北九州芸術劇場プロデュース「ルル〜破滅の微笑み〜」

  原作:フランク・ヴェデキント(ルル二部作「地霊」「パンドラの箱」)
 構成・演出:白井晃 脚本:能祖将夫
 音楽・映像:nido(古谷建志、上杉俊佑、吉川寛、武田真治) 美術:松井るみ 振付:井手茂太
 
 【出演】
 秋山菜津子/ルル
 増沢 望 /アルヴァ(舞台演出家。新聞社社長シェーンの息子)
 みのすけ/シュバルツ(カメラマン)、看守、マゲローニ、ヒルティ博士(ルルの客)
 岸 博之 /エスツェルニー、看守、カスティ・ピアーニ(売春斡旋)
 石橋 祐 /ロドリーゴ、クング・ポティ(ルルの客)
 まるの保 /フーゲンブルク、舞台監督、ボーイ
 小田 豊 /ゴル(編集長)、フェルディナント(使用人)、プントシュー、フニダイ氏(ルルの客)
 根岸季衣 /ゲシュヴィッツ(詩人)
 浅野和之 /シゴルヒ(自称ルルの父)
 古谷一行 /シェーン(新聞社社長)、ジャック

≪第1幕≫

プロローグ

ACT1 撮影スタジオ

新雑誌のグラビアモデルに新妻ルルを選んだ編集長ゴル。
カメラマンのシュバルツが撮影するスタジオには、ゲシュヴィッツ(詩人)やシェーン、その息子アルヴァが訪れる。
やがてアルヴァの舞台稽古を観るために皆が去ると、シュバルツは自分を抑えきれずにルルに迫る。その場面を戻ってきたゴルが目撃、激しい怒りから発作を起こして絶命する。

IMAGE 1 抱擁 ルルとシュバルツは愛を交わす。 

ACT2 シュバルツ家のリビング
ルルはシュバルツと再婚している。新妻をミューズのように崇めるシュバルツ。
ただ、彼の目の届かぬ所ではルルの父を名乗る怪しげな男シゴルヒが出入りしている。
そこへ結婚を控えたシェーンがルルとの決別のためやってくる。シェーンは長年ルルを愛人とし、ルルもシェーンを愛していた。
言い争う二人の間に入ったシュバルツは、シェーンからルルの素性と自分の結婚に関する真実を聞かされ、その衝撃に耐えられず自殺してしまう。

IMAGE 2 レクイエム シュバルツの死を悼むように歌うルル。

ACT3 劇場の楽屋
ルルはアルヴァの舞台に出演している。楽屋にはゲシュヴィッツなどルルを求める人々がやってくる。
やがて始まった舞台上でルルは突然倒れる。客席に婚約者と共に座るシェーンの姿を見てしまったのだ。
騒ぎの後、ルルとシェーンは激しく言い争い、ついにシェーンはルルと離れられないことを認めて、婚約者への絶縁状を書く。

IMAGE 3 フォトフラッシュ ルルと男たちの様々な風景が洪水のように溢れ出す。

ACT4 シェーン家のリビング
結婚したルルとシェーン。安らぎを求めるシェーンの気持ちに反して、家には様々な人々が出入りしている。
頻繁にやってくるゲシュヴィッツ。シェーンの留守にはルルの父を名乗るシゴルヒやロドリーゴ、ルルのファンを名乗る青年までやってくる。使用人も様子がおかしい。
やがて、アルヴァが登場。二人で食事をする内、彼はついにルルへの想いを口にする。
一部始終を隠れて見ていたシェーンは息子アルヴァを追い出し、彼女と別れる唯一の方法として、持っていた拳銃でルルに自殺するよう迫る。
だが追い詰められたルルは、シェーンが背を向けた瞬間、彼を撃ってしまう。

≪第2幕≫

IMAGE 4 審判 ルルの殺人に対して関係者が証言を繰り広げる。ルルの投獄。

ACT5 アルヴァ家のリビング
シェーンの死から1年半後。ゲシュヴィッツ、アルヴァ、ロドリーゴらルルの脱獄を待つ人々が集まっている。
ゲシュヴィッツの計画によって、ルルは刑務所からコレラの隔離病棟に移されていた。
ゲシュヴィッツの自己犠牲と引き換えに、シゴルヒがルルを連れて帰ってくる。アルヴァは再び彼女に愛を誓う。

IMAGE 5 逃亡 アルヴァとルルの逃避行。 ゲシュヴィッツ、アルヴァ、ロドリーゴも旅に加わる。

ACT6 ホテルのサロン
豪華なホテルに身を隠す一行。ルルとアルヴァは偽装結婚し、ドゥーブラ夫妻を名乗っている。
その日はルルの誕生日バースディ。ルルの愛人(実は売春斡旋人)カスティ・ピアーニや銀行家、投資家らも加わっている。
だが、華やかなパーティの裏では、ルルを売春宿に売ろうとするカスティ・ピアーニ、金を強請ろうとするロドリーゴらが暗躍し、ルルを追い詰める。どうしようもなくなったルルは・・・。
その時、逃亡資金源のアルヴァの持ち株が大暴落し、彼は全財産を失う。

IMAGE 6 漂流 ロドリーゴを始末し、ルル、アルヴァ、シゴルヒ、ゲシュヴィッツ、4人の逃亡は更に続く。

ACT7 屋根裏部屋
みずぼらしい屋根裏部屋。何もかも失った男たちは、ついにルルを娼婦にして街角に立たせるところまで窮していた。
「商売」を始める初日は冷たい雨の夜。次々と客を引き込むルルと無力な同居人たち。
自殺を図るが死に切れないゲシュヴィッツ。
やがて最後の客ジャックが現れる。

エピローグ

2005.4.9(土)マチネ観劇。 座席1階H列22番

まず、舞台ですが、中央ステージが八百屋舞台で前傾していて、奥行きたっぷりで白いマットがありました。
通常の舞台よりもかなり前に舞台が突き出しているので、私の席は実質2列目。
正面奥の壁全体にはスクリーンがあり、ルルら画像の荒いモノクロ映像が時々映っていました。
左右サブステージにアンティークな家具類。
何列かにわたって上下する蛍光灯が並んでいて、なんていうんでしょう、無機質な空間という感じでした。

そして「アクトシーン」と「イメージシーン」が交互にありました。イメージシーンでは不思議なダンス(?)や動きがあったり、不思議な空間でした。

感想としては・・・うーん、思った以上に重いラストでした(-_-;)原作を知らないので。
上記のストーリーに加えてラストを話すと、ジャックは「切り裂きジャック」だったんですね。
ルルはそうとも知らず、逆にジャックに惹かれ、「一晩泊っていってほしい」とまで言い出します。
抱いている途中で、ルルにナイフを向けるジャック。驚き、必死に逃げようとするルル。
しかし逃げ切れるはずもなく、暗がりの中、ジャックのナイフは何度もルルの体に突き刺さります。
それだけでもぞっとするのに、その突き刺してる先が・・・。「女」の部分である「子宮」で、しかも切り取って去っていくんです。
最後まで心からルルを愛し、苦しんできたゲシュヴィッツは自分も刺されているので助ける事が出来ません。
ただ、「ルル!」と叫ぶしか出来ない。
ゲシュヴィッツにとっても悲惨。自分が死ぬより辛かったのではないかと。

これを書いているだけでもやっぱりぞっとして気分が悪くなります(苦笑)
それと、「えっこんな最後?」と。それにしてもあまりにも惨めな救いのない最後・・・と。
ただ、「エピローグ」で1人歩いていくルルを男たちが見ているイメージシーンが入っていたので少し救われた気持ちにはなりました。


さて、役者さんの感想です。
秋山さん。
素敵すぎるー。一言では言えない魅力がありました。美しいけどイヤらしくなく、単なる悪女でもなく。
時には無邪気でかわいくて、時には激しい位自分の想いを貫く。
芯がしっかりしていて、どこまでも自分に正直で、男だけでなく女までも虜にするのに説得力があるルルでした。
ホントに惹きつけられます。

みのすけさん。
よく言えば純粋、悪く言えば大人になりきれてないシュバルツが印象的でした。
ちょっとかわいかった(笑)
相変わらず、よくとおった素敵な声でした。

あとはルルと共に堕ちていったアルヴァ@増沢さんが印象的でした。
カッコいいという見た目もそうなんですが(笑)最初が輝かしい状態だっただけに、最後の情けなさ、堕ちっぷりがすごくよかったように思います。