Jimiのオリジナルブルーズといえば、「RedHouse」が有名だが、この曲も忘れてはならない名曲だろう。しかしこの曲は結局正規のアルバムには収録されずじまいになってしまった。スタジオでもかなりのテイクを収録していたようだが、今聞くことが出来るのは大半がライヴテイクである。「映画 Jimi Hendrix」でも見ることが出来る12弦ギターでの弾き語りでは、単なるポップスターではなく本物のブルーズマンである事を証明した。あのシーンを見て、早速12弦を買いに楽器屋に走りました(笑)。 「Hear My Train A Comin'」またの名を「Getting My Heart Back Together Again」邦題は「汽笛の響き」 この曲には非常に思い入れがあって演奏するのも好きな曲。僕の友人が体験した事と、この曲の主人公とをだぶらせながら演奏している。そして、いつもその友人のことを観客に話してから始める。この曲をもっと身近にリアルに感じて欲しいからだ。その話をここで紹介しよう。 とある平日の昼頃、家の近所の交差点付近でその友人と会った。彼は、いつもと変わらないTシャツにジーンズというラフな格好で寝袋を脇に抱えていた。ほかに荷物は無かった。彼が僕に話しかけた。 彼「ヘドってどっち?」 1週間ぐらいすぎた頃、ひょっこり彼が顔を出した。話を聞くと、あの交差点で出会った後そのまま徒歩で辺土へ向かったのだった。那覇から辺土まで約120〜130Hはあるだろう。途中道ばたで野宿しながら、怖い目に遭いながらの5日間の徒歩の旅だったそうだ。辺土に着いたときには足のまめがつぶれて血まみれになり歩ける状態でなかったそうで、ヒッチハイクで帰ってきたらしい。 なんでこんな事をしたのか?なんてヤボな事は聞かなかったが、そんな旅をした彼に本物のブルーズを感じた。この出来事はまさに「Hear My Train A Comin'」だと感じた。だからこの曲を演奏するときは、彼の目から見えた首里から辺土までの道のりを表現したいと思っている。 ちなみにその当時沖縄にはTrainは無く、つい最近(去年)モノレールが開通した。空港から首里までわずか十数H、当然辺土になんか行きやしない。そのモノレールの終着駅「首里駅」は「首里のクロスロード」にある。 |