ナイロン100℃ 25th session 10years
anniversary
「ハルディン・ホテル」
10年前の1993年12月18日、そのホテルは賑やかに開館した。
たちまち予約で一杯の客室。若きホテルマン達はカードを配る。
「10年後の同じ日12月18日、御来館のお客様は無料で御宿泊頂けます」。
そして今、あの日の宿泊者達が信じ難い数々の事情を背負って再びここに集う。
ケラリーノ・サンドロヴィッチとナイロン100℃が10周年を記念して贈るシリアス・コメディーの集大成。
作・演出
ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演
犬山イヌコ、みのすけ、三宅弘城、大倉孝二、松永玲子、長田奈麻、新谷真弓、廣川三憲、村岡希美、藤田秀世
大山鎬則、喜安浩平、吉増裕士、杉山薫
植木夏十、眼鏡太郎、佐藤竜之慎、廻飛雄、皆戸麻衣、柚木幹斗
小林高鹿(ペンギンプルペイルパイルズ)
2003.11.22(土)下北本多劇場にて観劇。座席J列23番 こんな感じだったっていうのを記憶を辿りながら書きたいと思います。 なんせ、いろんな人がいろんな事でいろんな状態になってますので(笑)ご了承ください。 まずセットがキレイ。清潔感のある素敵なホテルのロビー。フロントや、オープンな喫茶コーナーみたいのもある。 真ん中は回転ドア。上手にはエレベーター。下手には階段。そして2階に当たる部分が部屋。 (普段は見えないようになっていて、必要に応じていろんな階のいろんな部屋が現れる。何階かは、エレベーターに表示されている。) 舞台美術はなんと、またもや松井るみさんでした。 2003年12月18日。雪が降ってるせいもあり、なかなかお客が現れない。キャンセルの電話も相次ぐ。 そんな中、オープン当初からの従業員アヅマが若い従業員に10年前の事を語る。有名人のサインを見せながら。(実は嘘なんだけど。サインの主が全部「(どっかの)ドラマー」って一体・・・) そして、そこは10年前に・・・。 ツアーコンダクター、フタツモリ(犬山)の案内のもと、お客は新婚旅行を兼ねてのマルボシ(三宅)と妻セツコ(松永)、 恋人のヒヅメ(村岡)とミツワ(長田)、シゲタ(眼)、ゴミと名乗ってるけど、実はシゲタの奥さんに浮気調査を依頼されてきたコイケ(大倉)など。 とにかくミョ―に幸せそうな人たち。 そこへ他のお客、卓球を辞め女優転向のアイ(新谷)、そのマネージャーメグリ(廻)、駆け出し作家タカノ(藤田)、 ゆう子(アサノ?:皆戸)、そして中国出身でなんかネジが外れっぱなしで意味不明の従業員チン(廣川)などが絡む。 そんな感じだったと思います。(記憶を辿って書いてます^^;) とにかく、どうでもいいことでも笑ってます。でも、どんどん崩れていくんですけどね。 フタツモリは、明るいツアーコンダクター。ヒヅメとも仲良しに。恋人の「馬場」に手紙を書き、それを出してくれとチンさんに頼む。 そして、マルボシ夫妻のお祝いをしようと企画、盛り上がっている。 セツコは自分の部屋番号「705」を「なおごー」と覚えてたってマルボシと盛り上がってて、「201」のシゲタが帰って来ると「におい」だって盛り上がる。 シゲタはそれを気にして自分の体を嗅ぐ。挙句にフロントに電話する「僕、匂いますか?」電話に出たチンさんは 意味も分からず「うん!」とだけ言って電話を切る(笑) そのシゲタを追って焦ってるゴミとフロントでばったり逢ったマルボシ(セツコの足のとげを取る為に、刺抜きを借りに。)は 自分の学生時代の先輩コイケだと気付く。知られたくないゴミ。「ちょっとトイレでも一緒に行くか」そのままずるずると押されて連れてかれるマルボシ。 ※この2人のやり取りがめっちゃめちゃ可笑しかった。大爆笑。ショートコントになっていた。体くねくね(?)で釘を刺す大倉さんとボケボケの三宅さん。 そして間抜けなやりとり。なぜか三宅さんが後輩に見えるところがまた不思議。 ヒヅメとミツワは痴話げんかしてるし(注:女同士です)、シゲタは大量に消臭剤を購入して、部屋で裸で何本も消臭剤をかけてるし、挙句に倒れる。 それを監視してたゴミは慌ててシゲタの部屋に入る、がなぜか財布を盗んでる。それをたまたま来たフタツモリが見てしまう。 わがまま言い放題で、ホテルを出て行ったアイを追っかけたメグリは事故ったのか死んでしまう。 そんな中、部屋からの電話がフロントにつながらなくなったり、各部屋にいろんな物が投げ込まれたり(馬の上半身とか?)困った事が続く。 挙句にゆう子がエレベータに乗ろうとして落下。血だらけの手が1階のエレベータのドアの隙間から助けを求めてる。 なのに、救急車を呼ばず内々でなんとかしようとするアヅマ。すったもんだしてる内、ゴミまで落下。腕が2本に^^; 数々の仕業はツネヅミ(従業員:小林)だった。彼は実は今度オープンするライバル会社の人間だった。 やっと救急車。でもそれを追い返そうとするアヅマ。外に飛び出す。それを追いかける客達。 そしたら、回転ドアの中で止まってしまう。右にはセツコとミツワ。左にはマルボシとヒヅメ。すると、あてつけのように、ヒヅメがマルボシにキスをする(@_@) 「あーちょっとー!何するんですかー!」ドタバタしながら暗転。 そして10年後。ポツリポツリとあの時の客がやってくる。 冷たい態度のマルボシと片足を切断して義足に松葉杖、性格もかなりねじれたセツコ。 2人は実はあの後すぐ離婚していた。夫婦のフリをしている。いろんな悲惨な事があり、すっかり憎悪の空気。 そこへやってきたヒヅメ。マルボシに声をかけられてもきょとんとしてる。セツコに憎しみいっぱいに嫌味を言われても顔色が変わらない。 事故に合って記憶をなくしたと言うのだ。あんなに明るかった性格も影を潜めている。 「この間なんて街で突然女性にキスをされて・・・うっ・・・」思い出して吐きそうになるヒヅメが去った後、「それ、私なんですよ」とミツワ。パンクな格好だったミツワもすっかり大人しい格好に。 コイケはフタツモリと結婚し、おでん屋をやっていた。フタツモリは馬場にふられていたのだ。 着てるものがなんか少し寂しさを感じる。その日の生活でいっぱいいっぱいって感じ。過去の事なんて無くした様にバカ言って笑っている二人。 アイはなかなか仕事がなく、それなりに出世したタカノに体を売って仕事を得ようと(そう言われて)するが、肝心なところで拒否してしまい、マネージャーのモズ(大山)に窘められる。 悲しみにくれるアイの前に、なぜかフロントの観葉植物になったメグリ(?)が話し掛け、慰める。 その間に、人知れず悩んでいたタカノは手首を切って自殺。 でも、それを隠そうとするアヅマ。「いつものように」それを手助けするチンさん。 「このホテルは、アヅマはおかしい!」怒りながら去っていく従業員、ソメヤ(杉山)。 でも、アヅマは動じず、「10周年記念に祝辞を館内放送で読んでくれ」とチンさんに頼む。 チンさん、それらしきもの(?)を持って館内放送に。 部屋では、妙な距離で座っているヒヅメとミツワ。ミツワは必死に昔話をしている。 フロントにはすごく変な格好で寝ているコイケ夫妻。など。 そして館内放送がされます。 でも、明らかに内容が違います。「今、ホテルに着いたところです・・・この手紙が着く頃には私も帰ってるかな。 そしたら一緒に読もうね。なんて・・・馬場春男様・・・」 変な語尾が着いた(?)手紙が館内中に流れます。 ゆっくり体を起こす、フタツモリ(現:コイケ)。この手紙は・・・10年前に・・・。 「なんだこれなあ」と笑いながら話し掛けるコイケ。 部屋では「馬場・・・・」とゆっくり呟くヒヅメ。 うな垂れる(客席には後姿のみ)フタツモリ。それを見て急に真顔で呟くコイケ。「お前、泣いてるのか・・・」 暗転。 こんな流れでした。 単純に。 三宅さんと大倉さんのやり取りに爆笑した、とか、チンさん訳分からなくておかしかった、とか、チンさん紐を引っ張ると階段が滑り台になっておかしい、とか。 にっこり爽やかだけど、言動滅茶苦茶なみのすけさんに笑ったしちょっと怖かったとか。 なんで死んだメグリが観葉植物になってしかも、「出番はここだけです!」とか言ってるのとか。 その台詞、間に、笑いどころ満載だったけど。 最後に残ったのは切なさだったり。いろんな受けとめ方が出来たかも。 私は、前半爆笑、後半じんわり切ない、でした。 10年の時を経て、集まった人たち。しかも、誰一人幸せそうじゃないし。 そんな中、間抜けなチンさんが結果的に引き起こした「切なさ」。 忘れようとしてた、忘れてた「過去」を思い出し、心が揺れるフタツモリ・・・その後姿にちょっとうるっときちゃいました。 きっとそれは、フタツモリだけではないはずだし・・・。 観てる私もふと振り返ったりして・・・。 帰り道、私は思わず口ずさんでました。 「あれから10年も・・・この先10年も・・・」(10years。渡辺美里さんの歌です。大好きなんです。) 「シリアス・コメディ」そんなのありか?と思った私ですが、成る程、「シリアス・コメディ」でした。 あと。 私が気付いただけでも何人か過去に演じた事のある「役名」が付けられてた人がいた。わざとかな。 三宅さんの「マルボシ」(カラフルメリィ〜)とか廣川さんの「チン」(フリドニア)とか藤田さんの「タカノ」(ウチハソバヤジャナイ)とか。 それと、始まる前のBGM。いろいろ流れてたけど、「ノーアート〜」で使われてた曲が繰り返し流れていた。 また、今回の出演者はほぼ「ナイロンの人」。小林さんは3年前までナイロンの人でした。 そんなわけで、いろんな意味でしみじみ(?)な私。 そういえば、峯村リエさんが出てないのはどうしてなんだろう?すごく気になる。 |