東宝ミュージカル「マリーアントワネット」
原作:遠藤周作「王妃マリー・アントワネット」
脚本・歌詞 ミヒャエル・クンツェ /音楽 シルヴェスター・リーヴァイ  /演出 栗山民也

出演者 
マリー・アントワネット:涼風真世
  マルグリット・アルノー:新妻聖子/笹本玲奈(Wキャスト)
アニエス・デュシャン:土居裕子
アクセル・フェルセン:井上芳雄
ルイ16世:石川禅
ボーマルシェ:山路和弘
オルレアン公:嶋政宏
カリオストロ:山口祐一郎
 
ローズ・ベルタン 他:春風ひとみ
ラパン夫人 他:北村岳子
ランバル公爵夫人 他:河合篤子
ロベスピエール 他:福井貴一
べメール/エベール他:広田勇二
ラ・フェルテ 他:tekkan
ギヨタン博士 他:佐山陽規
レオナール/ロアン大司教:林アキラ

【アンサンブルキャスト】
安部 誠司   池田 紳一 小原 和彦  KENTARO  小西 のりゆき  齊藤 裕加   島田 邦人
 杉山 有大  砂川 直人  武内 耕  俵 和也  照井 裕隆  中山 昇  松澤 重雄  横沢 健司
家塚 敦子  石田 佳名子  碓氷 マキ  樺島 麻美  史桜  鈴木 結加里  高島 みほ
 鳥居 ひとみ  中川 菜緒子  中村 友里子  Belle  水谷 祐紀  やまぐち あきこ
story

1779年、フランス。国王ルイ16世統治の下、国民は飢えと貧困に苦しんでいた。
しかし、王妃マリー・アントワネットを筆頭に、上流階級の貴族たちは貧困などどこ吹く風、豪奢な生活を満喫していた。
ある日、貧民の娘・マルグリットは、ひょんなことから王妃に出会い、貧民の救済を乞う。
しかし王妃から与えられたのは救いの手ではなく、嘲笑だった。その場にいた貴族みんなが王妃に倣いマルグリットを嘲笑する中、ただ一人、王妃の愛人・スウェーデン貴族のフェルセンだけが胸を痛めていた。
かねてより身分の違いによる貧富の差を疑問に感じていたマルグリットは、王妃を激しく憎むようになる。

やがて彼女は貧困と恐怖のない自由な世界を求め、フランス革命の道を歩み始める。
彼女を陰ながら支えたのは、同じく革命を企てる国王のいとこ・オルレアン公、劇作家のボーマルシェ、錬金術師のカリオストロらであった。
マルグリットの師、修道女のアニエスは、王妃に対する憎しみに突き動かされているマルグリットに心を痛め、神の愛を説くものの、その声はもはやマルグリットには届かない。

そしてある日、オルレアン公首謀の元、彼の有名な「首飾り事件」を引き起こす。
やがてその波紋は広がり、王室に対する民衆の怒りと憎しみは頂点に達するが、国王夫妻はそれを知る由もなかった。
三部会開会の日、華々しいパレードの中、かねてより病床に臥していた皇太子が夭折する。悲しみにくれる国王夫妻には、革命への警告も耳に届かない。
やがてマルグリット率いるデモ隊がヴェルサイユ宮殿にまで侵入し、その騒ぎの中、国王一家は監視下に置かれるようになる。そしてさらなる監視の強化のため、革命家の集う政治結社・ジャコバン党のメンバーは、マルグリットを王妃の小間使いとして送り込む。

徐々に王室の立場が危うくなる中、事態を重く見たフェルセンは王妃を救おうと、国王一家を密かに逃亡させようとするがあえなく失敗、一家はタンプル塔に幽閉されてしまう。
革命は進み、ついにフランスは共和国へと生まれ変わり、国王は裁判の末、処刑される。地位も、夫も、子供も、全てを奪われ、必要以上に痛めつけられている等身大の王妃を間近で見て、今まで王妃に対する憎しみを原動力にしてきたマルグリットは、真の革命について考えるようになる…。
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観劇感想。

2006.11.23(木:祝) 帝国劇場にて観劇。 座席1階G列38番 ☆マルグリット:笹本さん

面白かったです♪
心に響いたシーンや面白いシーンが多々ありました。(そして、ある意味ツッコミどころ満載というか・・・。
黄色い旗とか馬車とか・・・ぼそっ
ただ、いろんなシーンで疑問が残ったのも正直なところで、パーツパーツがひとつのものになっていないような印象を、私は受けました。


いきなりですが、どうしてもひっかかること。
マリー・アントワネットのキャラ設定と彼女をとりまくエピソード。

・・・なので、前半に限らず後半になってもマリー・アントワネットに対しては気持ちがあまり動く事がありませんでした。

1幕、品格があまり感じられず、故意的に意地悪な少女に観えてしまったんです。
知らぬがゆえに、わがままであったり人を傷つけていってしまうと同時に、その品位や可憐な美しさは魅力的であった人だと思うし、言いか悪いかは別として、ルイの体の事とかいろいろ理由があったりするのに、そういった過程が殆どすっ飛ばされていると思います。
なので、「宮殿でわがままし放題のマリーアントワネット」シーンがあまりに唐突すぎな気がして、魅力をあまり感じられなかったのと、「フェルセンはどうして惹かれたの?」という疑問が拭えなかった私です。
そして涼風さん、あういう声(アニメみたいな)を使わなくても表現出来ると思うんだけどなあ・・・。
2幕、母になったマリーアントワネットも、やっぱり唐突な感が・・・。
子供を愛する想いが、なんだか深く感じなくて・・・。
1番ひっかかったのが、息子が亡くなった事を知らされたシーン。突然バタッと倒れこみ泣くのですが、その一連の動作があまりに嘘っぽかった・・・(T_T)

でも、断頭台に向かうラストシーンは素敵だった!
マルグリットの差し伸ばした手にゆっくりと手を重ねるマリーアントワネットの、その手の仕草が優雅で「王妃」を感じさせるものであったし、短い髪を手ぐしでゆっくり整え、微かに微笑んだ(ように見えました)その仕草も表情も、可憐で優雅。
思わず息をのみました。
1幕でも、こういうキャラだったらなあ・・・。そしたら、もっと見方も違ったと思うし、ラストのこのシーンにも生きてくるような気がするんですけど・・・。

あと。
せめて、ルイの最期位、ワンシーンでいいから作ってほしかった。
頼りないルイだったけど、最期までそうだったわけではないはずだし・・・。
気づいたらもう処刑されたということでいなかったので、ちょっと悲しかったです。

2人のMAや、マリー・アントワネットとフェルセンの愛に重きを置きたかったのかもしれないけれど・・・。
後者については、ルイの存在があり「王妃」という立場があってこそ、切なく深い愛が存在するのかと思っていただけに、マリー・アントワネットとフェルセンは最初から愛を告白しあっちゃってるし、最後には激しくキスしちゃってるし・・・。
うーん・・・(T_T)

とにかく、マリー・アントワネット自身をもっと深く丁寧に演出してほしかった・・・というのが何よりひっかかり、残念。

マルグリット側(そんなまとめ方^^;)は、比較的分かりやすかったと思います。
原作と違う部分が多々ありますが、そのエピソードも含め、マルグリットの思いの変化が割と自然に入ってきました。

各ナンバーとも、割と拍手するタイミングが難しい(次のシーンに流れていくので)感じですが、それはそれで私は割と好きです。
アンサンブルとの迫力あるナンバーも例外ではなく、びしっ!と決めるというのではなく、そのまま静かに下がって消えていく感じもあったりで、妙に緊張感があってドキドキしました。
こういうのはあまり観た事がなくて、新鮮でした。


遠藤周作原作とするならば、もっと史実や原作に忠実であってもよかったのかなあ・・・ということと、マリー・アントワネット(やルイなど)のエピソードをもっと、ちょっとしたシーンでもいいから盛り込んでほしかった、というのが私の初見の感想です。
(でも、限られた時間の中でどんな風に?と考えると「エリザベート」しか思い浮かばない貧困な考えの私。)
それと、カリオストロの存在意義が私にはよく・・・。
なんか、もどかしいキモチで観ていた3時間ちょっとでした(笑)

キャストの方々の感想。

1番印象に残ったのは、マルグリット@笹本さん!
すごくよかった〜。
「100万のキャンドル」で、マルグリットは地べたにうずくまったまま歌いだすのですが、たまたま座っている位置からばっちり観えたんです。
その表情が、壮絶な中で生きてきたであろう苦しみや、マリ・ーアントワネットから受けた仕打ちに対する怒りに満ちていて、歌と相まってぞくっとしました。
このナンバーを聞いてる途中で早くもうるっとしてしまった私です。
あと「心の声」も印象的。
この二つのナンバーは、終演後も頭の中でぐーるぐるまわっていました。(というか、今も・・・。)
真っ直ぐ力強い歌声は、聴いていて気持ちよかったです。また、繊細な高音もキレイに出てて、いろんな歌い方が出来るんだなあ、と。
2幕後半での「何かか違う」と思い始めたマルグリットの動揺や切ない思い、葛藤も伝わってくるようでした。

フェルセン@井上さんは、激しい感情を押し込めて、愛する人を必死に守ろうとする姿が素敵でした。
恋人でありながら、時には親のように冷静にマリー・アントワネットを諭していたり、いろんな立場となって愛する人を支えていたような印象を持ちました。
2幕での、絞り出すような嗚咽があまりに悲痛で切なかったです・・・。
(ただ、その直後に立ち上がって後ろに消えていくシーンまでの仕草がなんだかちょっと段取りくさかった気も・・・^^;)
歌声も、低音がしっかり厚く、深みが出てたし、また違う井上さんを観た気がします。

広田さん。
1幕ではべメールという宝石商でした。
ちょっとうさんくさく(←褒めてます。)ちょっとコミカルな動きをされてて思わず気になって観てしまいました。
2幕では、革命派ジャーナリスト・エベール。かなり嘘つきのいやーな(←褒めてます。)男でした。
なぜ、そこまででっちあげるのだぁ〜〜!!と裁判のシーンでは心の中でツッコミを入れてました(笑)
1幕と2幕で全く違ったキャラだったので驚きました。同じ人が演じてるとは・・・^^;もっと観たかったです。
ちょっと、お顔が痩せてたような気が・・・。

その他のキャストも皆さん歌が上手く、安心して浸って堪能することができました。
カテコでは、各キャストに対してとても大きな拍手が贈られていました(^^♪

こんなところで・・・。
なんせ、初見なもので・・・次回観た時に改めて他のキャストの方や、全体を観れたらなあと思います。

いろんな事を考えながらも「また観てみたい。」と思っている私です。
作品(というか原作)自体、結構好きなんだと思います。どんどん読み進み、いろんなイメージが沸いていました。
それ故に、いろんな事を思ったり、求めちゃったりするのかも知れません。
(※私は、マリー・アントワネット関連の作品・舞台を全く観た事がありません。ベルばらしかり。)


あ、カテコで、マリー・アントワネットの被っていた帽子(処刑前の)を静かに拾った禅さんの表情を観ていたら、なんだかぐっときてしまいました。
妻を心から愛しく想っている、という穏やかで深い表情だったように思いました。