「トランス」KOKAMI@network
作・演出 鴻上尚史

(youth ver.)
出演 高橋一生/すほうれいこ/瀬川亮

(elder ver.)
出演 松本紀保/みのすけ/猪野学


私の愛する人は精神を病んでいます。ですが、私はとても幸福です。


精神科医・紅谷礼子の診察室に、高校の同級生でありかつての恋人・立原雅人が患者として訪れる。

そのころ偶然に二人に再会し、雅人の看病をすることになる、もう1人の同級生、
今は新宿二丁目で働く後藤参三。
それぞれが苦しみや妄想を抱え、生きる自信を失った時に再会を果たす。
悩みながらも誰かを必要とし、必要とされることを求め続ける「孤独な愛の行方」の物語。

☆2005年11月27日(日)マチネ 座席B列17番

まず若者バーション(?)からの観劇となりました。
セットは壁以外の全体が白に染められており、本棚・ソファ・ベットなどセットが所狭しと置いてあり、無造作に椅子が転がっていて全体的に埃を被っている感じでした。

私はトランスを生で観るのは初めてで、ビデオで「初演」と「鈴木裕美さん演出」を拝見しました。

全体の感想としては、「今一歩感情が入っていきそびれた」。←いきなり苦言ですみません。

いえ、面白かったんですが、なんていうんでしょう・・・年代が違うから?(そんな理由かい。)
爽やかで、3人のバランスもよい感じでその点はとてもよかったと感じました。
テンポも速くて勢いがありました。

ただ、細かい事を言うと、なんていうか、台詞に追い立てられてる感があって、その表情や仕草から感情を強くは感じられずに終ってしまったんです。
すほうさんは通るとてもいい声だったんですが、何度も台詞を噛んでいて、台詞を言うのにいっぱいいっぱいって感じでした。
あと、表情がもっと豊かになってくれたら更にいい役者さんになると思うんですけど・・・。
正直、困った顔も切ない顔も苦しい顔も一緒に観えました。
それが残念。

雅人役の高橋さんは、さすが、というかそつなく演じてるような感じでした。
3人の中では1番落ちついていた印象。
ただ、陛下は初演の小須田さんみたいだったなあ。

「私は空(くう)である。」この台詞の後ちょっとしたギャグが入るのですが、この日は「子供だって・・・・うまいんだもん・・・飲んだらこう言っちゃうよ♪・・・今のは忘れてくれ。」でした。←しかも、恐る恐る言う感じがおかしかった。

で。
私が一番印象に残ったのは参三役の瀬川さん。
初めて拝見する人なんですが(他の二人は他の舞台で観たことあり)キュートな参三でした。
思いっきりのいい演技で、動きも軽くて、表情もくるくる変わって魅力的な役者さんでした。
すんごい汗をかいてたなあ^^;
観ててちょっと内野さんの参三を思い出しました。

そうそう、礼子と雅人が「怪しい」シーン。(雅人が礼子の首を絞めた直後。)
勘違い参三は散々まくし立てるだけでなく、なぜかBGMに合わせてスローモーションで「振られて荒れてやけ酒をしている人」みたいなマイムをしてました。
BGMは「さよなら大切な人〜♪」(花花だっけ?)

カテコで、鳴り止まない拍手を瀬川さんが手で優しく制した時、高橋さんが「えらそうですね。」とツッコミを入れたのがおかしかった(笑)しかも、瀬川さんは笑顔でちょっと戸惑っていたし。



☆同日ソワレ 座席M列19番

そして、千秋楽elderバーション。座席がちょっと遠くて細かい表情は分かりませんでした。

セットですが、私の予想通りでした。
きっと、すごくシンプルなセットになる、となんとなく思っていたのです。壁の色は一緒ですが、それ以外あるのは四角い箱やベット、リンゴやピクニックセット位。殆どがマイム等で表現する、という形でした。
こういうセットにしたのはelderの演技力を思ってのことか、それともセットでそれぞれの年代の「トランス」を表現したものなのか・・・。
私は勝手に後者だと思っているんですけどね。

松本さんは滑舌がよくて、なんだか元気いっぱいでちょっと男勝りな礼子でした。
涙するシーン、もっとぐっと「もろい女性の部分」を出しても良かったんじゃないかなあ、とは思いました。
それと、笑いの部分がちょっと、だったかな・・・。(間なのかな?なんか「間」が妙に気になりました。)


礼子と参三が再会するシーン。「やっだ〜!」
参三「礼子、相変わらず和風な顔ねえ〜」礼子「参三は相変わらず無国籍〜!」
には笑いました。当て書きっすか(笑)

と、その猪野さん。彼の参三はかなりナチュラルなオカマさんでした。創りすぎてなくてよかったなあ。
しかーし、遠目から観ると、声も姿もスピードワゴンの井戸田さんに観えるのは私だけでしょうか・・・(笑)
勢いもあるし、なかなかでした。ただ、ちょっと台詞噛み過ぎかな。
若者バージョンでも書きましたが雅人が礼子の首を絞めた直後の参三のマイム。
BGMは「ろくでなし〜♪」でした^^;かなりおもろかったです♪
・・・でも「ろくでなし」を聞いた瞬間、頭の中に浮かんだのが「梅ちゃん」って一体・・・(ばく)


そうそう。

千秋楽とあってアドリブが出まくりました(笑)
絶えられないくらい笑ったのが「屋上」のシーン。
古今東西有名人、というゲームをするのですが、参三からの質問が初演と変わっていました。

「古今東西、バイセクシャル!」(若者バーションは「ホモセクシャル」)
「芸能人ですか?」「はい。」
「カミングアウトしてますか。」「いいえ」
・・・・・・シーン・・・・。
「急に静かになってどうしたんですか?では、答えです!こー・・・・」
紅谷&雅人「プッ!←吹き矢を吹くマネ。」
参三、額に矢を受けて後ろ向きにバッタリ。
そこでみのすけさんが一言。

「楽日だからって何を言い出すんですか!あの人は女好きです。」

あと、雅人の質問のシーンですが、初演と同じく「目玉のおやじ」だったのですが「目がパッチリ」でやはり「仲代達也」が出てきて参三が勢い余って「目がパッチリのロボットみたい」とかなんとか(はっきりは忘れました。)取り返しがつかなそうな所まで(?)言ってしまった時。
これまたみのすけさんが一言。

「危険です!!」

猪野さんも「もう危険は承知です!しかも映像にまで残ってしまいました・・・(と顔を覆ってガックリ。)」
(※マチソワとも記録用ビデオが入ってました。)

途中、みのすけさんが「はい」と「いいえ」ごっちゃになりかけてしどろもどろになったりもしましたが(笑)もう爆笑、爆笑でした。

「私は空である。」では「遠い海から来たのではないぞ。・・・初演と全く一緒の台詞です。・・・分かるかな?わかんねーだろうなあ。」と不敵な笑みをにやっと見せながら言っていてこれまたうけました。
もう、みのすけさん面白すぎ。

あと、天皇になった雅人はダジャレを連発させるのですが、初演に加えて「天皇三部作」があったのにはびっくりしました(笑)
「明治天皇は目え、いじってんのう?」とかそういうダジャレです^^;
しかし、みのすけ陛下は「天皇4部作」になっていたので更に笑いました。平成天皇まで出てくるか・・・しかもなんだ、そのラッパーみたいのは・・・(謎)

そんなみのすけさんですが(どんな?)。※関係ありませんが、みのすけさんは30代ではない(笑)
演技としても両バージョン通して一番印象に残ったのもみのすけさんでした。
みのすけさんの雅人も陛下もすごくオリジナリティあって、もしかしたら彼にしか出来ない雅人かも、と。
決して派手ではなく、落ち着いた雅人。陛下に変わってしまっても、そのキャラは派手になることはありません。
でも、自然にちょっとした表情や空気、言い方の抑揚で「陛下」になってしまう。
加えてこの人の声がもともと大好きなんですが、ホントによく通るキレイな声。
声を張り上げなくてもその声の響きや抑揚がよく遠い席にも伝わってきて、すごく心地よかったです。
あまりに自然に淡々と「陛下」なので一瞬狂ってしまったように思えなくて逆にリアルな感じでした。
やっぱり、好きだなあ、みのすけさん。

ナイロン率の高い(?)雅人役ですが(手塚とおるさん:未見、三宅弘城さん)いろんな雅人があるんだなあ、と改めて思いました。

そんなわけで、私の好みはelderです。
割と静かな淡々とした中で進んでいったような気もしますが、メリハリがあって、私の好きなテンポだったというのが要因かも知れません。

以前と大きく変わった点は「分裂病」が「総合失調症」になったこと。精神医学的に「分裂病」はなくなったとか。
台詞はちょこちょこと変わったところはありますが、そんなに大掛かりではなかったかと。

なぜか妙に印象に残った新しい台詞は、雅人が「参三、お前高校の時からオカマだったのか?」と聞いた時、参三が「そんな大切な個人情報、簡単に答えられるわけないじゃない。・・・まさか作家なの?」となった所。
なんか時代を感じて(?)妙に印象に残りました(笑)

あと、思ったのは鴻上さんの演出で使われている台詞で鈴木裕美さんがカットしていた台詞が結構あったと思ったのですが、私の中ではテンポ的にもつながり的にも鈴木さんの演出が好きなんだと改めて思ってしまいました。
というのも、観劇していて無意識に心が「違和感」を感じている部分があって。
よくよく考えると、ビデオで「トランス初演」を観た時と全く同じ部分だったのです。
・・・全くの好みですけどね^^;
あと、屋上のシーンとか、鴻上さんは3人に踊らせたりしますが(初演もそう)私としてはいらない。
(感情的な流れが切れてしまうように感じる)

なので、もう1度、鈴木さん演出のトランスが観てみたいです。(使われた音楽も好きでした。)
これが本音。

でも、今回のDVD,出ないかな♪絶対買う♪