・・・」
(両方の親に「エル。」と突っ込まれる^_^;)
「・・・まだ髯も生えてない青二才に倒されたフリをした謝礼 金貨1枚・・・1つ・・・月、1個・・・・」
すべてを知り、あやつり人形だった事を知ると二人は激怒し、「冗談じゃない!」と背を向けてしまいます。
「水の泡だ!」父親達も仲違いを始め再び壁を築いてしまいます。
割って入ったエルガヨに飛びかかるマット。決闘を申し込みます。興奮した状態で、「誰か僕に剣を!!」
すると、本当に脇から(ミュート)剣が手渡されます。マットは思わず「ええっ!!」
仕方なく(?)戦おうとしますが、軽々とかわされ、挙句にはフェッシングの稽古指導をされてるような状態になってます。
あっさりやられてしまい、はずかしさのあまりうな垂れ、傷つくマット。

マットとルイザは大喧嘩。お互いを「ガキ呼ばわり」し、気ままに生きてやる!と永遠の別れを言い放ち、ルイザは後ろ向きに、マットは中央正面に向かって別々に歩き出します。
瞬間、エルガヨの合図で、そのまま2人はフリーズ。
エルガヨは、優しくルイザの涙を拭き取って注意深くポケットにしまいます。
「この一滴の涙で充分です・・・」と。

‘青年は出て行き、少女は残る。そして世界は回る’
ルイザが去ると、今度はマットの所にやってくるエルガヨ。薄い茶色のダッフルコートを手渡す。
(これもすごく似合ってます。)
この道の向こうに夢を見るマットと、それを皮肉に真似するエルガヨ。
今、彼の味わっている挫折感はエルガヨもかつて味わったもの。青年が男になる時に必ず通る道。
「アイ・キャン・シー・イット」
この歌は、初演からすっごく大好きです。すごい惹きつけられます。
世界へ出て行くマット。エルガヨは手違いのないように少しのスパイスを加えます・・・。

そんなマットの前に現れたのは、モーティマー&ヘンリー(笑)マットの計画なんて聞きもせず、捲くし立ててます。
ヘンリーがあまりに人の話を聞かず語るので、マットはモーティマーに詰め寄ります(「ちょっと!おかしいんじゃないの?」とでも言ってる感じで。)
でも、結局巻き込まれ、冒険に連れていかれ(?)ます。客席を通って退場。

ひと月が経って、寒さも増しています。ここはマット&ルイザの家の庭。ミュートは言われたとおりに黙々と壁を作っています。
最初は気まずくぎこちない父親達ですが、なんとなく近づき、そして壁の前でそれとなーく話し掛けようとする。
その内、ハックルビーがくすくす笑い出します。「何がおかしいのかね?」とベロミー。
ハックルビーは、昔自分等がどうやって逢っていたのか思い出していた、と。ただトランプをやるだけのために、壁をよじ登って「密会」していたこと・・・。
ひと月何の音沙汰もないマットと、毎日銅像のように夢ばかり見ているルイザ。父親達はお互いに子供達の事を心配し、気遣います。
そして、子供はどう育つか分らないが、野菜は植えれば素直に育つ。野菜の方がもっとかわいい、と歌って踊り、仲直りする父親達でありました。(「野菜を植えよう」)。

ルイザは流れ者のエルガヨにすっかり恋しています。エルガヨは彼女にマスク(オペラ座の怪人みたいな白い)を被せて幻想の世界にいざなう。夢中で踊り続けて・・・。
ミュート、ヘンリー、モーティマーたちが現れて、ベネチアやギリシアとめくるめく世界が広がるんですが、マスクを取ると諸国を旅して苦難の道を歩むマットが見えます。
例えば、赤い炎の中でのた打ち回ったり、焼かれそうになって攻められているのはマット。
「たすけてー!」と叫んでいます。
「あの人、焼かれているんだわ!」と心配しているルイザもエルガヨにマスクを付けられると「綺麗なオレンジ色!」マットの「助けて!」と、もがく姿も「素敵!」
踊りつかれて止めようとするルイザに、エルガヨは「まだまだこれからだ」と踊り続け、こんな風にいろんな幻想を見せ続けます。
その先々で叩かれたり、攻められたりしているのはマット。
「あの人、怪我してる!」そう叫ぶルイザもマスクを付けられると、「まだまだ止めないで!!」
そして、いじめられ続けた(?)マットは挙句に突き落とされてしまいます。
「あーーーーーっ!・・・・」
幻想の中、みんなは踊り狂っている。
そして一瞬音が止まり、後ろの黒幕(?)のすごい高い所でマットが「たすけてー!!」

※初演は舞台の一番後ろの角で「たすけてー!」と叫んでました。舞台下に倒れてしばらく床に伏せったままでいるようでした。
でも、マットがはける時は、ちゃんとその前に人がいて(舞台の形にそって、両脇に何人か並んでいて、舞台に向かって両手で舞台を太鼓のように叩いているので)観えないようになっているんです。
隠れてしまってる間にマットははけている、と。

こうして陽気に踊っている(?)幻想の中、マットだけが姿を消してしまいました。
「回れ、回れ」

エルガヨが町を出て行くときが来ました。彼に誘われ、ここを出て行く決意をするルイザ。
「その前にキスして」ルイザがそう言うと、エルガヨは優しくルイザのまぶたにキスをします。
それは、ルイザが夢みていた「キス」。感動して、一生忘れない、と伝えるルイザ。
そんなルイザが家へ帰って荷物をまとめようと背を向けると、エルガヨは必ず来るという保証に一番大事なものを預けてほしいと言います。
ルイーザが残したのは、彼女にとっては大切な母親の形見のネックレス。まがいものの宝石だけど、何より大切。
そのやり取りの最中、客席の通路をつかって、ヨロヨロと足を引きずるようにやってくる人が。
マットです。あのコートは殆ど脱げてしまい、片腕にのみささってる状態。ブルーのシャツは片方肩からずり落ちて髪は乱れています。
(それにしても髪といい、顔の汚れといい、すごいボロボロ。初演はあんなにボロボロじゃなかった気が・・・)
そのコートをズルズル引きずりながら階段を上り、ルイザが退場する(上手)のと同時位に舞台(下手)に座り込みます。
エルガヨはそのネックレスを握り締めたまま、きびすを返して去っていこうとします。
それを見たマットはエルガヨを呼び止めます。

「その彼女のペンダントは盗んだんだろう!返せ!」(奪い返そうとする)
エルガヨは「彼女が置いてったんだ」。

初演と大きく違うと気になっている台詞。初演は「彼女はまだ若すぎる・・・置いていかないでやってくれ!!」という台詞だったんです。

エルガヨは去っていきました。戻ってきたルイザは騙されたと知り、泣き崩れてしまいます。

「なぜ春は凍てつく寒さの中から生まれるのか なぜ人は、傷ついてはじめて成長できるのか。
私にも分からない。 でもそれが真実だということだけは分かる。
だからこそ、私は彼等を傷つけた。 そして、私自身も、少し。」
(↑この台詞も今回はちょっと違っていた気がします。(これは初演、および戯曲を参考に書いてます。)ただ、言わんとしてる内容は同じだったように思いました。)

戻ってきたエルガヨがそう私達に話し掛けると、再び影の中に消えていきました。

「・・・頼むから泣かないで。」
優しく、あったかいマットの言葉に、ルイザがびっくりしたように声のする方向を見つめます。
町へ戻ってきたマットとルイザの再会。二人とも少し世界に触れて傷つき、お互いをもう一度見つめ直し、お互いを思いやり、歩み寄ります。(「ゼイ・ワー・ユー」)。
ミュートが雪を降らせ、マットのコートに2人で入ったマットとルイザは愛を歌い上げます。

二人が戻ってきたのを見て、歓声をあげ、「奇跡だ!」と壁を壊そうとする父親達。
エルガヨが「壁はそのままに。忘れないために。」と諭します。
傷つきながらも少し大人なり、愛を知った二人を見守るように父親達が、そしてエルガヨが後ろに立っています。
「トライ・トゥー・リメンバー」リプライズ
幕。


※2/27(東京初日)の観劇をもとに、物語の流れに沿って、ちょっと初演と比べながら書いてます。

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2005.2.27(日)ソワレ※東京初日 観劇。座席1階N列29番

待ちに待った初日。
まず、びっくりしたのは、前半の井上マットがとってもはじけていたこと(笑)
客席降りて、1列目の座席の肘掛に足をかけて、「イエース!」ってガッツポーズしてるし。
私は思わず心の中で「マットのおばかさん♪」と呟いてしまいました。
とにかく、浮かれてるっていうか…。浮かれっぷりがすごいっていうか・・・。
初演は、井上さんそのものが持ってるイメージ、性格(?)を充分に引き出した、というかそれに助けられた、とういう部分があったように感じたんです。
ナチュラルで、天然(?)で爽やかで・・・。それでも、充分「マット」として魅力的。
再演の井上マットはパワーアップしてました!段々情けなさも倍増(笑)
前半は「こんなに笑ったっけ?」と思うほど笑いました。

その分、、2幕後半の変化がはっきり出てたと思いました。
世間を知り、傷つき、大人への1歩を踏み出したという重み、優しさが感じられました。
それにしても井上さんの声、なんか骨太になった気がします。
厚みがあって、でも相変わらず伸びやかな心地よい声でした。
「アイキャンシーイット」は何度聞いてもイイ!大好きです!ゾクッとします。

あと、気になったのはミュートの水野さん。やっぱりいいなあ〜。(こればっかり。)
軽やかな動きも「キラキラ」を撒く姿も惹き付けられます。幸せな気分にさせられます。
かと思うと、壁を黙々と再び築いてる後半の後姿はなんだか両家の思い、寂しさを感じてしんみりしちゃったり。
冒頭の登場は、私たちをこの作品に招き入れてるような、誘っているような仕草、表情で、すでに私はワクワクしていました。

あと、モーティマーのなすびさん。登場してから「ん?」と思ったことが。
初演ってヘラヘラおバカな感じだった(失敬!)だったのですが、今回はなんだか表情や立ってる姿勢が困ったような、戸惑ってるような感じだったんです。
それでちょっと気になって、観終わった後、パンフ(なずびさんの所)を見て納得!
実は私、モーティマーの「死んでみせるシーン」好きなんです。(1番最初にエルガヨにみせるシーン)
危ない位思いっきり弓を引いて、放った後の「その矢」の飛んでいく様子を「プシュー!」と言いながら(?)3連発視線(?)で追ってる姿が(^^♪

ルイザの大和田さんですが、とても可愛い、綺麗な声をしてると思います。
ただ、声量が足りないように思うのと、音域があってない気がしてしまいました。(かなり高いソプラノの部分が搾り出してる感じで、ちょっと辛いかなあ・・・。)
あと、キャラにもう少し「キュートさ」が欲しい、個人的に。
「回れ回れ」で、幻想に振り回されるシーン、ルイザはマスクを被ると毒舌っぽくなるのですが、それが普段のルイザとあまり差が感じられなくて、ちょっと違和感。
すみません、あくまでも個人的感想ということで。

ハックルビー@沢木さんは、初演の岸さんとキャラが違うので、それぞれ違った魅力があってよかったと思います。
帽子が何度か脱げそうになって押さえてたのが気になりました(笑)
個人的にはキャラは岸ハックルビーが好きなのですが、(というか、岸&斉藤さんのコンビが大好き。)井上マットパパと沢木ハックルビーはとても合ってる気がしました。
どっちもしっくりくるなあ。

と、とりあえずこんな感じで。

私の「宿題」(?)
ラスト近く、エルガヨがルイザを置いて消えようとしてるところにボロボロになったマットがやってきて止めるシーン。
台詞が大きく変わっていました。
「彼女はまだ若い。置いていかないでやってくれ!」というような台詞だったのが、「その彼女のペンダントは盗んだんだろう!返せ!」という台詞に。
奪い返そうとするマットに、エルガヨは「彼女が置いてったんだ」と。

気になってずっと考え中です。
ルイザのペンダントは、何よりも大切な「母親の形見」。
エルガヨがこのまま去っていくことは、ただルイザを振る(失恋)ことではなくて、それプラス、その大切なモノまで奪うこと。それは裏切られたという心の傷を更に大きくするもの。
マットは、その「大切なもの」を「自分が」守ろうとしたのかなあ、なんて。
でも、そのペンダントは奪ったんじゃなくて、ルイザが自分の意思で置いていったもの。
しかも、そのペンダント、本当は「まがいもの」。夢見るルイザの代名詞みたいなもの。
このペンダントがなくても、ルイザはもう大丈夫。そして少し大人になったマットもいるから・・・なんて。


何度もカーテンコールがあって、亜門さんが登場。そして、客席に作者のトム・ジョーンズさんがいらして、ステージに上がり、コメントをされてました。
すごく嬉しかったです。
あと、カテコで水野さんがふわっと飛んでキラキラを撒くと更に幸せ気分に包まれます♪