NYLON100℃ 28th SESSION
「カラフルメリィでオハヨ〜いつもの軽い致命傷の朝〜」


作・演出
ケラリーノ・サンドロヴィッチ

出演

みのすけ

犬山イヌコ、三宅弘城、大倉孝二、峯村リエ、廣川三憲、村岡希美
安澤千草、喜安浩平、植木夏十、眼鏡太郎、廻飛雄
馬渕英俚可、三上市朗、小松和重、市川しんぺー

山崎一
物語

 みのすけ少年(みのすけ)は窓のない病院にいた。耳を澄ますと、波の音が聞こえる。どうやら近くには海があるらしい。
なせ自分がここにいるのか、その理由はわからない。毎日、窓のない病室で、みのすけ少年は祖父のことを思い出していた。
 ある日みのすけ少年は、同じ病院の患者仲間である丸星(三宅)、杉田(犬山)、岬(小松)、宝田(市川)、品川先輩(廣川)と共に、脱出計画を企てる。
ひとつの病室に集まり、思い思いに脱出計画の作戦を発表していくが、集中力と持続力がまったくない彼らの意見がまとまるはずもなく、作戦会議はあらぬ方向へ・・・。
そしていよいよ、脱出計画を実行に移すときがやってくる。あらゆる方法を使って脱出を阻止しようとする医者(三上)と看護婦(村岡 他)たち。
何度も捕まりそうになりながらもピンチを乗り越え、ついに海岸にたどり着いたみのすけ少年と仲間たちは思わず叫んだ。「海だ!俺たちは自由だぞ!」

 舞台は変わって、どこにもありそうなごく普通の家庭。
ボケ始めてしまった祖父(山崎)と、その息子夫婦(大倉&峯村)、高校生の娘(馬渕)、医大を目指して浪人中の居候(小松)が同居している。
家族は、奇妙な言動を繰り返す祖父の存在をもてあましていた。
ボケが進行していく祖父、なにやら悩んでいる様子の娘、それを心配する息子夫婦、受験勉強などする気のないふてぶてしい態度の居候。それぞれが悩みや不安を抱えながら、めまぐるしく毎日を過ごしていた。
祖父は、ときどき目をつむったまま動かないことがある。
そして、実際には聞こえないはずの波の音に耳を傾けながら、こうつぶやくのだ。「早くこの病院から出してくれないか・・・。ここにはいないみたいなんだよ、彼女は……」。
変わり果てた父親の姿を見て嗚咽する息子。そんな家族の様子を見つめる、みのすけ少年。
みのすけ少年と仲間たちが脱出の末たどり着いたのは、目指していた海だったのか。祖父がつぶやいた言葉の意味とは?まったく違う時間軸で進むふたつのストーリーが少しずつリンクし始めやがてひとつの結末へと向かっていく……。

※()内は役者名。敬称略。
                 

2006.4.8ソワレ 座席1階L列12番

念願でした。
セットや使われてる音楽、主な流れが97年版とほぼ一緒だったので、余計感動。
「海だー!俺たちは自由だ!!」
みのすけ&患者仲間がガッツポーズをし音楽が流れた瞬間、
「ビデオと同じだー!」
と、(なんじゃそりゃ。)ワクワクが止まりませんでした。
ちなみに、その直後のオープニング映像(出演者紹介の)がすごく凝っていて印象的でした。
セットが白と薄い水色でシンプルだったのですが、あたかもそこに出演者がいるかのような不思議な映像。
寝ていたり、歩いていたり、顔が大きく飛び出したり(?)素敵でした。
毎回、ナイロン100℃のオープニング映像は凝っていてすごく楽しいです。

97年版を何度も何度も観ているデメリットは、「ついつい、比べてしまう。」ということでしょうか。
それを事前にお断りさせていただきますm(__)m

でも、みのすけさんも犬山さんも坊主頭の三宅さんも、9年の時を感じさせないナチュラルぶりにまたしても感動。
三宅さんの身体能力も健在。懸垂状態でブラブラしながら足で拍手(?)とか。客席からも「おおっ」という声がありました。
杉田@犬山さんと丸星@三宅さんは、とにかく微笑ましかったです。
そして、それだけでなくふと見せる切ない表情や、その台詞回しや仕草に、可笑しいんだけど悲しい気持ちが襲ってくるんです。さすが。
後半、少しうるっときてしまいました。

みのすけさんは、まだまだ少年OKじゃないですか!
しかも、声がすごくキレイで高いから余計自然なんです。後、天然では?と思わせるとぼけたツッコミ(?)には笑いました。

みのすけ老人@山崎さんは、更にいい感じに力が抜けていて、かわいいボケっぷりでした。
でも、ボケる前はすごく厳格な感じだったという事も見えるので、その落差に息子が涙する姿は、切ない気持ちになりました。
みのすけ老人のトンチンカンぶりに笑っちゃうんだけど、切ない。

その息子を演じる大倉さん。
彼独特の脚の動きとか(?)言い回しが好きなのですが、それもありつつ、父を誰より大事に思うその姿もなかなかよかったです。
それ故に辛い思いをし、変な宗教に足を踏み入れてしまった妻の状態(これは前回に無かった設定)に気づかなかったというのもなんとなくうなづけました。
なんか、ちょっと頑固っていうか、家の事は妻まかせっていうか・・・なんかこの父子、似てるなあって。
欲を言えば、父を見てふと泣いてしまうシーンはもう少しぐっと空気をかえてほしかった。
直前までドタバタ笑いのシーンが続くので、その落差・・・内面っていうのでしょうか、もう少し伝えて欲しいかな、と。
笑いを取るシーンはバッチリ!もう、爆笑でした。
前回の入江さんがとてもよかったので(息子&品川先輩役)、どうなるかと思いましたが、大倉さんは大倉さんにしか出来ない義彦でした。よかったです。

逆に、少々残念だったのは、前回大倉さんが演じていた医者の役を演じた三上さん。
とても好きな役者さんなのですが、なんか、「もったいないなあ。」というのが第一印象。
もっと、三上さんならではの医者であってもよかったんじゃないかなあ、と・・・。
台詞まわしやテンポ、キャラクターが微妙に三上さんに合ってないような、違和感を感じてしまったんです。うまく言えないんですが、なんか窮屈感が・・・。

あと印象に残ったのは・・・。
小松さんの、めっちゃいやーな居候っぷりと、結婚行進曲を常に口ずさむ廣川さんの個性的な品川先輩かな。
正直、菜津子役(余談ですが、再演時の初代奈津子は秋山菜津子さん(当時は奈津子さん)でした。)は、客演でなくてもよかったかなあ・・・。
馬渕さんはなかなかよかったけど、可も無く不可も無くっていう感じであんまり印象に残らなかったんです。(すみません。)
若手の役者さんでも観てみたかったなあ。
ナイロン100℃の若手役者さんの中では以前から夏十(なっと)さんが印象に残っていますが、「ハルディンホテル」と同様、威勢のいい元気な女の子役(奈津子の友人、千絵役)だったので、今度は違うキャラを観てみたいなあ、と。
あと、細かい事ですがもう1人の友人(男)、再演、再々演と役者本人の名前(三宅さん→今津さん)だったのに、どうして今回も今津(演じていたのは喜安さん)だったのでしょう(笑)

前回と違うのは、時代設定が1985年になっていたり、トンギーくん(ぬいぐるみ)が登場したり、怪しい宗教の大泉先生(名前に反応:笑)が登場したり、細かい部分でのネタが少々違う部分があったり、という感じでしょうか。

「ラバーカムバックトゥミー」の音楽と吉田日出子さんの歌声に切なくなり、エンディングにほっこりした3時間でした。