皮膚科電子小辞典トップに戻る

17皮膚腫瘍

<この項で出てくる主な疾患と簡単な診断法>

脂漏性角化症:2〜3mmから2〜3cmのできもの。いぼのような形をしていたり,表面がざらざらしていることもある。老人性ゆう贅(ぜい)ともいう。

アクロコルドン:2,3mm大の,根元にくびれのある良性腫瘍。形からして,くびれたところを切れば取れそうな状態になっている。中年以後の,首の回りやわきの下にできやすい。前述の脂漏性角化症と本質的に同じものが多い。

粉瘤(ふんりゅう):体のどの部分にでもできる可能性があり顔面、背中等に好発。青年期以降の男性に多い。皮膚の下に袋状になっており,中には垢と脂がたまっている。しばしば細菌感染を起こして腫れる。アテローマともいう。表皮のう腫とほぼ同義。

<詳説>

脂漏性角化症

 はやくいってしまえば,年取ったせいでできるイボです。良性腫瘍で治療は,手術で切るか,液体窒素というドライアイスよりもっとつめたいので冷凍させて脱落させます。

アクロコルドン

 これは,茎の部分をはさみで切り取ります。

粉瘤

傷やウィルスのせいでできることがあります。良性腫瘍で,手術で取れますが,腫れてしまったら,袋にばい菌が入ってしまっているので,抗生物質を飲むことになります。腫れたまま自然とつぶれて膿が出る場合もありますが,そうなったら病院で皮膚が破れたところから中の膿を袋ごとほじくり出して,痕が治るのを待つことになります。

神経繊維腫
 大小さまざまで,粟粒大から鶏卵大までの,境界明瞭で皮膜をもたず,粘液性の間質を有する。常色ないし淡紅色で半球状に隆起する軟らかな腫瘍で,徐々に増大。神経繊維腫症1型(NF1,レクリングハウゼン病)では成人になってから全身に多発するが,モザイクの機序により体幹の一部など限られた部位にみることもある(NF5)。

病理
 真皮内に存在し,しばしば皮下組織にもおよぶ。通常,比較的境界明瞭に境されているが,被膜はない。叢状神経繊維腫は皮下に存在し,被膜で包まれている。腫瘍は卵円形の核を有する紡錘形細胞と多量の繊細な膠原繊維からなり,腫瘍内には小血管や肥満細胞が増加している。

(以下,随時増補します)