野宿者ネットワーク主催 第2回セミナー『いっしょに考えよう!野宿者問題』の報告(2006.5.6)



5月6日(土)午後、野宿者ネットワークとしては2回目の一般参加者に向けた「野宿者問題を考えるセミナー」を開催しました。大学や高校の教員の申し込みが多く、当日は一般の参加者23名・会員8名という多くの参加がありました。

今回は1月30日に大阪城公園・靭公園で行われた行政代執行のことや、この間の西成公園・日本橋公園・釜ヶ崎周辺の公園でおこなわれている行政による排除の動きを知ってもらうための時間をつくりました。一般の報道では知らされない様々な事実を知るために、大阪城公園で排除された当事者である藤田さんをむかえ、代執行までの行政の対応や藤田さん自身の思いや生活についてお話ししていただきました。「野宿労働者の暮らしを知る」という内容でも、今回は野宿当事者である西成公園の藤井さんに話していただく時間を長くとり、生活の様子だけではなく、戦争と切り離して考えることはできない藤井さん自身の人生を語っていただきました。参加者の感想にも「当事者の話が聞けて良かった」というものが多くあり、また、当事者の話は参加者にとってはもちろん、私たち支援にとっても大きな学びとなりました。また、今回は土曜日開催としたことで、セミナー後の夜回りに多くの人が参加され、夜回りで野宿している人の現実を知ってもらうことができたことの意義は大きかったと思います。

4時間のセミナーの内容が盛りだくさんで、参加者が消化しきれない部分もあり、また、参加者同志が意見交流する時間を持つことができなかったことは今後の課題ですが、
排除が激化しているこの時期に、30人を超える参加者とともに「野宿者問題とは何か」
を考えることができた意義は大きいと思っています。
野宿者ネットワークでは、今後もひとりでも多くの人に「野宿者問題」を正しく知ってもらうために、工夫を凝らしながらこのようなセミナーを開催していきます。会員のみなさまも是非セミナーに参加いただき、より良い学びが得られるセミナーづくりのためにご意見をいただけると嬉しいです。                          

〜参加者の声〜           
・野宿者の方たちの講義を受け、いろいろな知識を得ることができ、またフィールドワークで初めてあのような生活がこの日本であるのだなぁという驚きがありました。
・まだまだ勉強(認識)不足なので、学習していきたいです。
・行政代執行についての話で、野宿者が大阪にいるのが自然だという話を聞いて(ネットワークによる注:寄せ場があることと行政の無策のため)、その通りだと思いましたし、印象に残りました。
・まずは、自分自身に「偏見」があること。それは「よく知らないから」それがよくわかりました。現実を知り、事実を自分でわかって、そこから自分の中にある意識を変えていきたい。次は「行動」です。もっと色んなこと知って、自分を変革させていきたい。
・野宿者の方のお話しを聞いて考えさせられることや、地域や行政との関係など具体的に聞けて良かったです(ペットの話、戦争の話など)。大陸からの帰還の話は、祖父の話とだぶりました。 あと話が少しそれますが、震災の神戸がよみがえってきました。「野宿者と被災者はどう違うのか。震災のときには公園にも郵便が届いたぞ」みたいな…。
・非常に良かったです。ホームレス問題は「構造的暴力」なのだと実感できました。知り合いの大学の先生が、ホームレスの方々に炊き出しを行っていると聞き、その真意がよく理解できませんでしたが、今回のセミナーでよくわかりました。生徒達にも還元したいと思います。ありがとうございました。世界のホームレスの問題の比較は、大変興味を持ちました。
・参考になりました。ありがとうございました。教室で使わせていただきます。
・野宿者問題は、それのみで問題としてあるのではなく、戦争の反省のないまま戦後補償もしないまま自国の繁栄のみを追い求め、そして藤井さんのような方を最後に切り棄てていく。その日本の社会のあり方の複合的な問題であると実感しました。土建社会である日本は効率だけを求める社会であったので、労働者の権利をみんなで考える成熟さを持てなかった、というのが腹立たしいです。ジェンダーの問題とも関わりがあることも知りました。野宿当事者のお話を聞けたのが、一番良かったです。
・当事者の意志・自己決定権を尊重することの重要性を感じました。野宿者に対する偏見をなくすためにも、事実を知ってもらうことが重要なことだと改めて認識しました。自分にできることを考えたいと思います。なんらかの形で、行動に参加・協力したいと考えています。
・とても勉強になりました。今まで何も知らずに普通に生活していましたが、裏でこん な現状があることに少し複雑な気持ちでいます。
・野宿者問題について理解してもらいたいという熱意が感じられた。教員をはじめもっ と多くの人に受講してもらいたい。まだ学校への出張セミナーなどが可能になると良いと思う。
・野宿労働者・支援者・行政それぞれの立場があって、何が正しいとはわかりませんが、このような勉強を続けて自身のできる支援を続けていきたいです。

第1回野宿者ネットワーク主催セミナーの報告
‘ホームレス’ってどんなひと?
  〜いっしょに考えよう野宿者問題〜


 11月2日(日)午後からふるさとの家で、野宿者ネットワーク主催の「野宿者問題を考える」セミナーを開催しました。初めての試みで、どんな人が何人ぐらい参加してくれるのかと不安もありましたが、目立つようにと工夫したまるいチラシやメール、クチコミなどで当日は31名(一般23名・会員9名)と多くの参加があり、参加者のみなさんと、ともに「野宿者問題」を考える時間を持つことができました。
 セミナーは
 1.襲撃について   2.排除について   3.野宿生活者のくらし
 4.野宿生活者をうみだす社会構造   5.釜ヶ崎と日雇労働 
 6.野宿者問題の授業の提案   7.フィールドワーク(希望者のみ) 

このような内容を中心に、野宿者ネットワークのメンバーが講師となりビデオや写真などを使いながら野宿者問題についての話をしたり、西成公園で生活していらっしゃる藤井さんにも参加いただき、体験や思いなどを話していただきました。支援者だけでなく、セミナーで野宿当事者の話を聞けたことも参加者にとっては大きな学びになったようです。また、このセミナーのために『一緒に考えよう!野宿者問題 〜教室でこどもたちと学ぶ先生のためのハンドブック〜』を作成しました。この野宿者ネットワークのメンバーによる手作りハンドブックも内容がわかりやすいと好評でした。
 *このハンドブックは第2版を作成し頒価500円で販売します。購入希望の方は連絡してくださいね*
 
 今回のセミナーの参加者には釜ヶ崎にはじめて来られた方も多く、釜ヶ崎の街やこの街でいきる人を身近に感じていただけたことを嬉しく思います。また、参加者の多くが野宿者問題を自分自身の問題として、この社会やこの社会でいきる人をどう見てきたか…という視点から考えてくださったことを嬉しく思います。
 そして何よりも、今回のセミナーで参加者のみなさんと出会えたことを嬉しく思います。このセミナーをきっかけに参加者のみなさんが野宿者問題に関心を持ち、それぞれの方法で、野宿者問題解決のために何かを始めてくださることを願っています。 

 なお、野宿者ネットワークではこれからも年2回(春・秋)このようなセミナーを開催する予定です。どうぞ次回をおたのしみに!

★このセミナーの収益は、
  12月24日(土)の夜回りでクリスマスプレゼントとして贈るフェアトレードチョコレートの購入代金とさせていただきました。ありがとうございました。  


◇セミナー参加者の声◇ 〜参加者アンケートより〜      

今回のセミナーにどのようなことを期待していらっしゃいましたか。

・知りたかった。また、人との繋がりなどを広げたかった。
・「まず知ること」です。
・新聞などで知り得ない情報を知る
・野宿者問題に携わっておられる現場の方の生の声を聞きたいと思ったから。
・基本的なことを教えて頂きたい
・野宿者の人たちが、社会の中でどのように扱われているか、どのような苦労をしているか、が特に知りたかったです。あと、支援する側の人たちは、どのような取り組みをしているのかも知りたかったです。
・野宿者の置かれている現状を知り、そこから日本社会全体の問題点、自分の意識の問題を浮かび上がらせたかった。
・少しでも野宿の現状を自分の目で見られたらというのと、断片的な知識でなく一通りとおして(広く浅く)この問題について知れるかな、と思って参加しました。
・(正直なところ)一緒に参加している学生の今後の自主的学習活動の実践、良い動機となれば…です。
・自分で理解を深めていたつもりだが、他人に何故関心を持つのかと言われたら(ほっといたら良いと言われたり)、上手く言い返せない自分を何とかしたかった。
・(若い人達)の意識が、一歩でも現実を見つめられるようになれたらいいと思う。
・教材づくりの参考に
・野宿者の現状
・ホームレス問題の現状
・ホームレスの人々の現状を知ること(ホームレスになる過程など)
・自分にできることを見つけられること
・野宿者問題の解決方法など



ご自分の期待に対して、セミナーはどうでしたか  
期待はずれ          期待通り
1 − 2 − 3 − 4 − 5 − 6

    1…0人  2…0人  3…1人  4…0人  5…9人  6…7人

 ・一回目のセミナーとして良く計画されていました。
・とてもためになりました。
・実際に野宿生活を送っていらっしゃる方のお話しを聞けたり、フィールドワークでまちのしくみを知ることができて良かった。
・普段、新聞などでは見かけない(もしくはあまり大きな記事にされていない)野宿者襲撃への事実が事例を挙げて紹介されたので、野宿者に対する周りの偏見がどれほどのものか、わかったような気がします。
・講師の方々のお話には、納得させられる箇所がたくさんありました。釜ヶ崎の街と暴力団の関係についても聞きたかったです。
・当事者側の思いなど、貴重な話を聞くことができた。フィールドワークでも、実際に歩いてみて説明して頂いて、少しでもリアルに感じられて良かったです。
・良かったです。自己責任化しても、何にも解決にはならないです。
・初めて聞いたことばかりだったけど、とても分かりやすくて良かった。
・とても分かりやすく、今の野宿者の現状または背景が分かり、自分の今後の仕事に活かせて行きたいと思った。
・とても勉強になりました。普段、何気なく聞いたり見たりしていたものを詳しく知れ、今まで気づかなかったことなどたくさん勉強になりました。途中、襲撃の話では胸が痛くなりました。自分は 襲撃にあった人の話を聞いたことがあるので余計つらかったです。明日からでも、子どもたちに野宿者達のことについて話し、勉強していって欲しいと思います。うまく文には表せないのですが、このセミナーに参加して本当に良かったと思います。ありがとうございました。
・今後、深く知るためにも次回、参加したい。
・フィールドワークはとても印象的でした。正直言うと、外国にいるような気がしました。さらに深く学ぶ必要があると思いました。
・頭の中が少し整理できました。勉強になりました。


セミナーの学習内容や進行はどうでしたか
       ダメだった          良かった
       1 − 2 − 3 − 4 − 5 − 6

    1…0人  2…0人  3…1人  4…0人  5…6人  6…11人

・最後のワークは、自分の傾向が出ていてハッとさせられました。
・暖かな雰囲気で良かったです。
・内容、テンポとも良かったです。
・事前に勉強していたのですが、色々知らないことが多くて改めて考えさせられました。
・最後にやったワークショップなど初めての経験だったので戸惑いましたが、他の人と協力して「自分が良ければそれで良い」と思わない事が大切だと改めて実感できました。
・セミナーの最後のゲームは、おもしろく且つ身をもって社会構造の一端を実感することができた。
・司会の方や発言取り込み含め、良かったです。
・ちょっと「5.野宿者…社会構造」が難しかった。
・学習内容は非常に良かった。進行は、冬は暗くなるので定刻打ち切りを
・とても分かりやすかったです。
・良く分かる内容でした。


セミナーに参加されて新しい学びや気づきはありましたか。

      何もなかった         たくさんあった          
        1 − 2 − 3 − 4 − 5 − 6

   1…0人  2…0人  3…2人  4…4人  5…1人  6…10人

・とても勉強になりました。こんど夜回りに参加します。
・少しずつでも、関われるきっかけになったと思います。
・全体的にとても楽しみながら学習できました。
・本当に貴重なお話しを聞かせていただいて、ありがとうございました。この問題は社会問題としてみんなが知っておかなければならない問題だと思いました。
・ポイントをついた内容で分かりやすかったです。ビデオがあったり体験談があったりで、時間が経つのが早く感じました。フィールドワークでは、何気なく見ていたもの(建物やひと)に、色々な意味や背景があったりすることに気づかされました。
・私の中に差別的な意識が正直いろいろありますが、少し払拭されたような気がします。
・このようなセミナーに参加するのは初めてだったし、今まで野宿者問題について考えたことがなかったのですが、野宿者の排除についての話の中で、野宿者を寝させなかったり、近隣に近づけないようにしょうとする地域住民がサクをつくったりして隔離している、という事実には驚きました。何も考えずに、ここにサクがあるのは当然だと思っていたからです(歩道橋の下など)。
 話は変わりますが、僕も以前テレビで(どのニュースだったかは忘れましたが)野宿者を襲撃した元高校生の話を聞いたことがありますが、その時、よく平然と「自分は正しい」と言わんばかりに堂々と喋れるなぁと反感を持ちました。社会だけでなく、個々の人々もちゃんとした認識をもって、偏見なく問題(野宿者だけでなく)に取り組んで行くべきだなと思いました。最後のゲームみたいなワークショップは、戸惑いましたが面白かったです。協力するということがどういう事か教わりました。今日はありがとうございました。
・普段から野宿者支援の活動をされている団体が、いわゆる「一般社会」と野宿者との距離を少しずつでも近づけるために、「一般人」の意識に働きかけるために、このようなセミナーを開催されるのはたいへん意義のあることだと思い、参加させていただきました。私自身、社会からはみ出た人々に対する偏見を持ち、また自分が社会からはみ出ることを恐れている人間の一人です。自分の意識構造が社会の枠組みから自由であるということはどういうことか、と考えさせられます。家を持ち、定職に就くことがえらいのでしょうか。国の作った法律を「決まりごとだから」という理由で守り、それに従う人間が本当に自立した人間だとは思えないのですが。
・寄せ場がケイタイと求人情報誌に代わって、日雇労働者がうまれつづけてるっていう話に、なるほど!!  と思いました。野宿者の問題は、それだけじゃなくすごく多くの社会問題と関わっていて、変えたくても簡単には上手くいかない問題だと思いますが、一人ひとりが地道に着実に運動を続けていったらすごく大きな力になって、徐々に変えられるかも知れないと思わせてもらいました。うまくまとまらなくて乱文すみません。今日はありがとうございました。
・準備、本番、語り、ビデオ、トータルに、たいへん気配りと内容の充実したものだったと思います。バブル崩壊後の構造変化、しっかり自分でも学びたく思っています。
・ホームレス問題はとても根が深いものだと思いました。表面的な一時しのぎしかできない現状の中、ホームレスの人々と共に生きていける支援者の姿を見ることができた。
・野宿者の人々の背景を知ることができた。初めて参加された方々との交流ができた。このセミナーがここ「ふるさとの家」でできたことが良かった。私にできることをまたさがします。野宿者になったことは自業自得と思われがちですが、社会の構造からつくられたことであることを少しでも分かればと思った。
・夜回り、できましたら参加したいと考えています。
・野宿者=失業してどうしょうもない人としか本当に思っていなかったけど、セミナー全体を通して、働きたいけど働けないという世の中に残念だと思った。あと、このような謝った考えを持っている人がいれば注意をしていきたい。
・次回、参加致します。
・初めて釜ヶ崎の勉強会に来ました。分かっていると思っていたことも、実はちゃんと分かってなかったりして、とても勉強になりました。来れて良かったです。2回目を楽しみにしています。
・いろんな問題を抱えた日本、野宿者問題はそのひとつです。解決方法は国民一人ひとりが細かいところまで目を向け、地域と共に人として生きていくことだと思います。私だけは特別だということを避け、問題意識を常に持つことから始めなければ…。まず出来ることから始めていきます。


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