西成公園シェルターに関しての野宿者ネットワークの取り組み




これまでの簡単な経過

昨年末   西成公園で仮設一時避難所建設計画が浮上
      ・野宿者ネットワークは月1回の交流会で、長居公園シェルターの状況は労働者に情報提供してきた。
 
1月27日   第1回学習会。雑草舎。40人を超える労働者参加。
        自立支援センターの現状と問題点を伝えた。
        労働者のほうからも様々な意見が出された。
 
3月2日    第2回学習会。雑草舎。16人参加。
       ・遠藤弁護士の話
            居住権、行政代執行、テント撤去の際の法律的問題点など。 
       ・労働者へのアンケート記入
            行政に望むこと。シェルターができたときの身の振り方など。
 
5月11日  大阪市ゆとりとみどり振興局へ西成公園シェルター情報を聞きに行く。
       ・予算はついているとの説明。
       ・具体的なことは地域との調整後に。
 
7月17日  天王寺公園事務所との事務折衝
       ・公園内テント空き地へのロープ・フェンスについての理由を聞きに。
       ・何かことがはじまったと見るのが妥当。シェルター建設も含め、事が動き出したとき労働者に説明するところからスタートしてもらいたいと申し入れ。
 
9月15日   第3回学習会。雑草舎
       ・長居シェルター、自立支援センターの現状をまとめて情報として知せる。      
       ・労働者と要求書確認(説明会開催要求が軸)
       ・その後、市へ要求書提出(9月18日)
 
10月16日 天王寺公園事務所との事務折衝でシェルター建設計画決定を通知される。

10月25日 第1回現地説明会

11月1日  第2回現地説明会

11月3日 西成公園の希望者と長居公園シェルター見学

11月10日 西成公園で行政の労働者へのニーズ調査の追跡聞き取り

11月13日 西成公園内の大阪市の現地事務所で交渉。11月20日、あらためて説明会の開催を約束。

11月20日 第3回現地説明会

11月28日 天王寺公園事務所で第4回説明会

12月1日 西成公園交流会

12月5日 西成公園第5回現地説明会

12月8日 西成公園で聞き取り調査

12月13日 西成公園シェルター見学会

12月20日 西成公園シェルター見学会

12月25日 シェルター入所開始・16人が入所

1月1日 もちつき大会

1月19日 聞き取り調査

2月6日 要求書を公園事務所で大阪市に提出

2月7日 大阪市が空きテント18を撤去

4月11日 天王寺公園事務所で大阪市に対する申し入れ

(この他、基本的に月1回の公園での交流会)

これまで取り組んできたスタンス

 ・これまでの取り組みでは、必ず、交流会・ビラなどで労働者に情報を知らせ、労働者の意見を聞き出し、労働者が前面に立った要求作りを行ってきた。西成公園シェルター問題の取り組みもこの基本スタンスをとることになる(幕引きの局面まで)。

  
以下、資料 

第1回学習会

2001.1.20 野宿者ネットワーク通信 公園版57号 
  
 仲間のみなさん
長居公園のシェルター、市内3箇所の自立支援センターなど、野宿者対策が目に見える形で動き出しています。
 ここ西成公園でもシェルターの計画を聞いています。今、行政のほうは「対策がある排除」と称し、シェルター、自立支援センターなどへの入所は公園のテント撤去を前提に行ってきています。また、そのために、長居公園などでは、「説得」と称して、公園の労働者一人一人に強くテントの撤去を迫ってきています。そのときには、仲間一人一人が自分の身の振り方を判断して対応し、決めることになります。それを判断するにあたっては、まず正確な現状を知ることが不可欠になります。
 われわれ野宿者ネットワークも、仲間がただ公園に居座ることを支援しているわけではありません。仲間たちが公園などで野宿しなくてもすむ状況が実現するよう、仲間たちと一緒に考え、支援しています。
 仲間の身辺に行政の対策が迫っている以上、そのまま公園に居座れば何とかなるという問題ではなく、仲間一人一人が野宿から脱するために行政に何をさせ、自らもどう行動するか、考えることが、いま必要になっています。
 場合によっては西成公園対策は早くくるので、急いで行動を起こしましょう。
今、長居公園、自立支援センターの現状はどうなのか、どこが問題なのか、など学習会の場で現状を知らせ、話し合っていきます。
 一人一人にとって大事なことなので、万障繰り合わせて参加してください。
 
 
 
2001.1.27 西成公園労働者学習会
 (第1回)資料
                              野宿者ネットワーク
 
 
シェルター、自立支援センターは、国、自治体が野宿者対策に動き出したひとつの表れ。
 
そうして動き出したが、問題は
  @行政の立場でのやり方なのか
  A労働者のことを真に考えたやり方なのか
          この二つでずいぶん違ってくる。
 
これまでの野宿者対策として動き出した長居公園のシェルター、また、大阪市内3箇所の自立支援センターの実態をみてみる。
 @長居公園では
    最初、シェルターに入らずんば出て行けの対応
    労働者・支援の抗議で強制排除はしないと明言。
        しかし、今、シェルター入所のテントを次々と撤去していっている。
 Aシェルター → 自立支援センターでは
    自立支援センターの現状は、必ずしも就労に結びついていない。
 B恵比須南公園では
    一人一人に説得排除 → テント撤去 → 跡地をフェンスで囲う
 
 こうした現状からみると、労働者のことを考えて、野宿者対策をやっているとは言いがたい。
 
では、本当に労働者の側に立った対策とは、
 ・シェルター、自立支援センターとも始まったばかりの対策
  この対策が、野宿をしなくてもいい状態にきちんと結びついていき、黙っていても労働者のほうからどんどん利用したくなるようないい内容のものにしていくべき。
 ・そうなったら、公園で野宿しなくてもいい状態になっていく。
 ・そういう状態になるまで、息長く、柔軟にすすめていくべき。それが、労働者を公園でやむなく野宿せざるを得ないところまで追い込んだ行政の、責任のとり方である。
 
ところが、現状は
 ・シェルター、自立支援センターとも結果がわからないうちに、それと無関係にシェルター入所後、それっとばかりにテント撤去、そのあとフェンス囲い。 
 ・これは、施策が、明らかに公園からの野宿労働者排除を目的にからめたものであることがよくわかる。
 
これだとどうなるか
  ・シェルター→自立支援センターで仕事を見つけることができなかったとき
  ・仕事を見つけてもトラブルなどがあり、失業したとき 
 
    また、野宿状態に戻らざるを得ない。→ もとの公園にテントを張ることができない。→ あらたに野宿の場所を探すことになる。
    つまり、もとの生活ペースにいったん戻って、また野宿をしなくてもいい状態に向けてやり直そうと思っても、それができなくなる。
 
入所をすすめるための説得にたいして
  @自分の身の振り方として、納得したら入所
  A納得できなければ入所をしない
            この二つのうちどちらかの選択になる。
現状で@(入所する)を選んだら
 ・すぐさまテントを撤去される。
  したがって、もしうまくいかなかった場合、行き先どうなるかわからない。
                      再び野宿→野垂れ死にのおそれ。 
現状でA(入所しない)を選んだら
  ・公園から強制排除のおそれ。
  ・説得排除がしつこくなされる(根負けしない強さ必要)。
 
これらをさせないためには
 @Aのどちらを選択するにしてもそれぞれ問題がある。
 行政に労働者の声を聞く機会をつくらせ、行政に責任の所在をはっきりさせ、それに基づいて要求すべきことを要求していくことが必要。
 これをせずに、現状のまま、今の施策どおりにいくと、野垂れ死にの道へとさらされていくことが充分予想できる。
 
 
 
2001.1.27 西成公園労働者第1回学習会資料
                             野宿者ネットワーク
 
大阪市の野宿者対策の問題点
 
・2000年、公園で野宿生活をしている労働者に対する対策が、長居公園で具体的に動き出した。
  大阪市がだした長居公園周辺住民向けチラシの内容
   「仮設一時避難所は、野宿生活者が自立支援センターに入所できるまでの間や、必要な援護措置等が決定されるまでの間、一時的に居住する施設です。」
  「大阪市内3箇所の自立支援センターに(年間の利用者は1100人程度となる)への入所を、1ヶ月15人程度(年間180人程度)が仮設一時避難所から退所していきますので順次縮小し、必ず3年以内に廃止します」
 つまり
 シェルター → 自立支援センターへ順次入る。
   そこで3ヶ月間、仕事探しの援助を受ける。
                     というシステムになっている。
 その自立支援センターの問題点は。
   自立支援センターは、大阪市内3箇所で定員は280人。
   3ヶ月で全員が就労を果たしたとしても、3年間で3300人にとどまる。
   15000人をこす市内野宿労働者数の実態とはかけ離れる。
   また、出口が最大の難問。
 
自立支援センターの実態
 @どんなところか
  現在大阪市内に3箇所  大淀(100)、西成(80)、淀川(100)
  大阪市が、公園で野宿している労働者を巡回相談し、入所を勧めている。
  入所期間は原則3ヶ月。6ヶ月まで延長可能。
  入所して3週間は仕事を探せない(センターの説明、個別面談など)。
      4週目から職業訓練受講とか常用の仕事へつくための訓練(常用雇用促進事業)が始まるが、今のところ、職業訓練受講はない。常用雇用促進の仕事のみ。
 A 常用雇用促進の仕事の内容は
  現在は草刈。実働30日(1ヵ月半)。10時から4時までの5時間作業。
  賃金は1時間700円(府の最低賃金)、センター退所のときまとめて渡される。
 B常用雇用促進の期間が終了したら仕事さがし。
 C仕事さがしの実態は。
  ・職業相談員を通じての仕事さがしはほとんど効果がない。
     個別に希望は聞くが、後日の返事は「該当する就職先はありませんでした」
     また、会社に紹介するとき「ホームレスの自立支援センターですが」などと言っているので、会社ものってこない。
    会社に面接にいっても、何で野宿したのか、などいろいろ聞かれ、イヤになって自立支援センターの名前を出すのもイヤがる仲間も多い。
  ・Oセンターでは、労働者が自ら会社に電話するなどして仕事をみつけている。
   Nセンターでは労働者自らによる就職活動はほとんどやられていない。最初からあきらめている人も多い。
  D現在までの自己退所数
  E入っている労働者の声
   ・公的就労を出してくれ。
   ・職業訓練をやってくれ。
  F総じて
   問題点として
    ・就労自立支援プログラムの形は整えたが、肝心の就労自立に結びついていない。
    ・ 行政が、寄せ場労働者の実情を踏まえた就労開拓をせず、安易に職安の一般求人枠でお茶を濁そうとしている。
    ・常用雇用促進など世間一般の就労基準を寄せ場労働への対策に安易に適用。そこには、引き上げてやる式の意識が根底にある。寄せ場で働いてきた労働者の実情、年齢などを考慮し、それらの実情に即した仕事を提供する観点がない。
    ・したがって、就労自立を図る目的で作られた自立支援センターだが、現状では基本的なところで機能しないということがはっきりした。
                                    

第2回学習会 

 
2001.2.24 野宿者ネットワーク通信公園版59号
西成公園の仲間のみなさん
先日掲示板でもお知らせしましたが、大阪市が西成公園でもシェルター設置を決めたとの新聞報道がなされました。西成公園でもシェルター問題が具体的に動き出すと思います。
 長居公園ですが、行政代執行は対象とされていたテントが自主撤去したので、やらせずにすみました。また、当初公園でテント生活をしていた480名の労働者が、シェルターに入ったり、生活保護を受けたりで、現在50名弱になっていますが、今でも行政からの説得は続いています。
 先日の西成公園の仲間向けの第一回学習会(1月27日)は、大阪市の自立支援事業、その中身であるシェルター、自立支援センターの問題点を話し合いました。
 第2回目の学習会は、弁護士さんにも来てもらい、法的なところからの問題点を語ってもらいます。また、仲間たちの、こうしたいという身の振り方などもこの場で聞かせてもらい、要求につなげる土台作りをしていきたいと思います。
シェルターに入所するしないを最終的に決めるのは仲間一人一人です。また、行政の説得に直に対応するのも仲間たち一人一人です。学習会で現状・問題点をよく知り、身の振り方をしっかり定めてもらいたいと思います。。
 学習会に万障繰りあわして参加してください。なお、今回の学習会は都合で金曜日になりました。まちがいのないようお願いします。
 
 
  
 
2001.3.2 西成公園(にしなりこうえん)の仲間向(なかまむ)け第(だい)2回学習会(かいがくしゅうかい)
 
これからの要求(ようきゅう)づくりに向(む)けて、仲間(なかま)のみなさんが考(かんが)えていることを教(おし)えてください。
この用紙(ようし)に記入(きにゅう)ください。
 
シェルター問題(もんだい)に関(かん)して
@行政(ぎょうせい)に何(なに)を望(のぞ)みますか。
 
 
 
 
 
 
Aまた、自分(じぶん)の身(み)のふり方(かた)などについて考(かんが)えていることがあれば書(か)いてください。
 
 
 
 
 
 
 
テントの位置(いち)、名前(なまえ)を書(か)いてもかまわない人(ひと)はおねがいします。
 ■テントの位置(いち)
 
 ■名前(なまえ)
 
 
※書(か)いてもらった個人情報(こじんじょうほう)は絶対外(ぜったいそと)に出(だ)しません。
                               野宿者(のじゅくしゃ)ネットワーク
 
 
 
 
シェルター問題(もんだい)に関(かん)して
2001.3.2 西成公園第2回学習会報告
 
                               記:穴沢
遠藤弁護士
・長居公園の地域住民の主婦はいっていた。
「あの人らは法律に違反している。税金を使っている。シェルターを作ることはそれを認めることになる。」
・シェルターに入るときにテントを明渡すことになるのは問題。本当にテントにいつづけることはできるのか。シェルターに入ってて、テントを残す闘いはできるのか。シェル ターに入ってテントを維持するやり方はあるのか。
・今宮中の代執行の裁判で、居住権の問題を取り上げている。
 居住権ついては、日本国の法律には書いていない。国際人権規約の中にある。1996 年の国際会議で。公園・道路にはすむ権利があると。そのとき、日本政府も含んで国連 人権委員会で決議した。
 大阪市は、居住権はあくまでも日本国が他の国に負っている国としての義務である、日本国の中の大阪市の義務ではない、という驚くべき理屈を言っている。使い分けをしている。今宮中の行政代執行は評判が悪かった。強制排除をしている。
・行き場があれば排除を容認という国際的取り決めだから、それゆえ、大阪市は行き場を用 意した。それが、シェルター、自立支援センターである。
・しかし、これは生活を守るものではない。法外保護である。法的根拠はない。つまり、自彊館に入るのと一緒。しかも、この事業の受け皿はNPO。行政が直接手を染めてはいない。
・つまり、法的根拠がはっきりしていない。
・だから、テント撤去の同意書を書く必要はないし、テントをたたむ必要もない。
 シェルターに入りたい、しかし、テントは守る、これをやると大阪市は困るだろう。シェルターに入ってもいい、しかし、テントを撤去する必要はない。
・どんな生活になるかわからないのに、テントを撤去したら生活が破壊される。そんなことはできるわけがない。
・大阪市は法的武器は整備していない。
 今宮中でさえ、行政代執行はかなり評判が悪かった。西成公園でやったら、国際的にも非難ゴーゴーだ。
・西成公園と長居公園では状況が違う。西成公園の政治状況として、地元の住民の反対運動は、長居よりは弱い。
・シェルター問題の前提として、行政処分をしないということを取り付けておかなければならない。シェルターが建つまでが勝負だ。テント撤去がシェルター入所の条件にさせないために。
・行政代執行とは、本来、私がやらなければならないことを行政が代わってやることである。
 労働者は野宿のために公園・道路を占拠しなければならない。行政はこれをどかしたい。
 テント・生活用具の物に関しては行政代執行というたいそうなものでなくても簡単にやれる。これは所有者がわからない場合、かってに撤去、処分できる。所有者がわかったらこれは難しい。
 掃除のためちょっとどいて・・これは法律に基づいてやっているのではなく、同意に基づいてやっている、ということになる。
 所有者がわからなければ、張り紙を何回もする。それでも応じない場合、大阪市は、私がやってあげましょう、と取り除く。ここでは、裁判所の決定はいらない。
・「除却命令」が出てきたらヤバイ。行政代執行法に基づいて戒告する。それから2週間後に行政代執行。
・行政代執行は、もともと、生活の場、野宿の場を想定して作られた法律ではない。いつのまにか当てはめられるようになった。
 
質疑応答 
仲間:人間の生きる権利はどこまで主張できるか。
弁護士:何か施設を作らないとテントをどけられないというところまで日本国は進歩した。
    シェルターを建てなければテントは撤去できない。
仲間:生活保護のこと
弁護士:生活保護は65歳以上となっているが何の根拠もない。
おばちゃん:入れ入れと、犬や猫みたいに簡単にシェルターに入れるわけがない。
青井:夫婦の人たちはどうなっているのか。
弁護士:長居公園の場合は、シェルターに入る前に居宅保護をだいぶ出した。これをどう利用するか。シェルターができるまではアパートに簡単に入れる。
ネット:戒告から2週間。抵抗の仕方は?
弁護士:難しいが、執行停止を申し入れる。
ネット:公園封鎖の法的な問題点は?
弁護士:フェンス封鎖そのもので法的に争うのは難しい。むしろ、たとえば、自動遊戯コーナーとしてつくったものをフェンスで囲って放置しておく、これは税金の無駄遣いではないか、という視点で争うことはできる。
 
第2部 仲間の声を出してもらう
仲間:アンケートはみんなにしたらいい。
仲間:自立支援センターは偏見をあおるような場所。なぜ自立支援なのか。わしらを自立していないと見ているのか。一人前の人間としてみてほしい。これを平気で使う行政とは何なのか。行政は、これをぜひともやめてほしい。
仲間:シェルターの運営は民間。行政の責任は明確になっているのか。
弁護士:シェルターは緊急避難所にすぎない。確実に住むところがはっきりするまでテントを手放さないということが大事。自分がいいですよと納得するまでテントをどけないということを闘う事が大事。いまは、入所とともに同意、これはおかしい。
ネット:テントを残すという問題とスペースを確保するという問題の両面がある。
仲間:テントスペースは要求として当然。
仲間:シェルターの体験宿泊を要求してはどうか。
仲間:転々とするぐらいなら、今のところでそっとしておいてくれればいい。
司会:行政の責任で低家賃住宅の建設と公的就労の創出を行うべき。それがないところで一時避難所をいくら改善しても野宿の脱出につながらない。それがすぐにできないなら、できるまでの間、テントスペースを行政は認めるべきである。こういう形で要求をまとめていきたいがどうですか。
全体:拍手
 
 
2001.3.2 記入してくれた仲間の声
仲間1
行政には:生活保護ができるようにしてほしい。私の年齢は57歳です。
身の振り方:今までのテントに入って、やっと生活ができるようになったのに、今からシェルターに入所してもやっていく自信がないのに、あまり長居公園の撤去の後でこんな問題になって困っている。毎日、私自身もまだできない。脳梗塞で倒れて目が見えない。
位置、名前 :記入
 
仲間2
行政には :私たちには何もならないと思います。仕事があれば、そのことが今の私たち仲間に一番望むことです。
身の振り方:今の生活は大変苦しい生活ですが、私たちは夫婦ですんでいます。この公園に何か動きがあるときは、アパートでも入れるように考えて、今2人でがんばっています。でも、アパートに入っても仕事がなければ、また野宿に戻ると思います。戻らなければならないと思います。夫婦、女性の野宿者に対して、行政の方たちは何か考えてくれていますか。
名前 :記入
 
仲間3
行政には:避難所に入った場合、仕事の割り当てを多くしてほしい。
身の振り方:できるなら、避難所に入らず、自力で生活できるようにしたい。それがだめなら、入所して先のことを考えたい。
 
仲間4
行政には:シェルターの設置場所を早く決定すること。その期日は何月何日なのか。長居公園の避難所より個室の広さのスペースを広くすること。入り口はカーテンではなくドアにすること。
 
仲間5
行政には:われわれ労働者の意見を行政に取り上げさせることが必要である。
 
仲間6
行政には:夫婦問題、現在西成公園には8家族。
位置、名前:記入 
 
仲間7
行政には:シェルター建設自体は問題ないとしても、入所したあとの責任の所在は、入所する際に明確にしておいてほしい。
身の振り方:できる限り、肉体的にも精神的にも行政に頼らず自分自身で動ける間は自活するつもりです。
位置、名前 : 記入
 
仲間8
行政には:私は生活保護を望みます。
 
仲間9
行政には:シェルターなどに入ることはせん。テント生活がよい。
身の振り方:追放するなら外へ行くほうがよい。
位置、名前:記入
 
仲間10
行政には:よい方向性があればいいと思う。
身の振り方:先は不明
位置、名前:記入
 
仲間11
行政には:何も望みなし
名前:記入
 
仲間12
行政には:ホームレス対策の全面的見直しを望む。長居の例を見て何を知るかというと、ホームレス不在の垂れ流し的公共事業の実態があると思う。数十億という予算が使われ、実際に札束を手にするのは業者であり、採用される職員である。今のところ140人ほどの入所者があるという。しかし、470人いたテント生活者の1/3にも満たない。入所のその後はどうなるのか?自立支援センターに進み、定職につき、二度とテント生活に戻らない人(行政の目的)は何人になるのか?おそらく1割にも満たないだろう。
 このようにみると、西成公園の場合も、札束に群がる人間の欲望をいたずらに満足させるだけだ。およそ戦後の民主的な市町村制度において、最大多数の最大幸福の原理が行政の政策にも当てはまるはずだ。(どうやら時間切れのよう・・。書きかけて消してある)
 
 
 
2001.3.17 野宿者ネットワーク通信公園版60 号
 
西成公園(にしなりこうえん)の仲間(なかま)のみなさん
先日(せんじつ)、3月2日に、西成公園(にしなりこうえん)の仲間(なかま)向(む)け第2回学習会(がくしゅうかい)を行いました。金曜日(きんようび)だったせいもあるのか、参加(さんか)した仲間(なかま)は16名と少なかったのですが、中身(なかみ)は非常(ひじょう)に濃(こ)い学習会(がくしゅうかい)でした。以下(いか)、その報告(ほうこく)です。
この学習会(がくしゅうかい)は、遠藤弁護士(えんどうべんごし)の話と、仲間(なかま)からの要望(ようぼう)を聞(き)くという2部構成(ぶこうせい)になっています。
 
第1部 遠藤弁護士(えんどうべんごし)の話(はなし)(要旨(ようし))
居住権(きょじゅうけん)について
 国際人権規約(こくさいじんけんきやく)のなかにある。1996年、日本政府(にほんせいふ)も含(ふく)めて国連人権委員会(こくれんじんけんいいんかい)で決議(けつぎ)した。
 大阪市(おおさかし)の居住権(きょじゅうけん)のとらえ方は、日本国(にほんこく)の国(くに)としての義務(ぎむ)であって大阪市(おおさかし)の義務(ぎむ)ではな い、という驚(おどろ)くべき理屈(りくつ)で、使(つか)いわけをしている。
・行(い)き場(ば)があれば排除(はいじょ)を容認(ようにん)というのが国際的取(こくさいてきと)り決(き)めだという理由(りゆう)で、大阪市(おおさかし)は行き場 を用意(ようい)した。それが、シェルター、自立支援(じりつしえん)センターである。
・しかし、これは生活(せいかつ)を守(まも)るものではない。法外保護(ほうがいほご)で法的根拠(ほうてきこんきょ)はない。つまり自彊館(じきょうかん)単(たん)泊(はく)に入るのと一緒(いっしょ)の扱(あつか)いになる。しかも、この事業(じきょう)の受(う)け皿(ざら)はNPOで、行政(ぎょうせい)が直接責(せき)任(にん)をもっていない。
テント撤去(てっきょ)の際(さい)の同意書(どういしょ)
シェルターは緊急避難所(きんきゅうひなんじょ)にすぎない。シェルター入所(にゅうしょ)とともにテント撤去(てっきょ)の同意書(どういしょ)を書かされるが、これはおかしい。これからどんな生活(せいかつ)になるかわからないのに、テントを撤去(てっきょ)したら生活(せいかつ)が破壊(はかい)される。そんなことはできるわけがない。確実(かくじつ)に住(す)むところがはっきりするまでテントを手放(てばな)さないということも大事(だいじ)。シェルターに入所(にゅうしょ)するにしても、テント撤去(てっきょ)の同意書(どういしょ)を書く必要(ひつよう)はないし、テントをたたむ必要(ひつよう)もない。
行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)について
・行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)とは本来(ほんらい)、自分(じぶん)がやらなければならないことを行政(ぎょうせい)が代(か)わってやること。
・テント・生活(せいかつ)用具(ようぐ)などで所有者(しょゆうしゃ)がわからない場合(ばあい)、かってに撤去(てっきょ)、処分(しょぶん)できる。所有者(しょゆうしゃ)がわかっている場合(ばあい)は、張(は)り紙(がみ)を何回(なんかい)もする。除去(じょきょ)しなさいと命令(めいれい)をする。それでも応(おう)じない場合(ばあい)、大阪市(おおさかし)は、所有者本人(しょゆうしゃほんにん)に代(か)わってやってあげましょう、と取(と)り除(のぞ)く、これが行政(ぎょうせい)代執行(だいしっこう)。ここでは、裁判所(さいばんしょ)の決定(けってい)はいらない。
・「除却命令(じょきゃくめいれい)」がでてきたらヤバイ。行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)法に基(もと)づいて戒告(かいこく)する。たいてい、それから2週間後(しゅうかんご)に行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)。
・行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)は、もともと、生活(せいかつ)の場(ば)、野宿(のじゅく)の場(ば)を想定(そうてい)してつくられた法律(ほうりつ)ではない。いつのまにかあてはめられるようになった。
・今宮中学校(いまみやちゅうがっこう)での行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)はかなり評判(ひょうばん)が悪(わる)かった。西成公園(にしなりこうえん)でやったら、国際的(こくさいてき)にも非難(ひなん)ゴーゴーだ。
質疑応答(しつぎおうとう) 
仲間(なかま)のほうからは、
 ・人間(にんげん)の生(い)きる権利(けんり)はどこまで主張(しゅちょう)できるか。
 ・生活(せいかつ)保護(ほご)のことについて
 ・夫婦(ふうふ)の人たちはどうするか。
 ・行政代執行(ぎょうせいだいしっこう)に対してどうするか。
 ・西成公園(にしなりこうえん)で公園整備工事(こうえんせいびこうじ)が終(お)わった場所(ばしょ)を封鎖(ふうさ)している。この法的問題点(ほうてきもんだいてん)について。
         といった質問、意見(しつもんいけん)がだされ、遠藤弁護士(えんどうべんごし)からの助言(じょげん)もありました。
 
第2部 仲間(なかま)の声を出してもらう
仲間(なかま):自立支援(じりつしえん)センターは偏見(へんけん)をあおるような場所(ばしょ)。なぜ自立支援(じりつしえん)なのか。わしらを自立(じりつ)していないとみているのか。一人前(ひとりまえ)の人間(にんげん)としてみてほしい。これを平気(へいき)で使う
   行政(ぎょうせい)とはなんなのか。行政(ぎょうせい)は、これをぜひともやめてほしい。
仲間(なかま):シェルターの運営(うんえい)は民間(みんかん)。行政(ぎょうせい)の責任(せきにん)は明確(めいかく)になっているのか。
仲間(なかま):シェルターの体験宿泊(たいけんしゅくはく)を要求(ようきゅう)してはどうか。
仲間(なかま):転々(てんてん)とするぐらいなら、今のところでそっとしておいてくれればいい。
司会:行政(ぎょうせい)の責任(せきにん)で低家賃住宅(ていやちんじゅうたく)の建設(けんせつ)と公的就労(こうてきしゅうろう)の創出(そうしゅつ)を行うべき。それがないところで一時避難所(いちじひなんしょ)をいくら改善(かいぜん)しても野宿の脱出(だっしゅつ)につながらない。
 
以上、ごく簡単(かんたん)に第2回学習会(がくしゅうかい)の内容(ないよう)を報告(ほうこく)しました。
 また、この日、同時(どうじ)に、参加(さんか)してくれた仲間(なかま)に、行政(ぎょうせい)へ望(のぞ)むこと、シェルターができたときの身(み)の振(ふ)り方(かた)など記入(きにゅう)してもらいました。ごくろうさんでした。
 最終的(さいしゅうてき)には一人一人(ひとりひとり)の身の振り方、判断(はんだん)がものをいうとはいえ、基本的(きほんてき)なことは、やはり行政(ぎょうせい)に要求(ようきゅう)することが必要(ひつよう)になってきます。その要求作りは、みんなまとまってやらないと力(ちから)をもったものにはなりません。自(みずか)らの生活(せいかつ)のためです。ふたたび路頭(ろとう)に迷(まよ)わないためです。みんな力(ちから)をあわせてやっていきましょう。
 

  
 
野宿者ネットワーク通信公園版61号
 
西成公園(にしなりこうえん)の仲間(なかま)のみなさん
 先日(せんじつ)14日の公園(こうえん)での交流会(こうりゅうかい)では、現在(げんざい)、公園に張(は)られているテント空(あ)き地(ち)の工事用(こうじよう)フェンス・ロープについて、集(あつ)まった仲間から意見(いけん)を聞(き)きました。それをもとに17日、大阪(おおさか)市(し)、天王寺公園事務所(てんのうじこうえんじむしょ)と事務折衝(じむせっしょう)をもちました。その結果(けっか)の報告(ほうこく)をおこないます。
 交流会(こうりゅうかい)においてだされた意見(いけん)のまとめは、フェンス・ロープがなにを意味(いみ)するかを行(ぎょう)政(せい)に説明(せつめい)させる、それがなされないうちは無用(むよう)にフェンス・ロープをはらせない、というものでした。
 事務折衝(じむせっしょう)の話(はな)しあい中ではつぎのようなやりとりがありました。
(こちら)シェルター建設(けんせつ)に関(かん)してはどうなっているか。
(行政(ぎょうせい))シェルターに関してはいまところ進展(しんてん)はない。
(こちら)戎南公園(えびすみなみこうえん)では公園労働者(こうえんろうどうしゃ)の追(お)いだしに工事用(こうじよう)フェンスが使(つか)われた。
(行政)戎南公園では労働者に説得(せっとく)して出ていってもらった。
(こちら)説得というが、実態(じったい)は説得排除(せっとくはいじょ)だ。度重(たびかさ)なる説得で嫌気(いやけ)がさして、出ていった労働者(ろうどうしゃ)もいた。
(こちら)西成公園(にしなりこうえん)のロープ、フェンスの意味(いみ)は。
(行政)フェンスは新規流入(しんきりゅうにゅう)を防(ふせ)ぐため、また、公園管理(こうえんかんり)の業務(ぎょうむ)のひとつとしてやらせてもらった。まわりの労働者には説明(せつめい)させてもらった。
(こちら)まわりに説明したというが、聞(き)いてないという労働者もいる。一部(いちぶ)だけにいっても意味(いみ)がない。
(こちら)西成公園は、テントが増(ふ)えているということはない、むしろ減(へ)っているのが実(じつ)情(じょう)。そんな中で、新規流入(しんきりゅうにゅう)を防(ふせ)ぐためのフェンスが実質的(じっしつてき)に意味(いみ)があるのか。
(こちら)業務(ぎょうむ)というのなら、これまでテント空(あ)き地(ち)があってもすぐフェンスということはなかった。今やりだしたのは何(なに)かことがはじまったとみるべき。それは、シェルターにつながっているのだろう。それなら、シェルター建設(けんせつ)も含(ふく)めて、ことが動(うご)きだしたときにきちんと労働者(ろうどうしゃ)に説明(せつめい)をすることからスタートしてもらいたい。 こちゃこちゃと事前(じぜん)にやらないでほしい。労働者からみれば無用(むよう)のプレッシャーになる。
(行政)交流会(こうりゅうかい)では労働者(ろうどうしゃ)はどういう意見(いけん)か。
(こちら)フェンスはシェルター建設(けんせつ)に向(む)けたものという認識(にんしき)をもっている労働者が多(おお)い(行政)排除(はいじょ)、追(お)いだしということはしない。労働者(ろうどうしゃ)・野宿者(のじゅくしゃ)ネットワークの意見(いけん)はわかった。ことが始(はじ)まったら、説明(せつめい)をさせてもらう。ただ、フェンスに関しては、事情(じじょう)によっては張(は)らなければならない場合(ばあい)もあることを理解(りかい)してほしい。その場合は、事前(じぜん)に連絡(れんらく)させてもらう。
 以上(いじょう)、結論的(けつろんてき)にいいますと、事務折衝(じむせっしょう)で大阪市(おおさかし)、公園事務所(こうえんじむしょ)は次のようなことを言明(げんめい)しました。
@労働者(ろうどうしゃ)・野宿者(のじゅくしゃ)ネットワークの意見(いけん)はわかった。ただ事情(じじょう)によってはフェンスを張(は)らな ければならないこともある。そのときは事前(じぜん)に連絡(れんらく)をする。
Aシェルター建設(けんせつ)に関(かん)してはまだ進展(しんてん)はなく、動(うご)きがあれば労働者(ろうどうしゃ)に説明(せつめい)をする。
B公園(こうえん)から排除(はいじょ)、追(お)いだしはするつもりはない。
                
仲間(なかま)のみなさん。
 行政(ぎょうせい)は、今まで公園で空(あ)きテントがあってもそこにフェンスを張(は)るなどのことをしなかったのに、いま急(きゅう)にそれをやりだしたのは、シェルター建設(けんせつ)などに向(む)けて、とみるのが当(とう)然(ぜん)です。それなら、事前(じぜん)にこちゃこちゃやらずに、ことが動きだすときしっかりと労働者(ろうどうしゃ)の前で説明(せつめい)するべきです。
 公園は、もちろん地域(ちいき)の人(ひと)も利用(りよう)するし、また、広域避難場所(こういきひなんばしょ)でもある公共(こうきょう)スペースです。しかし、行政の無策(むさく)ゆえ、これまで仲間はやむにやまれずこの場所(ばしょ)で生活(せいかつ)を作(つく)ってこざるをえなかったわけです。その意味(いみ)では、行政(ぎょうせい)の責任(せきにん)は大(おお)きく、野宿者対策(のじゅくしゃたいさく)が動きだしているいま、労働者の身(み)になって野宿をしなくてもいい状況(じょうきょう)を作るのが行政(ぎょうせい)の責任(せきにん)のとり方といえます。中途半端(ちゅうとはんぱ)な野宿者対策(のじゅくしゃたいさく)のもとでは、仲間が、公園でのテント生活から行政の野宿者対策(のじゅくしゃたいさく)に身(み)をゆだねても、また野宿に逆戻(ぎゃくもど)りすることは目(め)にみえています。そして、行政(ぎょうせい)の野宿者対策(のじゅくしゃたいさく)のもうひとつの柱(はしら)--公園から労働者を一掃(いっそう)(「公園適正化(こうえんてきせいか)」)--で、公園での居場所(いばしょ)を失(うしな)うことも考(かんが)えられます。
 こういったことをよくみながら、仲間どうしまとまるべきところはまとまって声(こえ)をあげながら、確実(かくじつ)に野宿(のじゅく)しなくてもいい状況(じょうきょう)を作(つく)りだせるよう、各自(かくじ)とりくんでいきましょう。
スタートが重要(じゅうよう)です。
 

第3回学習会 

 
2001.8.18 西成公園用ビラの内容(62号)
 
西成公園の仲間のみなさん
 盆も終わりましたが、まだ猛暑が続きます。身体に気をつけ、もうひとふんばりしてのり切りましょう。
シェルターの問題も含めた「野宿者対策」は、大阪市が総合プランを8月中に出すということを聞いているので、その内容は、今後西成公園シェルター問題にも関わってくることでもあり、その動向をよくみていきたいと思います。
 
@今日はいろいろ聞かせてください
 シェルター問題などについて、仲間が日頃思っていることを聞かせてください。
ビラを手渡しながら、野宿者ネットワークメンバーが仲間との話しこみにまわります。
 
A第3回学習会を予定しています。
 今日聞いた仲間の声、大阪市の動向、シェルター・自立支援センターの最新の情報などをもとに、西成公園の仲間向け第3回学習会を開きたいと思っています。詳しくは後日お知らせするようにします。
 
B9月1日、盆踊りのお知らせ
   場所は公園中央です。
 今回も、暁光会、カトリック住江教会、ビンセンシオ会のみなさんと共同での開催です。
 いつもの、トゥーヌゥーマーヌゥーの仲間が盛り上げてくれます。
 日頃のうさを忘れ、楽しく盆踊りをやっていきましょう。
 
 

 
要 求 書
 
                             2001年9月18日
 
大阪市ゆとりとみどり振興局長殿
天王寺動植物公園事務所長殿
                          西成公園労働者
                          野宿者ネットワーク
                               代表:穴沢一良
 
 
 西成公園の仮設一時避難所(以下シェルター)が予算化され、設置されると聞いている。
これまで西成公園での野宿状態をめぐって、当事者である労働者と、支援の立場にある野宿者ネットワークは約6年にわたって大阪市行政・地域とやりとりを重ねてきた。その中でのこちら側の要求は、基本的に、野宿を強いられる労働者が野宿をしなくてもいい状態になるよう「対策」を講じること、そして、最低限、労働者が現状より不利な状態にならないように、ということにあった。今回、シェルターを設置することになれば、公園での野宿生活のスタイルが質的に変化することにもなるが、上記の基本的取り組みの柱は変わるものではない。
要求を出すにあたり、その背景に、これだけ大量の野宿労働者を出した行政の責任が前提としてある。野宿を強いられ、それが長期化し、いわば”浮遊状態”に置かれた者にとって、仕事と住まいを軸にした居場所を見つけたいとの思いは生活を営むうえであたりまえの行為といえる。野宿を強いられる労働者にとって公園・路上でのテント生活はやむにやまれぬ選択だったといえる。もちろん、労働者自身、公園・路上が居座ってはならない場所であることをよく承知している。仕事・住まいさえあればいつでも出て行く意志があることを公園労働者の多くが心底思っている。しかし、行政は、公園から出て行けということは言いこそすれ、労働者の野宿解消につながる有効な対策としての手を打ってこなかった。これは野宿者対策を進めるべき行政の責任の棚上げ以外のなにものでもない。
 野宿を強いられる状況がそうとう長引く中で、労働者は、とりあえず居場所として定めた公園で、生きていくために飯を食い、生活を作ってこざるを得なかった。このようにして、公園でのテント生活は、最初の一時的な仮住まい状態から、長引く野宿生活の中で大切な生活維持の手段となり、定着の方法をとらざるをえなかった。
 他方、テント生活では、労働者個々の飯の食い方、生き方の違いによってそれぞれのスタイルで営んできた。中には問題なしとはいえないものもあるとはいえ、生身の人間が、不自由ななか、時間とともに苦労して営んできたスタイルといえる。したがって、公園でのテント生活の状態を、十把一からげにとらえるわけにはいかない。一つ一つのテントに、労働者の顔がある。
 
こうした事情からみると、シェルター入所というひとつの選択肢を示されたとしても、それを選択せず、公園でのテント生活維持を続ける道を選択肢としてとることがあっても、それは何ら不思議なことではない。行政の用意したシェルターが、労働者の苦労して営んできた生活スタイルに合致しなかったがゆえの判断である。また、こういう不自由を強いた行政施策への根強い不信感もあり、行政の用意した施策に生活丸ごと身をゆだねることを拒否、あるいは時間をかけての見極めが必要と判断する人もいる。そして、この自己決定は、人としての権利に関わる問題として、行政といえどもこれを尊重していかなければならないものと考える。
 
上記の内容をふまえ、西成公園シェルター設置に関して、以下、要求する。
 
1.シェルター設置に関して公園労働者に対する現場説明会を開くこと。
 説明会では、
 @シェルター入所からはじまり、実現性ある野宿脱出に向けての道筋を明確に示すこと。
 Aシェルターの内容・入所に関して、労働者が判断しやすいよう、正確にわかりやすく  説明すること。
 B説明会で労働者の意見・希望をよく聞き、施策に反映させること。
 
2.シェルター入所は、労働者自らの意志による自己申告の形をとり、受付窓口を設置して そこを通すようにすること。
 あくまで労働者の納得が前提であり、それを無視して入所を強要しないこと。
 
3.シェルター入所のみではなく、公園でのテント生活維持も選択肢としてあることを認め ること。
 また、テント生活の維持を選択をした労働者を強制排除しないこと。
 
4.テント生活の維持を選択した労働者に対し、入所を強要する説得を行わないこと。
 
                                    以上
               

 
 
 
2001.9.15 西成公園労働者第3回学習会資料
 
   長居シェルター現況報告
                        まとめ: 野宿者ネットワーク
概要・建物
・現在10棟(12棟あったが2棟つぶした)。1棟には22部屋。したがって、満室だと220名入れることになる。
・個室は、幅1メートル400。奥行き2メートル100。ベットがある。限られた荷物しか置けない。壁はベニヤ板。前は カーテン。
・入退所 :入所数は12月29日の開所日64名、1月31日135名、5月15日135名、
      9月11日現在111名。
      退所はほぼ毎日数人単位である。
 
生活関連(設備)
・洗濯 :共同洗濯場。洗濯機がたくさんおいてある。干し場もある。
・炊事場 :共同炊事場。ガスコンロがたくさん。流しもある。
・お風呂 :浴室はないがシャワー(温水)はいつでも使える。
・医療は :看護婦常駐、医者も週代わりで。
・テレビ :各棟に団らんスペースあり。そこにテレビが1台置いてある。
・暖冷房 :冬は暖房あり、夏は扇風機のみ。暑い。
・消燈 :夜10時。そのあとテレビがみたければ食堂へ。
・所内労働 :輪番体制。1週間に2日の割合でまわってくる。所内清掃など。
       時給700円で4時間労働、したがって計2800円。
・犬、猫は :外に犬小屋。猫は部屋で。
・飯は :1日1食(夜)弁当に詰めた白飯が出る。
・電話 :取次ぎ電話はない。携帯を持っている人も多い。
 
管理関係
・出入り :24時間出入り自由だが、門で出入りチェック
・退所 :・不在は2ヶ月待つ。それでこなければ部屋を片付ける(荷物は倉庫に預かっている)。今のところ、いったん退所して戻った人はいない。
・自立支援センター関連 :説明は、最初のころは食堂でみんなに。その後は個別に説明。
      自立支援センターから退所した人を再び受け入れることはない。
 
その他
・仕事の関係か昼寝ている人もおり、声を立てるとうるさいといわれることもあるようだ。・個室にはコンセントがない。
・各棟からトイレ、炊事場などへの通路の屋根を今作っている最中。
・公園に残ったテントには、たくさんの警告書、勧告文が張られてある。
 
【資 料】「長居公園聞き取りの会」のまとめた冊子から
 
副所長に聞く
・入所の手続き :公園事務所で事情聴取→入所予定書発行→それをもってきた人に入所してもらう。
  入所予定書には、名前、生年月日、持ち物など記入。また、誓約書に記入。
・入所者は6月27日現在128名。
 退所者は、自立支援センターへ 13名    自分で就労     4名
      生活保護施設へ   15名    入院        3名
      帰郷         2名    自主退所      11名
・生活保護は :生活保護施設に行ってもらって、その後居宅保護適用。
・シェルター職員は :14〜5名。非常勤もいる。看護婦はこちらで雇う。医者は嘱託で週  代わりで来てもらっている。
・その他
  シェルターは国からの公的なものはない。
  自立支援センターは就労施設なので住民票をおくことはできる。シェルターは仮設なので置くことはできない。
・居住棟振り分け :飲酒、犬・猫・・・などで振り分け。トラブル防止のため。
・一度退所した人 :戻れない。
 
労働者への聞き取り(いい面)
・石鹸もらえる ・散髪してもらえる ・補聴器ももらえる ・身障手帳を交付手続きできた ・白内障の手術ができた ・毎日好きなときにシャワーを使える ・週2回医者がくる、外の医療機関にもいける ・仕事の輪番もある ・歯医者へもいけるようになった ・襲撃される心配がない
 
労働者への聞き取り(悪い面)
・部屋に風が入らない、暑い ・プライバシーがない。集団生活が苦手、ストレスがある。他人のことが気になって眠れない ・取次ぎ電話がない ・3年で何とかなるのだろうか、心配 ・一度出たら戻れない ・シェルター後につながる道がわからない ・寝るだけでは何の意味もない ・10億円は無駄遣い ・1日1食以上出してほしい ・仕事場のスペース狭い(ダンボール、空き缶)
 
入所の勧誘、説得は(労働者の聞き取りから)
・11月はじめから12月25日ぎりぎりまで続けられた。週に4回、1日2回。
・基本的に「出て行ってくれ。とにかくシェルターに入ってくれ」の対応。
・名前や部署を名乗らない職員多い。
・職員が説得している間に何人か公園を出て行った。
・「おまえらがやいのやいのというから出ていくんや」と毛布をもって出て行った。
・職員が切羽詰って「入ってくれ、協力してくれ」というから協力した。
・基本的に「テントをたたんで出て行ってくれ」、「シェルターに入ってくれ」、「自立支援センターを紹介しようか」の対応。
 
シェルター開始まで
・長居公園での現地説明会
  ・第1回 9月26日 :大阪市は強制排除を行わないと明言せず、紛糾。      
 ・第2回 10月5日 :「入所を拒否しても行政代執行による強制排除は行わない。              
 粘り強く説得して入所を勧めていきたい」と発言。    
・第3回 10月16日 :現地調査の説明を15分した後、市は調査へ。
  ・第4回 11月8日  :市は一方的に打ち切り。テントに個別に説得開始。
 
・大阪市は10月中旬からすべてのテントを調査、番号を付けた。そのあと市の聞き取り 調査が始まる。
・労働者の身の振り方は(当初)
  最初480張り →  シェルター入所 130名
             医療相談    150名
             残ったテント   50名
             出て行った   150名
 
シェルターに入らず残ったテントでは
・テント数が少なくなってその少ないテントに嫌がらせが集中する。大勢いるときよりはるかに危険度が増すと言う声がある。→この際、シェルターへというきっかけになっているようだ。
 
 
 
 
2001.9.15 西成公園第3回学習会
15時〜17時ごろまで
 
1.あいさつ
2.長居シェルター、自立支援センター現況報告
3.質問
4.要求書提案
5.討議
6.要求書採択
7.18日の行動提起
 
 
2001.9.22 野宿者ネットワーク通信 公園版64号原稿
 
第3回学習会(15日)、要求書提出(18日)しました。
西成公園の仲間のみなさん
 15日の第3回学習会(15人参加)では、長居シェルター、自立支援センターの現状を伝えさせてもらい、そのあと、参したみんなで要求書を検討しました。この要求書は18日、大阪市に提出しました。
 要求書はこのビラの裏にのっています。また、学習会で使った長居シェルター、自立支援センター資料は仲間のみなさんに役立つと思うので、掲示板に貼っておきます。目を通してください。資料をほしい人はネットワークに連絡ください。
 要求書提出のとき、西成公園シェルター設置の状況について市に聞いたら、まだ具体的に話せるものはないということでした。こちらとしては、シェルター設置が具体的に動き出したら、とにかく現地説明会を開くことからはじめること、それまでは、前もって変な動きがないように、ということを申し入れました。
仲間のみなさん
シェルターが設置に際して、仲間一人一人がこれからの身の振り方を決めることと思います。これまで、”公園からの追い出すな”と、みんなまとまって闘うやり方をやってきましたが、これからは、仲間一人一人がそれぞれ選択した場面での闘いになっていきます。野宿者ネットワークの支援も限られてきますが、とにかく今は、仲間が身の振り方を決める上で役立つ情報を届けること、仲間の声を行政施策にきちんと取り込ませるようにすること、仲間の決めた選択肢を行政に認めさせ、尊重させること、こういった取り組みが、これからの支援の軸になっていくと思っています。
ともにがんばっていきましょう。
 
 
 
2001.10.20 
野宿者ネットワーク通信公園版65号原稿
 
西成公園(にしなりこうえん)の仲間(なかま)のみなさん
西成公園のシェルター設置(せっち)が本決(ほんぎ)まりになったと、市(し)から野宿者(のじゅくしや)ネットワークに連絡(れんらく)がありました。これに関(かん)して、10月25日、午後(ごご)2時から西成公園で現地説明会(げんちせつめいかい)がおこなわれます。
 去(さ)る9月18日にわれわれが要求書(ようきゅうしょ)をだした段階(だんかい)では、行政(ぎょうせい)は、「シェルターに関(かん)してなんら公表(こうひょう)できるものがない」といっていたにもかかわらず、それからわずか1ヶ月た
った今月(こんげつ)16日には、「住民(じゅうみん)と話(はな)しあいがついた、10月下旬聞(げじゅんき)きとり調査(ちょうさ)をさせてもらいます」と一方的(いっぽうてき)に計画(けいかく)を伝(つた)えてきました。さらには、シェルター建設(けんせつ)、そして入所(にゅうしょ)までを近(ちか)いうちにいっきにやってしまうらしいということも伝(つた)え聞(き)いています。
 とにかく、当事者(とうじしゃ)である労働者(ろうどうしゃ)の声(こえ)も聞かずに、急展開(きゅうてんかい)で、いっきにことをすすめようとする行政(ぎょうせい)のやり方(かた)に対(たい)し、ここでの暮(く)らしを強(し)いられる生身(なまみ)の人間(にんげん)のことがかくも無視(むし)されて扱(あつか)われることに、あらためて怒(いか)りを覚(おぼ)えます。
 第1回現地説明会(げんちせつめいかい)は、行政(ぎょうせい)の側(がわ)の一方的(いっぽうてき)な説明ではなく、実質(じっしつ)は労働者(ろうどうしゃ)の声(こえ)を行政に聞かせる(説明(せつめい)する)集(あつ)まりにしましょう。今度(こんど)の説明会(せつめいかい)では、行政(ぎょうせい)が本当(ほんとう)に労働者(ろうどうしゃ)の側(がわ)に立(た)ってものを考(かんが)えているのか、本当に労働者を野宿(のじゅく)に至(いた)らしめた責任(せきにん)もふまえて対策(たいさく)を出(だ)してきているのかどうか、はっきりさせましょう。
 仲間(なかま)のみなさんもご存知(ぞんじ)のとおり、現在(げんざい)、シェルター、自立支援(じりつしえん)センターともほとんど野宿解消(のじゅくかいしょう)につながらないことがはっきりしてきました。現実的(げんじつてき)には、テントをたたんでシェルターに入(はい)っても、行(い)きつく先(さき)は、ほぼ野宿(のじゅく)に逆戻(ぎゃくもど)りとなります。また、その場合(ばあい)、公(こう)園(えん)に戻(もど)りたくても戻れないしくみになっています。
 それでも行政(ぎょうせい)が、シェルターへ入所(にゅうしょ)を進(すす)めるのは、公園利用(こうえんりよう)の適正化(てきせいか)(地域住民(ちいきじゅうみん)のためテントをすべてどかすこと)のためです。
 こういった現状(げんじょう)をふまえ、最終的(さいしゅうてき)に、シェルターに入(はい)る入らないを決(き)めるのは仲間(なかま)一(ひと)人一人(りひとり)の判断(はんだん)になりますが、問題(もんだい)は、シェルターに入(はい)らずにテント生活(せいかつ)を続(つづ)けることを選(せん)択(たく)した労働者(ろうどうしゃ)に対(たい)し、あの手(て)この手を使(つか)ってテントをどかそうとしてくることをさせないことです。具体的(ぐたいてき)には、強制排除(きょうせいはいじょ)をさせないこと、入所(にゅうしょ)を強要(きょうよう)する説得(せっとく)をさせないことです。こういったことは、要求書(ようきゅうしょ)に掲(かか)げてあるので、説明会(せつめいかい)の場(ば)でこの内容(ないよう)をきっちり認(みと)めさせていきましょう。
この機会(きかい)しかないと思(おも)いますから、 説明会(せつめいかい)では、納得(なっとく)するまで声(こえ)をぶつけてください。
 労働者(ろうどうしゃ)の声(こえ)をまともに受(う)けとめることもせず、要求書(ようきゅうしょ)の内容(ないよう)を認(みと)めることもしないなら、そのまま行政(ぎょうせい)が一方的(いっぽうてき)に先(さき)へ進(すす)むことをやらせないようにしましょう。当然(とうぜん)、労働者(ろうどうしゃ)への聞(き)きとりも拒否(きょひ)しましょう。こちらが納得(なっとく)しなければことが進(すす)まないことをきっちりとみせつけてやりましょう。
 本当(ほんとう)に野宿解消(のじゅくかいしょう)につながることが納得(なっとく)できたのなら、はじめてテントをたたんで、行(ぎょう)政(せい)の対策(たいさく)に身(み)をゆだねたらいいと思(おも)います。。それまではがんばって、わが身(み)はわが身で守(まも)ってください。野宿者(のじゅくしゃ)ネットワークもこれまでと変(か)わらず支援(しえん)していきます。
 
9月18日に大阪市(おおさかし)に出(だ)した要求項目(ようきゅうこうもく)
 
1.シェルター設置(せっち)に関(かん)して公園労働者(こうえんろうどうしゃ)に対(たい)する現場説明会(げんばせつめいかい)を開(ひら)くこと。
 説明会(せつめいかい)では、
 @シェルター入所(にゅうしょ)からはじまり、実現性(じつげんせい)ある野宿脱出(のじゅくだっしゅつ)に向(む)けての道筋(みつすじ)を明確(めいかく)に示(しめ)すこ  と。
 Aシェルターの内容(ないよう)・入所(にゅうしょ)に関(かん)して、労働者(ろうどうしゃ)が判断(はんだん)しやすいよう、正確(せいかく)にわかりやす  く説明(せつめい)すること。
 B説明会(せつめいかい)で労働者(ろうどうしゃ)の意見(いけん)・希望(きぼう)をよく聞(き)き、施策(しさく)に反映(はんえい)させること。
2.シェルター入所(にゅうしょ)は、労働者自(ろうどうしゃみずか)らの意志(いし)による自己申告(じこしんこく)の形(かたち)をとり、受付窓口(うけつけまどぐち)を設置(せっち)して そこを通(とお)すようにすること。
 あくまで労働者(ろうどうしゃ)の納得(なっとく)が前提(ぜんてい)であり、それを無視(むし)して入所(にゅうしょ)を強要(きょうよう)しないこと。
3.シェルター入所(にゅうしょ)のみではなく、公園(こうえん)でのテント生活維持(せいかついじ)も選択肢(せんたくし)としてあることを認(みと) めること。
 また、テント生活(せいかつ)の維持(いじ)を選択(せんたく)をした労働者(ろうどうしゃ)を強制排除(きょうせいはいじょ)しないこと。
4.テント生活(せいかつ)の維持(いじ)を選択(せんたく)した労働者(ろうどうしゃ)に対(たい)し、入所(にゅうしょ)を強要(きょうよう)する説得(せっとく)を行(おこな)わないこと。
 

 
 
 
2001.11.1   西成公園シェルターへの要望
                    西成公園労働者 野宿者ネットワーク
運営に関して
・野宿解消が対策上確実にできるまで、シェルターの終了期限を定めないこと。
・自立支援センターに行って、就労できなかった場合、また、シェルターに入所して生活が立て直せるようにすること。
・また、シェルターを退所して後、野宿するしか方法がない場合は、再度シェルターに入所できるようにすること。
 
 
就労に関して
・所内労働のみならず、外の仕事も開拓し、入所者が一定の収入を得ることで生活にはりが 持てるようにすること。
・作業スペースを充分に用意すること。
・仕事さがしの際の取次ぎ電話を検討すること。
  
 
施設面に関して
・健康状態に配慮して、冷暖房を整えること。
・各個室に風が入るよう、窓が設置できる広さにすること。
 具体的には、間口1.8メートルはとること。
 したがって、長居シェルターの個室(1.4m×2.1m)よりは大きめに作ること。
・個室のドアをプライバシーが守れるものにすること。
・夫婦部屋はとくにプライバシーに最大限配慮すること。
・トイレ、炊事場などへの通路に屋根をつけること。
  
 
福祉面に関して
・相談のうえ、本人が居宅保護を望んだら、最大限、適用すること。
 とくに、60歳以上は就労がかなり困難であり、無条件で居宅保護を適用すること。
 

 第1回現地説明会 

 


先日、10月25日、西成公園で第1回現地説明会が行われました。
 この西成公園での現地説明会に際して、われわれがこれまで西成公園でやってきたスタイル--そこの労働者が主体であることを大切にしたかったので、外部の支援に呼びかけるということはしませんでした。また、基本的に、これからもそれでいこうと思っています。
25日は14時からスタート、公園労働者は70名ほど参加、行政は、大阪市野宿者対策推進本部として、ゆとりとみどりの振興局、健康福祉局、そして、現地担当として天王寺公園事務所が来ました。
要点だけ報告します。

★大阪市が出した西成公園シェルターの概要、「場所は、西成公園内西側部分4700平方メートル、プレハブ平屋建て14棟、そのうち、宿泊棟は10棟(1棟22人)、簡易ベット、談話コーナー等、管理棟2棟、共用棟2棟(食堂兼休憩所、自炊場、洗面場、洗濯場、物干し場など)、その他、作業場、自転車置き場、温水シャワー、トイレ、犬舎など。」
 長居のシェルターを規模を小さくしたものといえる。

★こちらは、現地説明会のほぼ1ヶ月前の9月18日に、大阪市に要求書を出していました。
(要求項目のみ抜粋)
1.シェルター設置に関して公園労働者に対する現場説明会を開くこと。
 説明会では
 @シェルター入所からはじまり、実現性ある野宿脱出に向けての道筋を明確に示すこと。
 Aシェルターの内容・入所に関して、労働者が判断しやすいように、正確にわかりやすく説明すること。
 B説明会で労働者の意見・希望をよく聞き、施策に反映させること。
2.シェルター入所は、労働者自らの意志による自己申告の形をとり、受付窓口を設置して、そこをとおすようにすること。
あくまで労働者の納得が前提であり、それを無視して入所を強要しないこと。
3.シェルター入所のみではなく、公園でのテント生活維持も選択肢としてあることを認めること。
また、テント生活の維持を選択した労働者を強制排除しないこと。
4.テント生活の維持を選択した労働者に対し、入所を強要する説得を行わないこと。
 
★現地説明会では、野宿者ネットワークが進行役になり、上記の要求書にそって行政に説明を求めました。もちろん、その間に、労働者の間からいろいろ意見が出されます。それは、検討事項として、次回にこたえさせることにしました。
 結果的に、大阪市が、労働者の前でこの日約束したことは、
  @シェルターに入りたくない労働者の意志を尊重する。
  Aそのうえで、テント生活を続ける労働者にシェルターへの入所を強要しない。
  Bテントを強制排除しない。

また、次回への検討事項として、
  @長居シェルターから自立支援センターに行った17人の結果はどうなったか調べる。
  A労働者への聞き取りは、1対1でやってほしい、ということについて。
  Bシェルター個室の入り口はカーテンではなく、鍵をかけられるドアにしてほしいという要望について。
  C夫婦(現在、公園に4組)の入所について。
  Dシェルター入所の自己申告と受付窓口の設置および相談について。
   などです。
 この説明会で、入所をしたくない労働者に対する問題を、おおむねクリアーした形になりますが(文書回答については、向こうは拒みました)、あとは、これをきちっと守らせることが必要です。
27日に公園労働者にビラ入れし、約束を破らせないように取り組んでいこうと呼びかけました。

★第2回説明会は、11月1日、13時30分からです。場所は同じです。
シェルターの内容が中心になります。
労働者の中には、こうしてほしいということがあっても、行政の前に出るとどうも・・・という仲間もいるので、説明会のはじまる1時間前、12時半から、労働者に集まってもらって、内容についての打ち合わせ会をしようと思っています。

第2回説明会のポイントは、
@シェルターの中身をこうしてほしい、という労働者の声を行政に聞き取らせる。
A大阪市が労働者への聞き取り調査の説明をする予定になっていますが、そこで調査項目の中に、「どんなシェルターを望むのか」といった項目を入れさせ、きちんと聞き取らせるようにさせる。
Bまた、この労働者の要望がどのようなものであったか、その検討結果をきちんと報告させる場を作らせる。
 こういったことを軸に進めたいと思っています。

第2回現地説明会



2001.11.1 西成公園シェルターに関する第2回説明会
 
11月1日、13時30分から16時まで。西成公園中央で。
集まった労働者は、約50名+支援。
行政は、前回同様、大阪市健康福祉局、ゆとりとみどりの振興局、現地担当として、天王寺公園事務所。
進行役は、野宿者ネットワーク。
 
1.前回で行政が約束したことの再確認。
   @シェルターに入りたくない労働者の意志を尊重する。
   Aその上で、テント生活を続ける労働者にシェルターへの入所を強要しない。
   Bテントを強制排除しない。
 
 ・労働者のほうから、強制排除といっても直接テントを壊すやり方と、その他に、心理的なもの、言葉で人を傷つけるということもある。言葉による強制排除を止めよう、と発言があった。
・また、ネットワークのほうから、個別訪問にくる職員によって対応が違うようだ。みんなに周知徹底してほしい、といった。
 
2.前回でた、検討事項を答えてもらう。
 @長居公園シェルターから自立支援センターに行った17人の結果はどうなったか調べる。
・自立支援センターに行った17名中、就労3にん、在所6人(このうち支援センターから通勤している人が2人)、無断退所1人、勧告退所1人、自主退所5人、帰郷1人)
・行政:自立支援センターにきてもらって説明してもらっている。阿倍野職安に長居用の特別の相談所を設けてもらいたいと思っている。
A労働者への聞き取りは1対1でやってほしいということについて。
・行政:2人1組で訪問している。話を聞くのは1人、あと一人は筆記係である。これでやらせてもらうが、労働者のほうで、1対1でと望む人には、一人は遠ざかっていてもらう方法を取る。
 
Bシェルター個室の入り口はカーテンではなくかぎがかけられるドアにしてほしいという要望について。
行政:通路の幅、消防法などの関係から、ドアは難しい。
 
C夫婦の入所について。
行政:2部屋を一つにすることも考えている。
 
Dシェルター入所の自己申告と受付窓口の設置および相談について。
・行政:仮設の窓口を公園北東の角に設置する。シェルター開設後はシェルターで窓口を設置する。入所申請の用紙は、配布し、集めたいが、窓口にもって来てもらうことでもいい。相談に応じられるよう検討したい。関連して、シェルターの期限は、3年とは考えているが、状況によっては再検討することもありうる。
・シェルターを退所した人の再入所については、シェルターは一時的な通過施設なので、考えていない。
これについては、野宿に戻らざるを得ない労働者をどうするのか、ということで紛糾。
 
3.シェルターの内容についての要望
・この第2回説明会の1時間前、公園の仲間に集まってもらって、シェルターへの要望を出し合った。また、これまで、学習会等で聞いてきた仲間の要望、釜ヶ崎反失連での意見などを含めて、要望として出した。
以下、その内容
★運営に関して
 ・野宿解消が対策上確実にできるまで、シェルターの終了期限を定めないこと。
 ・自立支援センターに行って、就労できなかった場合、また、シェルターに入所して生活  が立て直せるようにすること。
 ・また、シェルターを退所して後、野宿するしか方法がない場合は、再度シェルターに  入所できるようにすること。
 
★就労に関して
 ・所内労働のみならず、外の仕事も開拓し、入所者が一定の収入を得ることで生活にはり  が持てるようにすること。
 ・作業スペースを充分に用意すること。
 ・仕事さがしの際の取次ぎ電話を検討すること。
 
★施設面に関して
 ・健康状態に配慮して、冷暖房を整えること。
 ・各個室に風が入るよう、窓が設置できる広さにすること。
  具体的には、間口1.8メートルはとること。
  したがって、長居シェルターの個室(1.4m×2.1m)よりは大きめに作ること。
 ・個室のドアをプライバシーが守れるものにすること。
 ・夫婦部屋はとくにプライバシーに最大限配慮すること。個別に対応すること。
 ・トイレ、炊事場などへの通路に屋根をつけること。
 ・鍵のかかる荷物置き場を作ること。
 ・個室に衣類など整理できる棚、スペースを作ること。
 
★福祉面に関して
 ・相談のうえ、本人が居宅保護を望んだら、最大限、適用すること。
  とくに、60歳以上は就労がかなり困難であり、無条件で居宅保護を適用すること。
 
 これらの要望については、行政は、持ち帰って検討、その結果について、後日、労働者・野宿者ネットワークと話し合いを持つ、ということになった。
 
4.行政の聞き取り調査について
・最初、行政から、聞き取り調査の内容について説明があった。
・そのあと、こちら側の対案を示す。
以下、その内容
 
西成公園におけるニーズ調査
@あなたの第1希望は何ですか。
 仕事  住居  生活保護  医療  その他
A同居はありますか。
B収入源について。
 自転車や台車について
 犬と猫について
C仮設一時避難所への入所を希望しますか。希望しませんか。
D仮設一時避難所での生活を考えたとき、どのような仮設一時避難所を望みますか。
E入所したくない場合の理由を教えてください。
F他に聞きたいことや相談したいことがあればいってください。
Gさしつかえなければ氏名と年齢を教えてください。
 氏名      年齢     性別
 
・この対案について、行政のほうは、項目・内容についてはOK。
・行政のほうは、実態聞き取り調査という名称にこだわったが、こちらは、ニーズ調査と いうことでやってもらいたいと主張、行政は、労働者に対応するときはニーズ調査という 言葉を使ってやりたいということになった。
・行政:聞き取りは11月7.8.9.12.13日の5日間、チームを6班に分けてあたる。1班が 約40人を担当。
・この調査で把握した労働者のニーズの検討結果も、合わせて、次回話し合いのとき報告してもらうことになった。
 
5.最後に行政のほうからお願い
・行政:シェルター設置エリアにあるテント数は、約50張、さらに、工事のための車両通行道路部分にあるテントは8張り、こういったテントに、公園内移動も含めてにお願いにまわりたい。
・これについては、まず当事者とよく話し合って、もし、トラブルがあれば、野宿者ネットワークも入って話し合うことになった。
 
 
 
2001.11.3 野宿者ネットワーク通信公園版67号原稿
 
西成公園(にしなりこうえん)の仲間(なかま)のみなさん
先日(せんじつ)11月1日に、西成公園(にしなりこうえん)シェルターに関(かん)する第(だい)2回説明会(せつめいかい)がおこなわれました。集(あつ)まってくれた仲間(なかま)のみなさん、ごくろうさんです。また、説明会(せつめいかい)の1時間前(じかんまえ)には、仲間うちでの、シェルターへの要望(ようぼう)の打(う)ちあわせ会(かい)ももちました。
第1回説明会同様(せつめいかいどうよう)、大阪市(おおさかし)は健康福祉局(けんこうふくしきょく)、ゆとりとみどりの振興局(しんこうきょく)、天王寺公園事務所(てんのうじこうえんじむしょ)が説明(せつめい)にきました。
以下(いか)、第2回説明会(せつめいかい)の報告(ほうこく)です。
 
1.前回(ぜんかい)で行政(ぎょうせい)が約束(やくそく)したことの再確認(さいかくにん)をさせた。
・約束(やくそく)したこと
   @シェルターに入りたくない労働者(ろうどうしゃ)の意志(いし)を尊重(そんちょう)する。
   Aそのうえで、テント生活(せいかつ)を続(つづ)ける労働者にシェルターへの入所(にゅうしょ)を強要(きょうよう)しない。
   Bテントを強制排除(きょうせいはいじょ)しない。
 
・仲間(なかま)のほうから、強制排除(きょうせいはいじょ)といっても直接(ちょくせつ)テントをこわすやり方(かた)と、そのほかに、心(しん)理的(りてき)なもの、言葉(ことば)で人(ひと)を傷(きず)つけるということもある。言葉(ことば)による強制排除(きょうせいはいじょ)をやめてもらいたい、と発言(はつげん)がありました。
・また、ネットワークのほうから、テントに個別訪問(こべつほうもん)にくる職員(しょくいん)によって対応(たいおう)がちがうようだ。 職員(しょくいん)に周知徹底(しゅうちてってい)してほしい、と釘(くぎ)をさしました。
 
2.前回(ぜんかい)だされた検討事項(けんとうじこう)に答(こた)えてもらった。
@長居公園(ながいこうえん)シェルターから自立支援(じりつしえん)センターに行(い)った17人の結果(けっか)はどうなったか調(しら)べる。
・行政(ぎょうせい):自立支援(じりつしえん)センターに行(い)った17名中(めいちゅう)、就労退所(しゅうろうたいしょ)3人、センター在所(ざいしょ)6人(このうち支援(しえん)センターから通勤(つうきん)している人が2人)、無断退所(むだんたいしょ)1人、勧告退所(かんこくたいしょ)1人、自主退所(じしゅたいしょ)5人、帰郷(ききょう)1人。
 
A労働者(ろうどうしゃ)への聞(き)きとりは1対(たい)1でやってほしいということについて。
・行政(ぎょうせい):2人1組(くみ)で訪問(ほうもん)している。話(はなし)を聞(き)くのは1人、あと一人は筆記係(ひっきがかり)。これでやらせてもらうが、労働者(ろうどうしゃ)のほうで、1対(たい)1でと望(のぞ)む人には、もう一人の職員(しょくいん)は遠(とお)ざかっていてもらう方法(ほうほう)をとります。
 
Bシェルター個室(こしつ)の入(い)り口(ぐち)はカーテンではなくかぎがかけられるドアにしてほしいという要望(ようぼう)について。
・行政(ぎょうせい):通路(つうろ)の幅(はば)、消防法(しょうぼうほう)などの関係(かんけい)から、ドアはむずかしい。
 
C夫婦(ふうふ)の入所(にゅうしょ)について。
・行政(ぎょうせい):2部屋(へや)を一つにすることも考(かんが)えています。
 
Dシェルター入所(にゅうしょ)の自己申告(じこしんこく)と受付窓口(うけつけまどぐち)の設置(せっち)および相談(そうだん)について。
・行政(ぎょうせい):仮設(かせつ)の窓口(まどぐち)を公園北東(こうえんほくとう)の角(かど)に設置(せっち)する。シェルター開設後(かいせつご)はシェルターで窓口(まどぐち)を設置(せっち)する。入所申請(にゅうしょしんせい)の用紙(ようし)は、配布(はいふ)し、集(あつ)めたいが、窓口(まどぐち)にもってきてもらうこともでもいい。相談(そうだん)に応(おう)じられるよう検討(けんとう)したい。関連(かんれん)して、シェルターの期限(きげん)は、3年とは考(かんが)えているが、状況(じょうきょう)によっては再検討(さいけんとう)することもありうる。シェルターを退所(たいしょ)した人の再入所(さいにゅうしょ)については、シェルターは一時的(いちじてき)な通過施設(つうかしせつ)なので、考(かんが)えていない。
・これについては、野宿(のじゅく)に戻(もど)らざるをえない労働者(ろうどうしゃ)をどうするのかと行政(ぎょうせい)を追及(ついきゅう)し、紛糾(ふんきゅう)しました。
 
3.シェルターの内容(ないよう)についての要望(ようぼう)を出(だ)した
・この第2回説明会(せつめいかい)の1時間前(じかんまえ)、公園(こうえん)の仲間(なかま)に集(あつ)まってもらって、シェルターへの要望(ようぼう)を出(だ)しあいました。また、これまで、学習会等(がくしゅうかいなど)で聞(き)いてきた仲間(なかま)の要望(ようぼう)、釜ヶ崎反失連(かまがさきはんしつれん)の意見(いけん)などを含(ふく)めて、要望(ようぼう)としてだしました。
以下(いか)、その内容(ないよう)です。
★運営(うんえい)に関(かん)して
 ・野宿解消(のじゅくかいしょう)が対策上確実(たいさくじょうかくじつ)にできるまで、シェルターの終了期限(しゅうりょうきげん)を定(さだ)めないこと。
 ・自立支援(じりつしえん)センターに行(い)って、就労(しゅうろう)できなかった場合(ばあい)、また、シェルターに入所(にゅうしょ)して
  生活(せいかつ)が立(た)て直(なお)せるようにすること。
 ・また、シェルターを退所(たいしょ)してのち、野宿(のじゅく)するしか方法(ほうほう)がない場合(ばあい)は、再度(さいど)シェルターに入所(にゅうしょ)できるようにすること。
 
★就労(しゅうろう)に関(かん)して
 ・所内労働(しょないろうどう)のみならず、外(そと)の仕事(しごと)も開拓(かいたく)し、入所者(にゅうしょしゃ)が一定(いってい)の収入(しゅうにゅう)を得(え)ることで生活(せいかつ)に  はりが持(も)てるようにすること。
 ・作業(さぎょう)スペースを充分(じゅうぶん)に用意(ようい)すること。
 ・仕事(しごと)さがしのさいの取(と)りつぎ電話(でんわ)を検討(けんとう)すること。
 
★施設面(しせつめん)に関(かん)して
 ・健康状態(けんこうじょうたい)に配慮(はいりょ)して、冷暖房(れいだんぼう)を整(ととの)えること。
 ・各個室(かくこしつ)に風(かぜ)が入(はい)るよう、窓(まど)が設置(せっち)できる広(ひろ)さにすること。
  具体的(ぐたいてき)には、間口(まぐち)1.8メートルはとること。
  したがって、長居(ながい)シェルターの個室(こしつ)(1.4m×2.1m)よりは大(おお)きめにつくること。
 ・個室(こしつ)のドアをプライバシーが守(まも)れるものにすること。
 ・夫婦部屋(ふうふべや)はとくにプライバシーに最大限配慮(さいだいげんはいりょ)すること。個別(こべつ)に対応(たいおう)すること。
 ・トイレ、炊事場(すいじば)などへの通路(つうろ)に屋根(やね)をつけること。
 ・鍵(かぎ)のかかる荷物置(にもつお)き場(ば)をつくること。
 ・個室(こしつ)に衣類(いるい)など整理(せいり)できる棚(たな)、スペースをつくること。
 
★福祉面(ふくしめん)に関(かん)して
 ・相談(そうだん)のうえ、本人(ほんにん)が居宅保護(きょたくほご)を望(のぞ)んだら、最大限(さいしだいげん)、適用(てきよう)すること。
  とくに、60歳以上(さいいじょう)は就労(しゅうろう)がかなり困難(こんなん)であり、無条件(むじょうけん)で居宅保護(きょたくほご)を適用(てきよう)すること。
 
 これらの要望(ようぼう)については、行政(ぎょうせい)は、持(も)ちかえって検討(けんとう)、その結果(けっか)について、後日(ごじつ)労働者・野宿者(ろうどうしゃのじゅくしゃ)ネットワークと話(はな)しあいをもつ、ということになりました。
 
4.行政(ぎょうせい)の聞(き)きとり調査(ちょうさ)について
・最初(さいしょ)、行政(ぎょうせい)から、聞(き)きとり調査(ちょうさ)の内容(ないよう)について説明(せつめい)がありました。
・そのあと、こちら側(がわ)の対案(たいあん)を示(しめ)しました。
以下(いか)、その内容(ないよう)です。
 
【西成公園(にしなりこうえん)におけるニーズ調査(ちょうさ)】
  @あなたの第1希望(だいいちきぼう)は何(なん)ですか。
   仕事(しごと)  住居(じゅうきょ)  生活保護(せいかつほご)  医療(いりょう)  その他(た)
  A同居(どうきょ)はありますか。
  B収入源(しゅうにゅうげん)について。
   自転車(じてんしゃ)や台車(だいしゃ)について
   犬(いぬ)と猫(ねこ)について
  C仮設一時避難所(かせついちじひなんしょ)への入所(にゅうしょ)を希望(きぼう)しますか。希望しませんか。
  D仮設一時避難所(かせついちじひなんしょ)での生活(せいかつ)を考(かんが)えたとき、どのような仮設一時避難所を望(のぞ)みますか。
  E入所(にゅうしょ)したくない場合(ばあい)の理由(りゆう)を教(おし)えてください。
  F他(ほか)に聞(き)きたいことや相談(そうだん)したいことがあればいってください。
  Gさしつかえなければ氏名(しめい)と年齢(ねんれい)を教(おし)えてください。
   氏名(しめい)      年齢(ねんれい)     性別(せいべつ)
 
・この対案(たいあん)について、行政(ぎょうせい)のほうは、項目(こうもく)・内容(ないよう)についてはOK(おーけー)。
・行政(ぎょうせい)のほうは、実態聞き取り調査(じっつたいききとりちょうさ)という名称(めいしょう)にこだわったが、こちらは、ニーズ調査(ちょうさ)ということでやってもらいたいと主張(しゅちょう)、行政(ぎょうせい)は、労働者(ろうどうしゃ)に対応(たいおう)するときはニーズ調査(ちょうさ)という 言葉(ことば)を使(つか)ってやりたいということになりました。
・行政(ぎょうせい):聞(き)きとりは11月7.8.9.12.13日の5日間、チームを6班(はん)に分(わ)けてあたる。1班が 約(やく)40人を担当(たんとう)。
・この調査(ちょうさ)で把握(はあく)した労働者(ろうどうしゃ)のニーズの検討結果(けんとうけっか)も、合(あ)わせて、次回話(じかいはな)しあいのとき報告(ほうこく) してもらうことになりました。
 
5.最後(さいご)に行政(ぎょうせい)のほうからお願(ねが)いということで
・行政(ぎょうせい):シェルター設置(せっち)エリアにあるテント数(すう)は、約50張(はり)、さらに、工事(こうじ)のための車両(しゃりょう)通行道路部分(つうこうどうろぶぶん)にあるテントは8張(はり)、こういったテントに、公園内移動(こうえんないいどう)も含(ふく)めてお願(ねが)いにまわりたい。
・これについては、まず当事者(とうじしゃ)とよく話(はな)しあって、もし、トラブルがあれば、野宿者(のじゅくしゃ)ネットワークも入(はい)って話(はな)しあうことになりました。
 
 以上(いじょう)が第2回説明会(せつめいかい)の報告(ほうこく)です。11月7日からは、行政(ぎょうせい)によるニーズ調査(ちょうさ)もはじまります。
仲間(なかま)のみなさんは、それぞれの身(み)の振(ふ)り方(かた)で対応(たいおう)していくことになるのですが、同時(どうじ)に、ビラでの説明会(せつめいかい)の経過(けいか)もよく読(よ)んでもらって、行政(ぎょうせい)が労働者(ろうどうしゃ)に約束(やくそく)したことをしっかり守(まも)らせるよう、がんばってください。なにかありましたら、野宿者(のじゅくしゃ)ネットワークのほうに連絡(れんらく)ください。
寒(さむ)くなりました。身体(からだ)に気(き)をつけ、ともにがんばっていきましょう。

 2001.11.10 野宿者ネットワーク通信公園版68号


西成公園の仲間のみなさん
大阪市の「聞き取り調査」が7日からはじまっていますが、トラブルはないですか? シェルターの予定場所の仲間には、1番目のシェルターの場所とか、工事開始日とか、いっているようです。これは、説明会で話にもでていなかったことです。また、「聞き取り」の職員によっても対応がバラバラなようです。こういったことは、説明会のときの表向きの話とはだいぶ違うので、そのへんを確かめる必要があります。13日午後3時に公園にある現地事務所に聞きにいきましょう。3時前に公園中央に集まってください。

大阪市は2枚舌
日経新聞にはこういう内容の記事が載せられています。
・長居公園では485張りあったテントが今15張りに大幅に減った。そして「西成でもテントの解消を求める周辺住民の声にこたえたい」(野宿生活者対策推進本部)
これが、行政の本音ですが、それにしても、これまでの2回の現地説明会で労働者にいっていることとは違います。行政は2枚舌を使っているといえます。

大阪市の約束をもう1度確認
仲間の皆さん
あらためて、第1回目の説明会で大阪市が約束したことを確認します。
 @シェルターに入りたくない労働者の意志を尊重する。
 Aそのうえで、テント生活を続ける労働者にシェルターへの入所を強要しない。
 Bテントを強制排除しない。
この約束は、きっちり守らせましょう。

納得いったら入ったらいい。そうでなければテントでがんばることです。
シェルターに入りたくなければ、今のテントでがんばってください。今の大阪市の「野宿者対策」では、はっきりいって何年経っても野宿解消はできません。中途半端に、今、テントをたたんでシェルターに入れば、ほぼまちがいなく野宿に逆戻りです。もちろん、この公園には戻れません。野宿解消に向けて納得がいったら行政の「対策」に身をゆだねたらいいのであって、それまでは何年でもテントでがんばったらいいのです(説明会では、期限など一切認めてはいません)。行政はいろいろ仲間に言ってきます。しかし、何といわれようと、信念を持ってがんばりつづけることです。それで、トラブルがあったら、野宿者ネットワークに連絡ください。
今大事なことは、労働者に公園・路上で野宿をさせるにいたった行政の責任をとらせ、労働者のために、確実に野宿が解消できる「対策」をさせることです。それも不十分なまま、「周辺住民の声にこたえる」ため、労働者の生身の生活を壊すことなど、人権無視もはなはだしい、とんでもないことです。
ともに身体を張って約束を守らせていきましょう。

野宿者ネットワーク通信 公園版 第69号―2001.11.17

11/13に現地事務所で話し合いを持ち 11月20日午後2時にあらためて説明会の開催

 西成公園のみなさん! 11月13日(火)に、西成公園内にある大阪市の現地事務所に、話しあいに行きました。
 2回にわたって行われた西成公園での現地説明会での大阪市の説明と、11月7日から行われた市の『二一ズ調査』の中で市の職員が西成公園の 労働者に語った内容が、大きく違っていたからです。
 『二一ズ調査』の中で西成公園の労働者が行政から言われたことは次のようなことです。
・11月20日から工事が始まるから、11月16日までに移動するようにと言われた。
 ・『二一ズ調査』どは名ぱかりでシェルターの説明しかされなかった。
 ・同じ職員が、来るたびに言うことが違う。・職員が名前を言わない。
 ・シェルターには犬は連れていけないと言われた。などなど…
 こんな話しは、説明会では一切なかったことです。r二一ズ調査』では なく、『立ち退き調査だ』と怒る仲間もいました。
 さらに、説明会で市が西成公園の労働者に配った「仮設一時避難場所の 設置予定場所」の図面と、市が地元説明に用いた図面が違うことも判明し ました。 (現地説明会での図面では、公園西側および北西部の外周沿い は予定場所ではなかったにもかかわらず、地元向けの図面では予定場所に 含まれているのです! こんなデタラメなことは許せません! なお両方 の図面とも参考のためにビラのウラに掲載しました。)
 11月13日には、公園西側の仲間を中心に、20名を越える仲間が急きょ 集まり、行政(ゆとりとみどりの振興局・天王寺公園事務所)のやり方に 抗議しました。また、あらためて、@シェルターに入りたくない労働者の意志は尊重する、Aそのうえでテント生活を続ける労働者にシェルターへの入所を強要しない、Bテントを強制排除はしない、という確認事項を再確認するとともに、説明会の再開催を要求しました。
 行政側は、図面に誤りがあったことを認め、労働者に謝罪することを約束しました。また、正しい図面をもとに、あらためて11月20日(火)午後2時に説明会をやり直し、工事スケジュールなどを説明することも約束しました。
 この行政とのやりとりの中で、次のことが分かっています。
・11月16日までに行政がテントの移動を求めたのは西側グラウンドの南側フェンス沿いの西から8テント(6軒)のみで、あくまでも工事車両 の進入路の確保のための協力要請。
・1期工事は、西側グラウンド内でU月21日開始(すみだしは19・20日)、管理棟(食堂など)や宿舎棟5棟の建設。12月25日にオープン予定。
・II期工事は、来年1月中旬から、宿舎棟ののこり5棟を建設。など。
 シェルター一建設予定地・工事スケジュールは、あらためて、11月20日の 説明会で行政側からおこなわれることになるでしょう。今回の説明会は、 とりあえず、シェルター建設に伴う問題に限定されます。シェルター改善 要求などは、またの機会となります。
 今回のことは、なにか問題が生じた場合、当事者である現場の労働者が 集まって行政にナマの声や意見をつきつけるという力の大きさを示しまし た。この力が、行政に、謝罪とあらためての説明会の開催を約束させまし た`今後も、何かあった場合は、仲間が集まって声をあげていきましょう!
 西成公園のみなさん! 11月20日(火)午後2時、公園中央での説 明会に集まろう! 団結してがんばろう!

「生活保護のボランティア」を名乗るいかがわしい連中に注意しましょう

 西成公園でのシェルター建設がマスコミで報道されるや、早速正体不明の連中が「生活保護の相談にのります」「アパートを用意しています」と言ってビラや名刺を配っています。野宿者ネットワークで調べて みると、ボランティアとは名ぱかりでケタ落ちのドヤの営業活動でした、 このドヤは旅館の登録もできない日払いアパートでした(旅館の登録を すると消防の規制にかかるからです)。こんな連中に引っかかったら大 変です。生活保護を希望する入は福祉事務所に行ってください。野宿者 ネットワークでも相談にのります。


野宿者ネットワーク通信    公園版 第71号                     一2001.12.1一

 西成公園のみなさん! 11月28日に天王寺公園事務所で、第4回説明会が開かれました。本号は、その報告です。
 第4回説明会では、@大阪市が11月7日から行った「聞き取り調査(二一ズ調査)」結果の報告、A第2回説明会(11月1日)でこちらから提出した「シェルターヘの要望」に対する市の回答、が中心に話されました。(大阪市の「聞き取り調査」の結果報告は、裏面に掲載してあります。)
 また第3回現地説明会(11月20日)で仲間が「囲い込みだ」「追い出しだ」と抗議し行政がもちかえって検討することになっていた「フェンス設置問題」については、あらためて12月5日(水)午後1時30分より第5回現地説明会を開催することになりました。排除を許さず声を上げていこう!



大阪市の「ニーズ調査」では、およそ130人の仲間が西成公園で生活していることを確認、内90人の仲間が「調査」に応じた、ということです。また、現時点でのシェルター入所希望は18人、考慮中・入所拒否は112人という把握だそうです。

シェルターヘ要望への回答

 11月1日の説明会に提出した「シェルターヘの要望」に対する大阪市の回答は、以下のようなものです。
<運営に関して>
@シェルターの終了期限については、現時点では3年としか言えない。
 ただし、周辺の野宿生活者の状況を考え、再検討もありうる。
 自立支援センターでも就労できなかった場合やシェルター退所後のシェルター再入所については、通過施設である以上、再入所は現時点では認められない。長居のシェルターの場合は、相談に応じて1ヵ月であれば籍を置いておくことを認めている。
<就労に関して>
@所内労働の他にも外の仕事の開拓をということについては、長居のシェルターと同じような所内労働(1時間700円×4時間×週2日程度)とともに大阪府と連絡調整しながら外の仕事についても検討したい。
A充分な作業スペースの確保については、現在の計画で1300平方メートル、220人入所としても一人あたり6uの作業スペースが確保できる。
B仕事さがしの際の取り次ぎ電話の設置については、長居のシェルターでは事務所で取り次いでいる。専用の回線(シェルターとは別の電話番号にするという方法)については検討する。


<施設面について>
@冷暖房については、夏は宿舎1棟につき扇風機4基、冬は石油ストーブ2基。共用棟ではエァコンを使用。宿舎でのエアコンは高圧機が必要となり無理。扇風機の増設は検討する。
A窓については、網戸をはる。窓は開くように配慮する。
B個室については、ドアは無理。カーテンについては遮光できるように長居のシェルターよりも厚めのものにかえる。
C個室スペ一スは、長居と同様におよそ1.4m×2.1mで、変更しない。
D夫婦については、個室スペース×2の広さで、個人スペースとの闇に扉
Eカギ付ロッカーの大きさは、コインロッカー並みのものにできるか検討する。荷物は共用棟の倉庫で預かれる。あとはベットの下を利用するほか整理だなは配る。
Fふとんとベットの間はたたみをしく。
Gトイレや炊事場への通路は屋根をつける。
<福祉面について>
 一般所帯と同じあつかいで、福祉事務所が対応する。 
  以上です。

 つまり、施設面では、現状の長居公園のシェルターと同じものと考える。なお、大阪市は、12月6・7・10日の3日間で、シェルター入所申請書の配布を行うといっています。「その場で申し込む人には申請書を書いてもらう。現地事務所でも受付ができるように二段構えでいきたい。排除とうけとられないように注意する」といっています。また今後、市の職員がテントを訪れる時は名札をつけることを確認しました。
(以下は「二一ズ調査」結果を行政がまとめたものです。)


西成公園における野宿生活者に対する二一ズ調査の集計等

1調査期間 平成13年11月7日(水)〜13日(火)但し、土士日除く5日間
2.調査方法 全テント等の訪問による
3.調査結果 @テント確認数    251件
      A居住確認テント数  124件
      B居住確認者数    130人(男性 125人、女性 5人)
                      (夫婦(内縁含む)4組)

4.要望概要等
 (福祉的要素)
仕事 佳まい 施設 居宅保護 医療 その地 計
51%  7% 11%  9%    22% 0%  100%

(施設等に関する要望等)
   ○部屋はなるべく大きくして欲しい
   ○部屋の入口はドアにして欲しい
   ○夫婦者に対しての部屋の構造に配慮して欲しい
   ○各部屋に電灯スイッチを付け七欲しい
   ○各部屋に窓を付けて欲しい
   ○各部屋に荷物収納スペースを設けて欲しい
   ○各部屋に棚を付けて欲しい
   ○隣室の音が聞こえないようにして欲しい
   ○荷物用倉庫が欲しい
   ○広い作業スペースを設けて欲しい
   ○自転車をなるべく多く持ち込むことを認めて欲しい
   ○犬をなるべく多く持ち込むことを認めて欲しい
   ○猫をなるべく多く持ち込むことを認めて欲しい
   ○酒を飲む人と同棟にしないようにして欲しい
   ○親しい人と同棟にして欲しい

(仮設一時避難所にかかる施策に対する意見等)
   ○みんなが入るなら入るので様子を見たい
   ○施設を見てから考えたいので様子を見たい
   ○役所は信用できないのでもう少し様子を見たい
   ○支援団体は信用できないので、役所と直接話しをしたい
   ○軒(いびき)をかくので、他の人に迷惑をかけるので遠慮したい
   ○団体生活が嫌なので遠慮したい
   ○夫婦での生活ができないので入ることは遠慮したい

12/5(水)第5回説明会7時30分〜
◆場所は、西成公園の北西かど(今回は中央ではありません。)
◆議題は、フェンス設置問題。とくに西側の仲間はぜひ参加を!


2002.4.4 
西成公園向けビラ

 西成公園にシェルターができてから、すでに4ヶ月がたちました。シェルターに入らず、公園でテント生活を維持している仲間も、それぞれガンバっていることと思います。
みなさんもご存知のとおり、最近、公園西側の園路南端に、フェンスが設置されました。扉
西成公園の仲間のみなさん
は開かれているので通行には支障がないとはいえ、これは、昨年11月20日の第3回現地説明会の確認からすると、明らかな約束やぶりになります。第3回説明会で、行政は、シェルター設置の図面を示しましたが、その図面ではシェルターを囲むフェンスのなかに、テントがあり、仲間のほうから、これは囲い込みにつながると強い抗議がだされました。それをうけて、行政は、検討を迫られ、その場では、とりあえず、途中までフェンスを張り、園路部分にかかる残りは、第2期工事が始まるとき、あらためて現地説明会を持ち、労働者と話し合いをすることが確認されました。ところが、最近、知らぬ間にフェンスが張られました。2期工事もとっくに終わっており、現地説明会すら開かれていません。このような、確認事項を平気で踏みにじる行政の姿勢は許されるものではありません。これに関しては、いずれかの日に労働者の前できっちり謝罪させる必要があります。さらに、こういった確認事項はきちんと守れ、とあらためて申し入れをしていきたいと思います。
 また、平気で約束を破るような行政の姿勢がある限り、公園工事についても、知らぬ間に追い出しを図っていくことも考えられます。すでにそのような動きもみられ、工事について現地説明会を持つ前から、テント空き地に「工事のため立ち入り禁止」なる看板が掲げられている状態です。行政は、「公園利用適正化」のため、常に公園からのテント一掃をねらっています。そうはさせないように、きちんと労働者の前で納得のいく説明をしてから動き出すようにさせていかなければなりません。これに関しても、再度申し入れを行っていきたいと思います。
仲間のみなさん。行政の不十分な野宿者対策のまま、居場所を追われ、路頭に迷わされるわけにはいきません。一人一人がこのことを意識し、ガンバってください。




    申 し 入 れ 書

大阪市ゆとりとみどりの振興局長殿
 天王寺動植物公園事務所長殿

2002年4月11日
     西成公園労働者
   野宿者ネットワーク

 最近、公園西側の園路南端にフェンスが設置された。扉は開かれているので通行には支障がないとはいえ、これは、昨年11月20日の第3回現地説明会の確認からすると、明らかな約束やぶりになる。
 昨年11月20日の第3回説明会で、大阪市は、シェルター設置に関する図面を示したが、その図面ではシェルターを囲むフェンス内にテントがあり、労働者のほうから、これは囲い込みにつながると強い抗議がだされた。それをうけて、大阪市は、検討を迫られ、その場では、とりあえず、シェルター境界部分までフェンスを張り、園路部分にかかる残りは、第2期工事が始まるとき、あらためて現地説明会を持ち、労働者と話し合いをすることが確認された。ところが、冒頭述べたように、知らぬ間にフェンスが張られた。2期工事もとっくに終わっており、現地説明会すら開かれていない。このような、確認事項を平気で踏みにじる大阪市の姿勢は許されるものではない。これに関しては、労働者の前できちんと謝罪してもらいたい。さらに、こういった、説明会での確認事項はきちんと守るよう、再度申し入れる。
 また、公園内テント空地にロープが張られ、そのなかに「工事予定地、立ち入り禁止」なる標識が立ててある。このことは、明らかに工事に関わる動きのひとつととらえる。
 これまでも、工事にあたっては、まず労働者の前で説明会を開いてから動き出すのが通例であったし、これからもそうすべきである。空き地にこのような標識を立て、陣取りのようにその数を増やしていっているのは、工事のためにテントを追い立てるプレッシャーを労働者にもたらしている。
 正式に工事の動きがあるなら、まず、労働者の前で説明会を開くことからスタートしてもらいたい。したがって、それもないうちから、中途半端に「工事」を先行させるがごとき無用な動きはやめてもらいたい。
以上


野宿者ネットワーク通信 公園版 第74号 2002.4.20

西成公園のみなさん! 4月11日に、天王寺公園事務所で、大阪市に対する「申し入れ」を行いました。 4月6日の交流会でも確認をとりましたが、「申し入れ」の要点は大きく2点です。
@大阪市が、現地説明会を開催しないまま、シェルターの南西角から公園西側の石垣までの部分(公園西側の園路南端)にフェンスを設置したことは、昨年11月20日のシェルター建設に伴う第3回説明会での確認事項を破る行為であったこと。よって、西成公園労働者に謝罪すること。また当然ながら、今後確認事項をきっちりと守ること。
A公園内テント空き地にロープを張り「工事予定地・立ち入り禁止」なる看板を立てていること。これは、これまで新たな工事の開始にあたっては、まず労働者に説明をしてからという通例を破り、工事に先立って労働者を追い立てる行為であること。よって、工事説明会もないまま「工事予定地・立ち入り禁止」なる看板を立てる行為はやめること。
以上の二点です。
「申し入れ」当日は、大阪市からは、蜂谷・ゆとりとみどりの振興局施設管理担当課長(鍵氏の後任)、前田同管理課長代理、梅林天王寺公園事務所管理担当課長が出席しています。
「申し入れ」に対する大阪市側の対応は、以下のとおりでした。
@フェンス設置について
・大阪市側は、昨年11月20日の第3回説明会で、当該部分にフェンスを設置する際には、労働者に対して説明を行うという確認事項がかわされていたことを認める。
・フェンス設置部分にテントがなくなった中で工事施工を急いだが「申し訳なかった」。この点について、今後機会がある際に、西成公園現地で労働者に謝罪する。
・労働者とかわした確認事項は守る。
A「工事予定地・立ち入り禁止」の立て看板について。
・ロープと看板の設置は、「新規流入」を防ぐため(ロープを張っただけでは防げない)。地元からの要請もある。「追い散らすだけ」と思われるかもしれないから、空き地のフェンス囲いはやめて、ロープにしてきた。立て看板については、後日連絡する。
・新年度の公園工事に関しては、検討中。開始にあたっては、現地説明会を開催し、そこからスタートする。
以上、4月11日の「申し入れ」の報告です。
今後も何かあったら、キッチリ仲間の意見をまとめ、行政に声をぶつけていきましょう。団結して、ガンバロウ!