2002年5月13日
大塚ウエルカムバックでのライブレポート




今日の見所・聴き所は何と言ってもドラムスの大河原とヴォーカルの松元のサポート参加だ。
飯島と大河原がどういうコンビネーションで聴かせてくれるか、強力なリズム隊をバックに斎藤・瀬戸がどのように演奏してくれるのか、開始前からあれこれと想像し、期待度が高まる。
まずはいつものトリオ編成で「朝もや」「あこがれのスナフキン」と続く。
ビッグマウスと違い、かなりゆったりとしたステージスペースであること、左飯島・センター斎藤・右瀬戸といういつもと逆の配置であることも有るのか少々固めの印象だったがまずまずの演奏だった。



続いてドラムスの大河原が登場、相変わらずのたどたどしいMCで瀬戸から曲目「ドイツ」がアナウンスされて演奏が始まった。
全員が混沌と絡み合うフリージャズセッションのような激しい出だし、しましまを聴いたことが有る人ならばそのオープニングには驚いたに違いない。 嵐の過ぎた後のように静かにドラムスがリズムを刻む中、いつものドイツへと流れが移る。




ドラムスが入ることで少し明るめで淡々とした演奏になるのかなという予想をしていたのだが、それは見事に外れ、よりダークで重い演奏だった。
ドラムスのカタログでシンバルの一つに「よりダークな音色」というような表現の解説がされていて、その時にはその意味が全く理解出来ないで居たのだが、この「ドイツ」を聴いてその事を思い出し成る程と納得した。ただし、シンバルの音色がダークだからダークに聞こえるのではなく、大河原がダークに叩くからそう聞こえるのだと思う。


そして、飯島のパーカッションがリズムにより表情を加えていたのが強く印象に残った。いつもの事ながら、とにかく絶妙なタイミングで絶妙な音色の打楽器が入るのがとても心地よい。
それらの音は自分には生活の音を演出しているように聞こえる。例えば朝食の支度にまな板を叩く包丁の音、物売りのリヤカーが立てるゴトゴトという音、運河を上る通船の音、そういった音に感じられてならない。





さて、今回のライブで最も感心を寄せていたのは松元みぎわ(Vo)の参加だ。どのような事をやるのかは一切知らずに居たので期待が大きかった。
彼女が入っての1曲目はラテンの名曲だった。ここでは飯島がとても生き生きとしていたように思う。歯切れの良い歌いっぷりに思わず体が動く。




次に、ジャズのスタンダードナンバーを2曲。こちらは斎藤がよく馴染んでいてしっとりと落ち着いた雰囲気。 「しましま風」という感じではなかったが、どの曲も表現力豊かなヴォーカルが聴けて十分に楽しめた。
最後はいつも通りの「西日」、しましまのライブではエンディングの定番である。




一日の終わりを連想させるこの曲は、程良く草臥れて、暖かく、やがて訪れる夜の落ち着いた一時を想うという心象が浮かび、とにかく心休まる名曲であり、 まさにエンディングに相応しい。

Report : Sakurai Makoto

[ホーム]