彦馬がゆく
HIKOMA,THE HERO

[作・演出]三谷幸喜

[CAST]
小日向文世、筒井道隆、 酒井美紀、 伊原剛志、松金よね子
松重 豊、 梶原 善、 阿南健治、 温水洋一、
本間憲一、 大倉孝二、 瀬戸カトリーヌ
 

ルテアトル銀座にて2002.3.15観劇。席は7列20番。肉眼でばっちり見えました!

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幕末の写真館を舞台にした、当時としてはちょっとハイカラな一家と、写真を撮りにやって来る歴史上の
有名人たちが織り成す、楽しいシチュエーション・コメディ。

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舞台は幕末の江戸。中心となるのは写真師・神田彦馬一家。
浅草に初めて写真館を開く夫婦:彦馬と菊(小日向・松金)と、高杉晋作の奇兵隊に志願したかと思えば、
新撰組にも首を突っ込む自由奔放でちゃらんぽらん人生を送るがまるで憎めない長男:陽一郎(伊原)、
父の跡を継ごうとまじめに写真に取り組む二男:金之介(筒井)、写真館のマネジャーとして一家を切り盛り
しつつ、坂本竜馬と恋に陥ってしまう長女:小豆(酒井)そして長男の恋人:しのさん(瀬戸)がからんで激動
の時代にいや応なく巻き込まれていく庶民が描かれている。

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写真館を誕生させたものの、なかなかお客さんが来ない神田家。なんとかあの手この手でお客獲得に奮闘
している。そこへ続々登場する幕末のスター。
浮き沈みの激しい(?)桂小五郎:のちの木戸孝允(梶原)がまずやってくる。
思いがけぬ客に大喜びの神田家。が、そこへ小豆の恋人として(陰謀家として描かれる)坂本竜馬(松重)
がやってくる。
目を合わせない彦馬。なんとか気に入ってもらおうとするが、陽一郎のとんちんかんな(?)アドバイスに
素直に行動した為にかえって迷惑をかけたおす竜馬。客なのに途中からないがしろ(?)扱いの桂。
このみんなのやりとりは大爆笑ものでした。

その他にもお坊っちゃん気質丸出しの高杉晋作(本間)、その高杉を信じ行動するが、裏切られていた事に
愕然とする上昇志向の強い(動きのヘンな?)伊藤俊輔:のちの伊藤博文(大倉)。
強面の為か、新撰組であるせいなのか(?)周りが脅えた目を向け、その目は愛する娘も一緒なんだと
どうしたらそんな目をしなくなるのかと悩む「鬼の」近藤勇(阿南)。
(「これで子供にも人気ですよ!」と金之介が近藤に教えたのはなんと「ムーンウォーク」(爆)しかも、近藤は
真剣に学ぼうと必死である。)

神田写真館誕生5年後。
「薩長同盟」を証拠として残す為に、竜馬が先導して神田家にやってくるのは,イメージとのギャップに悩み、
写真を撮られる前に目張りを入れたり、色黒にしてみたり(?)実際撮られるときは背伸びしようとふるふる
震える小柄な西郷吉之助:のちの西郷隆盛(温水)、そして乞食の格好で雲隠れしていた桂。
温水さん、いるだけで面白いです(笑)小心者っぷりといい、写真を撮られる時の背伸びと志村けんの
「だっふんだ!」と瓜二つの表情(爆)お腹が痛いっす。
そして、登場するたびにすべてをかっさらってしまうかのような梶原さん。
ツッコミっぷりもいじけっぷりも開き直りっぷりもすべてグー!です。
はじけまくってました。

・・・小豆の恋人、竜馬は京に渡ってから人が変わったように冷たくなる。
5年前はあんなにさわやかでラブラブだった2人だったのに。
「めりーくりすまし。」と(?)小豆に「しゅーず」をプレゼントし(小豆が「こういう時はどう言ったらいいのかしら?」
と聞くと、「おーまいがー」と答える爽やかな青年(?!)竜馬。)、「はにーむーん」に行く事を誓った二人だった
のに。
傷つくが無理矢理明るく振舞う小豆。心配する家族。「井戸に行く」と言うと身を投げやしないかとその後を
家族全員着いて行くという(?)心配っぷり。

そして更に2年後、戦はひどくなっていく一方だった。
そんな時、重症を負った近藤が現れる。死ぬ事を覚悟してか、「写真を撮ってくれ」と。
そこへえらくなった(?)伊藤博文が「近藤を引き渡せ」とやってくる。
でも神田家にとっては、純粋で気の弱い、動きのヘンな(?)しゅんすけクンにしか見えない。
いくら、「どうなってもしらないぞ!」と脅しても、神田家は動じない。
「俺は俊輔じゃない!」と強がってた伊藤だったが、ついに神田家にのせられてしまうのだった。
逃れた近藤。
いい表情で写真を撮られる。そして、金之介に、教えてもらった「ムーンウォーク」を披露し(?)爽やかな
顔で「鬼の」近藤は去っていく。それが、なんだか切ない。

戦は神田家にも近づいてくる。
とうとう避難せざるをえなくなる。
家も崩れ始める。
みんな大切なものを抱え、必死に逃げる。
そんな非常事態の中、崩れ始めた家の床下に手をのばす小豆。「危ない!」と制す父の言葉にも耳をかさず、
必死に取り出したのは「しゅーず」。
そう、小豆は捨てられても、その本人が死んだ事を知っていても、今でも愛していたのだ、竜馬の事を。
しゅーずを抱きしめ、泣きながら小豆は呟く。
「おー・・・まい・・・がー・・・」

神田家は命からがら避難をし、この家を後にした。

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太っ腹で、何事にも動じない菊。
菊の言うとおり、神田家の一員になるべく「節操を捨てた」(爆)はじけまくってるかわいいしのさん。
のーてんきな陽一郎。
しっかり者だけど、本当は不安を抱える小豆。
まじめでちょっと天然ボケで優しい(?)物語の進行役も努める金之介。
静かでちょこちょこっと茶々を入れてそれがおかしくてたまらない・・・のにしっかり周りを見ていて、どんなに
危険な事があろうとも自分の信念を貫き、写真を撮りに来た人々を大切にする彦馬。
私の中で、誰一人として「この人はちょっとなあ・・・」という人がいなかった。
みんな、すごい。
一人一人が実に個性的で、魅力的で、でも浮いていない。
ばか笑いし続け、でもちょっと切なくなって。
本当に幸せな気分で帰ってきました。
何度でも観てみたい、そんな舞台でした。


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