クラインワーゲン〜バブルカー戦後ドイツを中心に〜
第ニ次世界大戦後、本土がほとんど被害を受けなかったアメリカとは異なり、ヨーロッパ諸国の経済システムの破壊と混乱は大きかった。
特に敗戦国ドイツでは危機は深刻だったのだが、それでも人々は個人のアシとなる乗り物を切望していた。それらの声に答えるように、
泡のように丸いちっぽけで奇妙なクルマ(=バブルカー)が次々と生まれたのだった。これらの車は耐乏時代ゆえの限られた条件の中で
言わば「なりふり構わず」生まれたものだったが、個性的な機構や豊かなアイデアに溢れており、ユニークなスタイルは現在の目で見ても
魅力的なものが少なくない。
やがてより快適で高性能な小型車が出回り始めると、これらの車は役目を終え、しだいに消えていった。
現在、ドイツ、ハノーバーの南、ボッケネムという村にはこれらのバブルカー達を集めた世界でも珍しい博物館、「KLEINWAGEN-
MUSEUM」があり、ほぼ毎年オーナー達によるミーティングが行われている。
1955−64 FMR−メッサ−シュミット KR200(西ドイツ)
1955−65 BMWイセッタ(西ドイツ)
敗戦で航空機の開発、製造を禁止された戦闘機メーカーが53年から生産した3輪、ダンデム2座
のキャビン・スクーター(ドイツ語で言うとカービネン・ローラー)。透明ルーフの標準型の他に
キャンバストップやロードスターもあった。58年には4輪のTg500も登場した。
すべて1/43 ダイキャスト製 KR200(青)、Tg500カブリオレ(ピンク)共にビテス(ポルトガル)
奥の黄色のものはガマ(独)でこちらはキャビンが開閉できます。
レベル(ドイツ/中国)1/18 ダイキャスト製
レベル(ドイツ/中国)1/18 ダイキャスト製
ガマ(ドイツ)1/43 ダイキャスト製
イタリアのイソ社が開発したキャビン・スクーターだが、フィアット500という小型車
があったイタリアでは皮肉にも販売が低迷。小型車を欲していたBMWにライセンスを
生産設備もろとも譲渡した。BMWはこれのエンジンを自社のモーターサイクル用のものに
変更するなど改良した上で55年より販売。4輪と英国輸出用の3輪が存在した。
やがて57年には、大型化した4人乗りのBMW600に発展した。
1959−65 BMW 700LSセダン(西ドイツ)
600ベースの小型車。ミケロッティが小粋なクーペのスタイリングを提供した。
セダンはクーペの大きく寝たリア・ウィンドウを立たせ、後席の居住性を確保したもの。
ミニチャンプス(ドイツ/中国)1/43 ダイキャスト製
レベル(ドイツ/中国)1/18 ダイキャスト製
シュコー(ドイツ)1/43 ダイキャスト製
1955−69 ゴッゴモビル(西ドイツ)
農機具メーカーだったハンス・グラース社が55年に発売。発売時のT250の他に
排気量が異なるT300、T400も後に登場した。空冷2ストローク2気筒エンジンを
リアに搭載。最も数多く製作されたバブルカーである。
フロント部のボンネットのように見えるのは実はダミーで開閉せず、ここにスペアタイヤ
が吊り下げられている。バリエーションとしてクーペやカブリオレも存在した。
1959−67 NSU シュポルト・プリンツ(西ドイツ)
1964−68 NSU ヴァンケル・スパイダー(西ドイツ)
助手 : 前面がドアになってるのが、特徴的ですよね。ハンドルもドアと一緒に動いちゃう。
ミニカーでもその機構を再現してて、楽しいです。
博士 : イソ社はかつて冷蔵庫を作ってたことがあったらしいが・・・。
助手 : ま、まさかこのドア、冷蔵庫からヒントを得てるんじゃ?!
博士 : 「未来世紀ブラジル」という映画の中に銀色のヤツが出てきたのう。後ろに謎のロケットみたいな
パーツがついておったが・・。
助手 : あと「ルパン三世」でも登場してました。劇中では普通の横開きのドアがついてたなあ。でも、あれは演出上のアレンジだったらしいですが。
那須にある自動車博物館では運転席に座れるんですよ。あのコクピット、まさに翼のもげた戦闘機。あれで実際に走ったらすごいスピード感あると思います。
助手 : スタイリッシュなボディだなあと思ったら、純然なイタリアン・ルックだったんですね。
博士 : 当時ベルトーネに在籍してたフランコ・スカリオーネのデザインじゃ。全体のフォルムは傑作、
アルファロメオ・ジュリエッタ・スプリントと共通するものがあるのう。
後にこの車は、ワン・ロータリ−を搭載した「ヴァンケル・スパイダー」へと発展したぞ。
コーギー(イギリス) 1/43
ダイキャスト製 絶版
1957−61 ロイト アレキサンダー(西ドイツ)
キャンピングカーとのセット レベル(ドイツ/中国)1/18 ダイキャスト製
シュコー(ドイツ)1/43 ダイキャスト製
我が国のスズキ初代スズライトにも影響を与えたロイトLP600のデラックス版。空冷直列2気筒
エンジンのFFミニカー。ロイトは元々は船舶関係の工業メーカーであったが、49年にLP300で
ミニカーの生産、販売に進出。親会社のハンザの倒産によって61年に生産中止。
1970−73 ボンド バグ(イギリス)
ボンド社はイギリスの3輪車メーカーだったが、これはかつてのライバル、リライアント社に
買収された後に発売された、「ボンド」の名前を持つ最後の車であった。
助手 : なんかカッコイイんですけど!マルチェロ・ガンディーニも真っ青って感じです。
博士 : ほっほっほ。この未来的ルックのデザインをしたのは、トム・カレンという人で、
この車の後もリライアントのデザインを担当したそうじゃ。この車、ミニとかよりも値段が
高かったらしいぞ。買ったのはよほどの物好きかも知れんのう。
助手 : 私は最初のガンダムに出てきた、エレカーを思い出しましたよ。
コーギー(イギリス)1/40 ダイキャスト製 絶版
レド(イギリス)1/43 ダイキャスト製
(筆者注 : 英国 BBCのコメディTV番組、
「ONLY・FOOLS and HORSES」に登場する車の
ミニチュアらしいのですが、一体どんな番組なので
しょうか?)
1962−72 リライアント リーガル スーパーバン(イギリス)
イギリスでは3輪車は免許や税制の面で優遇処置が取られていたため、古くから存在していた
上、長く生き残っていた。リライアントの3輪車はその代表。リーガルの後継車、ロビンはボディを
モデファイしつつ、なんとつい最近まで作られいたがついに生産終了。いや、イギリスで型を
買取った人物がいるらしく、まだ作るらしい。
助手 : ミスタービーンに散々いじめられて、コケてたやつですね。
博士 : リライアント社は番組のために、あの水色の車両を提供したらしいぞ。コケやすいように足回りをわざといじっての。
助手 : 自社の製品の評判を下げる番組に協力しているって訳ですか?それってめちゃくちゃヘンですよ〜。
それじゃ本物はあんなコケ方はしないんですね。
MCC スマート
マイスト(タイ)1/36 ダイキャスト製
プルバックゼンマイ付き
サイクルカー
カワイ 1/30 プラキット (絶版) ゼンマイ付き
原付免許で乗れるというので、日本でも一時期けっこう見かけた、
いわゆる「屋根付きスクーター。
ミニチャンプス(独/中国)1/43
ダイキャスト製
ドイツメーカーの強みか、
マニアックな車種もダイキャストミニカーに!
内装もソツなく再現され申し分ないです。
でもミニカー然としたコーギーのも捨てがたい
んですよねこれが。
モーターサイクル・メーカーとして名を知られていたNSUが58年より生産を開始した4輪小型車プリンツ。それをベースに
仕立てたスポーツクーペ版。59年にNSUは研究を進めていたロータリエンジンの開発に成功、このワン・ロータリーを
搭載した世界初の市販車がヴァンケルシュパイダーであった。NSUは後に2ロータリーのサルーン、Ro80を送り出す
ものの、耐久性、信頼性には問題を残したままであった。現在、技術的問題を克服してロータリーエンジンを生産し続けて
いるのは日本のマツダのみである。
ゴッゴモビル トランスポーター(西ドイツ)
ブレキナ(ドイツ)1/87 プラスチック製
ゴッゴモビルの商用車。ピックアップという選択が泣かせます。
年配のドイツのオジサン方にとっては、当時ありふれた風景の一部であったのに、いつのまにか姿を見ることがなくなっていた働くクルマとして、
郷愁を誘う存在だったりするのでしょうか?そう、日本でいうオート三輪のように・・・。事実、こういった純然な商用車というのは、特別なスポーツカーでも、
栄光ある戦績を持つレーシングカーでもないため、博物館にコレクションされるわけでもなし、壊れるまで働き続けて消え去るけなげなクルマ達であり、
現存率が異様に低いのだそうです。だからこそミニカーにする意味があるかも知れませんね。
1957−61 べスパ400 (イギリス)
ノレブ(仏)1/43 プラスチック製
これは古い金型のモデルを再利用したもので、本来凹モールドである部分も凸モールドに
なっている点は時代を感じさせます。復刻版は現代流に細部の塗り分けがなされています。
べスパと聞けば、おなじみピアッジョ社のスクーターを思い浮かべるのが普通であろうが、このような小さな四輪車を
作っていたことを知る人は、そう多くはないはずだ。空冷直列2気筒394cc、RR。製造はフランスでべスパ・スクーターを
ライセンス生産していたACMA社が担当。ボディの製作はファセルが担当し、品質も高いものであった。
1958−61 ハインケル ガビーネT154 (アイルランド/イギリス)
飛行機メーカーであるドイツのハインケルの設計。アイルランドのダンダルク・エンジニアリングがパテントを取得して58年より製造された。
3輪と4輪があり、ボディ正面がドアなのはイセッタ同様であり、すでにイセッタで成功していたBMWはこれを類似品として提訴したため、
61年からはイングランドのトロージャンで製造された。以後英国ではその名も「トロージャン」として親しまれることになった。
一見イセッタに見えるが、ボディ形状は異なっており、サイドウインドウが丸みを帯びている店など、よりスタイリッシュな印象もある。
2名+後方に子供一名が乗車可能。単気筒4ストローク。イセッタとは異なり、リバースギアがあった。
コーギー(イギリス)1/43 ダイキャスト製 絶版
よく知られているイセッタに比べると、ハインケルのダイキャストミニカーはこれくらいのようです。
バブルカーらしい内側から膨らんだかのような形状がなかなかうまく捕らえられています。
可動部はなくモデルは3輪バージョン。