ハムレット

【作】W.シェイクスピア
 【演出】蜷川幸雄
 【翻訳】河合祥一郎
 【キャスト】藤原竜也 鈴木杏 井上芳雄 小栗旬 高橋惠子 たかお鷹 沢竜二 高橋洋 西岡徳馬 他

 詳細はBunkamuraシアターコクーンにて。

STORY

デンマークの王子ハムレットは、突然父王を亡くした上、悲しみの消えぬ間に母・ガードルードが、
新王となった叔父・クローディアスと再婚し、苦悩する。
ある夜、亡き父の霊が現れ、ハムレットに自分の死の真相を伝える。
ハムレットは固く復讐を誓い、狂気を装うが・・・

2003.12.13(土)マチネ Bunkamuraシアターコクーンにて観劇 座席1階J列4番

実はこの感想を書いているのは12/23。10日も経ってしまいました。
そんな中で、今だ私の中に残ってる部分、そして主な出演者の方々に対する感想を少し書きたいと思います。

私が唯一涙したシーンがあります。それが、井上レアティーズが下手のフェンスにしがみついて悲しみを爆発させたシーン。
天を仰いで、心の底から搾り出すような悲しみの声。その表情。
愛しいオフィーリアの変わり様に、混乱の混じった苦しさ、大きな悲しみがその姿から溢れ出るようでした。
そして、レアティーズ自身もこのままじゃいられない・・・それまでは太陽のような青年だったレアティーズにどんどん吹いていく冷たい風・・・それがまた切なかったです。

オフィーリアの埋葬のシーン、客席を通っていくレアティーズを間近で観ることが出来ましたが、その青ざめた、無表情に近い表情にまた胸を揺さぶられました。
人間、あまりにショックが大きすぎると感情が凍るっていうか、呆然として無表情に近くなるっていうか・・・。
涙を通り越した苦しみがそこにあるように思えたんです。

そして埋められかけたオフィーリアを抱きしめて「俺ごと埋めてくれ」って言うと、上手後ろで墓堀の井手さんが「おいおい何言い出すんだ」と言わんばかりに駆け出しそうになり一歩踏み出します。
すると、その井手さんの肩に手をかけ制止し、「そっとしてやれ」と言わんばかりに首を横に振る、墓堀の沢さんが妙に印象深かったです。
井上さんを観つつ、その奥でしぶい演技をする沢さんに気付いたらすごく焼き付けられちゃいました。

あ、関係ありませんが^^;墓堀のシーンで、井出さんが掘り起こした骸骨が、沢さんの肩にぶつかっちゃったり、井出さんの頭にぶつかって客席に落ちちゃったり面白かったです。

・・・正直ですねえ・・・自然に頭に情景が浮かんできたってこれだけなんです^^;すみません。
比べちゃいけないんだけど、私が唯一観た「ハムレット」が萬斎さん版で、しかも同じ翻訳が使われたこともあり、
どうしてもそちらの印象が強くて。
好みもあるんでしょうねえ・・・。今回のハムレット、出来としては「すばらしかった」とは言えると思うんですが、私の心が自然にどんどん惹かれる・・・って感じではなかったんです。
うまく言えないんですけど。集中力足りなかったですかねえ。

それでは出演者の方々の印象を少し。
藤原ハムレット・・・一言、「すごいなあ」でした。これだけ難解で膨大な台詞、振り回される事なく自分のものにしてるっていうか。「演じている」と思わせない。そこにいるのはまさに「ハムレット」。
これだけ若くてこれだけ出来る役者さんって貴重だろうな。
が、私が井上さんモードで観ていたせいか(笑)心を持っていかれることはありませんでしたが(苦笑)

鈴木オフィーリア・・・まっすぐでかわいらしい方。兄に愛されるのも分かるなっていう感じ。ただ、言い回しが私には合わなかったかな。
どうしてもオフィーリアと台詞が一緒になってない印象を持ちました。(特に前半)
前半のオフィーリア像や感情がもっとはっきり印象付けられれば、もっと後半の狂乱が切なく感じられたんじゃないかって勝手に思った次第です^^;
でも年齢を考えるとこれからがすごく楽しみな役者さんです。魅力的な方だと思いました。

高橋ガートルード・・・美しい女性です(>_<)クローディアスが手に入れたいと思うのも分かる(笑)立ち振る舞い、台詞回しといい、美しさと品位、存在感があります。
ただ、女性としての部分があまりに強くて(そういう演出なんだろうけど)母親としての部分があまり感じられなかった。
私の好みの問題なのですが。。。クローディアスがハムレットに「母親として心配してるぞ」って言っても真実味がないっていうか・・・。
もう少し、母親の愛情が感じられてもよかったんじゃないかなあ。

井上レアティーズ・・・彼のファンだから、というだけでなく新たな魅力が開花したような気がします。
声の出し方、喜怒哀楽のぶつけ方・・・心の底からの思いがぶつかってくるような感じでした。
勿論、歌いだしそうな空気は全くなく(笑)「王子様」でもなく(笑)家族を愛し、嘆き、我を失い、でもやっぱり心優しい人だったと思わせるレアティーズに惹かれました。
なんか、その表情や表現にリアリティを感じたんです。感情がぐっともってかれたっていうか。
「おいおい、騙されてるよっ」とか「その剣入れ替わっちゃった、危ないよう!!」とか思わず心の中で叫んでました(笑)
剣さばきも素敵でした。きっとこの経験がこの先も生きていくでしょう。ますます楽しみです。

実に簡単な感想文ですが^_^;正直な感想でした。
そうそう、初めて拝見した、高橋洋さん。すごくハムレットとのバランスがいいっていうか、引き締めてたと思います。なかなかよかったです。