04.4.21Hear My Train A Comin'
Jimiのオリジナルブルーズといえば、「RedHouse」が有名だが、この曲も忘れてはならない名曲だろう。しかしこの曲は結局正規のアルバムには収録されずじまいになってしまった。スタジオでもかなりのテイクを収録していたようだが、今聞くことが出来るのは大半がライヴテイクである。「映画 Jimi Hendrix」でも見ることが出来る12弦ギターでの弾き語りでは、単なるポップスターではなく本物のブルーズマンである事を証明した。あのシーンを見て、早速12弦を買いに楽器屋に走りました(笑)。
「Hear My Train A Comin'」またの名を「Getting My Heart Back Together Again」邦題は「汽笛の響き」
この曲には非常に思い入れがあって演奏するのも好きな曲。僕の友人が体験した事と、この曲の主人公とをだぶらせながら演奏している。そして、いつもその友人のことを観客に話してから始める。この曲をもっと身近にリアルに感じて欲しいからだ。その話をここで紹介しよう。
 
 とある平日の昼頃、家の近所の交差点付近でその友人と会った。彼は、いつもと変わらないTシャツにジーンズというラフな格好で寝袋を脇に抱えていた。ほかに荷物は無かった。彼が僕に話しかけた。

彼「ヘドってどっち?」
僕「はあ?ヘド?…ああ辺土の事!?」
辺土(ヘド)とは沖縄本島の最北端の地名の事。
僕「最北端なんだからあっちの方向じゃない?」
彼「そうだよね…わかった。じゃあ。」
と手をふり指さした方向へ歩いていった。そのときなぜそんなこと聞くのか、考えもしなかった。それから彼との連絡が途絶えた。彼の行方は他の友達も誰も知らなかった。

 1週間ぐらいすぎた頃、ひょっこり彼が顔を出した。話を聞くと、あの交差点で出会った後そのまま徒歩で辺土へ向かったのだった。那覇から辺土まで約120〜130Hはあるだろう。途中道ばたで野宿しながら、怖い目に遭いながらの5日間の徒歩の旅だったそうだ。辺土に着いたときには足のまめがつぶれて血まみれになり歩ける状態でなかったそうで、ヒッチハイクで帰ってきたらしい。

 なんでこんな事をしたのか?なんてヤボな事は聞かなかったが、そんな旅をした彼に本物のブルーズを感じた。この出来事はまさに「Hear My Train A Comin'」だと感じた。だからこの曲を演奏するときは、彼の目から見えた首里から辺土までの道のりを表現したいと思っている。
首里の交差点から環状2号線を下って、安謝交差点から国道58号線に入りひたすら北上。普天間基地や嘉手納基地にはためく日本国旗とアメリカ国旗、恩納村のリゾートビーチを横目に………。その道のりは遙か遠く……。
聞く人に、その道のりとその感情が感じてもらえればと…。

彼に辺土はどうだった?と聞くと、こう答えた。
「…何にもなかった。」
僕は彼が渡ったあの交差点を
「首里のクロスロード」と呼んでいる(笑)。

 ちなみにその当時沖縄にはTrainは無く、つい最近(去年)モノレールが開通した。空港から首里までわずか十数H、当然辺土になんか行きやしない。そのモノレールの終着駅「首里駅」は「首里のクロスロード」にある。

Ps.
SoundsにHear My Train A Comin'をUPしました。それを聞きながら読んでみてください。しかしこの演奏、辺土にたどり着く前に、万座毛あたりで暴走して海につっこんでるような感じかなあ…。今度演る時には、ちゃんと辺土にたどり着きたいですね…(笑)。


次回の
Jimiに首ったけ乞うご期待!