LOVE LETTERS

作:A.R.ガーニー 訳:青井陽冶

2004.12.4(土)ソワレ ☆座席1階Z列13番  井上芳雄×中越典子


正直なところ、朗読劇ということで、初めてな私は退屈しやしないか?などと不安でした。でも、そんな心配は皆無でした!

「ほんについてのおてがみありがとう。」
出だしの井上さんはその「文章」が「ふぞろいのひらがな」のように、たどたどしくて微笑ましかったです。
「Pのぼうを、ピーーーッ(ちょっと顔をしかめて言うこの伸ばし方がまたかわいかった!)と・・・」
本能のままに(?)素直に愛情表現するアンディと辛口でありつつ、まんざらでもないメリッサ、という印象でしょうか。

それが成長し、学生になり、いろんな経験をしていきます。
井上アンディーは、相変わらずメリッサが好きですが、それなりに言いたいことも手紙で言うようになりました(笑)
メリッサは、精神分析医に通ったり、家庭環境が複雑で自分の居場所がないと感じたり、でも自分はママみたいな失敗はしない、いろんな人と出会ってから決める、、とアンディー一人に決めようとしません。
そんな中、アンディーは怒りの手紙を書きます。メリッサの裏切り(浮気?)についてです。メリッサは必死に謝ります。
それからしばらくの間、手紙好きのアンディーの手紙が途絶え、手紙嫌いのメリッサの手紙が次々にきます。
不思議なものですね(笑)
メリッサが「逢いたい」と。やっと返事を出すも、つれないアンディー。
そして、メリッサのふざけたある行動(うわさ)にかなり怒りと嫌悪感をむき出しにした手紙を出します。
すると。
今度は、メリッサからの手紙が途絶えます。
「届きましたか?」・・・
「そこにいるんですか?」・・・
(メリッサの無反応にうろたえはじめる。)
「起こってるんですか?怒ってますね。」
(すでにこの辺で井上さんの言い方が半分諦めや後悔が感じられて、おかしくて笑いそうになってました。)
そして動揺のあまり、目をきょろきょろし、落ち着きをなくし、(焦って困った表情がまたかわいい。)ちょっとした間の後。
「ごめんなさい。」
思わず噴出してしまいました。客席からもくすっと笑い声があがってました。
そうやって喧嘩をし、いつの間にか仲直りし、ホテルに行くまでの仲になった・・・けどうまくいかず。
メリッサは手紙は嫌、電話を引いてと。紙の上の幻じゃななく、生身の人間と触れ合わなきゃと。
でも、アンディーは自分の意思を曲げません。
そうして、お互い、またよそ見(と私は思う)してしまうのでした・・・。

1幕は井上さんのくるくる変わる表情にくすっと笑ってしまうシーンもあり、その手紙からお互いの情景が浮かんでくるようで微笑ましかったです。
中越さんのメリッサはちょっと心に傷を負ってるせいか、もともとの性格なのか喜怒哀楽の激しい女の子でした。
ちょっと一見自由奔放で、ちょっと荒れてるかなあ。
井上さんのアンディーは、純粋にメリッサを愛しているけど、自分の価値観は絶対曲げない、ちょっと頑固な感じ。
しかし、よくもこの2人、これだけ喧嘩して言いたいこと言ってお互い別の異性見ちゃったりしてるのに、途切れることなく関係が続くなあと、1幕終わって思いました。
それは手紙ゆえのものなのか、お互いが「運命」の人だったのか・・・両方なのかな。

2幕。
アンディーは海軍に入り(井上さんの「コンニチワ。オハヨゴザイマス。」の片言の日本語には笑った。)、メリッサはうわさでアンディーが日本の女性と結婚すると聞いた。
嫉妬に狂ったように何度も真意を確かめる手紙をアンディーに送るけど、返事がない。
そして、メリッサは別の男性と結婚を決めた。そして子供もできた。
いつしかまた手紙は復活していてお互いの近況を伝え合い、逢おうとまでしていたけど、アンディーの手紙にメリッサはまた暫く音信普通になります。
「ジェインを紹介します。」
・・・ジェイン?その時のメリッサの気持ちを思うと痛々しくなります。

井上さんは、順調な毎日を送ってまさに未来に向かって輝いてる青年、という感じになってました。
あまりにもやりたいこと、ほしいものがある。それゆえに、大切なことに気づかない・・・。

そうしてアンディーは売れっ子弁護士になり、幸せな家庭も持ち、立場も状況も変わっていきます。
反対にメリッサは離婚し、精神的にもますます不安定になり、子供とも逢わせてもらえず、才能のあった「芸術」に力をそそぐもうまくいかず。
メリッサにはアンディーがすべてになってしまう。
そして、二人は逢ってしまう。何十年という思いの波にのまれるように、何度も逢ってしまう。
しかし、選挙も控えて大事な時、アンディーは迷いに迷う。あまりにも代償が大きい。
そして、不倫疑惑。記者からの電話。
・・・・・・結局、アンディーは自分の立場をとった。すべてを捨ててまでメリッサを受けとめることは出来なかった。

どうしていいか不安でいるあまり変わらないメリッサに対して、井上さんのアンディーは本当に年を取り、立場と奥底の思いに揺れ、結局自分の立場を選ぶ姿は冷たい位で哀しくもありました。
そして、それはメリッサの心を完全に壊してしまったのだと思います。
メリッサにはアンディーが「すべて」。その「すべて」が無くなったのですから・・・。

とにかく、アンディの変わりゆく状況、立場が井上さんのその表情から、その「文章」から声から伝わってきて、すごく切なくなりました。
時に痛々しくて、哀しくて。
ラスト、メリッサの死で「自分の中の真実」に気付いたアンディーの井上さんが涙ながらに語るその井上さんを観ていたらじわっと涙が出てきて止まりませんでした。
段々じわじわ明かりも暗くなってきて。更に泣けてきました…。

2幕で井上さんの衣装が変わった(上だけですね)のですが、アンディは変わっていったけど、メリッサは変わらずにいたように感じたので、その衣装さえもなんだか自然に感じてしまいました。
無邪気な子供から思春期、青年、大人、・・・とその表情、声からすごく伝わってきました。
井上さん、素敵でした。

あくまでも、朗読劇であり「手紙」であるので、人によって受け止め方が違うかもしれません。私なりの印象、解釈ということで念のため。