「ハムレット」

公式HP

[作] W・シェイクスピア  [翻訳] 河合祥一郎
  [演出] ジョナサン・ケント [美術] ポール・ブラウン

 [出演] 
野村萬斎(ハムレット)
篠井英介(ガートルード)
吉田鋼太郎(クローディアス)
中村芝のぶ(オフィーリア)
増沢望(レアティーズ)
横田栄司(ホレイシオ)
植本潤(劇中妃)
壤晴彦(ポローニアス)
津嘉山正種(亡霊/座長・劇中王/墓堀り)
大森博、品川徹、大友龍三郎、沢田冬樹、大川浩樹、
鈴木豊、廣哲也、朝廣亮二、鍛治直人、松川真也、時田光洋

STORY

デンマークの王子ハムレットは、突然父王を亡くした上、悲しみの消えぬ間に母・ガードルードが、
新王となった叔父・クローディアスと再婚し、苦悩する。
ある夜、亡き父の霊が現れ、ハムレットに自分の死の真相を伝える。
ハムレットは固く復讐を誓い、狂気を装うが・・・

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世田谷パブリックシアターにて観劇。2003.6.21(土)ソワレ 座席2階B列37番


舞台が始まる少し前、暗がりに4人程の黒子っぽい、真っ黒な服を着た男性が下手に現れた。
しゃがんだまま、顔だけが浮かび上がってる。
その見つめる先には、上手でゆっくり、くるくる回転している大きな箱状のセット。
そして、暫くして物語が始まった・・・。
(ちなみに、2幕目の始まりが、突然の「ドーン!」っていう大きな音と共に唐突に始まったので、どよめいてた:笑)

シーンとした張り詰めた空気の中、始まったわけですが。
なぜか、所々で笑ってしまい^_^;ちょっと面食らってしまいました。
萬斎ハムレットは、すごく魅力的でした。狂言師としての言い回し(っていうのかな?)を残したままの「らしい」
ハムレットで。
亡き父を慕い、苦悩する部分も、本当に狂ってるんじゃないかと思わせつつ、復讐を近い、淡々と狙ってる姿も
ひしひしと伝わってくるようでした。
とても幼く感じる部分も感じたし。
すごく、存在感を感じました。
なんとなく、共感出来ちゃいそうな、ハムレットでした。
そして、芝のぶオフィーリアは、すごく可憐で、純粋でした。声が可愛らしくてこれまたびっくり。
父にも従順。ハムレットに対しても一途な思い。
でも、それが壊れた後半の狂いようは、すごく切なかったです。あまりにも壊れすぎていて。
ほんの少しでも、ある意味「汚い」部分を持っていたら、逆にこんな悲劇にならずにすんだのに・・・なんてね。
それにしても、ポローニアスは調子よく捲くし立てること(笑)その言い回しや、どさくさにまぎれて言いたい事言ったり、笑いました。
(例えば、狂ったと思われてるハムレットについて、その理由がわが娘オフィーリアへの愛だと、ガートルードと
クローディアスに話してる時、平気で「ご乱心」だの、「(娘に)ふられた」だの、オフィーリアに宛てたハムレットの
手紙を読んではけちをつけたりするし^_^;)
萬斎ハムレットの言い回しも、所々面白かった。
亡くなった父の死の真相を、親しい芝居一座を使って芝居で、母・ガードルードと新王となった叔父・クローディアス
の前で見せつけ混乱に陥れるシーンで、その直前、ポローニアスに、芝居をやった事があるんだって?と聞くと、
ポローニアスは「ジュリアス・シーザーをやって神殿でブルータスに殺された」と答えるんだけど、その時のハムレット、

「神殿で死んでんのか。馬鹿は死んでも治らなかったわけだ。」(だじゃれ?)

そして、その混乱の後、みんないなくなってしまい、ハムレットがホレイシオに「してやったり」って感じで狂言師の
言い回しでふざける様に台詞を言った後、「これで俺も狂言師の仲間入りか?」って言ったり。
結構、爆笑。

あと、墓堀りが、両足で頭蓋骨をつかんだりね^_^;所々で、笑いが。

篠井ガートルードは圧巻でした。美しい・・・気品ある・・・そして、したたかなんだか繊細なんだか掴めなかった(苦笑)しぐさが素敵。

増沢レアティーズは、かっこよかった。でも、周りがあまりにくせが強くて(笑)どういう人となりだったのか、ちょっと
印象が・・・(すみません!)

全体的に、引き締まった、緊張感を失わない惹きつけられる舞台でした。
ラスト、バタバタと人が死んでいって、挙句にハムレットも死んでしまって。
なんだか、切なかった。
どうして、こんなことになったんだろう、って。

ちなみに、セットがすごく素敵で。ゆっくり回転する大きな箱状なんだけど、開く度、違うセットがその中にあるのです。
宴(?)のシーンでは横3、縦3の赤い仕切りが入ったもので、その中に、新王初め、人が入ってたり。
しかも、登っていけるように持ち手がついてて、ハムレットが台詞を喋りながら、中央に座ってる叔父(新王)のもと
に登っていってました。
かと思うと、亡き父の亡霊を追ってやってくるシーンでは、大きな松の木(?)と長いすがあったり。
それが、新王と母ガートルードのシーン(ローゼンクランツとギルデンスターンを呼び出すシーンだったかな?)
では、同じセットで、全てが金に塗り替えられてたり。
はたまた、オフィーリアの部屋(?)になってたり。(後ろに長い黒髪の人形が一杯飾ってあってちょっと怖かった^_^;)
とにかく、からくり箱(?)のような、凝っていて、素敵なセットでした。
そして、常にその傍らに黒子っぽい人たちが顔を覆ったり、しゃがんだり、人それぞれ違う格好でたたずんでいました。

前半2時間、休憩15分、後半45分位でした。飽きさせない、解りやすい、魅力的な舞台でした。
カーテンコールは3回。最後には、全員手を繋いで、その両手を挙げ、そのままお辞儀をしていました。


余談:私のリンク(謎)
オフィーリアが狂った→「天保十二年のシェイクスピア」のお冬
「ジュリアス・シーザーをやって神殿でブルータスに殺された」→モーツァルト!のシカネーダ−の台詞(笑)
ローゼンクランツとギルデンスターン→「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」って舞台、古田さんと生瀬さんがやってたなあ(ばく)

・・・失礼しました。


「新訳 ハムレット」も結構お薦めです!
あと、びっくりしたこと。
「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」という有名な台詞、作品の翻訳としては今まで使われた経緯が
無かったそうです。
本書は、初めてこの台詞を取り入れた、とあります。
そして遡る事1874年以降、この訳(To be, or not to be)が、どんな表現で示されたのかも載ってます。